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明細書 :ホモアリルアルコールの製造方法、及び不斉触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5077797号 (P5077797)
公開番号 特開2009-215240 (P2009-215240A)
登録日 平成24年9月7日(2012.9.7)
発行日 平成24年11月21日(2012.11.21)
公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
発明の名称または考案の名称 ホモアリルアルコールの製造方法、及び不斉触媒
国際特許分類 C07C  29/38        (2006.01)
C07C  33/30        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
C07B  41/02        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 29/38
C07C 33/30
B01J 31/22 Z
C07B 41/02 B
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願2008-061580 (P2008-061580)
出願日 平成20年3月11日(2008.3.11)
審査請求日 平成21年5月18日(2009.5.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】ウーベ シュナイダー
個別代理人の代理人 【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
審査官 【審査官】小久保 敦規
参考文献・文献 特開昭59-062539(JP,A)
特開昭63-222123(JP,A)
特開2006-265127(JP,A)
特開2008-255093(JP,A)
特開2009-242390(JP,A)
特開2010-215513(JP,A)
Angewandte Chemie, International Edition,2007年,46(31),p.5909-5912
Tetrahedron,2008年,64(2),p.319-327
Tetrahedron Letters,2006年,47(25),p.4267-4269
調査した分野 C07C 29/38
C07C 33/00
C07B 53/00
B01J 31/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
水中で、触媒として0価のインジウムの存在下、式I
【化1】
JP0005077797B2_000015t.gif
で表されるケトン(R1, R2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R1とR2は環を形成していてもよい)と、式IX
【化9】
JP0005077797B2_000016t.gif
で表されるピナコリルアリルボレート(R3は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はハロゲン基;R4は水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基)とを反応させることにより、式III
【化3】
JP0005077797B2_000017t.gif
で表されるホモアリルアルコールを得るホモアリルアルコールの製造方法であって、
さらに、式IV
【化4】
JP0005077797B2_000018t.gif
で表される不斉配位子又はこれらの鏡像異性体(R6は、水素原子又はアルキル基;R7は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R8は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R7とR8は環を形成していてもよいを共存させるホモアリルアルコールの製造方法。
【請求項2】
式IV
【化4】
JP0005077797B2_000019t.gif
表される不斉配位子又はこれらの鏡像異性体(R6は、水素原子又はアルキル基;R7は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R8は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R7とR8は環を形成していてもよ)と、0価のインジウムからなる不斉触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、ケトンを不斉アリル化するホモアリルアルコールの製造方法及び不斉触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
水中でのケトンの不斉アリル化反応は報告例がなく、従来は厳密な無水条件を必要とし、有機溶媒中で行われていた。例えば、アリルホウ素試薬を用いた不斉アリル化としては、キラル銅触媒を用いた例(非特許文献1)やキラルジオールを用いた例(非特許文献2)が報告されているが、これらはいずれも有機溶媒中での反応である。また、アリル化剤としてアリルケイ素試薬やアリルスズ試薬を有機溶媒中で用いるケトンの不斉アリル化の例も報告されているが、アリルケイ素試薬には腐食性、アリルスズ試薬には毒性があることが知られており、これらの使用は望ましいものではない。
一方、インジウムの使用例に関しては、3価のインジウム触媒存在下でアリルスズ試薬を用いる例が報告されている(非特許文献3、4)。また、不斉源として当量のアミノアルコールを必要とするBarbier型アリル化反応(非特許文献5)も報告されているが、これらはいずれも有機溶媒中の反応であり、またジアステレオ選択的反応は報告されていない。
【0003】

【非特許文献1】Wada, R.; Oisaki, K.; Kanai, M.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 8910.
【非特許文献2】Lou, S.; Moquist, P. N.; Schaus, S. E. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 12660.
【非特許文献3】Lu, J.; Hong, M.-L.;Ji, S.- J.; Teo, Y.-C.; Loh, T.-P. Chem. Commun. 2005, 4217.
