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明細書 :β-アルキルオキシカルボニル化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5072029号 (P5072029)
公開番号 特開2009-215202 (P2009-215202A)
登録日 平成24年8月31日(2012.8.31)
発行日 平成24年11月14日(2012.11.14)
公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
発明の名称または考案の名称 β-アルキルオキシカルボニル化合物の製造方法
国際特許分類 C07C  67/24        (2006.01)
C07C  69/708       (2006.01)
C07C 327/22        (2006.01)
C07D 307/46        (2006.01)
C07F   7/18        (2006.01)
FI C07C 67/24
C07C 69/708 Z
C07C 327/22
C07D 307/46
C07F 7/18 Q
請求項の数または発明の数 1
全頁数 12
出願番号 特願2008-059201 (P2008-059201)
出願日 平成20年3月10日(2008.3.10)
審査請求日 平成21年5月21日(2009.5.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
【氏名】新井 謙三
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】水島 英一郎
参考文献・文献 特開昭52-102216(JP,A)
特開平03-034954(JP,A)
特開平11-217362(JP,A)
特開2001-252568(JP,A)
特開2001-252570(JP,A)
特開2003-299962(JP,A)
特開2007-238518(JP,A)
特開2008-212792(JP,A)
特開2008-222600(JP,A)
国際公開第2005/084803(WO,A1)
国際公開第2005/102979(WO,A1)
Journal of the American Chemical Society,2007年,129(26),p.8103-8111
調査した分野 C07C 327/22
C07F 7/18
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamII)
JMEDPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下式
MX
(式中、Mは、Nbを表し、Xはアルコキシド又はハロゲン化物イオンを表す。)で表される金属塩と下記一般式
【化1】
JP0005072029B2_000014t.gif
(式中、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基又はハロゲン原子を表し、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はパーフルオロアルキル基を表し、nは、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)で表される不斉配位子又はその対掌体を混合させて得られる触媒の存在下で、下式
【化2】
JP0005072029B2_000015t.gif
(Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基又は複素環基、R及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、炭素数が1~3のアルキル基を表す。)で表される非環状アセタールと下式
【化3】
JP0005072029B2_000016t.gif
(式中、R及びRは、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、R、アルコキシ基又はスルフィド基(-SR10;R10は炭化水素基を表す。)を表し、Rは、それぞれ同一であっても異なってもよく、炭化水素基を表す。)で表されるケイ素エノラートとを反応させることから成る、下式
【化4】
JP0005072029B2_000017t.gif
(式中、R、R、R、R及びRは上記で定義したとおりである。)で表される光学活性β-アルキルオキシカルボニル化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、非環状アセタールから光学活性β-アルキルオキシカルボニル化合物を直接的触媒的に不斉合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学活性β-アルキルオキシカルボニル化合物を得るためには、不斉アルドール反応によって光学活性β-ヒドロキシカルボニル化合物を合成し、これをアルキル化する手法が主流である(非特許文献1等)。しかし、この場合、アルキル置換基によっては導入しづらいものも存在し、また一般に収率が低い。また、アセタールへのケイ素エノラートの触媒的不斉付加反応の例はほとんどない(非特許文献2等)。
なお、本発明者らはこれまで様々な金属や配位子、或いは反応基質を利用した不斉触媒反応を検討してきたが、近年、光学活性ニオブ触媒を用いて効果的に光学活性1,2-ジアミン化合物を合成する方法を見いだした(特許文献1)。
