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明細書 :SRAMメモリセルの評価方法及びSRAMメモリセルの評価プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4411443号 (P4411443)
公開番号 特開2008-257760 (P2008-257760A)
登録日 平成21年11月27日(2009.11.27)
発行日 平成22年2月10日(2010.2.10)
公開日 平成20年10月23日(2008.10.23)
発明の名称または考案の名称 SRAMメモリセルの評価方法及びSRAMメモリセルの評価プログラム
国際特許分類 G11C  29/56        (2006.01)
G11C  11/413       (2006.01)
FI G11C 29/00 651V
G11C 11/34 341D
請求項の数または発明の数 10
全頁数 21
出願番号 特願2007-095928 (P2007-095928)
出願日 平成19年3月31日(2007.3.31)
審査請求日 平成21年9月25日(2009.9.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】中村 和之
【氏名】小池 洋紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】小林 紀和
参考文献・文献 特開2005-310242(JP,A)
特表2006-520511(JP,A)
特許第2841665(JP,B2)
特開2006-134477(JP,A)
調査した分野 G11C 29/56
G11C 11/413
特許請求の範囲 【請求項1】
第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルの評価方法であって、
前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得る工程と、
前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性のデータをX-Y軸変換した第2の入出力特性データを得る工程と、
前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成する工程と、
前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成する工程と、
前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定する工程と、
前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定する工程と、
前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定する工程と、
前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出する工程と
を有するSRAMメモリセルの評価方法。
【請求項2】
第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルの評価方法であって、
前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得る工程と、
前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得る工程と、
前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成する工程と、
前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成する工程と、
前記第2の回転変換データをY軸に対してミラー反転させたY軸反転データを生成する工程と、
前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定する工程と、
前記Y軸反転データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定する工程と、
前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定する工程と、
前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出する工程と
を有するSRAMメモリセルの評価方法。
【請求項3】
第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルの評価方法であって、
前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得る工程と、
前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得る工程と、
前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成する工程と、
前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成する工程と、
前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定する工程と、
前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定する工程と、
前記第2の近似曲線関数をY軸に対してミラー反転させた関数である第3の近似曲線関数を得る工程と、
前記第1の近似曲線関数と前記第3の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定する工程と、
前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出する工程と
を有するSRAMメモリセルの評価方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までに記載された第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、3次以上の多項式で表される関数としたことを特徴とするSRAMメモリセルの評価方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3までに記載された第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、5次多項式で表される関数としたことを特徴とするSRAMメモリセルの評価方法。
