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明細書 :キャパシタ型蓄電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5323373号 (P5323373)
公開番号 特開2009-231573 (P2009-231573A)
登録日 平成25年7月26日(2013.7.26)
発行日 平成25年10月23日(2013.10.23)
公開日 平成21年10月8日(2009.10.8)
発明の名称または考案の名称 キャパシタ型蓄電池
国際特許分類 H01G   4/18        (2006.01)
H01G   4/08        (2006.01)
FI H01G 4/18 330A
H01G 4/08 B
請求項の数または発明の数 8
全頁数 12
出願番号 特願2008-075678 (P2008-075678)
出願日 平成20年3月24日(2008.3.24)
審査請求日 平成23年3月17日(2011.3.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000080
【氏名又は名称】タマティーエルオー株式会社
発明者または考案者 【氏名】大塚 寛治
【氏名】秋山 豊
【氏名】橋本 薫
【氏名】石渡 伸一
【氏名】服部 聡
【氏名】宮内 秀幸
【氏名】齋藤 昇
個別代理人の代理人 【識別番号】100110928、【弁理士】、【氏名又は名称】速水 進治
審査官 【審査官】岡本 正紀
参考文献・文献 特表2005-531922(JP,A)
国際公開第2009/116668(WO,A1)
調査した分野 H01G 4/18
H01G 4/08
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに平行であり、互いに交互に配置された複数の第1導電路及び複数の第2導電路と、
前記第1導電路の上面及び前記第2導電路の上面それぞれに設けられ、絶縁性の第1基材と、前記第1基材中に分散された第1導電粉体または第1半導体粉体とを有する第1混合層と、
前記複数の第1導電路に接続する第1端子と、
前記複数の第2導電路に接続する第2端子と、
を備え
前記第1端子及び前記第2端子は、前記第1導電路及び前記第2導電路から離れるに従って幅が狭くなる部分を有しており、この部分において、前記第1導電路と同一方向に延伸する2辺は、互いになす角度が30°以下であるキャパシタ型蓄電池。
【請求項2】
請求項1に記載のキャパシタ型蓄電池において、
前記第1導電路および前記第2導電路は、高さtの幅wに対する比t/wが1以下であるキャパシタ型蓄電池。
【請求項3】
請求項1に記載のキャパシタ型蓄電池において、
前記第1導電路の上面に設けられた前記第1混合層と、前記第2導電路の上面に設けられ前記第1混合層は互いに連続しているキャパシタ型蓄電池。
【請求項4】
請求項1に記載のキャパシタ型蓄電池において、
前記第1導電路の下面及び前記第2導電路の下面に設けられ、絶縁性の第2基材と、前記第2基材中に分散された第2導電粉体または第2半導体粉体とを有する第2混合層を備えるキャパシタ型蓄電池。
【請求項5】
請求項4に記載のキャパシタ型蓄電池において、
前記第2混合層の下面に設けられた絶縁層をさらに備えるキャパシタ型蓄電池。
【請求項6】
請求項1に記載のキャパシタ型蓄電池において、
前記第1導電路および前記第2導電路は、前記第1混合層と接する面に絶縁層を有するキャパシタ型蓄電池。
【請求項7】
請求項1に記載のキャパシタ型蓄電池において、前記第1導電粉体または第1半導体粉体の平均粒径が20~10000nmであるキャパシタ型蓄電池。
【請求項8】
請求項1に記載のキャパシタ型蓄電池において、前記第1導電粉体または第1半導体粉体は、Fe、Al、Ni、Ag、Mg、Cu、Si、Cからなる群から選ばれた少なくとも一つ、または前記群から選ばれた少なくとも2つからなる合金または共析物を含むキャパシタ型蓄電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ型の蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電池は、例えば特許文献1に記載するように、電解質を用いるものが大半である。

【特許文献1】特開2008-059955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