【0003】

【特許文献1】特開2007-238518
【非特許文献1】Tetrahedron: Asymmetry 14 (2003) 2897-2910
【非特許文献2】Synlett 2005, 1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来合成の難しかった非環状アセタールから光学活性β-アルキルオキシカルボニル化合物を直接的触媒的に不斉合成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
今回発明者らは、非環状アセタールに対するケイ素エノラートの触媒的不斉付加反応の検討を行い、ニオブなどの金属アルコキシドと不斉配位子より調製されるキラル金属触媒(特許文献1)を用いた時に反応が効率的に進行し、β-アルキルオキシカルボニル化合物が高エナンチオ選択的に得られることを見いだした。立体選択性の制御がより困難な非環状アセタールに対する触媒的不斉付加反応として本例が初めてである。
即ち、本発明は、下式
MX
(式中、Mは、Nbを表し、Xはアルコキシド又はハロゲン化物イオンを表す。)で表される金属塩と下記一般式
【化1】
JP0005072029B2_000002t.gif
(式中、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基又はハロゲン原子を表し、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はパーフルオロアルキル基を表し、nは、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)で表される不斉配位子又はその対掌体を混合させて得られる触媒の存在下で、下式
【化2】
JP0005072029B2_000003t.gif
(Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基又は複素環基、R及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、炭素数が1~3のアルキル基を表す。)で表される非環状アセタールと下式
【化3】
JP0005072029B2_000004t.gif
(式中、R及びRは、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、R、アルコキシ基又はスルフィド基(-SR10;R10は炭化水素基を表す。)を表し、Rは、それぞれ同一であっても異なってもよく、炭化水素基を表す。)で表されるケイ素エノラートとを反応させることから成る、下式
【化4】
JP0005072029B2_000005t.gif
(式中、R、R、R、R及びRは上記で定義したとおりである。)で表される光学活性β-アルキルオキシカルボニル化合物の製造方法である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で用いる触媒は(特許文献1)一般式MXで表される金属塩と一般式(化1)で表される不斉配位子又はその対掌体を混合させて得られる。
この金属塩は一般式
MX
で表される。
Mは、Nbを表す。
Xはアルコキシド又はハロゲン化物イオンを表す。アルコキシドの炭素数は好ましくは1~4である。ハロゲン化物イオンは、Cl、Br、F又はIであり、好ましくはCl又はBrである。

【0007】
本発明の不斉配位子は下記一般式(化1)で表され、(R)-体又は(S)-体の光学活性ビナフトール骨格を含む。
【化1】
JP0005072029B2_000006t.gif
は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基又はハロゲン原子、好ましくはアルキル基又はアルコキシ基を表す。このアルキル基としては炭素数1~4の直鎖又は分岐、好ましくは分岐のアルキル基が好ましい。このアリール基としてはフェニル基が好ましい。このアルコキシ基としては炭素数1~4の直鎖又は分岐、好ましくは分岐のアルコキシ基が好ましい。このパーフルオロアルキル基の炭素数は好ましくは1~3である。nは、それぞれ独立に、0~3の整数、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1を表す。置換基Rはまずフェノール環の水酸基のオルト位の炭素上にあることが好ましい。置換基Rを微調整することにより、様々な求核付加反応に対する最適な触媒構造を構築できる。
は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はパーフルオロアルキル基、好ましくはハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を表す。このアルキル基としては炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。このアリール基としてはフェニル基が好ましい。このパーフルオロアルキル基の炭素数は好ましくは1~3である。mは、それぞれ独立に、0又は1であり、好ましくは0である。
【0008】
反応基質である非環状アセタールは、下式(化2)で表される。
【化2】
JP0005072029B2_000007t.gif
