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明細書 :口唇力測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4554630号 (P4554630)
公開番号 特開2008-212576 (P2008-212576A)
登録日 平成22年7月23日(2010.7.23)
発行日 平成22年9月29日(2010.9.29)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
発明の名称または考案の名称 口唇力測定装置
国際特許分類 A61B   5/22        (2006.01)
G01L   5/00        (2006.01)
FI A61B 5/22 Z
G01L 5/00 101Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2007-057876 (P2007-057876)
出願日 平成19年3月7日(2007.3.7)
審査請求日 平成21年12月18日(2009.12.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591248348
【氏名又は名称】学校法人松本歯科大学
発明者または考案者 【氏名】増田 裕次
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100070150、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 忠彦
審査官 【審査官】大▲瀬▼ 裕久
参考文献・文献 国際公開第01/078602(WO,A1)
登録実用新案第3128733(JP,U)
特許第3497111(JP,B2)
国際公開第2007/029769(WO,A1)
中塚久美子,”新しい装置を用いた多方位口唇閉鎖力の測定”,松本歯学,日本,松本歯科大学学会,2006年12月31日,第32巻、第3号,p.259-260
佐橋喜志夫,”口唇運動に異常を訴えた2症例について-多方位口唇閉鎖力測定装置による評価-”,日本咀嚼学会雑誌,日本,特定非営利活動法人 日本咀嚼学会,2006年11月30日,第16巻、2号,p.121-122
調査した分野 A61B 5/22
G01L 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
口唇力を測定する口唇力測定装置であって、
ホルダと、
前記ホルダに一端が固定され、他端が前記口唇に咥えられて、前記口唇から受ける力に応じて各々撓むことにより、前記他端が前記ホルダを中心として放射状又は求心状に弾性変形する、複数の弾性を有する板材と、
前記板材の前記一端を前記ホルダに固定する固定部の近傍で前記板材の各々と前記ホルダとの間に設けられ、前記板材撓みに応じて前記口唇から受ける力を測定する測定手段とを有し、
前記口唇から受ける力を複数部位で検出する口唇力測定装置。
【請求項2】
前記板材は8本あり、前記ホルダに固定される前記板材の各々の前記他端は、正八角形の頂点に位置するように配列される、請求項1に記載の口唇力測定装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記板材の歪みを検出する歪み計から構成されている請求項記載の口唇力測定装置。
【請求項4】
前記測定手段は、前記板材にかかる圧力を検出する感圧センサから構成されている請求項記載の口唇力測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は口唇力測定装置に係り、特に、口唇力を多方向から測定する口唇力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
口の中の食べ物をこぼさず、上手に噛むためには、口唇の閉鎖が機能的に行なわれる必要がある。また、食べ物を飲み込む時には口唇が閉鎖されていないと、食べ物をうまく飲み込むことができない。
【0003】
さらに、最近では口の開いた子供が増えており、口呼吸することなどが問題と言われている。また、口唇の力が弱いといわゆる出歯になるともいわれている。
【0004】
このように、口唇力は咀嚼や発音時に重要な役割を担っている。
【0005】
さらに近年、口唇力が正常に営まれることは顎顔面頭蓋、歯列および舌などの口腔器官の成長発達と深い関係があることが報告されている。しかし、口唇力は上下の口唇に存在する口輸筋とこれに協働して働く口裂周囲の筋肉の収縮により起こる多様な運動のため、科学的に裏付けされた評価法が確立していなかった。
【0006】
口唇力測定装置としては、上口唇に当接する上唇当接部と、下口唇に当接する下唇当接部との間に弾性体と感圧記録紙とを配置し、口唇力を弾性体を介して感圧記録紙に印加し、感圧記録紙に弾性体の変形量を記録することにより口唇力を測定する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

