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明細書 :ロボットハンド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5082037号 (P5082037)
公開番号 特開2008-049456 (P2008-049456A)
登録日 平成24年9月14日(2012.9.14)
発行日 平成24年11月28日(2012.11.28)
公開日 平成20年3月6日(2008.3.6)
発明の名称または考案の名称 ロボットハンド
国際特許分類 B25J  15/08        (2006.01)
B25J  13/08        (2006.01)
FI B25J 15/08 K
B25J 15/08 J
B25J 13/08 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 17
出願番号 特願2006-230195 (P2006-230195)
出願日 平成18年8月28日(2006.8.28)
審査請求日 平成21年4月13日(2009.4.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】509087173
【氏名又は名称】木原 由光
発明者または考案者 【氏名】喜多村 直
【氏名】木原 由光
個別代理人の代理人 【識別番号】100092347、【弁理士】、【氏名又は名称】尾仲 一宗
審査官 【審査官】杉山 悟史
参考文献・文献 実開昭57-118190(JP,U)
特開2006-116667(JP,A)
特開2004-001101(JP,A)
実開平06-011989(JP,U)
特開平11-004956(JP,A)
実開昭60-195834(JP,U)
特開平04-111791(JP,A)
特開2001-277175(JP,A)
特開平01-306190(JP,A)
特開2003-305681(JP,A)
調査した分野 B25J 1/00 - 21/02
特許請求の範囲 【請求項1】
フレームに取り付けられた検出器で得た情報に基づいて駆動制御される駆動源として1個のモータ,前記1個のモータからの回転を減速機を介して伝達され且つ前記フレームに回転自在に取り付けられた互いに逆回転する一対の駆動軸,前記一対の駆動軸に一端がそれぞれ固着されて枢動する少なくとも一対の第1フインガ,前記駆動軸の回転が歯車列を介してそれぞれ伝達され且つ物体把持部を形成する互いに逆方向に枢動する少なくとも一対の第2フインガ,及び前記第1フインガと前記第2フインガとの間に介在された中間フインガから構成されており,
前記中間フインガは前記第1フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,前記第2フインガは前記中間フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,
前記第1フインガと前記中間フインガは,互いに対向する一対の板状部材からそれぞれ構成され,前記第1フインガの前記板状部材間に前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着され,前記中間フインガの前記板状部材間に前記第2フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着されており,
前記第1フインガと前記第2フインガとの間に1個の前記中間フインガが介在して3関節に構成され,前記第1フインガに組み込まれた前記歯車列は,前記フレームに固定された固定軸に設けたガイド歯車と噛み合う回転歯車,該回転歯車に隣接して噛み合う中間回転歯車,該中間回転歯車に噛み合って前記中間フインガの端部に設けたフインガ歯車,及び前記第1フインガの一方の前記板状部材の端部に設けたフインガ歯車から構成され,前記中間フインガに組み込まれた前記歯車列は,前記第1フインガの前記フインガ歯車と噛み合う回転歯車,該回転歯車に隣接して噛み合う中間回転歯車,及び該中間回転歯車と噛み合って前記第2フインガの端部に設けたフインガ歯車から構成されており,
一方の前記板状部材には雌ねじ付きボス部が設けられ,他方の前記板状部材にはビス挿通孔が形成され,前記ビス挿通孔に挿通したビスを前記雌ねじ付きボス部に螺入して前記板状部材が互いに固定され,前記ボス部には前記回転歯車と前記中間歯車とが回転自在に嵌着されていることから成るロボットハンド。
【請求項2】
フレームに取り付けられた検出器で得た情報に基づいて駆動制御される駆動源として1個のモータ,前記1個のモータからの回転を減速機を介して伝達され且つ前記フレームに回転自在に取り付けられた互いに逆回転する一対の駆動軸,前記一対の駆動軸に一端がそれぞれ固着されて枢動する少なくとも一対の第1フインガ,前記駆動軸の回転が歯車列を介してそれぞれ伝達され且つ物体把持部を形成する互いに逆方向に枢動する少なくとも一対の第2フインガ,及び前記第1フインガと前記第2フインガとの間に介在された中間フインガから構成されており,
前記中間フインガは前記第1フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,前記第2フインガは前記中間フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,
前記第1フインガと前記中間フインガは,互いに対向する一対の板状部材からそれぞれ構成され,前記第1フインガの前記板状部材間に前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着され,前記中間フインガの前記板状部材間に前記第2フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着されており,