は、置換基を有していてもよい炭化水素基又は複素環基を表す。この炭化水素基としては、好ましくはアリール基又はアルケニル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基又はα若しくはβ-ナフチル基、好ましくはフェニル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、1-メチルビニル基、アリル基が挙げられる。複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基等が挙げられる。
置換基としては、特に限定はなく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、チオール基、シリルオキシ基が挙げられる。アルキル基、アルコキシル基、チオール基の炭素数は好ましくは1~3である。アリール基としてはフェニル基が好ましい。シリルオキシ基としては炭素数10以下のトリアルキルシリルオキシ基が好ましい。
及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、好ましくは同じであって、炭素数が1~3のアルキル基である。

【0009】
本発明で用いるケイ素エノラートは下式(化3)で表される。
【化3】
JP0005072029B2_000008t.gif
及びRは、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基、好ましくは水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基とアルコキシ基の炭素数は好ましくは1~3である。
、アルコキシ基又はスルフィド基(-SR10;R10は炭化水素基、好ましくは炭素数が1~4のアルキル基を表す。)、好ましくはスルフィド基を表す
は、それぞれ同一であっても異なってもよく、好ましくは同一であり、炭化水素基、好ましくは炭素数が1~3のアルキル基を表す。




【0010】
この不斉触媒反応系の調整は以下のように行うことが好ましい。
有機溶媒中で上記金属塩と不斉配位子を混合したのち適宜攪拌する。上記金属塩と不斉配位子との混合割合は、(金属塩)/(不斉配位子)の値モル比で1/1~1/2が好ましく、1/1~1/1.3がより好ましい。上記金属塩と不斉配位子との混合方法は特に限定されないが、通常、有機溶媒中で上記各成分を混合し、適宜攪拌すればよい。有機溶媒としては、炭化水素やハロゲン化炭化水素などを好適に用いることができ、特に、塩化メチレン、トルエン、又はそれらの混合溶媒が好適である。
反応液中の触媒濃度は、金属塩が0.01-0.04Mとなることが好ましい。
混合温度に特に制約はないが、室温付近で混合するのが簡便であり、その後、室温からトルエンの沸点の間の温度(好ましくは60℃付近)で熟成するのが好適である。触媒の熟成時間は、通常30分から24時間、好ましくは1~3時間の範囲である。
【0011】
最後に、このようにして調製された触媒系にケイ素エノラート溶液、続いて非環状アセタールの溶液を加える。反応基質の濃度は0.1~0.4Mが好適であり、非環状アセタールに対するケイ素エノラートのモル比は1.1~1.3が好ましい。
この反応の結果、下式のようにβ-アルキルオキシカルボニル化合物が高エナンチオ選択的に得られる。
【化5】
JP0005072029B2_000009t.gif

【実施例】
【0012】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
以下の実施例において、各種の物性は以下の機器及び方法で測定した。
(1) NMRスペクトル:JEOL-LA300又はJEOL-LA500(日本電子(株)製)
(2) IRスペクトル:JASCO FT/IR-610(日本分光(株)製)
(3) 旋光度:JASCO P-1010(日本分光(株)製)
【0013】
製造例1
この製造例では下式の(R)-3,3'-bis(2-Hydroxy-3-isopropylbenzyl)-[1,1']binaphthalene-2,2'-diol(以下「配位子4a」という。)を合成した。
【化6】
JP0005072029B2_000010t.gif

【0014】
(R)-2,2'-Bis(methoxy-methyloxy)-1,1'-binaphthalene(5.33 g, 14.23 mmol)のTHF溶液(90 mL)を-78℃に冷却し、sec-ブチルリチウムヘキサン溶液(0.99 M, 28.4 mL, 28.1 mmol)を滴下し30分攪拌した後に0℃に昇温し、さらに1時間半攪拌し後に-78℃に冷却する。ここに3-isopropyl-2-methoxymethoxybenzaldehyde (11.85 g, 56.9 mmol)のTHF溶液(30 mL)を滴下し、室温に昇温し終夜攪拌する。飽和塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を停止し、ジエチルエーテルで抽出し、合わせた有機相を水、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、(R)-(2,2'-Dimethoxy-methoxy-[1,1']binaphthyl-3-yl)-(3-isopropyl-2-methoxy-methoxyphenyl)methanol as ca. 1:1 diastereomer mixture を得る(11.28 g)。このアルコール(11.28 g)を塩化メチレン溶液(120 mL)とし0℃にて攪拌し、飽和塩化水素メタノール溶液(45 mL)を加える。