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明細書 :懸濁物質濃度の分布解析装置及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5190863号 (P5190863)
公開番号 特開2008-304267 (P2008-304267A)
登録日 平成25年2月8日(2013.2.8)
発行日 平成25年4月24日(2013.4.24)
公開日 平成20年12月18日(2008.12.18)
発明の名称または考案の名称 懸濁物質濃度の分布解析装置及びプログラム
国際特許分類 G01N  29/02        (2006.01)
G01N  29/04        (2006.01)
G01P   5/00        (2006.01)
FI G01N 29/02
G01N 29/10 506
G01P 5/00 C
請求項の数または発明の数 6
全頁数 16
出願番号 特願2007-150741 (P2007-150741)
出願日 平成19年6月6日(2007.6.6)
審査請求日 平成22年6月4日(2010.6.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】二瓶 泰雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特開2000-111375(JP,A)
特開2000-122521(JP,A)
港湾局環境整備計画室,第6章濁り拡散予測計算の選定,「港湾工事における濁り影響予測の手引き」の策定について,2004年10月22日,pp.36-49,URL,http://www.mlit.go.jp/kowan/nigori/index.html
川西澄 他,超音波ドップラー流量計を用いた感潮域の流動と懸濁物質濃度の現地観測,海岸工学論文集,1996年11月,Vol.43 No.2,pp.1086-1090
調査した分野 G01N 29/00-29/52
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
懸濁物質濃度の分布を解析する水中の横断面内に複数の格子点を配列することにより、隣接する格子点で囲まれた区域を複数備えた仮想横断面を想定する想定手段と、
測定地点に対応する前記区域に懸濁物質濃度の測定値を設定すると共に、前記測定値を設定した区域以外の区域の各々に懸濁物質濃度の初期値を設定する設定手段と、
懸濁物質の沈降量を表す項と、懸濁物質の水平方向の拡散フラックスを表わす項、懸濁物質の鉛直方向の拡散フラックスを表わす項、及び付加項の和との関係を前記区域の各々について以下の式で表わした基礎式、前記測定地点に対応する区域に設定された懸濁物質濃度の測定値、及び前記測定地点に対応する区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記測定地点に対応する区域の付加項の値を演算する第1の演算、並びに前記測定地点に対応する区域以外の区域の1つを注目区域として、前記基礎式、前記演算された付加項の値、前記注目区域に設定された懸濁物質濃度の値、及び前記注目区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記注目区域の懸濁物質濃度を演算し、演算により得られた演算値を前記注目区域に既に設定された値に代えて設定することを、前記注目区域を変えながら前記仮想横断面全体にわたって繰返し行う第2の演算を、前記懸濁物質濃度の演算値及び前記付加項の演算値の各々が収束するまで繰返し行う繰返演算手段と、
を含む懸濁物質濃度の分布解析装置。
【数1】
JP0005190863B2_000008t.gif
なお、yは水平方向、σは鉛直方向、Aは水平渦動粘性係数、Aは鉛直渦動粘性係数、Dは水深、Cは懸濁物質濃度、wは懸濁物質の沈降速度、Fa,cは、付加項である
【請求項2】
所定位置に設置された超音波ドップラー流速分布計により水中に発信され該水中の懸濁物質により反射され計測された超音波の反射強度のうち、前記超音波ドップラー流速分布計近傍の懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第1反射強度と、前記超音波ドップラー流速分布計から離れた懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第2反射強度と、に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出する濃度測定手段を更に含む
請求項に記載の懸濁物質濃度の分布解析装置。
【請求項3】
前記濃度測定手段は、前記第1反射強度が所定値以下の場合には、前記第1反射強度に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出し、前記第1反射強度が所定値を超える場合には、前記第1反射強度と前記第2反射強度との比に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出する
請求項記載の懸濁物質濃度の分布解析装置。
【請求項4】
コンピュータを、