【請求項6】
第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルを評価する機能をコンピュータに実現させるSRAMメモリセルの評価プログラムであって、
前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得るステップと、
前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性のデータをX-Y軸変換した第2の入出力特性データを得るステップと、
前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成するステップと、
前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成するステップと、
前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定するステップと、
前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定するステップと、
前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定するステップと、
前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出するステップと
を有するSRAMメモリセルの評価プログラム。
【請求項7】
第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルを評価する機能をコンピュータに実現させるSRAMメモリセルの評価プログラムであって、
前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得るステップと、
前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得るステップと、
前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成するステップと、
前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成するステップと、
前記第2の回転変換データをY軸に対してミラー反転させたY軸反転データを生成するステップと、
前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定するステップと、
前記Y軸反転データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定するステップと、
前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定するステップと、
前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出するステップと
を有するSRAMメモリセルの評価プログラム。
【請求項8】
第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルを評価する機能をコンピュータに実現させるSRAMメモリセルの評価プログラムであって、
前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得るステップと、
前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得るステップと、
前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成するステップと、
前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成するステップと、
前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定するステップと、
前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定するステップと、
前記第2の近似曲線関数をY軸に対してミラー反転させた関数である第3の近似曲線関数を特定するステップと、
前記第1の近似曲線関数と前記第3の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定するステップと、
前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出するステップと
を有するSRAMメモリセルの評価プログラム。
【請求項9】
請求項6から請求項8までに記載された第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、3次以上の多項式で表される関数としたことを特徴とするSRAMメモリセルの評価プログラム。
【請求項10】
請求項6から請求項8までに記載された第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、5次多項式で表される関数としたことを特徴とするSRAMメモリセルの評価プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、SRAMメモリセル(Static Random Access Memory)メモリセルの評価方法及びSRAMメモリセルの評価プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にトランジスタを形成して構成される半導体装置は、小型化及び高集積化の要求に対応するために開発された様々な微細加工の技術を用いて製造され、止まることなく小型化及び高集積化が進んでいる。
【0003】
このような微細加工の技術を用いて製造されるトランジスタなどの半導体素子は、小型化にともなってその形状を相似形状のまま単に縮小しただけでは十分ではなく、新たな設計が必要であって、特に、図15に示すように、第1インバータ110と第1インバータ120を備えたフリップフロップ回路で構成されるSRAMメモリセルでは、各トランジスタの設計仕様を調整することにより、SRAMメモリセルが所要の書込特性及び読出特性を有するようにする必要があった。