蓄電池に電解質を用いる場合、充電に時間を要する。また、電解質の劣化が生じるため、蓄電池の寿命が短い。また、高出力電圧を実現するためには、複数の蓄電池を直列に接続する必要があった。これに対し、キャパシタを蓄電池として使用した場合、充電時間が短く、寿命が長く、かつ高出力電圧を実現できる。しかし、キャパシタを蓄電池として使用する場合、その単位体積あたりの容量を大きくする必要がある。
【0004】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、単位体積あたりの容量が大きいキャパシタ型の蓄電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、互いに平行である第1導電路及び第2導電路と、
前記第1導電路の上面及び前記第2導電路の上面それぞれに設けられ、絶縁性の第1基材と、前記第1基材中に分散された第1導電粉体または第1半導体粉体とを有する第1混合層と、
を備えるキャパシタ型蓄電池が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、単位体積あたりの容量が大きいキャパシタ型の蓄電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1(A)は第1の実施形態に係るキャパシタ型の蓄電池の斜視図であり、図1(B)は蓄電池の平面図である。この蓄電池は、互いに平行である導電路21,22と、導電路21の上面及び導電路22の上面に設けられた混合層30を有する。混合層30は、絶縁性の第1基材と、第1基材中に分散された第1導電粉体または第1半導体粉体とを有する。導電路21及び導電路22に所定の電圧差を印加すると、電荷が蓄積される。このとき蓄積される電荷の量は、後述するように大きい。従って、単位体積あたりの容量が大きいキャパシタ型の蓄電池を提供することができる。なお、図1において蓄電池はシート状であるが、このシートをロール状に巻いて使用してもよい。以下、詳細に説明する。
【0008】
本実施形態において、導電路21の上面に設けられた混合層30と、導電路22の上面に設けられ混合層30は互いに連続している。導電路21,22及び混合層30は、混合層10上に形成されている。
【0009】
混合層10,30は、絶縁性の基材中に導電粉体又は半導体粉体を分散させた構成を有しており、絶縁性を有している。基材は、例えばポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPC(ポリエステルポリカーボネート)、ビニリデン、ポリイミド、ポリスチレンなどの有機絶縁物であるが、ほう珪酸ガラス、ソーダライムガラスなどの無機絶縁物であってもよい。導電粉体又は半導体粉体は、Fe、Al、Ni、Ag、Mg、Cu、Si、Cからなる群から選ばれた少なくとも一つ、またはこの群から選ばれた少なくとも2つからなる合金または共析物であるが、例えばAl粉末及びMg粉末が均質に混合された混合粉体である。混合層10,30において、導電粉体または半導体粉体の含有率は、例えば30~80容量%である。
【0010】
混合層10,30の厚みは、例えば3~100μmであるが、これらの合計値が10μm以内であるのが好ましい。混合層10,30の基材として有機絶縁物を用いた場合、混合層10,30を薄くしやすい。また混合層10,30の基材として無機絶縁物を用いた場合、混合層10,30の絶縁耐圧を高くできる。
【0011】
導電路21,22は、例えば銅から構成されている。導電路21,22の幅wは、例えば1μm以上100mm以下であり、導電路21,22の間隔dは、例えば1μm以上100mm以下である。また導電路21,22の高さtは、例えば0.5~10μmである。また、導電路21,22の幅wとその間隔dとの関係は、w/d≧1.5が望ましい。また幅wと高さtの関係は、t/w≦1、好ましくはt/w≦0.5が望ましい。
【0012】
蓄電池の一方の端部10aでは導電路21、22が露出している。この露出している部分に、導電路21,22に電圧を与えるための端子41、42がそれぞれ接続されている。導電路21,22の長手方向において、端子41,42は略同じ位置に配置されている。混合層10に垂直な方向から見た場合、導電路21,22は長方形である。
【0013】