懸濁物質濃度の分布を解析する水中の横断面内に複数の格子点を配列することにより、隣接する格子点で囲まれた区域を複数備えた仮想横断面を想定する想定手段と、
測定地点に対応する前記区域に懸濁物質濃度の測定値を設定すると共に、前記測定値を設定した区域以外の区域の各々に懸濁物質濃度の初期値を設定する設定手段と、
懸濁物質の沈降量を表す項と、懸濁物質の水平方向の拡散フラックスを表わす項、懸濁物質の鉛直方向の拡散フラックスを表わす項、及び付加項の和との関係を前記区域の各々について以下の式で表わした基礎式、前記測定地点に対応する区域に設定された懸濁物質濃度の測定値、及び前記測定地点に対応する区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記測定地点に対応する区域の付加項の値を演算する第1の演算、並びに前記測定地点に対応する区域以外の区域の1つを注目区域として、前記基礎式、前記演算された付加項の値、前記注目区域に設定された懸濁物質濃度の値、及び前記注目区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記注目区域の懸濁物質濃度を演算し、演算により得られた演算値を前記注目区域に既に設定された値に代えて設定することを、前記注目区域を変えながら前記仮想横断面全体にわたって繰返し行う第2の演算を、前記懸濁物質濃度の演算値及び前記付加項の演算値の各々が収束するまで繰返し行う繰返演算手段と、
して機能させるためのプログラム。
【数2】
JP0005190863B2_000009t.gif
なお、yは水平方向、σは鉛直方向、Aは水平渦動粘性係数、Aは鉛直渦動粘性係数、Dは水深、Cは懸濁物質濃度、wは懸濁物質の沈降速度、Fa,cは、付加項である
【請求項5】
更に、前記コンピュータを、所定位置に設置された超音波ドップラー流速分布計により水中に発信され該水中の懸濁物質により反射され計測された超音波の反射強度のうち、前記超音波ドップラー流速分布計近傍の懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第1反射強度と、前記超音波ドップラー流速分布計から離れた懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第2反射強度と、に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出する濃度測定手段として機能させるための請求項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記濃度測定手段は、前記第1反射強度が所定値以下の場合には、前記第1反射強度に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出し、前記第1反射強度が所定値を超える場合には、前記第1反射強度と前記第2反射強度との比に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出する
請求項記載のプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元平面の懸濁物質の濃度分布を解析する懸濁物質濃度の分布解析装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水系一貫土砂管理を行う上では、源流域から河口、沿岸にわたる流域圈全体の土砂動態を把握することは不可欠であり、掃流砂・浮遊砂量を自動連続的にモニタリングすることは必須である。このうち浮遊土砂輸送量(=浮遊土砂濃度(SS)×流量)の計測には、河川の横断面において大きく変化している流速・SS分布を把握する必要があるが、これらの量をほぼ瞬時に直接計測できる観測システムは皆無である。
【0003】
なお、流速を計測する装置として、水平設置型超音波ドップラー流速分布計H-ADCP(Horizonta1 Acoustic Doppler Current Profiler)が知られている。また、H-ADCPは、流速のみならず、濁度と関連性の高い超音波の反射強度の計測ができるため、H-ADCPは上記の要請に対して有望な機器である。
【0004】
しかしながら、H-ADCPはある高さの「線」データしか計測できないため、横断面全体のSS分布を取得することができない、という問題がある。また、光学式センサを用いて濃度データを取得する場合も同様である。
【0005】
なお、超音波ドップラー流速計を用いて水中の二次元平面の濁度分布を観測する装置としては、ドップラー流速計を移動させながら水位、流速分布、河床位を同時観測する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、観測船にADCPを設置し、観測船を海上で移動しながら濁度を観測する装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。

【特許文献1】特開2000-111365号公報
