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明細書 :コグニティブ無線通信システム、通信方法、および通信機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5115852号 (P5115852)
公開番号 特開2009-267995 (P2009-267995A)
登録日 平成24年10月26日(2012.10.26)
発行日 平成25年1月9日(2013.1.9)
公開日 平成21年11月12日(2009.11.12)
発明の名称または考案の名称 コグニティブ無線通信システム、通信方法、および通信機器
国際特許分類 H04W  72/04        (2009.01)
H04W  72/08        (2009.01)
H04W  16/14        (2009.01)
FI H04Q 7/00 556
H04Q 7/00 555
H04Q 7/00 210
請求項の数または発明の数 19
全頁数 23
出願番号 特願2008-117900 (P2008-117900)
出願日 平成20年4月28日(2008.4.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 研究集会名:社団法人電子情報通信学会 東京支部学生研究発表会(第13回) 主催者名 :社団法人電子情報通信学会 開催日 :平成20年3月1日
特許法第30条第1項適用 研究集会名:2007年度 電子情報工学講座卒業研究発表会 主催者名 :国立大学法人 電気通信大学 開催日 :平成20年2月12日
審査請求日 平成23年4月25日(2011.4.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
発明者または考案者 【氏名】藤井 威生
【氏名】田中 総一
個別代理人の代理人 【識別番号】100102864、【弁理士】、【氏名又は名称】工藤 実
【識別番号】100117617、【弁理士】、【氏名又は名称】中尾 圭策
審査官 【審査官】阿部 圭子
参考文献・文献 特開2008-005307(JP,A)
特開2003-199159(JP,A)
特開2008-022146(JP,A)
特開2008-078807(JP,A)
調査した分野 H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
プライマリシステムによる通信で使用される周波数帯域を使用してセカンダリシステムによる通信が可能な複数の通信機器を備え、
複数の通信機器の各々は、
複数の無線チャネルのうちから選択する選択無線チャネルのチャネル利用率を算出する利用率算出手段と、
前記チャネル利用率に基づいて、前記選択無線チャネルにおいて通信を行うことが可能であるかを判定するための通信許可確率を算出する確率算出手段と、
前記セカンダリシステムによる通信において、送信するべき送信データを入力すると、前記通信許可確率に基づいて前記送信データを送信するか否かを判定し、前記送信データを送信すると判定した時に前記送信データを送信する通信制御手段と
を具備し、
前記通信制御手段は、前記送信データを送信すると判定した時に、前記選択無線チャネルにおいて前記プライマリシステムが通信を行っている場合には、前記プライマリシステムの通信が完了した後に前記送信データを送信する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記通信制御手段は、前記送信データを送信しないと判定した時は、前記プライマリシステムが通信を開始することが可能な時間を待機してから、再度、前記通信許可確率に基づいて前記送信データを送信するか否かを判定する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記利用率算出手段は、予め定められた一定時間に前記プライマリシステムが通信を行う時間の割合に基づいて、前記チャネル利用率を算出する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記各通信機器は、判別手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記選択無線チャネルにおける通信が前記プライマリシステムによるものであるのか、他の前記通信機器による前記セカンダリシステムによるものであるのかを判別する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記利用率算出手段は、予め定められた一定時間に前記プライマリシステムによる通信が行われる時間の割合に基づいて、前記チャネル利用率を算出する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記利用率算出手段は、前記選択無線チャネルにおいて、前記一定時間おける他の前記通信機器のトラヒックを測定し、
前記確率算出手段は、前記チャネル利用率と、前記一定時間おける他の前記通信機器のトラヒックに基づいて、前記通信許可確率を算出する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項7】
請求項6に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記確率算出手段は、前記通信許可確率をP、前記チャネル利用率をOp、マージンをM、前記他通信機器のトラヒックをλs、調整係数をαとして、
【数1】
JP0005115852B2_000005t.gif
に基づいて、前記通信許可確率を算出する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項8】
請求項1に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記各通信機器は、タイマー手段をさらに備え、前記タイマー手段は、前記チャネル利用率に基づいて、前記一定時間において前記プライマリシステムが通信を行うプライマリ通信時間と、前記各通信機器が通信を行うセカンダリ通信時間とを設定して、
前記通信制御手段は、前記送信データを前記セカンダリ通信時間に送信する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項9】
請求項8に記載のコグニティブ無線通信システムであって、
前記利用確率算出手段は、前記チャネル利用率を定期的に算出し、
前記タイマー手段は、前記チャネル利用率に基づいて、前記一定時間における前記プライマリ通信時間と前記セカンダリ通信時間を動的に変更する
コグニティブ無線通信システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれかに記載のコグニティブ無線通信システムで使用される通信機器。
【請求項11】
プライマリシステムによる通信のために使用される複数の無線チャネルのうちからセカンダリシステムの通信のために選択される選択無線チャネルのチャネル利用率を算出するステップと、
前記チャネル利用率に基づいて前記選択無線チャネルにおいて前記セカンダリシステムによる通信を行うことが可能であるかを判定するための通信許可確率を算出するステップと、
前記セカンダリシステムによる通信において、送信するべき送信データを入力するステップと、
前記通信許可確率に基づいて前記送信データを送信するか否かを判定するステップと、
前記送信データを送信すると判定した時に前記セカンダリシステムによる通信において前記送信データを送信するステップと、
を備え、
前記送信するステップは、
前記送信データを送信すると判定した時に、前記選択無線チャネルにおいて前記プリマリシステムが通信を行っている場合には、前記プライマリシステムの通信が完了した後に前記セカンダリシステムによる通信により前記送信データを送信するステップと
を含むコグニティブ無線通信方法。
【請求項12】
請求項11に記載のコグニティブ無線通信方法であって、
前記送信データを送信しないと判定する時に、前記プライマリシステムが通信を開始することが可能な時間を待機するステップと、
再度前記通信許可確率に基づいて前記送信データを送信するか否かを判定するステップと
をさらに備えるコグニティブ無線通信方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のコグニティブ無線通信方法であって、
前記チャネル利用率を算出するステップは、
予め定められた一定時間に前記プライマリシステムが通信を行う時間の割合に基づいて前記チャネル利用率を算出するステップ
を含むコグニティブ無線通信方法。
【請求項14】
請求項13に記載のコグニティブ無線通信方法であって、
記選択無線チャネルにおける通信が前記プライマリシステムによるものであるのか、他の前記通信機器による前記セカンダリシステムによるものであるのかを判別するステップ
