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明細書 :電動車椅子用制御装置および同制御装置を用いた電動車椅子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5158702号 (P5158702)
公開番号 特開2009-233082 (P2009-233082A)
登録日 平成24年12月21日(2012.12.21)
発行日 平成25年3月6日(2013.3.6)
公開日 平成21年10月15日(2009.10.15)
発明の名称または考案の名称 電動車椅子用制御装置および同制御装置を用いた電動車椅子
国際特許分類 A61G   5/04        (2013.01)
FI A61G 5/04 502
請求項の数または発明の数 5
全頁数 15
出願番号 特願2008-082527 (P2008-082527)
出願日 平成20年3月27日(2008.3.27)
審査請求日 平成23年3月25日(2011.3.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】土田 義之
【氏名】飛澤 直哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100112003、【弁理士】、【氏名又は名称】星野 裕司
【識別番号】100145344、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 和徳
審査官 【審査官】岩田 洋一
参考文献・文献 特開2007-228135(JP,A)
特開2007-143886(JP,A)
調査した分野 A61G 5/04
特許請求の範囲 【請求項1】
電動車椅子を制御する装置であって、該電動車椅子を操作するための操作信号を入力する操作信号入力部と、該操作信号入力部で入力した操作信号をもとに前記電動車椅子を動作させるための動作信号および該動作信号の動作内容を表す状態表示情報を演算する信号処理部と、前記信号処理部で演算された前記動作信号を入力して動作するアクチュエータ部と、前記信号処理部で演算された前記状態表示情報を表示する状態表示部と、を備え
前記操作信号入力部は、操作入力を行うジョイスティック部とセンサ部とが選択可能に設けられ、さらに電動車椅子を緊急停止させるための信号を入力する緊急停止信号入力部と前記選択されたジョイスティック部またはセンサ部に基づいて夫々の動作に応じたゲイン量を設定または変更するゲイン変更部とを有することを特徴とする電動車椅子用制御装置。
【請求項2】
前記ゲイン変更部は、ジョイスティック部が選択されたときは、ゲイン変更機能と角度補正機能を有効にすることを特徴とする請求項記載の電動車椅子用制御装置。
【請求項3】
前記ゲイン変更部は、センサ部が選択されたときは、ゲイン変更機能としきい値補正機能を有効にすることを特徴とする請求項記載の電動車椅
【請求項4】
使用者の動き検出用センサを備え、前記信号処理部は、該動き検出用センサの信号によって電動車椅子操作直後の使用者の移動方向と移動量を計算し、該計算結果に基づいて前記操作信号入力部において選択された前記ジョイスティック部またはセンサ部のゲイン量を調整することを特徴とする請求項記載の電動車椅子用制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一に記載の電動車椅子用制御装置を用いた電動車椅子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手指で操作するジョイスティック操作部と、動作可能な体の部位からのセンサ部と、緊急停止を制御する緊急信号入力部と動作ゲインを制御・調整するゲイン変更部を有する電動車椅子用制御装置および同制御装置を用いた電動車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子は、本体の両側に車輪が一対あり、方向転換はキャスターと車輪の回転数の変化により行う。高齢者や肢体不自由者の移動機器として使用され、病院や介護施設その他多くの公共機関に常設されている。車椅子の移動は、使用者が車輪に取り付けられたハンドリムを操作し行う。介護者がいる場合は、後方からハンドルを手押し操作する。ハンドリムの操作には、相応の筋力が必要とされる。使用者が操作できない場合には、介護者が必要となり、車椅子の使用には、使用者と介護者に負担が大きい。このため、車椅子には操作を容易に行う装置と、電源が必要とされている。電動車椅子は、電源にバッテリーを使用し、モーターを使用することで、使用者と介護者の負担を減らしている。電動車椅子の背面には、停止装置が設置され第三者が緊急停止することができる。
