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明細書 :ワンアクション固定具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3997302号 (P3997302)
公開番号 特開2004-049892 (P2004-049892A)
登録日 平成19年8月17日(2007.8.17)
発行日 平成19年10月24日(2007.10.24)
公開日 平成16年2月19日(2004.2.19)
発明の名称または考案の名称 ワンアクション固定具
国際特許分類 A61J   1/16        (2006.01)
A61M   5/00        (2006.01)
FI A61J 1/00 390K
A61M 5/00 370
請求項の数または発明の数 4
全頁数 16
出願番号 特願2003-149415 (P2003-149415)
出願日 平成15年5月27日(2003.5.27)
優先権出願番号 2002154049
優先日 平成14年5月28日(2002.5.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成15年5月30日(2003.5.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】岩本 英久
【氏名】大東 由喜夫
【氏名】宮武 洋成
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】一ノ瀬 薫
参考文献・文献 実開平3-119604(JP,U)
実開昭53-67528(JP,U)
実開昭54-50735(JP,U)
実開平3-122842(JP,U)
実開昭47-38275(JP,U)
特開平5-7505(JP,A)
特開平9-112108(JP,A)
特開2000-74025(JP,A)
調査した分野 A61J 1/16
A61M 5/00
F16B 7/14
特許請求の範囲 【請求項1】
基部と、その基部に一体的に結合されると共にその基部に対向する当接部と、前記当接部に向けて前記基部に形成された支持孔と、前記基部にその支持孔と同心にかつその支持孔に対し前記当接部と反対の側に位置するように形成された雌ねじとを有する固定具本体と、
前記支持孔内に進退移動可能および回動可能に貫通する把持軸と、
前記把持軸にその半径方向に摺動可能に支持された、前記雌ねじに螺合可能な割り雄ねじ部材と、
前記把持軸に回動可能に結合されたハンドルと、
前記割り雄ねじ部材を、前記把持軸に対する前記ハンドルの、その割り雄ねじ部材の雄ねじのねじ込み方向の回動により拡径させ、その割り雄ねじ部材の雄ねじの戻り方向の回動により縮径させるカム機構と、を具え
前記ハンドルは、
筒状のハンドルカバーと、
前記ハンドルカバー内にそのハンドルカバーに対し回動規制されつつ進退移動可能に挿入されたハンドル本体と、
前記ハンドル本体に一体的に突設され、前記ハンドルカバーに対する前記ハンドル本体の進退移動により、拡径位置に有る前記割り雄ねじ部材の半径方向内方端部の内方の縮径防止位置と、前記割り雄ねじ部材の半径方向内方端部から軸線方向に外れた縮径許容位置との間で進退移動するストッパーピンと、を有することを特徴とする、
ワンアクション固定具。
【請求項2】
前記割り雄ねじ部材は二分割されていることを特徴とする、請求項1記載のワンアクション固定具。
【請求項3】
前記カム機構は、
前記ハンドルに基部を固定されるとともに前記把持軸の軸線の周囲で旋回可能にその把持軸に挿入されたピンと、
前記ピンに嵌合するとともに前記割り雄ねじ部材の摺動方向と直交する方向に延在する長孔を形成されたカムとしての前記割り雄ねじ部材と、
を有する逆カム機構であることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のワンアクション固定具。
【請求項4】
前記カム機構は、
前記把持軸の軸線と直交する平面内でその把持軸の半径方向に対し傾斜する方向に延在して前記各割り雄ねじ部材に対応する長孔を形成され、前記ハンドルに固定されるとともに、前記軸線の周囲で旋回可能にその把持軸に連結された蓋部と、
前記割り雄ねじ部材に一体的に突設され、前記蓋部の前記長孔に摺動可能に嵌合したピンと、