30分攪拌した後に飽和重曹水を用いて反応溶液を中和し、塩化メチレンで抽出する。合わせた有機相を水で洗浄し、減圧下溶媒を留去する。残渣は精製せずに塩化メチレン(70 mL)に溶解させ、0℃に冷却した後にトリエチルシラン(8.62 g, 74.1 mmol)の塩化メチレン溶液(35 mL)、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体(10.72 g, 75.5 mmol)の塩化メチレン溶液(35 mL)を順次滴下し、0℃にて終夜攪拌する。飽和重曹水を用いて反応を停止し、塩化メチレンで抽出し、合わせた有機相を水、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、配位子4a(5.76 g, 9.89 mmol, 69 % yield in 3 steps)を得た。生成物の分析値を以下に示す。
[α]D20 +38.9(c 1.01, CHCl3). Mp 115-117℃. IR(KBr)3445, 2959, 1626, 1451, 1208, 1088, 753 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δ 1.22(d,12H, J = 8.0 Hz), 3.25(sept, 2H, J = 6.8 Hz), 4.19(d, 4H, J = 15.1 Hz), 5.67(s, 2H), 6.46(s, 2H), 6.91(dd, 2H, J = 7.5, 7.5 Hz), 7.05(d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.23(m, 6H), 7.35(dd, 2H, J = 8.0 Hz), 7.82(d, 2H, J = 8.01 Hz), 7.93(s, 2H). 13C NMR(CDCl3): δ 22.6, 22.7, 27.1, 31.5, 111.4, 120.7, 124.0, 124.6, 124.9, 125.8, 127.2, 128.1, 128.1, 128.9, 129.9, 131.3, 132.0, 135.8, 149.9, 151.1. HPLC Daicel Chiralpak AD-H, hexane/iPrOH = 19/1, flow rate = 1.0 mL/min: tR = 13.1 min(S), tR = 15.8 min(R). MS: Calcd for C40H38O4(M + Na+)605, found 605. Anal. Calcd for C15H17NO3S: C, 61.83; H, 5.88; N, 4.81. found: C, 61.86; H, 5.72; N, 4.80.
【0015】
製造例2
この製造例では下式の(R)-3,3'-bis(2-Hydroxy-3-isopropylbenzyl)-6,6'-bispentafluoroethyl-[1,1']binaphthalene-2,2'-diol(以下「配位子4b」という。)を合成した。
【化7】
JP0005072029B2_000011t.gif
(R)-2,2'-Bis(methoxy-methyloxy)-1,1'-binaphthaleneを(R)-2,2'-Bis(methoxy-methyloxy)-6,6'-bis(pentafluoroethyl)-1,1'-binaphthaleneに代えて製造例1と同様の操作により、配位子4bを得た(3.00g の原料から合成を開始。収量2.16 g, 4.90 mmol, 54 % yield in 3 steps)。生成物の分析値を以下に示す。
[α]D20 +17.2(c 1.07, CHCl3). IR(KBr)3443, 2964, 1700, 1631, 1541, 1509, 1455, 1393, 1335, 1265, 1214, 1139, 1091, 1005, 931, 824, 771, 668 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δ 1.24(apparent q, 12H, J = 3.7 Hz), 3.16(sept, 2H, J = 6.8 Hz), 4.22(dd, 4H, J = 21.5, 15.1 Hz), 6.04(brs, 4H), 6.94(t, 2H, J = 7.6 Hz), 7.13(dd, 4H, J = 11.5, 5.0 Hz), 7.23(dd, 2H, J = 7.6, 1.6 Hz), 7.37(d, 2H, J = 9.2 Hz), 8.01(s, 2H), 8.12(s, 2H). 13C NMR(CDCl3): δ 22.6, 22.7, 27.2, 31.4, 111.8, 121.2, 123.5, 124.6, 124.9, 125.1, 125.3, 127.4, 128.3, 128.6, 130.9, 132.0, 133.7, 135.1, 150.6, 152.3. HPLC Daicel Chiralpak AD-H, hexane/iPrOH = 9/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 9.4 min(S), tR = 14.0 min(R). HRMS: Calcd for C44H36F10O4(M - H+)817.2381, found 817.2379.
