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明細書 :腰部補助装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5152852号 (P5152852)
公開番号 特開2009-011818 (P2009-011818A)
登録日 平成24年12月14日(2012.12.14)
発行日 平成25年2月27日(2013.2.27)
公開日 平成21年1月22日(2009.1.22)
発明の名称または考案の名称 腰部補助装置
国際特許分類 A61G   7/10        (2006.01)
A61F   5/01        (2006.01)
FI A61G 7/10
A61F 5/01 K
請求項の数または発明の数 8
全頁数 22
出願番号 特願2008-140438 (P2008-140438)
出願日 平成20年5月29日(2008.5.29)
優先権出願番号 2007151979
優先日 平成19年6月7日(2007.6.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年4月15日(2011.4.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】小林 宏
【氏名】辻 俊明
【氏名】野崎 広和
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】田中 玲子
参考文献・文献 特開2003-265548(JP,A)
国際公開第2007/058327(WO,A1)
特開平03-165765(JP,A)
調査した分野 A61G 7/10
A61F 5/01
A61G 12/00
特許請求の範囲 【請求項1】
利用者の腰部に装着される腰装着部と、
利用者の背部に装着される背中装着部と、
前記背中装着部を前記腰装着部に利用者の前方へ傾倒可能に連結する関節部と、
作動状態において、前記背中装着部の利用者の前方への傾倒を停止させる第1アクチュエータと、
利用者の前方への傾倒時に張力が作用するワイヤまたはゴムチューブを介して前記腰装着部と連結されると共に利用者の下肢に装着される下肢装着部と、
を有することを特徴とする腰部補助装置。
【請求項2】
前記関節部は、前記背中装着部と一体化されると共に、前記腰装着部に回転可能に支持され、一方向に回転することにより前記背中装着部を利用者の前方へ傾倒させる回転体を有しており、
前記第1アクチュエータは、作動状態において、前記回転体の前記一方向への回転を停止させることを特徴とする請求項1に記載の腰部補助装置。
【請求項3】
前記第1アクチュエータは、一端側を前記回転体に他端側を前記下肢装着部に支持され、内部に空気を供給されることにより短縮する空気圧式アクチュエータとされていることを特徴とする請求項2に記載の腰部補助装置。
【請求項4】
前記下肢装着部から下方へ延設され、利用者の足底に掛けられるストッパ部材を有することを特徴とする請求項3に記載の腰部補助装置。
【請求項5】
前記回転体には、前記一方向の反対方向にかけて次第に回転半径が増加する第1アクチュエータ支持部が設けられており、
前記第1アクチュエータの一端側には、前記第1アクチュエータ支持部の周部に巻き掛けられると共に、前記第1アクチュエータ支持部の周部から前記一方向の反対方向へ巻き出されるワイヤが設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の腰部補助装置。
【請求項6】
前記第1アクチュエータは、一端を前記背中装着部に支持されて前記背中装着部から吊り下げられ、内部に空気を供給されることにより短縮する空気圧式アクチュエータとされており、
前記第1アクチュエータの他端と前記回転体とにより両端を支持されたワイヤを有することを特徴とする請求項2に記載の腰部補助装置。
【請求項7】
利用者の腹部の側方において前記背中装着部及び前記関節部の少なくとも一方に回動可能に支持された可倒式の受台と、
作動状態において、前記受台をその自重に抗して回動させることにより起立させる第2アクチュエータと、
を有することを特徴とする請求項1~請求項6の何れか1項に記載の腰部補助装置。
【請求項8】
前記第2アクチュエータは、一端を前記背中装着部に支持されて前記背中装着部から吊り下げられ、内部に空気を供給されることにより短縮する空気圧式アクチュエータとされており、
両端を前記第2アクチュエータの他端と前記受台とにより支持されたワイヤを有することを特徴とする請求項7に記載の腰部補助装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、腰部補助構造に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の前屈動作を補助するための補助装置が知られている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0003】
ところで、溶接作業等の前傾姿勢を維持した状態で行う作業時には、姿勢維持のために脊柱起立筋等の背腰部の筋肉に負担がかかる。
【0004】
しかし、上記補助装置では、利用者の前傾姿勢から直立姿勢へ上体を起こす動作の補助は行われているが、利用者の前傾姿勢維持の補助は行われていない。

【特許文献1】特開2005-339号公報
【特許文献2】特開2003-265548号公報
【特許文献3】特開平9-552号公報
【特許文献4】特開2000-51289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、利用者の前傾姿勢維持の補助を行うことが可能な腰部補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の腰部補助装置は、利用者の腰部に装着される腰装着部と、利用者の背部に装着される背中装着部と、前記背中装着部を前記腰装着部に利用者の前方へ傾倒可能に連結する関節部と、作動状態において、前記背中装着部の利用者の前方への傾倒を停止させる第1アクチュエータと、利用者の前方への傾倒時に張力が作用するワイヤまたはゴムチューブを介して前記腰装着部と連結されると共に利用者の下肢に装着される下肢装着部と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の腰部補助装置では、腰装着部が利用者の腰部に装着され、背中装着部が利用者の背部に装着される。背中装着部は、関節部により腰装着部に利用者の前方へ傾倒可能に連結されている。
