TOP > 国内特許検索 > 降霜検知装置 > 明細書

明細書 :降霜検知装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5123684号 (P5123684)
公開番号 特開2009-186387 (P2009-186387A)
登録日 平成24年11月2日(2012.11.2)
発行日 平成25年1月23日(2013.1.23)
公開日 平成21年8月20日(2009.8.20)
発明の名称または考案の名称 降霜検知装置
国際特許分類 G01W   1/00        (2006.01)
G01R  27/26        (2006.01)
FI G01W 1/00 G
G01R 27/26 H
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2008-028366 (P2008-028366)
出願日 平成20年2月8日(2008.2.8)
審査請求日 平成22年11月1日(2010.11.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
発明者または考案者 【氏名】登尾 浩助
個別代理人の代理人 【識別番号】100092820、【弁理士】、【氏名又は名称】伊丹 勝
審査官 【審査官】田中 秀直
参考文献・文献 特開平08-062341(JP,A)
特開昭63-307509(JP,A)
特開2006-266809(JP,A)
特開2004-150960(JP,A)
特開平02-115678(JP,A)
調査した分野 G01W 1/00
G01R 27/26
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に電極が所定のパターンで形成された検知部と、
前記検知部の前記電極に接続されてTDR(Time Domain Reflectometry)法によって前記検知部の比誘電率を求める比誘電率測定器と、
前記比誘電率測定器で求められた前記比誘電率に基づいて降霜状態を判定する判定装置と
を備え
前記判定装置は、前記比誘電率測定器で求められた比誘電率が第1の値からこの第1の値よりも大きい第2の値に変化し、更に前記第1の値よりも大きく前記第2の値よりも小さい所定値に安定したら降霜状態であると判定する
ことを特徴とする降霜検知装置。
【請求項2】
前記検知部の温度を検出する温度計を備え、
前記判定装置は、前記比誘電率測定器で求められた比誘電率が所定値で安定し、且つ前記温度計で検出される温度が摂氏零度を下回っているときに降霜状態であると判定する
ことを特徴とする請求項1記載の降霜検知装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、検知部の比誘電率変化から降霜状態を検出する降霜検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結露及び降霜を検知する手段として、振動式や光学式で検知を行う装置が知られている。
【0003】
振動式の装置は、振動子の表面の結露、または降霜による振動子の共振周波数の変化や振幅の変化で、振動子の表面の結露、または降霜状態を判定する。
【0004】
光学式の装置は、発光素子、受光素子、及び反射面を有し、受光素子に入射する光量の変化で反射面の表面の結露、または降霜状態を判定する。
【0005】
しかし、振動式の装置は、振動子上へのゴミ、その他物質の付着あるいは内外部から加えられる振動の影響で容易に誤動作をする問題があった。また、光学式の装置は、小型化が困難で製造コストも高いという問題があった。
【0006】
これに対し、安価で検知精度の優れた結露及び降霜状態の検知装置として、一対の感温抵抗素子と発熱電流源を備え、感温抵抗素子の温度の変化で、結露及び降霜状態を判定する装置(特許文献1)が開発されている。しかし、この装置は、感温抵抗素子の温度のみで結露、降霜状態を判定しているため、結露状態と降霜状態との明確な区別をすることが困難であった。
【0007】
また、容量結合された電極対を高分子皮膜で覆うことにより電極対間の水滴による短絡を防止すると共に、高分子皮膜に付着した水分付着量の変化を比誘電率の変化で検出するようにした結露状態検出センサも知られている(特許文献2)。
【0008】
しかし、このセンサは、高分子皮膜が吸水性又は親水性を有することから水分吸収により電極対の静電容量を大きく変化させるものであり、高分子皮膜内に水分吸収されない降霜状態の検出は困難である。
【0009】
さらにまた、高屈折率薄膜が発光素子の発光光を反射し、その反射光を受光素子で検知し、一定の反射率以下になる時点または反射率が急激に低下する時点を着霜時と判定する着霜検知素子も知られている(特許文献3)。
【0010】
しかし、この素子は、反射率を測定することから検知精度が高くない。
【0011】
このように、従来の技術では、安価で結露状態と降霜状態とを明確に判定することが可能であり、検知精度の優れた検知装置を提供する事が困難であった。

【特許文献1】特開平2-115678号公報
【特許文献2】特開2006-266809号公報