【特許文献1】特開平2003-116823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来は口唇力を研究の対象にした事例がほとんど無く、現状は特許文献1に記載のように口唇の単一方向の力を機械的に検出する測定機器しか存在せず、精度よく、また、複雑な口唇力の特性を考慮し、多方向から直接測定できる装置は存在しなかった。今後、咀嚼や発音と「口すぼめ力」の相関を評価・研究していく為に、複雑且つ機能的な口唇力を正確に測定できる装置の開発が必要不可欠となっている。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、口唇力を正確、かつ、精細に測定できる口唇力測定装置を提倶することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、口唇力を測定する口唇力測定装置であって、ホルダと、前記ホルダに一端が固定され、他端が前記口唇に咥えられて、前記口唇から受ける力に応じて各々撓むことにより、前記他端が前記ホルダを中心として放射状又は求心状に弾性変形する、複数の弾性を有する板材と、前記板材の前記一端を前記ホルダに固定する固定部の近傍で前記板材の各々と前記ホルダとの間に設けられ、前記板材撓みに応じて前記口唇から受ける力を測定する測定手段とを有し、前記口唇から受ける力を複数部位で検出することを特徴とする。

【0010】
また、本発明は、前記板材は8本あり、前記ホルダに固定される前記板材の各々の前記他端は、正八角形の頂点に位置するように配列されることを特徴とする。

【0011】
さらに、測定手段は板材の歪みを検出する歪み計から構成されていることを特徴とする。測定手段は、板材にかかる圧力を検出する感圧センサから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、口唇に咥えられて、口唇の変位に応じて変位する複数の変位部と、変位部の各々に設けられ、変位部の変位を検出する検出部とを有し、口唇力を複数方向から検出することにより、口唇の部位毎に口唇力を検出できるため、口唇運動を詳細に解析することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1実施例〕
図1本発明の第1実施例の構成図、図2は本発明の第1実施例のブロック構成図、図3は本発明の第1実施例の要部の側面図、図4は口唇力測定装置100の使用方法を説明するための図を示す。図1(A)は平面図、図1(B)は側面図、図1(C)は要部の正面図を示している。
【0016】
本実施例の口唇力測定装置100は、測定部111、増幅部112、ケーブル113、出力装置114、処理装置115、スタンド116、固定ホルダ117、アーム118、昇降ホルダ119から構成されており、口唇力を複数方向から測定する装置である。
【0017】
測定部111は、8枚の測定子121、測定子ホルダ122、測定子カバー123、検出素子124から構成され、スタンド116に固定されて使用される。
【0018】
8枚の測定子121は、例えば、金属板など、弾性を有する板材から構成されており、測定子ホルダ122に固定される。
【0019】
測定子ホルダ122は、横断面形状が略正八角形に成形されており、各側面に測定子121の一方の端部がネジ留めされている。測定子121の他方の端部、先端部は開放状態とされる。これによって、8枚の測定子121が口唇に咥えられ、咀嚼、あるいは、窄め運動などが行われると、口唇の異なる複数の部位から口唇力を受け、撓むことになる。このとき、測定子121は、先端部が測定子ホルダ122を中心として放射状、求心状に弾性変形する。8枚の測定子121の変位を検出することによって、口唇の測定子ホルダ122の中心に向かう異なる複数の方向への力を検出することが可能となる。
【0020】
測定子カバー123は、8枚の測定子121の測定子ホルダ122側の端部に、測定子121が変位自在となるように取り付けられており、検出素子124及びその配線をカバーする。測定子カバー123により被験者が検出素子124などに触れることを防止できる。
【0021】
検出素子124は、例えば、歪み計などから構成されており、測定子121の、測定子ホルダ122との接続部分のわずかに先端側に固定されている。検出素子124は、測定子121の歪みに応じた信号を出力する。なお、検出素子124は、シート状感圧センサであってもよい、シート状感圧センサを用いる場合には、測定子121と測定子ホルダ122との間にシート状感圧センサを介在させることにより、測定子121にかかる力を検出することが可能となる。
【0022】
なお、測定子121を保持する測定子ホルダ122は、回転ホルダ117に固定されている。回転ホルダ117は、アーム118の一端に回転自在に保持されている。さらに、アーム118は、他端が昇降ホルダ119に回転自在に保持されている。昇降ホルダ119は、スタンド116に昇降自在に保持されている。
【0023】
以上により、測定子ホルダ122は、高さ及び角度を自在に設定でき、測定子121の他端、先端部が被験者の口唇位置に応じた位置に設置できる。
【0024】