図2の各図は混合層10,30の断面の一部を拡大して示した図である。導電粉体または半導体粉体は、図2(A)に示すように粒子状(略球形、略楕円球、略鱗片を含む)粉体8であっても良い。また図2(B)に示すように、粒子状粉体8と大きな鱗片状(略シート片状)粉体9を混合したものであっても良い。また図示していないが、鱗片状粉体9のみであってもよい。粒子状粉体8の長径の平均値は、例えば20~10000nm、好ましくは20~1000nmである。鱗片状粉体9の大きさは、例えば150メッシュ~300メッシュである。
【0014】
また図2(C)に示すように、粒子状粉体8及び鱗片状粉体9の少なくとも一方を基材中に混合し、さらに、導電体または半導体から形成されたメッシュ7を基材に埋め込んでも良い。また図示していないが、基材中にメッシュ7のみを埋め込んだ構成であっても良い。本実施形態においてメッシュ7は、表面が絶縁膜で被覆されている。メッシュ7は、例えばFe、Al、Ni、Ag、Mg、Cu、Si、Cからなる群から選ばれた少なくとも一つ、またはこの群から選ばれた少なくとも2つの合金または共析物である。
【0015】
上記した構造を有する蓄電池において、端子41,42に所定の電位差を与えると、混合層10,30と、導電路21,22間に広がった電磁界すなわちフォトンとの間で、フォトン‐表面プラズモンのエネルギ交換が行われる。このため、導電路21,22内に流れる電磁エネルギ速度が遅くなり、電気長が長くなるのと等価の働き、すなわち蓄電池の容量が大きくなり、蓄電池に蓄積される電荷が多くなる。
【0016】
接続端子41,42の電位差すなわち蓄電池の動作電圧の上限値は、導電路21,22の間に位置する混合層30の基材の累積厚さ(=(導電路21,22の間隔d)—(導電路21,22の間に位置する導電粉体または半導体粉体の累積厚さ))と、混合層30の基材の絶縁耐圧によって定まる。すなわち基材の絶縁耐圧が高いほど、また導電路21,22の間に位置する混合層30の基材の累積厚さが厚いほど、蓄電池の動作電圧の上限値は高くなり、蓄電池が蓄積する電気量が増大する。
【0017】
なお、導電路21,22を長くした場合、混合層10,30に欠陥が生じる可能性が高くなるが、欠陥が存在する部分で放電が生じる。この放電により、欠陥を有する部分上に位置する混合層30の絶縁物が蒸発するため、欠陥を有する部分が蓄電池の動作に影響を与えないようにすることができる。
【0018】
なお、ロール状に巻かれた場合、混合層10,30が互いに重なることになるため、混合層30は省略することも可能である。この場合、上側の混合層10が混合層30と同様に作用する。導電路21,22の間はこの場合空隙になるが、フォトン-表面プラズモンのエネルギ交換にはほとんど影響しない。
【0019】
次に、図1に示した蓄電池の製造方法の一例について説明する。まず、基材となるポリイミドやポリスチレンなどのワニスの中に導電粉体又は半導体粉体を混合して分散させ、粉末混合ワニスを形成する。そして、粉末混合ワニスをシート状に加工する。これにより、混合層10が形成される。ついで、混合層10の片面に、導電膜をスパッタリング法又は蒸着法により形成する。導電膜は、例えばアルミニウムであるが、アルミニウムとチタンの積層構造であってもよい。ここでアルミニウムの厚さは、例えば3~100μmであり、チタンの厚さは、例えば10nm~30nmである。導電膜は、ラミネート積層法、化学的気相法又は液相法(めっき)により形成されても良い。
【0020】
次いで、導電膜を、例えばフォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、選択的に除去する。これにより、導電路21,22が形成される。次いで、混合層10上及び導電路21,22上に粉末混合ワニスを塗布することにより、混合層30を形成する。このようにして蓄電池が形成される。
【0021】
次に、図1に示した蓄電池の容量が高い理由を説明する。後述するように導電路21,22の特性インピーダンスZ0は小さい為、端部10aから入力されて長辺方向を伝送する電圧Vは、下記(1)式で示される。
V=V0×Z0/Z...(1)
ただし、Z:電力入力装置の内部インピーダンス、V0:入力電圧、Z0:導電路21,22の特性インピーダンス。
【0022】
ここで、導電路21,22のうち、接続端子41,42から他方の端部までの長さをlとする。入力された電力は導電路21,22の中を進行し、導電路21,22の他方の端部(開放状態にある)で全反射して戻ってくる。戻ってきた電力は、入力端である端部10aでインピーダンス不整合反射(反射率:(Z-Z0)/(Z+Z0))を起こし、継続して入力された交流電力と合成される。この合成及び反射を繰り返すことにより、長辺方向を伝送する電圧Vは、一定時間後に入力電圧V0に到達する。
