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明細書 :真空搬送機構及びそれを備えたマルチチャンバシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4993211号 (P4993211)
公開番号 特開2009-238962 (P2009-238962A)
登録日 平成24年5月18日(2012.5.18)
発行日 平成24年8月8日(2012.8.8)
公開日 平成21年10月15日(2009.10.15)
発明の名称または考案の名称 真空搬送機構及びそれを備えたマルチチャンバシステム
国際特許分類 H01L  21/205       (2006.01)
C23C  14/56        (2006.01)
FI H01L 21/205
C23C 14/56 G
請求項の数または発明の数 6
全頁数 26
出願番号 特願2008-082208 (P2008-082208)
出願日 平成20年3月26日(2008.3.26)
審査請求日 平成22年12月20日(2010.12.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】鯉沼 秀臣
【氏名】伊高 健治
【氏名】佐藤 利弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100109807、【弁理士】、【氏名又は名称】篠田 哲也
【識別番号】100148127、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 耕太
審査官 【審査官】大塚 徹
参考文献・文献 特開2000-021947(JP,A)
特開2008-060603(JP,A)
特開2008-037690(JP,A)
特開昭61-018145(JP,A)
特開平06-184741(JP,A)
実開昭63-144946(JP,U)
調査した分野 H01L 21/205
H01L 21/31
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバに設けられる試料搬送用の機構であって、
試料を支持するホルダーと、
長尺の板ばねで成り、上記トランスファーチャンバ内で水平方向へ直線状に延びて上記ホルダーを先端部で支持する支持手段と、
上記支持手段の延出方向をガイドするガイド手段と、
上記ガイド手段が上記複数のプロセスチャンバのそれぞれに臨む方向を変えるよう上記ガイド手段を回転する回転手段と、
上記ガイド手段から繰り出される上記支持手段の長さを調整する調整手段と、を備えていることを特徴とする、真空搬送機構。
【請求項2】
前記トランスファーチャンバは、上壁の上方へ或いは下壁の下方へ突出し中空の内部がトランスファーチャンバ内と連通し先端が閉塞された筒状のコラムを備え、
前記回転手段は、前記トランスファーチャンバ内に基端部が位置するよう上記コラム内に配設される筒状部材と、上記コラムの外側に配置され第1のマグネットカップリングを介して筒状部材と磁気結合された第1操作部材と、を備え、
前記ガイド手段は、上記筒状部材の基端部に固定されており、
上記第1操作部材を上記コラム周りに回転させると、上記筒状部材が上記第1操作部材に従動して前記ガイド手段が回転することを特徴とする、請求項に記載の真空搬送機構。
【請求項3】
前記板ばねは前記筒状部材内を貫通し、中間部が前記ガイド手段で折り曲げられて先端側が前記トランスファーチャンバ内で水平状に延びており、
前記調整手段は、前記コラム内で前記筒状部材の上端から突出した前記板ばねの上端部と第2のマグネットカップリングを介して磁気結合され前記コラムの外側に配設される第2操作部材と、を備え、
前記コラムに対して上記第2操作部材を上下に移動させると、前記板ばねの上端部が上記第2操作部材に従動して、前記トランスファーチャンバ内で前記ガイド手段から繰り出される前記板ばねの長さが変わることを特徴とする、請求項に記載の真空搬送機構。
【請求項4】
前記コラムを昇降させる昇降手段を備え、
上記昇降手段が、前記コラムを支持し前記筒状部材が挿通可能な貫通孔を有する台座部と、この台座部の昇降をガイドする昇降用ガイドと、を備え、
上記台座部の貫通孔を貫通した前記筒状部材における上記台座部と前記トランスファーチャンバとの間で露呈する部分が、上記台座部と前記トランスファーチャンバとの間に設けられたシール部材で気密的に覆われていて、
上記昇降手段によって前記コラムを昇降させると、当該コラムの外側に配設された前記第1操作部材に前記筒状部材が従動して、前記ガイド手段が上下に移動することを特徴とする、請求項に記載の真空搬送機構。
【請求項5】
複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバに設けられる試料搬送用の機構であって、
試料を支持するホルダーと、
二つの板ばねを組み合わせて断面V字型又は凹状に形成されており、上記トランスファーチャンバ内で水平方向へ直線状に延びて上記ホルダーを先端部で支持する支持手段と、
上記支持手段の延出方向をガイドするガイド手段と、
上記ガイド手段が上記複数のプロセスチャンバのそれぞれに臨む方向を変えるよう上記ガイド手段を回転する回転手段と、
を備えていることを特徴とする真空搬送機構。
【請求項6】
複数のプロセスチャンバと、これらの複数のプロセスチャンバを周囲に接続したトランスファーチャンバと、を備えたマルチチャンバシステムであって、
上記トランスファーチャンバが、請求項1~の何れかに記載の真空搬送機構を備えたことを特徴とする、マルチチャンバシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプロセスチャンバを試料搬送用の真空チャンバであるトランスファーチャンバの周りに配設したマルチチャンバシステムにおいてチャンバ内で試料を搬送するための機構に係り、特にチャンバ内で試料を搬送する機構への動力を非接触で供給できてトランスファーチャンバを小型化できる真空搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の材料・デバイス研究の進展に伴って、シリコン・金属だけでなく酸化物や有機系半導体にいたる多彩な材料が機能性薄膜材料として用いられており、デバイスの構造は複雑化している。さらに、界面デバイスや有機系材料デバイスなどでは、大気を排除したシステムで作製・評価を進める必要がある。この種のデバイス用の材料として多種多様化する新材料を作製するために、近年、マルチチャンバシステムが利用されている。