前記第1フインガと前記中間フインガとの間に1個以上で且つ歯車列を介してそれぞれ伝達される別の前記中間フインガが介在して4関節以上に構成され,別の前記中間フインガに組み込まれた前記歯車列は,前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部に設けたフインガ歯車,前記第1フインガ又は隣接する前記中間フインガの前記フインガ歯車と噛み合う回転歯車,該回転歯車に隣接して噛み合う中間回転歯車,及び該中間回転歯車と噛み合う別の隣接する前記中間フインガの他方の前記板状部材の端部に設けたフインガ歯車から構成されており,
一方の前記板状部材には雌ねじ付きボス部が設けられ,他方の前記板状部材にはビス挿通孔が形成され,前記ビス挿通孔に挿通したビスを前記雌ねじ付きボス部に螺入して前記板状部材が互いに固定され,前記ボス部には前記回転歯車と前記中間歯車とが回転自在に嵌着されていることから成るロボットハンド。
【請求項3】
前記第1フインガ及び前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部に設けた前記フインガ歯車は,前記中間回転歯車の回転に干渉しないように切欠きが形成されてることから成る請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記検出器はカメラであり,前記カメラによって得た前記情報がコントローラに入力され,前記コントローラの指令で前記モータが駆動制御されることから成る請求項1~のいずれか1項に記載のロボットハンド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,好ましくない作業環境,高温や低温作業環境,危険な作業環境,狭小な場所,宇宙等の種々の作業環境において,物品,部材,機器等の物体を移動させたり,物体を設備に設置したり,取り外したりする各種の作業を遠隔操作で行う作業用ロボット,義手等のハンドとして適用できるロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,宇宙での作業,危険な場所等の各種の場所での作業に用いられる作業ロボットのマニピュレーターとして,各種のロボットハンドが提案されている。ロボットハンドは,物体を移動,部材の組立て等の各種の作業をさせるために,正確で,充分な強度を持ち,確実に物体をしっかりと把持する機能を有していることが必要がある。ロボットハンドの動きは単純ではあるが,その動きに対して位置の正確さ,物体の把持の確実さ,物体に対する充分な握力等の機能を満足し,それに加えて装置そのものとしてシンプルで,低コストであり,ロボットハンドとしての精度の維持を含めた耐久性が充分であること等の要求に対して,充分に満足するものはないのが現状である。
【0003】
また,人の手を擬似したロボットハンドは,数多く開発されいる。人の手は機構的にみると,20自由度と言われている。ロボットハンドを全く同じ機構として作るためには,20個という多数の駆動源が必要になり,ロボットハンドそのものが複雑化し,大型化し,重量が重くなったり,高コストになるので,実用的ではないものになっていた。ロボットハンドについて,このような技術の背景にあって,通常,自由度を1~3程度にしたロボットハンドが開発されている。
【0004】
従来,ロボットハンドとして,複数の駆動源を持つものが知られている。該ロボットハンドは,ワイヤとシャフトとを組み合わせ,多関節アームのアーム間の回転力の伝達を行うものであり,1個の多関節のハンドにモータをそれぞれ装備した構造に構成されており,本体には関節で回転可能にアームを連結した多関節アームが2本取り付けられている。モータの回転は,巻取り装置を介して関節からワイヤプーリ系,シャフト,ワイヤプーリ系,関節,ワイヤプーリ系,シャフト,ワイヤプーリ系,関節へ伝達され,アームをそれぞれ関節において内側に回動して把持対象物を挟み込んで把持することができるものである(例えば,特許文献1参照)。
【0005】
また,ロボットハンドとして対象物を左右より把持し,把持後に対象物を水平に持ち上げ,移動させるものが知られている。該ロボットハンドは,ハンドの指部に設けられたガイドと固定部及び巻取り部とがロープ状部材により閉ループを構成するように配置され,連動されており,固定部から指部にそれぞれ設けられたガイドを介して巻取り部によりロープ状部材を巻き取ることにより,ハンドに把持力を付与し,指部を解放させる方向に作用するスプリングを設け,スプリングの作用によって巻き取られたロープ状部材の張力を解放することによりハンドの指部を定められた位置まで開放し,スプリングの力のバランスにより把持後に対象物を持ち上げると定められた位置に戻るものである(例えば,特許文献2参照)。
【0006】
また,多指可動ロボットハンドとして,異径物を含む把持対象物に対して,1個の駆動源により複数の指を動かし,生体の把持動作に近い挙動をするように制御したものが知られている。該多指可動ロボットハンドは,歯車,ワイヤ,プーリで指を動かす構造であり,関節を持ちほぼ平行に配置された2本以上の指と,それらの指と対向するように配置された別の1本に指と,2本以上に指の関節を曲げるために牽引されるワイヤの可撓部材で構成され,2本以上の指と1本に指を異径物を含む把持対象物に接触させて把持動作可能とするため,1個の駆動源から発生する動力を1個以上の差動歯車を介して2本以上の可撓部材に伝達し,各々の可撓部材を牽引することにより,2本以上の指に把持力を発生させるものである(例えば,特許文献3参照)。
【0007】
また,ロボットハンドとして,指ユニットの数と配置を選択することで種々の把持機能を有するものが知られている。該ロボットハンドは,指ユニットを指の基端部をユニット本体に回動自在に結合し,ユニット本体に回転自在に設けた入力軸に連動連結して構成し,前記指ユニットをハンド本体に複数配置し,各々のユニット本体をハンド本体に結合すると共に,各々の入力軸に駆動手段を連動連結したものである(例えば,特許文献4参照)。

【特許文献1】特開2003-305681号公報
【特許文献2】特開平4-111791号公報
【特許文献3】特開2001-277175号公報