をさらに備えるコグニティブ無線通信方法。
【請求項15】
請求項14に記載のコグニティブ無線通信方法であって、
前記チャネル利用率を算出する
予め定められた一定時間に前記プライマリシステムが通信を行う時間の割合に基づいて、前記チャネル利用率を算出するステップ
を含むコグニティブ無線通信方法。
【請求項16】
請求項15に記載のコグニティブ無線通信方法であって、
前記選択無線チャネルにおいて、前記一定時間おける他の前記通信機器のトラヒックを測定するステップをさらに備え、
前記通信許可確率を算出するステップは、
前記チャネル利用率と、前記一定時間おける他の前記通信機器のトラヒックに基づいて、前記通信許可確率を算出するステップ
を含むコグニティブ無線通信方法。
【請求項17】
請求項16に記載のコグニティブ無線通信方法であって、前記他の前記通信機器のトラヒックに基づいて、前記通信許可確率を算出するステップは、
前記通信許可確率をP、前記チャネル利用率をOp、マージンをM、前記他通信機器のトラヒックをλs、調整係数をαとして、
【数2】
JP0005115852B2_000006t.gif
に基づいて、前記通信許可確率を算出するステップ
を含むコグニティブ無線通信方法。
【請求項18】
請求項11に記載のコグニティブ無線通信方法であって、
前記チャネル利用率に基づいて、前記一定時間において前記プライマリシステムが通信を行うプライマリ通信時間と、前記各通信機器が通信を行うセカンダリ通信時間とを設定するステップと、
前記送信データを前記セカンダリ通信時間に送信するステップと
をさらに備えるコグニティブ無線通信方法。
【請求項19】
請求項18に記載のコグニティブ無線通信方法であって、
前記チャネル利用率を定期的に算出するステップと、
前記チャネル利用率に基づいて、前記一定時間における前記プライマリ通信時間と前記セカンダリ通信時間を動的に変更するステップと
をさらに備えるコグニティブ無線通信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コグニティブ無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コグニティブ無線通信システムは、既存無線システムが通信を行う周波数帯域において、既存無線システムの通信が行われていないことを検知して、当該周波数帯域を使用して通信を行う。コグニティブ無線通信システムは、有限の資源である周波数帯域を、周波数的、空間的、時間的に複数のシステムで効率良く利用することが可能になるとして注目されている。コグニティブ無線通信システムでは、既存システムが使用する周波数帯域を利用するため、通信を行う際に既存システムへの干渉などの影響をいかに低減するかが重要となる。コグニティブ無線通信システムについては、以下のような関連技術が開示されている。
【0003】
特許文献1は、他の無線端末にライセンスされた周波数帯を含む複数の周波数帯を用いたデータ送信において、ライセンスされた無線端末への干渉を小さくするとともに、高品質なデータ送信を行うことを可能にする無線端末を開示している。特許文献1の無線端末は、他の無線端末にライセンスされた周波数帯を含む複数の周波数帯を用いてデータ送信を行う無線端末であって、周波数帯ごとに無線信号を検出する検出手段と、検出された無線信号を変調解析して無線信号がライセンスされた無線端末からの無線信号であるか否かを判定する手段と、判定結果に基づいて、データ送信に使用する複数の周波数帯を選択する選択手段と、前記選択された複数の周波数帯を使用した間欠的なデータ送信のスケジュールを生成するスケジュール生成手段と、間欠的なデータ送信のためのデータを生成するデータ生成手段と、生成されたデータをスケジュールにしたがって送信するデータ送信手段と、間欠的なデータ送信ごとに、データ送信を行う前にデータ送信を行う周波数帯をキャリアセンスするキャリアセンス手段と、キャリアセンスの結果、ある周波数帯においてライセンスされた無線端末からの無線信号が検出された場合に、少なくともその周波数帯を用いたデータ送信を停止する制御手段とを備える。
【0004】
特許文献1では、コグニティブ無線通信システムの無線端末が、複数の周波数帯において既存システムの周波数利用率を算出して、周波数利用率の低い周波数帯を複数選択し通信を行う。特許文献1の無線端末は、選択した複数の各周波数帯におけるデータ送信タイミングを調整することにより、既存システムへの干渉を抑えつつ、データ送信品質の低下を抑えている。特許文献1の無線端末は、選択した各周波数帯において、データ送信前に一定時間のキャリアセンスを行うことによって、当該周波数帯域の空き状況を確認しデータ送信を行う。また、コグニティブ無線通信システム側の無線端末がデータ送信中に、既存システムのデータ送信が開始された場合には、これを検知して当該周波数帯での通信を取りやめ、他の選択された周波数帯においてデータ送信を継続する。つまり、特許文献1の技術では、選択された各周波数帯において、既存システムとの干渉を回避する解決策とはなっていない。

【特許文献1】特開2007-053546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、既存システムの使用する無線チャネルにおいて、既存システムが行う通信を保護しつつ、通信を行うことが可能なコグニティブ無線通信システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコグニティブ無線通信システムは、複数の通信機器を備え、複数の通信機器の各々は、複数の無線チャネルのうちから選択する選択無線チャネルのチャネル利用率を算出する利用率算出手段と、チャネル利用率に基づいて、選択無線チャネルにおいて通信を行うことが可能であるかを判定するための通信許可確率を算出する確率算出手段と、送信するべき送信データを入力すると、通信許可確率に基づいて送信データを送信するか否かを判定し、送信データを送信すると判定した時に送信データを送信する通信制御手段とを具備し、通信制御手段は、送信データを送信すると判定した時に、選択無線チャネルにおいて他システムが通信を行っている場合には、他システムの通信が完了した後に送信データを送信する。
【0007】
本発明の通信機器は、上記コグニティブ無線通信システムで使用される。
【0008】
本発明のコグニティブ無線通信方法は、複数の無線チャネルのうちから選択する選択無線チャネルのチャネル利用率を算出するステップと、チャネル利用率に基づいて選択無線チャネルにおいて通信を行うことが可能であるかを判定するための通信許可確率を算出するステップと、送信するべき送信データを入力するステップと、通信許可確率に基づいて送信データを送信するか否かを判定するステップと、送信データを送信すると判定した時に送信データを送信するステップとを備え、送信するステップは、送信データを送信すると判定した時に、選択無線チャネルにおいて他システムが通信を行っている場合には、他システムの通信が完了した後に送信データを送信するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、既存システムの使用する無線チャネルにおいて、既存システムが行う通信を保護しつつ、通信を行うことが可能なコグニティブ無線通信システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の実施形態によるコグニティブ無線通信システムを実施するための最良の形態を以下に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
初めに、第1実施形態の説明を行う。本実施形態において、既存システム(以下、プライマリシステム)は、無線LAN(Local Area Network)システムであるとして説明を行う。プライマリシステムは、IEEE802.11の規格に準じて通信を行う。ここでは、代表的な規格としてIEEE802.11bを考えるが、他の規格での動作もほぼ同じである。すなわち、プライマリシステムは、2.4GHz帯の周波数帯に設定された14の周波数帯域(以下、無線チャネル)のうちから、一つの無線チャネルを選択して通信を行う。本実施形態において、本発明のコグニティブ無線通信システム(以下、セカンダリシステム)は、当該14の無線チャネルから、プライマリシステムの無線チャネル利用率(以下、チャネル利用率)が低いチャネルを選択して、当該選択したチャネル(以下、選択無線チャネル)において通信を行う。また、セカンダリシステムは、選択無線チャネルにおいて、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいて、通信許可確率を算出する。セカンダリシステムは、通信許可確率に基づいて、送信データを送信するか否かを判定する。セカンダリシステムは、通信許可確率に基づいて、データ送信権を獲得した時にのみ、送信データを送信する。セカンダリシステムは、プライマリシステムが選択無線チャネルにおいて通信を行っている時に、データ送信権を獲得した場合、プライマリシステムの通信が完了した後にデータ送信を開始する。このように構成することで、プライマリシステムは、セカンダリシステムに優先権がある時は送信を控える必要があるものの、プライマリシステムの行う通信機会をその利用率に基づいて確保することで、セカンダリシステムが、プライマリシステムの通信機会を奪うことを防ぐことができる。以下、さらに詳細に説明を行う。