を有するものであることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のワンアクション固定具。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、迅速な作業が要求される救急部門や看護師の仕事等の医療分野および、手先が不自由な高齢者や身体障害者等に対する福祉分野等で用いられる固定具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療の現場で点滴用機器などの医療機器をスタンドのポールに固定する際等に用いられる従来の固定具には、ねじを利用しているものと、ばねを利用しているものとがあり、ねじを利用している固定具は、固定具本体の当接部と向き合わせてその固定具本体に螺合させたねじを回転させて、ポール等の軸をその固定具本体の当接部とねじとで挟み、締め付けて固定している。また、ばねを利用している固定具は、ばねの力でポール等の軸を挟んで固定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ねじを利用している固定具は、着脱の際にねじを6~8回転させる必要があるため、着脱に7~10秒かかってしまい、着脱作業の負担も大きいという問題がある。一方、ばねを利用している固定具は、着脱に要する時間はねじ式のものより短いが、ポール等の軸を把持する力が劣っているという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は上記課題を有利に解決した固定具を提供することを目的とするものであり、この発明のワンアクション固定具は、基部と、その基部に一体的に結合されると共にその基部に対向する当接部と、前記当接部に向けて前記基部に形成された支持孔と、前記基部にその支持孔と同心にかつその支持孔に対し前記当接部と反対の側に位置するように形成された雌ねじとを有する固定具本体と、前記支持孔内に進退移動可能および回動可能に貫通する把持軸と、前記把持軸にその半径方向に摺動可能に支持された、前記雌ねじに螺合可能な割り雄ねじ部材と、前記把持軸に回動可能に結合されたハンドルと、前記割り雄ねじ部材を、前記把持軸に対する前記ハンドルの、その割り雄ねじ部材の雄ねじのねじ込み方向の回動により拡径させ、その割り雄ねじ部材の雄ねじの戻り方向の回動により縮径させるカム機構と、を具えてなるものである。
【0005】
かかるワンアクション固定具にあっては、把持軸に対してハンドルを割り雄ねじ部材の戻り方向に回動させると、カム機構が割り雄ねじ部材を縮径させ、これにより固定具本体の基部の支持孔に対し把持軸が摺動可能となるので、ハンドルの押し引き操作で把持軸の先端と固定具本体の当接部との間の空間に対するポール等の軸の出し入れが可能となる。
【0006】
そして把持軸の先端と固定具本体の当接部との間の空間にポール等の軸を配置した状態で把持軸の先端をその軸に当接させて把持軸を回りにくくして、把持軸に対しハンドルを割り雄ねじ部材の雄ねじのねじ込み方向に回動させると、先ずカム機構が割り雄ねじ部材を拡径させ、これにより割り雄ねじ部材が固定具本体の基部の雌ねじと螺合し、ハンドルと共に割り雄ねじ部材および把持軸が回動してねじの作用でポール等の軸をその固定具本体の当接部と把持軸とで挟み、締め付けて固定する。またその固定状態でハンドルを割り雄ねじ部材の雄ねじの戻り方向に回動させると、把持軸はポール等の軸に当接して回りにくくなっているので、先ずカム機構が割り雄ねじ部材を縮径させ、これにより割り雄ねじ部材が固定具本体の基部の雌ねじから外れ、先のように固定具本体の基部の支持孔に対し把持軸が摺動可能となるので、ハンドルの押し引き操作で把持軸の先端と固定具本体の当接部との間の空間に対するポール等の軸の出し入れが可能となる。
【0007】
従ってこのワンアクション固定具によれば、90°程度ハンドルを回動させるだけでねじを利用した把持力を得ることができるので、ハンドルを持ち替えることなく着脱作業を行い得て着脱作業の負担を軽減し得ると共に、着脱に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0008】
それゆえこの発明のワンアクション固定具によれば、迅速な作業が要求される救急部門や看護師の仕事等の医療分野で、医療要機器をスタンドのポール等に固定する作業の負担軽減と時間短縮とをもたらすことができ、また高齢者や身体障害者等に対する福祉分野で、手先が不自由な高齢者や身体障害者でも器具等の固定を容易に行い得るようにすることができる。
【0009】
なお、この発明のワンアクション固定具においては、前記割り雄ねじ部材は二分割されていても良く、かかる二分割の割り雄ねじ部材は、摺動抵抗を少なくして拡縮径を容易なものとすることができる。
【0010】
また、この発明のワンアクション固定具においては、前記カム機構は、前記ハンドルに基部を固定されるとともに前記把持軸の軸線の周囲で旋回可能にその把持軸に挿入されたピンと、前記ピンに嵌合するとともに前記割り雄ねじ部材の摺動方向と直交する方向に延在する長孔を形成されたカムとしての前記割り雄ねじ部材とを有する逆カム機構(カムが従動節ゆえ)であってもよく、かかるピンと長孔との組合せによるカム機構は、簡易な構成であるので、安価でかつ信頼性の高いものとすることができる。
【0011】
