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明細書 :窒素含有複素環化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5053895号 (P5053895)
公開番号 特開2009-215245 (P2009-215245A)
登録日 平成24年8月3日(2012.8.3)
発行日 平成24年10月24日(2012.10.24)
公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
発明の名称または考案の名称 窒素含有複素環化合物の製造方法
国際特許分類 C07D 265/10        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
B01J  31/12        (2006.01)
FI C07D 265/10
C07B 61/00 300
B01J 31/12 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2008-061784 (P2008-061784)
出願日 平成20年3月11日(2008.3.11)
審査請求日 平成21年2月17日(2009.2.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】松原 亮介
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】新留 素子
参考文献・文献 国際公開第2005/070864(WO,A1)
特開昭63-301853(JP,A)
Bioorganic Chemistry,1977年,6(4),453-63
Tetrahedron Letters,1977年,33,2835-8
Tetrahedron Letters ,1974年,9,717-20
Angewandte Chemie, International Edition,2006年,45(23) ,3814-3816
調査した分野 C07D 265/00~265/38
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(1)、
【化1】
JP0005053895B2_000008t.gif
(式中、R及びRは水素原子を表し、R及びRは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)
で表されるエンカルバメートと、次の一般式(2)、
【化2】
JP0005053895B2_000009t.gif
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)
で表されるアルデヒドとを、M(OR)n(式中、MはZrを表し、Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、nは金属Mの原子価に一致する数を表す。)で表されるジルコニウムアルコキシドの存在下で反応させることを特徴とする、次の一般式(3)、
【化3】
JP0005053895B2_000010t.gif
(式中、R及びRは水素原子を表し、R及びRは置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)
で表される[1,3]-2-オキサジナノン誘導体を製造する方法。
【請求項2】
ジルコニウムアルコキシドが、Zr(OtBu)である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エンカルバメートとアルデヒドとの反応が、さらに、光学活性化合物の存在下で反応させる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
光学活性化合物が、次の式(4)、
【化4】
JP0005053895B2_000011t.gif
で表されるH8-BINOLである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
一般式(3)で表される[1,3]-2-オキサジナノン誘導体の製造方法が、エナンチオ選択的な方法である請求項3又は4に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、エンカルバメートと、アルデヒドとを、金属原子アルコキシドの存在下で反応させることを特徴とするアルデヒド付加体を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、アルデヒド付加体として[1,3]-2-オキサジナノン誘導体のような窒素含有複素環化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
求核置換反応や求核付加反応などの求核反応は、新たな炭素-炭素結合を生成する反応として、また、炭素-炭素結合の生成と同時にβ位に官能基を導入することができることから、各種の有機化合物の製造方法に応用されてきている重要な反応である。近年では、より選択的な求核反応を行うための各種の求核試薬が検討されて来ている。特に立体選択的な観点から、新たな求核試薬の開発が求められてきている。
本発明者らは、カルバメートの窒素原子のα位に炭素-炭素二重結合を有するエンカルバメートが、エナンチオ選択的な不斉反応において、アルデヒドやケトンに対する効率的な求核剤となることを報告してきた(特許文献1~2、及び非特許文献1~8参照)。例えば、エンカルバメートとα-イミノカルボン酸類との反応(非特許文献1及び3参照)、エンカルバメートとアルデヒド類やケトン類との反応(特許文献1、並びに非特許文献2、4及び5参照)、イミノホスホネートとの反応(非特許文献6参照)、アゾジカルボン酸類との反応(非特許文献7参照)、エンカルバメートを用いたマイケル型の求核付加反応(特許文献2、及び非特許文献8参照)などを報告してきた。しかし、エンカルバメートの求核性は比較的低く、他の反応における求核剤となるかどうかということについては、さらに研究が必要であるとされている。
【0003】
このように、これまでの報告では、エンカルバメートの求核付加反応においては、活性化された求電子剤(例えば、エチルグリオキシレート、フェニルグリオギザール、アゾジカルボキシレート、イミノエステル、アシルイミン)しか用いることが出来なかった。これは、エンカルバメートの低い求核性に由来する。エンカルバメートは、求核性は低いが選択性に優れた求核性であり、しかもカルボニル基やアミノ基や水酸基といった官能基を同時に導入することができる有用な求核剤であるが、用いることの出来る求電子剤に制限があった。このような求核剤としてのエンカルバメートに対する基質の範囲を広げることが求められている。
【0004】