【0003】
従来の電動車椅子は、特許文献1で提案されているようなジョイスティックを手指等で操作して操作信号により機器を作動させて電動車椅子を動作させ、更に緊急停止装置のオン・オフにより電動車椅子を制御するのが一般的であった。
【0004】
電動車椅子の駆動制御に関する先行技術としては、たとえば、特許文献2では、電動車椅子のスイッチパネルにシフトスイッチを設けて、電動車椅子の走行状態を決定する複数の走行モードの制御パラメータ毎のゲインを、乗る人や使用環境に合わせて迅速容易に設定・変更する技術が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、接触センサにより接触センサの中心点を意識せずに制御信号入力装置を操作でき、電動車椅子等の操作が可能な制御信号入力方法及び装置が提案されている。これは、使用者が、指等で接触センサに接触し、そこから指等を接触させながら移動させ、最初に接触した点を基準として現在の接触点を相対座標で算出し、電動車いす等移動機器の制御信号に変換するとうものである。

【特許文献1】特開平1-222606号公報
【特許文献2】特開2004-97717公報
【特許文献3】特開2003-220096公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1により開示されている装置は、電動車椅子の操作手段として広く知られているが、その操作には、手指が健全に動作することが必要とされる。手指に障害を持つ場合には、顎や舌等を使用することで操作が可能になるが、姿勢が不安定となる。
【0007】
特許文献2は、ジョイスティックからの信号を変換し、ユーザに合わせた操作ゲインのパラメータ変更を特徴とする技術であり、操作方法はジョイスティックによるものである。このため、乗員(使用者)の障害の状態次第では、ジョイスティックが使用できないという問題がある。
【0008】
特許文献3の装置は、接触センサにより接触センサの中心点を意識せずに制御信号入力装置を操作でき、電動車椅子等の操作が可能な制御信号入力方法を持つ装置により、使用者は操作の訓練が少なくなるというものであるが、操作方法は接触センサに限られている。
【0009】
これらの先行技術は、車椅子の製作者が用意した操作手段や操作方法を使用者が受動的に選択せざるを得ないというものである。ジョイスティックあるいはタッチパネルなど、操作指令の入力手段(以下、操作手段ともいう。)が固定なので、たとえば車椅子を複数人で利用するような場合、障害の部位や程度に応じて電動車椅子を準備する必要があり経済的負担が大きくなる。たとえ、ある使用者専用の電動車椅子であったとしても、操作のしやすさと日々の障害の程度の変化によって操作手段が変更可能になった方が都合が良いという場合もある。
【0010】
本発明は、上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、ジョイスティックやタッチパネル(接触センサ)など使用者が望む操作手段を簡便に選択でき、操作の際の操作ミスや故障などによる電動車椅子の危険な動作を制御でき、安全に走行することのできる電動車椅子用制御装置および同制御装置を用いた電動車椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係わる電動車椅子用制御装置は、電動車椅子を制御する装置であって、該電動車椅子を操作するための操作信号を入力する操作信号入力部と、該操作信号入力部で入力した操作信号をもとに電動車椅子を動作させるための動作信号および該動作信号の動作内容を表す状態表示情報を演算する信号処理部と、信号処理部で演算された動作信号を入力して動作するアクチュエータ部と、信号処理部で演算された状態表示情報を表示する状態表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明では、使用者の選択する操作方法と、状態表示部の状態表示機能を有し、使用者は操作信号入力部からの操作により操作方法を選択する。このため、使用者の望む操作方法を選択できる。