【0003】
例えば、従来のマルチチャンバシステム200は、図14に示すように、試料搬送用のトランスファーチャンバ220、即ち交換室を中心に配置し、このトランスファーチャンバ220の周囲に合成装置,表面分析装置などを搭載した複数のプロセスチャンバ210を配置して構成されている。例えば、トランスファーチャンバ220の周壁には複数の開口部(図示省略)が形成されており、これらの開口部にはゲートバルブ(図示省略)を介して上記複数のプロセスチャンバ210が取り付けられている。一のプロセスチャンバから他のプロセスチャンバへの試料の搬送は、トランスファーチャンバ220を介して行われる。複数のプロセスチャンバ間の試料の搬送は、マルチチャンバシステム200に備えられた搬送機構によって行われる。
【0004】
従来の搬送機構はトランスファーロットを備えた直線駆動機構で成る。図14に示すようにトランスファーロット230は、プロセスチャンバ210ごとに設けられており、このトランスファーロッド230をプロセスチャンバ210に押し込む深さを変えることでロッド先端部が交換室内に出没して、ロッド先端部で支えた試料が当該プロセスチャンバ210と交換室220との間で搬送される。
【0005】
上記した交換室を介して試料を他のプロセスチャンバへ搬送可能なマルチチャンバシステムが、特許文献1~3に開示されている。

【特許文献1】特開平8-46013号公報
【特許文献2】特開平10-247675号公報
【特許文献3】特開平11-222675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の材料・デバイス研究では、特に材料やデバイス自体の持つポテンシャルを正確に且つ迅速に把握することが肝要であり、小回りの効く小型で汎用性のある超高真空対応の製膜・評価システムが求められている。また、当該製膜・評価システムは、放射光施設など大型測定系と連結するために、極力設置エリアサイズを小さくする必要がある。さらに、多種多様化する新材料を効率よく開発するために、多数の合成装置、表面分析装置を連結したシステムの需要が増えてきている。多数のシステムを連結するには、効率の良い真空搬送システムが必要となり、個々のモジュールの小型化が望まれる。しかしながら、図14に示すマルチチャンバシステム200は、システムの基本構成であるトランスファーチャンバ220及びそれに隣接した複数のプロセスチャンバ210で画する設置領域以上に、当該プロセスチャンバ210に対して進退するトランスファーロッド230用の作業スペースが必要であるため、基本構成の設置領域よりはるかに広い領域を確保しなければ、実際には当該マルチチャンバシステム200を使用することができない。また、マルチチャンバシステム200における各チャンバの構造もトランスファーロッド230によって制約を受け、設計の自由度が制限されている。
【0007】
また、トランスファーロッド230を備えた直線駆動機構の代わりに、例えばロボットアームによって試料を搬送させることも考えられるが、そのようなロボットアームの機構全体をチャンバ内に配設させるとチャンバ自体が大型化し、また、交換室の周壁に形成された搬送ポート、即ち開口も、大きなロボットアームが通過できるように大きくする必要があるため、システム全体が巨大化してしまう。このようなシステムの巨大化は、装置同士の干渉の問題やコスト・専有面積の肥大化を引き起こす。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、複合材料開発用のマルチチャンバシステムの小型化に貢献できる、複数のチャンバ間で試料を効率よく搬送させる試料搬送機構を提供することを第一の目的としている。
さらに、本発明は、試料搬送機構を備えたマルチチャンバシステムを提供することを第二の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第一の目的を達成するため、本発明は、複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバに設けられる試料搬送用の機構であって、試料を支持するホルダーと、長尺の板ばねで成り、トランスファーチャンバ内で水平方向へ直線状に延びてホルダーを先端部で支持する支持手段と、支持手段の延出方向をガイドするガイド手段と、複数のプロセスチャンバに対するガイド手段の臨む方向を変えるようガイド手段を回転する回転手段と、ガイド手段から繰り出される支持手段の長さを調整する調整手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の真空搬送機構において、好ましくは、トランスファーチャンバは、上壁の上方へ或いは下壁の下方へ突出し中空の内部がトランスファーチャンバ内と連通し先端が閉塞された筒状のコラムを備え、回転部材は、トランスファーチャンバ内に基端部が位置するようコラム内に配設される筒状部材と、コラムの外側に配置され第1のマグネットカップリングを介して筒状部材と磁気結合された第1操作部材と、を備え、ガイド手段は、筒状部材の基端部に固定されており、第1操作部材をコラム周りに移動させると、筒状部材が第1操作部材に従動してガイド手段が回転するのが望ましい。
さらに、本発明の真空搬送機構において、好ましくは、板ばねは筒状部材内を貫通し、中間部がガイド手段で折り曲げられて先端側がトランスファーチャンバ内で水平状に延びており、調整手段は、コラム内で筒状部材の上端から突出した板ばねの上端部と第2のマグネットカップリングを介して磁気結合されコラムの外側に配設される第2操作部材と、を備え、コラムに対して第2操作部材を上下に移動させると、板ばねの上端部が第2操作部材に従動して、トランスファーチャンバ内でガイド手段から繰り出される板ばねの長さが変わる。