一方、この発明のワンアクション固定具においては、前記カム機構は、前記把持軸の軸線と直交する平面内でその把持軸の半径方向に対し傾斜する方向に延在して前記各割り雄ねじ部材に対応する長孔を形成され、前記ハンドルに固定されるとともに、前記軸線の周囲で旋回可能にその把持軸に連結された蓋部と、前記割り雄ねじ部材に一体的に突設され、前記蓋部の前記長孔に摺動可能に嵌合したピンと、を有するものであってもよく、このように蓋部をハンドルに固定するとともに旋回可能に把持軸に連結し、ピンを割り雄ねじ部材に一体的に突設して、割り雄ねじ部材に隣接する上記蓋部の長孔と嵌合させれば、把持軸とハンドルとを連結しつつ、ピンに加わる曲げモーメントを小さくし得るので、ピンの曲がりや長孔内面の齧りを防止し得てカム機構の耐久性を高めることができる。
【0012】
さらに、この発明のワンアクション固定具においては、前記ハンドルは、筒状のハンドルカバーと、前記ハンドルカバー内にそのハンドルカバーに対し回動規制されつつ進退移動可能に挿入されたハンドル本体と、前記ハンドル本体に一体的に突設され、前記ハンドルカバーに対する前記ハンドル本体の進退移動により、拡径位置に有る前記割り雄ねじ部材の半径方向内方端部の内方の縮径防止位置と、前記割り雄ねじ部材の半径方向内方端部から軸線方向に外れた縮径許容位置との間で進退移動するストッパーピンと、を有してい
【0013】
このようにハンドルを構成することから、拡径した割り雄ねじ部材のねじの作用でポール等の軸を固定具本体の当接部と把持軸とで挟み、締め付けて固定した後に、ハンドル本体をハンドルカバーに対して前進移動させておくことで、ストッパーピンが縮径防止位置に前進移動しているので、たとえハンドルが誤って緩み方向に回されてカム機構が割り雄ねじ部材を縮径方向へ移動させようとしても、ストッパーピンが割り雄ねじ部材の半径方向内方端部と当接してその縮径を防止し、ひいては把持軸の締付け力の意図しない急激な緩みを防止することができる。そして、当該固定具をポール等の軸から外す必要がある場合には、ハンドル本体をハンドルカバーに対して後退移動させれば、割り雄ねじ部材の縮径方向への移動を妨げないように、ストッパーピンを割り雄ねじ部材の半径方向内方端部から軸線方向に外れた縮径許容位置に後退移動させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1(a)および(b)は、この発明のワンアクション固定具の参考例を組み立て状態で示す縦断面図およびそのA-A断面図、図2(a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の固定具本体を示す半部断面図および側面図、図3(a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の把持軸の軸部を示す正面図および側面図、図4(a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の把持軸の割り雄ねじ部材案内部を示す正面図および側面図、図5(a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具のハンドルを示す正面図および側面図、図6(a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の割り雄ねじ部材の半部を示す正面図および側面図、そして図7(a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具を軸に固定した状態で示す縦断面図およびそのB-B断面図である。
【0015】
この参考例のワンアクション固定具は、図1に示すように、ここでは全体的に角棒状をなす固定具本体1と、その固定具本体1に挿通される把持軸2とを具えており、その固定具本体1は、図2に示すように、基部1aと、ここではその基部1aと一体に形成されてその基部1aに対向する当接部1bと、その当接部1bに向けて基部1aに形成された支持孔1cと、基部1aにその支持孔1cと同心にかつその支持孔1cに対し当接部1bと反対の側に位置するように形成された雌ねじ1dとを有し、把持軸2は、その固定具本体1の支持孔1c内に進退移動可能および回動可能に貫通する。
【0016】
上記把持軸2はこの参考例では、図3に示すように、支持孔1cに摺動および回動可能に嵌まり合う軸部2aと、その軸部2aの一端部に一体に形成された大径部2bと、図4に示すように、その大径部2bと同径の蓋部2cと、その蓋部2cの中心部に一体に形成された小径の凸部2dとを有し、蓋部2cは、図示しない二本の小ねじで大径部2bに固定されている。ここで、大径部2bと蓋部2cとには、図3(b),図4(b)では左右方向へ直線的に延在する案内溝2eが互いに整列するようにそれぞれ形成され、また凸部2dには外周溝2fが形成され、また蓋部2cには、後述するカム機構5の二本のピン5aが把持軸2の中心軸線Cの周囲である程度旋回できるように、把持軸2の中心軸線Cに対し周方向にある程度(図示例では概略60°)に亘って延在する二つの長孔2gが形成されている。
