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明細書 :磁性体を用いた非接触磁気浮上方法及びこれを用いた非接触磁気浮上装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4940428号 (P4940428)
公開番号 特開2008-042995 (P2008-042995A)
登録日 平成24年3月9日(2012.3.9)
発行日 平成24年5月30日(2012.5.30)
公開日 平成20年2月21日(2008.2.21)
発明の名称または考案の名称 磁性体を用いた非接触磁気浮上方法及びこれを用いた非接触磁気浮上装置
国際特許分類 H02N  15/00        (2006.01)
B61B  13/08        (2006.01)
FI H02N 15/00 ZAA
B61B 13/08 B
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2006-211230 (P2006-211230)
出願日 平成18年8月2日(2006.8.2)
審査請求日 平成21年3月10日(2009.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】小森 望充
個別代理人の代理人 【識別番号】100090697、【弁理士】、【氏名又は名称】中前 富士男
【識別番号】100139262、【弁理士】、【氏名又は名称】中嶋 和昭
審査官 【審査官】下原 浩嗣
参考文献・文献 特開平07-027136(JP,A)
国際公開第2006/067974(WO,A1)
調査した分野 H02N 15/00
B61B 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
それぞれ磁性を有する固定体と浮上体を対向配置し相互に働く磁気力によって前記浮上体を浮上させる非接触磁気浮上方法において、
前記固定体及び前記浮上体は、それぞれ1又は2以上の磁極を有する磁気発生要素を単独で又は組み合わせて配置し、前記固定体の前記磁気発生要素によって発生する磁束と同一磁場方向又は逆向き磁場方向になるように、前記浮上体の磁気発生要素の磁化状態を静磁場着磁法若しくはパルス磁場着磁法により変えて、又は、前記固定体の磁気発生要素の磁化状態を静磁場着磁法若しくはパルス磁場着磁法により変えて、前記固定体に対する前記浮上体の磁気ばね定数Kと、振動に対する減衰係数Cを調整し、しかも、前記磁気発生要素は、それぞれ対向する面に磁極を有する複数の永久磁石、永久磁石と超電導磁石の組み合わせ、又は複数の超電導磁石からなることを特徴とする磁性体を用いた非接触磁気浮上方法。
【請求項2】
請求項記載の非接触磁気浮上方法において、前記磁気発生要素は、一つの磁極面にNS2つの極性を有することを特徴とする磁性体を用いた非接触磁気浮上方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の非接触磁気浮上方法において、前記固定体及び前記浮上体のいずれか一方又は双方は一つの分離不可分の剛体からなることを特徴とする磁性体を用いた非接触磁気浮上方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の非接触磁気浮上方法において、前記固定体及び前記浮上体の磁気発生要素は、それぞれ独立に着磁されていることを特徴とする磁性体を用いた非接触磁気浮上方法。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の非接触磁気浮上方法において、前記浮上体は回転体であり、前記固定体及び前記浮上体の磁気発生要素は、前記回転体の回転中心を基準に軸対称に配置されていることを特徴とする磁性体を用いた非接触磁気浮上方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の非接触磁気浮上方法において、前記浮上体は、前記固定体の上を横移動することを特徴とする磁性体を用いた非接触磁気浮上方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の非接触磁気浮上方法において、前記固定体と前記浮上体の間に良導体を配置したことを特徴とする磁性体を用いた非接触磁気浮上方法。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法を使用した磁性体を用いた非接触磁気浮上装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石又は超電導磁石を用い、物体が平面上を浮上、又は物体(軸)が軸受内で隙間を有して回転する磁性体を用いた非接触磁気浮上方法及びこれを用いた非接触磁気浮上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、機械軸受の代替、電力の貯蔵フライホールの浮上、搬送物体の浮上、リニアモータ等の分野で使用されている。これらの従来技術については、例えば、特許文献1(超電導体磁石装置)、特許文献2(超電導磁気浮上装置並びにその超電導体の磁化方法)等がある。
