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明細書 :水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4441693号 (P4441693)
登録日 平成22年1月22日(2010.1.22)
発行日 平成22年3月31日(2010.3.31)
発明の名称または考案の名称 水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法
国際特許分類 G01N   3/00        (2006.01)
FI G01N 3/00 D
請求項の数または発明の数 12
全頁数 37
出願番号 特願2007-540889 (P2007-540889)
出願日 平成18年8月1日(2006.8.1)
国際出願番号 PCT/JP2006/315198
国際公開番号 WO2007/046178
国際公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
優先権出願番号 2005301415
優先日 平成17年10月17日(2005.10.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年6月24日(2008.6.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】淺岡 顯
【氏名】野田 利弘
【氏名】中野 正樹
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開2003-278171(JP,A)
CHEN Y,XUE H,"Dynamic large deflection analysis of structures by a combine finite element-Riccati transfer matrix method on a microcomputer" ,Comput Struct Vol.39 No.6,1991年,p.699-703
調査した分野 G01N 3/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
土骨格の状態に関するデータと外力に関するデータとを入力するデータ入力手段と、
前記入力した土骨格の状態に関するデータと外力に関するデータとに基づいて土骨格の加加速度項を含む土骨格の速度と間隙水圧に関する連立速度型運動方程式を構築し、該連立方程式に変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて随時積分し、速度場および間隙水圧場の時刻歴応答を求めることにより土骨格の変形解析を行なう解析手段と、
該解析結果を出力する結果出力手段と、
を備える水と土骨格の連成計算装置。
【請求項2】
前記解析手段は、前記土骨格の状態に関するデータと前記外力に関するデータとに基づいて、土骨格の時間的体積変化率に関する第1項目と土の透水性に関する第2項目と質量に関する第3項目と土骨格の接線剛性に関する第4項目とのうちの少なくとも一つを含む複数の項目を計算し、該計算した複数の項目を用いて前記連立速度型運動方程式を構築する手段である請求項1記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項3】
前記解析手段は、前記第1項目と前記第2項目と前記第3項目と前記第4項目とを用いて前記連立速度型運動方程式を構築する手段である請求項2記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項4】
前記解析手段は、有限要素法、差分法等の数値解析法を用いて前記連立速度型運動方程式を構築する手段である請求項1ないし3いずれか記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項5】
前記土骨格の状態に関するデータは、土骨格を構成する複数の要素における各要素の性状に関するデータおよび隣接する要素との関係に関するデータとが含まれるデータである請求項1ないし4いずれか記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項6】
前記各要素の性状に関するデータは、土の性状に関するデータが含まれるデータである請求項5記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項7】
前記外力に関するデータは、水と土骨格の連成系に与える荷重及び変位に関するデータが含まれるデータである請求項1ないし6いずれか記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項8】
前記外力に関するデータは、水と土骨格の連成系に与える振動に関するデータが含まれるデータである請求項1ないし7いずれか記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項9】
前記解析手段は、前記外力に関するデータを複数回変更して解析する手段である請求項1ないし8いずれか記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項10】
前記解析手段は、前記外力に関するデータを変更するときには変更前の解析結果を初期状態の土骨格の状態に関するデータとして用いて解析する手段である請求項8記載の水と土骨格の連成計算装置。
【請求項11】
土骨格の状態に関するデータと外力に関するデータとに基づいて土骨格の加加速度項を含む土骨格の速度と間隙水圧に関する連立速度型運動方程式を構築し、該連立方程式に変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて随時積分し、速度場および間隙水圧場の時刻歴応答を求めることにより土骨格の変形解析を行なうことを特徴とする水と土骨格の連成計算方法。
【請求項12】
前記土骨格の状態に関するデータと前記外力に関するデータとに基づいて、土骨格の時間的体積変化率に関する第1項目と土の透水性に関する第2項目と質量に関する第3項目と土骨格の接線剛性に関する第4項目とのうちの少なくとも一つを含む複数の項目を計算し、該計算した複数の項目を用いて前記連立方程式を求める請求項11記載の水と土骨格の連成計算方法。
発明の詳細な説明
【符号の説明】
:要素iの重心から要素mの重心への相対位置ベクトル
h:要素iの重心における全水頭
:要素mの重心における全水頭
:lと要素iと要素mとの境界面の交点における全水頭
JP0004441693B2_000002t.gif,r:要素iと要素mとの境界面にある二つの節点の回転対称軸からの距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法に関し、詳しくは、土骨格の変形解析を行なう水と土骨格の連成計算を行なう装置および土骨格の変形解析を行なう水と土骨格の連成計算を行なう方法に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、この種の土骨格解析プログラムとしては、3次元地盤変形解析や3次元圧密解析が可能なもの(例えば、非特許文献1参照)や地盤の静力学的挙動を表現した力学構成モデルを組み込んだもの(例えば、非特許文献2参照)などが提案されている。これらのプログラムは、透水、圧密、地盤内応力、せん断、土圧、斜面安定などの問題を精度よく解析することができる、とされている。