【0004】
このSRAMメモリセルの特性評価の方法として、スタティックノイズマージンの評価が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
スタティックノイズマージンとは、以下のようにして評価することと規定した指標である。
【0006】
図15のSRAMメモリセルにおけるワード線Wとビット線BL,BL_にそれぞれ定格電源電圧VDDを印加して、第1インバータ110および第2インバータ120の入出力特性を求める。このときの第1インバータを図16に抜き出して示す。ここで、ノードVs2に0Vから定格電源電圧VDDまでの入力電圧を印加した際、ノードVs1に出力される出力電圧を求めて第1の入出力特性データとする。図17は、第1の入出力特性データ130の例である。
【0007】
同様に、図18に示す第2インバータ120におけるノードVs1に0Vから定格電源電圧VDDまでの入力電圧を印加した際、ノードVs2から出力される出力電圧を求めて第2の入出力特性データとする。次いで、その第2の入出力特性データを、第1の入出力特性データ130の縦軸及び横軸に合わせてX-Y軸変換を行い、あらためて第2の入出力特性データとする。図19は、このX-Y軸変換を行った後の第2の入出力特性データ140の例である。
【0008】
このようにして得られた第1の入出力特性データ130と第2の入出力特性データ140と重ね合わせると、図20に示すように、第1の入出力特性データ130の曲線と、第2の入出力特性データ140の曲線とで囲まれた2つの領域が形成される。これらの領域に内接する最大の正方形をそれぞれ描き、小さい方の正方形の一辺の長さをスタティックノイズマージン(SNM)として規定する。
【0009】
SRAMメモリセルにおいては、この2つの正方形が存在することが情報保持の必要条件であり、正方形が大きいほど、すなわちスタティックノイズマージンの値が大きいほど、メモリセルは安定に情報保持できる。

【特許文献1】特開2005-310242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
昨今の微細化されたSRAMメモリセルでは、微細化にともなって製造時のバラツキの影響を受けやすくなっており、SRAMメモリセルのフリップフロップを構成している2つのインバータの特性が一致していないことが問題となってきた。
【0011】
このインバータの特性の不一致は、SRAMメモリセルのスタティックノイズマージン値を低下させ、SRAMメモリセルの正常な動作を困難なものとする。
【0012】
したがって、SRAMメモリセルを設計する場合には、製造時のバラツキを考慮して設計することが望まれており、このバラツキの評価を効率よく行うために、スタティックノイズマージンを効率よく計算することが求められていた。
【0013】
しかしながら、スタティックノイズマージンは、前述したように、第1の入出力特性データの曲線と、第2の入出力特性データの曲線とで囲まれた領域に内接する最大の正方形を特定しなければならないために、手作業で正方形を特定しており、スタティックノイズマージンを求めるために多大な時間を要し、全ての製造時のバラツキを考慮した設計を行うことは不可能であった。
【0014】
本発明者は、このような現状に鑑み、より短時間でスタティックノイズマージンの評価を行って、製造時のバラツキの影響を受けにくいSRAMメモリセルを設計可能とすべく研究を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載のSRAMメモリセルの評価方法では、第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルの評価方法であって、前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得る工程と、前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性のデータをX-Y軸変換した第2の入出力特性データを得る工程と、前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成する工程と、前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成する工程と、前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定する工程と、前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定する工程と、前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定する工程と、前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出する工程を有することとした。
【0016】
請求項2記載のSRAMメモリセルの評価方法では、第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルの評価方法であって、前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得る工程と、前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得る工程と、前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成する工程と、前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成する工程と、前記第2の回転変換データをY軸に対してミラー反転させたY軸反転データを生成する工程と、前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定する工程と、前記Y軸反転データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定する工程と、前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定する工程と、前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出する工程を有することとした。
