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明細書 :プラズマ処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5174346号 (P5174346)
公開番号 特開2008-166418 (P2008-166418A)
登録日 平成25年1月11日(2013.1.11)
発行日 平成25年4月3日(2013.4.3)
公開日 平成20年7月17日(2008.7.17)
発明の名称または考案の名称 プラズマ処理装置
国際特許分類 H01L  21/3065      (2006.01)
H05H   1/24        (2006.01)
H01L  21/31        (2006.01)
FI H01L 21/302 101F
H05H 1/24
H01L 21/31 C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2006-352925 (P2006-352925)
出願日 平成18年12月27日(2006.12.27)
審査請求日 平成21年10月29日(2009.10.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000236920
【氏名又は名称】富山県
発明者または考案者 【氏名】松本 和憲
【氏名】竹林 雄二
個別代理人の代理人 【識別番号】100077779、【弁理士】、【氏名又は名称】牧 哲郎
【識別番号】100078260、【弁理士】、【氏名又は名称】牧 レイ子
【識別番号】100086450、【弁理士】、【氏名又は名称】菊谷 公男
審査官 【審査官】今井 淳一
参考文献・文献 特開平02-159027(JP,A)
特開平04-317324(JP,A)
調査した分野 H01L 21/3065
H01L 21/31
H05H 1/24
特許請求の範囲 【請求項1】
複数枚のウエハを所定の間隔で保持するボートと、
このボートの周辺を円周状に囲むn枚の電極と、
この電極へ位相が1/n周期ずつずれた20kHz程度の低周波のn相交流電位を印加する対称多相交流電源と、
を備えてなることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記ウエハ面が電極面に対して直角に配置されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記電極の枚数nと対称多相交流電源の相数nが12であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
半導体集積回路の製造分野では、CVD、エッチング、アッシング、スパッタリングなどの工程で、処理ガスのイオン化や化学反応促進のためプラズマが利用されている。半導体の処理基板すなわちウエハをプラズマで処理する装置には、ウエハを1枚ずつ処理する枚葉方式と複数枚を一括して処理するバッチ式がある。
本発明は、そのうちのバッチ式のプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枚葉式プラズマ処理装置は、図10に示すように、チャンバ内に一対の平行平板電極1(上部および下部電極)を配置して電極1間にウエハ2を挿入し、処理ガスをチャンバ内に導入する。そして、電極1の一方に高周波電位を印加して電極1間に高周波電界を形成し、この高周波電界により処理ガスのプラズマPを形成し、このプラズマPをウエハ2表面に作用させて所望の処理を施す。
【0003】
しかし枚葉式は、ウエハ2を一枚ずつ処理するため、スループットが低下するという問題がある。例えば枚葉式プラズマ処理装置における正味の処理時間を10分、搬送系の動作時間を2分とした場合、1時間に処理できるウエハ2の枚数は5枚に過ぎない。
そこで通常の枚葉式プラズマ処理装置におけるやり方で、複数枚のウエハ2を同時に処理しようとしても、図11に示すように、重なり合うウエハ2がプラズマPを遮り、複数枚を同じようには処理できない。
【0004】
この点、複数枚のウエハを一枚ごとに処理する枚葉式に比べ、複数枚のウエハを1バッチとして一括処理できるバッチ式プラズマ処理装置は、処理時間を短縮できる利点がある。
このバッチ式プラズマ処理装置のうち従来例のひとつは、図12に示すように、石英容器7の外周に2枚の円弧状分割電極1を配置してウエハ2周辺を囲み、電極1の一方に高周波電位を印加して電極1間に高周波電界を形成し、この高周波電界によりプラズマPを発生し、プラズマを周辺からウエハ2間へ拡散させる。
別の従来例では、図13に示すように、石英容器7の外周にコイル状電極1を巻いてウエハ2周辺を囲み、コイル状電極1に高周波電流を流して電極1間に誘導高周波電界を形成し、この誘導高周波電界によりプラズマPを発生し、プラズマPを周辺からウエハ2間へ拡散させる。
何れの電極形態でも、ウエハ間隔が狭くなるとウエハ中心部までプラズマが拡散しない。例えば、図14に示すように、縦軸に示すウエハ間のプラズマ密度の分布は、横軸に示すウエハ間隔が狭くなるにつれてプラズマがウエハ中心部まで拡散しづらくなり、ウエハ間隙に一様なプラズマを生成するのが難しくなる。その結果、ウエハ表面にわたって一様な所望の処理を施すことが困難になる。
ウエハ間隔を広くすればプラズマ密度が拡散されてある程度均一化されるが、そうするとウエハの処理枚数が大幅に減少し、処理効率が低下する。
【0005】
また、図15に示すように、円弧状分割電極1間に形成される高周波電界分布は電極1の間距離が狭くなった所で強く、離れた所で弱くなる。
また、図16に示すように、コイル状電極1内に形成される高周波電界分布は電極1の周辺に集中する。
そのため電極1により形成される電界は本質的に石英容器7内で一様でなくなり、放電により生成されるプラズマは不均一になる。