【特許文献1】特開2007-238525号公報
【特許文献2】特開2006-206550号公報
【非特許文献1】Angew. Chem. Int. Ed., 43, 1679-1681 (2004).
【非特許文献2】Angew. Chem. Int. Ed., 43, 3258-3260 (2004).
【非特許文献3】Tetrahedron, 60, 9769-9784 (2004).
【非特許文献4】Org. Biomol. Chem., 3, 2910-2913 (2005).
【非特許文献5】Angew. Chem. Int. Ed,. 45, 3814-3816 (2006).
【非特許文献6】Org. Lett., 8, 5333-5335 (2006).
【非特許文献7】Angew. Chem. Int. Ed., 45, 7993-7995 (2006).
【非特許文献8】Angew. Chem. Int. Ed., 46, 7803-7805(2007).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来エンカルバメートに対する反応性が無い、又は極めて低いと考えられていたアルデヒド類とエンカルバメートとを反応させる方法を提供するものである。また、本発明は、エンカルバメートとアルデヒド類との反応による窒素含有複素環化合物の新たな製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エンカルバメートは有用な求核剤であるが、これまでは、用いることの出来る求電子剤に制限があった。
本発明者らは、エンカルバメートを活性化することで、従来反応性が低いアルデヒドと考えられていたアルデヒド類とエンカルバメートを反応させる方法を検討してきたところ、金属アルコキシド類、特にジルコニウムのアルコキシドがエンカルバメートの反応性を活性化させて、反応性の低いアルデヒド(例えばベンズアルデヒド)とエンカルバメートを反応させることができることを見出した。
反応性の低いアルデヒドとエンカルバメートを反応させ、温和な条件下で収率良く付加体が得られることが見出された。また、本反応を用いると、特徴的な窒素含有複素環化合物を簡便に合成することが出来ることも見出された。
即ち、本発明は、次の一般式(1)、
【0007】
【化5】
JP0005053895B2_000002t.gif

【0008】
(式中、R及びRは水素原子、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R及びRは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)
で表されるエンカルバメートと、次の一般式(2)、
【0009】
【化6】
JP0005053895B2_000003t.gif

【0010】
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)
で表されるアルデヒドとを、M(OR)n(式中、Mは金属原子を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、nは金属Mの原子価に一致する数を表す。)で表される金属アルコキシドの存在下で反応させることを特徴とするアルデヒド付加体、好ましくは、次の一般式(3)、
【0011】
【化7】
JP0005053895B2_000004t.gif

【0012】
(式中、R及びRは水素原子、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R及びRは置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)
で表される[1,3]-2-オキサジナノン誘導体であるアルデヒド付加体を製造する方法に関する。
【0013】
本発明の方法を、より詳細に説明すれば以下のとおりである。
(1)前記した一般式(1)で表されるエンカルバメートと、前記した一般式(2)で表されるアルデヒドとを、M(OR)n(式中、Mは金属原子を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、nは金属Mの原子価に一致する数を表す。)で表される金属アルコキシドの存在下で反応させることを特徴とするアルデヒド付加体を製造する方法。
(2)アルデヒド付加体が、前記した一般式(3)で表される[1,3]-2-オキサジナノン誘導体である前記(1)に記載の方法。
(3)金属アルコキシドが、ジルコニウムアルコキシドである前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ジルコニウムアルコキシドが、Zr(OtBu)である前記(3)に記載の方法。
(5)エンカルバメートとアルデヒドとの反応が、さらに、光学活性化合物の存在下で反応させる前記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)光学活性化合物が、次の式(4)、
【0014】
【化8】
JP0005053895B2_000005t.gif

