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明細書 :投影システムの校正装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5207167号 (P5207167)
公開番号 特開2009-147480 (P2009-147480A)
登録日 平成25年3月1日(2013.3.1)
発行日 平成25年6月12日(2013.6.12)
公開日 平成21年7月2日(2009.7.2)
発明の名称または考案の名称 投影システムの校正装置
国際特許分類 H04N   5/74        (2006.01)
G03B  21/00        (2006.01)
G03B  21/56        (2006.01)
G09G   5/00        (2006.01)
FI H04N 5/74 D
G03B 21/00 D
G03B 21/56 Z
G09G 5/00 510B
G09G 5/00 550C
G09G 5/00 X
請求項の数または発明の数 5
全頁数 15
出願番号 特願2007-320345 (P2007-320345)
出願日 平成19年12月12日(2007.12.12)
審査請求日 平成22年10月8日(2010.10.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】木島 竜吾
【氏名】近藤 大祐
個別代理人の代理人 【識別番号】110000659、【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
審査官 【審査官】菅 和幸
参考文献・文献 特開2006-140831(JP,A)
特開2000-010194(JP,A)
特開2001-083949(JP,A)
国際公開第2006/025191(WO,A1)
特開2000-102036(JP,A)
特開平09-305306(JP,A)
特表2005-500578(JP,A)
調査した分野 H04N 5/66-5/74
G03B 21/00-21/30
G03B 21/56
G09G 3/00-5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
移動可能に設置される物体の表面に画像を投影して表示する投影手段を有する投影システムに適用される校正装置であって、
画像投影と同一の投影手段を用いて投影する校正用の6点以上の参照点を作成する参照点作成手段と、
投影された前記校正用の参照点の三次元位置を計測する位置計測センサとを備えており、
投影パラメータに基づき前記投影手段により投影空間に投影される参照点の三次元位置と前記位置計測センサによって入力された前記参照点の三次元位置の測定値とを比較することにより、前記投影手段によって画像の投影空間に定義される座標系と前記位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させており、
前記位置計測センサは、三次元の位置を計測する位置計測部と、該位置計測部を保持する本体部とを備え、前記位置計測部が本体部に対してオフセットされており、
前記本体部の頂点を前記参照点に接触させ、前記本体部の頂点を中心に前記位置計測センサ全体を回転させることによって、同一の前記参照点について2回以上の位置測定を行うことを特徴とする校正装置。
【請求項2】
移動可能に設置される三次元物体の表面を三次元スクリーンとして画像を投影して表示する投影手段と、該投影システムにより投影される画像を視点に応じて変化させるための視点位置センサとを有する投影システムに適用される校正装置であって、
前記視点位置センサを位置計測センサとして機能させて、計測空間に定義される座標系と画像の投影空間に定義される座標系とを整合させる処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
三次元物体の表面を三次元スクリーンとして画像を投影して表示する投影手段を有する投影システムに適用される校正装置であって、
前記三次元スクリーンである三次元物体に固定されて三次元の位置と姿勢を計測するスクリーン位置計測センサと、
画像投影と同一の投影手段による三次元物体の外形画像の投影時において、該投影画像と前記三次元物体の外形とのずれ量を操作者が目視により確認しながら入力することのできる入力手段とを備えており、
