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明細書 :プラズマ処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5064085号 (P5064085)
公開番号 特開2008-258509 (P2008-258509A)
登録日 平成24年8月17日(2012.8.17)
発行日 平成24年10月31日(2012.10.31)
公開日 平成20年10月23日(2008.10.23)
発明の名称または考案の名称 プラズマ処理装置
国際特許分類 H01L  21/31        (2006.01)
H05H   1/24        (2006.01)
FI H01L 21/31 C
H05H 1/24
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2007-101160 (P2007-101160)
出願日 平成19年4月6日(2007.4.6)
審査請求日 平成21年10月29日(2009.10.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000236920
【氏名又は名称】富山県
発明者または考案者 【氏名】松本 和憲
【氏名】江原 遼一
【氏名】八島 伸二
個別代理人の代理人 【識別番号】100077779、【弁理士】、【氏名又は名称】牧 哲郎
【識別番号】100078260、【弁理士】、【氏名又は名称】牧 レイ子
【識別番号】100086450、【弁理士】、【氏名又は名称】菊谷 公男
審査官 【審査官】今井 淳一
参考文献・文献 特開平02-159027(JP,A)
特開平05-041358(JP,A)
調査した分野 H01L 21/31
H05H 1/24
特許請求の範囲 【請求項1】
ウエハの周辺にn枚の電極を並べてこれらの電極によりウエハを円周状に囲んでプラズマ空間を形成し、
これらの電極が並ぶ円周の内側で且つウエハの外側の領域であって、しかも隣接する電極の間に位置して絶縁体を設置し、
そして、これらの電極に対称多相交流電源を接続して、各電極に位相を1/n周期ずつずらしたn相交流電位を印加することによりウエハをプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記絶縁体が隣接する電極の間隙に沿って設置した石英製の円柱体であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記プラズマ空間に、複数個のウエハ支持リングを間隔を空けて一体的に連結して構成したリングボートを設置し、前記絶縁体はこのリングボートの外方に設置し、
そして各ウエハ支持リングの上面の内周に沿って形成した凹陥部にウエハの周縁を載せ、これにより複数枚のウエハの周縁と前記電極の間にウエハ支持リングにより隔てられた間隔を形成すると共に、複数枚のウエハを間を空けて前記プラズマ空間の中央に置くことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記凹陥部の深さをウエハの厚みと同じに形成し、ウエハ支持リングの上面とそれに載せたウエハの表面を同じ高さにすることを特徴とする請求項3記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記nが12であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放電により一度に複数枚のウエハを処理するバッチ式のプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枚葉式プラズマ処理装置は、ウエハを一枚ずつ処理するため、スループットが低下し、処理スピードに限界がある。
枚葉式に比べ、複数枚のウエハを1バッチとして一括処理できるバッチ式プラズマ処理装置は処理時間を短縮できる利点がある。
ところが従来のバッチ式プラズマ処理装置は、ウエハ間隔が狭くなるとウエハの中心部までプラズマが一様に拡散せず、ウエハ表面の全域にわたり均一の処理を施すのが困難で、しかもその困難性はウエハの大口径化に伴い増大する。
ウエハの間隔を広くすればプラズマ密度が拡散されてある程度均一化されるが、間隔を広くするとウエハの処理枚数が減少し、処理効率が低下する。
【0003】
一方、本出願人は特開平8-330079号公報に開示した多相交流放電プラズマ発生技術を応用し、位相が制御された複数の電極に電力が時間分割的に分散給電され、広範囲な領域に放電休止のない時間平均的に均一な多相交流放電によるプラズマが電源周波数で回転しながら生成されるプラズマ処理装置を先に出願し、この装置において9.5mmの狭い間隔にも拘わらずウエハ間隙にプラズマが略一様に拡散されることを確認した。
【0004】
しかしこの装置のウエハ間隙間における径方向のプラズマ密度分布を探針法により測定した結果、電極近傍のウエハ縁部のプラズマ密度に偏りがあることが分かった。
またこの装置で処理されたウエハの径方向の窒化分布をレーザ干渉法により測定した結果、プラズマ密度の偏りによりウエハ縁部の窒化膜の膜厚が縁部以外の平均より増大することも分かった。