【0016】
実施例1~9
アルゴン雰囲気下、乾燥した反応容器に、表1に示す配位子4a又は4b(0.044 mmol)にトルエン溶液(0.50 mL)を加え、60℃で攪拌し、ニオブメトキシド(高純度化学研究所)(0.040 mmol)のトルエン溶液(0.50 mL)を加え、3時間攪拌した。室温に冷却した後、減圧条件(< 1mmHg)で30分攪拌し、溶媒を留去した。アルゴンで常圧に戻した後にトルエン(1.0 mL)を加え、10分間攪拌した後に反応溶液を-45℃に冷却し、表1に示す非環状アセタール化合物(0.40 mmol)の塩化メチレン溶液(0.50 mL)と表1に示すケイ素エノラート化合物(0.48 mmol)の塩化メチレン溶液(0.50 mL)とを順次加え、48時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止し、塩化メチレンで抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(PTLC)により精製し、対応するβ-アルキルオキシカルボニル化合物を得た。光学純度は HPLC を用い決定した。
本実施例の反応式を下式に示す。
【化8】
JP0005072029B2_000012t.gif

【0017】
結果を下表に示す。
【表1】
JP0005072029B2_000013t.gif
注) *: 溶媒としてToluene:CH2Cl2=1:1を用いた。a:major:minor=61:39
b: ee of major isomer
【0018】
以下、上記実施例で用いた原料と得られた生成物の分析値を示す。
各非環状アセタールは、市販品を用いた場合以外は、下記の方法で合成した。反応容器にアルデヒド(RCHO)(50.0 mmol)とオルト蟻酸トリメチル(8.2 mL, 75.0 mmol)とメタノール(30 mL)とパラトルエンスルホン酸一水和物(10 mg, 0.5 mmol)を室温で加え、攪拌した。反応はTLCで追跡し、アルデヒドが消失したことを確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止し、塩化メチレンで抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧条件で蒸留して非環状アセタールを得た。
各ケイ素エノラートは、文献(「不斉アルドール反応」、小林修、山下恭弘、第5版実験化学講座, 日本化学会編,丸善、第19巻,p.230,(2004))記載の方法に従って合成した。
【0019】
以下、上記実施例で用いた非環状アセタールと生成物の分析値又は入手先を示す。
(1)実施例1:
非環状アセタール:1-methoxy-4-(dimethoxymethyl)benzene(東京化成工業製)を蒸留精製して用いた。
生成物:S-ethyl 3-methoxy-3-(4-methoxyphenyl)propanethioate: [α]D16 -35.6(c 1.15, 74% ee, CHCl3). IR(KBr)2931, 1689, 1604, 1511, 1457, 1307, 1254, 1168, 1103, 1030, 977, 832, 576 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 1.23(t, 3H, J = 7.3 Hz), 2.73(dd, 1H, J = 15.1, 4.6 Hz), 2.88(q, 2H, J = 3.5 Hz), 3.04(dd, 1H, J = 15.1, 9.2 Hz), 3.18(s, 3H), 3.80(s, 3H), 4.62(q, 1H, J = 4.6 Hz), 6.88-6.89(m, 2H), 7.22-7.25(m, 2H). 13C NMR(CDCl3): δC 14.7, 23.4, 52.3, 55.2, 56.6, 79.5, 113.9, 127.8, 132.3, 159.4, 197.0. HPLC Daicel Chiralcel OJ-H, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 34.1 min, tR = 40.9 min. HRMS: Calcd for C13H19O3S(M + Na+)277.0869, found 277.0877.
【0020】
(2)実施例2:
非環状アセタール:1,2-dimethoxy-4-(dimethoxymethyl)benzene: Bp 132-135℃ (3 mmHg). 1H NMR(CDCl3): δH 3.32 (s, 6H), 3.87 (s, 3H), 3.89 (s, 3H), 5.32 (s, 1H), 6.84-6.86 (m, 1H), 6.98-7.00 (m, 2H). 13C NMR(CDCl3): δC 52.3, 55.4, 102.8, 109.2, 110.3, 118.9, 130.5, 148.5, 148.7.