【0008】
ここで、背中装着部の利用者の前方への傾倒は、作動状態のアクチュエータにより停止される。このため、利用者が前傾姿勢をとる際には、アクチュエータを作動状態にして、背中装着部を利用者の前方へ傾倒した状態で停止させることにより、利用者の上体の重みを背中装着部により支えることができる。これにより、利用者の前傾姿勢維持が補助される。
【0009】
請求項2に記載の腰部補助装置は、請求項1に記載の腰部補助装置であって、前記関節部は、前記背中装着部と一体化されると共に、前記腰装着部に回転可能に支持され、一方向に回転することにより前記背中装着部を利用者の前方へ傾倒させる回転体を有しており、前記アクチュエータは、作動状態において、前記回転体の前記一方向への回転を停止させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の腰部補助装置では、背中装着部と一体化された回転体が腰装着部に回転可能に支持されており、この回転体が一方向へ回転することにより、背中装着部が利用者の前方へ傾倒される。
【0011】
ここで、回転体の上記一方向への回転は、作動状態のアクチュエータにより停止される。このため、利用者が前傾姿勢をとる際には、アクチュエータを作動状態にして、回転体の上記一方向への回転を停止させ、背中装着部を利用者の前方へ傾倒した状態で停止させることにより、利用者の上体の重みを背中装着部により支えることができる。これにより、利用者の前傾姿勢維持が補助される。
【0012】
請求項3に記載の腰部補助装置は、請求項2に記載の腰部補助装置であって、前記アクチュエータは、一端側を前記回転体に他端側を前記下肢装着部に支持され、内部に空気を供給されることにより短縮する空気圧式アクチュエータとされていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の腰部補助装置では、空気圧式アクチュエータの一端が回転体に支持され、その他端が、下肢に装着された下肢装着部に支持されている。このため、空気圧式アクチュエータをその内部に空気を供給して短縮させることにより、空気圧式アクチュエータに張力を生じさせ、該張力により回転体の上記一方向への回転を停止させることが可能である。
【0014】
また、空気圧式アクチュエータの内部に空気を供給しない場合には、空気圧式アクチュエータに張力を生じさせずに回転体を回転自在にすることが可能である。
【0015】
請求項4に記載の腰部補助装置は、請求項3に記載の腰部補助装置であって、前記下肢装着部から下方へ延設され、利用者の足底に掛けられるストッパ部材を有することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の腰部補助装置では、下肢装着部材から下方へ延設されたストッパ部材が利用者の足底に掛けられることによって、空気式アクチュエータに生じた張力により、下肢装着部が腰部側へ引き寄せられることを防止できる。よって、空気圧式アクチュエータに生じた張力を、回転体に効率良く作用させることができる。
【0017】
請求項5に記載の腰部補助装置は、請求項3又は請求項4に記載の腰部補助装置であって、前記回転体には、前記一方向の反対方向にかけて次第に回転半径が増加するアクチュエータ支持部が設けられており、前記アクチュエータの一端側には、前記アクチュエータ支持部の周部に巻き掛けられると共に、前記アクチュエータ支持部の周部から前記一方向の反対方向へ巻き出されるワイヤが設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の腰部補助装置では、アクチュエータの一端側に設けられたワイヤが、回転体に設けられたアクチュエータ支持部の周部に巻き掛けられることにより、アクチュエータが回転体に支持されている。このワイヤは、アクチュエータの周部から一方向の反対方向へ巻き出されるため、回転体が一方向に回転した場合には、アクチュエータ支持部におけるワイヤの支点が、アクチュエータ支持部に対して相対的に一方向の反対方向へ移動する。
【0019】
ここで、アクチュエータ支持部の回転半径は、上記一方向の反対方向にかけて次第に増加している。このため、回転体が一方向に回転し、アクチュエータ支持部におけるワイヤの支点が、アクチュエータ支持部に対して相対的に一方向の反対方向へ移動した場合には、回転体の回転軸からワイヤの支点までの距離が増加し、ワイヤを介してアクチュエータから回転体に作用するトルクが増大する。
【0020】
即ち、背中装着部の前傾角度が増大すればする程、回転体の一方向への回転を止める力が増大し、背中装着部を支える力が増大する。よって、利用者の前傾角度が大きくなった場合でも、背中装着部を支持し、利用者の上体を支持することが可能である。
【0021】
請求項6に記載の腰部補助装置は、請求項2に記載の腰部補助装置であって、前記第1アクチュエータは、一端を前記背中装着部に支持されて前記背中装着部から吊り下げられ、内部に空気を供給されることにより短縮する空気圧式アクチュエータとされており、前記第1アクチュエータの他端と前記回転体とにより両端を支持されたワイヤを有することを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の腰部補助装置では、一端を背中装着部に支持された第1アクチュエータが、背中装着部から吊り下げられ、ワイヤの両端が、第1アクチュエータの他端と回転体とにより支持されている。
【0023】
ここで、第1アクチュエータは、空気圧式アクチュエータとされており、その内部に空気を供給されて短縮されることにより、自身とワイヤとに張力を発生させ、回転体の上記一方向への回転を停止させる。
【0024】
また、空気圧式アクチュエータの内部に空気を供給しない場合には、空気圧式アクチュエータとワイヤとに張力を生じさせずに回転体を回転自在にすることが可能である。
【0025】
なお、ワイヤをスライド自在に支持するアウターケーブルを用い、さらにこのアウターケーブルの両端についても背中装着部と腰装着部とにより支持される構成とすることもできる。