【特許文献3】特開平11-281568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、安価で検知精度の優れた降霜検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の一態様による降霜検知装置は、基板上に電極が所定のパターンで形成された検知部と、前記検知部の前記電極に接続されてTDR(Time Domain Reflectometry:時間領域反射)法によって前記検知部の比誘電率を求める比誘電率測定器と、前記比誘電率測定器で求められた前記比誘電率に基づいて降霜状態を判定する判定装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安価で検知精度の優れた降霜検知装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態に係る降霜検知装置を図面に基づいて説明する。
【0016】
[本実施の形態の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る降霜検知装置10の構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施の形態に係る降霜検知装置10は、降霜状態を検出すべき環境に設置される検知部20と、この検知部20と接続されてTDR(Time Domain Reflectometry)法によって検知部20の比誘電率を測定する比誘電率測定器30と、検知部20の温度を検出する温度計40と、比誘電率測定器30で検出された比誘電率及び温度計40で検出された温度に基づいて降霜状態を判定する判定装置50とを備えている。
【0018】
検知部20は、例えば、板状又はシート状の絶縁性の基板21の上に第1の電極22及び第2の電極23からなる電極対24をパターン形成したものである。電極22、23の長さは、各々総延長で2cm以上であることが望ましく、より好ましくは総延長が4cm以上である。少ない面積でも電極対24の総延長を長くするため、電極パターンは、例えば図1に示すような渦巻き状、又は図2に示すようなジグザグパターンが望ましい。
【0019】
また、図1及び図2に示す同軸ケーブル60の内部導体に接続される電極の長さは、同軸ケーブル60の外部導体に接続される電極の長さよりも短い方が好ましい。
【0020】
比誘電率測定器30は、高速パルス信号を発生させるパルス発生器31と、パルス信号及びその検知部20からの反射信号を観測するオシロスコープ等の波形解析器32とにより構成され、パルス発生器31と波形解析器32とは同期を取るために接続される。また、パルス発生器31及び波形解析器32は入出力端子33に接続される。
【0021】
検知部20内に形成される電極対24と比誘電率測定器30に形成される入出力端子33とは、同軸ケーブル60により接続される。
【0022】
パルス発生器31により生成されたパルス信号100は検知部20に出力され、検知部20内の電極対24の終端部24Aで反射される。波形解析器32は、パルス発生器31から出力されるパルス信号(以下入射信号という場合がある)100及び終端部24Aで反射されるパルス信号(以下反射信号101)を観測する。
【0023】
温度計40は、熱電対41に生じる熱起電力により温度を測定する温度計であり、熱電対41によって検知部20を構成する基板21と接続される。
【0024】
判定装置50は、比誘電率測定器30及び温度計40と接続され、比誘電率測定器30で測定された電極対24の比誘電率データと、温度計40で測定された検知部20の温度データとを基に検知部20の状態(乾燥、露、霜)を判定する。
【0025】
[本実施の形態の動作]
次に、本実施の形態に係る降霜検知装置10の比誘電率測定方法について図1を用いて説明する。本実施の形態に係る降霜検知装置10は、TDR法を用いて検知部20の比誘電率を測定する。
【0026】
TDR法とは、伝送経路(基板、ケーブル、プローブ等)の特性インピーダンスや伝播速度等を測定する方法である。パルス発生器31から立ち上がり時間が一定のパルス信号を伝送経路に送り込み、そのパルス信号の入射波と反射波を波形解析器32で観測する。そして、パルス信号の入射波及び反射波の振幅の割合から、伝送経路の特性インピーダンスや伝播速度等を算出する。
【0027】
なお、伝送経路の微小区間の特性インピーダンスと伝播速度を正確に測定するためには、パルス信号の立ち上がり時間を短くし、且つオシロスコープ等の波形解析器32も広帯域の周波数を観測できるものでなければならない。このため、パルス信号は、例えば、1.5GHz、250mV程度とし、これに対応可能な比誘電率測定器30とする。
【0028】
比誘電率測定器30のパルス発生器31からパルス信号100が出力されると、このパルス信号は検知部20の電極対24を伝播し、開放された終端部24aで反射する。この反射信号101は比誘電率測定器30に入力される。波形解析器32は、パルス信号100の出力から反射信号101の受信までの時間tを観測する。
【0029】
ここで、ある媒質中を伝播する電磁波の速度cは、真空中の光の速度cと比誘電率εとを用いて、次のように表すことができることが知られている。
【0030】
c=c/√ε …(1)
ここで、検知部20の電極22の長さをLとすると、