【0015】
で表されるH8-BINOLである前記(5)に記載の方法。
(7)前記した一般式(3)で表される[1,3]-2-オキサジナノン誘導体の製造方法が、製造方法が、エナンチオ選択的な方法である前記(5)又は(6)に記載の方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来エンカルバメートとの反応において反応性が低いと考えられていたアルデヒド類と、エンカルバメートとを反応させることができる方法を初めて提供するものである。エンカルバメートは有用な求核剤であるが、求核性が充分ではなく、エンカルバメートとの求核反応に用いることの出来る求電子剤に制限があったが、今回初めて反応性が低いアルデヒドとエンカルバメートを反応させ、温和な条件下で収率良く付加体が得られる方法が提供された。
また、本発明の方法を用いることにより、付加と環化を同時に起こさせることができるために、特徴的な窒素含有複素環化合物を簡便に製造することができる。
さらに、本発明の方法を光学活性化合物の存在下で行うことにより、エナンチオ選択的な方法とすることができる。
本発明の方法により、エンカルバメートを用いる求核反応において、非常に広範囲にわたる基質一般性が確保されることになっただけでなく、得られる付加化合物が、エンカルバメートを用いる他の反応では得られない、特異な含窒素複素環化合物であるということも本発明の方法の特徴のひとつである。この化合物は、種々の化合物合成における重要な中間体となりうるため有用な化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明で使用されるエンカルバメートは、前記した一般式(1)で表される構造を有する化合物である。
一般式(1)における「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、無置換の炭化水素基、或いは複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、水酸基、エステル基、ニトロ基、シアノ基、エーテル基、チオール基、アミド基、アミノ基、チオエーテル基等の置換基を1個以上有していてもよい炭化水素基を意味する。
また、「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、炭素数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基など)、炭素数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えばエテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基又は2-ペンテニル基)、炭素数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状又は分岐状のアルキニル基(例えばエチニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、2-メチル-3-ブチニル基、フェニルエチニル基など)、炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式のシクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基など)、炭素数6~18、好ましくは炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、又はアントリル基など)、炭素数6~18、好ましくは炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基に、前記した炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルキル基が結合した、炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、又はα-ナフチル-メチル基など)などの基が挙げられる。
【0018】
一般式(1)における好ましいR及びRの基としては水素原子が挙げられ、好ましいRの基としては置換基を有してもよい前記したアリール基、より好ましくは置換基を有してもよいフェニル基が挙げられ、Rの基としては炭素数が1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
この様なエンカルバメート は、松原らの方法(Angew. Chem. Int. Ed. 43, 3258-3260 (2004).)を参考にして、当業者が適宜作製し、あるいは入手することができる。
【0019】
本発明で使用されるアルデヒドは、前記した一般式(2)で表される構造を有する化合物である。
一般式(2)における「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、前述の一般式(1)において説明してきた基が挙げられる。
一般式(2)における好ましいRの基としては、置換基を有してもよい前記したアリール基、より好ましくは置換基を有してもよいフェニル基が挙げらる。
【0020】
本発明の方法におけるM(OR)n(式中、Mは金属原子を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、nは金属Mの原子価に一致する数を表す。)で表される金属アルコキシドとしては、金属のアルコキシドが挙げられる。
金属としては、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)などの第二遷移元素(4d遷移元素)やバナジウム(V)が挙げられるが、好ましい金属としてはジルコニウム(Zr)が挙げられる。
アルコキシド部分におけるアルキルとしては、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられるが、好ましいアルキル基としてはtert-ブチル基が挙げられる。
本発明の方法における最も好ましい金属アルコキシドとしては、Zr(OtBu)が挙げられる。
【0021】
本発明の方法における光学活性化合物としては、光学活性を有するものであれば特に制限はないが、好ましくは軸不斉を有するビフェニル又はビナフチル誘導体化合物が挙げられる。光学活性化合物は、金属アルコキシドの金属の配位子となることができるものが好ましい。本発明の方法をこのような光学活性化合物の存在下で行うことにより、高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に、光学活性なアルデヒド付加体化合物を製造することができる。
特に好ましい光学活性化合物としては、前記した式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0022】
本発明の方法は、例えば、一般式(1)で表されるエンカルバメートと一般式(2)で表されるアルデヒドを溶媒中で混合し、これに前記した金属アルコキシドを添加して行われる。さらに必要に応じて光学活性化合物を添加して行うことができる。
溶媒としては、この反応に不活性なものであれば各種の有機溶媒を使用することができる。好ましい溶媒の例としては、ジクロルメタン(DCM)などのハロゲン化アルキル、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルエーテル(DME)、ジグライムなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。好ましい溶媒としては、トルエンが挙げられる。
金属アルコキシドの使用量は、触媒量でよく、通常は一般式(2)で表されるアルデヒド1モルに対して、0.001~0.5モル、好ましくは0.05~0.1モル程度が使用される。また、一般式(1)で表されるエンカルバメート の使用量としては、一般式(2)で表されるアルデヒド1モルに対して、等量とすればよいが、通常は0.8~1.5モル、0.9~1.2モルの範囲で使用される。
本発明の方法はアルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0023】
本発明の方法は、常圧又は加圧で行うことができるが、通常は常圧で行うのが好ましい。反応温度は室温以下が好ましく、例えば、-50度~室温の範囲で設定できる。
反応混合物中から、目的物を単離精製する方法としては、特に制限はなく、通常の抽出操作、分液操作、結晶化方法、蒸留法、クロマトグラフィーなどの単離精製手段により単離精製することができる。
また、本発明の方法により得られたアルデヒド付加体は、通常の合成化学における加水分解反応、還元反応、脱炭酸反応の反応条件により処理することができる。
【0024】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
以下に示す実施例においては、H-NMRと13C-NMRはJNM-DE400,JNM-DE500,JNM-DE600を使用し、CDClを溶媒とし(他の溶媒を使用した場合は個別に記載)、テトラメチルシラン(δ=0、H-NMR)またはCDCl(δ=77.0、13C-NMR)を内部標準物質として測定した。HPLCの測定にはSHIMADZU LC-10AT 、SHIMADZU SPD-10A及びSHIMADZU C-R6A Cを使用した。カラムクロマトグラフィーにはSilica gel 60(Merck)を、分取用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5Fを使用した。全ての反応はアルゴン雰囲気下で実施し、溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。エンカルバメートは常法に従い合成したものを用いた。
【実施例1】
【0025】
4,6-ジフェニル-6-ベンジルオキシ-1,3-オキサジナン-2-オン(シン体)の製造
次に示す反応式により標記化合物を製造した。
【0026】
【化9】
JP0005053895B2_000006t.gif