前記入力手段によって入力されたずれ量に基づいて、三次元スクリーンに定義されている局所座標系とスクリーン位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させることを特徴とする校正装置。
【請求項4】
入力手段が入力するずれ量は、三次元の座標値と回転角度であり、
入力されたずれ量をスクリーン位置計測センサのオフセット量として定義することを特徴とする請求項に記載の校正装置。
【請求項5】
三次元物体の表面を三次元スクリーンとして画像を投影して表示する投影手段を有する投影システムに適用される校正装置であって、
画像投影と同一の投影手段を用いて投影する校正用の6点以上の参照点を作成する参照点作成手段と、
投影された前記校正用の参照点の三次元位置を計測する位置計測センサと、
前記三次元スクリーンである三次元物体に固定されて三次元の位置と姿勢を計測するスクリーン位置計測センサと、
画像投影と同一の投影手段による三次元物体の外形画像の投影時において、該投影画像と前記三次元物体の外形とのずれ量を操作者が目視により確認しながら入力することのできる入力手段とを備えており、
投影パラメータに基づき前記投影手段により投影空間に投影される参照点の三次元位置と前記位置計測センサによって入力された前記参照点の三次元位置の測定値とを比較することにより、前記投影手段によって画像の投影空間に定義される座標系と前記位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させ、
前記入力手段によって入力されたずれ量に基づいて、三次元スクリーンに定義されている局所座標系とスクリーン位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させることを特徴とする校正装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ等の投影手段によって、移動可能なスクリーンに画像を投影して表示する投影システムに適用されて、画像のずれと歪みを低減するための校正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投影手段によって平面のスクリーンに画像を投影して表示する場合、投影手段の光軸がスクリーン面に対して垂直でないと、平面スクリーンに投影された画像は台形に歪んでしまい、画像の一部の焦点が合わなくなってしまう。この対策として、投影手段に画像の台形補正を行う手段を設ける技術が知られている。
【0003】
一方、任意の三次元形状を有するスクリーンの表面に画像を投影して表示する投影システムが知られている。実物体を模したスクリーンの表面に、このスクリーンと関連するような画像を重畳投影すれば、これまでの平面スクリーンを利用した投影システムでは困難であった、視覚効果の高い情報の提示が可能である。任意の三次元形状のスクリーンに歪みのない画像を投影して表示する技術が、特許文献1に開示されている。

【特許文献1】特開2001-320652号公報
【0004】
更に、このような実物体スクリーンを移動させたり、回転させたりした場合に、画像をスクリーンの動きに追従させて変化させることにより、一層効果的な情報の提示が可能となる。一例を挙げると、マネキンの表面に人体の臓器の画像を投影して、あたかも人体の内部の様子を観察しているかのように示すことができる。非特許文献1には、このような移動可能な実物体スクリーンに、投影ひずみの少ない画像を投影する技術が開示されている。

【非特許文献1】“双対レンダリングを用いた自由曲面ディスプレー”, 日本バーチャルリアリティ学会, 第7回大会論文抄録集,2002 9月,VRSJ
【0005】
非特許文献1の技術は、投影ひずみを補正するために、スクリーンとなる物体の形状と、画像の観察者の視点位置と、投影手段の位置姿勢と、スクリーンの位置姿勢とを計測し、この計測結果を用いた数値演算を行っている。具体的には、特殊な仮想空間を定義して、その仮想空間の中で、実空間における視点位置とプロジェクタ位置とを入れ替えて、各透視投影変換の逆変換を逐次行うことにより、補正された画像を生成している。このような投影ひずみを補正する一連の技術は、非特許文献1の中で、「双対レンダリング」と称されている。
【0006】