【0017】
請求項3記載のSRAMメモリセルの評価方法では、第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルの評価方法であって、前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得る工程と、前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得る工程と、前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成する工程と、前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成する工程と、前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定する工程と、前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定する工程と、前記第2の近似曲線関数をY軸に対してミラー反転させた関数である第3の近似曲線関数を得る工程と、前記第1の近似曲線関数と前記第3の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定する工程と、前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出する工程を有することとした。
【0018】
請求項4記載のSRAMメモリセルの評価方法では、請求項1~3のいずれか1項に記載のSRAMメモリセルの評価方法において、前記第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、3次以上の多項式で表される関数とした。
【0019】
請求項5記載のSRAMメモリセルの評価方法では、請求項1~3のいずれか1項に記載のSRAMメモリセルの評価方法において、前記第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、5次多項式で表される関数とした。
【0020】
請求項6記載のSRAMメモリセルの評価プログラムでは、第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルを評価する機能をコンピュータに実現させるSRAMメモリセルの評価プログラムであって、前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得るステップと、前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性のデータをX-Y軸変換した第2の入出力特性データを得るステップと、前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成するステップと、前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成するステップと、前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定するステップと、前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定するステップと、前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定するステップと、前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出するステップとを有することとした。
【0021】
請求項7記載のSRAMメモリセルの評価プログラムでは、第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルを評価する機能をコンピュータに実現させるSRAMメモリセルの評価プログラムであって、前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得るステップと、前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得るステップと、前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成するステップと、前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成するステップと、前記第2の回転変換データをY軸に対してミラー反転させたY軸反転データを生成するステップと、前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定するステップと、前記Y軸反転データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定するステップと、前記第1の近似曲線関数と前記第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定するステップと、前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出するステップとを有することとした。
【0022】
請求項8記載のSRAMメモリセルの評価プログラムでは、第1のインバータと第2のインバータで構成したフリップフロップ回路でデータを記憶するSRAMメモリセルを評価する機能をコンピュータに実現させるSRAMメモリセルの評価プログラムであって、前記第1のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第1の入出力特性データを得るステップと、前記第2のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを得るステップと、前記第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成するステップと、前記第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成するステップと、前記第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数を特定するステップと、前記第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数を特定するステップと、前記第2の近似曲線関数をY軸に対してミラー反転させた関数である第3の近似曲線関数を特定するステップと、前記第1の近似曲線関数と前記第3の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数を特定するステップと、前記差分曲線関数の極大値と極小値を特定するとともに、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージンを算出するステップとを有することとした。