また、本発明の真空搬送機構において、コラムを昇降させる昇降手段を備え、昇降手段が、コラムを支持し前記筒状部材が挿通可能な貫通孔を有する台座部と、この台座部の昇降をガイドする昇降用ガイドと、を備え、台座部の貫通孔を貫通した筒状部材における台座部とトランスファーチャンバとの間で露呈する部分が、台座部とトランスファーチャンバとの間に設けられたシール部材で気密的に覆われていて、昇降手段によってコラムを昇降させると、コラムの外側に配設された第1操作部材に筒状部材が従動して、ガイド手段が上下に移動する。ここで、台座部とトランスファーチャンバとの間がシール部材で連結されることで、コラム内とトランスファーチャンバ内が連通する。
本発明の別の観点は、複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバに設けられる試料搬送用の機構であって、試料を支持するホルダーと、二つの板ばねを組み合わせて断面V字型又は凹状に形成されており、トランスファーチャンバ内で水平方向へ直線状に延びてホルダーを先端部で支持する支持手段と、支持手段の延出方向をガイドするガイド手段と、ガイド手段が複数のプロセスチャンバのそれぞれに臨む方向を変えるようガイド手段を回転する回転手段と、を備えている

【0011】
上記第二の目的を達成するために、本発明は、複数のプロセスチャンバと、これらの複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバと、を備えたマルチチャンバシステムであって、トランスファーチャンバが前述の真空搬送機構を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、試料交換室であるトランスファーチャンバに1本のみのトランスファーロッドによる支持手段、即ち板ばねを設け、360°全方向に対してすべて単一のトランスファーロッドを用いることによってトランスファーロッドの数を減らすことができ、トランスファーチャンバの小型化を図ることができる。また、図14の従来のマルチチャンバシステム200に比べて、各プロセスチャンバ及びロードロックチャンバへの試料の搬送を一本のトランスファーロッドを成す支持手段を共用して行えるので、試料搬送に伴う操作を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1(A)は本発明の実施形態に係るマルチチャンバシステム1の正面図であり、図1(B)はマルチチャンバシステム1の平面図である。
マルチチャンバシステム1は、例えば試料の合成などの処理を行って薄膜を作製し、さらに作製した薄膜の分析をシステム内で連続して行える装置である。このために、マルチチャンバシステム1は、複数のプロセスチャンバ2と、ロードロックチャンバ3と、これらのプロセスチャンバ2及びロードロックチャンバ3を周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバ5と、を備えている。試料はロードロックチャンバ3の搬入口からシステム内に導入され、さらにトランスファーチャンバ5を経由して所望の処理、例えば、パルスレーザー堆積、パルス電子銃堆積等の処理を行う各プロセスチャンバ2へ搬送され、さらに、当該プロセスチャンバ2で作製された薄膜はトランスファーチャンバを経由して所望の分析、例えばCMA/ケルビンプローブ測定等を行う他のプロセスチャンバ2へ搬送される。
【0014】
マルチチャンバシステム1における試料に対する処理は、図示省略する制御装置によって実行され、例えば、プロセス温度や時間などが制御される。この制御装置はコンピュータで成り、キーボードやマウス等の操作手段によって使用者がディスプレイの表示に従って制御内容を設定し、その設定に従ってコンピュータが試料処理用のプログラムを実行することで、各プロセスチャンバ2で試料の合成や分析等の処理が実行される。
このマルチチャンバシステム1は、制御装置を除いて、フレーム4Aの下端にキャスター4Bを備えた台車4に固定されている。
【0015】
このように、本実施形態のマルチチャンバシステム1において、試料の合成や分析等の処理を行うためのプロセスチャンバ2へ試料を搬送する際、試料は必ずトランスファーチャンバ5を経由して搬送されるように構成されている。
ここで、図2は本システムにおけるトランスファーチャンバ5の概略正面図であり、図3はトランスファーチャンバ5の概略鉛直断面図であり、図4はトランスファーチャンバ5の概略分解図である。
このトランスファーチャンバ5は、鉛直断面形状(図3参照)が横長の楕円型で平面視(図1(B)参照)における輪郭形状が円形を成す容器としてステンレス鋼で形成されていて、その周縁の縦壁51に複数の接続口、図示例では6個の接続口52を有する。これらの接続口52にゲートバルブを介して各プロセスチャンバ2及びロードロックチャンバ3を接続することができる。各接続口52は、図3及び図4に示すように、縦壁51に形成された開口52Aにステンレス鋼製の管フランジ52Bが取り付けられて構成されている。さらに、トランスファーチャンバ5の上面53の各接続口52に近接した位置にも管フランジ54が形成されている。これらの管フランジ54の開口にはアクリル板55が取り付けられて覗き窓が構成されている。なお、図1(B)に示すように、各接続口52に対応して一つの覗き窓、即ち管フランジ54がトランスファーチャンバ5の中心Cから対応する接続口52を結ぶ各仮想直線L(図1(B)参照)上にそれぞれ配置されている。また、トランスファーチャンバ5の下面56にも管フランジ56A,56B,56Cが設けられており、図2に示す例では、管フランジ56Aにガス導入バルブ56Dが、管フランジ56Bに真空ゲージ56Eが、管フランジ56Cに図示省略するターボ分子ポンプ(TMP)が連結される。
【0016】
本実施形態では、各プロセスチャンバ2,2同士間での試料の搬送と、プロセスチャンバ2とロードロックチャンバ3との間での試料の搬送がトランスファーチャンバ5に設けられた単一の真空搬送機構10によって行われることを特徴としている。