【非特許文献4】Lu, J.; Ji, S.- J. Chin. J. Chem. 2006, 24, 1439.
【非特許文献5】Haddad, T. D.; Hirayama, L. C.; Taynton, P.; Singaram, B. Tetrahedron Lett.2008, 49, 508.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、インジウムを触媒に用い、水中でケトンをアリル化するホモアリルアルコールの製造方法及び不斉触媒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、0価のインジウム触媒と、ホウ素を含むアリル化剤とを用いることにより、水中でケトンのアリル化がエナンチオ選択的に進行することを見出し、本発明を完成するに至った。また、α位に置換基を有するアリル化剤を用いるとジアステレオ選択的かつα位選択的なアリル化反応も可能である。
【0006】
即ち、本発明のホモアリルアルコールの製造方法は、水中で、触媒として0価のインジウムの存在下、式I
【化1】
JP0005077797B2_000002t.gif
で表されるケトン(R1, R2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R1とR2は環を形成していてもよい)と、式IX
【化9】
JP0005077797B2_000003t.gif
で表されるピナコリルアリルボレート(R3は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はハロゲン基;R4は水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基)とを反応させることにより、式III
【化3】
JP0005077797B2_000004t.gif
で表されるホモアリルアルコールを得るホモアリルアルコールの製造方法であって、さらに、式IV
【化4】
JP0005077797B2_000005t.gif
で表される不斉配位子又はこれらの鏡像異性体(R6は、水素原子又はアルキル基;R7は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R8は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R7とR8は環を形成していてもよいを共存させる。
【0008】
本発明の不斉触媒は、式IV
【化4】
JP0005077797B2_000006t.gif
表される不斉配位子又はこれらの鏡像異性体(R6は、水素原子又はアルキル基;R7は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R8は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R7とR8は環を形成していてもよ)と、0価のインジウムからなる。



【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、0価のインジウム触媒と、ホウ素を含むアリル化剤とを用いることにより、水中でケトンのアリル化をエナンチオ選択的に行うことができる。α位に置換基を有するアリル化剤を用いるとジアステレオ選択的かつα位選択的なアリル化反応も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、0価のインジウム触媒と、ホウ素を含むアリル化剤とを用いることにより、水中でケトンをアリル化するものである。
ホウ素を含むアリル化剤としては、以下の式II
式II
【化2】
JP0005077797B2_000007t.gif
で表されるアリルボロネート又はα-置換アリルボロネート(R3は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、アルコキシ基、又はハロゲン基;R4は水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R5はアルキル基)を用いる。
ここで、式II において、R4が水素原子の場合は(α-無置換の)アリルボロネートであり、R4が水素原子以外の場合はα-置換アリルボロネートである。(α-無置換の)アリルボロネートは、後述する不斉配位子を用いるエナンチオ選択的反応に主に利用されるので、後述する不斉配位子と併用するのが好ましい。α-置換アリルボロネートは、ジアステレオ選択的かつα位選択的なアリル化反応に主に利用される。
R3は、望ましくはアルキル基又は水素原子である。R4は好ましくはアルキル基又は水素原子である。R5は好ましくは式VIで表される化合物である。
【0011】
式IIの化合物として、特に、
【化6】
JP0005077797B2_000008t.gif
で表される化合物を用いることが好ましい。
【0012】
ケトンとしては、式I
【化1】
JP0005077797B2_000009t.gif
で表されるケトン(R1, R2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R1とR2は環を形成していてもよい)を用いる。R1, R2のうち望ましくは一方が芳香族基である。
ケトンとしては、例えば、環式ケトン、非環式ケトン、芳香族ケトン、複素環ケトン、脂肪族ケトン等を用いることができる。つまり本発明は、広い基質一般性を有する。又、ケトンとしては、アミノ基、水酸基、メトキシ基、クロロ基、ブロモ基、ニトロ基、アミド基などの種々の官能基を構造に含むものを用いることができる。