【0026】
腰部補助装置は、利用者の下肢に装着される下肢装着部と、前記腰装着部を前記下肢装着部に繋束する繋束部材と、を有することを特徴とするものでもよい
【0027】
上記に記載の腰部補助装置では、腰装着部が、利用者の下肢に装着された下肢装着部に、繋束部材により繋束されていることにより、腰装着部が利用者の前傾動作に追従して上側へ引き上げられることを防止できる。よって、空気圧式アクチュエータに生じた張力を、回転体に効率良く作用させることができる。
【0028】
請求項7に記載の腰部補助装置は、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の腰部補助装置であって、利用者の腹部の側方において前記背中装着部及び前記関節部の少なくとも一方に回動可能に支持された可倒式の受台と、作動状態において、前記受台をその自重に抗して回動させることにより起立させる第2アクチュエータと、を有することを特徴とする。
【0029】
請求項9に記載の腰部補助装置では、背中装着部及び関節部の少なくとも一方に回動可能に支持された可倒式の受台が、利用者の腹部の側方に配置されている。該受台は、作動状態の第2アクチュエータにより、その自重に抗して回動されて起立される。
【0030】
これにより、利用者は、任意時に、受台に腕(肘)を置いて作業したり、道具等を受台に置いたりすることが可能である。
【0031】
請求項8に記載の腰部補助装置は、請求項7に記載の腰部補助装置であって、前記第2アクチュエータは、一端を前記背中装着部に支持されて前記背中装着部から吊り下げられ、内部に空気を供給されることにより短縮する空気圧式アクチュエータとされており、両端を前記第2アクチュエータの他端と前記受台とにより支持されたワイヤを有することを特徴とする。
【0032】
請求項8に記載の腰部補助装置では、一端を背中装着部に支持された第2アクチュエータが、背中装着部から吊り下げられ、ワイヤの両端が、第2アクチュエータの他端と受台とにより支持されている。
【0033】
ここで、第2アクチュエータは、空気圧式アクチュエータとされており、その内部に空気を供給されて短縮されることにより、自身とワイヤとに張力を発生させ、受台を起立させる。
【0034】
また、空気圧式アクチュエータの内部に空気を供給しない場合には、空気圧式アクチュエータとワイヤとに張力を生じさせずに受台を自重により格納位置に移動させることが可能である。
【0035】
なお、ワイヤをスライド自在に支持するアウターケーブルを用い、さらにこのアウターケーブルの両端についても背中装着部と腰装着部とにより支持される構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように、本発明によれば、利用者の前傾姿勢維持の補助を行うことが可能な腰部補助装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、本発明の腰部補助装置の一実施形態を図1~図16に従って説明する。
【0038】
なお、説明の便宜上、図中矢印FRにて示す利用者の前方側を前側とし、上下左右の方向は、この前方側を向いてみた場合の方向を基準とする。また、この場合の左右方向は、矢印Sにて示す利用者の肩幅方向に相当する。
【0039】
図1~図4には、第1実施形態に係る腰部補助装置10が示されている。図1及び図2には、利用者が装着した状態の腰部補助装置10が示されており、図3及び図4には、未装着状態の腰部補助装置10が示されている。これらの図に示されるように、腰部補助装置10は、利用者の腰部に装着される腰装着部としての腰フレーム12と、利用者の背部に装着される背中装着部としての背中フレーム14と、腰フレーム12と背中フレーム14とを連結する関節部16と、利用者の大腿(下肢)に装着される下肢装着部としての左右一対の大腿パット18とを備えている。
【0040】
腰フレーム12は、平面視にて前方に開口した略半円状(U字状)の一対のバー12Aと、複数の直線状のシャフト12Bとにより構成されている。一対のバー12Aは、平面視にて互いに重合し、且つ、側面視にて互いに略平行となるように、複数のシャフト12Bにより結合されている。また、腰フレーム12は、その左右両端にそれぞれ連結された腰ベルト20により利用者の腰部に装着されるようになっており、その左右両端が、利用者の側腰部に位置するようになっている。
【0041】
また、腰フレーム12の左右両端には、関節部16が配設され、この関節部16を介して、背中フレーム14が連結されている。背中フレーム14は、左右一対のサイドフレーム部14Aと、左右一対のサイドフレーム部14Aを結合するセンターフレーム部14Bとにより構成されている。なお、左右一対のサイドフレーム部14Aは左右対称の構成となっている。
【0042】
サイドフレーム部14Aは、一端側を関節部16に固定され、他端側をセンターフレーム部14Bに結合されるバー14C、14Dを備えている。バー14C、14Dの一端側は共に直線状に形成され、前後に隙間を空けずに並列されており、関節部16から側腹部の位置まで延出している。また、バー14C、14Dは、側腹部の位置において略直角に後方側へ屈曲されており、側腹部の位置から後背部の位置まで延出している。また、バー14C、14Dの屈曲部から他端部にかけての部分は、上下に間隔を空けて並列されており、直線状の複数のシャフト14Eにより結合されている。
【0043】
センターフレーム部14Bは、正面視にて上側が開口したコ字状のバー14Fと、バー14Fの上部同士を結合するバー14Gとにより構成されている。バー14Fの左側下部には、左側のバー14C、14Dの他端部が結合され、バー14Fの右側下部には、右側のバー14C、14Dの他端部が結合されている。
【0044】
バー14Fの左側上部及び左側のバー14Cの一端側の直線状部にはそれぞれ左側の背中ベルト22が連結され、バー14Fの右側上部及び右側のバー14Cの一端側の直線状部にはそれぞれ右側の背中ベルト24が連結されており、該背中ベルト22、24により、サイドフレーム部14Aが、利用者の側腹部に装着され、センターフレーム部14Bが、利用者の後背部に装着される。
【0045】