【特許文献2】特開2007-71881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、ADCPを移動させながら濃度分布を観測するため、時間やコストがかかる。少ない観測値で河川の横断面の濃度分布を求める技術が望まれている。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、簡易に水中の横断面の懸濁物質濃度の分布を解析することができる懸濁物質濃度の分布解析装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の懸濁物質濃度の分布解析装置は、 懸濁物質濃度の分布を解析する水中の横断面内に複数の格子点を配列することにより、隣接する格子点で囲まれた区域を複数備えた仮想横断面を想定する想定手段と、
測定地点に対応する前記区域に懸濁物質濃度の測定値を設定すると共に、前記測定値を設定した区域以外の区域の各々に懸濁物質濃度の初期値を設定する設定手段と、
懸濁物質の沈降量を表す項と、懸濁物質の水平方向の拡散フラックスを表わす項、懸濁物質の鉛直方向の拡散フラックスを表わす項、及び付加項の和との関係を前記区域の各々について以下の式で表わした基礎式、前記測定地点に対応する区域に設定された懸濁物質濃度の測定値、及び前記測定地点に対応する区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記測定地点に対応する区域の付加項の値を演算する第1の演算、並びに前記測定地点に対応する区域以外の区域の1つを注目区域として、前記基礎式、前記演算された付加項の値、前記注目区域に設定された懸濁物質濃度の値、及び前記注目区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記注目区域の懸濁物質濃度を演算し、演算により得られた演算値を前記注目区域に既に設定された値に代えて設定することを、前記注目区域を変えながら前記仮想横断面全体にわたって繰返し行う第2の演算を、前記懸濁物質濃度の演算値及び前記付加項の演算値の各々が収束するまで繰返し行う繰返演算手段と、を含んで構成されている。
【数1】
JP0005190863B2_000002t.gif
なお、yは水平方向、σは鉛直方向、Aは水平渦動粘性係数、Aは鉛直渦動粘性係数、Dは水深、Cは懸濁物質濃度、wは懸濁物質の沈降速度、Fa,cは、付加項である
【0009】
このように、本発明は、分析対象となる横断面を複数の区域に分割した仮想横断面において、第1の演算及び第2の演算を、基礎式の付加項と各区域の懸濁物質の濃度が収束するまで繰り返し行なって懸濁物質濃度の分布を求めるようにしたため、懸濁物質濃度の実際の測定値が仮想横断面において少なくとも1箇所でもあれば、簡易に懸濁物質濃度の分布を求めることができる。
【0012】
また、所定位置に設置された超音波ドップラー流速分布計により水中に発信され該水中の懸濁物質により反射され計測された超音波の反射強度のうち、前記超音波ドップラー流速分布計近傍の懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第1反射強度と、前記超音波ドップラー流速分布計から離れた懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第2反射強度と、に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出する濃度測定手段を更に含んで構成することもできる。
【0013】
反射強度の濁度依存性は、超音波ドップラー流速分布計からの距離に応じて異なる。例えば、超音波ドップラー流速分布計近傍の反射強度は低濁度時に濁度依存性が高く、高濁度時には濁度依存性が低いが、超音波ドップラー流速分布計から遠い位置の反射強度は高濁度時に濁度依存性が高い、という特徴がある。従って、この特徴を利用して、超音波ドップラー流速分布計近傍の反射強度及び遠く離れた位置の反射強度に基づいて懸濁物質濃度の測定値を算出することによって、精度高く測定値を算出することができる。
【0014】
そこで本発明の懸濁物質濃度の分布解析装置における前記濃度測定手段は、前記第1反射強度が所定値以下の場合には、前記第1反射強度に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出し、前記第1反射強度が所定値を超える場合には、前記第1反射強度と前記第2反射強度との比に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出するようにしてもよい。
【0015】
このように、反射強度の特徴を活かして濁度に応じて懸濁物質濃度の測定値を算出することによって、精度高く懸濁物質の濃度を求めることができる。
【0016】