上記のように、非特許文献1に開示される、投影ひずみの少ない画像を投影する技術に於いては、プロジェクタの位置姿勢と、スクリーンとなる物体の位置姿勢と、画像の観察者の視点位置の特定が必要となっている。これらの位置姿勢を計測するために、音波や磁気等を利用して、位置情報をリアルタイムで出力することができる3次元位置計測センサが用いられる。しかしながら、このようなセンサ出力は一般に誤差を含んでいるため、画像の投影を開始する前に、センサの校正が必要となる。
【0007】
三次元位置計測センサを校正する方法として、校正ゲージを用いる方法が普及している。この方法では、スクリーンの設置領域となる実空間に全体座標系を定義し、全体座標系の中の既知の位置に校正ゲージを設置し、センサによってゲージの位置を計測し、ゲージの既知の位置情報と、センサによる計測結果とを整合させる。ゲージの既知の位置情報と、センサによる計測結果との整合を取ることで、センサの計測空間に定義される座標系と、実空間に定義される全体座標系との対応づけが行われる。校正ゲージとして使用されているものとしては、例えば、床置きの平面パネルと、そこに垂直に設置できる継ぎ足し型のポールが知られている。
【0008】
校正ゲージを用いたセンサの校正では、実空間の既知の場所にセンサを正確に配置して計測を行うために、計測を阻害しない所定の位置に校正ゲージを設置固定する必要がある。しかし、センサによって計測を行う位置は、センサに採用される歪みモデルの条件に依存しており、例えば計測点の配置が正確に等間隔でなければならない等の制約が発生する。このため従来は、校正ゲージの設置に手間がかかり、校正作業全体が煩雑なものとなっていた。
【0009】
更に、移動可能な任意の形状のスクリーンに、投影ひずみの少ない画像を投影し、スクリーンの動きに追従させて表示するには、スクリーンとなる物体の形状を予め計測して記憶しておき、そのスクリーンの所定の位置に校正を行った3次元位置計測センサを正確に固定して、スクリーン全体の位置姿勢を検出する必要がある。しかしながら、スクリーンの表面にセンサを取り付けることは画像を表示する都合上困難であり、多くの場合センサはスクリーンの内部に収容される必要がある。このため、任意の形状のスクリーンの所定の位置に三次元位置計測センサを正確に取り付けることは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
スクリーンに歪みのない画像を投影するには、スクリーンの位置姿勢と、投影手段の位置姿勢のデータが必要となる。これらの位置姿勢のデータを得るために、三次元位置計測センサが使用される。センサは、使用する前に校正作業が必要であるが、校正ゲージを用いる従来の方法は、ゲージの正確な配置と計測に非常に手間がかかっており、校正全体の効率化が求められていた。
【0011】
更に、移動可能な任意の形状のスクリーンに、投影ひずみの少ない画像を投影し、スクリーンの動きに追従させて表示する装置(以後、実体ディスプレイとも言う)を稼働させるには、スクリーンとなる物体の形状と、画像の観察者の視点位置と、投影手段の位置姿勢と、スクリーンの位置姿勢のデータが必要となる。そのためには、最初に投影手段を予め定められた位置姿勢となるように正確に設置し、次に、校正の行われた三次元位置計測センサを、スクリーンの予め定められた位置に正確に固定する必要がある。しかし、任意の形状のスクリーンの所定の位置に三次元位置計測センサを正確に取り付けることは困難であった。そこで、スクリーンに対する三次元位置計測センサの取付けが不正確であったとしても、スクリーンと投影される画像の整合がとれて、スクリーンに正確に歪みの少ない画像を投影できる技術が求められていた。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、従来必要とされた校正ゲージを用いて実空間に定義される全体座標系とセンサによる計測空間の座標系とを整合させる作業を行うことなく、より迅速かつ容易で、しかも正確に、計測空間の座標系と画像の投影空間に定義される座標系とを整合させる校正手段を提供することを目的とする。
【0013】