【0012】
[構成の説明]
まず、本実施形態のセカンダリシステムにおいて使用されるコグニティブ無線端末(以下、セカンダリ端末)の構成の説明を行う。本実施形態のセカンダリシステムは、複数のセカンダリ端末100によって構成される。図1は、本実施形態のセカンダリ端末100の構成を示している。本実施形態のセカンダリ端末100は、無線部110と、記憶部120と、制御部130を備える。
【0013】
まず無線部110について説明を行う。無線部110は、無線通信用のアンテナ等で構成される。無線部110は、受信無線信号を復調して制御部130へ出力する。また、無線部110は、制御部130からの送信データを変調して、アンテナから送信無線信号として送信する。
【0014】
次に、記憶部120について説明を行う。記憶部120は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成される。記憶部120は、セカンダリ端末100の機能を実現するために必要な処理用プログラムやデータを保存している。また、記憶部120は、利用率算出手段133が算出する無線チャネル毎のチャネル利用率を記録する。記憶部120は、複数の無線チャネル毎に、各チャネルのチャネル利用率を対応させて記録している。
【0015】
次に、制御部130について説明を行う。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)等で構成される。制御部130は、記憶部120の処理用プログラムを読み込んで実行することで、セカンダリ無線端末100の機能を実現する。また、制御部130は、さらにキャリアセンス手段131と、タイマー部132と、利用率算出手段133と、通信許可確率算出手段(以下、確率算出手段)134と、通信制御手段135とを備える。
【0016】
まず、キャリアセンス手段131は、無線部110から入力する受信無線信号に基づいて、各無線チャネル及び選択無線チャネルのキャリアセンスを行う。本実施形態においてセカンダリ端末100は、プライマリシステムの使用する14の無線チャネルのうちから、チャネル利用率の低い無線チャネルを選択無線チャネルとして選択する。また、本実施形態においてセカンダリ端末100は、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいて、通信許可確率を算出する。キャリアセンス手段131は、チャネル利用率の算出に用いるために、各無線チャネル及び選択無線チャネルにおいてキャリアセンスを行う。なお、この場合にキャリアセンス手段131は、実際の通信を行う際のキャリアセンスにおける受信電力の閾値より低めに設定を行う場合がある。チャネル利用率は、セカンダリ端末100が通信を行うか否かを判定に用いられる。そのため、キャリアセンス手段131は、プライマリシステムを含む他の無線システムに対する干渉を考慮し、通常のキャリアセンスより低い閾値設定によってキャリアセンスを行っても良い。また、キャリアセンス手段131は、セカンダリ端末100が選択無線チャネルにおいて通信を行うために、通信制御手段135からのキャリアセンス実行命令に基づいて、キャリアセンスを行う。この場合のキャリアセンスは、通常の無線通信において行われるキャリアセンスと同様である。
【0017】
次に、タイマー手段132は、時間を測定する。タイマー手段132は、利用率算出手段133がチャネル利用率を算出するための一定時間を測定する。チャネル利用率は、一定時間に無線チャネルあるいは選択無線チャネルが他のシステムによって使用されている時間の割合で求められる。なお、タイマー手段132は、プライマリシステムのアクセスポイントが定期的に送信するビーコンの受信間隔を一定時間として検出しても良い。
また、タイマー手段132は、通信制御手段135がデータを送出するタイミングを測定する。本実施形態において、プライマリシステムは、IEEE802.11の規格に準じて通信を行う。IEEE802.11では、自律分散制御を行うためにCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access Collision Avoidance)方式を採用している。タイマー手段132は、CSMA/CAによる通信制御における、IFS(Inter Frame Space)の測定を行い、また、CW(Contention Window)範囲内で乱数に基づくバックオフ時間を設定し、当該バックオフ時間の測定を行う。
【0018】
次に、利用率算出手段133は、各無線チャネルにおける他システムによるチャネル利用率を算出する。利用率算出手段133は、タイマー手段132の測定する一定時間と、特定の無線チャネルでキャリアセンス手段131の行うキャリアセンスにおいて受信電力が一定の閾値を超えている時間とに基づいて、チャネル利用率を算出する。つまり、チャネル利用率は、特定の無線チャネルの一定時間において、他システムが当該無線チャネルを占有している時間の割合である。例えば、一定時間をプライマリシステムによるビーコン間隔として、他システムによる通信時間をプライマリシステムの通信時間とすると、利用率算出手段133は、
【数1】
JP0005115852B2_000002t.gif
に基づいて、チャネル利用率を算出する。ただし、ビーコン間隔は一例であり、セカンダリ端末100が決める一定時間であれば他のものでも良い。
【0019】
次に、確率算出手段134は、通信許可確率を算出する。通信許可確率は、送信データの送信を行うか否かの判定基準となる。本実施形態において、通信制御手段135は、送信データが発生すると、通信許可確率に基づいてデータ送信権を獲得するか否かを判定する。通信制御手段135は、データ送信権を取得した時に当該送信データを送信する。
また、本実施形態では、選択無線チャネルで通信を行う他システムの通信を保護しつつ、セカンダリシステムの通信を行う。チャネル利用率は、一定時間において他システムが当該無線チャネルを占有している時間の割合である。つまり、チャネル利用率が高い程、他システムが、一定時間において選択無線チャネルを使用していない時間が少なくなる。一方、チャネル利用率が低い程、他システムが、一定時間において選択無線チャネルを使用していない時間が多くなる。そのため、セカンダリシステムは、選択無線チャネルのチャネル利用率が低い程、選択無線チャネルにおいて通信を行える確率が高くなる。一方、セカンダリシステムは、チャネル利用率が高い程、選択無線チャネルにおいて通信を行える確率が低くなる。本実施形態では、この点に着目して、確率算出手段134は、通信許可確率を、チャネル利用率に基づいて算出する。
さらに、確率算出手段134は、通信許可確率を、選択無線チャネルにおけるセカンダリシステムのトラヒックを考慮して算出する。セカンダリシステムのトラヒックは、選択無線チャネルにおけるセカンダリシステムのトラヒック量である。セカンダリシステムは、選択無線チャネルを使用していない時間に通信を行う。そのため、選択無線チャネルにおいて、セカンダリシステムのトラヒックが増加すると、選択無線チャネルを使用していない時間が減少することになる。よって、通信許可確率の算出においては、セカンダリシステムのトラヒックを考慮する必要がある。このように、確率算出手段134は、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいて、あるいは、選択無線チャネルのチャネル利用率及びセカンダリシステムのトラヒックに基づいて、通信許可確率を算出する。
【0020】
次に、通信制御手段135は、無線チャネルの選択と、データパケットの送受信を制御する。通信制御手段135は、上位レイヤから送信データを入力すると、送信処理を行う。また、通信制御手段135は、無線部110から受信無線信号を入力すると、上位レイヤへ受信データを出力する。
通信制御手段135は、利用率算出手段133から各無線チャネルのチャネル利用率を取得する。通信制御手段135は、各無線チャネルのチャネル利用率に基づいて、通信を行う選択無線チャネルを決定する。なお、選択無線チャネルは、送信データの発生と同時に決定を行ってもよいし、あるいは、送信データの無い状態でも予め定めた時間間隔で決定を行ってもよい。