【0017】
さらにこの参考例のワンアクション固定具は、図1に示すように、上記把持軸2の互いに向かい合って整列する案内溝2e内に収容されて軸部2aの半径方向に摺動可能に支持された、上記雌ねじ1dに螺合可能な割り雄ねじ部材3を具えるとともに、図5に示すように、上記把持軸2の凸部2dと回動可能に嵌まり合う中央孔4aおよび、その中央孔4aに連通する半径方向ねじ孔4bを有するハンドル4を具えており、ここにおけるハンドル4は、その中央孔4a内に嵌め込まれた把持軸2の凸部2dの外周溝2fに、半径方向ねじ孔4b内にねじ込まれた図示しないイモねじの先端部が嵌合することで、把持軸2に回動可能に結合されている。
【0018】
またここにおける割り雄ねじ部材3は二分割されており、その各半部3aは、図6に示すように、雄ねじの全周の一部(図示例では概略1/4)をなす雄ねじ部3bを有するとともに、その半部3aの摺動方向と直交する方向(図1(b)では左右方向、図6では上下方向)に延在しかつその半部3aを厚み方向に貫通する長孔3cを有している。
【0019】
さらにこの参考例のワンアクション固定具は、上記割り雄ねじ部材3を、把持軸2に対するハンドル4の、その割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bのねじ込み方向の回動により拡径させ、その割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bの戻り方向の回動により縮径させるカム機構5を具えており、ここにおけるカム機構5は、ハンドル4に形成された二本のピン孔4c内にそれぞれ圧入されて基部を固定されるとともに把持軸2の中心軸線Cの周囲で旋回可能にその把持軸2の蓋部2cの長孔2gから案内溝2e内に挿入された二本のピン5aと、案内溝2e内でそれらのピン5aに摺動可能に嵌合するとともに割り雄ねじ部材3の摺動方向と直交する方向に延在する上記長孔3cを形成された、カムとしての、上記割り雄ねじ部材3の二つの半部3aとを有して、逆カム機構(カムが従動節ゆえ)を構成している。
【0020】
かかる参考例のワンアクション固定具にあっては、把持軸2に対してハンドル4を割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bの戻り方向(雄ねじ部3bが右ねじの場合はハンドル4の手前端から見て反時計方向)に回動させると、カム機構5が割り雄ねじ部材3を図1中実線で示すように縮径させ、これにより固定具本体1の基部1aの支持孔1cに対し把持軸2の軸部2aが摺動可能となるので、ハンドル4の押し引き操作で把持軸2の軸部2aの先端と固定具本体1の当接部1bとの間の空間に対するポール等の軸の出し入れが可能となる。
【0021】
そして図7に示すように、把持軸2の軸部2aの先端と固定具本体1の当接部1bとの間の空間にポール等の軸6を配置した状態で、把持軸2の軸部2aの先端をその軸6に当接させて摩擦で把持軸2を回りにくくして、把持軸2に対しハンドル4を割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bのねじ込み方向(雄ねじ部3bが右ねじの場合はハンドル4の手前端から見て時計方向)に回動させると、先ずカム機構5が割り雄ねじ部材3を図7中実線で示すとともに図1中仮想線で示すように拡径させ、これにより割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bが固定具本体1の基部1aの雌ねじ1dと螺合し、ハンドル4と共に割り雄ねじ部材3および把持軸2が回動してねじの作用でポール等の軸6をその固定具本体1の当接部1bと把持軸2の軸部2aとで挟み、締め付けて固定する。
【0022】
またその固定状態でハンドル4を割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bの戻り方向に回動させると、把持軸2はポール等の軸6に当接して回りにくくなっているので、先ずカム機構5が割り雄ねじ部材3を図1中実線で示すように縮径させ、これにより割り雄ねじ部材3が固定具本体1の基部1aの雌ねじ1dから外れ、先のように固定具本体1の基部1aの支持孔1cに対し把持軸2の軸部2aが摺動可能となるので、ハンドル4の押し引き操作で把持軸2の先端と固定具本体1の当接部1bとの間の空間に対するポール等の軸6の出し入れが可能となる。
【0023】
従って、この参考例のワンアクション固定具によれば、90°程度ハンドル4を回動させるだけでねじを利用した把持力を得ることができるので、ハンドル4を持ち替えることなく着脱作業を行い得て着脱作業の負担を軽減し得ると共に、着脱に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0024】