更に本発明は、実体ディスプレイにおいて、スクリーンに対する三次元位置計測センサの取付が不正確な位置になされた場合に於いても、スクリーンとそこに投影される画像とを整合させることができるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、移動可能に設置される物体の表面に画像を投影して表示する投影手段を有する投影システムに適用される校正装置に関する。本発明の校正装置は、画像投影と同一の投影手段を用いて投影する校正用の6点以上の参照点を作成する参照点作成手段と、投影された前記校正用の参照点の三次元位置を計測する位置計測センサとを備えており、投影パラメータに基づき前記投影手段により投影空間に投影される参照点の三次元位置と前記位置計測センサによって入力された前記参照点の三次元位置の測定値とを比較することにより、前記投影手段によって画像の投影空間に定義される座標系と前記位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させる。更に本発明の校正装置の位置計測センサは、三次元の位置を計測する位置計測部と、該位置計測部を保持する本体部とを備えている。そして、位置計測部が本体部に対してオフセットされており、該本体部の頂点を参照点に接触させ、本体部の頂点を中心に位置計測センサ全体を回転させることによって、同一の参照点について2回以上の位置測定を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の校正装置は、画像が投影される空間に定義される座標系と計測空間に定義される座標系とを直接整合させるパラメータを設定している。このパラメータが設定されることにより、計測空間上の位置がプロジェクタ上のどの画素に対応しているかを明らかにすることができる。本発明の校正装置は、位置計測センサの計測空間に定義される座標系と、実空間に定義される全体座標系との対応づけを行わないために、校正ゲージの設置が不要となっており、効率よく迅速に位置計測センサの校正を進めることが可能となっている。
【0016】
請求項2の発明における校正装置は、移動可能に設置される三次元物体の表面を三次元スクリーンとして画像を投影して表示する投影手段と、該投影システムにより投影される画像を視点に応じて変化させるための視点位置センサとを有する投影システムに適用される。本発明は、投影システムの視点位置センサを、位置計測センサとして機能させて、計測空間に定義される座標系と画像の投影空間に定義される座標系とを整合させる処理を行うことを特徴とする。
【0017】
即ち、本発明の位置計測センサは、校正が実施されたあと、画像の観察者の視点近くに配置されて、観察者の視点位置を計測して投影システムに入力する視点位置センサとして機能している。校正装置の位置計測センサが、投影システムの視点位置センサとして共用できることにより、投影システムと校正装置全体をより簡略に構成することが可能である。
【0018】
(削除)
【0019】
請求項の発明は、三次元物体の表面を三次元スクリーンとして画像を投影して表示する投影手段を有する投影システムに適用される校正装置に関する。本発明の校正装置は、三次元スクリーンである三次元物体に固定されて三次元の位置と姿勢を計測するスクリーン位置計測センサと、画像投影と同一の投影手段による三次元物体の外形画像の投影時において、該投影画像と前記三次元物体の外形とのずれ量を操作者が目視により確認しながら入力することのできる入力手段とを備えており、入力手段によって入力されたずれ量に基づいて、三次元スクリーンに定義されている局所座標系とスクリーン位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させることを特徴とする。
【0020】
本発明の校正装置は、三次元スクリーンとなる三次元物体の位置姿勢と、これに対するスクリーン位置計測センサの位置姿勢に対する相対的な位置関係を校正することにより、三次元スクリーンに定義されている局所座標系と、スクリーン位置計測センサによって計測空間に定義されている座標系とを直接整合させている。本発明の校正装置によって、三次元スクリーンとなる三次元物体の任意の位置にスクリーン位置計測センサを固定した場合であっても、これらの座標系を整合させて正確な画像の表示が可能となる。
【0021】
請求項の発明は、入力手段が入力するずれ量が三次元の座標値と回転角度であり、入力されたずれ量をスクリーン位置計測センサのオフセット量として定義することを特徴とする。
【0022】