また、関節部16は、腰フレーム12の左右両端部に固定されたプレート26と、プレート26から肩幅方向外方へ立設された回転シャフト28(図1及び図2に点線で図示)と、回転シャフト28に回転自在に支持された円盤状の回転体30とを備えている。なお、左右一対の関節部16は、左右対称の構成となっている。
【0046】
プレート26は、利用者の側腰部に位置し、回転シャフト28は、利用者の側腰部から肩幅方向外方へ延出している。また、回転体30の軸心には、回転シャフト28が相対回転自在に嵌合する円孔(図示省略)が形成され、回転体30の周面には、後述のワイヤ42を巻き掛けることができる溝30A(図3及び図4参照)が形成されている。なお、回転体30が円盤状であることは必須ではなく、半円盤状や楕円盤状などであってもよい。
【0047】
また、回転体30の周面には、外径方向へ延設された略U字状のフランジ部32が形成されており、このフランジ部32にバー14Cの一端部が固定されている。このため、回転体30が左側から見て反時計回り方向(請求項2の一方向に相当)へ回転することにより、背中フレーム14が同方向へ回動し、回転体30が左側から見て時計回り方向(請求項2の一方向の反対方向に相当)へ回転することにより、背中フレーム14が同方向へ回動する。
【0048】
即ち、背中フレーム14は、左右の関節部16により、腰フレーム12の左右両端に、左右方向(肩幅方向)に沿って延在する軸回りに回動可能に連結されており、これにより、背中フレーム14は、利用者の上体が前傾した場合には追従して前傾し、利用者の上体が起立した場合には追従して起立する。
【0049】
また、各大腿パット18は、変形自在な素材により略円筒状に構成されている。この大腿パット18の前側には、上下方向(大腿パット18の軸方向)に沿って延在する分割線18Aが形成されており、大腿パット18の前側は、分割線18Aを境にして左右に開くことができるようになっている。
【0050】
また、大腿パット18の上下方向中央部には、大腿ベルト34が巻き付けられている。この大腿ベルト34は、例えば、マジックテープ(登録商標)等の長尺帯状部材であり、大腿ベルト34の裏面の一端部には、大腿ベルト34の表面に接着及び剥離が自在の接着部(図示省略)が設けられており、他端部を内側に一端部を外側にし、且つ接着部を表面に接着させた状態で、大腿パット18の周囲に巻き付けられている。これにより、大腿パット18が利用者の大腿に装着されている。
【0051】
また、大腿パット18の左右の下端部には、ストッパ部材としてのゴムチューブ36の両端部がそれぞれ連結されており、U字状のゴムチューブ36が、大腿パット18から垂下されている。このゴムチューブ36の長さは、足裏に引掛けることができ、且つ、その状態で遊びがないように設定されており、ゴムチューブ36を足裏に引掛けた状態で、大腿パット18の上方へのずれが制限されるようになっている。
【0052】
また、腰部補助装置10には、アクチュエータ40が備えられている。アクチュエータ40は、空気圧式アクチュエータ(流体圧式アクチュエータ、所謂、McKibben人工筋肉)とされている。図5(A)、(B)に示すように、空気圧式アクチュエータACは、膨張収縮体であるインナーチューブICと、インナーチューブICを覆う網状の被覆体であるメッシュスリーブMSとを備えている。メッシュスリーブMSは、例えば伸縮性を持たない高張力繊維等の線材により構成されている。また、メッシュスリーブMSの長さ(軸)方向の両端部は、インナーチューブICの長さ方向の両端部に固定されている。
【0053】
図5(B)に示すように、インナーチューブICは、内部に空気が供給されることにより膨張する。そして、インナーチューブICの膨張は、メッシュスリーブMSにより空気圧式アクチュエータAC全体の長さの縮小に変換される。即ち、空気圧式アクチュエータACは、空気が供給されると、径が拡大されつつ長さが縮小される。この長さの縮小により、空気圧式アクチュエータACはその短縮方向への力Fを発生する。
【0054】
図6に示すように、アクチュエータ40には、スイッチSWを介してコンプレッサCPが接続されている。スイッチSWは、給気スイッチS1と排気スイッチS2が設けられており、給気スイッチS1がオン、且つ、排気スイッチS2がオフにされた場合には、コンプレッサCPからアクチュエータ40へ圧縮空気が供給され、排気スイッチS2がオン、且つ、給気スイッチS1がオフにされた場合には、アクチュエータ40内の空気が排気される。
【0055】
図1~図4に示すように、アクチュエータ40の一端側及び他端側にはそれぞれ、ワイヤ42、44が取り付けられている。ワイヤ42の一端部は、左側の回転体30の周面に固定され、ワイヤ42の他端部は、アクチュエータ40の一端部に固定されており、ワイヤ42の他端側が、回転体30の回転軸Xの後方側(利用者の背中側)において回転体30から垂れ下がるようになっている。即ち、アクチュエータ40の一端側は、ワイヤ42により、回転体30の回転軸Xの後方側(利用者の背中側)において回転体30に支持されている。
【0056】
ここで、アクチュエータ40は、自然長(最大長さ)の状態で、背中フレーム14が前傾しているいないに関わらず、弛む(遊びができる)ように構成され、また、短縮する際に、背中フレーム14が前傾しているいないに関わらず、張る(遊びがなくなる)ように構成されている。
【0057】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0058】
利用者が溶接作業等の前傾姿勢(上体を前傾した姿勢)での所定作業を行う際、背中フレーム14が、利用者の上体の前傾に追従して、関節部16の回転軸X回りに前方側へ回動して前傾する。また、スイッチSWの給気スイッチS1をオン、且つ排気スイッチS2をオフにした場合には、アクチュエータ40への給気が行われ、アクチュエータ40が短縮する。
【0059】
アクチュエータ40は、短縮する際に途中で遊びのない状態となって張力F(図2及び図4参照)を発生し、ワイヤ42を介して回転体30に対して左側から見て時計回り方向への回転力を付与すると共に、ワイヤ44を介して大腿パット18に対して腰部側への力を付与する。
【0060】
ここで、ワイヤ44が固定された大腿パット18は、足底に引掛けられたゴムチューブ36により腰部側へのずれ上りを防止されている。このため、回転体30は、左側から見て時計回り方向へ回転し、背中フレーム14を起立する側へ回動させる。