【特許文献4】特開平1-306190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のロボットハンドは,動きの精度,力の伝達の有効性が期待できないという問題があった。また,従来のロボットハンドは,多関節の連結部を屈曲させた複雑な構造であり,しかも複雑な動きを必要とし,そのため,小型モータやアクチュエータ等の部品を多く必要とする上に,製作がし難く,故障の原因となり,特に,ハンドそのものを小型に構成する場合には,ワイヤ,プーリ等の動力の伝達が的確に機能せず,指即ちフインガの正確な動きができず,問題があった。また,ワイヤ・プーリ系で構成した多関節のアームを屈曲させるタイプのハンドは,ワイヤのゆるみ,すべり等が発生し,正確な把持を行うために対策が望まれているし,該ハンドは,ワイヤとプーリで多関節の単一アームを駆動する方式に回転するシャフトを組み合わせるものであって複雑な構造であった。
【0009】
この発明の目的は,上記の問題を解決することであり,駆動源として1個のモータを使用し,指即ちフインガの関節の数に所望に応じて容易に選択して構成でき,各関節の枢動即ち揺動を歯車列の動力伝達で達成し,装置そのものを小形化し易く構成でき,小形化しても高精度に作動させることができ,部品,部材,機器等の物体を確実にしっかりと把持することができ,歯車列による動力伝達であって動きが正確になり,力の伝達が確実になって時間遅れが発生せず,しかも製造コストが安価であることを特徴とするロボットハンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は,フレームに取り付けられた検出器で得た情報に基づいて駆動制御される駆動源として1個のモータ,前記1個のモータからの回転を減速機を介して伝達され且つ前記フレームに回転自在に取り付けられた互いに逆回転する一対の駆動軸,前記一対の駆動軸に一端がそれぞれ固着されて枢動する少なくとも一対の第1フインガ,前記駆動軸の回転が歯車列を介してそれぞれ伝達され且つ物体把持部を形成する互いに逆方向に枢動する少なくとも一対の第2フインガ,及び前記第1フインガと前記第2フインガとの間に介在された中間フインガから構成されており,
前記中間フインガは前記第1フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,前記第2フインガは前記中間フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,
前記第1フインガと前記中間フインガは,互いに対向する一対の板状部材からそれぞれ構成され,前記第1フインガの前記板状部材間に前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着され,前記中間フインガの前記板状部材間に前記第2フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着されており,
前記第1フインガと前記第2フインガとの間に1個の前記中間フインガが介在して3関節に構成され,前記第1フインガに組み込まれた前記歯車列は,前記フレームに固定された固定軸に設けたガイド歯車と噛み合う回転歯車,該回転歯車に隣接して噛み合う中間回転歯車,該中間回転歯車に噛み合って前記中間フインガの端部に設けたフインガ歯車,及び前記第1フインガの一方の前記板状部材の端部に設けたフインガ歯車から構成され,前記中間フインガに組み込まれた前記歯車列は,前記第1フインガの前記フインガ歯車と噛み合う回転歯車,該回転歯車に隣接して噛み合う中間回転歯車,及び該中間回転歯車と噛み合って前記第2フインガの端部に設けたフインガ歯車から構成されており,
一方の前記板状部材には雌ねじ付きボス部が設けられ,他方の前記板状部材にはビス挿通孔が形成され,前記ビス挿通孔に挿通したビスを前記雌ねじ付きボス部に螺入して前記板状部材が互いに固定され,前記ボス部には前記回転歯車と前記中間歯車とが回転自在に嵌着されていることから成るロボットハンドに関する。
【0011】
また,この発明は,フレームに取り付けられた検出器で得た情報に基づいて駆動制御される駆動源として1個のモータ,前記1個のモータからの回転を減速機を介して伝達され且つ前記フレームに回転自在に取り付けられた互いに逆回転する一対の駆動軸,前記一対の駆動軸に一端がそれぞれ固着されて枢動する少なくとも一対の第1フインガ,前記駆動軸の回転が歯車列を介してそれぞれ伝達され且つ物体把持部を形成する互いに逆方向に枢動する少なくとも一対の第2フインガ,及び前記第1フインガと前記第2フインガとの間に介在された中間フインガから構成されており,
前記中間フインガは前記第1フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,前記第2フインガは前記中間フインガに配置された歯車列を介してそれぞれ伝達され,
前記第1フインガと前記中間フインガは,互いに対向する一対の板状部材からそれぞれ構成され,前記第1フインガの前記板状部材間に前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着され,前記中間フインガの前記板状部材間に前記第2フインガの一方の前記板状部材の端部が枢着されており,
前記第1フインガと前記中間フインガとの間に1個以上で且つ歯車列を介してそれぞれ伝達される別の前記中間フインガが介在して4関節以上に構成され,別の前記中間フインガに組み込まれた前記歯車列は,前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部に設けたフインガ歯車,前記第1フインガ又は隣接する前記中間フインガの前記フインガ歯車と噛み合う回転歯車,該回転歯車に隣接して噛み合う中間回転歯車,及び該中間回転歯車と噛み合う別の隣接する前記中間フインガの他方の前記板状部材の端部に設けたフインガ歯車から構成されており,
