TOP > 国内特許検索 > ヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法 > 明細書

明細書 :ヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5337960号 (P5337960)
登録日 平成25年8月16日(2013.8.16)
発行日 平成25年11月6日(2013.11.6)
発明の名称または考案の名称 ヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法
国際特許分類 C12Q   1/34        (2006.01)
C12Q   1/37        (2006.01)
C12M   1/34        (2006.01)
FI C12Q 1/34
C12Q 1/37
C12M 1/34 E
請求項の数または発明の数 3
全頁数 24
出願番号 特願2006-552842 (P2006-552842)
出願日 平成17年10月25日(2005.10.25)
国際出願番号 PCT/JP2005/019625
国際公開番号 WO2006/075429
国際公開日 平成18年7月20日(2006.7.20)
優先権出願番号 2005006864
優先日 平成17年1月13日(2005.1.13)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年10月24日(2008.10.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】西野 憲和
【氏名】加藤 珠樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100095603、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 一郎
審査官 【審査官】小暮 道明
参考文献・文献 特表2002-506343(JP,A)
特開2003-135064(JP,A)
国際公開第2003/075833(WO,A1)
国際公開第2003/097667(WO,A1)
国際公開第98/037226(WO,A1)
国際公開第02/094778(WO,A1)
Bioorg. Med. Chem. Lett., 8(1998) p.2997-3002
調査した分野 C12N15/
C12Q1/
C12M1/
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)合成樹脂製又は無機材料製で形成された単位重量当たりの表面積が一定の粒子と、一端に前記粒子が他端に第1蛍光基が結合し酵素による切断部位を有する第1化合物と、を備え、前記第1化合物が、アセチル化されたアミノ酸残基を有し、前記酵素により、前記第1蛍光基と前記第1化合物とのペプチド結合が切断され又は前記第1化合物のペプチド結合が切断されることで前記第1蛍光基の蛍光値が増加する酵素活性検出用粒子に、アセチル化されたアミノ酸残基を有する前記第1化合物からアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、前記アセチル基が遊離された前記アミノ酸残基のペプチド結合を選択的に切断する特定酵素と、を含む検体溶液を接触させ反応させる接触反応工程と、(b)前記酵素活性検出用粒子と反応させた前記検体溶液の蛍光測定を行う蛍光測定工程と、を備えていることを特徴とするヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法
【請求項2】
前記第1蛍光基が、フルオレセイン又はその誘導体のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)であることを特徴とする請求項1に記載のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法
【請求項3】
(a)一端に第2蛍光基が他端の原子団に消光剤が結合し酵素による切断部位を有する第2化合物と、前記第2化合物の他端の前記原子団又は前記消光剤と結合した合成樹脂製又は無機材料製で形成された単位重量当たりの表面積が一定の粒子と、を備え、前記第2化合物が、アセチル化されたアミノ酸残基を有し、前記酵素により、前記第2化合物のペプチド結合が切断されることで前記第2蛍光基の蛍光値が増加する酵素活性検出用粒子に、アセチル化されたアミノ酸残基を有する前記第1化合物又は前記第2化合物からアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、前記アセチル基が遊離された前記アミノ酸残基のペプチド結合を選択的に切断する特定酵素と、を含む検体溶液を接触させ反応させる接触反応工程と、(b)前記酵素活性検出用粒子と反応させた前記検体溶液の蛍光測定を行う蛍光測定工程と、を備えていることを特徴とするヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素活性を検出するヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、病理学的診断などの医学的分野やプロテオーム解析等の研究的分野の発展に伴って、複数の酵素の活性を検出する必要性が生じており、酵素の活性を吸収光、蛍光等を用いて溶液中で測定する技術が種々研究されている。
例えば、(特許文献1)には、「タンパク質分解酵素の1種であるカスパーゼが特異的に切断する基質ペプチドの両端を、蛍光共鳴エネルギー移動が起こる蛍光基で修飾した蛍光プローブ」が記載されている。

【特許文献1】特開2000-316598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、溶液中に入れた蛍光プローブの基質ペプチドが酵素によって切断された結果、基質ペプチドの蛍光基の蛍光共鳴エネルギー移動が解除され蛍光波長や蛍光強度が変化するので、これを測定することによって酵素活性を検出するものである。蛍光プローブは、凍結乾燥された粉末の状態か溶液の状態で供給される。粉末の状態で供給された蛍光プローブを使用する場合は、使用時に所定量の粉末を秤量して溶媒に溶解し溶液に調製するのであるが、溶液の調製が不正確だと酵素活性検出の定量性に欠けるため、粉末を高精度で秤量するとともに、調製した溶液中に蛍光プローブが完全に溶解したかどうかを確認しなければならず、測定前の準備が煩雑であり取扱性に欠ける。