【0061】
そして、スイッチSWの給気スイッチS1をオフにし、排気スイッチS2をオフにすることにより、アクチュエータ40への給気が停止されてアクチュエータ40内の空気圧の上昇が停止され、アクチュエータ40の短縮が停止される。この状態において、回転体30は、アクチュエータ40の張力Fにより、左側から見て反時計回り方向へ回転不能とされ、背中フレーム14のこれ以上の前傾が阻止される。
【0062】
よって、利用者の前傾した上体の重みが背中ベルト22、24にかかった場合(前傾した上体を背中ベルト22、24に預けた場合)には、上体が背中フレーム14に吊り下げられた状態になるため、利用者は、背腰部の筋肉(脊柱起立筋等)を使うことなく、前傾姿勢を維持することが可能となる。以上により、利用者の前傾姿勢維持の補助が達成される。
【0063】
ここで、回転体30の左側から見て時計回り方向への回転は、アクチュエータ40が短縮しているいないに関わらず、自在であるため、利用者は、自由に、前傾姿勢から直立姿勢へ上体を起立させることができる。
【0064】
また、大腿パット18の前部に上下方向に沿って延在する分割線18Aが形成され、大腿パット18の前部が、分割線18Aを境にして左右に開くことができるようになっていることにより、大腿パット18に前側から大腿を着脱できるようになっている。
【0065】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0066】
図7~図9に示すように、本実施形態では、第1実施形態に備えられている回転体30に替えて回転体50が設けられている。回転体50の周面には、ワイヤ42を巻き掛けることができる溝が形成されており、該周面の一部は、回転半径R(回転軸Xから周面までの距離)が略一定の半円状とされている。この回転体50の周面の半円状部50A以外の部分は、半円状部50Aと連続的に形成され、左側から見て時計回り方向へ次第に回転半径Rを増加させる湾曲部(アクチュエータ支持部)50Bと、湾曲部50B及び半円状部50Aと連続的に形成され、左側から見て時計回り方向へ次第に回転半径Rを減少させる直線状部50Cとにより構成されている。
【0067】
図9(A)に示すように、半円状部50Aには、背中フレーム14が固定されるフランジ部32が形成されており、背中フレーム14が直立状態である場合に、半円状部50Aが回転軸Xの上側において上方へ膨出し、湾曲部50Bが回転軸Xの後方下側において後方へ膨出し、直線状部50Cが回転軸の前方下側において上下方向に延出し、さらに、湾曲部50Bと直線状部50Cとの境界部が回転軸Xの略鉛直下方に位置する。
【0068】
また、半円状部50Aの左側から見て反時計回り方向の端部には、ワイヤ42の先端部が固定され、ワイヤ42は、先端側から基端側へかけて、半円状部50A及び湾曲部50Bに対して、左側から見て時計回り方向に巻き掛けられており、湾曲部50Bから左側から見て時計回り方向へ巻き出される。
【0069】
ワイヤ42の支点P(湾曲部50Bから巻き出された部分の上端部)は、背中フレーム14が直立した状態において、湾曲部50Bの頂点(最も後方側へ膨出した点)と下端部(直線状部50Cとの境界部)との略中央部に位置している。
【0070】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0071】
図9(A)に示すように、背中フレーム14が直立した状態では、ワイヤ42の支点Pが、湾曲部50Bの頂点と下端部との略中央部に位置する。
【0072】
そして、図9(B)に示すように、背中フレーム14が直立位置から約30°前傾した場合には、回転体50が左側から見て反時計回り方向へ約30°回転するため、支点Pが回転体50に対して相対的に左側から見て時計回り方向へ回動し、湾曲部50Bの下端部側へ移動する。これにより、回転軸Xから支点Pまでの距離Lが増大し、ワイヤ42を介してアクチュエータ40から回転体50に作用するトルク(=P×L;Pは、アクチュエータ40の張力)が増大する(図10のグラフ参照)。
【0073】
そして、図9(C)に示すように、背中フレーム14がさらに約30°前傾した場合には、回転体50が左側から見て反時計回り方向へさらに約30°回転するため、支点Pが回転体50に対して相対的に左側から見て時計回り方向へさらに回動し、湾曲部50Bの下端部側へさらに移動する。これにより、上記距離Lがさらに増大し、ワイヤ42を介してアクチュエータ40から回転体50に作用するトルクがさらに増大する(図10のグラフ参照)。
【0074】
即ち、背中フレーム14の前傾角度が増大すればする程、回転体50の左側から見て時計回り方向への回転を止める力が増大し、背中フレーム14を支える力が増大する。よって、利用者の前傾角度が大きくなった場合でも、背中フレーム14を支持し、利用者の上体を支持することが可能である。
【0075】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1及び第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0076】
図11~図16には、第3実施形態に係る腰部補助装置100が示されている。図11~図14には、利用者が装着した状態の腰部補助装置100が示されており、図15及び図16には、未装着状態の腰部補助装置100が示されている。これらの図に示されるように、腰部補助装置100は、利用者の腰部に装着される腰装着部としての腰フレーム12と、利用者の背部に装着される背中装着部としての背中フレーム104と、腰フレーム12と背中フレーム14とを連結する関節部16と、利用者の大腿(下肢)に装着される下肢装着部としての左右一対の大腿パット18とを備えている。
【0077】
腰フレーム12の左右方向中央部には、腰当板102が配設されている。また、スイッチSWが腰ベルト20に取付けられている。また、大腿ベルト34は、各大腿パット18に上下2本ずつ設けられている。
【0078】
また、腰フレーム12の左後側と左側の大腿パット18の後側とは、繋束部材としてのゴムチューブ106により繋束され、腰フレーム12の右後側と右側の大腿パット18の後側とは、繋束部材としてのゴムチューブ106により繋束されており、腰フレーム12の後部の上側の移動が制限されている。
【0079】