【非特許文献1】「地盤FEM解析支援システム AFIMEX-GT」のカタログ,富士通エフ・アイ・ピー株式会社,No.0040708-2
【非特許文献2】「地盤解析汎用プログラム」のホームページ,財団法人 沿岸開発技術研究センター,http://www.ysk.nilim.go.jp/geofem/phgeo01j.html,2005年8月19日検索
【発明の開示】
【0003】
しかしながら、上述の土骨格解析プログラムでは、土の性状としては粘土専用であったり、砂専用であったりするため、埋め立て人工地盤などのように、砂と粘土とが混在する中間土に対しては精度よく解析することができない。また、自然土の多くは、粒度が揃った砂や粘土ではなく、砂が多い粘土であったり粘土混じりの砂であったり様々であり、砂専用に開発されたプログラムによる解析結果や粘土専用に開発されたプログラムによる解析結果を適用すると、解析結果は実際の挙動と異なるものとなってしまう。さらに、上述のプログラムでは、粘土と砂とが層をなす地盤については解析することができない場合が多い。
【0004】
また、砂は、ゆるい状態にあるときには、急速に非圧縮、非排水のまま繰り返し載荷されると液状化を示すが、ゆっくり排水を伴って繰り返し載荷されると締固めを示す。上述のプログラムでは、液状化を解析できるものの、締固めを解析できない結果、液状化専用のものとなってしまう。さらに、上述のプログラムでは、そのプログラムを使用するのに適した砂地盤あるいは粘土地盤であるか否かを別の指標を用いて判定した後に使用する必要がある。加えて、上述のプログラムでは、動的解析専用であったり、静的解析専用であったりするから、液状化後の揺すり込み沈下などのように動的な解析の後に連続して静的な解析を行なうことはできない。
【0005】
本発明の水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法は、静的解析か動的解析かに拘わらずに土骨格の変形解析を行なうことを目的の一つとする。また、本発明の水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法は、砂から粘土に至るまでのあらゆる中間土の地盤についての解析を精度よく行なうことを目的の一つとする。さらに、本発明の水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法は、粘土や砂,中間土が層をなす地盤についても精度よく解析することを目的の一つとする。あるいは、本発明の水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法は、土の状態と載荷の状態に応じた解析を繰り返し可能にすることを目的の一つとする。加えて、本発明の水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法は、動的な解析に連続して静的な解析を可能にしたり、逆に静的な解析に連続して動的な解析を可能にすることを目的の一つとする。
【0006】
本発明の水と土骨格の連成計算装置および水と土骨格の連成計算方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の水と土骨格の連成計算装置は、土骨格の状態に関するデータと外力に関するデータとを入力するデータ入力手段と、前記入力した土骨格の状態に関するデータと外力に関するデータとに基づいて土骨格の加加速度項を含む土骨格の速度と間隙水圧に関する連立速度型運動方程式を構築し、該連立方程式に変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて随時積分し、速度場および間隙水圧場の時刻歴応答を求めることにより土骨格の変形解析を行なう解析手段と、該解析結果を出力する結果出力手段と、を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の水と土骨格の連成計算装置では、土骨格の加加速度項を含む土骨格の速度と間隙水圧に関する連立速度型運動方程式を変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて随時積分し、速度場および間隙水圧場の時刻歴応答を求めるから、加速度の影響が大きいときには動的解析による土骨格の変形解析を行なうことができ、加速度の影響が小さいときには静的解析による土骨格の変形解析を行なうことができる。したがって、静的解析か動的解析かに拘わらず、土骨格における変形解析を行なうことができる。
【0009】
こうした本発明の水と土骨格の連成計算装置において、前記解析手段は、前記土骨格の状態に関するデータと前記外力に関するデータとに基づいて、土骨格の時間的体積変化率に関する第1項目と土の透水性に関する第2項目と質量に関する第3項目と土骨格の接線剛性に関する第4項目とのうちの少なくとも一つを含む複数の項目を計算し、該計算した複数の項目を用いて前記連立速度型運動方程式を構築する手段であるものとすることもできる。この場合、前記解析手段は、前記第1項目と前記第2項目と前記第3項目と前記第4項目とを用いて前記連立速度型運動方程式を構築する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より適正に土骨格の変形解析を行なうことができる。
【0010】
また、本発明の水と土骨格の連成計算装置において、前記解析手段は、有限要素法、差分法等の数値解析法を用いて前記連立速度型運動方程式を構築する手段であるものとすることもできる。こうすれば、計算を容易なものとすることができる。
【0011】
さらに、本発明の水と土骨格の連成計算装置において、前記土骨格の状態に関するデータは、土骨格を構成する複数の要素における各要素の性状に関するデータおよび隣接する要素との関係に関するデータとが含まれるデータであるものとすることもできる。この場合、前記各要素の性状に関するデータは、土の性状に関するデータが含まれるデータであるものとすることもできる。こうすれば、土骨格を構成する複数の要素毎に要素の性状を設定することができると共に要素間の関係を要素間毎に設定することができる。したがって、砂から粘土に至るまでのあらゆる中間土の地盤についての土骨格における変形解析を精度よく行なうことができる。また、粘土や砂,中間土が層をなす地盤についての土骨格における変形解析を精度よく解析することができる。
【0012】
あるいは、本発明の水と土骨格の連成計算装置において、前記外力に関するデータは、水と土骨格の連成系に与える荷重に関するデータが含まれるデータであるものとすることもできるし、前記外力に関するデータは、水と土骨格の連成系に与える振動に関するデータが含まれるデータであるものとすることもできる。こうすれば、荷重及び変位に対する土骨格における変形解析を行なうことができると共に振動に対する土骨格における変形解析を行なうこともできる。
【0013】
また、本発明の水と土骨格の連成計算装置において、前記解析手段は、前記外力に関するデータを複数回変更して解析する手段であるものとすることもできる。この場合、前記解析手段は、前記外力に関するデータを変更するときには変更前の解析結果を初期状態の土骨格の状態に関するデータとして用いて解析する手段であるものとすることもできる。こうすれば、土の状態と載荷の状態に応じた土骨格における変形解析を繰り返し行うことができる。また、動的な解析に連続して静的な解析を行なったり、逆に静的な解析に連続して動的な解析を行なったりすることができる。
【0014】
本発明の水と土骨格の連成計算方法は、土骨格の状態に関するデータと外力に関するデータとに基づいて土骨格の加加速度項を含む土骨格の速度と間隙水圧に関する連立速度型運動方程式を構築し、該連立方程式に変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて随時積分し、速度場および間隙水圧場の時刻歴応答を求めることにより土骨格の変形解析を行なうことを特徴とする。
【0015】
この本発明の水と土骨格の連成計算方法では、土骨格の加加速度項を含む土骨格の速度と間隙水圧に関する連立速度型運動方程式を変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて随時積分し、速度場および間隙水圧場の時刻歴応答を求めるから、加速度の影響が大きいときには動的解析による土骨格の変形解析を行なうことができ、加速度の影響が小さいときには静的解析による土骨格の変形解析を行なうことができる。したがって、静的解析か動的解析かに拘わらず、土骨格における変形解析を行なうことができる。
【0016】
こうした本発明の水と土骨格の連成計算方法において、前記土骨格の状態に関するデータと前記外力に関するデータとに基づいて、土骨格の時間的体積変化率に関する第1項目と土の透水性に関する第2項目と質量に関する第3項目と土骨格の接線剛性に関する第4項目とのうちの少なくとも一つを含む複数の項目を計算し、該計算した複数の項目を用いて前記連立方程式を求めるものとすることもできる。この場合、前記解析手段は、前記第1項目と前記第2項目と前記第3項目と前記第4項目とを用いて前記連立速度型運動方程式を構築する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より適正に土骨格の変形解析を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例としての水と土骨格の連成計算装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】水と土骨格の連成計算プログラム30における処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】解析対象としての地盤を2行2列のマトリクスの4要素からなるときの具体例を示す説明図である。
【図4】各要素における局所節点を説明する説明図である。
【図5】計算条件の設定を入力する具体例としてのファイルの一例を示す説明図である。
【図6】計算条件の設定を入力する具体例としてのファイルの一例を示す説明図である。
【図7】土の設定を入力する具体例としてのファイルの一例を示す説明図である。
【図8】具体例としての地盤立体構造モデルの設定を入力するファイルの一例を示す説明図である。
【図9】2次元平面ひずみ条件での間隙水の流れをモデル化した説明図である。
【図10】軸対称条件での間隙水の流れをモデル化した説明図である。
【図11】3次元条件での間隙水の流れをモデル化した説明図である。
【図12】出力ファイルの一例を示す説明図である。
【図13】水と土骨格の連成計算プログラムにより計算された結果を新たな計算条件や初期状態として用いて水と土骨格の連成計算プログラムを複数回に亘って実行する際の処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】境界での排水を許した条件で低周波の微小荷重振動を三軸砂供試体に載荷したときの計算結果の一例を示す説明図である。
【図15】境界での排水を許した条件で高周波の微小荷重振動を三軸砂供試体に載荷したときの計算結果の一例を示す説明図である。