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、懸濁物質濃度の分布を解析する水中の横断面内に複数の格子点を配列することにより、隣接する格子点で囲まれた区域を複数備えた仮想横断面を想定する想定手段と、測定地点に対応する前記区域に懸濁物質濃度の測定値を設定すると共に、前記測定値を設定した区域以外の区域の各々に懸濁物質濃度の初期値を設定する設定手段と、懸濁物質の沈降量を表す項と、懸濁物質の水平方向の拡散フラックスを表わす項、懸濁物質の鉛直方向の拡散フラックスを表わす項、及び付加項の和との関係を前記区域の各々について以下の式で表わした基礎式、前記測定地点に対応する区域に設定された懸濁物質濃度の測定値、及び前記測定地点に対応する区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記測定地点に対応する区域の付加項の値を演算する第1の演算、並びに前記測定地点に対応する区域以外の区域の1つを注目区域として、前記基礎式、前記演算された付加項の値、前記注目区域に設定された懸濁物質濃度の値、及び前記注目区域の周囲に存在する複数の区域に設定された懸濁物質濃度の値を用いて、前記注目区域の懸濁物質濃度を演算し、演算により得られた演算値を前記注目区域に既に設定された値に代えて設定することを、前記注目区域を変えながら前記仮想横断面全体にわたって繰返し行う第2の演算を、前記懸濁物質濃度の演算値及び前記付加項の演算値の各々が収束するまで繰返し行う繰返演算手段と、
して機能させるためのプログラムである。
【数2】
JP0005190863B2_000003t.gif
なお、yは水平方向、σは鉛直方向、Aは水平渦動粘性係数、Aは鉛直渦動粘性係数、Dは水深、Cは懸濁物質濃度、wは懸濁物質の沈降速度、Fa,cは、付加項である
【0017】
このように、本発明は、上記懸濁物質濃度の分布解析装置と同様に、分析対象となる横断面を複数の区域に分割した仮想横断面において、第1の演算及び第2の演算を、基礎式の付加項と各区域の懸濁物質の濃度が収束するまで繰り返し行なって懸濁物質濃度の分布を求めるようにしたため、懸濁物質濃度の実際の測定値が仮想横断面において少なくとも1箇所でもあれば、簡易に懸濁物質濃度の分布を求めることができる。
【0020】
更に、本発明のプログラムは、更に、前記コンピュータを、所定位置に設置された超音波ドップラー流速分布計により水中に発信され該水中の懸濁物質により反射され計測された超音波の反射強度のうち、前記超音波ドップラー流速分布計近傍の懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第1反射強度と、前記超音波ドップラー流速分布計から離れた懸濁物質群で反射された超音波の反射強度を示す第2反射強度と、に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出する濃度測定手段として機能させることもできる。
【0021】
なお、前記濃度測定手段は、前記第1反射強度が所定値以下の場合には、前記第1反射強度に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出し、前記第1反射強度が所定値を超える場合には、前記第1反射強度と前記第2反射強度との比に基づいて前記懸濁物質濃度の測定値を算出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の懸濁物質濃度の分布解析装置及びプログラムによれば、簡易に水中の横断面の懸濁物質濃度の分布を解析することができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
本実施の形態では、河川において水中の懸濁物質(浮遊土砂濃度)を測定し、該土砂濃度に基づいて河川の横断面(水の主流方向に対してほぼ直交する断面であって、一方の岸から他方の岸までの横断面)における浮遊土砂濃度の分布を解析して出力する浮遊土砂濃度モニタシステムについて説明する。
【0025】
本実施の形態の浮遊土砂濃度モニタシステムは、図1に示すコンピュータ10と、図2に示す水平設置型超音波ドップラー流速分布計H-ADCP(Horizonta1 Acoustic Doppler Current Profiler)40とを含んで構成されている。コンピュータ10は、浮遊土砂濃度の分布を解析する。H-ADCP40は、通常は河川の流速の計測に用いられるが、本実施の形態では、浮遊土砂濃度と相関のある超音波の反射強度を計測するために用いることとする。
【0026】
図1(A)は、コンピュータ10の外観図であり、図1(B)は、コンピュータ10のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【0027】
コンピュータ10は、CPU12、RAM14、ROM16、通信インタフェース18、及びI/O(入出力)インタフェース20を備え、それらはバス38を介して相互に接続されている。
【0028】
I/Oインタフェース20には、HDD(ハードディスクドライブ)22、CD-ROMドライブ24、FD(フレキシブルディスク)ドライブ26が接続されている。HDD22は、内蔵されたハードディスクに対してデータを読み書きする。CD-ROMドライブ24は、可搬型記録媒体であるCD-ROM34に対してデータを読み書きする。FDドライブ26は、可搬型記録媒体であるFD36に対してデータを読み書きする。
【0029】
上記HDD22やROM16等の記録媒体には、後述する浮遊土砂濃度の測定値算出処理や土砂濃度の分布解析処理等、様々な処理を行なうためのプログラムや処理に必要なデータが記録され、RAM14等のワークメモリを利用してCPU12により実行される。
【0030】