被験者は、測定子121の先端部を口唇で咥える。被験者が測定子121の先端を咥えた状態で、口唇で運動を行うことにより、測定子121が口唇の運動に応じて撓む。検出素子124は、測定子121の撓みに応じた信号を出力する。検出素子124から出力された信号は、増幅部112に供給される。
【0025】
増幅部112は、測定部111の測定子ホルダ122に固定されている。増幅部112を測定子ホルダ122に固定することにより検出素子124と増幅部112との距離を短くできる。検出素子124と増幅部112との距離が短くなることによって、ノイズの侵入を抑制できる。
【0026】
なお、増幅部112は、変換回路131、アンプ132が搭載されたプリント配線板が金属ケース内に内蔵された構成とされている。ケースは、例えば、金属材から構成されて、プリント配線板を囲って、プリント配線板をシールドする。
【0027】
検出素子124の出力信号は、増幅部112で、まず、変換回路131に供給される。変換回路141は、検出素子124の出力を電圧に変換する。変換回路131で変換された電圧は、アンプ132に供給される。
【0028】
アンプ132は、変換回路131から供給される電圧を増幅する。アンプ132で増幅された信号は、ケーブル113を介して出力装置114に供給される。
【0029】
出力装置114は、電源部151、AD変換部152、インタフェース部153から構成されている。
【0030】
電源部151は、商用電源から測定部111の検出部122、増幅部112の変換回路141及びアンプ142、出力部114のAD変換部152及びインタフェース部153を駆動するための駆動用電源を生成し、測定部111の検出部122、増幅部112の変換回路131及びアンプ132、出力部114のAD変換部152及びインタフェース部153供給する。
【0031】
AD変換部152は、出力装置114からの出力をディジタルデータに変換する。ディジタルデータに変換されたデータは、インタフェース部153に供給される。インタフェース部153は、USB(Universal Serial Bus)インタフェースであり、処理装置115とのインタフェースをとっており、AD変換部152で変換されたディジタルデータを処理装置115に供給する。
【0032】
なお、出力装置114は、複数のアナログ端子154、例えば、BNCジャックを有し、検出部122から供給される複数のアナログ信号を個別にアナログ出力することが可能な構成とされている。
【0033】
処理装置115は、コンピュータシステムから構成されており、出力装置114から供給されたデータから各方向、8方向の口唇力の波形を表示装置に表示する。
【0034】
図5、図6は処理装置115による表示画面の一例を示す図である。
【0035】
例えば、図5に示すように、時間を横軸として、8方向の口唇力が同時に表示するようにしてもよい。図5に示すように表示することによりどのタイミングで口唇のどの部位に力がかかっているかを認識できる。
【0036】
また、図6に示すように特定の時刻における口唇力をレーダーチャートによって表示するようにしてもよい。図6に示すような表示によって口唇力のバランスを認識できる。
【0037】
本実施例によれば、口唇力を同時に多方向から測定することができるため、口唇の運動状態を正確に把握することができる。これによって、被験者に的確な指導を行うことが可能となる。
【0038】
また、本実施例によれば、検出素子122として、歪み計を用いているため、気温や湿度の周囲環境の変化の影響を受けることが少ない。これによって、周囲環境によらずに正確な測定が可能となる。
【0039】
また、小型化が可能となるため、被験者への心理的負担を軽減できるとともに、コストパフォーマンスを向上させることができる。
【0040】
〔第2実施例〕
図7は本発明の第2の実施例の構成図、図8は本発明の第2実施例のブロック構成図、図9、図10、図11は本発明の第2実施例の要部の構成図を示す。図7(A)は平面図、図7(B)は正面図、図7(C)は側面図を示す。また、図11(A)はヘッドアッセンブリ222の正面図、図11(B)はヘッドアッセンブリ222の側面図、図11(C)はヘッドアッセンブリ222の背面図を示す。
【0041】
本実施例の口唇力測定装置200は、測定ユニット211、ケーブル212、出力装置213、処理装置214から構成されている。
【0042】
本実施例の測定ユニット211は、8本の測定用チューブ221、ヘッドアッセンブリ222から構成されている。
【0043】
8本の測定用チューブ221は、例えば、シリコン樹脂などからなる外径6mm、内径4mmの管体であり、ヘッドアッセンブリ222から被験者方向に突出して設けられ、先端はチューブプラグ231により閉蓋され、内部ホルダ232及び外部ホルダ233により保持され、ヘッドアッセンブリ222のケース241のフロントパネル241aにネジ241bにより固定されている。なお、外部ホルダ233は、上部ホルダ233a、下部ホルダ233bから構成されており、上部ホルダ233aと下部ホルダ233bは、ネジ233cによりネジ留めされている。
【0044】