【図16】盛土載荷に伴う自然堆積粘土地盤の遅れ沈下挙動(長期継続沈下挙動)とサンドドレーン工法などによるマスパーミアビリティ(地盤全体の透水性)改善との関係の一例を示す説明図である。
【図17】間隙水を圧縮性流体として計算する際の水と土骨格の連成計算プログラム30における処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】間隙水の圧縮性を考慮した場合の計算例としての盛土直下における地震動開始以降の沈下~時間関係の一例を示す説明図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例としての土骨格連成計算装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例の土骨格連成計算装置20は、図示するように、一般的な汎用コンピュータ22にアプリケーションソフトウエアとしての水と土骨格の連成計算プログラム30がインストールされたものとして構成されている。水と土骨格の連成計算プログラム30は、計算条件の設定や土の性状の設定,地盤立体構造モデルの設定などを行なうためにデータを入力するデータ入力モジュール32と、入力されたデータを用いて飽和土の力学的挙動を弾塑性構成式を用いて計算する計算モジュール34と、計算した結果を出力する結果出力モジュール36と、から構成されている。
【0020】
図2は、水と土骨格の連成計算プログラム30における処理の一例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを用いて水と土骨格の連成計算プログラム30の処理について説明する。ここで、水と土骨格の連成計算プログラム30の処理を説明するに当たり、説明を簡易にするために、解析対象としての地盤を2行2列のマトリクスの4要素とするときを具体例として用いる。具体例の4要素を図3に示す。図示するように、4要素については下行左から要素1,要素2、上行左から要素3,要素4と要素番号を割り振り、節点については下段左から節点1,節点2,節点3、中段左から節点4,節点5,節点6、上段左から節点7,節点8,節点9と節点番号を割り振るものとした。また、各要素における局所節点については、図4に示すように、左下から左回りに局所節点1,局所節点2,局所節点3,局所節点4と局所節点番号を割り振り、各要素の節点間については図4に示すように下の節点間から左回りに節点間1,節点間2,節点間3,節点間4と節点間番号を割り振るものとした。
【0021】
水と土骨格の連成計算プログラム30が実行されると、まず、計算条件の設定の入力処理が行なわれる(ステップS100)。ここで、計算条件の設定の入力としては、例えば、差分法に基づいた時間数値積分方法の選択、時刻の更新回数(計算ステップ数),2次元平面ひずみや軸対称,3次元などの計算条件を入力する。計算条件の設定を入力する具体例としてのファイルの一例を図5および図6に示す。図5のファイルでは、上から、計算条件として「平面ひずみ」であるか「軸対称」であるか「3次元」であるかの設定、変形理論として「微小変形理論」を選択するか「有限変形理論」を選択するかの設定、有限変形理論時に使用する客観性のある有効応力速度として「有効Cauchy応力のJaumann速度」であるか「Green-Nagdhi速度」であるかの設定、収束の有無の設定、構成式の選択として「下負荷面・上負荷面・回転硬化付きオリジナルカムクレイモデル」を選択するか「下負荷面・上負荷面・回転硬化付き修正カムクレイモデル」を選択するかの設定、状態量出力データの方法として「Gauss点の要素平均」であるか「ある特定のGauss点の値」であるかの設定、出力データの形式として「Text」であるか「Binary」であるかの設定、自重考慮の有無の設定、を入力する。図6のファイルでは、上から、現在のプログラム使用番号、計算ステップ数、1計算ステップ当たりの計算時間DT(以下Δtと記載する場合がある。)(sec/step)、掘削時の掘削荷重分割数、分布荷重作用時の分布荷重分割数、土の材料定数と初期値入力ファイル、メッシュデータ入力ファイル、次のプログラム実行時に用いる計算初期条件用出力ファイル指定、座標の出力ファイル指定、状態分類(除荷、負荷(塑性圧縮/膨張、硬化/軟化))の出力ファイル指定、反力の出力ファイル指定、間隙水圧の出力ファイル指定、平均有効応力p'とせん断応力qの出力ファイル指定、過圧密の程度R(1/OCR、OCRは過圧密比)の出力ファイル指定、構造の程度R*の出力ファイル指定、硬化・軟化の敷居線の勾配の出力ファイル指定、塑性体積ひずみの出力ファイル指定、初期状態の出力ファイル指定、塑性圧縮・膨張の敷居線の勾配の出力ファイル指定、異方性の発達度合いの出力ファイル指定、経過時間の出力ファイル指定、file.dat(本データ)の出力、を入力する。
【0022】
続いて、地盤の各要素に対する粘土・中間土・砂などの土の設定を入力する(ステップS110)。この土の設定では、材料定数や初期状態が入力される。土の設定を入力する具体例としてのファイルの一例を図7に示す。図7のファイルでは、弾塑性体である土の種類の数や弾性体の種類の数、構造の発展則に用いる塑性測度の種類の指定、練返し土の等方正規圧密線の切片N、限界状態定数M、圧縮指数λ、膨潤指数κ、ポアソン比ν、透水係数k、土粒子の比重Gs、初期側圧係数K0、初期過圧密比R0、初期構造の程度R*0、正規圧密土化指数m、U*の形状、構造劣化指数a、構造劣化指数b、構造劣化指数c、回転硬化指数br、回転硬化限界面mb、初期異方性の程度、初期間隙比、地盤/供試体の高さ、地盤の初期上載圧、供試体の初期圧密圧力、セル圧 (引張:正)、単位系の設定(時間、力、長さ)、などを入力する。
【0023】
そして、地盤立体構造モデルの設定を入力する(ステップS120)。この地盤立体構造モデルの設定では、地盤モデルの要素に対する条件などを入力する。図3および図4に示す具体例としての地盤立体構造モデルの設定を入力するファイルの一例を図8に示す。図8のファイルの第1行目の1行6列のデータは、地盤立体構造モデルの要素数、節点数、分布荷重速度作用要素数、1要素中の節点数、計算ステップ数、弾性体の要素数である。第2行目から第10行目までの9行5列のデータは、左から順に、節点番号、x方向の境界条件の種別、x方向の境界条件の値、y方向の境界条件の種別、y方向の境界条件の値である。ここで、境界条件の種別としては、座標制御(0)、荷重速度制御(1)、変位速度制御(-1)、変位加速度制御(-2)である。図8のファイルの第11行目から第14行目までの4行5列のデータは、左端が要素番号、要素番号の右から順に各要素における局所節点番号に対応する全体における節点番号である(局所節点番号と全体節点番号の対応の設定)。ファイルの第15行目から第23行目までの9行3列のデータは、節点番号、x方向の座標、y方向の座標である。ファイルの第24行目および第25行目については、第24行目は反力の出力を必要とする節点数であり、第25行目はその節点番号である。この場合、反力の出力は節点番号に対してx方向とy方向とがあるため、例えば節点番号7の場合のx方向については7×2-1=13として示し、y方向については7×2=14として示している。ファイルの第26行目および第27行目の2行6列のデータは、左から順に、分布荷重速度作用要素、作用辺(作用節点間)、その左側節点の分布荷重速度のx方向の値、その左側節点の分布荷重速度のy方向の値、その右側節点の分布荷重速度のx方向の値、その右側節点の分布荷重速度のy方向の値である。ファイルの第28行目から第31行目までの4行6列のデータは、左から順に、要素番号、その要素の節点間1に隣接する要素番号、その要素の節点間2に隣接する要素番号、その要素の節点間3に隣接する要素番号、その要素の節点間4に隣接する要素番号、土の種類である(節点間番号と全体要素番号の対応の設定と土の種類の設定)。ファイルの第32行目のデータは、2節点間の長さ不変の条件を与えて計算を行う場合の条件数である。2節点間の長さ不変の条件数が存在する場合には、この第32行目のデータの下に新たな行を設けて条件番号、当該条件に関する節点間の指定がなされる。第33行目のデータは3節点間の角度不変の条件数であり、第34行目のデータは、この3節点間の角度不変の条件に対して、左から順に、条件番号、当該条件に関する節点の指定である。第35行目のデータは、前2節点の相対位置ベクトルと後2節点で指定された2節点の相対速度の方向が不変の条件数であり、第36行目のデータはこの2節点の相対速度の方向が不変の条件に対して、左から順に、条件番号、当該条件に関する節点の指定である。第37行目のデータは、等変位(速度)の条件数である。等変位(速度)の条件が存在する場合には、この第37行目のデータの下に新たな行を設けて条件番号、当該条件に関する事項の指定がなされる。第38行目のデータは、左から順に、モデルに入力される規則波の入力数、モデルに入力される不規則波の入力数であり、第39行目のデータは、モデルに入力される規則波に対して、左から順に、規則波振動の種類、作用する節点数、振幅、周期である。第40行目のデータは、規則波振動が作用する節点番号である。この場合、規則波振動が作用する方向はx方向とy方向とがあるため、例えば節点番号7の場合のx方向については7×2
-1=13として示し、y方向については7×2=14として示している。ここで、モデルに入力する不規則波が存在する場合は、第40行目の下に新たな行を設けて不規則波のファイルを指定する。
【0024】
こうしてデータの入力が終了すると、入力したデータを用いて計算処理を行なう(ステップS130~S210)。計算処理は、実施例では、時間積分の方法としてWilsonのθ法を用いて行なったが、Newmarkのβ法などを用いて行なうものとしてもよい。また、実施例では、空間的離散化に対して、有限要素法を用いて間隙水圧を要素中心に割り当てる田村流・Christian流に基づいて行ったが、節点に間隙水圧を割り当てるSandhu流に基づいて行う方法やあるいはメッシュフリー法などの方法を用いて行ってもよい。以下、Wilsonのθ法と田村流に基づく有限要素法を用いた処理について説明する。まず、時刻t=t+θΔtにおける「全体位置ベクトル」、「全体速度関連増分ベクトル」ならびに「全体加速度関連増分ベクトル」と、各種状態(有効応力と間隙水圧、構造・過圧密・異方性、等)を次式(1)~(5)を用いて予測する(ステップS130)。この予測計算処理は、短時間に収束させるために行なうものであり、必ずしも必要な処理ではない。予測計算処理を行わない場合は、時刻t=tで最終的に決められた値、ただし、初期時刻の場合は初期値、を時刻t=t+θΔtにおける値として用いる。ここで、式(1)の左辺や右辺の各項のように全節点のあるベクトル量をまとめて列ベクトル表現するときには、式(6)に示すように成分表示される。また、式(4)の左辺や右辺の各項のように全要素のあるスカラー量をまとめて列ベクトル表現するときには、式(7)に示すように成分表示される。
【0025】
【数1】
JP0004441693B2_000003t.gif