なお、CPU12が実行するプログラムが記憶される記録媒体は、上記CD-ROM34やFD36、HDD22等に限定されず、例えば、図示は省略するが、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの可搬型記録媒体やコンピュータ10の外部に備えられたHDD等の記憶装置等であってもよく、さらにまた通信回線を介して接続されたデータベース、或いは他のコンピュータシステム並びにそのデータベースや、更に通信回線上の伝送媒体であってもよい。従って、後述する本発明の実施の形態に係るプログラム等を通信媒体により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0031】
また、I/Oインタフェース20には、画像やデータを表示する表示装置28や、各種情報を入力したり指定したりするための入力装置30が接続されている。さらにまた、プリンタ等の外部機器と接続するためのコネクタ32等も設けられている。
【0032】
通信インタフェース18は、ネットワークに接続されている。この通信インタフェース18を介して、ネットワークに接続された他の装置と相互に情報をやりとりすることができる。
【0033】
このコンピュータ10で河川の横断面の土砂濃度分布を解析するにあたり、まず、H-ADCP40を用いて水中の浮遊土砂濃度と相関のある超音波の反射強度を計測する。そして、超音波の反射強度の測定結果から水中の濁度(水の濁りの程度を示す)を求める。
【0034】
なお、濁度を測定するには、超音波を用いた測定の他、光学式濁度計を用いて測定することもできるが、本実施の形態ではH-ADCP40を用いて、濁度を測定するものとする。
【0035】
H-ADCP40により、水中の懸濁物質で反射した超音波の反射強度から濁度を推定(算出)するには、厳密には水中の超音波吸収等を考慮する必要があるが、超音波吸収性を正確に設定することが困難であるため、以下に説明するように、本実施の形態では、反射強度値や反射強度比を利用して濃度を簡易的に求める。このように簡易的に濃度を求めたとしても、実測濁度と良好に一致し、後述する浮遊土砂濃度の分布を解析するために問題ない精度の結果が得られる。詳細は後述する。
【0036】
ここで、H-ADCP40の流速及び反射強度の測定方法について説明する。
【0037】
図2に示されるように、低水路側岸部の河床に設置した支持体42(例えば水位標)に対して、予め定められた高さ(ただし水中)にH-ADCP40を固定設置する。このH-ADCP40により、超音波を発信し、水中の懸濁物質群で反射して戻ってきた超音波を受信してその強さ(反射強度)を計測する。
【0038】
なお、本実施の形態では、H-ADCP40を例えば以下のように設定した。層厚(距離分解能)0.5m、不感帯幅(H-ADCP40から計測第1層目までの距離)2.0m、層数128、サンプリング間隔10分とする。このように設定することにより、H-ADCP40では、1~128の各層毎に、超音波を発信してから反射波が受信されるまでの時間に応じて各層毎に超音波の反射強度を計測することができる。1層から128層にいくに従って、H-ADCP40の設置箇所から遠くなる。
【0039】
ここで、図3を参照して、超音波の反射強度に関する基本的な特徴を説明する。図3(A)は、ある河川における観測期間中の水位と実測濁度との関係を示すグラフであり、図3(B)は、同じ観測期間中の、第3層の反射強度I及び第80層の反射強度I80を示すグラフである。また、図3(A)において、水位の単位は、y.P.mを用い、実測濁度の単位はFTU(Formazin Turbidity Unit)を用い、図3(B)において、反射強度の単位は、独自に基準化したcountという単位を用いている。また、グラフに示した反射強度I、I80は、水中の超音波減衰等の補正を施していない生データである。
【0040】
前述した設定により、第3層目の反射強度Iの観測値は、H-ADCP40からの横断距離3.25mにおける反射強度の観測値を示し、第80層目の反射強度I80の観測値は、H-ADCP40からの横断距離41.75mにおける反射強度の観測値を示す。
【0041】
図3から明らかなように、H-ADCP40近傍の第3層目の反射強度Iは、低濁度時には実測濁度に追随し濁度依存性が高いが、高濁度時には反射強度Iが上限値(=223count)が存在しており、濁度依存性が低いことがわかる。
【0042】
一方、H-ADCP40から遠い位置の第80層目の反射強度I80に関しては、超音波の距離減衰の影響で、反射強度レベルが第3層目の反射強度Iよりも大幅に小さくなっている。また、実測濁度が高くなると超音波減衰が顕著になり、Iとは逆に反射強度I80が減少する傾向がある。しかしながら、H-ADCP40に近い第3層目の反射強度Iのように、上限値(下限値)は生じておらず、高濁度側ではH-ADCP40から遠い第80層目の反射強度I80の方が濁度依存性が高くなる。
【0043】
次に、反射強度データと実測濁度の相関性を見るために、実測濁度Turbと第3層目の反射強度Iの相関関係を調べ、図4に示すグラフにした。
【0044】
図4から明らかなように、低濁度時には実測濁度と反射強度Iには正の相関関係が認められるものの、高濁度時には反射強度は上限値(=223count)付近に留まる。このことから、単純に、反射強度Iから濁度を推定する場合、低濁度時には概ね良好な精度が期待されるが、高濁度時では推定そのものが困難となることがわかる。
【0045】