一方の前記板状部材には雌ねじ付きボス部が設けられ,他方の前記板状部材にはビス挿通孔が形成され,前記ビス挿通孔に挿通したビスを前記雌ねじ付きボス部に螺入して前記板状部材が互いに固定され,前記ボス部には前記回転歯車と前記中間歯車とが回転自在に嵌着されていることから成るロボットハンドに関する
【0012】
また,このロボットハンドでは,前記第1フインガ及び前記中間フインガの一方の前記板状部材の端部に設けた前記フインガ歯車は,前記中間回転歯車の回転に干渉しないように切欠きが形成されてる。
【0013】
また,このロボットハンドにおいて,前記検出器はカメラであり,前記カメラによって得た前記情報がコントローラに入力され,前記コントローラの指令で前記モータが駆動制御されるものである。
【発明の効果】
【0014】
このロボットハンドは,上記のように,1個のモータからの駆動力を減速機で減速して互いに逆転する一対の駆動軸にそれぞれ伝達し,駆動軸からの回転を歯車列を介してフインガの枢動運動に変換するので,歯車列によって動力が伝達され,構造そのものが極めてシンプルであり,装置そのものの小形化を容易に達成でき,フインガ部材から成る各々の関節を時間遅れなく,確実に高精度に作動させることができ,製造コストも安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明によるロボットハンドは,図1~図9及び図19を参照して説明した基本的な構成である3本指即ち3本のフインガで2箇所の関節を持つ最小単位のものとして構成することができるが,フインガは人の指に疑似させた5本のフインガに構成することもでき,5本以上の多数のフインガに構成することもできる。また,フインガの関節としては,図10~図16を参照して説明した第1実施例である3個の関節に構成することができるし,また,図17と図18を参照して説明した第2実施例である3個以上の関節に構成することもできることは勿論である。また,このロボットハンドは,駆動源としての1個のモータ1によってフインガ関節の動きを制御するように構成されている。また,モータ1は,フレーム2に支持されており,第1フインガ10,11,20の付け根のフレーム部分には検出器としてのカメラ3が設けられており,カメラ3によって部品,部材,機器等の物体の位置,サイズ等の情報を確認し,その情報を遠隔装置等に設けたコントローラに入力し,コントローラがそれらの情報に基づいてモータ1を駆動制御し,第2フインガ12,13,21により物体の把持動作が制御されるものである。また,このロボットハンドを構成する各種の部品や部材は,金属,セラミックス,合成樹脂等の各種の材料で作製することができ,特に材料限定されるものではなく,このロボットハンドの使用目的に応じて材料を適正に選択することができる。このロボットハンドは,主として,フインガ部材,歯車伝動装置等の部品や部材で構成されているので,例えば,これらの部品や部材をオール金属で作製した場合には,特に,高温環境でも各部品や部材に熱変形が発生せず,耐熱性に富み,強固で高精度なものに構成することができる。
【0016】
図1~図9及び図19を参照して,このロボットハンドの基本的な構成として,3本指を持ち,2関節のロボットハンドの構造とその動作について説明する。このロボットハンドは,フレーム2に取り付けられた検出器のカメラ3で得た情報に基づいて駆動制御されるモータ1,及びフレーム2に回転自在に取り付けられ且つモータ1からの回転を減速機4を介して伝達される互いに逆転する駆動軸5,6を有している。具体的には,モータ1は,その出力軸19からの駆動力が減速機4を介して駆動軸5,6を回転駆動する。減速機4は,大径歯車14と小径歯車15とが一体構造に構成されている。モータ1の出力軸19は,その回転が出力歯車16に伝達される。出力歯車16は,減速機4の大径歯車14に噛み合っているので,その回転は大径歯車14に伝達される。大径歯車14と一体に回転する小径歯車15は,中間歯車7に噛み合うと共に駆動歯車9に噛み合っている。また,中間歯車7は,駆動歯車8に噛み合っているので,その回転は駆動歯車8に伝達される。従って,モータ1の回転は,減速機4を介して駆動歯車9,及び減速機4と中間歯車7を介して駆動歯車8に伝達されるので,駆動歯車8と駆動歯車9とは互いに逆回転することになる。このロボットハンドでは,出力歯車16と減速機4の大径歯車14とは互いに噛み合うので同一平面に位置し,また,小径歯車15,中間歯車7,及び駆動歯車8,9は互いに噛み合うので同一平面に位置している。
【0017】
このロボットハンドでは,駆動歯車8は駆動軸5にビスによって固定され,駆動軸5はフレーム2に軸受47を介して回転自在に支持されている。また,駆動歯車9は駆動軸6に一体構造又はビスによって固定され,駆動軸6はフレーム2に軸受47を介して回転自在に支持されている。従って,駆動歯車8は,中間歯車7を介して小径歯車15に連結されて駆動歯車9とは逆方向に回転するので,駆動歯車8が固定された駆動軸5と駆動歯車9が固定された駆動軸6とは,互いに逆回転することになる。即ち,中間歯車7は,減速機4からの回転を互いに逆転させて駆動歯車8,9に伝達するのに設けられている。また,駆動軸5と駆動軸6とは,掌等の本体を構成するフレーム2を中心に左右に対向した位置に設けられている。また,フレーム2の中央先端部には,物体を検出するための検出器のカメラ3が設置されている。従って,このロボットハンドでは,減速機付きモータ1の出力は,出力歯車16から大径歯車14と小径歯車15に伝達され,図1の右側は中間歯車7を介して駆動歯車8と右側の駆動軸5に伝達され,また,左側は小径歯車15から駆動歯車9と左側の駆動軸6に伝達されることになる。
【0018】
このロボットハンドは,駆動軸5,6に一端がそれぞれ固着され且つ駆動軸5,6を中心に枢動する第1フインガ10,11,20,及び駆動軸5,6の回転を歯車列25から成る歯車伝動装置を介してそれぞれ伝達され且つ物体を把持解放可能に互いに逆方向に枢動即ち揺動する第2フインガ12,13,21から構成されている。具体的には,駆動軸5と駆動軸6とは,ロボットハンドの関節に相当する部分を構成している。右側の駆動軸5と左側の駆動軸6は,右側の第一指即ち第1フインガ10,左側の第一指即ち第1フインガ11,及び左側の第一指即ち第1フインガ20の3本の指即ちフインガの第1関節を形成している。