通信制御手段135は、通信許可確率に基づいて選択無線チャネルにおいてデータ送信権を取得するか否かを判定する。通信制御手段135は、チャネル利用率に基づく通信許可確率の算出を、確率算出手段134へ命令する。また、通信制御手段135は、データ送信権の取得可否判断において、「0」から「1」までの乱数を発生する。通信制御手段135は、発生した乱数の値と、確率算出手段134から入力する通信許可確率との大小関係によって、データ送信権を獲得するか否かを判定する。通信制御手段135は、乱数の値が通信許可確率以下である場合、データ送信権を取得すると判定する。一方、通信制御手段135は、乱数の値が通信許可確率より大きい場合、データ送信権を取得しないと判定する。通信制御手段135は、送信データが発生すると、データ送信権の取得するか否かを判定を行う。
通信制御手段135は、送信データに対するデータ送信権を取得した場合には、無線部110を介して送信パケットを送信する。通信制御手段135は、選択無線チャネルにおいて、他システムが通信を行っている時に、データ送信権を獲得した場合には、他システムの通信が完了後にデータ送信を行う。
【0021】
図2及び図3を用いて、本実施形態のセカンダリシステムのデータ送信動作を説明する。図2及び図3において、プライマリシステムは、前述のとおり無線LANシステムである。図2及び図3において、AP(Primary)は、プライマリシステムのアクセスポイントであり、STA(Primary)は、プライマリシステムの通信端末である。また、AP(Secondary)は、セカンダリシステムのアクセスポイントであり、STA(Secondary)は、セカンダリシステムの通信端末である。なお、本説明において、セカンダリシステムは、無線LANのインフラストラクチャモードに準じた通信を行っている。AP(Secondary)及びSTA(Secondary)は、前述のセカンダリ端末100の構成を備えている。以下、AP(Primary)をプライマリAP、STA(Primary)をプライマリSTA、AP(Secondary)をセカンダリAP、及びSTA(Secondary)をセカンダリSTAと呼ぶ。
【0022】
まず、図2は、プライマリシステムが通信中に、セカンダリシステムに送信データが発生し、セカンダリSTAがデータ送信権を取得した場合のタイムチャートを示している。
初めに、プライマリAPは、報知情報であるビーコン(Beacon)を送信する。送信データを有するプライマリSTAは、ビーコンを受信すると、無線LANの自律分散アクセス制御プロトコルにしたがい、乱数を発生してCW(Contention Window)範囲内でバックオフ(Backoff)時間を決定する。プライマリSTAは、優先権の低いIFS(Inter Frame Space)時間であるDIFSに算出されたバックオフ時間を加えた時間を、キャリアセンスを行いながら待機する。無線LANの自律分散アクセス制御プロトコルでは、プライマリシステムに参加する他の通信端末も同様に、ビーコンを受信した後、それぞれが乱数を発生してバックオフ時間を算出し、DIFS時間にバックオフ時間を加えた時間を、キャリアセンスを行いながら待機する。プライマリSTAは、DIFS時間にバックオフ時間を加えた時間待機した時点で、当該無線チャネルでキャリアを検知しない場合は、当該無線チャネルは使用可能(空いている)と判断を行って送信データの送信を開始する。一方、プライマリSTAは、DIFS時間にバックオフ時間を加えた時間を待機中に、当該無線チャネルでキャリアを検知した場合には、当該通信が完了後に再び同様の方法により待機を行う。
本説明において、プライマリSTAは、待機時間中にキャリアを検出せず送信データの送信を開始するものとする。プライマリSTAが送信データの送信を完了すると、プライマリAPは、最も待機時間が短く優先度の高いIFSであるSIFS時間待機して、受信応答(ACK)を送信する。プライマリSTAの送信データの送信完了から受信応答までは、SIFS時間しかないため、他の通信端末はデータ送信を行えないことになる。プライマリSTAを含むプライマリシステムの各通信端末は、プライマリAPからの受信応答を受信すると、プライマリSTAのデータ送信が完了したことを検知する。
【0023】
ここで、プライマリシステムの通信中に、セカンダリシステムのセカンダリSTAへ、送信データが発生する。セカンダリSTAは、当該無線チャネルが使用中であることを検知すると、当該無線チャネルのチャネル利用率に基づいて通信許可確率を算出する。セカンダリSTAは、通信許可確率に基づいてデータ送信権を取得するか否かを判定する。セカンダリSTAは、判定の結果、データ送信権を取得する。セカンダリSTAは、データ送信権を取得すると、プライマリシステムの通信が完了するまで待機する。セカンダリSTAは、プライマリシステムの通信が完了したことを検知すると、優先度の高いSIFSと、優先度の低いDIFSの中間のIFS時間であるPIFS時間の待機を行って送信データの送信を開始する。セカンダリSTAが送信データの送信を完了すると、セカンダリAPは、SIFS時間待機して受信応答を送信する。セカンダリSTAは、セカンダリAPからの受信応答を受信して通信を完了する。
【0024】
このように、セカンダリ端末100であるセカンダリSTAは、プライマリシステムが通信中にデータ送信権を取得するか否かを判定する。この判定動作は、セカンダリSTAにおいて自律的に行われるため、プライマリシステムの通信には影響を与えない。また、セカンダリSTAは、データ送信権を取得した場合には、プライマリシステムの通信が完了した後、PIFS時間待機の後、送信データの送信を行う。プライマリシステムの通信端末は、少なくともDIFS時間待機を行ってから通信を開始するため、プライマリシステムの通信端末は、キャリアセンスにおいて、当該無線チャネルは使用中であると判定し、セカンダリSTAの通信と衝突が発生することがない。また、データ送信権は、当該無線チャネルのチャネル利用率に基づく通信許可確率によって判定されるため、少なくとも、一定時間間隔におけるプライマリシステムの通信時間は確保された上で、セカンダリシステムの通信が行われることになる。
【0025】
なお、セカンダリSTAは、PIFS時間の待機を行っているが、これはPIFS時間に限定しない。セカンダリSTAの待機時間は、最も優先度の高いSIFS時間とプライマリシステムのデータ送信に使われるDIFS時間の間であれば具体的な数値は限定しない。PIFS時間は、無線LANシステムにおいて、プライマリAPからポーリングを行う際の待機時間等に使用されている。プライマリシステムのポーリングの開始を保護する必要がある場合には、セカンダリシステムはPIFS時間とDIFS時間の間のIFS時間を採用すればよく、一方、プライマリシステムのポーリング開始を遅らせてもよいシステムを作るには、セカンダリシステムは、SIFS時間とPIFS時間の間のIFSを採用すればよい。また、これは、本実施形態において、無線LANを例にして説明を行っているためであり、プライマリシステムが、他の無線プロトコルよって通信を行う場合には、同様にプライマリシステムの通信が完了してから、他のプライマリシステムに属する通信端末が通信を開始するよりも早い時間に設定すればよいことは容易に理解できる。
【0026】
次に、図3は、プライマリシステムが通信中に、セカンダリシステムに送信データが発生し、セカンダリSTAがデータ送信権を取得しない場合のタイムチャートを示している。なお、プライマリシステムが通信を完了するまでの動作は、前述のとおりであるので説明を省略する。
【0027】
ここで、プライマリシステムの通信中に、セカンダリシステムのセカンダリSTAへ、送信データが発生する。セカンダリSTAは、当該無線チャネルが使用中であることを検知すると、当該無線チャネルのチャネル利用率に基づいて、通信許可確率を算出する。セカンダリSTAは、通信許可確率に基づいてデータ送信権を取得するか否かを判定する。セカンダリSTAは、判定の結果、データ送信権を取得できない。セカンダリSTAは、データ送信権を取得できない場合、プライマリシステムの通信が完了するまで待機する。セカンダリSTAは、プライマリシステムの通信が完了したことを検知すると、最大バックオフ時間の待機を行う。セカンダリSTAは、最大バックオフ時間の待機の後、再度、当該無線チャネルが使用中であるかを確認し、通信許可確率を算出してデータ送信権を取得するか否かの判定を行う。
【0028】
このように、セカンダリ端末100であるセカンダリSTAは、プライマリシステムが通信中にデータ送信権を取得するか否かを判定する。この判定動作は、セカンダリSTAにおいて自律的に行われるため、プライマリシステムの通信には影響を与えない。また、セカンダリSTAは、プライマリシステムの通信が完了してから最大バックオフ時間の待機を行う。このように、セカンダリSTAは、最大バックオフ時間の待機を行うことで、プライマリシステムの通信に優先時間を確保する。
【0029】