【0013】
また、本発明に係わる電動車椅子用制御装置の操作信号入力部は、操作入力を行うジョイスティック部とセンサ部とが選択可能に設けられ、さらに電動車椅子を緊急停止させるための信号を入力する緊急停止信号入力部と選択されたジョイスティック部またはセンサ部に基づいて夫々の操作方法に応じたゲイン量を設定または変更するゲイン変更部とを有することを特徴とする。
【0014】
使用者は、ジョイスティック部と、センサ部と、緊急停止信号入力部と、ゲイン変更部から構成される操作信号入力部により操作方法を選択し、信号処理部は、操作信号入力部から操作信号を入力し、状態表示部へ状態表示情報を出力する。状態表示部は、処理された該信号の方向と速度情報を表示する。これにより、選択した操作方法の方向と速度情報を表示することができる。
【0015】
また、本発明に係わる電動車椅子用制御装置は、ジョイスティック部の操作角度と傾きの信号と、操作量に対する動作ゲインを演算し、電動車椅子の動作を状態表示部により方向と速度を表示することを特徴とする。
【0016】
本発明では、ジョイスティック部は、ジョイスティック操作信号を出力し、ゲイン変更部は、ゲイン変更信号を出力し、緊急停止信号入力部は緊急停止信号を出力する。信号処理部は、ジョイスティック操作信号と、ゲイン変更信号と、緊急停止信号を演算処理し、状態表示部に動作情報を出力する。状態表示部は、処理された該信号の進行方向と速度情報を表示する。
【0017】
これにより、ジョイスティック操作信号とゲイン変更信号を演算し、電動車椅子の動作量を視覚的に理解することが可能となる。また、状態表示部により、ジョイスティック操作と動作ゲイン量の演算による速度情報を視覚的に得ることができる。
【0018】
また、本発明に係わる電動車椅子用制御装置は、電動車椅子の進行方向と速度を決定する方法として、状態表示部に表示される操作情報に従い、使用者はセンサを動作させることで電動車椅子の操作を決定することを特徴とする。
【0019】
本発明では、センサ部と、緊急停止信号入力部と、ゲイン変更機能と、しきい値補正機能とから構成されるゲイン変更部と、信号処理部と、状態表示部とから構成される。センサ部は、状態表示部の操作を選択し、センサ操作信号を出力する。ゲイン変更部は、ゲイン変更信号を出力し、信号処理部は、センサ操作信号とゲイン変更信号を演算処理し、状態表示部に操作情報を出力する。状態表示部は、信号処理部により生成される操作情報を入力し、進行方向と速度情報を順に表示する。
【0020】
これにより、センサによる電動車椅子の操作と、電動車椅子の動作量を視覚的に理解することが可能となる。また、使用者は体の一部を動作させることで、電動車椅子を操作することができる。
【0021】
本発明に係わる電動車椅子用制御装置は、さらに、無線通信を用いた緊急停止信号出力方法を有することを特徴とする。
本発明では、緊急停止信号入力部は、緊急停止信号入力I/F部と、無線信号変換部とから構成される。緊急停止信号入力I/F部は緊急停止信号を出力し、無線信号変換部により無線緊急停止信号に変換され出力する。
これにより、緊急停止信号を無線で送信することが可能となり、電動車椅子が介護者から離れている場合に、緊急停止信号入力部から無線緊急停止信号出力が可能となる。
緊急停止信号は、無線緊急停止信号に変換され、緊急停止信号を送信することができる。
【0022】
また、本発明に係わる電動車椅子は、無線通信を用いた緊急停止信号入力方法を有することを特徴とする。
【0023】
本発明では、無線信号復号部と、緊急停止信号出力I/F部と、信号変換部とから構成される信号処理部とから構成する。緊急定信号入力部は、無線緊急停止信号を入力し、信号処理部は、該信号を入力し、無線信号復号部により該信号を復号し、緊急停止信号として出力し、緊急停止信号出力I/F部により出力し、信号変換部により信号変換する。
【0024】
無線緊急停止信号は、緊急停止信号に変換され、無線緊急停止信号を受信することができる。
【0025】
これにより、緊急停止信号を無線で入力することが可能となり、電動車椅子が介護者から離れている場合に、緊急停止信号入力部にから無線緊急停止信号入力が可能となる。
【0026】