【0026】
【数2】
JP0004441693B2_000004t.gif

【0027】
【数3】
JP0004441693B2_000005t.gif

【0028】
次に、節点の変位速度を土骨格の時間的体積変化率に変換するマトリクスとして、次式(8)により全体Lマトリクス(全体体積変化率マトリクス)を、式(10)により全体修正Lマトリクス(全体修正体積変化率マトリクス)を計算する(ステップS140)。全体Lマトリクスの各要素は式(9)により示される。全体LマトリクスはNE行(NP×r)列のマトリクスで、地盤立体構造モデルの設定時に指定した全体節点番号と局所節点番号の対応に従うとき、式(9)の要素iにおける要素Lマトリクスにおいて、m番目の節点が全体の節点番号と一致しない列成分に対しては、数値ゼロを代入する。要素Lマトリクスを構成するBvマトリクスは、2次元平面ひずみ条件の場合は式(12)により、軸対称条件の場合は式(13)により、3次元条件の場合には式(14)により表わされる。全体修正Lマトリクスも全体Lマトリクスと同様にして作られるNE行(NP×r)列のマトリクスである。
【0029】
【数4】
JP0004441693B2_000006t.gif

【0030】
【数5】
JP0004441693B2_000007t.gif

【0031】
式(9)などの積分はいずれも、式(15)のように、全体座標系における解析対象領域を局所座標系に変換した後、Gaussの数値積分法を用いて行われる。ここに、式(15)は3次元条件の場合における体積積分を示す。なお、2次元平面ひずみ条件の場合は解析対象面に垂直な方向に単位厚さを考慮して、軸対称条件の場合は軸の周りの回転対称性を考慮して積分が行われる。
【0032】
【数6】
JP0004441693B2_000008t.gif

【0033】
続いて、土の透水性を表す全体Hマトリクス(全体透水性マトリクス)を式(16)により計算する(ステップS145)。ここで、排水・非排水等の水理境界条件は、式(17)の要素Hマトリクスの成分を変化させることで与える。例えば、非排水条件の場合は、この条件が設定されている節点間に対応する要素Hマトリクスの成分の値をゼロとする。全体HマトリクスはNE行NE列のマトリクス(r:一節点あたりの成分の数)で、地盤立体構造モデルの設定時に指定した当該要素の節点間番号と全体要素番号の対応に従うとき、次式(17)で示す要素iの要素Hマトリクスにおいてm番目の節点間番号が全体の要素番号と一致しない全体Hマトリクスの成分に対しては、数値ゼロを代入する。なお、式(17)の要素iにおける要素Hマトリクスにおける最後の成分は、要素i番目(即ち、i行目)のi番目の列成分に代入する。式(17)の右辺の各成分は、式(18)により示される。各記号は、2次元平面ひずみ条件の場合は図9を、軸対称条件の場合は図10を、3次元条件の場合は図11を参照することになる。
【0034】
【数7】
JP0004441693B2_000009t.gif

【0035】
【数8】
JP0004441693B2_000010t.gif

【0036】
そして、次式(19)により時刻t=t+θΔtにおける全体荷重増分ベクトルを、式(34)より全体流量増分ベクトルの計算を行なう(ステップS150)。式(19)の右辺第1項は公称応力速度ベクトルに関する項で式(20)から構成され、右辺第2項はGreen-Naghdi速度を用いる場合に現れる項で式(21)から構成される。ここで、式(20)の右辺のNマトリクスと式(21)の右辺のBマトリクスは、2次元平面ひずみ条件については式(22)および式(23)で表わされ、軸対称条件については式(24)および式(25)で表わされ、3次元条件について式(26)および式(27)で表わされる。また、式(20)の公称応力速度ベクトルに関する項は、式(28)に示すように、右辺第1項に示す境界を通じて外部から与えられる表面力速度ベクトルと右辺第2項に示すこの境界の幾何形状変化に伴って現れる表面力ベクトルの増分の和からなる。このとき、右辺第1項の時刻t=t+θΔtにおける表面力速度ベクトルは、Wilsonのθ法に従う式(29)により、時刻t=t+Δtにおいて境界条件として設定された表面力速度ベクトルを換算して与える。式(28)右辺第2項に含まれる応力又は応力速度に関する力学的境界に立てた単位外向き法線ベクトルからなるnマトリクスは、2次元平面ひずみ条件または軸対称条件の場合は次式(30)で与えられ、3次元条件の場合は式(31)で与えられる。また、式(21)の右辺第1項の有効応力成分を含む列ベクトルは、2次元平面ひずみ条件または軸対称条件の場合は式(32)で与えられ、3次元条件の場合は式(33)で与えられる。
【0037】
【数9】
JP0004441693B2_000011t.gif

【0038】
【数10】
JP0004441693B2_000012t.gif

【0039】
【数11】
JP0004441693B2_000013t.gif

【0040】
【数12】
JP0004441693B2_000014t.gif

【0041】
【数13】
JP0004441693B2_000015t.gif

【0042】
【数14】
JP0004441693B2_000016t.gif

【0043】
【数15】
JP0004441693B2_000017t.gif

【0044】
【数16】
JP0004441693B2_000018t.gif

【0045】
また、式(34)に示す時刻t=t+θΔtにおける全体流量増分ベクトルは、式(35)で与える全体流量速度ベクトルにθΔtを乗じたものとして与える。
【0046】
【数17】
JP0004441693B2_000019t.gif