【0017】
トランスファーチャンバ5は、真空搬送機構10を搭載するために、図3及び図4に示すように、上面53に開口53Aを有し、この開口53Aの縁から上方へ管フランジ53Bが延出している。さらにこの管フランジ53B内には、中心に貫通孔57Aを有する円盤状の蓋部材57が嵌入されている。さらにこの蓋部材57と管フランジ53Bとの境界部分をシールするように、真空搬送機構10のベース部材11がトランスファーチャンバ5上に取り付けられている。
【0018】
ベース部材11は、中心に貫通孔110Aを有し蓋部材57上に配設されるロアベース部110と、このロアベース部110上に固定され中心に貫通孔111Aを有するアッパベース部111と、から構成されている。これらのベース部の各貫通孔110A,111Aの中心は、トランスファーチャンバ5の中心C(図1(B)参照)を上下に貫通する仮想Z軸(図3参照)上に選定されている。なお、図4において、構造を分かり易くするためにトランスファーチャンバ5,蓋部材57、ベース部材11を鉛直面で切った断面状態で表している。
このように構成されたベース部材11を基準として、真空搬送機構10の構成部材が上下に動いたり、或いは、上記仮想Z軸周りに回転するように構成されている。
【0019】
具体的には、本実施形態に係る真空搬送機構10は、トランスファーチャンバ5内に配設されるガイド手段20と、このガイド手段20から水平に繰り出されて直線状に延びる支持手段30と、支持手段30の先端部に取り付けられ試料を支持するホルダー40と、ベース部材11上に固定された昇降用ガイド15に案内されて上下動する台座部16と、この台座部16上に固定されたコラム50と、ガイド手段20を回転させる回転手段60と、ガイド手段20から繰り出される支持手段30の長さL(図3参照)を調整する調整手段70と、ホルダー40を制御するための制御手段80と、を備えている。
【0020】
支持手段30はホルダー40を支持するものであり、トランスファーチャンバ5に配設される前の状態では、図4に示すように、細幅で直線状に延びた長尺部材として形成されている。ここで、図5(A)は図4のA-A線断面図であり、この図に示されるように、本実施形態における支持手段30は、細幅で長尺な薄い2枚の板ばね31,31を組み合わせて断面V字型を呈するように構成されている。このように、2枚の板ばね31,31が組み合わさっていることから支持手段30は、自然状態では直線状の形態を維持する剛性と、折り曲げても各板ばねによって直線状の形態に戻る弾力性とを備えている。また、各板ばね31は、図5(B)に示されているように断面形状が弧状に形成され、その円弧の角度Rが例えば50~150度程度に設定されている。また、板ばね31は断面を円弧に限らず、V状又はU状など湾曲して形成されていてもよい。このように構成された各板ばね31は、図5(C)に示すように、長手方向の中間部位で凹面31A側へ折れ曲がることができる。なお、本実施形態の支持手段30では、図5(A)に示すように、二つの板ばね31が互いの凹面31Aを向き合わせるように縁部同士で連結しているので、支持手段30は、所望の力を加えると板ばね31の凹面31A側へ曲がるが、反対側(凸面31B側)へは非常に曲がり難い。なお、図5は支持手段30及び各板ばね31の全体の表示を省略して一部を概略的に表したものである。
このように構成された支持手段30は、図3における仮想Z軸に沿うように配置され、その下側部分がガイド手段20によって折り曲げられる。
【0021】
ガイド手段20は、支持手段30の延出方向をガイドするものであり、前述のよう仮想Z軸に沿って真っ直ぐに延びた支持手段30の下側部分を折り曲げて水平方向へ延びるよう支持手段30の延出方向を転換する。
ここで、図6はガイド手段20の側面図であり、ガイド手段20は、ブラケット21と、このブラケット21に回転可能に支持された複数のローラーとから構成されている。具体的には、図7はブラケット21の平面図であり、ブラケット21は、一定の間隔をおいて対向した2枚の同形の矩形型プレート21A,21Aと、2枚の矩形型プレート21A,21Aの上端部に架設された略円環型の取付部21Bと、から構成されている。さらに、図6に示すように、矩形型プレート21Aの中央に第1ローラー22Aと、この第1ローラー22Aに隣接して水平方向へずれた位置に第2ローラー22Bと、第1ローラー22Aに隣接して鉛直下方へずれた位置に第3ローラー22Cと、第1ローラー22Aから距離をおいて第2ローラー22Bとは反対の位置近傍に第4ローラー22Dが、それぞれ2枚の矩形型プレート21A,21Aの間で水平な回転軸(図示省略)まわりを回転可能に支持されている。さらに、第3ローラー22Cから第4ローラー22D側へ水平にずれた位置近傍で、第5ローラー23Aが回転可能にアジャスター23Bを介してブラケット21に連結されている。
【0022】
このようなガイド手段20によって、支持手段30はその先端部が取付部21Bへ上方から差し込まれると、第1ローラー22Aとそれに水平に設けられた第2ローラー22Bにガイドされて支持手段30の左右への揺れが抑制されると共に二つのローラー22A,22BによってV字型の断面が押し広げられてほぼ平らになることで曲がり易く成る。そして支持手段30はこれらのローラー22A,22Bから引き出されると平たい状態のまま第1ローラー22Aとその下側に配置された第3ローラー22Cとの間に進入し、これらのローラー22A,22Cにガイドされて90度、すなわち、支持部材30としての板ばねが垂直方向から水平方向へ屈曲される。さらにこれらのローラー22A,22Cから引き出された支持手段30は、板ばね31の弾力性によって断面がV字型形状に戻ることで先端側が直線状に延出する姿勢を維持する。また、第5ローラー23Aは支持手段30の下方への移動を規制するようガイドしている。
【0023】
ガイド手段20によって延出方向が水平に変えられた支持手段30の先端部には、ホルダー40が取り付けられている。