それゆえこの参考例のワンアクション固定具によれば、迅速な作業が要求される救急部門や看護師の仕事等の医療分野で、医療要機器をスタンドのポール等に固定する作業の負担軽減と時間短縮とをもたらすことができ、また高齢者や身体障害者等に対する福祉分野で、手先が不自由な高齢者や身体障害者でも器具等の固定を容易に行い得るようにすることができる。
【0025】
しかもこの参考例のワンアクション固定具によれば、割り雄ねじ部材3が二つの半部3aに二分割されているので、三分割以上の場合と比較して摺動抵抗を少なくして拡縮径を容易なものとすることができる。
【0026】
さらにこの参考例のワンアクション固定具によれば、カム機構5が、ハンドル4に基部を固定されるとともに把持軸2の軸線Cの周囲で旋回可能にその把持軸2に挿入された二本のピン5aと、それらのピン5aに嵌合するとともに割り雄ねじ部材3の摺動方向と直交する方向に延在する長孔3cを形成されたカムとしての、割り雄ねじ部材3の半部3aとを有する逆カム機構であり、このカム機構は、簡易な構成であるので、安価でかつ信頼性の高いものとすることができる。
【0027】
図8(a)および(b)は、この発明のワンアクション固定具の実施例を組み立て状態で示す縦断面図およびそのC-C断面図、図9(a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の把持軸の軸部および大径部を示す正面図および側面図、図10(a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の蓋部を示す正面図およびそのD-D線に沿う断面図、図11(a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の割り雄ねじ部材の半部を示す正面図および側面図、図12(a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の連結部材を示す正面図およびそのE-E線に沿う断面図、図13(a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具のハンドルカバーを示す正面図および側面図、図14(a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具のハンドル本体を示す正面図および側面図そのE-E線に沿う断面図、そして図15(a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具を軸に固定した状態で示す縦断面図およびそのF-F断面図である。
【0028】
この実施例のワンアクション固定具は、図8に示すように、先の参考例と同様に、全体的に角棒状をなす固定具本体1と、その固定具本体1に挿通される把持軸2とを具えており、その固定具本体1は、図2に示すように、基部1aと、その基部1aと一体に形成されてその基部1aに対向する当接部1bと、その当接部1bに向けて基部1aに形成された支持孔1cと、基部1aにその支持孔1cと同心にかつその支持孔1cに対し当接部1bと反対の側に位置するように形成された雌ねじ1dとを有し、把持軸2は、その固定具本体1の支持孔1c内に進退移動可能および回動可能に貫通する。
【0029】
上記把持軸2は、この実施例では、図9に示す如き、支持孔1cに摺動および回動可能に嵌まり合う軸部2aと、その軸部2aの一端部に一体に形成された大径部2bとを有するとともに、図10に示す如き、大径部2bと同径で大径部2bと中心軸線Cを共通にする蓋部2cを有しており、ここで、大径部2bには、図9(a)では左右方向、図8(a),(b)では上下方向へ直線的に延在する案内溝2eと、雌ねじが切られた二つのねじ孔2hとが形成されている。
【0030】
また、蓋部2cには、この実施例では、図10に示すように、中心軸線Cに関し対称に位置して中心軸線Cに対し周方向に弓形にある程度(図示例では概略45°)に亘って延在する二つの案内長孔2iと、雌ねじが切られた四つのねじ孔2jと、中心軸線C上に位置する中心孔2kと、中心軸線Cに対し対称に位置して把持軸2の半径方向に対し傾斜して図では直線状に延在する二つのカム長孔2lとが形成されており、蓋部2cは、図8および図15に示すように各案内長孔2iに後述するハンドル4側から挿通した小ねじを大径部2bのねじ孔2hに締着固定することで、その大径部2bに対し中心軸線C周りに概略45°回動可能に、大径部2bに結合されている。
【0031】
