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明細書 :スルホニルイミデートのアリル化反応方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4917064号 (P4917064)
公開番号 特開2009-215247 (P2009-215247A)
登録日 平成24年2月3日(2012.2.3)
発行日 平成24年4月18日(2012.4.18)
公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
発明の名称または考案の名称 スルホニルイミデートのアリル化反応方法
国際特許分類 C07C 303/40        (2006.01)
C07C 311/51        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 303/40
C07C 311/51
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2008-061904 (P2008-061904)
出願日 平成20年3月11日(2008.3.11)
審査請求日 平成21年2月17日(2009.2.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】松原 亮介
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】野口 勝彦
参考文献・文献 特開2008-214262(JP,A)
調査した分野 C07C 303/40
C07C 311/51
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(1)、
【化1】
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(式中、Rは炭素数1~20のアルキル基を表し、Rニトロ基で置換されていてもよい炭素数6~18のアリール基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。)
で表されるスルホニルイミデートと、次の一般式(2)、
【化2】
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(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表し、Zは炭素数1~20のアルキル基からなるアルコキシカルボニルオキシ基を表す。)
で表されるアリル化合物とを、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、π-アリルパラジウムクロリドダイマー、1,5-シクロオクタジエンパラジウムクロリド及びPd(dba)(式中、dbaはジベンジリデンアセトンを表す。)からなる群より選ばれるパラジウム触媒及び、1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene及びビスブトキシマグネシウムからなる群より選ばれる塩基の存在下に反応させて、次の一般式(3)、
【化3】
JP0004917064B2_000009t.gif
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、前記したものと同じものを表す。)
で表されるアリル化スルホニルイミデートを製造する方法。
【請求項2】
パラジウム触媒が、Pd(dba)(式中、dbaはジベンジリデンアセトンを表す。)である請求項に記載の方法。
【請求項3】
塩基が、1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-eneである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アリル化スルホニルイミデートを製造する方法が、さらに次の式(4)、
【化3-2】
JP0004917064B2_000010t.gif
で表わされる2座ホスフィンリガンドの存在下で行われる請求項1~のいずれかに記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アリル位に脱離基を有するアリル化合物と、スルホニルイミデートとを遷移金属触媒及び塩基の存在下に反応させて、アリル化スルホニルイミデートを製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、アリル位に脱離基を有するアリル化合物と、スルホニルイミデートとをパラジウム触媒及び塩基の存在下に反応させて、アリル化スルホニルイミデートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品産業や農薬産業においては新たな活性化合物の開発のために多数の化合物が製造されてきている。また、近年では有機EL素子などの素子材料として多くの有機化合物が製造されてきている。
このような有機化合物の製造においては、新しい有機化合物の合成手法の開発が望まれてきている。求核反応は有機化合物を製造する際の代表的な化学反応のひとつとして知られており、多くの産業分野で利用されてきている。特に、アリル化物は、医薬、農薬、電子材料などを製造する際の中間体としても重要な物質である。アリル化物は、その二重結合を酸化してエポキシ体としたり、また環化させてシクロプロパン誘導体とすることができることから、極めて重要な中間体となってきている。
【0003】
このためにアリル化方法として種々の方法が開発されてきている。例えば、酸化剤の存在下にアリールヒドラジンをアリル化してアリル置換アリール化合物を製造する方法(特許文献1参照)、Pd触媒の存在下にシクロペンタジエニル金属塩を反応させてアリル化シクロペンタジエン誘導体を製造する方法(特許文献2参照)、Pd系触媒の存在下に求核剤を用いてアリルアルコールの水酸基を置換してアリル化物を製造する方法(特許文献3参照)、金属塩類の存在下にシリル化アリル化合物を用いてカルボニル化合物やイミノ化合物をアリル化する方法(特許文献4参照)、ハロゲン化アリルを用いてナフトールをアリル化する方法(特許文献5参照)などが報告されてきている。
また、アリル位に脱離基を有するアリル化合物と、非求核性強塩基とを、不活性溶剤中で、触媒量の非求核性のより弱い塩基の存在下で反応させてシクロプロペン類を製造する方法(特許文献6参照)も報告されている。
【0004】