【0023】
請求項9記載のSRAMメモリセルの評価プログラムでは、請求項6~8のいずれか1項に記載のSRAMメモリセルの評価プログラムにおいて、前記第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、3次以上の多項式で表される関数とした。
【0024】
請求項10記載のSRAMメモリセルの評価プログラムでは、請求項6~8のいずれか1項に記載のSRAMメモリセルの評価プログラムにおいて、前記第1の近似曲線関数、第2の近似曲線関数もしくは第3の近似曲線関数を、5次多項式で表される関数とした。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、SRAMメモリセルの第1のインバータの入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行い、近似曲線へのフィッティングによって第1の近似曲線関数を特定するとともに、前記SRAMメモリセルの第2のインバータのX-Y軸変換した入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行い、近似曲線へのフィッティングによって第2の近似曲線関数を特定し、「内接する正方形の一辺の長さ」として規定されるスタティックノイズマージンを、第1の近似曲線関数と第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数の極値から特定することができる。
【0026】
したがって、スタティックノイズマージン算出手順が容易化でき、短時間でスタティックノイズマージンが評価されることにより、SRAMメモリセルの設計に要する時間を短縮化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のSRAMメモリセルの評価方法及びSRAMメモリセルの評価プログラムでは、従来のスタティックノイズマージンの算出が、「所定の領域に内接する正方形」を想定する必要があるために手作業による作図が必要であったのに対し、「所定の領域に内接する正方形」の対角線は、スタティックノイズマージンの値に平方根2を掛けた値であって、この対角線は、座標軸を45度回転させる座標変換によってY軸方向となるので、これを利用することによりスタティックノイズマージンの算出を容易化したものである。
【0028】
すなわち、SRAMメモリセルの第1のインバータの入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行い、近似曲線へのフィッティングによって第1の近似曲線関数を特定するとともに、SRAMメモリセルの第2のインバータのX-Y軸変換した入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行い、近似曲線へのフィッティングによって第2の近似曲線関数を特定することにより、第1の近似曲線関数と第2の近似曲線関数の差分とした差分曲線関数の極値からスタティックノイズマージンを特定することができる。
【0029】
ここで、差分曲線関数の極値は、スタティックノイズマージンの値に平方根2を掛けた値となっており、差分曲線関数の極大値と極小値のうち、極小値の絶対値と極大値とで小さい方の値を平方根2で除することによりスタティックノイズマージンの値を算出することができる。
【0030】
したがって、スタティックノイズマージン算出手順を容易化でき、極めて短時間でスタティックノイズマージンの評価が行えるので、SRAMメモリセルの設計に要する時間を短縮化することができる。
【0031】
本発明の第1の具体的実施形態を以下に示す。本発明では、図1に示すように、所要の演算処理を実行するCPU11を備えたコンピュータ10を用いてスタティックノイズマージンを算出しており、CPU11は、バス12を介して、所要のプログラムを記憶したROM13、実行するプログラムを展開したり所要のデータを記憶したりするRAM14、SRAMメモリセルの評価プログラムやSRAMメモリセルのDC特性データを生成するシミュレーションプログラムなどを記憶したハードディスク装置15と接続され、所要の処理を実行可能としている。
【0032】
また、コンピュータ10のバス12には、入力インターフェース回路16を介してキーボードやマウス、あるいはタブレットなどの入力手段17を接続している。さらに、コンピュータ10のバス12には、画像処理回路18を介してディスプレイ装置19を接続し、このディスプレイ装置19に所要の画像を表示可能としている。
【0033】
本実施形態のSRAMメモリセルの評価プログラムは、ハードディスク装置15に記憶されたSRAMメモリセルの設計プログラムにおける1つのサブルーチンとして動作するものである。
【0034】
すなわち、コンピュータ10では、図2に示すように、入力手段17から入力されたSRAMメモリセルの設計プログラムの起動命令に基づいて、SRAMメモリセルの設計プログラムを起動させ(ステップS1)、SRAMメモリセルの設計条件を入力させている。
【0035】
SRAMメモリセルの設計プログラムの起動後、設計するSRAMメモリセルに対して製造バラツキに対するマージンを確認するために、入力手段17によってディスプレイ装置19の表示画面に設けられた「スタティックノイズマージン評価」ボタンが選択されることにより(ステップS2:YES)、コンピュータ10は、SRAMメモリセルの評価プログラムを起動し、SRAMメモリセルの評価を行っている(ステップS3)。「スタティックノイズマージン評価」ボタンが選択されない間は、コンピュータ10は、SRAMメモリセルの設計プログラムに基づいて所要の処理を実行している。
【0036】