また、背中フレーム104は、左右方向視にてL字状、前後方向視にて逆U字状のバーにより構成されており、左右両端を左右のフランジ部32により支持されている。該バーの中央部は、利用者の背部後方において略水平に延在する水平部104Aとされており、この水平部104Aには、複数(例えば、図示するように3個)のアクチュエータ収容部108が左右方向に並べて取付けられている。
【0080】
アクチュエータ収容部108は、円筒状の筒部材108Aと、筒部材108Aの一端にその開口部を塞ぐように取付けられると共に、水平部104Aに取付けられた取付ブラケット108Bと、筒部材108Aの他端にその開口中央部以外を塞ぐように取付けられたドーナツ状の取付ブラケット108Cとを備えている。
【0081】
図11~図14に示すように、筒部材108A内には、第1アクチュエータとしてのアクチュエータ40が収容されている。このアクチュエータ40の一端は、取付ブラケット108Bに固定されており、アクチュエータ40は、取付ブラケット108Bから吊り下げられている。また、取付ブラケット108Cの中央部には、アウターケーブル110の一端が固定されている。また、アクチュエータ40の他端にはワイヤ42が取付けられている。
【0082】
図11及び図12に示すように、左側のアウターケーブル110の他端は、回転シャフト28の斜め後方下側において腰フレーム12に固定されている。また、第1実施形態と同様、左側のアクチュエータ40に取付けられたワイヤ42の一端は、左側の回転体30の周面に固定されており、ワイヤ42は、回転体30の回転軸Xの後方側(利用者の背中側)において回転体30から垂れ下がるようになっている。即ち、アクチュエータ40の他端は、ワイヤ42により、回転体30の回転軸Xの後方側(利用者の背中側)において回転体30に支持されている。また、ワイヤ42は、アウターケーブル110にスライド自在に支持されている。
【0083】
ここで、左側のアクチュエータ40は、自然長(最大長さ)の状態で、背中フレーム104が前傾しているいないに関わらず、弛む(遊びができる)ように構成され、また、短縮する際に、背中フレーム104が前傾しているいないに関わらず、張る(遊びがなくなる)ように構成されている。
【0084】
また、図13~図16に示すように、回転体30の上部及び背中フレーム104の右側前端部には、長尺板状の支持部材112が、取付けられている。この支持部材112は、回転体30の上部から利用者の側腹部の側方まで延在しており、その上端部には、受台としてのアームレスト114が回動可能に連結されている。アームレスト114は、矩形板状とされており、利用者の左右方向に沿って延びる回転軸116回りに回動可能に、支持部材112の上端部に支持されている。
【0085】
ここで、回転軸116は、アームレスト114の前後方向中央部よりも後側に配置され、アームレスト114の重心が回転軸116の前方に配置されており、これにより、アームレスト114は、自重により前側へ傾倒する可倒式とされている。
【0086】
右側のアウターケーブル110の他端は、背中フレーム104の右側前端部に固定されている。また、右側のアクチュエータ40に取付けられたワイヤ42は、アウターケーブル110によりスライド自在に支持されており、その一端は、アームレスト114の後端に固定されている。
【0087】
ここで右側のアクチュエータ40は、自然長(最大長さ)の状態で、背中フレーム14が前傾しているいないに関わらず、弛む(遊びができる)ように構成され、また、短縮する際に、背中フレーム14が前傾しているいないに関わらず、張る(遊びがなくなる)ように構成されている。
【0088】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0089】
図11及び図12に示すように、利用者が溶接作業等の前傾姿勢(上体を前傾した姿勢)での所定作業を行う際、背中フレーム104が、利用者の上体の前傾に追従して、関節部16の回転軸X回りに前方側へ回動して前傾する。また、左側のアクチュエータ40用のスイッチSWの給気スイッチS1をオン、且つ排気スイッチS2をオフにした場合には、左側のアクチュエータ40への給気が行われ、左側のアクチュエータ40が短縮する。
【0090】
左側のアクチュエータ40は、短縮する際に途中で遊びのない状態となって張力F(図2及び図4参照)を発生し、左側のアウターケーブル110内でスライドするワイヤ42を介して、回転体30に対して左側から見て時計回り方向への回転力を付与する。これにより、背中フレーム14は起立する側へ回動する。
【0091】
そして、左側のアクチュエータ40用のスイッチSWの給気スイッチS1をオフにし、排気スイッチS2をオフにすることにより、左側のアクチュエータ40への給気が停止されて左側のアクチュエータ40内の空気圧の上昇が停止され、左側のアクチュエータ40の短縮が停止される。この状態において、回転体30は、左側のアクチュエータ40の張力F及び左側のワイヤ42の張力により、左側から見て反時計回り方向へ回転不能とされ、背中フレーム104のこれ以上の前傾が阻止される。
【0092】
また、腰フレーム12の左右両側の後部が、ゴムチューブ106により左右の大腿パッド18の後部に繋束されており、腰フレーム12の利用者の前傾に追従しての、左右方向に延びる軸回りの回動が阻止(制限)される。
【0093】
よって、利用者の前傾した上体の重みが背中ベルト22、24にかかった場合(前傾した上体を背中ベルト22、24に預けた場合)には、上体が背中フレーム104に吊り下げられた状態になるため、利用者は、背腰部の筋肉(脊柱起立筋等)を使うことなく、前傾姿勢を維持することが可能となる。以上により、利用者の前傾姿勢維持の補助が達成される。
【0094】
ここで、回転体30の左側から見て時計回り方向への回転は、左側のアクチュエータ40が短縮しているいないに関わらず、自在であるため、利用者は、自由に、前傾姿勢から直立姿勢へ上体を起立させることができる。
【0095】
また、図13及び図14に示すように、右側のアクチュエータ40用のスイッチSWの給気スイッチS1をオン、且つ排気スイッチS2をオフにした場合には、右側のアクチュエータ40への給気が行われ、右側のアクチュエータ40が短縮する。
【0096】