生成物:S-ethyl 3-methoxy-3-(3,4-dimethoxyphenyl)propanethioate: [α]D16 -27.2 (c 1.09, 72% ee, CHCl3). IR (KBr) 2932, 2830, 1687, 1513, 1456, 1361, 1262, 1146, 1101, 1025, 913, 733 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 1.17 (t, 3H, J = 7.5 Hz), 2.67 (dd, 1H, J = 14.7, 4.5 Hz), 2.82 (dq, 2H, J = 14.7, 4.0 Hz), 2.97 (dd, 1H, J = 15.3, 9.1 Hz), 3.14 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 4.55 (q, 1H, J = 4.5 Hz), 6.77-6.79 (m, 3H). 13C NMR(CDCl3): δC 14.6, 23.3, 52.3, 55.8, 56.7, 79.8, 109.1, 110.9, 119.1, 132.8, 148.7, 149.2, 196.9. HPLC Daicel Chiralcel OJ-H, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 1.0 mL/min: tR = 36.5 min, tR = 42.6 min. HRMS: Calcd for C14H21O4S (M + Na+) 307.0975, found 307.0985.
【0021】
(3)実施例3:
非環状アセタール:1-((E)-3,3-dimethoxyprop-1-enyl)benzene: Bp 78-80℃ (3 mmHg). 1H NMR(CDCl3): δH 3.30 (s, 6H), 4.95 (q, 1H, J = 2.1 Hz), 6.15 (dd, 1H, J = 16.5, 4.8 Hz), 6.72 (d, 1H, J = 15.8 Hz), 7.25-7.41 (m, 5H). 13C NMR(CDCl3): δC 52.6, 102.6, 123.8, 128.7, 128.7, 129.4, 135.7.
生成物:(E)-S-ethyl 3-methoxy-5-phenylpent-4-enethioate: [α]D16 +2.8(c 1.16, 66% ee, CHCl3). IR(KBr)2978, 2929, 2821, 1686, 1497, 1454, 1358, 1263, 1179, 1101, 974, 751, 694 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 1.17(td 3H, J = 7.3, 1.8 Hz), 2.67(dq, 1H, J = 14.9, 2.2 Hz), 2.79-2.90(m, 3H), 3.25(s, 3H), 4.18(ddd, 1H, J = 11.2, 4.8, 3.2 Hz), 5.98(ddd, 1H, J = 15.9, 7.9, 1.5 Hz), 6.54(d, 1H, J = 16.0 Hz), 7.17-7.33(m, 5H). 13C NMR(CDCl3): δC 14.6, 23.4, 50.0, 56.6, 78.8, 126.6, 127.9, 128.6, 130.1, 136.1, 196.6. HPLC Daicel Chiralcel OJ-H, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 31.8 min, tR = 36.1 min. HRMS: Calcd for C14H19O2S(M + Na+)273.0920, found 273.0926.
【0022】
(4)実施例4:
非環状アセタール:(E)-1,1-dimethoxyhex-2-ene: Bp 45-48℃ (5 mmHg). 1H NMR(CDCl3): δH 0.91 (t, 3H, J = 7.4 Hz), 1.43 (td, 2H, J = 14.7, 7.4 Hz), 2.06 (q, 2H, J = 7.0 Hz), 3.31 (s, 6H), 4.72 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 5.45 (dd, 1H, J = 15.6, 5.4 Hz), 5.79-5.85 (m, 1H). 13C NMR(CDCl3): δC 13.5, 21.9, 34.0, 52.4, 103.2, 126.5, 135.3.
生成物:(E)-S-ethyl 3-methoxyoct-4-enethioate: [α]D16 -3.51 (c 1.03, 70% ee, CHCl3). IR (KBr) 3366, 2962, 2929, 2872, 2821, 1690, 1456, 1361, 1265, 1100, 971, 769 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 0.78 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.13 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.29 (td, 2H, J = 14.7, 7.3 Hz), 1.91 (q, 2H, J = 7.0 Hz), 2.51 (dd, 1H, J = 14.9, 5.3 Hz), 2.70-2.80 (m, 3H), 3.13 (s, 3H), 3.90 (dd, 1H, J = 13.5, 8.0 Hz), 5.16 (q, 1H, J = 7.8 Hz), 5.54-5.61 (m, 1H). 13C NMR(CDCl3): δC 13.5, 14.6, 22.1, 23.3, 34.1, 50.1, 56.0, 78.8, 128.5, 135.2, 196.8. HPLC Daicel Chiralcel OJ-H x 2, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 17.5 min, tR = 18.3 min. HRMS: Calcd for C11H20O2S (M + Na+) 239.1076, found 239.1070.