ステップS3のSRAMメモリセルの評価作業が終了して、SRAMメモリセルの評価プログラムを終了した後、SRAMメモリセルの設計プログラムを終了しない場合には(ステップS4:NO)、コンピュータ10は、SRAMメモリセルの設計プログラムに基づいて所要の処理を実行している。
【0037】
コンピュータ10は、ステップS3でSRAMメモリセルの評価プログラムを起動することにより、以下の処理を行っている。
【0038】
すなわち、SRAMメモリセルの評価プログラムの実行に基づいて、コンピュータ10は、図3に示すように、まず、SRAMメモリセルを構成している2つのインバータのうちの一方のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性を、第1の入出力特性データとして取得している(図3ステップT1)。この第1の入出力特性データの例を図4中の白丸に示す。
【0039】
第1の入出力特性データの取得は、RAM14やハードディスク装置15にあらかじめ記憶されている入出力特性データであってもよいし、キーボードなどの入力手段17で入力された入出力特性データであってもよいし、メモリカードなどの記録媒体から読み込まれた入出力特性データであってもよい。あるいは、コンピュータ10において、SRAMメモリセルの設計条件を入力して行ったシミュレーションで得られた入出力特性データであってもよい。または、実際のデバイスを測定することによって得られた入出力特性データであってもよい。本実施形態では、第1の入出力特性データの取得時に、SRAMメモリセルの設計条件を入力させてシミュレーションを行い、その結果の入出力特性データを用いた場合を例としている。
【0040】
次いで、コンピュータ10は、SRAMメモリセルを構成している2つのインバータのうちの他方のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性をX-Y軸変換して、第2の入出力特性データとして取得している(図3ステップT2)。図4において黒丸が第2の入出力特性データの例を示している。
【0041】
第2の入出力特性データの取得も、第1の入出力特性データの場合と同様、RAM14やハードディスク装置15にあらかじめ記憶されている入出力特性データであってもよいし、キーボードなどの入力手段17で入力された入出力特性データであってもよいし、メモリカードなどの記録媒体から読み込まれた入出力特性データであってもよい。また、シミュレーションによって得られたデータ、あるいは実際のデバイスを測定することによって得られたデータでもよい。本実施形態では、第2の入出力特性データの取得時に、SRAMメモリセルの設計条件を入力させてシミュレーションを行い、その結果の入出力特性データを用いている。なお、シミュレーションの実行時には、第1の入出力特性データと第2の入出力特性データの計算を同時に行って、第1の入出力特性データと第2の入出力特性データとを同時に取得してもよい。
【0042】
次いで、コンピュータ10は、第1の入出力特性データの各座標点データに対して、45度回転させる回転変換を行うことにより、第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第1の回転変換データを生成している(図3ステップT3)。この第1の回転変換データの例を図5中の白丸に示す。
【0043】
なお、回転変換とは、回転前の座標を(x,y)とし、回転後の座標を(X,Y)とした際に、
X=cos(π/4)・x-sin(π/4)・y
Y=sin(π/4)・x+cos(π/4)・y
とする演算を行っているものである。
【0044】
次いで、コンピュータ10は、第2の入出力特性データの各座標点データに対して、45度回転させる回転変換を行うことにより、第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる座標変換を行って第2の回転変換データを生成している(図3ステップT4)。図5において、黒丸が第2の回転変換データを示している。
【0045】
各回転変換データの生成後、コンピュータ10は、図6に示すように、第1の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第1の近似曲線関数L1を特定するとともに(図3ステップT5)、第2の回転変換データを近似曲線でフィッティングして得られる第2の近似曲線関数L2を特定している(図3ステップT6)。
【0046】
第1の近似曲線関数L1及び第2の近似曲線関数L2の特定は、コンピュータ10が近似曲線特定プログラムを実行することにより行っている。本実施形態では最小二乗法を用いた近似曲線特定プログラムによって第1の近似曲線関数L1及び第2の近似曲線関数L2を特定している。
【0047】
なお、近似曲線特定プログラムでは、第1の近似曲線関数L1及び第2の近似曲線関数L2を3次以上の多項式で表される曲線として、フィッティングを行っている。フィッティング対象式として多項式を用いることで、図3のステップT6以降の計算を容易化することができる。次数を3次以上としている理由は、図5もしくは図6に示されている回転変換データの形状を見るとわかるように、フィッティング対象式として極値を2つ以上持つ式が望ましいからである。
【0048】
各近似曲線関数L1,L2の特定後、コンピュータ10は、第1の近似曲線関数L1と第2の近似曲線関数L2の差分とした差分曲線関数を特定している(図3ステップT7)。この差分曲線関数を図7中のL3に示す。
【0049】
差分曲線関数L3の特定後、コンピュータ10は、差分曲線関数L3の極大値と極小値を特定するとともに(図3ステップT8)、極小値の絶対値と極大値のうち、小さい方の値を平方根2で除してスタティックノイズマージン(SNM)を算出している(図3ステップT9)。図7の例の場合、図中にSNM×(平方根記号)2と示した部分が、求めるスタティックノイズマージン値の(平方根2)倍に相当する。
【0050】
ここで、図3のステップT5及びステップT6において第1の近似曲線関数L1及び第2の近似曲線関数L2を特定する際に、第1の近似曲線関数L1及び第2の近似曲線関数L2を5次多項式とした場合には、差分曲線関数L3も5次多項式となる。
【0051】
このとき、図3のステップT8の差分曲線関数L3の極大値と極小値を求めるため、差分曲線関数を微分した式をゼロとおいた方程式を解く。5次多項式の差分曲線関数L3は微分すると4次多項式となるので、4次方程式を解くことになる。一般に、4次以下の方程式には解の公式が存在することが知られており、この公式に基づいて計算することにより、極値算出を高速化することができる。