さらにこの実施例のワンアクション固定具は、図8に示すように、上記把持軸2の案内溝2e内に収容されて軸部2aの半径方向(図8(a),(b)では上下方向)に摺動可能に支持された、上記雌ねじ1dに螺合可能な割り雄ねじ部材3を具えており、ここにおける割り雄ねじ部材3も二分割されていて、その各半部3aは、図11に示すように、雄ねじの全周の一部(図示例では概略1/4)をなす雄ねじ部3bを有するとともに、上記雄ねじの軸線方向(図8(a)および図11(a)では左右方向)に延在してその半部3aを厚み方向に貫通するピン孔3dを有している。
【0032】
さらにこの実施例のワンアクション固定具は、図8に示すように、円筒状のハンドルカバー4dと、そのハンドルカバー4d内にある程度の部分を挿入されたハンドル本体4eと、そのハンドル本体4eに一体的に突設されて中心軸線C上に位置するストッパーピン4fとを有するハンドル4を具えるとともに、蓋部2cと同径で蓋部2cと中心軸線Cを共通にしてハンドルカバー4dの一端部にその蓋部2cを連結固定する連結部材7を具えており、ここにおける連結部材7は、図12に示すように、ハンドルカバー4d内に嵌まり合う凸部7aと、蓋部2cの案内長孔2iに対応して中心軸線Cに関し対称に位置して中心軸線Cに対し周方向に弓形にある程度(図示例では概略45°)に亘って延在し、上記ねじ孔2hに締着固定される小ねじの頭部を上記周方向に移動可能に収容する二つの逃げ溝7bと、蓋部2cのねじ孔2jに対応して形成された四つの座ぐり付きねじ孔7cと、連結部材7の中心軸線C上に位置する中心孔7dとを有し、各ねじ孔7cにハンドル4の側から挿通した図示しない小ねじを蓋部2cのねじ孔2jに締着固定することで、その蓋部2cに一体的に結合固定されている。
【0033】
そしてここにおけるハンドル4のハンドルカバー4dは、図13に示すように何れも中心軸線Cに関し対称に位置して雌ねじが切られた二対のねじ孔4g,4hを有し、またハンドル本体4eは、図14に示すように中心軸線Cに関し対称に位置して軸線方向に延在する二本の案内溝4iを有しており、連結部材7は、図8(a)に示すように、ハンドルカバー4d内に嵌合し凸部7aをハンドルカバー4dの一方の対のねじ孔4g内に螺合したイモねじ8で挟持することで、そのハンドルカバー4dに一体的に結合固定され、またハンドル本体4eは、ハンドルカバー4d内にそのハンドル本体4eを挿入して、ハンドルカバー4dの他方の対のねじ孔4hに螺合したイモねじ9を案内溝4i内に掛合させることで、ハンドルカバー4dに対し回動を規制されつつ進退移動することができる。
【0034】
さらにこの実施例のワンアクション固定具は、上記割り雄ねじ部材3を、把持軸2に対するハンドル4の、その割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bのねじ込み方向の回動により拡径させ、その割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bの戻り方向の回動により縮径させるカム機構5を具えており、ここにおけるカム機構5は、割り雄ねじ部材3の二個の半部3aにそれぞれ形成されたピン孔3d内にそれぞれ圧入されて基部を固定されるとともに把持軸2の半径方向に対し傾斜して延在する蓋部2cの二つのカム長孔2l内に摺動可能に嵌め合わされた従動節としての二本のピン5aと、それらのカム長孔2lを形成されたカムとしての上記蓋部2cとを有している。
【0035】
なお、割り雄ねじ部材3を拡径させた状態で、ハンドルカバー4dに対しハンドル本体4eを奥に入る方向に前進移動させると、ハンドル本体4eに設けられたストッパーピン4fが、連結部材7の中心孔7dおよび蓋部2cの中心孔2kを貫通して、図15に示すように、拡径位置に有る割り雄ねじ部材3の各半部3aの半径方向内方端部の半径方向内方の縮径防止位置に移動し、また割り雄ねじ部材3を拡径させた状態で、ハンドルカバー4dに対しハンドル本体4eを出てくる方向に後退移動させると、ハンドル本体4eに設けられたストッパーピン4fが、図8に示すように、割り雄ねじ部材3の各半部3aの半径方向内方端部から図8では軸線方向右方に外れた縮径許容位置に移動する。
【0036】
かかるこの実施例のワンアクション固定具にあっては、ハンドルカバー4dに対しハンドル本体4eを出てくる方向に後退移動させてストッパーピン4fを縮径許容位置に移動させてから、把持軸2に対してハンドル4を割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bの戻り方向(雄ねじ部3bが右ねじの場合はハンドル4の手前端から見て反時計方向)に回動させると、カム機構5が割り雄ねじ部材3を図8中実線で示すように縮径させ、これにより固定具本体1の基部1aの支持孔1cに対し把持軸2の軸部2aが摺動可能となるので、ハンドル4の押し引き操作で把持軸2の軸部2aの先端と固定具本体1の当接部1bとの間の空間に対するポール等の軸の出し入れが可能となる。
【0037】