なお、図には示さないが、当該無線キャリアが使用されていない時に、セカンダリSTAに送信データが発生した場合、セカンダリSTAは、当該無線チャネルのチャネル利用率に基づいて、通信許可確率を算出する。セカンダリSTAは、通信許可確率に基づいてデータ送信権を取得するか否かを判定する。セカンダリSTAは、判定の結果、データ送信権を取得すると、PIFS時間の待機を行って送信データの送信を開始する。
一方、セカンダリSTAは、判定の結果、データ送信権を取得しないと、最大バックオフ時間の待機を行う。セカンダリSTAは、最大バックオフ時間の待機の後、再度、当該無線チャネルが使用中であるかを確認し、通信許可確率を算出してデータ送信権を取得するか否かの判定を行う。このように、セカンダリSTAは、プライマリシステムが通信を開始することが可能な時間を待機してから、再度、通信許可確率に基づいて、データ想新権を取得するか否かの判定を行う。
【0030】
以上が、本実施形態の構成の説明である。
【0031】
[動作方法の説明]
続いて、図4、図5A、および図5Bを用いて、本実施形態の動作方法の説明を行う。
【0032】
まず、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する動作方法の説明を行う。図4は、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する動作フローを示している。
【0033】
(ステップS10)
キャリアセンス手段131は、複数の無線チャネルにおいて、他のシステムが通信を行うことによる占有時間を測定する。利用率算出手段133は、キャリアセンス手段131へ、キャリアセンス実行命令を送信する。キャリアセンス手段131は、キャリアセンス実行命令を入力すると、各無線チャネルにおいてキャリアセンスを実行する。本実施形態においてセカンダリ端末100は、2.4GHz帯に設定された14の無線チャネルのうちから、選択無線チャネルを決定する。キャリアセンス手段131は、14の無線チャネルの全てに対してキャリアセンスを行う。タイマー手段132は、予め定められた一定時間を測定している。タイマー手段132は、一定時間経過毎に、キャリアセンス手段131へ通知する。キャリアセンス手段131は、タイマー手段132から一定時間毎に通知を受けるとキャリアセンスを行う無線チャネルを切替える。キャリアセンス手段131は、各無線チャネルにおけるキャリアセンスの結果を利用率算出手段133へ出力する。なお、タイマー手段132は、一定時間を測定するのに変えて、無線部110からの受信無線信号からプライマリシステムで送信されるビーコンを検知して、ビーコンを受信するごとにキャリアセンス手段131へ通知する動作方法としても良い。この場合、ビーコンを受信する間隔が、一定時間となる。
【0034】
(ステップS20)
利用率算出手段133は、無線チャネル毎のチャネル利用率を算出する。利用率算出手段133は、キャリアセンス手段131から各無線チャネル毎のキャリアセンス結果を入力する。利用率算出手段133は、各無線チャネルにおいて、一定時間毎に受信電力が一定の閾値以上となっている時間に基づいて、当該無線チャネルのチャネル利用率を算出する。利用率算出手段133は、算出した各無線チャネル毎のチャネル利用率を、記憶部120へ記録する。また、利用率算出手段133は、再度、同じ無線チャネルのチャネル利用率を算出した場合、記憶部120の当該無線チャネルのチャネル利用率を更新して記録する。
【0035】
(ステップS30)
通信制御手段135は、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する。通信制御手段135は、記憶部120が記録している各無線チャネル毎のチャネル利用率を取得する。通信制御手段135は、各無線チャネルのうちから、最もチャネル利用率が低い無線チャネルを、選択無線チャネルとして決定する。なお、通信制御手段135は、各無線チャネルの利用率が更新される度に、あるいは、予め定めた時間毎に、各無線チャネルの利用率の比較を行って、最もチャネル利用率が低い無線チャネルへ、選択無線チャネルを変更してもよい。
【0036】
以上が、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する動作方法の説明である。
【0037】
次に、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作方法の説明を行う。図5Aおよび図5Bは、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作フローを示している。なお、セカンダリ端末100は、前述した選択無線チャネルの決定は完了しているものとする。
【0038】
(ステップS100)
セカンダリ端末100の通信制御手段135は、上位レイヤから送信データを入力する。
【0039】
(ステップS110)
通信制御手段135は、他システムが選択無線チャネルにおいて通信中であるかを確認する。通信制御手段135は、キャリアセンス手段131へ選択無線チャネルのキャリアセンス実行命令を出力する。キャリアセンス手段131は、通信制御手段135から、キャリアセンス実行命令を入力すると、選択無線チャネルのキャリアセンスを実行する。キャリアセンス手段131は、選択無線チャネルにおいてキャリアを検出した場合、通信制御手段135へ、他システムが選択無線チャネルを使用中である旨のキャリアセンス結果を出力する。他システムが選択無線チャネルを使用中である場合には、ステップS120へ進む。一方、キャリアセンス手段131は、選択無線チャネルにおいてキャリアを検出しない場合、通信制御手段135へ、選択無線チャネルは使用されていない旨のキャリアセンス結果を出力する。選択無線チャネルが使用されていない場合には、ステップS160へ進む。
【0040】
(ステップS120)
通信制御手段135は、通信許可確率を算出する。通信制御手段135は、他システムが選択無線チャネルを使用中である旨のキャリアセンス結果を入力する。通信制御手段135は、確率算出手段134へ、選択無線チャネルの通信許可確率の算出命令を出力する。確率算出手段134は、通信制御手段135から通信許可確率の算出命令を入力すると、記憶部120から選択無線チャネルのチャネル利用率を取得する。確率算出手段134は、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいて通信許可確率を算出する。確率算出手段134は、算出した通信許可確率を通信制御手段135へ出力する。
【0041】
(ステップS130)
通信制御手段135は、データ送信権を取得するか否かの判定を行う。通信制御手段135は、確率算出手段134から通信許可確率を入力する。通信制御手段135は、乱数を発生する。通信制御手段135は、発生した乱数と通信許可確率に基づいて、データ送信権を取得するか否かを判定する。通信制御手段135は、乱数が通信許可確率以下の場合には、データ送信権を取得すると判定する。データ送信権を取得する場合は、ステップS140へ進む。一方、通信制御手段135は、乱数が通信許可確率より大きい場合には、データ送信権を取得しないと判定する。データ送信権を取得しない場合は、ステップS150進む。
【0042】
(ステップS140)
通信制御手段135は、データ送信権を取得した場合、他システムの通信完了後にデータ送信を行う。キャリアセンス手段131は、選択無線チャネルにおいて他システムの通信が完了したことを検知する。キャリアセンス手段131は、他システムの通信完了を、通信制御手段135へ通知する。通信制御手段135は、通知を受けて、タイマー手段132へPIFS時間の測定命令を出力する。タイマー手段132は、測定命令に基づいてPIFS時間を測定し、PIFS時間計画すると通信制御部135へ、時間経過通知を出力する。通信制御手段135は、時間経過通知を入力すると、PIFS時間の経過を検知してデータ送信を開始する。
【0043】
(ステップS150)
通信制御手段135は、データ送信権を取得しない場合は、他システムの通信完了後から、最大バックオフ時間を待機する。キャリアセンス手段131は、選択無線チャネルにおいて他のシステムの通信が完了したことを検知する。キャリアセンス手段131は、他システムの通信完了を、通信制御手段135へ通知する。通信制御手段135は、通知を受けて、タイマー手段132へ、最大バックオフ時間の測定命令を出力する。タイマー手段132は、測定命令に基づいて最大バックオフ時間を測定する。タイマー手段132は、最大バックオフ時間の測定が完了すると、通信制御手段135へ時間経過通知を出力する。通信制御手段135は、タイマー手段132から時間経過通知を入力すると最大バックオフ時間が経過したことを検知する。この後、ステップS110へ戻る。
【0044】
(ステップS160)