【0052】
このように、差分曲線関数L3として5次以下の多項式を用いる場合には、その微分が4次以下の多項式となり、極値計算に多項式方程式の解の公式を用いることができる。このため、数値計算の必要がなく、それ以外の関数にフィッティングさせた場合よりも、以後の計算を一層容易化・高速化することができる。
【0053】
このようにしてスタティックノイズマージンが算出された後、コンピュータ10は、第1の入出力特性データ及び第2の入出力特性データの変更が要求されることにより(図3ステップT10:YES)、図3のステップT1に戻って新たな第1の入出力特性データ及び第2の入出力特性データの取得を行って、スタティックノイズマージンを算出している。一方、第1の入出力特性データ及び第2の入出力特性データの変更が要求されない場合には(図3ステップT10:NO)、コンピュータ10は、SRAMメモリセルの評価プログラムを終了してメインルーチンに戻る。
【0054】
本発明の第2の具体的実施形態を以下に示す。第2の実施形態における、第1の実施形態の図3に相当するフローチャートを図8に示す。説明を簡易にするため、本例で用いるSRAMを構成する2つのインバータは、第1の実施形態の説明で用いたインバータと同じものであるとし、かつ入出力特性データ、回転変換データ、近似曲線関数等、等価な内容を示す用語については同じ用語を用いて説明を省略する。また、第1の実施形態のフローチャートと同一のステップには同一符号を用いることとする。

【0055】
本実施形態の特徴は、第1の具体的実施形態の場合に、図3のステップT2において他方のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性をX-Y軸変換して、第2の入出力特性データとしていたのに対し、X-Y軸変換することなく、他方のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性をそのまま第2の入出力特性データとしているものである。
【0056】
そして、X-Y軸変換の代わりに、第2の回転変換データをY軸に対してミラー反転させたY軸反転データを生成しているものである。
【0057】
まず、コンピュータ10は、SRAMメモリセルを構成している2つのインバータのうちの一方のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性を、第1の入出力特性データとして取得する(図8ステップT1)。第1の入出力特性データの例を図9の白丸に示すが、これは図5の白丸のグラフと同じものである。
【0058】
次いで、コンピュータ10は、SRAMメモリセルを構成している2つのインバータのうちの他方のインバータにおける入力電圧に対する出力電圧の特性である第2の入出力特性データを、X-Y軸変換することなくそのまま取得する(図8ステップT2’)。図9の黒丸に第2の入出力特性データを示す。
【0059】
次に、コンピュータ10は、第1の入出力特性データの各座標点データに対して、45度回転させる回転変換を行うことにより、第1の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる第1の回転変換データを生成する(図8ステップT3)。図10の白丸に第1の回転変換データを示している。回転変換は第1の実施形態の場合と同様の計算によって行われる。
【0060】
次に、コンピュータ10は、第2の入出力特性データの各座標点データに対して、45度回転させる回転変換を行うことにより、第2の入出力特性データに対して座標軸を45度回転させる第2の回転変換データを生成している(図8ステップT4)。図10の黒丸に第2の回転変換データを示している。
【0061】
上記の第1の回転変換データおよび第2の回転変換データの生成にあたっては、特性ばらつき等の影響を加味した多数のインバータに対する入出力特性データを予め収集しておき、必要に応じて任意の2つの入出力特性データを取り出して第1および第2の入出力特性データとし、それらをもとに第1および第2の回転変換データを生成するという方法でもよい。
【0062】
次に、コンピュータ10は、第2の回転変換データを、Y軸に対してミラー反転させる座標変換を行い、Y軸反転データを生成する(図8ステップT4’)。もともとのインバータが、第1の実施形態で用いたインバータと同じものであるとする前提の下では、このY軸反転データおよび第1の回転変換データを重ね合わせたグラフは、第1の実施形態における図5と同じグラフとなる。
【0063】
以後、スタティックノイズマージンの算出までの各ステップ(T5~T9)は、第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0064】
この第2の実施形態では、入出力特性データに対し、図3においてステップT2でX-Y軸変換した後、ステップT4で座標軸45度回転させる座標変換を行うという操作と、図8においてステップT4で座標軸45度回転させる座標変換を行った後、ステップT4’でY軸ミラー反転させるという操作とが、互いに等価であるということを利用している。このことは数学的に次のように証明できる。
【0065】
点(x, y)をX-Y軸変換により点(x', y')=(y, x)に移す写像を示す行列は次のように表される。
【数1】
JP0004411443B2_000002t.gif

【0066】
点(x, y)を座標軸45度回転させる座標変換により点(x', y')に移す写像を示す行列は次のように表される。
【数2】
JP0004411443B2_000003t.gif

【0067】
点(x, y)をY軸ミラー反転により点(x', y')=(-x, y)に移す写像を示す行列は次のように表される。
【数3】
JP0004411443B2_000004t.gif

【0068】
X-Y軸変換した後、座標軸45度回転させるという座標変換は、(1)式と(2)式の行列の積で表される。
【数4】
JP0004411443B2_000005t.gif

【0069】
一方、座標軸45度回転させる座標変換を行った後、Y軸ミラー反転を行うという座標変換は、(2)式と(3)式の行列の積で表される。
【数5】
JP0004411443B2_000006t.gif

【0070】
以上、(4)式と(5)式が等しいため、上記2つの操作は等価であることが証明された。
【0071】
本発明の第3の具体的実施形態を以下に示す。