そして図15に示すように、把持軸2の軸部2aの先端と固定具本体1の当接部1bとの間の空間にポール等の軸6を配置した状態で、把持軸2の軸部2aの先端をその軸6に当接させて摩擦で把持軸2を回りにくくして、把持軸2に対しハンドル4を割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bのねじ込み方向(雄ねじ部3bが右ねじの場合はハンドル4の手前端から見て時計方向)に回動させると、先ずカム機構5が割り雄ねじ部材3を図15中破線で示すとともに図8中仮想線で示すように拡径させ、これにより割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bが固定具本体1の基部1aの雌ねじ1dと螺合し、ハンドル4と共に割り雄ねじ部材3および把持軸2が回動してねじの作用でポール等の軸6をその固定具本体1の当接部1bと把持軸2の軸部2aとで挟み、締め付けて固定する。そしてこの状態でハンドルカバー4dに対しハンドル本体4eを奥に入る方向に前進移動させてストッパーピン4fを縮径防止位置に移動させると、ストッパーピン4fが割り雄ねじ部材の各半部3aの半径方向内方端部と当接してその縮径を防止する。
【0038】
またその固定状態で、ハンドル本体4eをハンドルカバー4dに対して後退移動させてストッパーピン4fを割り雄ねじ部材3の半径方向内方端部から軸線方向に外れた縮径許容位置に後退移動させてから、ハンドル4を割り雄ねじ部材3の雄ねじ部3bの戻り方向に回動させると、把持軸2はポール等の軸6に当接して回りにくくなっているので、先ずカム機構5が割り雄ねじ部材3を図8中実線で示すように縮径させ、これにより割り雄ねじ部材3が固定具本体1の基部1aの雌ねじ1dから外れ、先のように固定具本体1の基部1aの支持孔1cに対し把持軸2の軸部2aが摺動可能となるので、ハンドル4の押し引き操作で把持軸2の先端と固定具本体1の当接部1bとの間の空間に対するポール等の軸6の出し入れが可能となる。
【0039】
従って、この実施例のワンアクション固定具によれば、90°程度ハンドル4を回動させるだけでねじを利用した把持力を得ることができるので、ハンドル4を持ち替えることなく着脱作業を行い得て着脱作業の負担を軽減し得ると共に、着脱に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0040】
それゆえこの実施例のワンアクション固定具によれば、迅速な作業が要求される救急部門や看護師の仕事等の医療分野で、医療要機器をスタンドのポール等に固定する作業の負担軽減と時間短縮とをもたらすことができ、また高齢者や身体障害者等に対する福祉分野で、手先が不自由な高齢者や身体障害者でも器具等の固定を容易に行い得るようにすることができる。
【0041】
しかもこの実施例のワンアクション固定具によれば、割り雄ねじ部材3が二つの半部3aに二分割されているので、三分割以上の場合と比較して摺動抵抗を少なくして拡縮径を容易なものとすることができる。
【0042】
さらにこの実施例のワンアクション固定具によれば、カム機構5が、割り雄ねじ部材3の半部3aに突設されたピン5aと、カム長孔2lを形成された蓋部2cとを有していて、その蓋部2cを、連結部材7を介してハンドル4のハンドルカバー4dに固定するとともに約45°旋回可能に把持軸2の大径部2bに連結し、ピン5aを割り雄ねじ部材3に隣接する蓋部2cのカム長孔2lと嵌合させていることから、把持軸2とハンドル4とを連結しつつ、ピン5aに加わる曲げモーメントを小さくし得るので、ピン5aの曲がりやカム長孔2lの内面の齧りを防止し得てカム機構5の耐久性を高めることができる。
【0043】
さらにこの実施例のワンアクション固定具によれば、ハンドル4が、筒状のハンドルカバー4dと、そのハンドルカバー4d内にそのハンドルカバー4dに対し回動規制されつつ進退移動可能に挿入されたハンドル本体4eと、そのハンドル本体4eに一体的に突設され、ハンドルカバー4dに対するハンドル本体4eの進退移動により、拡径位置に有る割り雄ねじ部材3の半径方向内方端部と当接する縮径防止位置と、割り雄ねじ部材3の半径方向内方端部から軸線方向に外れた縮径許容位置との間で進退移動するストッパーピン4fとを有していることから、拡径した割り雄ねじ部材3のねじの作用でポール等の軸6を固定具本体1の当接部1bと把持軸2とで挟み、締め付けて固定した後に、ハンドル本体4eをハンドルカバー4dに対して前進移動させておくことで、ストッパーピン4fが縮径防止位置に前進移動しているので、たとえハンドル4が誤って緩み方向に回されてカム機構5が割り雄ねじ部材3を縮径方向へ移動させようとしても、ストッパーピン4fが割り雄ねじ部材3の縮径を防止し、ひいては把持軸2の締付け力の意図しない急激な緩みを防止することができる。そして、当該固定具をポール等の軸6から外す必要がある場合には、ハンドル本体4eをハンドルカバー4dに対して後退移動させれば、割り雄ねじ部材3の縮径方向への移動を妨げないようにストッパーピン4fを後退移動させることができる。