なお、反射強度I≦210countの場合、低濁度時における実測濁度Turbと反射強度Iの相関式として次式が得られた。
【0046】
Turb = 0.0034*exp(0.0397*I3) ・・・(1)
ここで、Turbの単位としてはFTUを用い、反射強度Iの単位としてはcountを用いる。
【0047】
次に、第80層の反射強度I80と第3層の反射強度Iとの比(I80/I)と、実測濁度Turbとの相関関係を調べ、図5に示すグラフにした。
【0048】
図5に示すように、低濁度の場合には同一濁度に対して幅広く反射強度比I80/Iが分布するものの、高濁度の場合には実測濁度と反射強度比I80/Iには良好な相関関係が見られる。これは、高濁度時には、水中の超音波減衰が濁度レベルに大きく依存するためである。
【0049】
なお、ここで反射強度I80を単独で用いずに、反射強度の水平方向勾配を示す反射強度比I80/Iを用いたのは、浮遊土砂濃度SSが横断方向に一様である保証がなく、濁度推定にはH-ADCP40近傍の反射強度値を用いる必要があるためである。
【0050】
高濁度条件における実測濁度Turbと反射強度比I80/Iとの相関式として、次式が得られた。
【0051】
80/I≦0.56の場合、
Turb = -5516(I80/I3)2+4973(I80/I3)-1001 ・・・(2)
0.56<I80/I≦0.64の場合、
Turb = 7334(I80/I3)2-9333(I80/I3)+2979 ・・・(3)
これらの結果から、低濁度時(反射強度I≦210countの場合)には、式(1)を用い、高濁度時(反射強度I>210count)の場合には、反射強度比I80/I3の値に応じて式(2)または(3)を用いて、反射強度から濁度の測定値としてTurbを求めればよいことがわかる。
【0052】
コンピュータ10では、式(1)~(3)を用いて濁度の測定値を求めた後、後述する濃度分布の分析に用いるため、更にSS濃度(単位容積あたりの浮遊物質量を示す、以下では浮遊土砂濃度SSと呼称)に変換する。なお、実験により実測濁度Turbと浮遊土砂濃度SSとの相関関係を調べた結果、以下に示す相関式(4)が得られた。
【0053】
SS = 2.77Turb ・・・(4)
SSの単位は、mg/Lである。コンピュータ10は、上式(4)を用いて濁度(Turb)の測定値から浮遊土砂濃度(SS)の測定値に変換する。
【0054】
以上説明した、計測した反射強度から濁度の測定値を求め、濁度の測定値から浮遊土砂濃度の測定値を求める処理を実行するためのプログラムや、上記式(1)~(4)、及び各種パラメータの設定値(ここでは反射強度値(210)、反射強度比値(0.56、0.64))は、予めHDD22に記憶され設定されている。CPU20は、記憶されているプログラムを実行し、入力された反射強度データから最適な計算式を選択して用いて最終的に浮遊土砂濃度SSを求める。
【0055】
なお、本実施の形態で、H-ADCP40から近い位置の観測値として第3層の反射強度を採用したのは、第1層や第2層のように、H-ADCP40にあまりにも近すぎると、H-ADCP40の動作の影響を受けやすいためである。また、H-ADCP40から遠い位置の観測値として第80層の反射強度を採用したのは、実験に採用した河川の幅がH-ADCP40の観測可能距離よりも短いことから、対岸の岸の反射波を観測しないように調整したためである。従って、本発明において、H-ADCP40から近い位置の観測距離は、良好な観測結果が得られる距離であれば第3層に限定されず、また、H-ADCP40から遠い位置の観測距離は、良好な観測結果が得られる距離であれば第80層に限定されない。
【0056】
次に、コンピュータ10では、上記求めた浮遊土砂濃度SSの測定値に基づいて、観測対象である河川の横断面における浮遊土砂濃度の分布を解析して出力する。
【0057】
ここでは、図6に示すように、水が主に流れる方向(主流方向)をx方向とし、x方向に直交し河川を横断する方向をy方向とし、鉛直方向をσ方向とする座標系を定義し、該座標系の横断面(yーσ平面)の浮遊土砂濃度の分布を解析する。
【0058】
この解析にあたり、コンピュータ10は、土砂力学を満足した形でその分布を算出する。土砂力学を考える際に基礎となる三次元土砂輸送方程式は、浮遊土砂濃度SSをCとすると、以下の式(5)のように与えられる。
【0059】
【数3】
JP0005190863B2_000004t.gif
ここで、u、v、wは、x方向、y方向、σ方向の流速であり、w0は浮遊土砂の沈降速度、AとAは水平、鉛直渦動粘性係数、Dは水深である。
【0060】
しかしながら、式(5)中のいくつかの項は次の理由により省略する。
【0061】
左辺第1項:大きさ自体が、他の項(左辺第4項など)よりも2、3オーダー小さいので、省略する。
【0062】
左辺第2項:∂C/∂xを求めるには、x方向の浮遊土砂濃度Cの変化を知る必要があるが、一断面でしか計測していないの∂で、∂C/∂xを求めることができない。従って、この項も省略する。
【0063】
左辺第3項:本実施の形態のH-ADCP40では、横断面全体の横断方向流速vを計測していない。よって、この第3項の評価は困難であり省略する。
【0064】