このようなウエハ縁部は1枚のウエハ上の有効チップ数を低減し、歩留まりを悪化させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、このような多相交流放電プラズマ処理におけるウエハ縁部の不均一性の解消である。
換言すれば、本発明の目的は、ウエハ縁部を含めウエハ全体を径の大小に関係なく均一にプラズマ処理することにある。
その結果、処理したウエハの歩留まりを向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ウエハの周辺にn枚の電極を並べてこれらの電極によりウエハを円周状に囲んでプラズマ空間を形成し、電極が並ぶ円周の内側で且つウエハの外側の領域であって、しかも隣接する電極の間に位置して絶縁体を設置し、これらの電極に対称多相交流電源を接続して、各電極に位相を1/n周期ずつずらしたn相交流電位を印加することによりウエハをプラズマ処理することを第1の特徴とする。
【0007】
また、本発明は、複数個のウエハ支持リングを間隔を空けて一体的に連結して構成したリングボートを前記プラズマ空間に設置すると共に、前記の絶縁体はこのリングボートの外方に設置し、そして各ウエハ支持リングの上面の内周に沿って形成した凹陥部にウエハの周縁を載せ、これにより複数枚のウエハの周縁と前記電極の間にウエハ支持リングにより隔てられた間隔を形成すると共に、複数枚のウエハを間を空けて前記プラズマ空間の中央に置くことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、電極が並ぶ円周の内側で且つウエハの外側の領域であって、しかも隣接する電極と電極の間に位置して絶縁体を設置し、これにより絶縁体が存在しなければ電位分布が不均一になる領域でプラズマの発生をなくすため、プラズマ空間全体の電位分布が平均化され、ウエハ縁部の不均一性を解消できる。
【0009】
また、本発明は、リングボートのウエハ支持リングの上面にその内周に沿ってウエハの周縁を載せる凹陥部を形成し、これによりウエハの周縁と電極の間に間隔を形成し、且つウエハをプラズマ空間の中央に置くので、第1に、電極に近いプラズマ空間のプラズマ不均一領域におけるプラズマの発生が絶縁性のウエハ支持リングに抑制され、その周縁部の抑制効果としてプラズマ空間中央のプラズマ平均領域が拡大し、その結果、ウエハ縁部の不均一性が解消される。第2に、プラズマ空間の中央はプラズマの分布が平均しているから、そこにウエハを置くことにより、ウエハ表面の全域にわたりプラズマ密度を均一にできる。
従って、本発明によれば、ウエハ縁部を含め大径で面積が広いウエハも全体を均一にプラズマ処理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1に、本発明を実施したプラズマ処理装置の構成図を示す。
プラズマ処理装置は、12枚の電極1をリングボート2の周囲から数mm離れた位置に円周状に30°ずつずらして配置し、電極1の一端に取り付けた給電端子3を介して各電極1に対称多相交流電源4を接続し、位相が1/12周期ずつずれた12相交流電位を印加する。
電源の相数が4相以上であれば、相数が増えると電位分布の一様領域すなわち電界の一様領域は増加するが、12相以上だとその増加は飽和するため、図1の12相が実用的である。
また規格化電界(対角電極間距離と同じ距離の平行平板電極で発生する電界を100%とした場合の電界)も、4相以上ではほぼ同じで80%以上の高い電界が形成される。
各電極1は石英ガラス5で絶縁し、さらに隣接する電極1の間隙に沿って且つリングボート2の外方に絶縁体としての12本の石英パイプ6を設置する。石英パイプ6は軽量かつ堅牢で絶縁体として最適である。
なおここでは絶縁体の一例として石英パイプを用いた場合を説明したが、それには限らない。例えば石英製の円柱体でも良い。
Cは金属製の真空チャンバを示す。なお電極間の隙間は少ないほど、電界の強さが大きく好ましい。
電極1により形成される電界は、電極1間距離が狭くなった所で強く、離れた所で弱くなる。そのため隣接する電極1の間隙に沿って石英パイプ6などの絶縁体を設置すると、不均一な電位分布に因る放電・プラズマ発生をなくし、電極1近傍のプラズマ発生密度を均一にする効果がある。
【0012】
図2に、リングボートの分解斜視図を示す。
リングボート2は、全ての部材を石英で形成し、ウエハ7を載せるドーナツ状のウエハ支持リング21を所定のピッチで設置し、これら複数のウエハ支持リング21の外周に3本の支柱22を溶接して全体を一体的に組み付ける。
3本の支柱22は略90°間隔で配置し、正面を180°開放し、そこからウエハ7を挿入できるようにする。各支柱は隣接する電極間に配置する。
なお支柱22は3本に限らない。3本より多数、例えば4本や5本でも良い。
支柱22を設置する位置は、ウエハの出し入れに邪魔にならないように選定する。それ以外は各支柱間の間隔が均等になるように選定して、ウエハ支持リングを安定して支持する。
支柱22の両端は上下の天板23と底板24に固定し、天板23には左右の把手孔25を設ける。
【0013】
ウエハ支持リング21は、図3に示すように、上面の内周に沿って凹陥部aを設け、そこにウエハ7の周縁を載せる。その状態でウエハ支持リング21を真空チャンバCの上部開口より挿入する。このとき支柱22が電極1の間に来るようウエハ支持リング21の角度を調整すると、支柱22が電界の一様性の障害にならないで済む。真空チャンバCはその後図示しない蓋で密閉する。