【0003】

【特許文献1】特開平11-74114号公報
【特許文献2】特開平8-288124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した従来技術においては、浮上体は隙間を有して固定体から浮上しているので、少しの荷重によって振動が発生する。振動が発生すると回転物であれば、センターがずれる等の問題があり、水平面上に保持している物体の場合は破損したり内容物が零れる等の問題が発生するが、これらの点については何ら考慮されていない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、磁性を有する固定体と浮上体内に配置されている磁気発生要素を単独で又は組み合わせて相互の反発力及び振動に対する減衰力を制御する磁性体を用いた非接触磁気浮上方法及びこれを用いた非接触磁気浮上装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、それぞれ磁性を有する固定体と浮上体を対向配置し相互に働く磁気力によって前記浮上体を浮上させる非接触磁気浮上方法において、
前記固定体及び前記浮上体は、それぞれ1又は2以上の磁極を有する磁気発生要素を単独で又は組み合わせて配置し、前記固定体の前記磁気発生要素によって発生する磁束と同一磁場方向又は逆向き磁場方向になるように、前記浮上体の磁気発生要素の磁化状態を静磁場着磁法若しくはパルス磁場着磁法により変えて、又は、前記固定体の磁気発生要素の磁化状態を静磁場着磁法若しくはパルス磁場着磁法により変えて、前記固定体に対する前記浮上体の磁気ばね定数Kと、振動に対する減衰係数Cを調整し、しかも、前記磁気発生要素は、それぞれ対向する面に磁極を有する複数の永久磁石、永久磁石と超電導磁石の組み合わせ、又は複数の超電導磁石からなる
【0008】
の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、第1発明に係る非接触磁気浮上方法において、前記磁気発生要素は、一つの磁極面にNS2つの極性を有する。
【0009】
の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、第1、第2の発明に係る非接触磁気浮上方法において、前記固定体及び前記浮上体のいずれか一方又は双方は一つの分離不可分の剛体からなる。
【0010】
の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、第1、第2の発明に係る非接触磁気浮上方法において、前記固定体及び前記浮上体の磁気発生要素は、それぞれ独立に着磁されている。
【0011】
の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、第1~第の発明に係る非接触磁気浮上方法において、前記浮上体は回転体であり、前記固定体及び前記浮上体の磁気発生要素は、前記回転体の回転中心を基準に軸対称に配置されている。
【0012】
の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、第1~第の発明に係る非接触磁気浮上方法において、前記浮上体は、前記固定体の上を横移動する。
の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法は、第1~第の発明に係る非接触磁気浮上方法において、前記固定体と前記浮上体の間に良導体を配置している。ここで、良導体とは例えば銅、アルミニウムなどの金属をいう。
そして、第の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上装置は、第1~第の発明に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法を使用した装置からなる。なお、以上の発明において、磁気ばね定数とは変位に対する荷重の増減率をいう。
【発明の効果】
【0013】
請求項1~記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法及びこれを用いた非接触磁気浮上装置においては、浮上体及び固定体を、1又は2以上の磁極を有する磁気発生要素を単独で又は組み合わせて配置し、固定体に対する浮上体の変位に対する磁気ばね定数と、振動に対する減衰係数を所定の範囲に入るように制御しているので、発生する反発力や振動を制御することが可能となる。
これによって、磁気ばね定数を高めて振動を押さえることも可能となり、幅広い用途又は分野で非接触磁気浮上方法及び装置を提供できる。また、場合によっては積極的に振動が発生するのを促進することもでき、振動源を設けて、例えば、磁気浮上型の篩いや樋等とすることもできる。