【0019】
第1フインガ10,11,20について,図3~図5を参照して説明する。第1フインガ10,11,20は,互いに対向する一対の板状部材10A,10B,板状部材11A,11B,及び板状部材20A,20Bからそれぞれ構成され,板状部材10A,10B間,板状部材11A,11B間,及び板状部材20A,20B間の端部には,第二指即ち第2フインガ12,13,21の端部がそれぞれ挟持されて枢動可能に構成されている。図6に示すように,板状部材10A,板状部材11A,及び板状部材20Aには,雌ねじ41,42,43を形成したボス部38,39.40が設けられている。板状部材10Aと板状部材10B,板状部材11Aと板状部材11B,及び板状部材20Aと板状部材20Bをボス部38,39.40を間にして両者間に歯車列25を配設する空間が形成されるように互いに対向させ,次いで,ねじ付きビス35,36,37を雌ねじ41,42,43に螺入して,板状部材10Aと板状部材10B,板状部材11Aと板状部材11B,及び板状部材20Aと板状部材20Bがそれぞれ互いに固定される。また,板状部材10A,11A,20Aのボス部38,39.40には,軸受44,45,46を介して回転歯車29,30,31,又は中間回転歯車29,30,31が各板状部材に挟持した状態で回転自在に配置される。
【0020】
板状部材10A,10B,11A,11B,20A,20Bのそれぞれの間には,歯車列25がそれぞれ配置されている。また,歯車列25は,フレーム2に固定された固定軸17,18に設けたガイド歯車22,23,24と噛み合い且つ第1フインガ10,11,20の端部に設けられた回転歯車32,33,34,回転歯車32,33,34に噛み合う隣接した中間回転歯車29,30,31,及び中間回転歯車29,30,31に噛み合う第2フインガ12,13,21の端部に設けられたフインガ歯車26,27,28から構成されている。基本的な構成では,回転歯車32,33,34,中間回転歯車29,30,31,及びフインガ歯車26,27,28は,それらの歯幅が板状部材10A,10B,板状部材11A,11B,板状部材20A,20B間の間隔とほぼ等しい厚さに形成されている。また,このロボットハンドでは,第2フインガ12,第2フインガ13及び第2フインガ21のそれぞれの端部に設けられたフインガ歯車26,27,28の中心は,3本の第1フインガ10,11,20と第2フインガ12,13,21の第2関節を形成している。
【0021】
また,一対の板状部材10A,10B,板状部材11A,11B,及び板状部材20A,20Bの間の空間には,駆動軸5,6に回転自在に取り付けられ且つ自身が回転しないガイド歯車22,23,24をそれぞれ配設されており,また,ガイド歯車22,23,24は,片方に180度強の歯を設けた形状に形成され,固定軸17,18に固定された固定アーム48,49,50にそれぞれ固定されている。また,ガイド歯車22,23,24には,第1フインガ10,11,20の回転歯車32,33,34が噛み合っている。ガイド歯車22,23,24は,固定状態であるので,回転歯車32,33,34は,第1フインガ10,11,20が揺動することによってガイド歯車22,23,24の周上を転動して移動し,駆動軸5,6を中心に第1関節を構成することになる。
【0022】
次に,図8及び図9を参照して,第1フインガ10,11,20,及び第2フインガ12,13,21の動きについて説明する。駆動軸5と駆動軸6とは逆方向に回転しているので,第1フインガ10及び第2フインガ12の動きは,第1フインガ11,20及び第2フインガ13,21の動きとは逆方向,即ち対向する方向に移動即ち揺動することになる。まず,第1フインガ10は駆動軸5に固定されており,ガイド歯車22は固定軸17及びアーム48に固定されているので,駆動軸5が回転して第1フインガ10が矢印Aの方向に動かされると,第1フインガ10に回転自在に配設された回転歯車32がガイド歯車22の周上を噛み合った状態でガイドされて矢印B方向の回転する。回転歯車32が矢印B方向に回転すると,回転歯車32に噛み合っている中間回転歯車29が矢印C方向に回転する。中間回転歯車29が矢印C方向の回転すると,中間回転歯車29に噛み合っているフインガ歯車26が矢印D方向の回転し,第2フインガ12を矢印E方向に揺動させることになる。また,第1フインガ11,20は駆動軸6に固定されており,ガイド歯車23,24は固定軸18及びアーム49,50に固定されているので,駆動軸6が回転して第1フインガ11,20が矢印A1の方向に動かされると,第1フインガ11,20に回転自在に配設された回転歯車33,34がガイド歯車23,24の周上を噛み合った状態でガイドされて矢印B1方向に回転する。回転歯車33,34が矢印B1方向に回転すると,回転歯車33,34に噛み合っている中間回転歯車30.31が矢印C1方向に回転する。中間回転歯車30,31が矢印C1方向の回転すると,中間回転歯車30,31に噛み合っているフインガ歯車27,28が矢印D1方向に回転し,第2フインガ13,21を矢印E1方向に揺動させることになる。従って,このロボットハンドは,モータ1の回転制御によって図8に示すような開放状態から図9に示すような把持する閉状態に揺動させたり,その逆方向に揺動させることができる。
【0023】
また,第1フインガ10,11,20,及び第2フインガ12,13,21の回転角は,各歯車のサイズを同じにすれば,同じになるが,各歯車のサイズや歯数を変更すれば種々に調整することができる。例えば,第2フインガ12,13,21の回転角を第1フインガ10,11,20の回転角よりも小さくしたい場合には,第1フインガ10,11,20の3本の指の端にある歯車部分の直径を大きくして歯車の歯一本当りの回転角を小さくすれば,簡単に回転角を小さくすることができる。言い換えれば,各歯車の直径,歯数等を種々に変更すれば,第2フインガ12,13,21の動きを所望な移動即ち揺動状態に適正に容易に変更することができるものである。