好ましくは、使用者の動き検出用センサを備え、前記信号処理部は、該動き検出用センサの信号によって電動車椅子操作直後の使用者の移動方向と移動量を計算し、該計算結果に基づいて前記操作信号入力部において選択された前記ジョイスティック部またはセンサ部のゲイン量を調整するようにすると良い。これによって、その使用者に最適なゲイン量が自動的に設定される。
【0027】
また、本発明に係わる電動車椅子は、上記の電動車椅子用制御装置を用いて構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
以上の如く、本発明によれば、ジョイスティックやセンサなど選択された操作手段や操作方法に連動させてゲイン量を選択し、このゲイン量を用いて動作信号を演算するので、使用者は自己の適正に応じた操作手段で電動車椅子を操作することができる。
【0029】
また、複数のセンサを組み合わせて、夫々のセンサからの入力によってゲイン量を調整することによって、操作の際の操作ミスや故障などによる電動車椅子の危険な動作を制御でき、安全な走行が可能となる。
【0030】
また、使用者が望むセンサを採用し、操作に必要な動作を決定することができ、使用者専用の操作系を容易に作成することができる。
【0031】
特にセンサと状態表示部を利用することで、視覚的に操作が可能となり、身体の動作が少しでもできれば電動車椅子の操作が可能となる。また、緊急停止信号を無線化することによって使用者が介護者から離れた際に、介護者は無線指令によって電動車椅子を停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による電動車椅子用制御装置の機能ブロック図である。この図において、電動車椅子用制御装置10は、操作信号を入力する操作信号入力部1、操作信号入力部1からの操作情報を演算する信号処理部2、信号処理部の出力する動作信号を入力するアクチュエータ部3、および、信号処理部からの状態表示情報を入力する状態表示部7で構成される。また、操作信号入力部1は、ジョイスティック部4、センサ部5、緊急停止信号入力部6、および、ゲイン変更部9で構成されている。
【0033】
ここで、ジョイスティック部4とセンサ部5は電動車椅子を操作するための手段であり、緊急停止信号入力部6は電動車椅子を緊急停止させるための信号を入力する手段である。また、ゲイン変更部9は各部4~6のゲインを変更する手段であり、図2に示すようにゲイン変更機能9-1、角度補正機能9-2、及び、しきい値補正機能9-3を有する。
【0034】
次に、上記の構成を有する電動車椅子の制御機能10の動作を説明する。
(基本動作)
図3を用いて電動車椅子用制御装置10の安全性を考慮した基本動作について説明する。
まず、制御装置10の操作信号入力部1からの操作信号を信号処理部2へ出力する(S101)。次に、信号処理部2は入力した信号を変換処理し、状態表示情報を状態表示部7へ出力すると共に、動作信号をアクチュエータ部3へ出力する(S102)。状態表示部7は、処理された該状態表示情報を状態表示部7が有する図示しない表示器へ表示する(S103)。アクチュエータ部3は、処理された該動作信号を入力し所定の動作をする(S104)。所定の動作としては、電動車椅子の走行のほか、背もたれのチルティングや座部の昇降などがあるがこれに限られるものではない。
【0035】
使用者はジョイスティック部4とセンサ部5のうち任意に操作方法を選択する。操作信号入力部1からは選択された操作方法による信号が出力され、信号処理部2で処理される。したがって、使用者の望む操作方法を選択することができる。
【0036】
(状態表示処理)
使用者は、ジョイスティック部4と、センサ部5と、緊急停止信号入力部6と、ゲイン変更部9から構成される操作信号入力部1により操作方法を選択する。
【0037】
信号処理部2は、操作信号入力部1から操作信号を入力し、状態表示部7へ状態表示情報を出力する。状態表示部7は処理された該信号を入力し、方向と速度情報を表示する。
【0038】
図4は、本実施の形態による電動車椅子用制御装置10の状態表示方法を説明するためのフローチャートである。以下、この図に基づいて、より詳細に説明する。
【0039】