【0023】
そして、入力された電圧は蓄電池内で飽和状態となるため、入力された電力量Uがそのまま蓄電される。電力量Uは下記(2)式で求められる。
U=(1/2)tpd×V2/Z0...(2)
ただしtpd:混合シートと混合層に囲まれたフォトン-表面プラズモン交換により決まる電磁波エネルギが長さlを通過するのに必要な時間。
このため、導電路21,22に蓄積される電力量を求める為には、導電路21,22の特性インピーダンスZ0と通過時間tpdを求める必要がある。
【0024】
導電路21,22の特性インピーダンスZoは、下記(3)式で近似することができる。
0=[ln[(π(d-w)/(w+t))+1] /π]× √[(μ0μω)/(ε0εω)]...(3)
ただし、t=導電路21,22の厚み、d=導電路21,22の中心間隔(ピッチ)、w=導電路21,22の一本の幅、μ0:真空中の透磁率、μω:周波数ωにおける混合層10と混合層30の比透磁率、ε0:真空中の誘電率、εω:周波数ωにおける混合層10と混合層30の誘電率。
このため、導電路21,22の特性インピーダンスZ0を求めるためには、μω及びεωを求める必要がある。
【0025】
Drudeの誘電関数式及び磁率関数式によれば、εω及びμωは以下の(4)式~(7)式で表される。
εω=1-(ωep2/ω2)...(4)
ωep2≡(ne)/(ε0m)...(5)
μω=1-(ωmp2/ω2)...(6)
ωmp2≡(npχ2)/(μ0m)...(7)
ただし、ne:混合層10と混合層30の自由電子の密度、np:蓄電池の不対電子の密度、e:電子の電荷量、m:電子の質量、χ:不対電子のスピン磁率。
【0026】
ここで、絶縁物中に半径1μmのFeの球状粒子からなる導電粉体が1個/125μm3の密度で均等に分散されている場合を考える。
【0027】
Feが1原子あたり一つの自由電子を保有している場合、鉄の自由電子の密度は8.4×1022個/cm3となる。そして鉄の表面における自由電子密度はその2/3乗、すなわち1.9×1015個/cm2となる。ただし、表面吸着原子に自由電子がトラップされるため、表面の自由電子密度はこの値より低くなる。このトラップによる自由電子の減少率が10-10であると仮定した場合、鉄の表面における自由電子の密度は1.9×105個/cm2になる。
【0028】
導電粒子の半径は1μm=1×10-5cmであるが、その表面積は4π(1×10-52=12.6×10-10cm2となるため、1粒子あたりの自由電子量は2.39×10-4個となる。絶縁物中の導電粉体の密度は1個/125μm3であるため、混合層10と混合層30中の自由電子の密度ne=1.9×1017個/m3になる。
【0029】
電子の質量m=9.11×10-31kg、電子の電荷量e=1.6×10-19C、真空中の誘電率ε0=8.85×10-12F/mである。これらの値と、ne=1.9×1017個/m3を式(5)に代入すると、ωep2=1.9×1017×(1.6×10-192/(8.85×10-12×9.11×10-31)=0.038×1022、ωep=1.9×1010/sとなる。このように、ωepはマイクロ波領域の周波数となる。
【0030】
ここで、ωを直流とすると(3)式が発散するため、今仮にω=60Hz(商用周波数)とすると、式(4)により、εω=1-(1.9×10102/(2π×60)2=1-2.54×1015=-2.54×1015となり、εr<-107レベルのマイナスで大きな値である。ここで工業化することを考え、さらに5桁ほどの劣化を考え、εω=-1010とする。
【0031】
一方、μωを-10と仮定する。この値は、以下の理由により妥当である。鉄の表面における自由電子密度は、上記したように1.9×1015個/cm2である。これらのうち、不対電子の発生確率を10-15とすると、鉄の表面における不対電子の密度npは1.9個/cm2になる。そして、不対電子のスピン磁率χ=2.07×10-10[Wb]、真空中の透磁率μ0=1.25×10-6[N/A-2]のため、式(7)により、ωmp2=1.9×1010×(2.07×10-152/(1.25×10-6×9.11×10-31)=7.16×1016/s2、ωmp=2.67×108/sという高周波数となる。
【0032】