【0014】
更に、磁気発生要素は、それぞれ対向する面に磁極を有する複数の永久磁石、永久磁石と超電導磁石の組み合わせ、又は複数の超電導磁石からなるので、永久磁石を用いた場合には装置が簡略化し、超電導磁石を用いた場合にはより強力な磁石を提供でき、更にはピン止め効果も利用してより振動の少ない浮上体を提供できる。
【0015】
請求項記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法においては、磁気発生要素は、一つの磁極面にNS2つの極性を有するようにしたので、磁気発生要素の数を減らして目的に応じた浮上体及び固定体を形成できる。
【0016】
請求項記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法においては、固定体及び浮上体のいずれか一方又は双方は一つの分離不可分の剛体からなるので、各個別に分かれた磁気発生要素の組み合わせが必要ではなくなり、装置の簡略化が図れる。
【0017】
請求項記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法においては、固定体及び浮上体の磁気発生要素はそれぞれ独立に着磁されているので、磁気発生要素の選択が可能となり、磁気ばね定数(反発力)及び減衰係数の設定の自由度が増す。
【0018】
請求項記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法においては、浮上体は回転体であり、固定体及び浮上体の磁気発生要素は、回転体の回転中心を基準に軸対称に配置されているので、非接触軸受として利用できる。
【0019】
請求項記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法においては、浮上体は、固定体の上を横移動するので、リニアモータ、水平搬送装置等に利用できる。
そして、請求項記載の磁性体を用いた非接触磁気浮上方法においては、固定体と浮上体の間に良導体を配置しているので、浮上体の振動又は移動によって発生する磁束変化によって良導体中に渦電流が発生し、これによって浮上体の移動に対してブレーキ(ダンピング作用)が発揮される。従って、適当な良導体を選定することによって、振動に対する減衰係数Cを制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法を適用する非接触磁気浮上装置の斜視図、図2は同正断面図、図3~図5はそれぞれ搬送容器の垂直方向の振動状況を示すグラフ、図6(A)~(G)は他の例に係る磁気発生要素(板材)の斜視図、図7(A)、(B)はそれぞれ他の例に係る浮上体と固定体の斜視図である。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上方法を適用する非接触磁気浮上装置10は、下部に配置された固定体の一例であるレール機構11と、レール機構11の上に対向配置された浮上体の一部を構成する搬送容器12とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。
【0021】
非磁性体(例えば、オーステナイト系ステンレス)からなる搬送容器12の内部には前後左右に、冷却されれば超電導体となる円板状の板材13~16(浮上体の一部を構成する)が固定されている。左の板材13、15と右の板材14、16との間隔は、それぞれ下部のレール機構11のレール17、18のレール中心間寸法に一致している。それぞれのレール17、18は、中央に鉄等の磁性材からなる中央芯体19と、中央芯体19の両側に同一の極を向い合わせて配置された磁気発生要素となる永久磁石20、21と、永久磁石20、21の更に外側に配置された非磁性材(例えば、アルミニウム)からなる側板体22、23を有し、永久磁石20、21によって中央芯体19の上面に例えばN極の磁束をより上方まで広げるようにしている。なお、搬送容器12と板材13~16を有して浮上体12aが形成される。
【0022】
この磁性体を用いた非接触磁気浮上装置10を使用する場合には、まず、搬送容器12とレール17、18との間に2~5mm程度の非磁性体及び絶縁体となるスペーサ板を配置した後、板材13~16を例えば図2に示すように、液体窒素24を用いて極低温状態に冷却して、超電導体とする。レール17、18を構成する中央芯体19及び側板体22、23の上面は、永久磁石20、21によって異なる磁極が形成されているので、超電導体となった板材13~16を磁束が貫通する。この後、搬送容器12とレール17、18との間に挟まれているスペーサ板を除去すると、レール17、18に対してピンチ効果によって搬送容器12が浮上することになる。更に、レール17、18が十分に長ければ、レール17、18に対して搬送容器12が横移動可能となる。
【0023】
今、ここで、搬送容器12に荷物を載せた場合、その重さによって搬送容器12が下がり、過渡的には搬送容器12が上下に振動する。この様子を図3に示す。この振動状態の式は次の通りとなる(なお、この式及び解き方については周知である)。