右側のアクチュエータ40は、短縮する際に途中で遊びのない状態となって張力F(図2及び図4参照)を発生し、右側のアウターケーブル110内でスライドするワイヤ42を介して、アームレスト114の後端部に対して右側から見て反時計回り方向への回転力を付与する。これにより、アームレスト114が、自重に抗して起立する側へ回動する。
【0097】
そして、右側のアクチュエータ40用のスイッチSWの給気スイッチS1をオフにし、排気スイッチS2をオフにすることにより、右側のアクチュエータ40への給気が停止されて右側のアクチュエータ40内の空気圧の上昇が停止され、右側のアクチュエータ40の短縮が停止される。この状態において、アームレスト114は、右側のアクチュエータ40の張力F及び右側のワイヤ42の張力により、右側から見て反時計回り方向へ回動不能とされ、任意位置で停止する。
【0098】
よって、利用者が前傾姿勢で作業する際等の任意時に、アームレスト114を水平状態で停止させ、水平状態のアームレスト114に肘を乗せた状態で作業を行ったり、または、水平状態のアームレスト114に工具を乗せたりすることが可能である。
【0099】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1~第3実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0100】
図17~図20には、第4実施形態に係る腰部補助装置120が示されている。腰部補助装置120は、利用者の腰部に装着される腰装着部としての腰フレーム122と、利用者の背部に装着される背中装着部としての背中フレーム124と、腰フレーム122と背中フレーム124とを連結する関節部130と、利用者の大腿(下肢)に装着される下肢装着部としての左右一対の大腿パット18とを備えている。
【0101】
腰フレーム122は、平面視にて前方に開口した略半円状(U字状)とされ、腰フレーム122の左右両端に、関節部130が配設されている。関節部130を介して、腰フレーム122が背中フレーム124と連結されている。
【0102】
図18に示すように、関節部130は、腰連結部132、フランジ部材134、軸部材136、及び、接続プレート138を備えている。腰連結部132は、方形板状のプレート部132A及び、円筒状の円筒部132Bを備えている。プレート部132Aは、板面が利用者の体側に沿うように配置され、腰フレーム122の左右両端部に各々固定されている。円筒部132Bは、プレート部132Aの板面から法線方向に突出され、肩幅方向に配置されている。
【0103】
フランジ部材134は、一対の円板の間にワイヤ巻き取り部が構成された糸巻き形状とされ、円筒部132Bが挿通される穴134Hが構成されている。フランジ部材134は、円板の一方面が腰連結部132に固定されている。
【0104】
接続プレート138は、略L字状のL字部138A、略円板状の円板部138Bを備えている。L字部138Aは、背中フレーム124の下端部にL字が前方へ向かうように配置され背中フレーム124に固定されている。円板部138Bは、L字部138Aの先端部内側に固定されている。円板部138Bには、円筒部132Bに対応する位置に穴(不図示)が構成されている。
【0105】
軸部材136は、円板状のフランジ部136A、及び、フランジ部136Aと一体的に構成されフランジ部136Aの板面から法線方向に突出する軸部136Bを備えている。軸部材136は、軸部136Bを円筒部132Bの中空に挿入した状態で、フランジ部136Aが円板部138Bの外側面に固定されている。したがって、腰連結部132及びフランジ部材134と、軸部材136及び接続プレート138とは、軸部136Bを回転軸として相対回転可能とされている。これにより、腰フレーム122と背中フレーム124とが、関節部130を介して相対回転可能となっている。
【0106】
各大腿パット18は、ゴムチューブ106により、腰フレーム122の後側に形成された環状部122Rに取り付けられている。
【0107】
背中フレーム124は、利用者の体幹に沿って互いに平行に離間して配置される2本の柱124Aと、これら2本の柱124Aの上部を架け渡すように配置される横梁124Bとで構成されている。
【0108】
背中フレーム124の2本の柱124Aの後側には、各々アクチュエータ140が配置されている。アクチュエータ140の下端側にはそれぞれ、ワイヤ140Rが取り付けられている。ワイヤ140Rの一端部は、接続プレート138の角部に配置された滑車139を介してフランジ部材134の外周面に固定され、ワイヤ140Rの他端部は、アクチュエータ140の一端部に固定されている。ワイヤ140Rの他端側は、フランジ部材134の後方側(利用者の背中側)においてフランジ部材134の下方から巻き掛けられるようになっている。
【0109】
なお、アクチュエータ140の構成ついては、アクチュエータ40と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態では、ワイヤ140Rを支持するアウターケーブルは設けられていない。アウターケーブルを設けないことにより、ワイヤ140Rとアウターケーブルとの間の摩擦がなくなり、エネルギーロスを少なくすることができる。
【0110】
図17に示すように、背中フレーム124の横梁124Bの上面中央部2箇所には、ベルト上取付部124Cが形成されている。また、腰フレーム122の屈曲部分の各々には、ベルト下取付部122Bが形成されている。ベルト上取付部124C及びベルト下取付部122Bには、2本の肩ベルト125の一端と他端が各々取り付けられている。肩ベルト125の長手方向の中間部には、連結ベルト125Aが連結されている。連結ベルト125Aは、各々の肩ベルト125の中間部から利用者の正面に向かって肩幅方向に延出され、中央部で留め具125Bにより互いに連結可能とされている。肩ベルト125は、利用者の背中から肩前を経由して腰部後側に至るようにして利用者に装着され、連結ベルト125Aは、利用者の正面側で2本の肩ベルト125を連結する。
【0111】
図19、20にも示すように、腰フレーム122の両端に取り付けられた腰連結部132の各々には、腰ベルト20、及び、腰後ベルト133が固定されている。腰ベルト20は、各々の腰連結部132の先端側から延出されており、利用者の正面付近で各々の腰ベルト20が留め具20Aにより連結可能とされている。留め具20Aには、スイッチSWが配置されている。腰後ベルト133は、一方の腰連結部132の後端側から他方の腰連結部132へ架け渡されるように、腰フレーム122の内側に沿って配置され、腰フレーム122に固定されている。