通信制御手段135は、通信許可確率を算出する。通信制御手段135は、キャリアセンス手段131から、選択無線チャネルは使用されていない旨のキャリアセンス結果を入力する。通信制御手段135は、選択無線チャネルの確率算出命令を、確率算出手段134へ出力する。確率算出手段134は、通信制御手段135から確率算出命令を入力すると、記憶部120から選択無線チャネルのチャネル利用率を取得する。確率算出手段134は、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいて通信許可確率を算出する。確率算出手段134は、算出した通信許可確率を通信制御手段135へ出力する。
【0045】
(ステップS170)
通信制御手段135は、データ送信権を取得するか否かの判定を行う。通信制御手段135は、確率算出手段134から通信許可確率を入力する。通信制御手段135は、乱数を発生する。通信制御手段135は、発生した乱数と通信許可確率に基づいて、データ送信権を取得するか否かを判定する。通信制御手段135は、乱数が通信許可確率以下の場合には、データ送信権を取得すると判定する。データ送信権を取得する場合は、ステップS180へ進む。一方、通信制御手段135は、乱数が通信許可確率より大きい場合には、データ送信権を取得しないと判定する。データ送信権を取得しない場合は、ステップS190進む。
【0046】
(ステップS180)
通信制御手段135は、データ送信権を取得した場合、データ送信を行う。通信制御手段135は、PIFS時間の測定命令を、タイマー手段132へ出力する。タイマー手段132は、測定命令に基づいてPIFS時間を測定し、PIFS時間経過すると通信制御部135へ、時間経過通知を出力する。通信制御手段135は、時間経過通知を入力すると、PIFS時間の経過を検知してデータ送信を行う。
【0047】
(ステップS190)
通信制御手段135は、データ送信権を取得しない場合、最大バックオフ時間を待機する。通信制御手段135は、最大バックオフ時間の測定命令を、タイマー手段132へ出力する。タイマー手段132は、測定命令に基づいて最大バックオフ時間を測定する。タイマー手段132は、最大バックオフ時間の測定が完了すると、通信制御手段135へ時間経過通知を出力する。通信制御手段135は、タイマー手段132から時間経過通知を入力すると最大バックオフ時間が経過したことを検知する。この後、ステップS110へ戻る。
【0048】
以上が、本実施形態における、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作方法の説明である。
【0049】
以上が、第1実施形態の説明である。セカンダリ端末100は、複数の無線チャネルのチャネル利用率を算出し、チャネル利用率の最も低い無線チャネルを選択無線チャネルとして決定する。
また、セカンダリ端末100は、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいて通信許可確率を算出し、通信許可確率を用いてデータ送信権を取得するか否かを判定する。セカンダリ端末100は、データ送信権を取得した場合、送信データを送信する。また、セカンダリ端末100は、プライマリシステムが選択無線チャネルを使用中にデータ送信権を取得した場合、プライマリシステムの通信完了後に送信データを送信する。
このように、構成することによって、セカンダリ端末100は、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいてデータ送信の可否判定を行うことができる。また、セカンダリシステムは、プライマリシステムの通信を保護しつつ、同じ無線チャネルを使用して通信を行うことができる。
【0050】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態の説明を行う。本実施形態において、既存システム(以下、プライマリシステム)は、第1実施形態と同様に、無線LANシステムであるとして説明を行う。プライマリシステムは、IEEE802.11の規格に準じて通信を行う。すなわち、プライマリシステムは、2.4GHz帯の周波数帯に設定された14の周波数帯域(以下、無線チャネル)のうちから、一つの無線チャネルを選択して通信を行う。
また、本実施形態において、本発明のコグニティブ無線通信システム(以下、セカンダリシステム)の基本的な構成は、第1実施形態で説明を行ったものと同様である。そのため、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明を行う。
本実施形態において、セカンダリシステムは、選択無線チャネルにおいて行うキャリアセンスにおいて検出されたキャリアが、プライマリシステムのキャリアであるのか、セカンダリシステムのキャリアであるのかを判別する。これによって、セカンダリシステムは、プライマリシステムのキャリアによるチャネル利用率が算出可能となる。また、セカンダリシステムは、各無線チャネルにおけるセカンダリシステムのトラヒック量の算出が可能となる。以下、さらに詳細に説明を行う。
【0051】
[構成の説明]
まず、本実施形態のセカンダリシステムにおいて使用されるコグニティブ無線端末(以下、セカンダリ端末)の構成の説明を行う。図6は、本実施形態における、セカンダリ端末100の構成を示している。本実施形態におけるセカンダリ端末100の構成は、第1実施形態とほぼ同様である。そのため、セカンダリ端末100の構成が、第1実施形態と異なる部分を中心に説明を行う。また、第1実施形態と同様の構成部位については同じ符号を用いて記載する。
【0052】
本実施形態のセカンダリ端末100は、第1実施形態と同様に、無線部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。なお、無線部110は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0053】
まず、制御部130の説明を行う。制御部130は、キャリアセンス手段131と、タイマー手段132と、利用率算出手段133と、通信許可確率算出手段(以下、確率算出手段)134と、通信制御手段135とを、第1実施形態と同様に備えており、さらに、判別部136を備える。なお、キャリアセンス手段131、及びタイマー手段132は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0054】
判別部136は、無線部110からの受信無線信号に基づいて、当該受信無線信号が、プライマリシステムの無線信号(以下、キャリア)であるか、あるいはセカンダリシステムのキャリアであるかを判別する。判別部136は、受信キャリアを復調して、当該受信キャリアの変調方式等によって、当該受信キャリアがプライマリシステムのキャリアであるか、セカンダリシステムのキャリアであるかを判別する。また、セカンダリシステムのセカンダリ端末100は、送信データに、予めセカンダリシステムであることを判別可能なような識別子を含めて送信を行っても良い。セカンダリ端末100の判別部136は、受信キャリアを復号して当該識別子を抽出し、当該識別子に基づいて受信キャリアがセカンダリシステムのキャリアであることを判別しても良い。このような方法によって行うことで、プライマリシステムに変更を加えることなく、セカンダリシステム側のプロトコルによって、キャリアの判別が可能となる。
【0055】
次に、本実施形態において、利用率算出手段133は、各無線チャネルにおけるプライマリシステムによるチャネル利用率を算出する。利用率算出手段133は、タイマー手段132の測定する一定時間において、特定の無線チャネルでキャリアセンス手段131の行うキャリアセンスにおける受信電力のうち、判別手段136がプライマリシステムのキャリアと判別した受信電力が一定の閾値を超えている時間に基づいてチャネル利用率を算出する。
本実施形態において、判別手段136は、プライマリシステムとセカンダリシステムの無線信号の判別を可能としている。そのため、利用率算出手段133は、キャリアセンス手段131の検出したキャリアが、プライマリシステムのキャリアであるのか、セカンダリシステムのキャリアであるのかを区別することができる。そのため、利用率算出手段133は、特定の無線チャネルにおける、プライマリシステムのチャネル利用率を算出することができる。これにより、特定の無線チャネルを常に使用するプライマリシステムのキャリアと、複数の無線チャネルのうちからチャネル利用率の低い無線チャネルを選択して通信を行うセカンダリシステムのキャリアとを区別することが可能となり、チャネル利用率をより正確に算出することが可能となる。本実施形態において、チャネル利用率は、特定の無線チャネルで、一定時間においてプライマリシステムが当該無線チャネルを占有している時間の割合である。例えば、一定時間をプライマリシステムによるビーコン間隔として、判別手段136によって判別が可能となった特定の無線チャネルにおけるプライマリシステムの通信時間を用いると、利用率算出手段133は、
【数2】
JP0005115852B2_000003t.gif
に基づいて、チャネル利用率を算出する。ただし、ビーコン間隔は一例であり、セカンダリ端末100が決める一定時間であれば他のものでも良い。