特に、アセトフェノンを用いることが好ましい。
【0013】
ケトンのアリル化の触媒として、前記ケトンに対し1~20mol%の0価のインジウムを用いる。前記ケトンに対するインジウムの量は、好ましくは0.1~20mol%である。
0価のインジウムを触媒として用いると、0価のインジウムがα-置換アリルボロネートのホウ素原子と置換する(トランスメタル化)ことで高活性なアリルインジウムが生成するか、又は、インジウムから一電子がホウ素に移動することによりラジカル機構で反応が進行していると考えられる。
【0014】
本発明において、反応溶媒は水であり、水中の各成分の濃度はそれぞれ0.01~5mol/lであることが好ましい。但し、ケトンに対するアリルボロネートの当量は好ましくは1~2当量、より好ましくは1.1~1.5当量である。
この反応の温度は、好ましくは0~50℃であり、より好ましくは0~30℃である。
この反応時間は、好ましくは0~48時間程度であり、より好ましくは8~24時間程度である。
この反応系には上記成分のほか、適宜、触媒や界面活性剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
【0015】
本発明の製造方法によって得られるホモアリルアルコールは、
式III
【化3】
JP0005077797B2_000010t.gif
で表される。本発明によれば、アリル化がエナンチオ選択的に進行する。又、α位に置換基を有するアリル化剤を用いることにより、ジアステレオ選択的かつα位選択的なアリル化反応が進行する。
ホモアリルアルコールとしては、R1がフェニル基、R2がメチル基、R3=H、R4=Me又はHのものを例示することができる。
生成物は、抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の一般的精製法を利用して回収できる。
【0016】
反応系に、さらに、式IV
【化4】
JP0005077797B2_000011t.gif
又は、式V
【化5】
JP0005077797B2_000012t.gif
で表される不斉配位子又はこれらの鏡像異性体(R6は、水素原子又はアルキル基;R7は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R8は、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基;R7とR8は環を形成していてもよい;R9は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基;R10はシアノ基またはアミノ基)を共存させて反応を行うことが好ましい。
上記不斉配位子を加えると、エナンチオ選択的な反応が可能になる。
R7は好ましくはフェニル基である。R8は、好ましくは水素原子又はフェニル基である。R9は、好ましくはフェニル基である。
【0017】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【0018】
なお、以下の各実施例において、特に記載しない限り、NMRスペクトルはNMR装置(型式JEOL JNM-ECX400、日本電子社製)を用い、重クロロホルムを溶媒として測定した。1H NMRではテトラメチルシラン(TMS; d = 0.00 ppm)を、13C NMRでは非重水素化溶媒シグナル(CDCl3; d = 77.00 ppm)を内部標準とした。IRはIR装置(型式JASCO FT/IR-610、日本分光社製)を用いて測定した。ESI高分解能質量分析スペクトル(ESI-HRMS)はHRMS 装置(型式BRUKER DALTONICS BioTOF II、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いて測定した。分取薄層クロマトグラフィーは薄層クロマトグラフィー装置(型式Wakogel B-5F、和光純薬工業社製)を用いて行った。
ケトンは市販品を使用前に蒸留精製して用いた。ピナコリルアリルボレートは文献(Y.-C. Teo, J.-D. Goh, T.-P. Loh, Org. Lett. 2005, 7, 2743-2745.)の方法を改良して調製した。ピナコリルa-メチルアリルボレートは文献(R. Wada, K. Oisaki, M. Kanai, M. Shibasaki, J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 8910-8911)の方法で調製した。金属インジウム(100 mesh-powder; 99.99%)はAldrich社から購入したものをそのまま用いた。
【実施例1】
【0019】
1)ケトンとピナコリルアリルボレートの不斉アリル化反応の一般操作
撹拌子を入れた3 mLのスクリューバイアルに0価のインジウム(2.9 mg; 5mol%) およびインダ-ビス(オキサゾリン)配位子((+)-2,2'-methylenebis[(3aR,8aS)-3a,8a-dihydro-8H-indeno[1,2-d]oxazole] 8.3 mg; 5mol%)を加えた。これにケトン(0.5mmol) およびピナコリルアリルボレート(0.75 mmol; 1.5equiv)を順に加え、純水(Millipore製、0.5 mL; 1 M)を加えた。10度で24時間激しく撹拌した後、塩化メチレンを加え、有機相を分離したのち、水相から塩化メチレンで3回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後に減圧濃縮した。得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル = 19:1 - 5:1)で精製し、生成物である三級ホモアリルアルコールを得た。