請求項の発明は、三次元物体の表面を三次元スクリーンとして画像を投影して表示する投影手段を有する投影システムに適用される校正装置に関する。本発明の校正装置は、画像投影と同一の投影手段を用いて投影する校正用の6点以上の参照点を作成する参照点作成手段と、投影された前記校正用の参照点の三次元位置を計測する位置計測センサと、前記三次元スクリーンである三次元物体に固定されて三次元の位置と姿勢を計測するスクリーン位置計測センサと、画像投影と同一の投影手段による三次元物体の外形画像の投影時において、投影画像と三次元物体の外形とのずれ量を操作者が目視により確認しながら入力することのできる入力手段とを備えている。そして、投影パラメータに基づき投影手段により投影空間に投影される参照点の三次元位置と位置計測センサによって入力された参照点の三次元位置の測定値とを比較することにより、投影手段によって画像の投影空間に定義される座標系と位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させ、且つ入力手段によって入力されたずれ量に基づいて、三次元スクリーンに定義されている局所座標系とスクリーン位置計測センサによって計測空間に定義される座標系とを整合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の校正装置により、投影システムに於いて従来行われてきた、スクリーンの位置姿勢と投影手段の位置姿勢のデータの正確な取得のための三次元位置計測センサの校正ゲージを用いた校正を行う必要がなくなり、より簡便かつ容易に、しかも正確に画像の投影空間の座標系とセンサの計測空間の座標系とを整合させることが可能となった。
【0024】
本発明により、実体ディスプレイを構成するためにはスクリーン物体の所定の位置に正確に取り付ける必要があった三次元位置計測センサを、任意の位置に取り付けて、その後に校正することが可能となった。即ち、スクリーン物体に三次元位置計測センサをずれて取り付けた場合であっても、本発明の校正装置を適用することにより、スクリーン物体にずれや歪みのない画像を投影することが可能となった。
【0025】
本発明によって、実体ディスプレイを構成する投影手段を、投影方向を概ね合わせた状態で設置して、その後校正することにより、スクリーン物体にずれや歪みのない画像を投影することが可能となった。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明の校正装置の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施例においては、スクリーンに人間の実物大の胴体部を立体的に再現した移動可能な三次元スクリーンを使用し、そこに内臓を表現する画像データを重畳表示する実体ディスプレイに適用される校正装置について、詳細に説明する。
【0027】
図1に、本実施例に係る実体ディスプレイ10と、そこに適用される校正装置1の構成を模式的に示す図である。本実施例における校正装置1が適用される実体ディスプレイ10は、プロジェクタ2と、三次元スクリーン4を備えている。プロジェクタ2が投影する内臓の画像のデータは、接続されているコンピュータ6から供給される。コンピュータ6は、図示されない入力部と、演算処理部と、記憶部とを少なくとも備えている。コンピュータ6の記憶部には、三次元スクリーン4の表面形状のデータと、投影する内臓の画像データとが記憶されている。
【0028】
校正装置10は、校正用にプロジェクタ2から表示される校正用の参照点の位置と、視点位置を計測するための位置計測センサ12と、三次元スクリーン4に固定されて三次元スクリーン4の位置を計測するスクリーン位置計測センサ14とを備えている。位置計測センサ12と、スクリーン位置計測センサ14とは、同一の仕様を有する磁気を利用したセンサであって、磁界発生源15が発生する磁力を計測して6自由度の位置を測定して出力する。位置計測センサ12と、スクリーン位置計測センサ14が出力した位置の計測データは、校正作業中はコンピュータ6のキーボードの入力キーが確定手段となっており、入力キーが押された時点の位置の計測データがコンピュータ6に入力される。
【0029】
位置計測センサ12は、以下に詳細に述べる校正の作業が終了すると、実体ディスプレイ10の観察者の視点位置を出力する視点センサとして利用される。視点センサとして利用される時の位置計測センサ12は、図1に示すように観察者の頭部に固定されて、視点位置のデータをコンピュータ6に入力する。
【0030】
校正装置10は、更に、プロジェクタ2に投影させる校正用の参照点を生成する参照点作成手段を備えている。参照点作成手段は、投影する画像が記憶されているものと同一のコンピュータ6に、実行可能な形式で記憶されているプログラムとして構成されている。又、校正装置10は、スクリーン位置計測センサ14の校正を行うためのオフセット量入力手段16を備えている。