【0023】
(5)実施例5:
非環状アセタール:1-methoxy-4-(dimethoxymethyl)benzene(東京化成工業製)を蒸留精製して用いた。
生成物:S-ethyl 3-methoxy-3-phenylpropanethioate: [α]D16 -22.0(c 1.23, 57% ee, CHCl3). IR(KBr)3009, 2850, 2788, 1691, 1596, 1453, 1357, 1265, 1199, 1104, 982, 826, 749, 700, 612 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 1.23(t, 3H, J = 7.3 Hz), 2.74(dd, 1H, J = 15.1, 4.6 Hz), 2.88(ddd, 2H, J = 13.7, 6.2, 2.5 Hz), 3.04(dd, 1H, J = 15.1, 9.2 Hz), 3.21(s, 3H), 4.67(q, 1H, J = 4.4 Hz), 7.26-7.37(m, 5H). 13C NMR(CDCl3): δC 14.6, 23.4, 52.3, 56.9, 80.0, 126.7, 128.0, 128.6, 140.4, 196.9. HPLC Daicel Chiralpak AD-H, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 12.7 min, tR = 14.9 min. HRMS: Calcd for C12H17O2S(M + Na+)247.0763, found 247.0756.
【0024】
(6)実施例6:
非環状アセタール:2-(dimethoxymethyl)naphthalene: Bp 148-151℃ (3 mmHg). 1H NMR(CDCl3): δH 3.35 (s, 6H), 5.53 (s, 1H), 7.46 (q, 2H, J = 3.2 Hz), 7.54 (t, 1H, J = 4.3 Hz), 7.80-7.85 (m, 3H), 7.93 (s, 1H). 13C NMR(CDCl3): δC 52.7, 103.1, 124.3, 126.0, 126.0, 126.1, 127.6, 128.0, 128.2, 133.0, 133.4, 135.5.
生成物:S-ethyl 3-methoxy-3-(naphthalen-6-yl)propanethioate: [α]D16 -24.9 (c 1.24, 70% ee, CHCl3). IR (KBr) 3370, 2930, 2825, 1689, 1510, 1452, 1344, 1262, 1170, 1099, 968, 858, 821, 749, 707, 477 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 1.23 (t, 3H, J = 7.6 Hz), 2.81-2.93 (m, 3H), 3.14 (dd, 1H, J = 15.1, 9.2 Hz), 3.25 (s, 3H), 4.85 (q, 1H, J = 4.4 Hz), 7.44-7.51 (m, 3H), 7.77-7.86 (m, 4H). 13C NMR(CDCl3): δC 14.6, 23.4, 52.2, 57.0, 80.1, 124.0, 125.9, 126.0, 126.2, 127.7, 127.9, 128.6, 133.2, 133.2, 137.8, 196.8. HPLC Daicel Chiralcel OJ-H, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 45.7 min, tR = 48.7 min. HRMS: Calcd for C16H18O2S (M + Na+) 297.0920, found 297.0921.
【0025】
(7)実施例7:
非環状アセタール:2-(dimethoxymethyl)-5-methylfuran: Bp 64-66℃ (5 mmHg). 1H NMR(CDCl3): δH 2.30 (d, 3H, J = 3.2 Hz), 3.36 (d, 7H, J = 3.7 Hz), 5.37 (d, 1H, J = 3.2 Hz), 5.94 (s, 1H), 6.29 (t, 1H, J = 3.2 Hz). 13C NMR(CDCl3): δC 13.4, 52.7, 98.0, 105.9, 109.2, 148.8, 152.2.