12x/dt2+C1dx/dt+K1x=F ・・・・(1)
1は搬送容器の重量、Fは荷物の重量であるので既知であり、図3のデータから実測すると、減衰振動の周期T及び隣り合う波の振幅Z1、Z2(Z1>Z2)が測定できるので、無減衰固有振動数をω、減衰比をζとすると、ω=2π/T(1-ζ20.5、K1=mω2/2、減衰定数C1=ζmωとなる。また、ζ=-1/2π・ln(Z1/Z2)であるので、これから逆算してC1(減衰係数)、K1(磁気ばね定数)の値が分かる。
【0024】
次に、この状態で板材13~16の底部、即ち搬送容器12の直下にコイル(図示せず)を配置する。そして、コンデンサーからの放電電流をコイルに流して、板材13~16をパルス着磁する。着磁の方向は前記したレール17、18によって発生する磁束と同一方向にする。これによって、板材13~16はレール17、18によって磁化される場合より更に強固に磁化されることになる。なお、コイルに電流を流す場合は下部の永久磁石20、21に影響を与えないように磁気遮蔽してもよいし、場合によってコイルの設置スペースを確保するためにレール機構11を除去してもよい。
【0025】
これによって、超電導状態の板材13~16に渦電流が流れて超電導磁石となる。この状態で(必要な場合コイルを取り外して)、搬送容器12はレール17、18の上に磁気浮上する。そして、静止した状態で搬送容器12に重量Fの荷物を入れると最初は振動を始めて減衰し一定位置で止まる。この様子を図4に示す。この場合の振動方程式は次の(2)式の通りとなる。
12x/dt2+C2dx/dt+K2x=F ・・・・(2)
この式と、図4のデータから図3で用いた計算方法と同様の計算方法を用いC2(減衰係数)、K2(磁気ばね定数)の値が分かる。
【0026】
更に、前記実施の形態において、コイルに流す電流を逆向きにすると、レール17、18からの磁束を弱めることになる。この場合も、搬送容器12が浮上するように、板材13~16に与えるレール17、18からの磁束及びコイルからの最大磁束が決められているものとする。そして、静止した状態で搬送容器12に重量Fの荷物を入れると最初は振動を始めて減衰し一定位置で止まる。この様子を図5に示す。この場合の振動方程式は次の(3)式の通りとなる。
12x/dt2+C3dx/dt+K3x=F ・・・・(3)
1は搬送容器の重量、Fは荷物の重量であるので既知であり、図5のデータから実測すると、前記した計算方法と同様な方法で、C3(減衰係数)、K3(磁気ばね定数)の値が分かる。
【0027】
従って、以上のことから浮上体である搬送容器12に設けられている超電導体となっている板材13~16の磁化状態を変えると、仮に固定体であるレール17、18からの磁束が一定であっても、変位に対する磁気ばね定数K及び振動に対する減衰係数Cが変わることになる。従って、逆に搬送容器12に設けられている超電導体の磁化状態を変えることによって、磁気ばね定数K及び減衰係数Cを制御することができる。
更に、搬送容器12の板材13~16(即ち、浮上体)の磁化状態はそのままにして、レール17、18(固定体)の磁化状態を変えることによって、磁気ばね定数K及び減衰係数Cを変えることもでき、搬送容器12の振動の減衰を早めたり、あるいは搬送容器12に積める荷物の量を適正に増減できる。
【0028】
図6(A)~(G)に浮上体(場合によっては固定体)に用いる磁気発生要素を示す。平面視して円形又は角形の一枚の板材28~34が示されているが、表面に複数の異なる磁極を有し、例えば、図7(A)、(B)示すように、磁気発生要素P、P´から特定位置にあって反発するようにその極性が決められている他の磁気発生要素Q、Q´との間で発生する磁気ばね定数K及び減衰係数Cを選定できる。なお、磁気発生要素は単独又は組み合わせて配置することができる。
【0029】
そして、板材28~34としては1又は2以上の超電導磁石を用いることもできるし、1又は2以上の永久磁石を用いることもできる。また、1又は2以上の超電導磁石と1又は2以上の永久磁石を組み合わせることもできる。ここで、板材28、30、32、34は一つの分離不可分の剛体からなっており、板材29、31、33は独立に着磁されたものを組み合わせて構成されている。これらの磁気発生要素の磁化に当たっては、静磁場着磁法とパルス磁場着磁法がある。一枚の板材28~34を一方の面にN極とS極を同時に形成する方法としては、銅や鉄などの磁気遮蔽部材を部分的に配置して選択的な着磁を行う。この場合2回の着磁を行ってもよい。また、超電導体の場合は、非着磁部分を加熱し他の部分を冷却して冷却した部分のみを常電導状態から超電導状態にするのが好ましい。
【0030】
更に、パルス磁場着磁法によって、板材28~34を永久磁石に磁化する場合には、部分的に高い透磁率材料を配置して選択的に部分着磁を行うことができる。そして、超電導体の場合は、複数の電磁石を異なる着磁領域に配置し、同時又は順次着磁する方法、又は部分冷却によって部分的に超電導体を形成し、その部分を着磁し、全体を冷却する等の方法がある。