ここで、同様に式の発散を防止するため、ω=60Hz(商用周波数)とすると、μω=1-(2.67×1082/(2π×60)2=1-5.02×1011 =-5.02×1011が得られる。このことから、μω=-10としても、この値が十分可能な値であることが分かる。
【0033】
そしてt=0.001m、w=0.005m、d=0.001mとして、これらの値、μω=-10、及びεω=-1010を式(3)に代入することにより、Z0=0.5√377×10-9=9.7×10-9Ωが得られる。
【0034】
また、tpdは(8)式で求められる。
tpd=l×√(εωμω)/c0・・・(8)
ただし、c0=光速である。
ここでεω=-1010、μω=-10とすると、tpd=10/3×108/√10×1010=1.05×10-2[s]になる。商用電圧100Vを用いた場合、式(2)より、U=1.08×1010[J]( [Ws])=3×106[Wh]が得られる。ガソリン60リッターのエネルギが500kWhであるが、これより3桁も大きいエネルギ蓄積量となる。なお、蓄電池の充電時間を短くする必要があるときは、蓄電池のエネルギ蓄積量を下げればよい。
【0035】
なお、導電路21,22の間隔d=100μmとして、導電粉体又は半導体粉体の含有率を80容量%とした場合、導電路21,22の間における基材の累積厚みは20μmになる。この場合、基材が無機絶縁物及び有機絶縁物のいずれであっても、1000V以上の耐電圧を実現することができる。このため、本実施形態にかかる蓄電池は高信頼性を有する。
【0036】
図3の各図は、導電路21,22から発せられる電磁界の広がりを模式的に示す図である。電気力線、磁力線が遠い距離を走るほど、導電路21,22の相互カップリングが弱くなり、他のエネルギに交換しやすい。つまり、導電路21,22が互いに対向する部分の面積を減らすと、電磁波の量子化した単位であるフォトンが他のエネルギ(例えば表面プラズモンや表面マグノン)に効率よく変換でき、蓄電池の容量を大きくすることができる。このため、図3(A)に示すように、導電路21,22の断面を略円形にすること、及び導電路21,22の断面を、幅に対する高さの比が1以下(好ましくは0.5以下)である長方形することにより、蓄電池の容量を大きくすることができる。
【0037】
また、導電体の表面または半導体の表面に電界磁界が触れると、表面の自由電子が表面プラズモン共振し、また常磁性を帯びた磁子が表面マグノン共振をするため、フォトンエネルギが吸収される。プラズモン、マグノンは電子の振動のため、その伝播速度は格子振動と同じオーダーの速度、すなわちその媒体の音速に近い速度で伝播(光速に比べ5桁遅い速度)する。このため、表面プラズモン共振及び表面マグノン共振によって吸収されるフォトンエネルギは多くなり、本実施形態における蓄電池の容量が多くなる理由の一つになる。
【0038】
以上、本実施形態によれば、単位体積あたりの容量が大きいキャパシタ型の蓄電池を提供することができる。特に導電路21,22において、高さtの幅wに対する比t/wが1以下であるとき、蓄電池の容量が大きくなる。また、導電路21,22は、上面に接している混合層30が互いに連続しており、かつ下面に接している混合層10も互いに連続している。従って、蓄電池の製造が容易になる。またこの蓄電池は、交流及び直流のいずれでも使用することができる。
【0039】
図4は、第2の実施形態にかかる蓄電池の構成を示す平面図であり、図5は図4に示した蓄電池の幅方向の断面図である。この蓄電池は、導電路21,22を複数交互に混合層10上に設けた点、及び複数の導電路21が同一の端子41に接続しており、複数の導電路22が同一の端子42に接続している点を除いて、第1の実施形態にかかる蓄電池と同様である。対を形成している導電路21,22の幅wとその間の距離dとの関係は、w/d≧1.5が望ましい。対を形成していない導電路21,22の距離をsとした場合、s/d≧1であるのが望ましい。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0040】
混合層10に対して垂直な方向から見た場合、端子41,42は一部が互いに重なっているが、端子41,42の間には絶縁層52が位置しているため、互いの絶縁は確保されている。端子41,42は、導電路21,22から離れるに従って幅が狭くなる部分を有しており、かつこの部分において、導電路21,22が延伸する2辺が互いになす角度θが30°以下である。これにより、端子41,42における電力の抵抗損失を少なくすることができる。