ここで、図8(A)及び(B)はホルダー40の側面図であり、ホルダー40は、例えば、支持手段30の先端部に取り付けられる取付部41と、この取付部41に固定され坩堝90等を載せるテーブル部42と、取付部41に対して軸43Aまわりに回動可能に取り付けられテーブル部42に載せた坩堝90を動かないようにロックする可動部43と、可動部43におけるロックを解除するように可動部43をテーブル部42から離れる方向へ付勢するばね部材(図示省略)と、を備えている。
なお、可動部43は、後述するように、制御手段80のワイヤ82によってロックがコントロールされる。
【0024】
次に、トランスファーチャンバ5の外側に配設される部材について説明する。
昇降用ガイド15は、図2~4に示すように、ベース部材11上に立設した案内シャフト15Aを備えている。台座部16は、この案内シャフト15Aにガイドされて上下動する。案内シャフト15Aは例えばねじ軸として構成されており、このねじ軸を挿通させるための貫通孔16A(図4参照)が台座部16に形成されていて、ボールを介してネジ軸と連結するボールねじナットが台座部16の貫通孔16Aに取り付けられている。また、つまみ15Bをまわすとその回転力をねじ軸の回転に変換する駆動部15Cが案内シャフト15Aに連結されている。さらに、台座部16は、後述の筒状部材61を挿通させるための貫通孔16B(図4参照)を備えている。よって、台座部16の一側を貫通するようネジ軸が設けられ、他側を貫通するよう筒状部材61が設けられているため、台座部16は向きを一定にした状態で上下へ移動する。このように、台座部16はベース部材11に対する距離を可変に構成されているが、これらの台座部16とベース部材11とは例えば伸縮可能な蛇腹形状の筒型のシール部材18(図2及び図4参照)で連結されている。即ち、シール部材18は、台座部16とベース部材11との間で後述の筒状部材61を気密的に覆っている。
なお、台座部16を上下動させる機構は、本実施形態例に限られるものではなく、上記の案内シャフト15Aをねじ軸の代わりに表面にねじを切っていない棒材をベース部材11に固定して用い、さらに台座部16を上下へ牽引する部材を駆動部に設けてもよい。
【0025】
コラム50は、図4に示すようにトランスファーチャンバ5の上方へ突出した筒状の部材であり、その内部は中空(後述の図9等に示す中空領域S1)に形成されて、先端部を除いて断面が円環状に形成されている。このコラム50は、台座部16の貫通孔16B(図4参照)と連通するように台座部16上に固定される。よって、このコラム50の内部は、台座部16の貫通孔16B及びシール部材18を介してトランスファーチャンバ5内と連通し、大気から隔離される。
【0026】
このように台座部16上に固定されたコラム50に対してガイド手段20及び支持手段30(即ち、板ばね)が動くように、回転手段60と、調整手段70が構成されている。
【0027】
回転手段60は、複数のプロセスチャンバ2の何れにもガイド手段20が臨むことができるようガイド手段20を仮想Z軸まわりに回転させて、即ちガイド手段20の向きを変えるものである。このために、回転手段60は、筒状部材61と、第1操作部材62と、第1のマグネットカップリング(MAGNET COUPLING)63と、を備えている。
【0028】
筒状部材61は、トランスファーチャンバ5内に基端部61Aが位置するようコラム50の中空領域S1内に配設される。即ち、筒状部材61は、トランスファーチャンバ5上面の開口53A、蓋部材57の貫通孔57A、ベース部材11の貫通孔110A,111A、台座部16の貫通孔16Bを貫通し、下側の基端部61Aがトランスファーチャンバ5内に位置し、上端部61Bがコラム50の下側に形成された大径部50A内に位置するように、配設されている。
【0029】
第1操作部材62は、コラム50の台座部16寄りの表面、即ち大径部50Aの表面を部分的に覆う円筒状の部材であり、大径部50と同心円状に配設される。この第1操作部材62は、第1のマグネットカップリング63によって上記の筒状部材61と磁気結合されている。ここで、図9は図2のB-B線断面図であり、この図に示すように、第1のマグネットカップリング63は、第1操作部材62の内周面に設けられた複数の第1の駆動マグネット63Aと、筒状部材61の上端部の外周面に設けられた複数の第1の従動マグネット63Bと、を備えている。例えば、第1の駆動マグネット63Aは一方の磁極が筒状部材61に対向するように第1操作部材62の内面に固定され、さらに隣り合う第1の駆動マグネット63Aは筒状部材61と対向する各磁極が互いに異なるように第1操作部材62に配設されている。同様に、第1の従動マグネット63Bは、一方の磁極が第1操作部材62の内面に対向するように筒状部材61の上端部外周面に固定され、さらに隣り合う第1の従動マグネット63Bは第1操作部材の内面と対向する各磁極が互いに異なるように筒状部材61に配設されている。この種の第1の駆動マグネット63A及び第1の従動マグネット63Bは、例えば細長い薄板状の永久磁石で成り、その長手方向が仮想Z軸(図3参照)に沿うようにそれぞれ配設されている。このように、第1の駆動マグネット63AのN極(或いはS極)が、コラム50を介して第1の従動マグネット63BのS極(或いはN極)と対向して、第1操作部材62と筒状部材61とが磁気結合される。
この筒状部材61の基端部61Aに、図3及び図6に示すようにガイド手段20が固定されている。
この構成によって、コラム50周りに第1操作部材62を回転させると、第1の従動マグネット63Bが第1の駆動マグネット63Aの回転に追従するため、筒状部材61が仮想Z軸まわりに回転して、ガイド手段20を回転させることができる。
なお、第1操作部材62がコラム50に対して上下に移動することを規制するために、例えば、図示省略するストッパーをコラム50の表面に設けるとよい。
【0030】
調整手段70は、ガイド手段20から繰り出された支持手段30の長さ、即ちガイド手段20からホルダー40までの支持手段30の長さL(図3参照)を調整するものである。
この調整手段70は、第2操作部材71と、第2のマグネットカップリング72と、を備えている。
【0031】