また、利用率算出手段133は、各無線チャネルにおけるプライマリシステムのチャネル利用率を算出するのと同時に、セカンダリシステムのトラヒック量を算出する。確率算出手段134は、通信許可確率を算出する際にセカンダリシステムのトラヒック量を使用する。利用率算出手段133は、セカンダリシステムのトラヒック量を算出すると、チャネル利用率と同様に、記憶部120へ各無線チャネルに対応させて記録する。
【0056】
次に、本実施形態において、確率算出手段134は、選択無線チャネルのチャネル利用率とセカンダリトラヒック量とに基づいて、通信許可確率を算出する。本実施形態において、判別手段136は、プライマリシステムとセカンダリシステムのキャリアの判別を可能としている。そのため、確率算出手段134は、一定時間におけるプライマリシステムの選択無線チャネルの占有割合であるチャネル利用率と、既に選択無線チャネルを使用して通信を行っているセカンダリシステムのトラヒック量に基づいて通信許可確率を算出することができる。
【0057】
次に、通信許可確率の算出式の例を示す。次式は、チャネル利用率及びセカンダリシステムのトラヒックに基づいて通信許可確率を算出している。通信許可確率Pは、マージンをM、チャネル利用率をOp、セカンダリトラヒックをλs、調整係数をαとして、
【数3】
JP0005115852B2_000004t.gif
に基づいて算出することができる。ここで、マージンMは、チャネル利用率OPの上乗せを意味しており、他システムの通信に対する保護を高めている。調整係数αは、閾値の調整を行うための係数である。マージンMと調整係数αは、選択無線チャネルの使用状態に合わせて変化させることが可能である。なお、数式(2)は、通信許可確率Pの算出式の一例を示したものであり、これに限定しない。
【0058】
次に、本実施形態において、通信制御手段135は、第1実施形態とほぼ同様である。前述のとおり、本実施形態においてチャネル利用率と通信許可確率は、判別手段136の追加によって導出方法が異なる。通信制御手段135は、算出されたチャネル利用率と通信許可確率に基づいて、第1実施形態と同様の処理を行う。
なお、判別手段136が、セカンダリシステムのキャリアを送信データに埋め込んだ識別子等で判別する場合には、通信制御手段135は、送信データや送信パケットのヘッダ情報に対して識別子等を付与する場合がある。あるいは、上位レイヤにおいて予め識別子を付与された送信データを生成する場合もある。
【0059】
次に、記憶部120の説明を行う。本実施形態において、記憶部120は、各無線チャネルのチャネル利用率と共に、各無線チャネルにおけるセカンダリシステムのトラヒック量を各無線チャネルに対応させて記録する。
【0060】
以上が、本実施形態の構成の説明である。
【0061】
[動作方法の説明]
続いて、本実施形態の動作方法の説明を行う。本実施形態において、セカンダリシステムの動作方法は、第1実施形態とほぼ同様である。そのため、再び、図4、図5A、および図5Bを用いて、第1実施形態との違いを中心に説明を行う。
【0062】
まず、再び図4を用いて、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する動作方法の説明を、第1実施形態との違いを中心に行う。図4は、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する動作フローを示している。
【0063】
(ステップS10)
キャリアセンス手段131は、複数の無線チャネルにおいて、他のシステムが通信を行うことによる占有時間を測定する。キャリアセンス手段131は、タイマー手段132から一定時間毎に通知を受け、キャリアセンスを行う無線チャネルを切替えながら、各無線チャネルのキャリアセンスを行う。
本実施形態において、判別手段136は、キャリアセンス手段131のキャリアセンスと同時に受信キャリアの判別処理を行う。判別手段136は、判別結果を利用率算出手段133へ出力する。
【0064】
(ステップS20)
利用率算出手段133は、無線チャネル毎のチャネル利用率を算出する。利用率算出手段133は、キャリアセンス手段131から各無線チャネル毎のキャリアセンス結果と、判別手段136から各無線チャネル毎の判別結果を入力する。利用率算出手段133は、各無線チャネルにおいて、プライマリシステムのキャリアと判別された受信キャリアが、一定時間毎に一定の閾値以上となっている時間に基づいて、当該無線チャネルのチャネル利用率を算出する。また、利用率算出手段133は、各無線チャネルにおいて、セカンダリシステムのキャリアと判別された受信キャリアが、一定時間毎に一定の閾値以上となっている時間に基づいて、当該無線チャネルのセカンダリシステムのトラヒックを算出する。
利用率算出手段133は、各無線チャネル毎のチャネル利用率とセカンダリシステムのトラヒックを、記憶部120へ記録する。利用率算出手段133は、再度、同じ無線チャネルのチャネル利用率とセカンダリシステムのトラヒックを算出した場合、記憶部120の当該無線チャネルのチャネル利用率とセカンダリシステムのトラヒックを更新して記録する。
【0065】
(ステップS30)
通信制御手段135は、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する。本ステップは、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0066】
以上が、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する動作方法の説明である。
【0067】
次に、再び図5Aおよび図5Bを用いて、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作方法の説明を、第1実施形態との違いを中心に行う。図5Aおよび図5Bは、本実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作フローを示している。本実施形態において、第1実施形態と動作が異なるのは、通信許可確率を算出する「ステップS120」及び「ステップS160」である。そのため、以下では、同ステップについて説明を行い、そのほかのステップについては、説明を省略する。なお、セカンダリ端末100は、前述した選択無線チャネルの決定は完了しているものとする。
【0068】
(ステップS120)
通信制御手段135は、通信許可確率を算出する。通信制御手段135は、他システムが選択無線チャネルを使用中である旨のキャリアセンス結果を入力する。通信制御手段135は、確率算出手段134へ、選択無線チャネルの通信許可確率の算出命令を出力する。確率算出手段134は、通信制御手段135から通信許可確率の算出命令を入力すると、記憶部120から選択無線チャネルのチャネル利用率とセカンダリシステムのトラヒックを取得する。確率算出手段134は、選択無線チャネルのチャネル利用率とセカンダリシステムのトラヒックに基づいて、前述の数式(2)を用いて通信許可確率を算出する。確率算出手段134は、算出した通信許可確率を通信制御手段135へ出力する。
【0069】
(ステップS160)
通信制御手段135は、通信許可確率を算出する。通信制御手段135は、キャリアセンス手段131から、選択無線チャネルは使用されていない旨のキャリアセンス結果を入力する。通信制御手段135は、通信制御手段135は、選択無線チャネルの確率算出命令を、確率算出手段134へ出力する。確率算出手段134は、通信制御手段135から確率算出命令を入力すると、記憶部120から選択無線チャネルのチャネル利用率とセカンダリシステムのトラヒックを取得する。確率算出手段134は、選択無線チャネルのチャネル利用率とセカンダリシステムのトラヒックに基づいて、前述の数式(2)を用いて通信許可確率を算出する。確率算出手段134は、算出した通信許可確率を通信制御手段135へ出力する。
【0070】
以上が、本実施形態における、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作方法の説明である。
【0071】
以上が、第2実施形態の説明である。このように構成することにより、セカンダリ端末100は、プライマリシステムとセカンダリシステムのキャリアを判別することが可能となる。これによって、セカンダリシステムは、プライマリシステムのキャリアによるチャネル利用率が算出可能となる。また、セカンダリシステムは、各無線チャネルにおけるセカンダリシステムのトラヒック量の算出が可能となる。
【0072】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態の説明を行う。本実施形態において、既存システム(以下、プライマリシステム)は、第1実施形態と同様に、無線LANシステムであるとして説明を行う。プライマリシステムは、IEEE802.11bの規格に準じて通信を行う。すなわち、プライマリシステムは、2.4GHz帯の周波数帯に設定された14の周波数帯域(以下、無線チャネル)のうちから、一つの無線チャネルを選択して通信を行う。