【0031】
図2に、本実施例における校正装置10を適用した実体ディスプレイ1の校正のフローを示す。以下、本フローチャートに従って、校正装置10によって実施される校正の手順を説明する。最初に校正装置10は、ステップS12からステップS16までの処理によって、位置計測センサ12によって計測空間に定義される座標系と、プロジェクタ2が投影する画像空間に定義される座標系とを整合させる。次に校正装置10は、ステップS18からステップS22までの処理によって、三次元スクリーン4とそこに投影される画像の位置姿勢を整合させることで、三次元スクリーン4に定義されている局所座標系と、スクリーン位置計測センサによって計測空間に定義されている座標系とを整合させる。
【0032】
ステップS2において、校正装置10の参照点作成手段は、プロジェクタ2から投影する6個の参照点18の位置を、2次元画像上の座標値D(u,v)(n=1,2,3,4,5,6) として定義する。本実施例における参照点18の配置を図3に示す。参照点は、原則として画像全体に均等に配置されるが、スクリーン上で精密な画像を投影する必要がある部分について、より参照点を密に配置することにより、より精度の高い校正を行うことが可能である。次に、参照点作成手段は、プロジェクタ2に6点の参照点を投影させる画像データを作成する。そしてプロジェクタ2によって作成した画像データを投影させる。
【0033】
作業者は、位置計測センサ12を用いて、プロジェクタ2によって空間に投影された参照点18の3次元の座標値を計測する。図4に、位置計測センサ12の詳細な構成を示す。位置計測センサ12は、略長方形で硬質の本体部20に、磁界発生源15からの磁界で位置を計測する、位置計測部として機能するレシーバ22が取り付けられている。作業者は、位置計測センサ12の1つの頂点を計測用の位置決め部と定める。そして、参照点18の中央にこの位置決め部を接触させた状態で、位置計測センサ12によって参照点18の位置を測定する。このとき、位置計測センサ12が出力する参照点18の測定位置は実質的にレシーバ22の位置となるため、正確な校正のためには、位置計測センサ12の位置決め部からレシーバ22までのオフセット量を考慮する必要がある。このオフセット量は、全ての参照点18の位置の計測値が得られた後、数値演算によって求められる。
【0034】
位置計測センサ12の位置決め部からレシーバ22までのオフセット量を演算によって求め、より正確な校正を行うためには、同一の参照点18について2回以上の位置測定を行うことが有効である。本実施例においては、1つの参照点18に、位置計測センサ12の1つの頂点の位置決め部を点接触させた状態で、まず1回目の計測を行う。更に、同一の参照点18に位置決め部を接触させた状態のまま、この位置決め部を中心に位置計測センサ12全体を適宜回転させ、参照点18の投影面に対するレシーバ22の角度が明らかに異なる位置に移動した状態で、再度同一の参照点18について2回目の位置測定を行っている。
【0035】
精度高く校正を行うために、6点の参照点18の位置は同一平面上にないことが好ましい。そのために本実施例においては、図5に示すようにまず基準台24上に参照点18の画像を投影してこのうちの3点の三次元座標を計測する。次に図6に示すように、基準台24の上に補助台26を接置してそこに異なる3点の参照点18を投影し、この三次元座標を計測する。
【0036】
上記のようにして位置計測センサ12は6点の参照点18について少なくとも2回の位置測定を行うため、ステップS14の測定によって、少なくとも12点の参照点18の位置の測定データを得ることができる。校正装置1は、ステップS14で得られた参照点18の測定値に基づいて、画像の投影空間の座標系と位置計測センサ12の座標系を整合する(ステップS16)。具体的には、投影中心、上下及び左右の画角、投影方向のベクトル画像中心と投影方向のオフセットといったプロジェクタ2の投影パラメータによって定義される画像の投影される空間の座標系と、位置計測センサ12によって計測空間に定義される座標系との整合を行う。
【0037】
以下に、画像空間の座標系と計測空間に定義される座標系との整合のために、校正装置10が実施する数値演算の内容を詳細に説明する。画像空間を定義する投影パラメータは3行4列の射影行列Mとして以下のように表記できる。