【0024】
次に,図10~図16を参照して,この発明によるロボットハンドの第1実施例である3関節を持つタイプのロボットハンドを説明する。第1実施例は,基本的な構成が人の親指のように2関節タイプであったのに対し,1関節を増加させた親指以外の指のように3関節タイプのロボットハンドである。第1実施例は,モータ1から駆動軸5,6までの構成は,基本的な構成と同様であるので,ここではそれらの説明を省略する。第1実施例のロボットハンドは,基本的な構成の第1フインガ10,11,20と第2フインガ12,13,21との間に,中間フインガ53をそれぞれ介在させることによって構成することができる。ここで説明を簡単にするため,駆動軸5に枢着した第1フインガ51,第1フインガ51に枢着した中間フインガ53,及び中間フインガ53に枢着した第2フインガ52について図示し説明することとする。このロボットハンドでは,中間フインガ53が第1フインガ51と第2フインガ52との間に介在されている。第1フインガ51の回転歯車64が駆動軸5に回転自在に嵌合したフインガ歯車22の周上を揺動することによって第1関節が構成され,また,中間フインガ53のフインガ歯車66が第1フインガ51の中間回転歯車65の回転によって第1フインガ51のフインガ歯車58の周上を揺動することによって第2関節が構成され,更に,第2フインガ52のフインガ歯車67が中間フインガ53の中間回転歯車65の回転によって第2フインガ52のフインガ歯車67が中間回転歯車65の周上を転動することによって第2フインガ52が揺動してフインガ歯車67を中心に第3関節を構成するようになっている。
【0025】
図11及び図12を参照して,第1フインガ51について説明する。第1フインガ51は,図11に示す板状部材51Aと図12に示す板状部材51Bとが互いに隔置して対向状態に配置して構成されている。板状部材51Aと板状部材51Bは,基本的な構成と同様に,ビス54によって互いに固着されて一体構造になっており,両者の板状部材間に歯車列55が組み込まれている。第1フインガ51を構成する板状部材51A,51Bには,駆動軸5が嵌合する取付け孔60及びビス孔57が形成され,駆動軸5を取付け孔60に嵌合してビス孔57にビス54を螺入して,駆動軸5と第1フインガ51とが固定されている。従って,第1フインガ51は,駆動軸5の回転によって駆動軸5を中心に揺動し,第1関節を構成することになる。第1フインガ51の板状部材51Aの先端側には,図11に示すように,第2関節の動作を可能にする歯車を一体構造で成形したフインガ歯車58が設けられている。フインガ歯車58は中間フインガ53のガイドとして機能する。また,板状部材51Aには,ビスが挿通するビス孔59が形成されている。また,板状部材51Bは,図12に示すように,雌ねじ付きのボス部61,62が設けられている。ボス部62は,板状部材51Bの先端部に位置してボス部61の半分の高さである。第1フインガ51は,ボス部61,62に回転歯車64と中間回転歯車65を回転自在に装着し,次いで板状部材51Aと板状部材51Bとの間に,ボス部61,62,回転歯車64及び中間回転歯車65を介在させた状態で,互いに対向させてビス54によって固着することによって構成される。板状部材51Aと板状部材51Bとの間には,ガイド歯車22と噛み合ってガイド歯車22の周上を転動する回転歯車64,回転歯車64に噛み合う中間回転歯車65,中間回転歯車65に隣接して中間フインガ53の回転歯車63と噛み合うフインガ歯車58,及び中間回転歯車65に噛み合ってフインガ歯車58と側面に接する中間フインガ53のフインガ歯車66が配列されている。フインガ歯車58は中間回転歯車65の回転に干渉しないように切欠き76が形成されている。図13に示すように,回転歯車64と中間回転歯車65とは同一歯幅に形成され,また,フインガ歯車58と回転歯車63は回転歯車64の歯幅の半分のサイズに形成されている。従って,板状部材51Aと板状部材51Bとを対向させた状態では,フインガ歯車58と後述の中間フインガ53に設けたフインガ歯車66とが側面を接した状態になって,中間回転歯車65の歯幅になっている。また,これらの歯車63,64,65には,その中心にボス部61,62に嵌着した軸受44,45,46(図6)が挿通する取付孔56が形成されている。
【0026】
図14及び図15を参照して,中間フインガ53について説明する。中間フインガ53は,図14に示す板状部材53Aと図15に示す板状部材53Bとが互いに隔置して対向状態に配置して構成されている。板状部材53Aと板状部材53Bは,第1フインガ51と同様に,ビス54によって互いに固着されて一体構造になっており,両者の板状部材間に歯車列55が組み込まれている。板状部材53Aの先端側には,図14に示すように,第2関節の動作を可能にする歯車を一体構造で成形したフインガ歯車66が設けられている。また,板状部材53Aには,ビスが挿通するビス孔59が形成されている。また,板状部材53Bは,図15に示すように,雌ねじ付きのボス部61,62が設けられている。中間フインガ53は,ボス部61,62に回転歯車63と中間回転歯車65を回転自在に装着し,次いで板状部材53Aと板状部材53Bとの間に,ボス部61,62,回転歯車63と中間回転歯車65を介在させた状態で,互いに対向させてビス54によって固着することによって構成される。第1フインガ51の板状部材51Aと板状部材51Bとの間には,第1フインガ51の中間回転歯車65と噛み合って中間回転歯車65の周上を転動する中間フインガ53のフインガ歯車66が配列されている。更に,中間フインガ53の板状部材53Aと板状部材53Bとの間には,第1フインガ51のフインガ歯車58と噛み合う回転歯車63,回転歯車63に噛み合う中間回転歯車65,及び第2フインガ52のフインガ歯車67が配列されている。中間フインガ53は,そのフインガ歯車66が第1フインガ51の板状部材51Aと板状部材51Bとの間にフインガ歯車58と側面を接して配置され,ボス部62を取付孔56に挿通してビス54で板状部材51Aと板状部材51Bを固着することによって揺動可能に第1フインガ51に取り付けられている。板状部材53Bは,第1フインガ51の端部のフインガ歯車58の周上を転動する時に,第1フインガ51に干渉しないように切欠き68が形成されている。また,中間フインガ53の中間回転歯車65の回転に応じて,第2フインガ52のフインガ歯車67が中間回転歯車65の周上を転動することによって第3関節が構成されることになっている。