【0044】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、固定具本体1の当接部1bは、基部1aと別体に形成されてボルト等で基部1aに一体的に固定されても良く、また割り雄ねじ部材3は、三分割以上に分割されていても良く、さらにカム機構5は、上記ピン5aと長孔3cとの組合せやピン5aとカム長孔2lとの組合わせ以外の構成のものでも良い。そして上記実施例では把持軸2の先端を軸6に当接させて摩擦で把持軸2を回りにくくしてカム機構5を作動させているが、例えば基部1aの支持孔1dの内周面に環状溝を形成し、そこにO(オー)リングを嵌着して、そのOリングと把持軸2との摩擦でカム機構5を作動させるようにしても良い。また固定対象はポール等の軸に限られず机の天板等でも良い。さらにカム機構5には、上記実施例の構成に代えて先の参考例の構成を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)および(b)は、この発明のワンアクション固定具の参考例を組み立て状態で示す縦断面図およびそのA-A断面図である。
【図2】 (a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の固定具本体を示す半部断面図および側面図である。
【図3】 (a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の把持軸の軸部を示す正面図および側面図である。
【図4】 (a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の把持軸の割り雄ねじ部材案内部を示す正面図および側面図である。
【図5】 (a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具のハンドルを示す正面図および側面図である。
【図6】 (a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具の割り雄ねじ部材の半部を示す正面図および側面図である。
【図7】 (a)および(b)は、上記参考例のワンアクション固定具を軸に固定した状態で示す縦断面図およびそのB-B断面図である。
【図8】 (a)および(b)は、この発明のワンアクション固定具の実施例を組み立て状態で示す縦断面図およびそのC-C断面図である。
【図9】 (a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の把持軸の軸部および大径部を示す正面図および側面図である。
【図10】 (a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の蓋部を示す正面図およびそのD-D線に沿う断面図である。
【図11】 (a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の割り雄ねじ部材の半部を示す正面図および側面図である。
【図12】 (a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具の連結部材を示す正面図およびそのE-E線に沿う断面図である。
【図13】 (a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具のハンドルカバーを示す正面図および側面図である。
【図14】 (a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具のハンドル本体を示す正面図および側面図そのE-E線に沿う断面図である。
【図15】 (a)および(b)は、上記実施例のワンアクション固定具を軸に固定した状態で示す縦断面図およびそのF-F断面図である。
【符号の説明】
1 固定具本体
1a 基部
1b 当接部
1c 支持孔
1d 雌ねじ
2 把持軸
2a 軸部
2b 大径部
2c 蓋部
2d 凸部
2e 案内溝
2f 外周溝
2g 長孔
2h ねじ孔
2i 案内長孔
2j ねじ孔
2k 中心孔
2l カム長孔
3 割り雄ねじ部材
3a 半部
3b 雄ねじ部
3c 長孔
3d ピン孔
4 ハンドル
4a 中央孔
4b 半径方向ねじ孔
4c ピン孔
4d ハンドルカバー
4e ハンドル本体
4f ストッパーピン
4g ねじ孔
4h ねじ孔
4i 案内溝
5 カム機構
5a ピン
6 軸
7 連結部材
7a 凸部
7b 逃げ溝
7c ねじ孔
7d 中心孔
8 イモねじ
9 イモねじ
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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