【数1】
JP0005207167B2_000002t.gif

【0038】
参照点作成手段が定義した画面上の参照点18の2次元座標を(1)式で表し、位置計測センサ12が測定した投影された参照点18の3次元座標を(2)式で表すと、以下の(3)式が成り立つ。
【数2】
JP0005207167B2_000003t.gif
【数3】
JP0005207167B2_000004t.gif
【数4】
JP0005207167B2_000005t.gif

【0039】
ここで、(3)式から6点の参照点18それぞれについて以下の2式が導かれる。
【数5】
JP0005207167B2_000006t.gif

【0040】
校正装置10は、数値演算で上式を解くことにより、Mを決定する。これにより、位置計測センサ12によって計測空間に定義される座標系と、投影パラメータによって定義される画像空間の座標系とが整合される。
【0041】
位置計測センサ12のレシーバ22から位置決め部までのオフセット量をあらかじめ以下の演算によって求めることにより、プロジェクタ2によって投影された参照点18の位置がより正確に計測され、より精度高く計測空間と画像空間とが整合される。
【0042】
校正装置10は、位置計測センサ12のレシーバ22が測定して出力する3次元の位置座標および、姿勢を示すオイラー角(Pitch,Yaw,Roll)の計6自由度のデータを利用する。位置計測センサ12のレシーバ22が出力した位置と姿勢のデータをFとする。同一の参照点18について、位置計測センサ12による最初の位置の測定値をF、レシーバ22の角度が明らかに異なる位置に移動した状態で測定した2度目の測定値をF'nとすると、FおよびF'nは、回転を表す3行3列行列Rと、並進を表す要素数3の列ベクトルTによって下の式で表される。
【数6】
JP0005207167B2_000007t.gif

【0043】
レシーバ22から位置決め部までのオフセット量を、ベクトル(s,s,s)とすると、正確な参照点18の計測空間上の位置(x,y,z)と、オフセット量と、レシーバ位置の測定値F、F'nとは、Pn=FnS=F'nSの関係にある。ここで、PnとSは、以下の式で表される。
【数7】
JP0005207167B2_000008t.gif

【0044】
nS=F'nS(n=1,2…6)から以下の式が得られる。
【数8】
JP0005207167B2_000009t.gif

【0045】
校正装置10は、数値演算で上式を解いてSを決定する。これによりレシーバ22から位置決め部までの正確なオフセット量を得ることができる。
【0046】
ステップS16の演算処理によって、プロジェクタ2が投影する画像の投影パラメータが算出され、画像の投影されている空間の座標系が定義される。そして、位置計測センサ12に定義されている三次元の座標系と、プロジェクタ2が投影する画像の座標系との整合性が取られてこれらの関連づけが行われ、位置計測センサ12の座標系とプロジェクタ2が投影する画像の空間の座標系とが1対1で対応する。
【0047】
位置計測センサ12の校正が完了すると、作業者は、人間の実物大の胴体部を立体的に再現した三次元スクリーン4に、位置計測センサ12と同じ計測座標系を定義されているスクリーン位置計測センサ14を固定する(ステップS18)。三次元スクリーン4は、予めその表面形状が精密に測定されており、その内部にスクリーン位置計測センサ14を固定することができる。しかし、自由曲面を有する三次元スクリーン4に対するスクリーン位置計測センサ14の配置を正確に定義することは難しい。このため、スクリーン位置計測センサ14に定義されている座標系に対して、三次元スクリーン4に定義される局所座標系を正確に関連づける必要がある。
【0048】
ステップS20で、本実施例の校正手段10が適用される投影装置1は、ステップS16までの操作で得られた投影パラメータと、スクリーン位置計測センサ14の位置姿勢から推定される三次元スクリーン4のおおよその位置姿勢に基づいて、三次元スクリーン4の外形画像を生成して投影を開始する。このときの外形画像は、背景とスクリーン物体の色を変えてレンダリングすることで、画像と背景の境界を明確にし、校正の作業を行い易くしている。
【0049】