プラズマが不均一になると、表面処理が不十分なウエハができたり、表面処理が過多なウエハができてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は以上のような点であり、本発明は、間隔の狭いウエハ間隙に対しても一様なプラズマを生成して複数枚のウエハを一括して大量かつ均一に処理できるバッチ式プラズマ処理装置を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明は、複数枚のウエハを所定の間隔で保持するボートと、このボートの周辺を円周状に囲むn枚の電極と、この電極へ位相が1/n周期ずつずれた20kHz程度の低周波のn相交流電位を印加する対称多相交流電源を備えてなることを最も主要な特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明は、n枚の電極で複数枚のウエハ周辺を囲み、各電極へ位相が1/n周期ずつずれたn相交流電位を印加するので、電極で囲まれた内部に電源周波数で回転するウエハ表面と平行な電界が一様に形成される。
その結果、ウエハ間隙に時間平均的に一様なプラズマが生成され、複数枚のウエハ表面を同時かつ均一に処理できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1と図2に、本発明を実施した装置の横断面図と縦断面図を示す。
この装置は、12枚の電極1を12インチウエハ2の周囲から最短で6mm離れた位置に円周状に30°だけ等間隔にずらして配置し、これら電極1の一端に取り付けた給電端子3を介して各電極1を図3に示す位相が1/12周期ずつずれた12相交流電位を印加する対称多相交流電源4に接続する。
電極1は裏面をガラスで絶縁した幅75mm×長さ160mm×厚さ1mmの短冊形で、両端を図示しない支持部材を介して一対のアルミ側板5に固定する。
ウエハ2はリングボート装着して13.5mm間隔で12枚取り付け、ウエハ支え6に支持して12枚の電極1に囲まれた円内に固定する。これによりウエハ2面が電極1面に対して直角に配置される。
【0011】
対称多相交流電源4は、12相交流の各相成分をウエハ2の周囲に配置した12枚の電極1へそれぞれ給電する。
これにより、図4に示すように、位相が1/12周期ずつずれていて振幅が同じ大きさの12相交流電位V1(t)~V12(t)が、図5の12枚の電極1(No.1~No.12)に印加される。
このとき時刻t=0における12枚の電極1に囲まれた円内に形成される電界について静電近似をして電磁界シミュレータにより計算すると、図5に示すようになり、電位分布の勾配が電界分布となるが、電極1のごく近傍を除いて円周内に一様な電界が形成されることが分かる。
また、Tを周期とすると、t=T/8における電位分布は図6に示すようになり、t=0の電位分布とほとんど同じ形のまま、電極群電位の位相の遅れる方向に45°時計回りに回転(即ち8分の1回転)する。
同様に、t=T/4における電位分布は図7に示すようになり、電位分布が90°時計回りに回転(即ち4分の1回転)する。
このように順次、時刻の位相角度と同じ回転角度で電位分布が回転するので、電位分布が1周期の間に1回転し、1秒間に電源の周波数回だけ回転する。
以上により電位分布の勾配が電界分布となるので、電極1のごく近傍を除いて円周内に一様な電界が形成され、それが電源周波数で回転することが分かる。
【0012】
本発明の多相交流放電によるプラズマ生成法は、次のような特徴を持つ。
(a)低周波にも拘わらず放電休止の無い、時間変動の小さい直流的なプラズマの生成が可能となる。
(b)位相が異なる複数の電極に電力が時間分割的に分散給電され、時間平均的に広範囲の空間領域へ均一なプラズマの生成が可能(プラズマが電源周波数で回転しながら生成される)となる。
(c)周波数が低いので電源を低コストで大容量化できる。大きい体積のプラズマを低コストで生成可能となる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例(測定結果)について説明する。
まず、真空チャンバ内へ本装置(12インチウエハ2を13.5mm間隔で12枚装着)を挿入し、チャンバ内の空気を排気した後、窒素ガス(圧力20Pa)を注入した。
次に、電源周波数20kHzの対称多相交流電源4からプラズマ生成電力550Wを供給して電極1間に放電を発生させ、探針法によりウエハ2間隙における径方向のプラズマ密度分布を測定した。
その結果、図8に示すように、ウエハ2間隙の中心部までかなり一様にプラズマが生成されることが確認された。
また、プラズマ生成電力550Wを3分間供給してレーザ干渉法によりウエハ2の径方向の窒化分布を測定した結果、図9に示すように、ウエハ2縁を除いて全体にわたりかなり一様に窒化膜が形成されることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施した装置の概略を示す横断面図である。
【図2】図1の中央縦断面図である。
【図3】対称多相交流電源の接続図である。
【図4】12相交流電位の時間変化を表す波形図である。
【図5】t=0における等電位分布図である。
【図6】t=T/8における等電位分布図である。
【図7】t=T/4における等電位分布図である。
【図8】ウエハ間隙における径方向のプラズマ密度分布図である。
【図9】ウエハ表面の窒化分布図である。
【図10】枚葉式プラズマ処理装置の説明図である。
【図11】ウエハを重ねた枚葉式プラズマ処理装置の説明図である。
【図12】円弧状分割電極を配置したバッチ式プラズマ処理装置の説明図である。
【図13】コイル状電極を巻いたバッチ式プラズマ処理装置の説明図である。
【図14】ウエハ間隙によって異なるプラズマ密度分布グラフである。
【図15】円弧状分割電極間に形成される高周波電界分布図である。
【図16】コイル状電極間に形成される高周波電界分布図である。
【符号の説明】
【0015】
1 電極
2 ウエハ
3 給電端子
4 対称多相交流電源
5 アルミ側板
6 ウエハ支え
7 石英容器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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