これにより、ウエハ7の周縁と電極1の間に間隔を設けると共に、複数枚のウエハ7を間隔を空けてプラズマ空間の中央に設置する。
こうして、ウエハ7の周縁と電極1の間に間隔を設けると、プラズマ密度が不均一な電極1近傍からウエハ7の周縁部を遠ざける効果がある。
また、ウエハ7を載せる絶縁体であるウエハ支持リング21が石英パイプ6と同様の働きをし、隣接する電極1間の不均一な電位分布に因る放電・プラズマ発生をなくす効果がある。
ウエハ7は、リングボート2のウエハ支持リング21に載置して12枚の電極1に囲まれた円周内に固定する。これによりウエハ7面が電極1面に対して直角に配置される。
ここで凹陥部aの深さをウエハ7の厚みとほぼ同じ寸法に形成し、ウエハ支持リング21の上面とそれに載せたウエハ7の表面の高さを同じにすると、プラズマがウエハ支持リング21の上面を越えてウエハ7の表面にむらなく作用するので都合がよい。
【0014】
対称多相交流電源4は、12相交流の各相成分をリングボート2の周囲に配置した12枚の電極1へそれぞれ給電する。
これにより、図4に示すように、位相が1/12周期ずつずれていて振幅が同じ大きさの12相交流電位が12枚の電極1に印加される。
このとき時刻t=0における12枚の電極1に囲まれた円周内(プラズマ空間P)に形成される電界を静電近似をして電磁界シミュレータにより計算すると図5に示すようになり、電位分布の勾配が電界分布となるが、電極1のごく近傍を除いて円周内に一様な電界が形成されることが分かる。
また、Tを周期とするとt=T/8における電位分布は図6に示すようになり、t=0の電位分布とほとんど同じ形のまま、電極群電位の位相の遅れる方向に45°時計回りに回転、即ち8分の1回転する。
同様に、t=T/4における電位分布は図7に示すようになり、電位分布が90°時計回りに回転、即ち4分の1回転する。
従って、時刻の位相角度と同じ回転角度で電位分布が回転するので、電位分布が1周期の間に1回転し、1秒間に電源の周波数回だけ回転する。
以上により電位分布の勾配が電界分布となるので、電極1のごく近傍を除いて円周内に一様な電界が形成され、それが電源周波数で回転することが分かる。
ここで図5~図7のNo.1~No.12は12枚の電極1をそれぞれ示す。
【0015】
このような多相交流放電によるプラズマ生成法は、次のような特徴を持つ。
(a)低周波にも拘わらず放電休止の無い、時間変動の小さい直流的なプラズマの生成が可能となる。
(b)位相が異なる複数の電極に電力が時間分割的に分散給電され、時間平均的に広範囲の空間領域へ均一なプラズマの生成が可能(プラズマが電源周波数で回転しながら生成される)となる。
(c)周波数が低いので電源を低コストで大容量化できる。大体積のプラズマを低コストで生成可能となる。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例(測定結果)について説明する。
図8は実施例に使用した装置の断面図で、図1と同じ部分は同じ符号で示す。図1の電極1は円弧状に湾曲しているが、図8のそれは平板状で、その詳細は、図9の拡大断面図より明らかなとおり、2枚の石英ガラス55及び56で電極1を挟んだ構造になっている。このように平板な電極1を使用すると、円弧状のものより容易に加工できる。57は石英ガラス56の外側に貼り付けた放熱用の金属ベースである。
そしてまず、真空チャンバC内へ本装置(12インチウエハ7を10.2mm間隔で14枚装着)を挿入し、真空チャンバC内の空気を排気した後、窒素ガス(圧力12~13.5Pa)を注入する。
次に、電源周波数200kHzの対称多相交流電源4からプラズマ生成電力300~1000Wを供給して電極1間に放電を発生させ、探針法によりウエハ7間隙における径方向のプラズマ密度分布に等価なイオン飽和電流分布を測定した。その結果は、ウエハ7中心から縁部に向かって一様な分布となることが分かった。
また、ウエハ7表面の窒化処理実験を行った。プラズマ生成電力350Wを10分間供給してレーザ干渉法によりウエハ7の径方向の窒化分布を測定した結果、ウエハ7縁部における窒化膜の膜厚の増大量を抑制して全体的に一様な範囲に収めることができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のプラズマ処理装置の構成図である。
【図2】リングボートの分解斜視図である。
【図3】図1のA-A線に沿う断面図である。
【図4】12相交流電位の時間変化を表す波形図である。
【図5】t=0における等電位分布図である。
【図6】t=T/8における等電位分布図である。
【図7】t=T/4における等電位分布図である。
【図8】本発明のプラズマ処理装置の実施例図(断面図)である。
【図9】図8の電極の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 電極
2 リングボート
21 ウエハ支持リング
22 支柱
23 天板
24 底板
25 把手孔
3 給電端子
4 対称多相交流電源
5 石英ガラス
6 石英パイプ
7 ウエハ
a 凹陥部
C 真空チャンバ
P プラズマ空間
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8