一方、本発明者らは、求核試薬としてのスルホニルイミデートを開発してきた。スルホニルイミデートは、イミンの炭素原子やα,β-不飽和カルボニルのβ炭素原子やアゾ基の窒素原子などと求核的に反応して付加し、その結果求核反応生成物を生成することを報告してきた(特許文献7、及び非特許文献1参照)。このようにスルホニルイミデートは求核試薬として興味深い反応性を有しているが、スルホニルイミデートのα位に炭素炭素結合を触媒的に導入する反応の報告例は極めて限られており、活性なイミン化合物、またはα,β-不飽和カルボニル化合物を求電子剤として用いる反応のみしか知られておらず一般性に問題があり、さらなる開発が求められていた。
【0005】

【特許文献1】特開2004-149523号公報
【特許文献2】特開2004-91383号公報
【特許文献3】特開2004-262843号公報
【特許文献4】特開2003-311156号公報
【特許文献5】特開平7-145094号公報
【特許文献6】特開2001-354597号公報
【特許文献7】特願2008-3733号
【非特許文献1】Ryosuke Matsubara, Shu Kobayashi, et al., J. Am. Chem. Soc, 2008, 130, 1804.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、スルホニルイミデートを用いた簡便で新規なアリル化方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、スルホニルイミデートの反応性に着目して、スルホニルイミデートを用いた種々の反応を検討してきたところ、アリル化合物に対して置換反応を行うことを見出した。この反応は、種々のアリル化合物を触媒的に導入できるため、広い一般性を持ち、種々のスルホニルイミデート誘導体を製造するための極めて有用な手法となるものである。
【0008】
即ち、本発明は、アリル位に脱離基を有するアリル化合物と、スルホニルイミデートとを遷移金属触媒、好ましくはパラジウム触媒、及び塩基の存在下に反応させて、アリル化スルホニルイミデートを製造する方法に関する。
より詳細には、本発明は、次の一般式(1)、
【0009】
【化4】
JP0004917064B2_000002t.gif

【0010】
(式中、R、及びRは、それぞれ独立して置換基を有してもよい炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で表されるスルホニルイミデートと、次の一般式(2)、
【0011】
【化5】
JP0004917064B2_000003t.gif

【0012】
(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を表し、Zは脱離基を表す。)
で表されるアリル化合物とを、遷移金属触媒及び塩基の存在下に反応させて、次の一般式(3)、
【0013】
【化6】
JP0004917064B2_000004t.gif

【0014】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、前記したものと同じものを表す。)
で表されるアリル化スルホニルイミデートを製造する方法に関する。
【0015】
本発明をさらに詳細に説明すれば以下のとおりである。
(1)アリル位に脱離基を有するアリル化合物と、スルホニルイミデートとを遷移金属触媒及び塩基の存在下に反応させて、アリル化スルホニルイミデートを製造する方法。
(2)前記した一般式(1)で表されるスルホニルイミデートと、前記した一般式(2)で表されるアリル化合物とを、遷移金属触媒及び塩基の存在下に反応させて、前記した一般式(3)で表されるアリル化スルホニルイミデートを製造する方法。
(3)遷移金属触媒が、パラジウム触媒である前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)パラジウム触媒が、パラジウム錯体触媒である前記(3)に記載の方法。
(5)塩基が、有機塩基である前記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)一般式(2)における脱離基が、アルコキシカルボニルオキシ基である前記(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)アリル化スルホニルイミデートを製造する方法が、さらに2座ホスフィンリガンドの存在下で行われる前記(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)2座ホスフィンリガンドが、次の式(4)、
【0016】
【化7】
JP0004917064B2_000005t.gif

【0017】
で表されるホスフィン化合物である前記(7)に記載の方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、スルホニルイミデートのα位に炭素炭素結合を介してアリル基を導入する方法を提供するものであり、本発明の方法によりα位に置換基を有する種々のスルホニルイミデートを簡便に製造することができる。本発明の方法で製造されたスルホニルイミデートは種々のカルボニル化合物(エステルやアルデヒドなど)に容易に変換することができ、α位にアリル基を有する種々のカルボニル化合物類を製造することができる。
また、このようにして製造されたアリル化物は、エポキシ体やシクロプロパン体に容易に変換することができ、本発明の方法は医薬や農薬の製造のみならず、各種の電子材料や産業基材となる有機化合物の製造に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明で使用されるスルホニルイミデートは、前記した一般式(1)で表される構造を有する化合物である。
一般式(1)及び一般式(2)における「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、無置換の炭化水素基、或いは複素環基、又はハロゲン、カルボキシル基、水酸基、エステル基、ニトロ基、シアノ基、エーテル基、チオール基、アミド基、アミノ基、チオエーテル基等の置換基を1個以上有していてもよい炭化水素基を意味する。