【0047】
次に、全体Mマトリクス(全体質量マトリクス)を式(36)により計算する(ステップS160)。ここで、式(36)右辺の要素Mマトリクスは、式(37)で表される。なお、全体Mマトリクスは(NP×r)行(NP×r)列のマトリクスとなる。
【0048】
【数18】
JP0004441693B2_000020t.gif

【0049】
そして、全体Kマトリクス(土骨格の全体接線剛性マトリクス)を式(38)により計算する(ステップS165)。ここで、全体Kマトリクスは(NP×r)行(NP×r)列のマトリクスとなる。全体Kマトリクスを構成する要素Kマトリクスは式(39)で示される。この式(39)中、右辺第1項は特定された土材料(砂や粘土など)の力学挙動を与える接線剛性を示し、右辺第2項は刻々の土の形状変化による接線剛性への寄与を表わし、右辺第3項は衝撃荷重など土骨格に加速度が顕著に働く条件下での接線剛性への寄与を示し、右辺第4項は物体力作用条件下で生じる接線剛性への寄与を示す。材料定数の中で、特にこれらの「構造低位化指数」、「正規圧密土化指数」および「回転硬化限界定数」に対して相対的な差異を与えることによって、砂から中間土、粘土までを連続的に取り扱うことができる。式(39)の右辺第1項に含まれるDepマトリクス(弾塑性マトリクス)は、弾塑性状態(負荷状態)では式(40)で与えられ、さらに式(40)は2次元平面ひずみ条件で式(41)と式(42)より与えられ、軸対称条件で式(43)と式(44)より与えられ、3次元条件で式(45)と式(46)により与えられる。また、弾性状態では式(47)で与えられる。式(41)ないし式(46)中に現れる記号は式(48)より与えられ、式(48)中に現れる記号は式(49)を一個ないしは複数個利用して与えられる。
【0050】
【数19】
JP0004441693B2_000021t.gif

【0051】
【数20】
JP0004441693B2_000022t.gif

【0052】
【数21】
JP0004441693B2_000023t.gif

【0053】
【数22】
JP0004441693B2_000024t.gif

【0054】
【数23】
JP0004441693B2_000025t.gif

【0055】
【数24】
JP0004441693B2_000026t.gif

【0056】
【数25】
JP0004441693B2_000027t.gif

【0057】
【数26】
JP0004441693B2_000028t.gif

【0058】
p'~q応力空間での塑性圧縮と塑性膨張の敷居線の傾きと硬化と軟化の敷居線の傾きに対する式(51)の表記は、土の骨格構造のうちで、構造R*(0<R*≦1、R*が0に近いほど構造は高位であることを示す)の低位化の仕方と過圧密の程度R(0<R≦1、Rが0に近いほど過圧密であることを示す)の解消の仕方を与える発展則において、次式(52)および(53)のように、塑性測度として塑性ストレッチングのノルムを用いた場合を示している。土の種類に応じて塑性ストレッチングのせん断成分や有効応力テンソルと塑性ストレッチングの内積で表す塑性仕事率などで与えることもできる。なお、微小変形解析を用いる場合、塑性ストレッチングは塑性ひずみ速度で表される。また、式(52)に現れる「U*」および式(53)に現れる「U」はここでは非負の関数とし、例えば、次式(54)と(55)で与える。また、異方性を表す回転硬化変数テンソルの発展則については、次式(56)を用いている。
【0059】
【数27】
JP0004441693B2_000029t.gif

【0060】
【数28】
JP0004441693B2_000030t.gif

【0061】
式(39)の右辺第2項を構成するN’マトリクスとT1マトリクスは、2次元平面ひずみ条件では式(57)と式(58)より与えられ、軸対称条件では式(59)と式(60)より与えられ、3次元条件では式(61)と式(62)により与えられる。
【0062】
【数29】
JP0004441693B2_000031t.gif

【0063】
【数30】
JP0004441693B2_000032t.gif

【0064】
【数31】
JP0004441693B2_000033t.gif

【0065】
こうして全体Mマトリクスと全体Kマトリクスとを計算し、次式(63)に示す全体接線剛性方程式(連立1次方程式)より、変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて未知の「加加速度場」と間隙水圧場の求解を行なう(ステップS170)。この式(63)は、速度型運動方程式の弱形式の有限要素離散化と慣性項の影響を考慮した水から土の連成式のモデル化によって最終的に得られる連立2階常微分方程式(式(64))において、時間微分項を陰解法(差分法)に基づいて処理したもので、変形場に対してはWilsonのθ法を用いて、間隙水圧に対しては台形公式を利用した場合の(最終的に)解くべき連立1次方程式である。全体荷重増分ベクトルおよび全体流量増分ベクトルと、全体Mマトリクスおよび全体Kマトリクスは、時刻t=tと時刻t=t+θΔtとの間の時間ステップ内で繰り返し計算を行ないながら更新する。なお、式(64)では、運動方程式に対しさらに土骨格から見た物質時間微分を施しているため、説明変数である速度ベクトルの時間に関する2階微分の項、即ち、「加加速度」項を有している点がもっとも特徴的である。これは、土骨格の構成式を速度型で与えるためだけでなく、地盤等の土の幾何形状変化を考慮するためで、これによって、変形から破壊まで、あるいは破壊後の挙動を対象にした土の体積変化の正確な計量を必要とする大変形解析を可能にするためである。またこの加加速度導入のため、Wilsonのθ法の基礎となる線形加速度法の考えに基づいて、変形に対して式(66)~式(68)を誘導している。なお、加速度の影響が小さいような応答が得られるときは、式(64)は、静的解析で得られる連立1階常微分方程式と一致する。このことは、動的および静的解析の使い分けを必要としないことを意味する。また、例えば、二節点の間に距離が不変あるいは三節点がなす角度が不変の条件などの束縛条件が節点間に課せられる場合は、Lagrangeの未定乗数法を適用して式(64)にその束縛条件を考慮する。 時刻t=t+Δtにおいて設定された変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件については、位置ベクトルの差即ち変位ベクトルで与えられた場合は式(69)により、速度ベクトルで与えられた場合は式(70)により、加速度ベクトルで与えられた場合は式(71)により、時刻t=t+θΔtでの加加速度ベクトルに換算して与える。
【0066】
【数32】
JP0004441693B2_000034t.gif