左辺第4項の一部w∂C/∂σ:左辺第3項と同じく、実施の形態のH-ADCP40では、鉛直方向流速wを計測していないため、評価は困難であり省略する。
【0065】
右辺第1項:左辺第2項と同じ同じ理由により算定困難であり、省略する。
【0066】
これらの項を式(5)中から省略すると、簡略化された次式(6)が得られる。
【0067】
【数4】
JP0005190863B2_000005t.gif
このように、上式(6)では、1つの横断面内の計測では推定が困難な移流項の一部や主流方向拡散項を省略しているが、式(6)のままでは式(5)で表されるような土砂動態を再現できない。そこで、これらの省略された項の代わりに、土砂力学条件を満たすために、浮遊土砂用付加項Fa,cを式(6)に導入する。
【0068】
【数5】
JP0005190863B2_000006t.gif
式(7)の左辺は、単位時間あたりの沈降土砂量を表す項、右辺は、浮遊土砂の水平方向における拡散フラックスを表す項(右辺第1項)、浮遊土砂の鉛直方向の拡散フラックスを表わす項(右辺第2項)、及び付加項Fa,c(右辺第3項)の和を表している。
【0069】
コンピュータ10は、上記式(7)を用いて水中の土砂濃度の分布解析処理を行なう。
【0070】
図7は、コンピュータ10が実行する土砂濃度の分布解析処理の流れを示すフローチャートである。
【0071】
ステップ100では、水中の鉛直面内に計算格子の設定を行なう。具体的には、図8に示すように、解析対象となる河川の横断面(yーσ平面)のうちH-ADCP40が設置されている横断面を計算領域とし、該計算領域に対して鉛直方向に等間隔でかつ水平方向に等間隔に複数の格子点を配列し、隣接する格子点で囲まれた矩形区域(以下計算格子と呼称)を複数備えた仮想横断面を設定する(図9も参照)。言い換えれば、横断面を格子状に分割し、分割して得られた矩形区域を計算格子として設定し、該計算格子を設定した横断面を仮想横断面とする。なお、以下では、ここで設定された計算格子のうち、前述したようにH-ADCP40で実際に反射強度が計測されて浮遊土砂濃度SSが算出された計測地点に対応する計算格子を、計測地点の計算格子と呼称する。
【0072】
図9は、計算格子を模式的に示す図であり、格子点を通る格子線により横断面を格子状に分割して計算格子が設定されている。
【0073】
また、以下では、演算対象の計算格子(以下、注目格子)を順にずらしながら全計算格子についての浮遊土砂濃度の演算を行なうが、注目格子の浮遊土砂濃度SSを示すCの値だけでなく周囲の計算格子のCの値も用いて演算を行なう。なお、ここで、用いる周囲の計算格子は、注目格子のy-σ平面の座標値を(i、j)とすると、座標値(i-1、j)の計算格子(注目格子の直左の計算格子)、座標値(i+1、j)の計算格子(注目格子の直右の計算格子)、座標値(i、j-1)の計算格子(注目格子の直下の計算格子)、及び座標値(i、j+1)の計算格子(注目格子の直上の計算格子)である。
【0074】
このように、計算領域及び計算格子を設定した後は、ステップ102で、流れの計算パラメータ(w0,D,AH,AV)の設定を行なう。なお、沈降速度w0は、実測された浮遊土砂の粒径とストークス近似等を用いて得られる値を設定する。また、AとAは、最も一般的な0方程式モデルなどの乱流モデルを用いて、摩擦速度や水深の関数として設定する。これらにより、計算格子毎のw0,AH,AVが定まる。またDには、観測対象の河川の水深を設定する。
【0075】
ステップ104では、計算格子のうち、計測地点の計算格子にはH-ADCP40で計測されたSSの測定値をCの値として設定し、他の計算格子には予め定められた初期値をCの値として設定する。初期値としては、予め定められた値を用いることができるが、計測地点のSSの測定値をそのまま計算領域内の各計算格子の初期値として一様に与えるようにしてもよい。
【0076】
次に、ステップ106では、計測地点の計算格子の付加項Fa,cの値を演算する。
【0077】
付加項を演算するには上記式(7)を用いればよいが、式(7)で数値計算するに当たり、ここでは差分法を適用する。式(7)の差分方程式(8)は以下のようになる。
【0078】
【数6】
JP0005190863B2_000007t.gif
なお、各パラメータに与えられた添え字i,jは、y-σ平面の座標値を表す。また、Ci,jは、注目格子のCを示しており、Ci,j+1は、注目格子の直上の計算格子のCを示し、Ci+1,jは注目格子の直右の計算格子のCを示し、Ci-1,jは注目格子の直左の計算格子のCを示し、Ci,j-1は注目格子の直下の計算格子のCを示している(図9も参照。)。
【0079】
ステップ108では、上記演算により得られた付加項Fa,cの値を用いて、他の計算格子の浮遊土砂濃度SSを示すCを上記式(8)を用いて演算する。なお、本実施の形態では、付加項Fa,cは計算領域内で一様としている。これは、本実施の形態では、観測データが一点しか得られていないためである。
【0080】
ステップ110では、注目格子のCの値を、設定した初期値に代えて今回の演算で得られたCの値を設定する。すなわち、注目格子の浮遊土砂濃度SSの演算が1回目である場合には、初期値に代えて上記演算で得られたCの値を設定する。また、当該注目格子の浮遊土砂濃度SSの演算が2回目以降である場合には、前回の演算で得られたCの値に代えて今回の演算により得られたCの値を設定する。なお、計測地点の計算格子のCの値は、変更せずに測定値のままとする。