まず、操作信号入力部1において、緊急停止信号入力部6に入力があるか否かを判定し(S201)、「YES」の場合は、緊急停止信号を出力する(S202)。一方、ステップS201で「NO」の場合は、操作方法を判定して(S203)、ジョイスティック部4が選択されている場合は、ジョイスティック部4からの操作信号を入力すると共に(S204)、ゲイン変更部9のゲイン変更機能9-1と角度補正機能9-2とをイネーブル(有効)にする(S205)。一方、センサ部5が選択されている場合は、使用者の望む部位に取り付けられたセンサ部からの操作信号を入力し(S206)、ゲイン変更部9のゲイン変更機能9-1としきい値補正機能9-3とをイネーブルにする(S207)。なお、操作手段の選択のしかたは、操作のあった機能4,5を自動的に有効にするというやり方やセンサ部5を介していずれを選択するかを予め設定するというやり方があるが、選択のしかたは、これに限定されるものではない。
【0040】
そして、緊急停止信号、ジョイスティック操作信号、センサ操作信号とから構成される操作信号を信号処理部2へ送る(S208)。
【0041】
信号処理部2では、操作信号入力部1から送られてきた操作信号をもとに操作方向と速度情報を演算し、状態表示情報として出力する(S209)。状態表示部7は、この状態表示情報を表示する(S210)。
【0042】
(操作ゲイン動作表示処理)
図5は、本実施の形態による電動車椅子用制御装置10の操作時のゲイン動作と状態表示処理を説明するためのフローチャートである。以下、この図に基づいて説明する。なお、このフローチャートにおいては、操作手段としてジョイスティック部4を用いることを前提としている。
【0043】
まず、操作信号入力部1において、緊急停止信号入力部6に入力があるか否かを判定し(S301)、「YES」の場合は、緊急停止信号を出力する(S302)。一方、ステップS301で「NO」の場合は、ジョイスティック部4からの操作信号の入力を受け付けると共に(S303)、ゲイン変更機能9-1,角度補正機能9-2をイネーブルにする(S304)。
【0044】
そして、信号処理部2は、これらの緊急停止信号、ゲイン信号、ジョイスティック操作信号をもとに動作信号を出力すると共にこの動作を表す情報(動作情報)を出力する(S305)。動作信号はアクチュエータ部3へ送られ制御動作が実行され、動作情報は状態表示部7へ送られ進行方向や速度などの情報が表示される(S306)。
【0045】
これにより、ジョイスティック操作信号とゲイン変更信号を演算し、電動車椅子の動作量を視覚的に理解することが可能となる。
【0046】
(他の実施例)
上記は、操作にジョイスティック部4を使用しゲイン変更部9のゲイン変更機能9-1と角度補正機能9-2を用いたが、センサ部5を使用して、ゲイン変更機能9-1としきい値補正機能9-3とを用いてセンサのゲイン調整を行うようにしても良い。
【0047】
このときの、フローチャートを図6に示す。図5との違いは、ステップS403において、使用者の望む部位に取り付けられたセンサ部5からの操作信号を入力し、ステップS404において、ゲイン変更機能9-1としきい値補正機能9-3によってゲイン変更信号を出力するようにしたことである。その他は、図5と同様であるので説明を割愛する。
【0048】
(緊急停止処理)
図7は、本実施の形態に係る電動車椅子用制御装置10の緊急信号入力部6と信号処理部2の機能を示すブロック図である。緊急停止信号入力部6は、緊急停止信号入力I/F部6aと、無線信号変換部6bとから構成される。また、信号処理部2は、無線信号復号部2aと、緊急停止信号出力I/F部2bと、信号変換部2cとから構成される。
【0049】
以下、図8と図9を用いて制御装置10の緊急停止機能の動作を説明する。
緊急停止信号入力I/F部6aは介護者による緊急停止ボタン押下など緊急停止の要因となる入力があると緊急停止信号を出力し(S501,S502)、無線信号変換部6bにより無線緊急停止信号に変換され、出力する(S503)。緊急定信号入力部6は、無線緊急停止信号を入力し(S601)、信号処理部2は、該信号を入力し、無線信号復号部2aにより該信号を復号し(S602)、緊急停止信号として出力し、緊急停止信号出力I/F部2bにより出力し、信号変換部2cにより信号変換する(S603)。
【0050】
これにより、緊急停止信号を無線で送信することが可能となり、電動車椅子が介護者から離れている場合に、緊急停止信号入力部から無線緊急停止信号出力が可能となる。
【0051】
以上、本実施の形態によれば、従来の電動車椅子に比べ、以下に述べる効果を奏する。