【0067】
【数33】
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【0068】
【数34】
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【0069】
【数35】
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【0070】
続いて、時刻t=t+θΔtにおける加速度場、速度場、座標、各種状態量を計算すると共に各Gauss点の負荷状態を判定する(ステップS180)。時刻t=t+θΔtにお
ける全体加速度関連増分ベクトル、全体速度関連増分ベクトルおよび座標ベクトルは、式(63)で得られた時刻t=t+θΔtにおける全体加加速度関連増分ベクトルと時刻t=tにおける幾何的諸量から、式(66)ないし式(68)から得られる次式(72)ないし式(74)により算出することができる。時刻t=t+θΔtにおける有効応力、構造の程度R*、過圧密の程度R、異方性などの各状態量Aについては、式(75)により算出することができる。例えば、時刻t=t+θΔtにおける要素内の各Gauss点での有効応力速度の場合は、式(73)より得られた全体速度関連増分ベクトルのうち、当該要素が有する節点の速度ベクトルから式(76)を用いて算出した後、式(75)を適用して有効応力を算出する。なお、構造の程度、過圧密の程度、異方性などの速度は、Gauss点が弾塑性状態にある場合は式(52)、式(53)、式(56)などを用いて算出し、弾性状態にある場合はそれらの速度をゼロとする。時刻t=t+θΔtにおける「塑性体積ひずみ」は、下負荷面・上負荷面・回転硬化付き修正カムクレイモデルの場合、Gauss点が弾塑性状態にあるとき式(80)より算出するが、弾性状態にあった場合は、最後に弾塑性状態にあった時点での値のままとする。したがって、この弾性状態のとき、時刻t=t+θΔtにおける過圧密の程度Rは、式(80)をRについて解いた式を用いて算出することができる。また、時刻t=t+θΔtにおける間隙水圧は式(63)の全体接線剛性方程式より直接決まるが、間隙水圧の速度は式(75)を逆に用いて求める。また、土要素の各Gauss点が弾塑性状態にあるか弾性状態にあるかについては、土要素の各節点から計算されるGauss点のストレッチングと有効応力などを用いて塑性乗数の分子から得られる次式(81)に示す負荷基準を満たすときに、そのGauss点の状態は弾塑性状態にあると判定することができる。なお、ストレッチングの列ベクトル表現したものは式(82)より計算されるが、時刻t=t+θΔtにおけるその列ベクトルの成分表示は、2次元平面ひずみ条件の場合は式(83)により、軸対称条件の場合は式(84)により、3次元条件の場合は式(85)により表される。
【0071】
【数36】
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【0072】
【数37】
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【0073】
【数38】
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【0074】
【数39】
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【0075】
【数40】
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【0076】
そして、各要素の各Gauss点の有効応力を用いて収束判定を行なう(ステップS190)。実施例では、全要素内の全Gauss点で次式(86)を充足するか否かにより収束を判定することとした。ここで、式(86)中の「ε」は十分に小さい正の値である。収束が判定されないときには、ステップS150の全体荷重増分ベクトルと全体流量増分ベクトルの計算に戻り、ステップS150~ステップS190までの処理を繰り返す。
【0077】
【数41】
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【0078】
ステップS190で収束したと判定されると、時刻t=t+Δtにおける加速度場、速度場、座標、各種状態量を計算すると共に各Gauss点の負荷状態を判定する(ステップS200)。時刻t=t+Δtの座標などは、時刻t=t+θΔtにおける全体加加速度関連ベクトルと時刻t=tにおける全体加速度関連増分ベクトル、全体速度関連増分ベクトルおよび座標ベクトルから、次式(88)ないし式(90)により算出することができる。また、時刻t=t+Δtの各状態量とその速度については、時刻t=tと時刻t=t+θΔtにおける状態量から式(91)および式(92)により計算することができる。そして、時刻t=t+Δtの各状態量と式(81)と式(82)を用いて、時刻t=t+Δtでの負荷状態の判定を行う。
【0079】
【数42】
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【0080】
【数43】
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【0081】
そしてステップS100で入力した計算ステップ数に至ったか否かを判定し(ステップS210)、計算ステップ数に至っていないときには、次の計算ステップとしてステップS130の時刻t=t+θΔtにおける各種状態(有効応力と間隙水圧、構造・過圧密・異方性、等)の予測処理に戻る。一方、計算ステップ数に至ったときには、計算結果を指定した出力ファイルに出力して(ステップS220)、水と土骨格の連成計算プログラム30を終了する。
【0082】
出力ファイルの一例を図12に示す。この例では、第1行目は、左から順に、要素数、節点数、分布荷重速度作用要素数、節点数、節点数×次元数、節点数/要素×次元数、指定計算ステップ数、通算実施計算ステップ数、次元数、Gauss点の数/要素、弾性要素数である。2行目は、左から順に、計算条件、変形理論、有限変形理論時に使用する有効応力速度、収束の有無、構成式、状態量出力データの方法、出力データの形式、自重考慮の有無、に関する選択である。3行目から11行目までは、左から順に、節点番号、x方向の境界条件の種別、その値、y方向の境界条件の種別、その値、である。12行目は、反力の出力を必要とする節点数であり、13行目は、反力の出力を必要とする節点における方向込みの値として示される節点番号である。図12では、「中略」として略しているが、各要素における各Gauss点の材料定数、各節点の成分の値、各要素の間隙水圧の値、各要素における各Gauss点の有効応力の成分の値、構造の程度の値なども出力される。図12中、「中略」の後の1行目は、要素番号1~4に対して要素番号とその要素との関連要素の指定(4箇所)の繰り返しである。「中略」の後の2行目は、2節点間の長さ不変の条件数であり、条件数が値1以上であればその条件番号や当該条件に関する節点の指定などがその下の行に出力される。「中略」の後の3行目は、3節点間の角度不変の条件数であり、次の4行目は、この3節点間の角度不変の条件における条件番号、当該条件に関する節点の指定(3箇所)である。「中略」の後の5行目は、前2節点の相対位置ベクトルと後2節点で指定された2節点の相対速度の方向が不変の条件数であり、その次の6行目は、その条件番号、該当条件に関する節点の指定である。「中略」の後の7行目は、等変位(速度)の条件数であり、等変位(速度)の条件があるときにはその節点番号などがその次の行に出力される。「中略」の後の8行目は、各要素における土の種類である。「中略の後の9行目は、規則波の入力数と不規則波の入力数であり、規則波については10行目と11行目に規則波振動の種類、作用する節点数、振幅、周期、規則波が作用する方向込みの節点番号が出力され、不規則波の入力数があるときには同様にその次の2行の不規則波のファイル名や作用する節点数、不規則波が作用する方向込みの節点番号などが出力される。そして、最終行は計算開始からの通算時間数である。
【0083】
以上説明した実施例の水と土骨格の連成計算プログラム30では、土の種類を複数入力して要素に設定することにより、室内で人工的に作成するような練り返し土だけでなく、自然に堆積し、構造が発達した過圧密な地盤あるいは供試体を対象にして、動的・静的を問わない各種載荷条件に対する水と土骨格の連成場での土骨格の弾塑性変形挙動を求めることができる。このため、実施例の水と土骨格の連成計算プログラム30では、供試体の変形挙動(分岐挙動、ポストピーク挙動を含む)や自重圧密計算、道路盛土など荷重載荷に伴う地盤の圧密沈下・側方変位挙動(「2次圧密」的な長期継続沈下挙動を含む)、掘削時の地盤変形挙動、揚水による地盤沈下問題、地盤の支持力問題、地震などによる繰返し負荷時の液状化と液状化後の沈下(揺すり込み沈下)挙動、浸透流による安定・不安定問題、砂杭等による円筒拡径を伴う締固め地盤改良問題、弾性構造物との相互作用問題(パイルドラフト敷設地盤の変形挙動)、補強土の変形挙動、マスパーミアビリティ改善による地盤改良問題、弾塑性盛土構造物の安定問題などを扱うことができる。なお、これらの問題を扱う場合、必要に応じて図2に示した水と土骨格の連成計算プログラムにより計算された結果を新たな計算条件や初期状態として用いて水と土骨格の連成計算プログラムを複数回に亘って実行する必要がある。この場合、図13のフローチャートに示すように、水と土骨格の連成計算プログラムを実行した後に(ステップS300)、計算を続行するか否かを判定し(ステップS310)、計算を続行する場合には計算条件や初期状態を変更して(ステップS320)、ステップS300の水と土骨格の連成計算プログラムの実行に戻る。一方、計算を続行しない場合には、それで計算を終了する。
【0084】
例えば、締固めと液状化後の揺すり込み沈下に伴う土骨格の剛性回復の計算例として、低周波の微小荷重振動を三軸砂供試体に載荷したときの計算結果を図14に、高周波の微小荷重振動を三軸砂供試体に載荷したときの計算結果の一例を図15に示す。図示するように、低周波の場合は振動を与えているときから締まるが、高周波の場合は振動を与えているときには締まらないで液状化し、振動を与えるのを止めると締まりだすことが解る。同じ繰り返し数のときには、圧縮量は高周波の微小荷重振動を与えた方が大きくなるのが解る。なお、液状化後の揺すり込み沈下については、初期状態に対して振動を与える条件で水と土骨格の連成計算プログラムを実行し、その後、振動を与える条件の結果を初期状態として振動を与えない条件で水と土骨格の連成計算プログラムを実行することにより得られる。