ステップS20で、プロジェクタ2から三次元スクリーン4に画像28が投影される。スクリーン位置計測センサ14に対する三次元スクリーン4の位置や姿勢のずれが校正される前の状態では、これらのずれに由来して、画像28の一部が三次元スクリーン4からはみ出たり、又三次元スクリーン4に背景が写り込んでいる。
【0050】
ステップS22で、校正装置10は、作業者からの入力を受け付ける。図7に示すように、作業者は、三次元スクリーン4からの画像28の影28aのはみ出し及び背景の映り込みの方向と角度に応じて、オフセット量入力手段16に三次元の座標値と回転角度を入力する。校正装置10は、この入力された座標値と回転角度を、スクリーン位置計測センサ14の回転および並進のオフセット量として、スクリーン位置計測センサ14の座標系に対する三次元スクリーン4の局所座標系の相対位置関係を整合させる。整合の結果は投影システム1にフィードバックされて、より正確な画像28が生成される。三次元スクリーン4について、少なくとも3つの異なる位置と姿勢でステップS22の補正処理を行うことにより、スクリーン位置計測センサ14の座標系と、三次元スクリーン4に定義されている座標系の整合がとられて、座標系の関連づけが行われ、位置計測センサ14の座標系と三次元スクリーン4の空間に定義されている局所座標系とが1対1で対応する。以上の処理によって、図8に示すように、画像28の投影位置は三次元スクリーン4上の所定の位置と一致するようになる。
【0051】
以上、実施例において本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、実施例における参照点の配置は、最も簡易な6点のものについて説明したが、参照点の配置は、ディスプレイが配置される可能性が高く、より歪みの少ない画像が必要とされる場所に参照点を多数配置することで、誤差を減少させることができる。又、人間の実物大の胴体部を立体的に再現したものを三次元スクリーンとして使用したが、手足や頭部の模型をスクリーンに利用することも可能である。又、人体の模型だけではなく、建物や自動車などの縮小模型を三次元スクリーンとして用い、その内部構造を投影する実体ディスプレイにも適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、人体や動物の医療教育用の実体ディスプレイ以外にも、実物体に仮想物体が強く関連づけられたディスプレイ一般に適用が可能であり、例えば手でスクリーン物体を運動させた場合に、仮想物体がスクリーン内部に埋まるなどしてスクリーンと同様に運動する体験型ゲーム機器等に適用することが可能である。又、地層の模型や地球全体の模型といった、実物を縮小したスクリーンにその内部構造を表示するための展示物にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例の実体ディスプレイ10と、そこに適用される校正装置1の構成を模式的に示す図である。
【図2】実施例の校正装置10を適用した実体ディスプレイ1の校正のフローを示す図である。
【図3】実施例の参照点18の配置を示す図である。
【図4】実施例の位置計測センサ12の構成を示す図である。
【図5】実施例のステップS14で、基準台24上に参照点18の画像を投影して三次元座標を計測する状態を模式的に示す図である。
【図6】実施例のステップS14で、基準台24の上の補助台26に参照点18の画像を投影して三次元座標を計測する状態を模式的に示す図である。
【図7】実施例のステップS22で、オフセット量入力手段16から、作業者が回転および並進のオフセット量を入力する状態を模式的に示す図である。
【図8】実施例の校正装置10によって、校正が完了した画像28を三次元スクリーン4に投影した状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 投影システム
2 プロジェクタ
4 三次元スクリーン
6 コンピュータ
10 校正装置
12 位置計測センサ
14 スクリーン位置計測センサ
15 磁気発生源
16 オフセット量入力手段
18 参照点
20 本体部
22 レシーバ
24 基準台
26 補助台
28 画像
28a 画像の影
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
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【図8】
6
【図4】
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