また、「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、炭素数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基など)、炭素数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えばエテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基又は2-ペンテニル基)、炭素数が2~20、好ましくは2~10の直鎖状又は分岐状のアルキニル基(例えばエチニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、2-メチル-3-ブチニル基、フェニルエチニル基など)、炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式のシクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基など)、炭素数6~18、好ましくは炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、又はアントリル基など)、炭素数6~18、好ましくは炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基に、前記した炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルキル基が結合した、炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、又はα-ナフチル-メチル基など)などの基が挙げられる。
【0020】
一般式(1)における好ましいRの基としてはi-プロピル基、ブチル基などの炭素数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、好ましいRの基としてはp-ニトロフェニル基などの置換基を有してもよいフェニル基のような置換基を有してもよい炭素数6~18、好ましくは炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基が挙げられる。好ましいR及びRの基としては、水素原子、又はメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基などの炭素数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。R及びRの基うちのいずれか一方は、水素原子以外の基であるのがさらに好ましい。
この様なスルホニルイミデートは、文献(Kupfer, R.; Nagel, M.; Wurthwein, E.-U.; Allmann, R. Chem. Ber. 1985, 118, 3089.)に記載の方法を参考にして、当業者が適宜製造し、あるいは入手することができる。
【0021】
本発明で使用されるアリル化合物は、前記した一般式(2)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
一般式(2)における「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、前述の一般式(1)において説明してきた基が挙げられる。
一般式(2)における好ましいR、R、R、R及びRの基としては、水素原子、又はメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基などの炭素数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。さらに好ましい基としては水素原子が挙げられる。
一般式(2)における脱離基Zとしては、脱離能を有するものであれば特に制限はないが、例えば、脱離基としては、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;チオメチル基、チオエチル基等の硫黄原子と炭素数1~6の低級アルキル基とから構成されるチオアルキル基;例えばチオフェニル基等の硫黄原子とアリール基とから構成されるチオアリール基;例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基;例えばトリス(トリメチルシリル)シリル基等のトリス(トリアルキルシリル)シリル基;i-プロポキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基などのアルコキシカルボニルオキシ基などが挙げられる。本発明の方法における好ましい脱離基としては、炭素数が1~20、好ましくは1~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基からなるアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0022】
本発明の方法における遷移金属触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウムなどの遷移金属を含有してなる触媒が挙げられるが、パラジウム触媒が特に好ましい。
パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸パラジウムなどのパラジウム塩、π-アリルパラジウムクロリドダイマー、1,5-シクロオクタジエンパラジウムクロリド、Pd(dba)(式中、dbaはジベンジリデンアセトンを表す。)などの有機パラジウム錯体などが挙げられる。これらの錯体はさらに、ホスフィン類やアミン類をリガンドとして有していてもよい。
本発明のパラジウム触媒は、前記したパラジウム化合物を単独で使用するのではなく、ホスフィン類やアミン類のようなパラジウム原子のリガンドとなり得る化合物と共に使用するか、このようなリガンドを有するパラジウム錯体として使用するのが好ましい。さらに、本発明の方法において、分子中に2個のホスフィンを有する2座ホスフィン類などをリガンドとして使用することがより好ましい。
2座のリガンドとしては、配位可能な孤立電子対を有するリン原子を2個有するものが挙げられ、好ましい例としては、ビスホスフィン類が挙げられる。このような2座ホスフィン類はキラルなものであってもよい。
特に好ましい2座ホスフィンリガンドとしては、前記した式(4)で表されるビスホスフィンなどが挙げられる。
【0023】
本発明の方法における塩基としては、アミン類のような有機塩基、マグネシウム塩のような無機塩基のいずれであってよい。好ましい塩基としては、DBU (1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)のような環状アミン類や、ビスブトキシマグネシウムのような金属塩などが挙げられる。
塩基の使用量は特に制限はないが、従来の方法のように等量使用する必要が無いことが本発明の方法の特徴のひとつである。好ましい塩基の量は、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して0.01~30モル%、より好ましくは10~20モル%程度である。
また、本発明の方法は、モレキュラーシーブ(好ましく4オングストロームのもの)の存在下に行うこともできる。
【0024】