生成物:S-ethyl 3-methoxy-3-(5-methylfuran-2-yl)propanethioate (3nb): [α]D16 -44.2 (c 1.29, 71% ee, CHCl3). IR (KBr) 3361, 2929, 2822, 1689, 1562, 1452, 1326, 1265, 1220, 1101, 1019, 972, 788, 756, 720 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 1.24 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 2.28 (s, 3H), 2.86-2.95 (m, 3H), 3.20 (dd, 1H, J = 15.1, 8.7 Hz), 3.26 (s, 3H), 4.64 (q, 1H, J = 4.6 Hz), 5.91 (t, 1H, J = 1.6 Hz), 6.18 (d, 1H, J = 2.7 Hz). 13C NMR(CDCl3): δC 13.6, 14.6, 23.4, 48.2, 56.5, 72.6, 105.9, 109.5, 150.3, 152.5, 196.6. HPLC Daicel Chiralpak AD-H, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 16.5 min, tR = 19.7 min. HRMS: Calcd for C11H16O3S (M + Na+) 251.0712, found 251.0716.
【0026】
(8)実施例8:
非環状アセタール:1-methoxy-4-(dimethoxymethyl)benzene(東京化成工業製)を蒸留精製して用いた。
生成物:Ethyl 3-methoxy-3-(4-methoxyphenyl)-2-methylpropanoate: IR(KBr)3439, 2984, 2936, 2823, 1733, 1611, 1512, 1461, 1372, 1303, 1247, 1174, 1092, 1033, 932, 829, 585 cm-1. 1H NMR(CDCl3): major isomer: δH 1.06(t, 3H, J = 6.9 Hz), 1.22(d, 3H, J = 6.9 Hz), 2.69(t, 1H, J = 6.9 Hz), 3.18(s, 3H), 3.78(s, 3H), 3.95(m, 2H), 4.29(d, 1H, J = 7.6 Hz), 6.84-6.85(m, 2H), 7.18-7.19(m, 2H). minor isomer: δH 0.86(d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.30(t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.71(dd, 1H, J = 9.6, 6.9 Hz), 3.13(s, 3H), 3.82(s, 3H), 4.21(m, 3H), 6.89-6.90(m, 2H), 7.21-7.23(m, 2H). 13C NMR(CDCl3): major isomer: δC 12.9, 14.0, 47.5, 55.2, 56.9, 60.2, 84.1, 113.6, 128.4, 131.7, 159.2, 174.1. minor isomer: δC 14.1, 14.2, 47.2, 55.2, 56.6, 60.4, 85.5, 113.8, 128.8, 130.9, 159.5, 174.5. HPLC Daicel Chiralcel OJ-H x 2, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 41.5 min(major isomer), tR = 49.6 min(major isomer), tR = 53.2 min(minor), tR = 58.2 min.(minor)HRMS: Calcd for C14H20O4(M + Na+)275.1254, found 275.1242.
【0027】
(9)実施例9:
非環状アセタール:1-methoxy-4-(dimethoxymethyl)benzene(東京化成工業製)を蒸留精製して用いた。
生成物:S-tert-butyl 3-methoxy-3-(4-methoxyphenyl)propanethioate: [α]D16 -15.1 (c 1.24, 55% ee, CHCl3). IR (KBr) 3204, 2959, 2826, 1683, 1610, 1511, 1459, 1359, 1299, 1249, 1171, 1102, 974, 829, 575 cm-1. 1H NMR(CDCl3): δH 1.42 (s, 9H), 2.62 (dd, 1H, J = 14.9, 8.7 Hz), 2.93 (dd, 1H, J = 14.7, 8.7 Hz), 3.17 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 4.56 (q, 1H, J = 4.6 Hz), 6.85-6.87 (m, 2H), 7.19-7.22 (m, 2H). 13C NMR(CDCl3): δC 29.7, 48.1, 52.7, 55.2, 56.7, 79.6, 113.8, 127.8, 132.4, 159.3, 197.6. HPLC Daicel Chiralpak AD-H, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate = 0.5 mL/min: tR = 17.8 min, tR = 31.4 min. HRMS: Calcd for C15H23O3S (M + Na+) 305.1182, found 305.1181.