第2操作部材71は、前述の第1操作部材62と干渉しないように、コラム50の表面を部分的に覆うよう、第1操作部材62の上方に距離をおいて設けられており、円筒状に形成されている。この第2操作部材71は、第2のマグネットカップリング72によって、支持手段30の上端部30Aと磁気結合されている。ここで、図10は図2のC-C線断面図であり、この図に示すように、第2のマグネットカップリング72は、第2操作部材71の内周面に設けられた第2の駆動マグネット72Aと、コラム50の中空領域S1に配置される第2の従動マグネット72Bと、を備えている。これらの第2の駆動マグネット72Aと第2の従動マグネット72Bは、リング状に形成されていて、第2の駆動マグネット72Aの内周面と第2の従動マグネット72Bの外周面とが異なる磁極で対向するように同心円状に配設される。ここで、図11は、図2のD-D線に沿った概略断面図であり、この図に示すようにこれらの第2の駆動マグネット72Aと第2の従動マグネット72Bとは、上下方向に2つずつ並べて設けられている。なお、第2の駆動マグネット72Aは取付ブラケット72Cを介して第2操作部材71の内周面に固定されており、第2の従動マグネット72Bはコラム50内をスライドする第1摺動部材72Dに固定されている。この第1摺動部材72Dに支持手段30の上端部30Aが固定されている。このように、第2の駆動マグネット72Aが、コラム50を介して、第2の従動マグネット72Bと対向して、第2操作部材71と支持手段30の上端部30Aとが磁気結合されている。
【0032】
この構成によって、コラム50に対して第2操作部材71を図2に示す矢印Aのように上下へ移動させると、第2の従動マグネット72Bが第2の駆動マグネット72Aに追従するため、支持手段30の上端部30Aが上下へ移動する。この支持手段30の上端部30Aの移動に連動して、ガイド手段20から突出する支持手段30の長さLが変わる。したがって、第2操作部材71を操作することで、試料を支えるホルダー40の水平方向の位置を変えることができる。
【0033】
さらに、ホルダー40の可動部43(図8参照)を制御する制御手段80が、前述の調整手段70に近接して設けられている。この制御手段80は、第3操作部材81と、ワイヤ82と、第3のマグネットカップリング83と、から構成されている。
【0034】
第3操作部材81は、第2操作部材71を成す円筒状のカバーに対して動くことができるように構成されている。ここで、図12は図2のE-E線概略断面図であり、この図に示されているように、第3操作部材81は、コラム50と第2操作部材71との間隙S2内を摺動する第2摺動部材81Aと、この第2摺動部材81Aに固定されていて第2操作部材71に形成されたガイド孔74を介して外側へ突出したピン81Bと、このピン81Bの先端部に取り付けられたハンドル部81Cと、から構成されている。
【0035】
このように構成された第3操作部材81と、ワイヤ82の基端部82Aとが第3のマグネットカップリング83で磁気結合されている。なお、ワイヤ82の基端部82Aは、図11に示すように、コラム50の中空領域S1を上下方向にスライドする第3摺動部材84に固定されている。この第3摺動部材84は、図3及び図11に示すように、調整手段70の第1摺動部材72Dより上側のコラム50の中空領域S1に配設されており、ワイヤ82は当該第3摺動部材84から筒状部材61内及びガイド手段20内を経由して先端部がホルダー40の可動部43に連結されている。なお、ワイヤ82は、図6に示すようにガイド手段20において第1ローラー22Aと第4ローラー22Dとの間を通過するように配索されている。
【0036】
第3のマグネットカップリング83は、第2のマグネットカップリング72と同様の構成であり、図11に示すように、リング状の駆動マグネット83Aが外側の第2摺動部材81Aに固定されており、リング状の従動マグネット83Bが内側の第3摺動部材84に固定されている。これらの駆動マグネット83A、従動マグネット83Bも、筒状にそれぞれ形成されたコラム50と第2操作部材71と第2摺動部材81Aと共に、同心円状に配設されている。
【0037】
ガイド孔74は、図4に示すように、第2操作部材71の上側領域で横方向に延びた横孔74Aと、この横孔74Aの端から下方へ延びた縦孔74Bと、から成る。第3操作部材81のハンドル部81Cが横孔74Aに位置して下方移動を規制されている状態ではワイヤ82は第3摺動部材84からホルダー40までの間において張っており、ハンドル部81Cを横孔74Aから外して縦孔74Bに沿って下方へ移動させるとワイヤ82は弛む。
以上のように構成された制御手段80によれば、第2操作部材71に対してハンドル部81Cをガイド孔74に沿って移動させることで、ホルダー40の可動部43に回動動作を与えることができる。
【0038】
次に、本実施形態に係る真空搬送機構10による動作について説明する。
図2に示すように、第2操作部材71がコラム50の上端部寄りにあり、ハンドル部81Cがガイド孔74の横孔74Aにあるとき、ホルダー40は図3中の位置POに配置される。この状態から調整手段70の第2操作部材71をコラム50に対して下方へ移動させると、第2のマグネットカップリング72によって支持手段30の上端部30Aが押し下げられ、これにより、トランスファーチャンバ5内ではガイド手段20から支持手段30がさらに延出して長くなる。そして、第2操作部材71を最下点まで押し下げると、チャンバ内での支持手段30の長さLが最長になり、ホルダー40はガイド手段20が対向している開口52A及び管フランジ52Bで成る搬送ポートを通過して隣接するチャンバα内の位置P1まで移動する。
【0039】
ホルダー40が位置P1にある状態で、第2操作部材71に対してハンドル部81Cを縦孔74Bに沿って下方へ移動させると、ワイヤ82が弛み、これによりばね部材の付勢力によって可動部43が図8(B)に示すようにテーブル部42から離れる方向へ回動する。
【0040】