2L=ct …(2)
で表される。一方、真空中の光の速度cと観測時間tとを用いて
2La=ct …(3)
で表されるLaを見かけ上の電極長さとすると、比誘電率εは、
ε=(La/L)
=(ct/2L) …(4)
で表される。
【0031】
従って、波形解析器32は、パルス信号の出力から反射信号の受信までの時間tを観測すると共に、上記(4)式から比誘電率εを求める。
【0032】
[本実施の形態の測定結果]
次に、本実施の形態に係る降霜検知装置10を用いて測定した結果を図3に示す。なお、測定は、降霜検知装置10としてキャンベルサイエンティフィック社のTDR装置であるTDR100を用いて1.5GHz、250mVの条件で行った。本実施の形態は、比誘電率測定器30の他に温度計40で温度も測定している。よって、図3には温度の変化を表すグラフ110と比誘電率の変化を表すグラフ120とが示されている。なお、図3の横軸は時刻tを表し、左側の縦軸は温度を表し、右側の縦軸は比誘電率を表している。
【0033】
図3には、日没(t2)から夜明け(t5)を含む測定結果を示してある。
【0034】
まず、温度の変化を表すグラフ110について説明する。
【0035】
図3に示すように、測定開始の時刻t1には、およそ23℃であった温度は、時刻t2から下がり始め、時刻t3を境に氷点下となる。その後、時刻t5過ぎまで氷点下を維持する。そして、時刻t5以降は温度が上昇し続ける。
【0036】
次に、比誘電率の変化を表すグラフ120の説明をする。
【0037】
測定開始の時刻t1には、およそ“1.00”であった比誘電率は、日没時刻t2頃から上昇する。そして、時刻t3には、およそ“1.30”になる。これは結露の影響による。その後、“1.00”を境に上下に変動し続け、時刻t4頃から、“1.03”で安定状態となる。これは降霜状態である。この時、温度は氷点下である。“1.03”の安定状態は夜明け時刻t5頃まで続き、それ以降は上昇する。水膜の影響が表れるためである。時刻t6には、およそ“2.80”となる。
【0038】
判定装置50は、比誘電率測定器30及び温度計40からそれぞれ比誘電率及び温度の情報を入力し、比誘電率εが1.00(第1の値)から1.00~1.30(第2の値)に変化し、更に1.03(所定値)に安定したら降霜状態と判定する。或いは、これと並行して比誘電率が1.03に安定した期間が氷点下である場合には、降霜状態であると判定する。このような判定を行うことにより、降霜状態を極めて正確に判定することができる。
【0039】
判定装置50にて判定した結果、図3に示すように、Wの範囲は無結露無降霜状態、Xの範囲は結露状態、Yの範囲は降霜状態、そして、Zの範囲は水膜状態と判定される。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る降霜検知装置10は、TDR法を用いているために電極対の静電容量を計測する従来技術とは異なり、高分子皮膜も不要で、結露、降霜状態を明確に検知することができる。
【0041】
また、本実施の形態に係る降霜検知装置10は、以下に示す外部機器(図示せず)に接続し使用することで様々な効果を得ることができる。各種使用例を以下に示す。
【0042】
[使用例1]
判定装置50を温室の天窓開閉装置のスイッチ部や降霜防止用のファンのスイッチ部と接続させ、降霜検知時に温室の天窓の開閉やファンの自動運転を行う。
【0043】
[使用例2]
検知部20をブラックアイスが生じやすい橋の路面上に設置し、判定装置50を電光表示装置と接続させ、ブラックアイス検知時にブラックアイスの発生を電光表示装置に表示してドライバーや歩行者等に危険を知らせる。
【0044】
[使用例3]
小型化させた検知部20を車両の窓枠等の車両ボディの一部に設置し、パルス発生器31とマイコンとから形成される比誘電率測定器30を車両内部に設置し、判定装置50をデフロスターのスイッチ部と接続させる。結露や降霜によって車両のリアガラスや遠隔カメラの防護ガラスの視界が不良にならないよう、デフロスターの自動運転を行う。
【0045】
[使用例4]
小型化した検知部20を冷蔵庫や冷凍庫の内部に設置し、判定装置50をデフロスターのスイッチ部と接続させ、降霜検知時にデフロスターの自動運転を行う。二酸化炭素の発生を抑制する省電力型冷蔵庫への使用が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の一実施の形態による降霜検知装置を示す構成図である。
【図2】検知部の他のパターンを示す図である。
【図3】同降霜検知装置を用いて比誘電率と温度を測定した結果を表すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
10…降霜検知装置、20…検知部、21…基板、22…第1の電極、23…第2の電極、24…電極対、24A…電極対の終端部、30…比誘電率測定器、31…パルス発生器、32…波形解析器、33…入出力端子、40…温度計、41…熱電対、50…判定装置、51…判定信号、60…同軸ケーブル、100…入射信号、101…反射信号、110…温度の変化を表すグラフ、120…比誘電率の変化を表すグラフ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2