本発明の方法は、例えば、一般式(1)で表されるスルホニルアミデートと一般式(2)で表されるアリル化合物を溶媒中で混合し、これに遷移金属触媒及び塩基を添加して行われる。さらに必要に応じて2座のリガンドを添加して行うことができる。
溶媒としては、この反応に不活性なものであれば各種の有機溶媒を使用することができる。好ましい溶媒の例としては、ジクロルメタン(DCM)などのハロゲン化アルキル、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルエーテル(DME)、ジグライムなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。好ましい溶媒としては、THFやトルエンが挙げられる。
遷移金属触媒の使用量は、触媒量でよく、通常は一般式(2)で表されるアリル化合物1モルに対して、0.001~0.5モル、好ましくは0.05~0.1モル程度が使用される。また、一般式(1)で表されるスルホニルアミデートの使用量としては、一般式(2)で表されるアリル化合物1モルに対して、等量とすればよいが、通常は0.8~1.5モル、0.9~1.2モルの範囲で使用される。
本発明の方法はアルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0025】
本発明の方法は、常圧又は加圧で行うことができるが、通常は常圧で行うのが好ましい。反応温度は0℃以上が好ましく、例えば、0~80℃の範囲で設定できる。
反応混合物中から、目的物を単離精製する方法としては、特に制限はなく、通常の抽出操作、分液操作、結晶化方法、蒸留法、クロマトグラフィーなどの単離精製手段により単離精製することができる。
また、本発明の方法により得られたアリル化スルホニルアミデート誘導体は、通常の合成化学における加水分解反応、還元反応、脱炭酸反応の反応条件により処理することができる。
【0026】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例においては、H-NMRと13C-NMRは、JNM-ECX400,JNM-ECX500,JNM-ECX600を使用しCDClを溶媒とし(他の溶媒を使用した場合は個別に記載)、テトラメチルシラン(δ=0、H-NMR)またはCDCl(δ=77.0、13C-NMR)を内部標準物質として測定した。HPLCの測定にはSHIMADZU LC-10AT 、SHIMADZU SPD-10A及びSHIMADZU C-R6A Cを使用した。カラムクロマトグラフィーにはSilica gel 60(Merck)を分取用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5Fを使用した。全ての反応はアルゴン雰囲気下で実施し、溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。アリルカルボナートは常法(Weix,D.J.;Hartwig,J.F., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 7720.)に従い合成したものを用いた。スルホニルイミデートは文献(Matsubara,R.;Berthiol,F.;Kobayashi,S J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 1804.)の記載に従い製造した。
【実施例1】
【0027】
イソプロピル 2-メチル-N-(4-ニトロフェニルスルホニル)-ペント-4-エンイミデートの製造
標記化合物を次に示す反応式にしたがって製造した。
【0028】
【化9】
JP0004917064B2_000006t.gif

【0029】
Pd(dba)(strem社,6.9mg,7.5μmol)、上記に示すリガンド(strem社、10.3mg,15μmol)、及びモレキュラーシーブス4A(50mg)の入っている容器に、脱気したテトラヒドロフランを1.5ml加えた。溶液を撹拌した後、シンナミルカルボナート(99.1mg,0.45mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.4ml)とスルホニルイミデート1(90.3mg,0.3mmol)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン,4.6mg,0.03mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.1ml)を順次添加した。室温にて三時間撹拌した後、アセトンを1ml加え、不溶物を濾過した後、ろ液を減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーによる精製後、生成物を得た(103.8mg,0.25mmol,83%,α:γ=20:1)。
H-NMR(CDCl,500MHz); δ :
8.13 (dt, J = 9.0, 2.1 Hz, 2H), 7.95 (dt, J = 9.0, 2.1 Hz, 2H),
6.31 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 6.09-6.03 (m, 1H),
4.90 (septet, J = 6.5 Hz, 1H), 3.72 (td, J = 7.5, 6.0 Hz, 1H),
2.46-2.52 (m, 1H), 2.32-2.37 (m, 1H), 1.23 (d, J = 6.5 Hz, 3H),
1.18 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.13 (d, J = 6.0 Hz, 3H);
13C-NMR(CDCl) δ:
178.8, 149.6, 147.6, 137.0, 132.4, 128.5, 127.7, 127.3, 126.3,
126.0, 123.9, 72.6, 39.4, 37.6, 39.4, 37.6, 21.2, 21.0, 17.6.
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、本発明は、スルホニルイミデートのα位に炭素炭素結合を介してアリル基を導入する方法を提供するものであり、本発明の方法によりα位に置換基を有する種々のスルホニルイミデートを簡便に製造することができる。本発明の方法で製造されたスルホニルイミデートは種々のカルボニル化合物(エステルやアルデヒドなど)に容易に変換することができ、α位にアリル基を有する種々のカルボニル化合物類を製造することができる。このようにして製造されたアリル化物は、エポキシ体やシクロプロパン体に容易に変換することができ、本発明の方法は医薬や農薬の製造のみならず、各種の電子材料や産業基材となる有機化合物の製造に有用であり、産業上の利用可能性を有する。