すなわち、本実施の形態による電動車椅子用制御装置は、ジョイスティック部と、センサ部と、緊急停止信号入力部と、ゲイン変更部とから構成される操作信号入力部からの操作信号を、信号処理部へ出力し、信号処理部は、入力した信号を演算処理し、状態表示部とアクチュエータ部へ出力する。状態表示部は、処理された該信号を表示し、アクチュエータ部は、処理された該信号の動作をする。操作信号により、ジョイスティック部と、センサ部と、緊急停止信号入力部とから操作が可能である。
【0052】
したがって、操作方法にジョイスティック部と、センサ部を利用することで、使用者が望む操作方法の選択が可能となる。
【0053】
たとえば、ジョイスティック部が選択されると、信号処理部は、操作信号をもとにアクチュエータ部への動作信号を演算すると共に進行方向と速度情報を有する操作情報を演算して状態表示部へ渡す。これにより、ジョイスティック操作とゲイン変更量を演算した信号から、電動車椅子の動作量を視覚的に理解することが可能となる。
【0054】
また、ゲイン変更部は、ゲイン変更機能9-1と、しきい値補正機能9-3を持ち、ゲイン変更信号を出力する。状態表示部の操作によってセンサ部が選択されると、センサ操作信号を出力する。センサ部と、ゲイン変更部とから出力される操作信号は、信号処理部に入力され、動作信号および操作情報が演算する。状態表示部は演算した該操作情報を入力し、進行方向と速度情報を順番に表示する。これにより、操作方法を使用者に合わせて変更し、使用者の望む操作を自由に設定することを提供する。
【0055】
また、各操作信号入力部1の各操作手段(ジョイスティック部など)を取替え可能にして、各操作手段の識別情報ごとに定まるゲインデータを用いることによって、四肢等のひとつの部位での操作、又は、四肢等の一方向への動作による操作が可能となる。
【0056】
各操作手段ごとにゲインを設定・変更可能にしたので、使用者が望む操作方法の選択が可能となり、操作が単純であり、操作のための訓練時間を短縮することができる。
【0057】
さらに、緊急停止信号入力I/F部と、無線信号変換部とから構成される緊急停止信号入力部は、無線緊急停止信号を出力し、無線信号復号部と、緊急停止信号出力I/F部と、信号変換部とから構成される信号処理部は、該信号を入力する。無線信号復号部により該信号は復号された緊急停止信号は緊急停止信号出力I/F部を介し、信号変換部により処理される。これにより、緊急停止信号入力部は、無線通信を使用し、無線緊急停止信号を出力し、信号処理部により復号された緊急停止信号により、介護者から離れた電動車椅子を安全に停止させることができる。
【0058】
(応用例)
応用例として、センサ部5には、(a)加速度センサ,(b)傾斜センサ,(c)圧力センサ,(d)空気圧センサなどのセンサを使うことで、使用者にとって便利な専用の操作方法を提供することができる。
【0059】
特に、ゲイン変更部と学習機能を信号処理部に持たせることにより、使用者のセンサ動作方法を学習させ、より使用者の望む動作として操作方法を提供することができる。
【0060】
この他、緊急停止信号入力部に、(1)無線LAN,(2)GPS,(3)RFID,(4)ICタグ,(5)携帯電話通信網などの装置を使用することで、使用者の移動場所、安全を確かめることが可能となる。
【0061】
第三者へ移動データを送信し、正常ではない移動経路についてのアラートを介護者へ送信するシステムにより、使用者の安全を、遠隔の介護者が知ることが可能になる。さらに、生体認証技術と上記の(1)~(5)を組み合わせることで、使用者の望む動作を学習させ、より使用者向けの操作方法を確立することができる。
【0062】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
本実施の形態による電動車椅子用制御装置10は、図1および図2に示す第1の実施の形態と同様の機能ブロックを備える。
【0063】
すなわち、電動車椅子用制御装置10は、操作信号を入力する操作信号入力部1、CPU機能を有し操作信号入力部1からの操作情報を演算する信号処理部2、信号処理部2の出力する動作信号を入力するアクチュエータ部3、および、信号処理部からの状態表示情報を入力する状態表示部7で構成される。また、操作信号入力部1は、電動車椅子の操作を行うためのジョイスティック部4、電動車椅子または使用者の動きを検知するセンサ部5、電動車椅子を緊急停止させるための外部信号を入力する緊急停止信号入力部6、および、各部4,5,6の夫々の出力信号のゲインを変更するゲイン変更部9を有している。アクチュエータ部3は、電動車椅子を走行させるための車輪を駆動する機能を有する。