【0085】
また、自然堆積粘土地盤の遅れ沈下の対策工の検討として、盛土載荷に伴う自然堆積粘土地盤の遅れ沈下挙動(長期継続沈下挙動)とサンドドレーン工法などによるマスパーミアビリティ(地盤全体の透水性)改善との関係の一例を図16に示す。図中、マスパーミアビリティ「k」が大きいほど透水性の改善を表わす。図示するように、透水性を改善しない場合は約50年沈下が続き、盛土載荷後の残留沈下が大きいことが解る。また、透水性を改善した場合には、載荷終了後、早期に沈下量が収まり、残留沈下量も小さくなることが解る。
【0086】
以上説明した実施例の水と土骨格の連成計算装置20によれば、全体Lマトリクス,全体修正Lマトリクス,全体Hマトリクス,全体Mマトリクス,全体Kマトリクスを用いた全体接線剛性方程式(連立1次方程式)により変位、変位速度又は加速度に関する幾何的境界条件及び応力又は応力速度に関する力学的境界条件並びに間隙水圧又は全水頭及び間隙水の流量に関する水理境界条件を与えて未知の「加加速度場」と間隙水圧場の求解を行なうことにより、地盤等の土の幾何形状変化を考慮することができ、変形から破壊まで、あるいは破壊後の挙動を対象とした土の体積変化の正確な計量を必要とする大変形解析を行なうことができる。しかも、土の種類を設定することができると共に要素毎に土の種類を設定することができるから、各種骨格構造(構造・過圧密・異方性)を有する砂から中間土、粘土までの連続的な土、あるいはシラスなどの特殊土、もしくは砂や粘土,中間土が層をなす土など、広範な種類の土骨格の力学挙動を計算することができる。また、全体接線剛性方程式は、加速度の影響が小さいような応答が得られるときは、静的解析での全体剛性方程式と一致するから、静的・動的を問わないで、土骨格の力学挙動を計算することができる。即ち、地震時の液状化後の圧密変形挙動だけでなく、圧密変形中の地震時変形挙動などのように、動的な解析に連続して静的な解析を行なったり、逆に静的な解析に連続して動的な解析を行なうことができる。
【0087】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、土の種類を設定すると共に要素毎に土の種類を設定するものとしたが、土の種類を限定するものとしてもよいし、要素毎ではなく要素のブロックごとに土の種類を設定するものとしても構わない。
【0088】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、全体Lマトリクス,全体修正Lマトリクス,全体Hマトリクス,全体Mマトリクス,全体Kマトリクスを各要素マトリクスとして厳密に計算するものとしたが、近似的に計算するものとしても構わない。
【0089】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、全体Lマトリクス,全体修正Lマトリクス,全体Hマトリクス,全体Mマトリクス,全体Kマトリクスを計算し、これら複数種類のマトリクスのすべてを用いて全体接線剛性方程式(連立1次方程式)を連立するものとしたが、全体Lマトリクス,全体修正Lマトリクス,全体Hマトリクス,全体Mマトリクス,全体Kマトリクスの一部を用いて全体接線剛性方程式(連立1次方程式)を連立するものとしてもよい。この場合、これら複数種類のマトリクス以外の他の要素を用いるものとしても構わない。
【0090】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、有限要素法を用いて土骨格における変形解析を行なうものとしたが、有限要素法を用いずに土骨格における変形解析を行なうものとしても差し支えない。
【0091】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、計算条件の設定の入力としては、図5および図6の具体例に示すように、計算条件として「平面ひずみ」であるか「軸対称」であるか「3次元」であるかの設定、変形理論として「微小変形理論」を選択するか「有限変形理論」を選択するかの設定、有限変形理論時に使用する客観性のある有効応力速度として「有効Cauchy応力のJaumann速度」であるか「Green-Nagdhi速度」であるかの設定、収束の有無の設定、構成式の選択として「下負荷面・上負荷面・回転硬化付きオリジナルカムクレイモデル」を選択するか「下負荷面・上負荷面・回転硬化付き修正カムクレイモデル」を選択するかの設定、状態量出力データの方法として「Gauss点の要素平均」であるか「ある特定のGauss点の値」であるかの設定、出力データの形式として「Text」であるか「Binary」であるかの設定、自重考慮の有無の設定、現在のプログラム使用番号、計算ステップ数、1計算ステップ当たりの計算時間DT(sec/step)、掘削時の掘削荷重分割数、分布荷重作用時の分布荷重分割数、土の材料定数と初期値入力ファイル、メッシュデータ入力ファイル、次のプログラム時に用いる計算初期条件用出力ファイル指定、座標の出力ファイル指定、状態分類(除荷、負荷(塑性圧縮/膨張、硬化/軟化))の出力ファイル指定、反力の出力ファイル指定、間隙水圧の出力ファイル指定、平均有効応力p'とせん断応力qの出力ファイル指定、過圧密の程度R(1/OCR、OCRは過圧密比)の出力ファイル指定、構造の程度R*の出力ファイル指定、硬化・軟化の敷居線の勾配の出力ファイル指定、塑性体積ひずみの出力ファイル指定、初期状態の出力ファイル指定、塑性圧縮・膨張の敷居線の勾配の出力ファイル指定、異方性の発達度合いの出力ファイル指定、経過時間の出力ファイル指定、file.dat(本データ)の出力、を入力するものとしたが、計算条件の設定はこれに限定されるものではなく、上述の設定項目の一部を入力するものとしてもよいし、上述の設定項目以外の項目を入力するものとしても構わない。また、入力形式も如何なる形式としても構わない。
【0092】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、地盤を構成する各要素に対する粘土・中間土・砂などの土の設定として、図7の具体例として示したように、土の種類の数や弾性体の種類の数、構造の発展則に用いる塑性測度の種類の指定、練返し土の等方正規圧密線の切片N、限界状態定数M、圧縮指数λ、膨潤指数κ、ポアソン比ν、透水係数k、土粒子の比重Gs、初期側圧係数K0、初期過圧密比R0、初期構造の程度R*0、正規圧密土化指数m、U*の形状、構造劣化指数a、構造劣化指数b、構造劣化指数c、回転硬化指数br、回転硬化限界面mb、初期異方性の程度、初期間隙比、地盤/供試体の高さ、地盤の初期上載圧、供試体の初期圧密圧力、セル圧 (引張:正)、単位系の設定(時間、力、長さ)、などを入力するものとしたが、土の設定はこれに限定されるものではなく、上述の設定項目の一部を入力するものとしてもよいし、上述の設定項目以外の項目を入力するものとしても構わない。また、入力形式も如何なる形式としても構わない。
【0093】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、地盤立体構造モデルの設定としては、図8の具体例に示すように、図8のファイルの第1行目の地盤立体構造モデルの要素数、節点数、分布荷重速度作用要素数、1要素中の節点数、計算ステップ数、弾性体の要素数や、第2行目から第10行目までの節点番号、x方向の境界条件の種別、x方向の境界条件の値、y方向の境界条件の種別、y方向の境界条件の値、第11行目から第14行目までの要素番号、各要素における局所節点番号に対応する全体における節点番号、第15行目から第23行目までの節点番号、x方向の座標、y方向の座標、第24行目および第25行目の反力の出力を必要とする節点数、節点番号、第26行目および第27行目の分布荷重速度作用要素、作用辺(作用節点間)、その左側節点の分布荷重速度のx方向の値、その左側節点の分布荷重速度のy方向の値、その右側節点の分布荷重速度のx方向の値、その右側節点の分布荷重速度のy方向の値、第28行目から第31行目までの要素番号、その要素の節点間1に隣接する要素番号、その要素の節点間2に隣接する要素番号、その要素の節点間3に隣接する要素番号、その要素の節点間4に隣接する要素番号、土の種類、第32行目の2節点間の長さ不変の条件数、第33行目の3節点間の角度不変の条件数、第35行目および第36行目の前2節点の相対位置ベクトルと後2節点で指定された2節点の相対速度の方向が不変の条件数、この2節点の相対速度の方向が不変の条件に対する条件番号、当該条件に関する節点の指定、第37行目の等変位(速度)の条件数、第38行目のモデルに入力される規則波の入力数、モデルに入力される不規則波の入力数、第39行目のモデルに入力される規則波に対する規則波振動の種類、作用する節点数、振幅、周期、第40行目の規則波振動が作用する節点番号、などを入力するものとしたが、地盤立体構造モデルの設定はこれに限定されるものではなく、上述の設定項目の一部を入力するものとしてもよいし、上述の設定項目以外の項目を入力するものとしても構わない。また、入力形式も如何なる形式としても構わない。
【0094】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、間隙水を非圧縮の流体として計算しているが、間隙水を圧縮性流体として計算するものとしてもよい。この場合、上述した全体接線剛性方程式(式(63))については、収束計算を行っている段階で要素iの時刻t=t+θΔtの値として予測された間隙比eおよび式(93)で与えられる間隙水の密度を用いつつ、修正を加えて解を求める。即ち、式(63)の左辺の係数マトリクスについては、第一に、式(63)中の全体Lマトリクス(全体体積変化率マトリクス)の転置の項(2箇所)をそのLと式(94)で与えられる全体Lcマトリクス(全体間隙水圧縮性マトリクス)との和の転置で置き換える。
【0095】
【数44】
JP0004441693B2_000046t.gif