【0112】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0113】
図19及び図20に示すように、利用者が溶接作業等の前傾姿勢(上体を前傾した姿勢)での所定作業を行う際、背中フレーム124が、利用者の上体の前傾に追従して、関節部130の軸部材136の回転軸X回りに前方側へ回動して前傾する。また、アクチュエータ140用のスイッチSWの給気スイッチS1をオン、且つ排気スイッチS2をオフにした場合には、アクチュエータ140への給気が行われ、アクチュエータ140が短縮する。
【0114】
アクチュエータ140は、短縮する際に途中で遊びのない状態となって張力F4(図20参照)を発生し、ワイヤ140Rを介して、フランジ部材134に対して左側から見て時計回り方向への回転力を付与する。これにより、背中フレーム124は起立する側へ回動する。
【0115】
そして、アクチュエータ140用のスイッチSWの給気スイッチS1をオフにし、排気スイッチS2をオフにすることにより、アクチュエータ140への給気が停止されてアクチュエータ140内の空気圧の上昇が停止され、アクチュエータ140の短縮が停止される。この状態において、フランジ部材134は、アクチュエータ140の張力F4により、左側から見て反時計回り方向へ回転不能とされ、背中フレーム124のこれ以上の前傾が阻止される。
【0116】
また、腰フレーム122の左右両側の後部が、ゴムチューブ106により左右の大腿パッド18の後部に繋束されており、腰フレーム122の利用者の前傾に追従した、左右方向に延びる軸回りの回動が阻止(制限)される。
【0117】
よって、利用者の前傾した上体の重みが肩ベルト125にかかった場合(前傾した上体を肩ベルト125に預けた場合)には、上体が背中フレーム124に吊り下げられた状態になるため、利用者は、背腰部の筋肉(脊柱起立筋等)を使うことなく、前傾姿勢を維持することが可能となる。以上により、利用者の前傾姿勢維持の補助が達成される。
【0118】
また、フランジ部材134の左側から見て時計回り方向への回転は自在であり、利用者は、自由に、前傾姿勢から直立姿勢へ上体を起立させることができる。このとき、前述のように、利用者の上体は、アクチュエータ140により、支持されていることから、利用者は、重いものを持っていても、容易に直立姿勢へ上体を起立させるできることができる。
【0119】
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、本実施形態では、アクチュエータとして、空気圧式アクチュエータを用いたが、モータの作動により回転体に巻き付けられ、又は回転体から巻き出されるワイヤを、アクチュエータとして用いてもよい。また、回転体を回転不能又は回転自在とするクラッチを、アクチュエータとすることも可能である。さらに、本実施形態では、下肢装着部として、大腿に装着される大腿パット18を用いたが、大腿及び下腿に装着される装着具や膝や下腿に装着される装着具なども適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1実施形態に係る腰部補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る腰部補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図5】(A)、(B)は、本発明の第1実施形態に係る腰部補助装置が備えるアクチュエータの概略を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る腰部補助装置が備えるアクチュエータの給排気機構の概略を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図9】(A)~(C)は、本発明の第2実施形態に係る腰部補助装置が備える関節部の作用を示す側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る腰部補助装置が備える回転体の回転角度と回転体に作用するトルクとの関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第3実施形態に係る腰部補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る腰部補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る腰部補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る腰部補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図18】本発明の第4実施形態に係る腰部補助装置の一部分解斜視図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る腰部補助装置の使用状態(起立状態)を示す側面図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係る腰部補助装置の使用状態(前傾状態)を示す側面図である。
【符号の説明】
【0121】
10 腰部補助装置
12 腰フレーム(腰装着部)
14 背中フレーム(背中装着部)
16 関節部
18 大腿パット(下肢装着部)
30 回転体
36 ゴムチューブ(ストッパ部材)
40 アクチュエータ(第1アクチュエータ、第2アクチュエータ)
42 ワイヤ
50 回転体
50B 湾曲部(アクチュエータ支持部)
100 腰部補助装置
104 背中フレーム
110 アウターケーブル
114 アームレスト(受台)
122 腰フレーム(腰装着部)
124 背中フレーム(背中装着部)
130 関節部
134 フランジ部材(回転体)
140 アクチュエータ(第1アクチュエータ)
140R ワイヤ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19