【0020】
この反応は原料のケトンとしてアセトフェノンを用い、15℃で反応を行い、以下の無色液体の生成物(2-Phenylpent-4-en-2-ol)を、収率68%、52% eeで得た。
【化7】
JP0005077797B2_000013t.gif
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 1.55 (s, 3H), 2.08 (br s, 1H), 2.50 (dd, J = 8.4 Hz, J = 13.2 Hz, 1H), 2.69 (dd, J = 6.4 Hz, J = 13.2 Hz, 1H), 5.11-5.16 (m, 2H), 5.57-5.68 (m, 1H), 7.22-7.45 (m, 5H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ= 29.87, 48.43, 73.59, 119.44, 124.73, 126.59, 128.14, 133.65, 147.61; IR (neat): n = 3433, 3075, 2978, 2930, 1639, 1494, 1446, 1374, 1069, 999, 915, 866, 767, 700, 658, 567 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C11H13+ = [M-OH]+: m/z = 145.1012, found: m/z = 145.1018; HPLC (DAICEL CHIRALPAK OJ-H, hexane/2-propanol = 98/2, 0.8 mL/min) tR = 15.2 min (minor), 18.0 min (major).
【実施例2】
【0021】
2)ケトンとピナコリルα-メチルアリルボレートのジアステレオ選択的アリル化反応の一般操作
撹拌子を入れた3 mLのスクリューバイアルに0価のインジウム(2.9 mg; 5 mol%)を加えた。これに純水(Millipore製、0.5 mL; 1 M)を加え、ケトン(0.5 mmol) およびピナコリルa-メチルアリルボレート(0.55 mmol; 1.1 equiv)を順に加え、純水(Millipore製、0.5 mL; 1 M)を加えた。指定された温度で24時間激しく撹拌した後、塩化メチレンを加え、有機相を分離したのち、水相から塩化メチレンで3回抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後に減圧濃縮した。得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル = 19:1 - 5:1)で精製し、生成物であるα-置換三級ホモアリルアルコールを得た。
【0022】
この反応は原料のケトンとしてアセトフェノンを用い、0℃で反応を行い、以下の無色液体の生成物(3-Methyl-2-phenylpent-4-en-2-ol)を、収率98%、syn/anti = >50:1で得た。
【化8】
JP0005077797B2_000014t.gif
syn-isomer: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 0.85 (d, J = 7.5 Hz, 3H), 1.57 (s, 3H), 1.91 (s, 1H), 2.59 (quint, J = 7.5 Hz, 1H), 5.11-5.16 (m, 2H), 5.80-5.88 (m, 1H), 7.22-7.45 (m, 5H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ= 14.78, 28.50, 48.94, 75.70, 116.3, 125.2, 126.4, 127.9, 139.9, 146.9; HRMS (ESI) calcd. for C12H15+ = [M-OH]+: m/z = 159.1168, found: m/z = 159.117;
anti-isomer: 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 0.99 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.55 (s, 3H), 2.00 (s, 1H), 2.60 (quint, J = 7.5 Hz, 1H), 5.10-5.16 (m, 2H), 5.70-5.76 (m, 1H), 7.22-7.45 (m, 5H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ= 14.09, 25.85, 48.7, 75.75, 116.6, 125.4, 126.6, 127.9, 139.9, 147.0; HRMS (ESI) calcd. for C12H15+ = [M-OH]+: m/z = 159.1168, found: m/z = 159.1161.