ホルダーが位置P1にある状態で、第2操作部材71をコラム50に対して上方へ移動させると、ホルダー40を当初の位置POに戻すことができる。そして、この状態から、回転手段60の第1操作部材62をコラム50まわり、即ち仮想Z軸まわりに所定の角度回転させると、第1のマグネットカップリング63によって筒状部材61と共にガイド手段20がまわり、ガイド手段20を例えば他の隣接するチャンバβ(図3参照)へ通ずる開口52Aに対向させることができる。このとき、回転手段60によって筒状部材61と共にガイド手段20が回転することに伴って、直線状の板ばねで成る支持手段30に捻れが生ずるが、支持手段30を構成する板ばねの弾性力によって捻れを解消するよう支持手段30は形状を変化させる。この支持手段30の形状の復元動作に連動して調整手段の第1摺動部材72Dが仮想Z軸まわりに回転する。さらに、第2のマグネットカップリング72によって第2操作部材71及びそれに取り付けられた制御手段80もコラム50まわり(仮想Z軸まわり)を回転することになる。
【0041】
さらに、トランスファーチャンバ5に対して台座部16を案内シャフト15Aに沿って上下へ移動させると、台座部16の上下動に伴って第1操作部材62が上下へ移動し、第1のマグネットカップリング63によって筒状部材61が第1操作部材62に従動する。これにより、ガイド手段20、ホルダー40及びそれが支える試料の高さを変えることができる。
【0042】
このように本実施形態に係る真空搬送機構10によれば、試料交換室であるトランスファーチャンバ5に1本のトランスファーロッドを成す支持手段30、即ち板ばねで成る部材を設け、360°全方向に対してすべて同一のトランスファーロッドを用いることによってトランスファーロッドの数を減らすことができ、トランスファーチャンバ5の小型化を図ることができる。また、図14の従来のマルチチャンバシステム200に比べて、各プロセスチャンバ2及びロードロックチャンバ3への試料の搬送を一本のトランスファーロッドを成す支持手段30を共用して行えるので、試料搬送に伴う操作を簡略化することができる。
【0043】
具体的には、トランスファーチャンバ5の中心Cを上下に貫通する仮想Z軸上に沿ってトランスファーチャンバ上方へ突出したコラム50の内外に試料を搬送させるための動力を伝達させるための部材、即ち板ばねで成る支持手段30、支持手段30が挿通する筒状部材61、この筒状部材61と磁気結合された第1操作部材62、支持手段30の上端部30Aと磁気結合された第2操作部材71等を設け、トランスファーチャンバ5内にはガイド手段20とそこから繰り出される板ばね及びこの板ばねに支えられたホルダー40だけがチャンバ内で浮遊した状態で設けられる。また、ガイド手段20は、トランスファーチャンバ5内で仮想Z軸周りに回転して向きを変えたり、仮想Z軸に沿って上下にシフトすることで高さを変え、その向きや高さを調整されたガイド手段20から直線状に支持手段30が繰り出されて、試料を支えるホルダー40が水平移動する。さらに、トランスファーチャンバ5内のガイド手段20の動力が外部からコラム50を介して非接触で供給されるように構成されている。よって、トランスファーチャンバ自体を小型に構成することができる。特に真空搬送機構10の操作部材が図2に示すように、トランスファーチャンバ5の上面の領域内に収まっているので、設置スペースをコンパクトにすることができる。例えば、本発明における真空搬送機構10を採用することによって、トランスファーチャンバのサイズを図14に示すシステムの1/4の設置サイズ程度に低減することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る真空搬送機構10は、操作する部材がトランスファーチャンバ5の外側にはみ出ないことから、トランスファーチャンバ5のまわりに接続されるプロセスチャンバ2は真空搬送機構10による制約を受けることはない。これより、トランスファーチャンバ5に連結するプロセスチャンバ2の組み合わせの自由度が向上すると共に、それらによって構成されるマルチチャンバシステム1自体も設置領域を狭めることができる。
このように周辺機器に設計の自由度をもたらすことが出来るので、本実施形態に係る真空搬送機構10は、真空装置の標準規格であるICF規格に対応することが可能であり、汎用性を持っている。
【0045】
図13は本発明の他の実施形態に係る真空搬送機構10Aを示す正面図である。この真空搬送機構10Aは、前述の真空搬送機構10と異なり、ガイド手段20を仮想Z軸に沿って上下へシフト移動させるための昇降用ガイド15を備えずに構成されており、コラム50が直にベース部材11上に固定されていることを特徴としている。
この真空搬送機構10Aによっても、前述の真空搬送機構10と同様に、一本のトランスファーロッドを成す支持手段30、即ち板ばねで成る部材だけで、試料を隣接するチャンバへ搬送することができる。
【0046】
本発明のさらに他の実施形態に係る真空搬送機構について説明する。
上記の真空搬送機構10,10Aにおける調整手段70は、一本の直線状の支持手段30をガイド手段20で折り曲げ、コラム50内における支持手段30の上端部30Aの高さの位置を変えることで、ガイド手段20から繰り出される長さLが変わるように構成されている。このような調整手段70に代えて、例えば、支持手段として弾性の高い素材を渦巻き状にまいて成るぜんまいばねを利用してもよい。このぜんまいばねは、例えば、コラム50の内部の一定の位置で回転可能に配設され、その先端側は筒状部材61及びガイド手段20内を経由するように配索されてホルダー40に連結される。この場合、ガイド手段20から繰り出されるぜんまいばねの長さを調整するために、コラム50の外側にハンドルが設けられ、このハンドルがマグネットカップリングによってぜんまいばねに磁気結合される。例えば、円盤状の駆動側及び従動側の各磁石が平面を対向するようにコラム50を介して並設され、駆動側の磁石にハンドルが取り付けられ、従動側の磁石に渦巻き状態のばね基端部側が固定されて、ハンドルを磁石でなる円盤の中心まわりに回転させることで、ぜんまいばねの基端側の巻き回数を変えることができる。これにより、ガイド手段から繰り出されるばねの長さを調整できる。