【0096】
第二に、式(63)中の全体Hマトリクス(式(16))を式(96)の全体修正Hマトリクスで置き換える。また、式(63)の右辺については、その下の項に式(98)を加える。
【0097】
【数45】
JP0004441693B2_000047t.gif

【0098】
【数46】
JP0004441693B2_000048t.gif

【0099】
したがって、最良の形態として用いた田村流・Christian流の場合のアルゴリズム、即ち、図2に例示した水と土骨格の連成計算プログラム30における処理を示すフローチャートは、図17に示すフローチャートのようになる。図17のフローチャートでは、図2のフローチャートのステップS145の全体Hマトリクスの計算に代えて式(96)の全体修正Hマトリクスを計算し(ステップS146)、その後に式(94)の全体間隙水圧縮性マトリクス(全体Lcマトリクス)を計算する(ステップ147)。また、ステップS150の全体荷重増分ベクトルと全体流量ベクトルの計算の中で式(98)も計算する。なお、各ステップにおいて間隙水の密度を必要とする項(式(35)、式(36)など)のその値は、式(93)を用いて、要素中心の水圧から計算した値を代入する。そして、ステップS190の収束判定までの繰り返しループをステップS140~S180とする。ここで、土の設定を入力する具体例として示した図7などに、間隙水の圧縮性を表すために、間隙水の体積圧縮係数Kfに関する項目を加えるのが好ましい。また、透水係数については間隙比に応じて変化させるものとしてもよい。
【0100】
間隙水の圧縮性を考慮した場合の計算例として、載荷盛土の下部領域のみについて間隙水の圧縮性を変化させたゆるい砂地盤(層厚20m、盛土高4m)に、地盤底部から最大約100galの「地震動」を周期約1秒で与えた場合の、盛土直下における地震動開始以降の沈下~時間関係の一例を図18に示す。図示するように、間隙水が圧縮性を有する場合は、震動中に盛土下部で締め固めが顕著に発生し、非圧縮の場合と比べて盛土直下の沈下量が大きくなるが、その後の沈下量は小さくなることがわかる。なお、載荷盛土下部領域の間隙水の圧縮性変化時は、一般に地盤の各種状態が変化すると考えられるが、この計算例ではこの変化に伴って地盤状態に変化が生じないように、基準となる水圧uw0における圧縮性間隙水の密度ρw0も変化させている。
【0101】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、水と土骨格の連成計算プログラムにより計算された結果を新たな計算条件や初期状態として用いて水と土骨格の連成計算プログラムを複数回に亘って実行することができるものとしたが、水と土骨格の連成計算プログラムを複数回に亘って実行する回数を制限するものとしてもよいし、水と土骨格の連成計算プログラムを一回のみ実行するものとしても差し支えない。
【0102】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、要素Kマトリクスを、式(39)に示すように、特定された土材料(砂や粘土など)の力学挙動を与える接線剛性を示す項(右辺第1項)と、刻々の土の形状変化による接線剛性への寄与を表わす項(右辺第2項)と、衝撃荷重など土骨格に加速度が顕著に働く条件下での接線剛性への寄与を示す項(右辺第3項)と、物体力作用条件下で生じる接線剛性への寄与を示す項(右辺第4項)とにより計算するものとしたが、解析条件によってはこれらの一部の項を加味せずに要素Kマトリクスを計算するものとしてもよい。
【0103】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、2次元平面ひずみ条件や軸対称条件、3次元条件のいずれについても解析できるものとしたが、2次元平面ひずみ条件だけしか解析できないものや2次元平面ひずみ条件と軸対称条件だけしか解析できないものとしても構わない。
【0104】
実施例の水と土骨格の連成計算装置20では、供試体の変形挙動(分岐挙動、ポストピーク挙動を含む)や自重圧密計算、道路盛土など荷重載荷に伴う地盤の圧密沈下・側方変位挙動(「2次圧密」的な長期継続沈下挙動を含む)、掘削時の地盤変形挙動、揚水による地盤沈下問題、地盤の支持力問題、地震などによる繰返し負荷時の液状化と液状化後の沈下(揺すり込み沈下)挙動、浸透流による安定・不安定問題、砂杭等による円筒拡径を伴う締固め地盤改良問題、弾性構造物との相互作用問題(パイルドラフト敷設地盤の変形挙動)、補強土の変形挙動、マスパーミアビリティ改善による地盤改良問題、弾塑性盛土構造物の安定問題などを扱うものとしたが、これらのすべてを扱うものとせず、これらの一部だけを扱うものとしたり、これらのうちの一つだけを扱うものとしても構わない。
【0105】
実施例では、水と土骨格の連成計算プログラム30がインストールされた水と土骨格の連成計算装置20として説明したが、水と土骨格の連成計算プログラム30の形態や水と土骨格の連成計算プログラム30のうちの計算モジュール34の形態としても差し支えない。
【0106】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0107】
本出願は、2005年10月17日に出願された日本国特許出願第2005-301415号を優先権主張の基礎としており、本明細書にはその内容の全てが引用により含まれる。

【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、水と土骨格の連成計算装置を利用する製造産業などに利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
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【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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