【0027】
図16を参照して,第2フインガ52について説明する。第2フインガ52は,端部にフインガ歯車67が一体構造に設けられている。第1実施例の第2フインガ52は,基本的な構成の第2フインガ12と実質的に同一の形状に構成されている。第2フインガ52は,物体の把持部74を形成すると共に,その先端部にフインガ歯車67を備えている。フインガ歯車67の中心にはボス部61が挿通する取付孔56が形成されている。第2フインガ52は,図10に示すように,中間フインガ53の板状部材53Aと板状部材53Bとの間に配置され,中間フインガ53のボス部61を取付孔56に挿通してビス54で板状部材53Aと板状部材53Bを固着することによって揺動可能に中間フインガ53に取り付けられ,第3関節を構成している。
【0028】
次に,第1実施例の3関節を持つロボットハンドの作動について説明する。モータ1によって駆動軸5が回転する動作は,基本的な構成と同様である。駆動軸5が回転することによって,駆動軸5に固定されている第1フインガ51が駆動軸5を中心にして回転する。そこで,第1フインガ51は駆動軸5を中心にして揺動し,第1関節の機能を果たすように枢動即ち揺動する。また,駆動軸5には回転自在にガイド歯車22が支持されている。ガイド歯車22は,固定軸17に固定されているので,回転することはない。第1フインガ51に回転自在に支持されている回転歯車64は,第1フインガ51の回転に従ってガイド歯車22の周上をガイドされて回転しつつ転動する。回転歯車64が回転すると,回転歯車64に噛み合っている第1フインガ51の中間回転歯車65が回転する。
【0029】
また,第1フインガ51の中間回転歯車65には,中間フインガ53のフインガ歯車66が噛み合っているので,中間回転歯車65の回転は,中間フインガ53のフインガ歯車66を回転させて中間フインガ53をフインガ歯車66を中心に回転させることになる。そこで,中間フインガ53はフインガ歯車66を中心にして揺動し,第2関節の機能を果たすように枢動即ち揺動する。一方,第1フインガ51のフインガ歯車58は,中間フインガ53の端部に配置された回転歯車63に噛み合っているので,第1フインガ51の回転に従って,中間フインガ53の回転歯車63は,第1フインガ51のフインガ歯車58をガイドとしてフインガ歯車58の周上を回転しつつ転動する。回転歯車63の回転は,回転歯車63に噛み合っている中間フインガ53の中間回転歯車65を回転させる。
【0030】
更に,中間フインガ53の中間回転歯車65には,第2フインガ52のフインガ歯車67が噛み合っている。そこで,第2フインガ52は,フインガ歯車67を中心にして揺動し,第3関節の機能を果たすように枢動即ち揺動することになる。従って,第1実施例のロボットハンドは,上記のように,固定軸17に固定されたガイド歯車22が第1フインガ51をガイドして第1関節が形成され,第1フインガ51のフインガ歯車58が中間フインガ53をガイドして第2関節が形成され,中間フインガ53の中間回転歯車65が第2フインガ52をガイドして第3関節が形成されている。
【0031】
次に,図17と図18を参照して,この発明によるロボットハンドの第2実施例として4関節以上の多関節を持つタイプのロボットハンドについて説明する。第2実施例のロボットハンドは,第1実施例のロボットハンドにおける第1フインガ51と中間フインガ53との間に,中間フインガ69を組み込むことによって構成される。中間フインガ69を1個加える毎に関節数が増加するようになっている。中間フインガ69は,板状部材70と板状部材53Aとを対向させてビス54で固定することによって構成される。中間フインガ69の板状部材53Aは,中間フインガ53の板状部材と同一形状であるので,その説明は省略する。板状部材70は,図18に示すように,先端部に一体構造のフインガ歯車72を備えると共に,端部にボス部61,中間にボス部62,先端部にフインガ歯車72上にボス部73が設けられている。板状部材70は,先端部には手前に隣接するフインガ51,69に干渉しないように切欠き75が形成されている。また,フインガ歯車72には,中間回転歯車65の回転に干渉しないように切欠き71が形成されている。ボス部73は,フインガ歯車72の中心部に設けられている。また,中間フインガ69には,端部側のボス部62に挿通した回転歯車63,及び回転歯車63に噛み合う中間回転歯車65が配置されている。フインガ歯車72は,隣接する中間フインガ69の回転歯車63と噛み合っており,板状部材53Aに設けたフインガ歯車66に対して側面を接した状態に配設されている。このロボットハンドでは,フインガ歯車72の周上を回転歯車63が転動することによって先端側に位置する中間フインガ69がフインガ歯車66を中心に揺動して関節を構成している。
【0032】