【0081】
ステップ112では、仮想横断面の全計算格子について浮遊土砂濃度SSを示すCの演算が終了したか否かを判断する。
【0082】
ステップ112で、仮想横断面の全計算格子についてCの演算が終了していないと判断した場合には、ステップ108に戻り、次の計算格子を注目格子として、Cの演算を行ない、ステップ110で、演算により得られたCの値を設定する。
【0083】
また、ステップ112で、仮想横断面の全計算格子についてCの演算が終了したと判断した場合には、ステップ114で付加項Fa,c及びCの値が変化したか否かを判断することにより収束したか否かを判断する。
【0084】
ステップ114で、付加項Fa,c及びCの値が変化しており収束していないと判断した場合には、ステップ106に戻り、計測地点の計算格子の付加項Fa,cを再度演算する。なお、2回目以降の演算は、全計算格子について前回演算されたCの値が設定されているため、その状態で付加項Fa,cの演算を行なうと共に各計算格子について新たにCを算出する。
【0085】
ステップ108以降は、上記と同様に再度Cを算出して設定する。
【0086】
一方、ステップ114で、付加項Fa,c及びCの値が変化しておらず収束したと判断した場合には、ステップ116で、上記得られた浮遊土砂濃度SSの分布を表示装置28に表示する。
【0087】
このように、付加項Fa,cと浮遊土砂濃度SSを示すCの解が収束するまで、ステップ106~114までの処理が繰り返し行なわれ、最終的に浮遊土砂濃度SSの分布が得られる。
【0088】
すなわち、少なくとも1箇所で測定された測定結果さえあれば、上述のように力学条件を満たすように横断面全体に内外挿して濃度分布が解析されるため、容易に横断面全体の浮遊土砂濃度の分布を導出することができる。
【0089】
なお、測定値が複数個得られている場合には、測定地点に対応する計算格子の各々にSSの測定値の各々を設定し、測定値が設定された計算格子以外の各計算格子のCを上記のように演算すればよい。
【0090】
また、H-ADDP40の反射強度特性に基づいて、低濁度時にはH-ADCP40近傍の反射強度値を、高濁度時にはH-ADCP40近傍の反射強度値とH-ADCP40から遠い反射強度値との比である反射強度比を各々用いることにより、反射強度データから精度良く濁度、SSを計算することができる。上記ではH-ADCP40の測定値を用いたが、濁度計を用いて測定した値を用いてもよい。
【0091】
なお、江戸川における浮遊土砂輸送量計測に本システムを適用した結果、本システムによる推定結果は、別途行われた観測結果と良好に一致しており、本システムの有効性が検証された。
【0092】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で様々な設計上の変更を行うことができる。
【0093】
例えば、上記では、1つの注目格子のCを演算した後、該演算結果を設定して次の注目格子のCの演算を行ない、これを繰り返して仮想横断面の全計算格子(計測地点の計算格子を除く)についてCを演算する例について説明したが(ステップ108~112)、仮想横断面の計算格子についてCを演算する手法はこれに限定されるものではなく、Cの演算が全計算格子について行なわれた後に該演算結果の各々を全計算格子に設定する(すなわち、Cの演算及び設定をまとめて行なう)手法を用いてもよい。このような手法を用いても、付加項Fa,cとCの解が収束するまで、繰り返し演算が行なわれるため、上記と同様に浮遊土砂濃度分布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】(A)は、本実施の形態に係る懸濁物質濃度の分布解析装置として機能するコンピュータの外観図であり、(B)は、該コンピュータのハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】河川にH-ADCPを固定設置した様子を示す図である。
【図3】(A)は、ある河川における観測期間中の水位と実測濁度との関係を示すグラフであり、(B)は、同じ観測期間中の、第3層の反射強度I及び第80層の反射強度I80を示すグラフである。
【図4】実測濁度Turbと第3層目の反射強度Iの相関関係の一例を示すグラフである。
【図5】第80層の反射強度I80と第3層の反射強度Iとの比(I80/I)と、実測濁度Turbとの相関関係を示すグラフである。
【図6】浮遊土砂濃度の分布解析対象となる河川の座標系を説明する説明図である。
【図7】コンピュータが実行する土砂濃度の分布解析処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】計算格子が設定された仮想横断面を示す図である。
【図9】計算格子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0095】
10 コンピュータ
12 CPU
14 RAM
16 ROM
22 HDD
28 表示装置
30 入力装置
40 H-ADCP
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8