【0027】
上記のエンカルバメート(202.6mg,0.80mmol)の入っている容器に、ベンズアルデヒド(5.0mg,0.12mmol)を加え、トルエン(4mL)を加えた。溶液をよく攪拌し、ここにZr(OtBu)(31.1μL,0.080mmol)を加え、室温にて7時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。塩化メチレンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。粗生成物にジベンジルを加えた。ジベンジルを内標準としてNMRのピーク比より収率を算定した。反応は全てアルゴン雰囲気下で行った。収率90%。
H-NMR(CDCl) δ:
2.07 (dd, 1H, J = 12.0, 14.0 Hz), 2.51 (d, 2H, J = 14.0 Hz),
4.30 (d, 2H, J = 10.4 Hz), 4.59 (d, 1H, J = 10.4 Hz),
5.87(dd, 1H, J = 2.4, 12.4 Hz), 6.63 (s, 1H), 7.26-7.59 (m, 15H).
【実施例2】
【0028】
4-(p-ブロモフェニル)-6-フェニル-6-ベンジルオキシ-1,3-オキサジナン-2-オン(シン体)の製造
次に示す反応式により標記化合物を製造した。
【0029】
【化10】
JP0005053895B2_000007t.gif

【0030】
(R,R)-H8-BINOL(1)(23.6mg,0.080mmol)の入っている容器にトルエン(4mL)を加え、Zr(OtBu)(31.1μL,0.080mmol)を加えた。室温にて一時間攪拌後、パラブロモベンズアルデヒド(222.0 mg,1.2mmol)を加え、ここに0℃にて上記のエンカルバメート(202.6mg,0.80mmol)を加えた。13時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。塩化メチレンで抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。粗生成物にジベンジルを加えた。ジベンジルを内標準としてNMRのピーク比より収率を算定した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して3を得た。反応は全てアルゴン雰囲気下で行った。収率18%。主なジアステレオマーの光学純度はHPLC分析の結果92%eeであった。
H-NMR(CDCl)δ=
2.02 (dd, 1H, J = 12.4, 14.2 Hz), 2.51 (2H, アンチ体のピークを含む),
4.30 (d, 2H, J = 10.7 Hz), 4.56 (d, 1H, J =10.7 Hz),
5.82 (dd, 1H, J = 2.4 Hz), 6.63 (s, 1H), 7.15-7.60 (m, 14H);
キラルHPLC; Daicel Chiralcel AD-H; ヘキサン/PrOH=4/1,
流速=1.0 mL/分:
R=19.2分(major),
R=39.2分(minor).
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、従来反応性が低いと考えられていたアルデヒドとエンカルバメートを反応させ、収率良く付加体を製造する方法を提供するものであり、エンカルバメートを用いる求核反応における非常に広範囲にわたる基質一般性を可能としただけでなく、得られる付加化合物が、エンカルバメートを用いる他の反応では得られない、種々の化合物合成における重要な中間体となりうるため有用な化合物である特異な含窒素複素環化合物の新規な製造方法を提供するものであり、産業上極めて有用なものである。したがって、本発明は産業上の利用性を有している。