また、本実施形態において、本発明のコグニティブ無線通信システム(以下、セカンダリシステム)の構成は、第2実施形態で説明を行ったものと同様である。本実施形態では、選択無線チャネルの利用率によって、プライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を設定する。これによって、セカンダリシステムは、セカンダリ通信時間にのみ通信を行うことが可能となり、プライマリシステムの通信を保護しつつ通信を行うことが可能となる。以下、詳細に説明を行う。
【0073】
まず、図7を用いて、本実施形態のプライマリ通信時間とセカンダリ通信時間について説明する。図7は、一定時間にプライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を設定した場合を示している。図7において、一定時間は、プライマリシステムのアクセスポイントが定期的に送信を行うビーコンとビーコンの間隔(以下、ビーコン間隔)である。図7を参照すると、ビーコン間隔において、チャネル利用率+マージンがプライマリ通信時間として割り当てられ、ビーコン間隔からプライマリ通信時間を除いた時間がセカンダリ通信時間として割り当てられている。利用率算出手段133が算出するチャネル利用率は、一定時間(ビーコン間隔)における、プライマリシステムの無線チャネルの占有割合である。そのため、このチャネル利用率にマージンを加えた割合で、ビーコン間隔の時間からプライマリ通信時間を設定すれば、プライマリシステムの通信を保護することが可能となる。
ここで、マージンは、プライマリシステムの通信を十分に保護するために設けられている。そのため、チャネル利用率の変動が激しいような場合には、マージンを大きく取ることによってプライマリシステムの通信を確実に保護するようにしても良い。さらに利用率算出手段133が、定期的にチャネル利用率を更新する場合には、一定期間のチャネル利用率の平均をとって、あるいは、チャネル利用率が更新される度に、プライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を更新しても良い。また、第1実施形態のようにセカンダリ端末100において、制御部130の判別手段136が備えられていない場合にも、他システムの通信との間で、他システムの通信時間をプライマリ通信時間として設定することで、他システムの通信を保護しつつ、セカンダリシステムの通信時間を設定することができる。
【0074】
セカンダリ端末100の動作は、次のとおりとなる。利用率算出手段133は、記憶部120へ算出したチャネル利用率を保存する。通信制御手段135は、上位レイヤから送信データを入力すると、タイマー手段132へ送信タイミングを通知するように送信タイミング通知命令を出力する。タイマー部132は、通信制御手段135からの送信タイミング通知命令を受けて、記憶部120から選択無線チャネルのチャネル利用率を取得する。タイマー手段132は、チャネル利用率に基づいて、ビーコン間隔におけるプライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を算出する。タイマー手段132は、プライマリシステムのアクセスポイントが送信したビーコンを受信すると、チャネル利用率に基づいて設定したプライマリ通信時間の測定を行う。タイマー手段132は、プライマリ通信時間が経過してセカンダリ通信時間が開始するときに、通信制御手段135へ時間経過通知を出力する。通信制御手段135は、時間経過通知を受けて送信データの送信を開始する。
なお、通信制御手段135は、上位レイヤから送信データを入力して、タイマー手段132へ送信タイミング通知命令を出力すると同時に、確率算出手段134へ現在の選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいて通信許可確率を算出するように命令を出力し、この命令によって算出された通信許可確率に基づいて、セカンダリ通信時間に送信データを送信するか否かを判定してもよい。
【0075】
さらに、タイマー手段132が、セカンダリシステムの通信の完了後に、再度プライマリ通信時間の再測定を行うことで、一定時間(ビーコン間隔)において、プライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を交互に設定することができる。図8は、一定時間(ビーコン間隔)にプライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を交互に設定した場合を示している。この場合に、プライマリシステムは、送信データがある場合には、セカンダリ通信時間経過後に、従来の無線LANの自律分散アクセス制御に基づいてデータ送信権獲得してデータの送信を行う。セカンダリシステムは、チャネル利用率に基づいて設定されたセカンダリ通信時間に通信を行えばよい。また、さらにセカンダリシステムは、データ送信前にキャリアセンスを行うことで、プライマリシステムの通信がプライマリ通信時間に収まらない場合を検知することができ、その場合には、そのセカンダリ通信時間におけるデータ送信を取りやめることで、プライマリシステムへの干渉を防ぐことができる。
【0076】
以上が、第3実施形態の説明である。このように、選択無線チャネルのチャネル利用率に基づいてプライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を設けることで、プライマリシステムの通信を保護しつつ、セカンダリシステムの通信も最大限行うことが可能となる。
【0077】
以上、実施形態を参照して本発明の説明を行ってきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない、本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。例えば、セカンダリ端末100は、複数の無線チャネルから最もチャネル利用率の低い一つの無線チャネルを選択無線チャネルとして決定している。これは、チャネル利用率の低い複数のチャネルを選択して、その上で各実施形態における動作方法によって通信を行っても良い。また、いずれの実施形態においても、プライマリシステムは、無線LAN(IEEE802.11)プロトコルに準じて通信を行っている。これは、他の分散無線制御プロトコルを用いるものへ適用することも可能である。また、各実施形態は独立してのみ実現し得るものではなく、相互に組み合わせて実現することができるのは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1実施形態における、セカンダリ端末100の構成を示す図である。
【図2】本発明における、プライマリシステムが通信中に、セカンダリシステムに送信データが発生し、セカンダリSTAがデータ送信権を取得した場合のタイムチャートである。
【図3】本発明における、プライマリシステムが通信中に、セカンダリシステムに送信データが発生し、セカンダリSTAがデータ送信権を取得できない場合のタイムチャートである。
【図4】本発明における、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、複数の無線チャネルから選択無線チャネルを決定する動作フローである。
【図5A】第1実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作フローである。
【図5B】第1実施形態において、セカンダリシステムのセカンダリ端末100が、選択無線チャネルにおいて通信を行う場合の動作フローである。
【図6】第2実施形態における、セカンダリ端末100の構成を示す図である。
【図7】第3実施形態における、一定時間にプライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を設定した場合を示す図である。
【図8】第3実施形態における、ビーコン間隔にプライマリ通信時間とセカンダリ通信時間を交互に設定した場合を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
100 コグニティブ無線通信端末
110 無線部
120 記憶部
130 制御部
131 キャリアセンス手段
132 タイマー手段
133 利用率算出手段
134 通信許可確率算出手段
135 通信制御手段
136 判別手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5A】
4
【図5B】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8