第2実施例のロボットハンドは,上記のように構成されているので,次のように作動することができる。モータ1によって駆動軸5が回転する動作は,基本的な構成と同様である。また,第1フインガ51の作動は,第1実施例と同様である。駆動軸5が回転することによって,駆動軸5に固定されている第1フインガ51が駆動軸5を中心にして回転する。第1フインガ51に回転自在に支持されている回転歯車64は,第1フインガ51の回転に従ってガイド歯車22の周上を回転しつつ転動する。そこで,第1フインガ51は駆動軸5を中心にして枢動し,第1関節の機能を果たすように枢動即ち揺動させることになる。また,回転歯車64が回転すると,回転歯車64に噛み合っている第1フインガ51の中間回転歯車65が回転する。中間回転歯車65には板状部材53Aに設けたフインガ歯車66と噛み合っているので,中間回転歯車65の回転は,第1の中間フインガ69を揺動させることになる。また,第1フインガ51の回転はフインガ歯車58を回転させ,フインガ歯車58に噛み合っている回転歯車63を回転させることになる。従って,第1フインガ51の回転は,フインガ歯車66を通じて第1の中間フインガ69を回転させると共に,回転歯車63をフインガ歯車58の周上に沿って回転しつつ転動させ,第1の中間フインガ69をフインガ歯車58,66を中心とする第2関節の機能を果たすように枢動即ち揺動させることになる。更に,回転歯車63の回転は,第1の中間フインガ69の中間回転歯車65を回転させる。中間回転歯車65には隣接する第2の中間フインガ69のフインガ歯車66が噛み合っているので,第1の中間回転歯車65の回転は第2の中間フインガ69を揺動させることになる。第2の中間フインガ69を揺動すると,第2の回転歯車63が第1のフインガ歯車72と噛み合っているので,第2の回転歯車63は第1のフインガ歯車72の周上に沿って回転しつつ転動させ,第2の中間フインガ69をフインガ歯車66,72を中心とする第3関節の機能を果たすように枢動即ち揺動させることになる。また,中間フインガ69と第2フインガ52との作動は,第実施例の中間フインガ53と第2フインガ52との作動と同等である。このようにして,中間フインガ69を増加させる毎に関節の数が増加することになる。従って,この発明によるロボットハンドは,4関節以上の多関節についても,上記の3関節のタイプのロボットハンドの構造と同じ考えで延長すればよく,図17に示すように多関節のロボットハンドを設計することができる。
【0033】
この発明によるロボットハンドは,上記のように構成されているので,3本指に限らず,5本フインガ即ち5本指の構造で,2関節,3関節,多関節の構造のロボットハンドを構成することもできる。また,親指に相当する指を2関節タイプに構成し,他の指を3関節タイプに構成すれば,5本の指を持つ人の手と同じ構造に構成でき,人の擬似ハンドを製作することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明によるロボットハンドは,例えば,好ましくない作業環境,高温や低温作業環境等の場所,宇宙等で物品や部材を移動させたり,物品や部材を設備に設置したりする作業を遠隔操作で行う作業用ロボットのハンド部分,義手のハンド部分等に組み込んで適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明によるロボットハンドの基本的な構成である2関節タイプのロボットハンドを示す平面図である。
【図2】図1のロボットハンドを図1の左側から見た側面図である。
【図3】第1フインガと第2フインガの動きを説明する説明図である。
【図4】第1フインガと第2フインガを構成する板状部材を示す平面図である。
【図5】図4の第1フインガと第2フインガを示す側面図である。
【図6】図4の第1フインガを構成する一対の板状部材を固着した状態を示す部分側面図である。
【図7】左側の第1フインガを構成する板状部材が左側の回転軸駆動歯車と一体構造であることを示し,Aは平面図であり,Bは側面図である。
【図8】第1フインガと第2フインガとの作動状態を説明する説明図である。
【図9】第1フインガと第2フインガとの把持状態まで作動した状態を示す説明図である。
【図10】この発明によるロボットハンドの第1実施例である3関節タイプのロボットハンドを示しており,Aは平面図,及びBは側面図である。
【図11】図10における第1フインガの一方の板状部材を示し,Aは平面図,Bは側面図,及びCは裏面図である。
【図12】図10における第1フインガの他方の板状部材を示し,Aは平面図,Bは側面図,及びCは裏面図である。
【図13】このロボットハンドにおける板状部材間に配設された回転歯車を示し,A-1は小径の回転歯車の平面図,A-2は小径の回転歯車の側面図,B-1は大径の回転歯車の平面図,B-2は大径の回転歯車の側面図である。
【図14】このロボットハンドにおける中間フインガの一方の板状部材を示し,Aは平面図,Bは側面図,及びCは裏面図である。
【図15】このロボットハンドにおける中間フインガの他方の板状部材を示し,Aは平面図,及びBは側面図である。
【図16】このロボットハンドにおける第2フインガを示し,Aは平面図,及びBは側面図である。
【図17】この発明によるロボットハンドの第2実施例である多関節タイプのロボットハンドを示しており,Aは平面図,及びBは側面図である。
【図18】図17のロボットハンドに組み込まれている中間フインガの板状部材を示しており,Aは側面図,及びBは平面図である。
【図19】図1に示すロボットハンドを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 モータ
2 フレーム
3 カメラ
4 減速機
5,6 駆動軸
10,11,20 第1フインガ
10A,10B,11A,11B 20A,20B 第1フインガの板状部材
12,13,21 第2フインガ
17,18 固定軸
22,23,24 ガイド歯車
25,55 歯車列 26,27,28 フインガ歯車
29,30,31 中間回転歯車
32,33,34 回転歯車
35,36,37,54 ビス
38,39,40,61,62,73 ボス部
41,42,43 雌ねじ
51 第1フインガ
51A,51B 板状部材
52 第2フインガ
53 中間フインガ
53A,53B 板状部材
58 フインガ歯車
59 ビス孔
60 取付け孔
63,64 回転歯車
65 中間回転歯車
66,67 フインガ歯車
68,75,76 切欠き
69 中間フインガ
70 中間フインガ70の板状部材
72 フインガ歯車
74 把持部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18