【実施例】
【0031】
次に、図8~図10を参照して、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。ここに、図9は実験装置の説明図、図9(A)、(B)は位置と磁束密度の関係を示すグラフ、(C)は測定場所の説明図、図10はコンデンサーの印加電圧と発生する磁場の強度との関係を示すグラフである。
図8にその実験装置の概略を示すが、内径が32mm、外径52mm、高さ10mmの円形のコイル36内に直径20mmで厚みが3.2mmでSm1.4Ba2.2Cu3.2Oからなる超電導体37を配置し、その上にプラスチック製のスペーサー38、39を介して直径が20mm、厚みが4.6mmで平均磁場強度250mTの永久磁石40を配置する。なお、コイル36には0.4mmの銅線が500回巻かれており、室温中の電気抵抗が9.3Ωである。
【0032】
図10には、このコイル36に電荷を充電した2000μFのコンデンサーを有する電源41を接続し、コンデンサーを急速放電させることによって、発生した最大磁束強度と印加電圧との関係を示す。なお、42~49はそれぞれプラスチック製(即ち、非磁体かつ絶縁体)のスペーサーを示す。
図9(A)、(B)に、図8に示す状態でコイル36にコンデンサー放電電流を流して超電導体37をパルス磁化した場合で、(1)コンデンサーの電圧を0V、150V、200Vとし、かつ(2)永久磁石40に対して同一磁場方向又は逆向き磁場方向にコイル36による磁場を発生させた場合の、超電導体37の表面に対する垂直方向(Z方向)の磁束密度を示す(図9(C)参照)。
【0033】
図9に示すように、超電導体37の表面が磁化の方向が中央と周囲で反転していることが分かるが、これによって、一つの超電導体37の一方の表面に異なる磁極を同時に形成することができる。この超電導体37の代わりに未着磁又はある程度着磁された永久磁石を配置しても、一つの面に異なる磁極が形成された磁極を作ることが可能となり、これによって磁化された磁気発生要素(超電導磁石、永久磁石をいう)を、例えば、図1に示された板材13~16として使用し、磁気ばね定数K及び減衰係数Cを調整することができる。
【0034】
前記実施の形態においては、固定体と浮上体の間は空間となっていたが、浮上体と固定体の間に、例えば、銅又はアルミニュームからなる良導体を配置し、振動に対する減衰係数Cを制御することができる。この場合、良導体としてアルミニウム板、銅板を使用し、その厚みを変えたり、多孔板として減衰係数Cの制御が可能となる。なお、この良導体は固定体又は浮上体に隙間を有して又は密着して固定してもよい。
また、前記実施の形態においては、浮上体の一部を搬送容器で構成したが、搬送台車であってもよいし、内部に配置されている磁気発生要素となる板材の数又は形状に本発明は限定されるものではない。また、固定体を軸受とし浮上体を軸受内に配置される回転体(軸)とする場合も本発明は適用される。この場合、固定体及び浮上体の磁気発生要素は回転体の回転中心を基準に軸対称に配置するのがよい。
更には、前記実施の形態においては、板材28~34に対して水平方向に磁極の位置を変えたが、厚み方向に磁石を積み重ねて、全体として板材28~34(又は板材13~16)の磁気強度を変えて、浮上体と固定体との磁気ばね定数K及び減衰係数Cを変えることもできる。
また、超電導体の材料及び永久磁石の材料は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係る磁性体を用いた非接触磁気浮上装置の斜視図である。
【図2】同正断面図である。
【図3】搬送容器の垂直方向の振動状況を示すグラフである。
【図4】搬送容器の垂直方向の振動状況を示すグラフである。
【図5】搬送容器の垂直方向の振動状況を示すグラフである。
【図6】(A)~(G)は他の例に係る磁気発生要素(板材)の斜視図である。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ他の例に係る浮上体と固定体の斜視図である。
【図8】実験装置の説明図である。
【図9】(A)、(B)は位置と磁束密度の関係を示すグラフ、(C)は測定場所の説明図である。
【図10】コンデンサーの印加電圧と発生する磁場の強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
10:非接触磁気浮上装置、11:レール機構、12:搬送容器、12a:浮上体、13~16:板材、17、18:レール、19:中央芯体、20、21:永久磁石、22、23:側板体、24:液体窒素、28~34:板材、36:コイル、37:超電導体、38、39:スペーサ、40:永久磁石、41:電源、42~49:スペーサ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9