このような真空搬送機構では、前述の真空搬送機構10,10Aのように板ばねの上端部30Aを上下にストロークさせるためにコラム50を高く形成しなくてもよいので、さらに、トランスファーチャンバを小型化することができる。
【0047】
以上詳述したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
例えば、前述の真空搬送機構10,10Aの支持手段30は、2本の板ばね31,31を組み合わせて構成されているが、ばね定数を考慮した所定の厚みの一本の板ばねだけで構成してもよい。
【0048】
支持手段の先端部に取り付けられるホルダーは、前述の構成例に限定されるものでははい。また、ホルダーにおける試料の支持の仕方としては、ホルダーの上面に試料を載せて支えるものに限らず、試料を摘んだり、試料を把持したりして支えるもの等も含む。
例えば、ホルダーは可動部43を備えずに、先端部が二股状に分かれたフォーク形状に形成されてもよい。このようなホルダーを利用する場合、前述のワイヤ82が不要となり、制御手段80も省略することができる。
また、ホルダーはその先端部で基板などの試料を摘むことができるように、二つの爪部を備え、一方の爪部が他方の爪部から離れるようにばね部材で付勢されていて、この付勢力に抗して他方の爪部を一方の爪部に当接させるようワイヤ82によって牽引されるように構成されてもよい。
【0049】
例示したトランスファーチャンバ5では、真空搬送機構10,10Aがチャンバ上方へ突出したコラム50に対して配置されているが、この種のコラムは、トランスファーチャンバの下面から下方へ突出するように設け、このコラムを基準に真空搬送機構が配設されてもよい。
上記構成例では、回転手段60の第1操作部材62を回転させると、支持手段30を成すばね部材の弾力性によって調整手段70を仮想Z軸まわりに回転させているが、第1操作部材62と第2操作部材71を直にリンク部材で連結させて両者を一体で回転させるように構成してもよい。
支持手段は二つの板ばねを組み合わせて断面を凹状に形成されていてもよい。
また、板ばねを除いて真空搬送機構を成す各構成部材はトランスファーチャンバと同様にステンレス鋼で形成されるが、その他の材料で作製されてもよい。
トランスファーチャンバに連結されるプロセスチャンバは、本書で例示した以外の処理を行うためのものでよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(A)は本発明の実施形態に係るマルチチャンバシステムの正面図であり、(B)はその側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る真空搬送機構を備えたトランスファーチャンバの正面図である。
【図3】図2のトランスファーチャンバの概略断面図である。
【図4】図2のトランスファーチャンバの概略分解図である。
【図5】(A)は図4のA-A線に沿った支持手段の概略断面図であり、(B)は一つの板ばねの概略断面図であり、(C)は折れ曲がった状態の板ばねの概略斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る真空搬送機構のガイド手段の側面図である。
【図7】図6のガイド手段のブラケットの平面図である。
【図8】(A)は本発明の実施形態に係る真空搬送機構のホルダーが試料を支持した状態を、(B)はロックが解除された状態のホルダーの側面図である。
【図9】図2のB-B線に沿った回転手段の概略断面図である。
【図10】図2のC-C線に沿った調整手段の概略断面図である。
【図11】図2のD-D線に沿った調整手段及び制御手段の概略断面図である。
【図12】図2のE-E線に沿った制御手段の概略断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る他の真空搬送機構を備えたトランスファーチャンバの正面図である。
【図14】従来のマルチチャンバシステムの概略平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 マルチチャンバシステム
2 プロセスチャンバ
3 ロードロックチャンバ
4 台車
4A フレーム
4B キャスター
5 トランスファーチャンバ
10,10A 真空搬送機構
11 ベース部材
15 昇降用ガイド
15A 案内シャフト
15C 駆動部
16 台座部
16A,16B,57A,110A,111A 貫通孔
18 シール部材
20 ガイド手段
21 ブラケット
21A 矩形型プレート
21B 取付部
22A 第1ローラー
22B 第2ローラー
22C 第3ローラー
22D 第4ローラー
23A 第5ローラー
23B アジャスター
30 支持手段
31 板ばね
40 ホルダー
41 取付部
42 テーブル部
43 可動部
43A 枢軸
50 コラム
50A 大径部
51 トランスファーチャンバの縦壁
52 接続口
52A,53A 開口
52B,53B,54,56A~56C 管フランジ
53 トランスファーチャンバの上面
55 アクリル板
56 トランスファーチャンバの下面
56D ガス導入バルブ
56E 真空ゲージ
57 蓋部材
60 回転手段
61 筒状部材
61A 筒状部材の基端部
61B 筒状部材の上端部
62 第1操作部材
63 第1のマグネットカップリング
63A 第1の駆動マグネット
63B 第1の従動マグネット
70 調整手段
71 第2操作部材
72 第2のマグネットカップリング
72A 第2の駆動マグネット
72B 第2の従動マグネット
72C 取付ブラケット
72D 第1摺動部材
74 ガイド孔
74A 横孔
74B 縦孔
80 制御手段
81 第3操作部材
81A 第2摺動部材
81B ピン
81C ハンドル部
82 ワイヤ
82A 基端部
83 第3のマグネットカップリング
83A 駆動マグネット
83B 従動マグネット
84 第3摺動部材
90 坩堝
110 ロアベース部
111 アッパベース部
Z 仮想の鉛直軸
L 仮想の直線
PO,P1 位置
S1 中空領域
S2 間隙
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13