【0064】
なお、本実施の形態では、センサ部5として、電動車椅子上の使用者(乗員)の重心位置を検知するための圧力センサを用いる。具体的には、電動車椅子の座部や背もたれに複数個の圧力センサを分散配置し、その圧力レベルの変化によって重心位置が操作直後の所定のタイミングでどのように変化したかを検知する。
【0065】
次に、上記の構成を有する電動車椅子用制御装置の動作概要を説明する。
まず、使用者は操作信号入力部1のジョイスティック部4を進行方向へ倒す。これによってジョイスティック部4から操作信号が出力され信号処理部2に入力される。信号処理部2では、図10に例示するゲインテーブルを参照して、この操作信号レベルに対応する動作信号をアクチュエータ部3へ出力し、電動車椅子の車輪がその出力レベルに応じたスピードで動作する。
【0066】
一方、センサ部5によって、使用者の重心位置が常時信号処理部に入力され、ジョイスティック部4による操作信号に変化のあった直前の重心位置と変化後のたとえば1秒後の重心位置を求め、重心の移動方向を算出する。この変化後の時間は、電動車椅子が動作した瞬間は、重心は、電動車椅子の進行方向に対して反対方向に移動するが、しばらくすると復帰する。この復帰時間を予め想定して設定しておくようにする。
【0067】
この所定時間後でも重心がなお進行方向に対して反対方向のままであるとすると、使用者の予期せぬ動作をしている可能性が高い。
したがって、信号処理部2は次の演算処理によって予期せぬ動作を推定してジョイスティック部4のゲインを低下させる。
さらに、外部から緊急停止信号が入力された場合も、信号処理部2の出力をゼロにして、アクチュエータ部3に駆動信号が出力されないようにする。
【0068】
以下、図11を用いて、制御装置10の信号処理部の動作を詳述する。
まず、操作手段を動かしたときに発生する操作信号に変化があったか否かを判定して(S701)、変化が無ければ、センサ部5の重心位置を取得して、図示しないメモリの記憶領域1に保存する。一方、操作信号の変化を検知した場合は(S701で「YES」)、使用者の動きの復帰時間を考慮して予め設定された所定時間経過後(S703で「YES」)、重心位置を取得してメモリの記憶領域2に保存する(S704)。
【0069】
そして、記憶領域1と記憶領域2に保存されている重心位置のデータの差分をとって、操作信号の変化前後の重心位置の移動方向と移動の大きさ(移動距離)を計算する(S705)。そして、図12に示す電動車椅子の進行方向の逆方向すなわち当該進行方向と180度の方向を基準として、所定の角度範囲(α)内にあるか否かを判定して(S706)、所定の角度範囲内にある場合は、次に重心位置の移動距離は予め設定された所定値P以上か否かを判定する(S707)。この所定値Pは使用者が通常の走行時では移動しないであろうある程度大きな値を設定しておくものとする。この所定値P以上である場合は、緊急停止制御を実行する(S708)。なお、必要により、継続時間を考慮した処理を行うものとする。
【0070】
一方、ステップS707で「NO」の場合は、重心位置の移動距離が所定値Pよりも小さい値であるQ以上か否かを判定する(S709)。この所定値Qは、電動車椅子がある程度大きな加速度をもって移動を開始したときに使用者の体の動きを考慮して予め設定された値である。ステップS709において、所定値Q以上の場合は、その重心移動距離に応じて、アクチュエータ部3へ出力する動作信号のゲインを低下させる(S710)。たとえば、操作手段としてジョイスティック部4(ID A001)が選択されている場合、図10において、圧力センサ(ID A003)のゲインは、ジョイスティック部4(ID A001)のゲインに所定の割合(△△)を掛け合わせて求めたゲインをジョイスティック部4のゲイン現在値(××)から差し引いて、これをジョイスティック部4の新たなゲインとして動作信号を調整する。また、ステップS710の実行頻度等に基づいてゲインテーブルの当該操作手段のゲインの初期値を微調整する(S711)。以上の処理実行後、再びステップS701へ戻って操作信号の有無の検知を行う。
【0071】
なお、以上の説明において、センサ部5を使用者の動作を検知するためのセンサとして使用したが、操作信号を入力するためのセンサとは別個に設けるようにしても良い。