【0072】
本実施形態の特徴は、第2の具体的実施形態の場合に、図8のステップT4’において第2の回転変換データを、Y軸に対してミラー反転させる座標変換を行い、Y軸反転データを生成していたのに対して、第2の回転変換データではなく、第2の近似曲線関数をミラー反転させて第3の近似曲線関数を生成しているものである。
【0073】
そして、差分関数は、第1の回転変換データと、第2の近似曲線関数をミラー反転させて第3の近似曲線関数とから生成しているものである。
【0074】
第3の実施形態における、第1の実施形態の図3に相当するフローチャートを図11に示す。
【0075】
図11においてステップT4までは、図8の第2の実施形態のフローチャートにおけるステップT4までと全く同様に進められるので説明は省略する。ここでも説明を簡易にするため、SRAMを構成する2つのインバータは、第2の実施形態の説明で用いたインバータと同じものであるとする。また、入出力特性データ、回転変換データ、近似曲線関数等、等価な内容を示す用語については同じ用語を用いて説明を省略する。また、第2の実施形態のフローチャートと同一のステップには同一符号を用いることとする。この場合、図11のステップT4の結果として得られるグラフは、図8のステップT4の結果として得られる図10と同じグラフとなる。
【0076】
次に、本実施形態では、図8のステップT4’の第2の回転変換データをY軸に対してミラー反転させる座標変換を行うことなく、コンピュータ10は、第1の回転変換データおよび第2の回転変換データをもとに、第1の実施形態の場合と同様なフィッティング手法を用いて、第1の近似曲線関数および第2の近似曲線関数をそれぞれ特定する(図11ステップT5、T6)。ここでも、フィッティング対象式として3次以上の多項式、特に5次多項式を用いることが有効である。フィッティングの結果得られた第1の近似曲線関数および第2の近似曲線関数を、図12の破線(L1)および実線(L2)にそれぞれ示す。
【0077】
図12から、もとの回転変換データを削除し、第1の近似曲線関数(L1)および第2の近似曲線関数(L2)のみ抜き出したグラフを図13に示す。フィッティング対象式として5次多項式を用いた場合、L1およびL2は、それぞれ次のような関数形で表される。
【数6】
JP0004411443B2_000007t.gif
ここで、a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1、d2、e1、e2、f1、f2 はフィッティングにより定まる係数である。
【0078】
次に、コンピュータ10は、図13の第2の近似曲線関数L2を、Y軸に対してミラー反転して第3の近似曲線関数を生成する(図11ステップT6’)。このY軸ミラー反転の操作は、上に述べた(7)式において、Xに-Xを代入するという操作と等価である。これはすなわち、係数a2、c2、e2の前の符号を-にすることに等しい。
【数7】
JP0004411443B2_000008t.gif
この結果得られたY軸ミラー反転したL2'をL1と重ね合わせて描いたグラフを図14に示す。
【0079】
その後の差分曲線関数の特定(図11ステップT7)以降から、スタティックノイズマージンの算出までのステップは、図8のステップT7以降と同様に行うことができるので、説明は省略する。
【0080】
第3の実施形態を用いる場合、まず、特性ばらつき等の影響を加味した多数のインバータに対する入出力特性データを予め収集しておき、図11のステップT6まで実行し、上記(6),(7)式を得ておくことが有効である。
【0081】
Y軸ミラー反転操作は(8)式を用いて即時に行うことができる。こうすることで、a1~f1というわずか6つの係数でインバータの入出力特性を記述することができ、少ないデータ量でSRAMメモリセル回路設計に関して基本的かつ必要十分なデータベースを作成することができる。
【0082】
このデータベースから任意の2つの入出力特性データを取り出して図11のステップT7以降を行うことで、様々なSRAMメモリセルに対するスタティックノイズマージンが瞬時に計算でき、最適なメモリセル回路を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係るSRAMメモリセルの評価プログラムを実行するコンピュータの説明図である。
【図2】コンピュータが実行するSRAMメモリセルの設計プログラムのフローチャートである。
【図3】コンピュータが実行するSRAMメモリセルの評価プログラムのフローチャートである。
【図4】SRAMメモリセルを構成するインバータの入出力特性データの説明図である。
【図5】入出力特性データの回転変換データの説明図である。
【図6】第1近似曲線関数および第2近似曲線関数の説明図である。
【図7】第1近似曲線関数、第2近似曲線関数および差分曲線関数の説明図である。
【図8】コンピュータが実行するSRAMメモリセルの評価プログラムのフローチャートである。
【図9】SRAMメモリセルを構成するインバータの入出力特性データの説明図である。
【図10】入出力特性データの回転変換データの説明図である。
【図11】コンピュータが実行するSRAMメモリセルの評価プログラムのフローチャートである。
【図12】第1近似曲線関数および第2近似曲線関数の説明図である。
【図13】第1近似曲線関数および第2近似曲線関数の説明図である。
【図14】第1近似曲線関数および第3近似曲線関数の説明図である。
【図15】SRAMメモリセルの回路図である。
【図16】第1のインバータの回路図である。
【図17】第1の入出力特性データのグラフである。
【図18】第2のインバータの回路図である。
【図19】第2の入出力特性データのグラフである。
【図20】スタティックノイズマージンの説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10 コンピュータ
11 CPU
12 バス
13 ROM
14 RAM
15 ハードディスク装置
16 入力インターフェース回路
17 入力手段
18 画像処理回路
19 ディスプレイ装置
110 第1のインバータ
120 第2のインバータ
130 第1の入出力特性データの例
140 第2の入出力特性データの例
L1 第1の近似曲線関数
L2 第2の近似曲線関数
L2' 第3の近似曲線関数
L3 差分曲線関数
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19