ヘッドアッセンブリ222は、金属製のケース241内部に円環状に成形されたチューブ接続板242、基板243を内蔵した構成とされており、アーム223を介してスタンド224に保持されている。なお、チューブ接続板242、基板243をケース241に内蔵することにより、外部環境、例えば、周囲温度、気圧などの急激な変化の影響を減少させることができる。
【0045】
アーム223は、一端にヘッドアッセンブリ222を回転自在に保持し、他端がスタンド224に回転自在の保持されている。アーム223及びスタンド224によって、ヘッドアッセンブリ222は、所望の高さ及び角度に調整可能となる。
【0046】
なお、8本の測定用チューブ221は、それぞれ他端がヘッドアッセンブリ222のケース241内部に導入されて、円環状とされたチューブ接続板242、基板243の中心孔hを貫通した後、チューブ接続板242に搭載された三方活栓バルブ251に接続される。三方活栓バルブ251は、レバーを操作することによって、測定チューブ221を測定用チューブ221の内圧を大気圧にリセットするために用いられる。
【0047】
三方活栓バルブ251は、それぞれ接続用チューブ252を介して基板243に搭載された圧力センサ261に接続される。8つの圧力センサ261には、それぞれ、測定用チューブ221が接続される。圧力センサ261は、それぞれ、測定用チューブ221の内圧を測定する。圧力センサ261で検出された測定用チューブ221の内圧に応じた信号は、基板243に搭載されたインタフェース回路262を介してコネクタ263に接続される。
【0048】
コネクタ263は、ケーブル212を介して出力装置213に接続される。出力装置213は、スタンド224に設けられており、コネクタ263から供給される8本の測定用チューブ221の内圧に応じたデータを処理装置214に供給する。
【0049】
処理装置214は、コンピュータシステムから構成されており、出力装置213から供給されるデータに基づいて8方向の口唇力の波形を作成し、表示装置に表示する。
【0050】
次に本実施例の口唇力測定動作について説明する。
【0051】
被験者は、8本の測定チューブ221のヘッドアッセンブリ222から突出した部分を咥える。被験者の口唇の運動により測定用チューブ221がつぶれると、測定用チューブ221の内圧が変化する。
【0052】
測定用チューブ221の内圧が変化すると、圧力センサ261の出力は、測定用チューブ221の内圧に応じた信号となる。圧力センサ261の出力は、出力装置213を通して処理装置214に供給され、処理装置214の表示装置に図5,図6に示すような画面が表示される。
【0053】
なお、本実施例では、測定用チューブ221の内部を気体としたが、水、オイルなど液体を充填するようにしてもよい。測定用チューブ221の内部に水、オイルなどの液体で充填することにより測定感度を向上させることができる。
【0054】
なお、上記第1、第2実施例では、口唇力を8方向から検出する構造としているが、測定子、測定用チューブの数を増加させることにより、さらに、詳細に口唇の運動を解析することが可能となる。
【0055】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形例が考えられることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施例の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例のブロック構成図である。
【図3】本発明の第1実施例の要部の側面図である。
【図4】口唇力測定装置100の使用方法を説明するための図である。
【図5】処理装置115による表示画面の一例を示す図である。
【図6】処理装置115による表示画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例の斜視図である。
【図8】本発明の第2実施例のブロック構成図である。
【図9】本発明の第2実施例の要部の構成図である。
【図10】本発明の第2実施例の要部の構成図である。
【図11】本発明の第2実施例の要部の構成図である。
【符号の説明】
【0057】
100、200 口唇力測定装置
111 測定部、112 増幅部、113 ケーブル、114 出力装置
115 処理装置、116 スタンド、117 固定ホルダ、118 アーム
119 昇降ホルダ
121 測定子、122 測定子ホルダ、123 測定子カバー、124 検出素子
131 変換回路、132 アンプ
151 電源部、152 AD変換部、153 インタフェース部
154 アナログ端子
211 測定ユニット、212 ケーブル、213 出力装置、214 処理装置
221 測定用チューブ、222 ヘッドアッセンブリ、223 アーム
224 スタンド
231 チューブプラグ、232 ホルダ、233 外部ホルダ
241 ケース、242 チューブ接続板、243 基板
251 三方活栓バルブ、252 接続用チューブ
261 圧力センサ、262 インタフェース回路、263 コネクタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図8】
5
【図9】
6
【図10】
7
【図11】
8
【図3】
9
【図4】
10