【0072】
また、ジョイスティック部4を操作手段として用いるよう選択したときに、センサ部5を上述のジョイスティック部4のゲイン調整のためのセンサとして用い、電動車椅子の安全な走行を担保し、使用者の体の状態や故障等によってジョイスティック部4が使用できないときは、センサ部5を操作手段として用いるようにすることもできる。この場合、ゲインテーブルは、図13に例示するようにセンサ部5の使用モードによって、ゲイン量が異なる。すなわちセンサ部5のゲインは、ジョイスティック部4を操作手段となったときは、重心移動方向およびその移動の大きさによってジョイスティック部4のゲインを抑制する方向に働き、センサ部5が操作手段として選択されたときは、重心移動方向およびその移動の大きさによって、その方向およびその大きさに基づく速度で電動車椅子を走行させるように働く。
【0073】
以上、本実施の形態によれば、ジョイスティック部4で操作指令を出力し、センサ部5によって使用者の重心位置を検出し、操作指令出力前後の重心位置の変化によって、ゲインを調整するため、使用者にとっては不慣れな操作であっても安全に走行することが出来る。また、センサ部5のゲインをその使用モード(用途)で切り替えることによって、メインの操作手段のバックアップとして機能させることができる。
【0074】
本発明は上述の実施の形態に限定されること無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実現することができる。たとえば、緊急停止処理では、重心位置の変化の大きさのみでなく、さらい時間との関係で異常を検知するようにしても良い。たとえば、大きな変化の場合は、所定時間以下の場合であってもゲインを小さくするなどである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態による電動車椅子用制御装置10の機能ブロック図である。
【図2】図1のゲイン変更部9の詳細機能ブロック図である。
【図3】図1の電動車椅子用制御装置10の基本動作の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の電動車椅子用制御装置10の状態表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の電動車椅子用制御装置10のジョイスティック部4を用いたときの操作時のゲイン動作と状態表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の電動車椅子用制御装置10のセンサ部5を用いたときの操作時のゲイン動作と状態表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態による電動車椅子用制御装置10の緊急信号入力部6と信号処理部2の機能を示すブロック図である。
【図8】図7の緊急信号入力部6の動作の手順を示すフローチャートである。
【図9】図7の信号処理部6の動作の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態による信号処理部2に保存されるゲインテーブルのデータ構成図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態による信号処理部2の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態による操作指令入力時点からの重心位置のずれとゲイン補正の対象範囲を示す説明図である。
【図13】本発明の他の実施例による信号処理部2に保存される操作手段の使用モード別ゲインテーブルのデータ構成図である。
【符号の説明】
【0076】
1 操作信号入力部
2 信号処理部
2a 無線信号復号部
2b 緊急停止信号出力I/F部
2c 信号変換部
3 アクチュエータ部
4 ジョイスティック部
5 センサ部
6 緊急停止信号入力部
6a 緊急停止信号入力I/F部
6b 無線信号変換部
7 状態表示部
8 信号入力部
9 ゲイン変更部
9-1 ゲイン変更機能
9-2 角度補正機能
9-3 しきい値補正機能
10 電動車椅子用制御装置
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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