【0041】
また、端子41は、直接導電路21に接続しているが、端子42は、貫通電極60を介して導電路22に接続している。貫通電極60は、端子41上及び導電路21,22上に設けられた絶縁層51を貫通している。端子42は、絶縁層51上に位置している。
【0042】
次に、端子41,42の製造方法について説明する。混合層30から露出している導電路21に端子41を接続する。ついで、導電路21,22上及び端子41上に絶縁層51を接着または塗布する。ついで、フォトリソグラフィ法により、絶縁層51に開口を形成し、この開口内に貫通電極60を埋め込む。ついで、絶縁層52を端子41上に位置させた後、端子42を貫通電極60に接続する。
【0043】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。導電路21,22の数を多くしたため、蓄電池の容量がさらに大きくなる。
【0044】
図6は、第3の実施形態にかかる蓄電池の構成を説明する断面図である。本実施形態にかかる蓄電池は、導電路21,22の表面全周に絶縁層21a、22aが形成されている点を除いて、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0045】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、導電路21,22の表面に絶縁層21a,22aが形成されているため、蓄電池の耐圧を高くすることができる。また図2(C)に示したメッシュが導電性を有していても、導電路21,22が短絡することを防止できる。
【0046】
図7は、第4の実施形態にかかる蓄電池の構成を示す断面図である。本実施形態にかかる蓄電池は、混合層10の下面に絶縁層12を有する点を除いて、第1~第3の実施形態のいずれかと同様である。以下、これら実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0047】
本実施形態によっても、第1~第3の実施形態のいずれかと同様の効果を得ることができる。また、蓄電池をロール状に巻いたときに、混合層10,30が直接接することを防止できる。
【0048】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば上記した各実施形態において、混合層10の代わりに表面プラズモン共振及び表面マグノン共振が起こる絶縁性のシートを用いてもよい。
【実施例】
【0049】
プリント配線基板の上面に導電路21,22を形成した。また、平均粒径14μmのアルミニウム粉末と15~20μmオーダーの長径のニッケルフレーク(厚み1μm)とを同一重量比ほどシリコーン樹脂に混合した混合ペーストを作成した。そしてプリント配線基板上及び導電路21,22上に混合ペーストを塗布して容量を測定した(実施例)。また、混合ペーストを塗布しない状態における導電路21,22の容量も測定した(比較例)。
【0050】
測定結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
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【0052】
これらから、混合ペーストを一面に塗布するのみで、容量が数桁大きくなることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(A)は第1の実施形態に係るキャパシタ型の蓄電池の斜視図、(B)は蓄電池の平面図である。
【図2】各図は混合層10,30の断面の一部を拡大して示した図である。
【図3】各図は、導電路21,22から発せられる電磁界の広がりを模式的に示す図である。
【図4】第2の実施形態にかかる蓄電池の構成を示す平面図である。
【図5】図4に示した蓄電池の幅方向の断面図である。
【図6】第3の実施形態にかかる蓄電池の構成を説明する断面図である。
【図7】第4の実施形態にかかる蓄電池の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
7 メッシュ
8 粒子状粉体
9 鱗片状粉体
10 混合層
10a 端部
12 絶縁層
21 導電路
21a 絶縁層
22 導電路
22a 絶縁層
30 混合層
41 端子
42 端子
51 絶縁層
52 絶縁層
60 貫通電極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6