(2)近年の医学的分野や研究的分野の発展に伴い測定が必要となる酵素の種類は増加し続け、それに伴い必要な蛍光プローブの種類とその組合せも飛躍的に増加しているので、上述の問題によって、測定前の蛍光プローブ溶液の調製に要する時間と労力も増加し、酵素活性検出作業に占める測定前の準備作業の割合が増大し、測定者の負担が増大している。
(3)凍結乾燥された粉末は吸湿性を有することが多く、この場合は粉末に吸着した吸着水のために粉末が塊状になったり水あめ状になったりするため、秤量の精度が低下し溶液の濃度が不正確になり定量性に欠ける。
(4)溶液の蛍光プローブを使用する場合は、粉末で供給された場合と異なり上述のような問題はなく定量性にも優れるが、一般に蛍光物質は溶液状態では不安定であり長期間の保存に耐えないため保存性に欠ける。
(5)保存性を高めるため冷凍保存されることも多いが、測定時には解凍して用いなければならない等、測定前の蛍光プローブ溶液の準備に手間がかかり作業が煩雑である。
(6)蛍光プローブを製造する際、ペプチド合成用樹脂等の表面に所定のペプチドを合成した後、ペプチド合成用樹脂等からペプチドを切断し精製する必要があり、工程が煩雑で生産性に欠ける。また、粉末状態の蛍光プローブを製造する場合は、精製されたペプチドを凍結乾燥するとともに吸湿しないように密封する必要があり煩雑である。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、検体溶液の蛍光波長の強度を測定することによって、酵素の有無の検出だけでなく検体溶液内の酵素の定量分析も精度良く行うことができ、また吸着水の影響を受け難く秤量誤差も生じ難いため取扱性に優れるとともに測定精度を高め定量性を高めることができ、さらに製造する際には合成したペプチドを切断し精製する工程や凍結乾燥工程等の煩雑な工程が必要なく生産性に著しく優れた酵素活性検出用粒子を用いて、粒子に酵素を含む検体溶液を接触させた後、検体溶液の蛍光強度等を測定するだけで酵素活性を検出することができ、測定時間を短縮化することができ作業性を高め測定効率に優れ、また96ウェルプレート等の蛍光測定用マイクロプレートを利用してイメージセンサ等で広範囲の画像解析を行うことにより、複数の酵素を含む検体溶液の酵素活性を短時間で網羅的に測定し解析することができ測定効率を飛躍的に高めることができ、医薬品に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法は、(a)合成樹脂製又は無機材料製で形成された単位重量当たりの表面積が一定の粒子と、一端に前記粒子が他端に第1蛍光基が結合し酵素による切断部位を有する第1化合物と、を備え、前記第1化合物が、アセチル化されたアミノ酸残基を有し、前記酵素により、前記第1蛍光基と前記第1化合物とのペプチド結合が切断され又は前記第1化合物のペプチド結合が切断されることで前記第1蛍光基の蛍光値が増加する酵素活性検出用粒子に、アセチル化されたアミノ酸残基を有する前記第1化合物からアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、前記アセチル基が遊離された前記アミノ酸残基のペプチド結合を選択的に切断する特定酵素と、を含む検体溶液を接触させ反応させる接触反応工程と、(b)前記酵素活性検出用粒子と反応させた前記検体溶液の蛍光測定を行う蛍光測定工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)粒子と、一端に前記粒子が他端に第1蛍光基が結合し酵素による切断部位を有する第1化合物と、を備えているので、粒子が酵素を含む検体溶液と接触することによって、第1蛍光基が酵素による切断部位で切断されて検体溶液内に遊離し、第1蛍光基の蛍光値が増加するため、検体溶液の蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる。
(2)第1蛍光基が検体溶液中に遊離せず粒子に結合したままであると、蛍光波長を測定する際に、粒子の表面で乱反射する等、粒子の影響を受け易く定量性が低下し測定精度が低下する問題が生ずるが、第1蛍光基が検体溶液中に遊離し、第1蛍光基の蛍光値が増加するので、蛍光波長を測定する際に粒子の影響を受け難く定量性が増し測定精度を高めることができる。
(3)1個当りの粒子の表面積が同一ならば、1個の粒子が結合した第1化合物即ち第1蛍光基の量はほぼ同量であるため、同量の粒子と接触した検体溶液の蛍光波長の強度は、検体溶液内の酵素の濃度に比例する。従って、検体溶液の蛍光波長の強度を測定することによって、酵素の有無の検出だけでなく、検体溶液内の酵素の定量分析も精度良く行うことができる。
(4)粒子の表面に結合した第1化合物が水を吸着しても、粒子の大きさに比べて第1化合物の大きさは著しく小さく、かつ、粒子の表面には微細な凹凸があるため、吸着水によって粒子同士が付着することがないので、塊状や水あめ状になることがなく秤量精度を高めることができるとともに取扱性に優れる。
(5)粒子の表面積が一定ならば1個の粒子の表面に結合した第1化合物の量はほぼ一定であり、かつ、粒子の表面に結合した第1化合物の重量は粒子の重量に比べて著しく小さいので、粒子の秤量誤差が生じ難く、粒子の重量が均一な場合は使用時に一定量の粒子を秤量すれば、第1化合物即ち第1蛍光基の量が検体溶液間でばらつくのを最小限に抑えることができ秤量精度を高め、これにより蛍光強度等の定量性を高め、定量分析精度を高めることができる。
(6)自動ペプチド合成装置を用いて、粒子の表面に第1化合物、第1蛍光基を結合させ合成すれば製造できるため、ペプチド合成用樹脂等を用いて蛍光プローブを製造する場合のように、合成されたペプチド等をペプチド合成用樹脂等から切断し精製する必要がなく、製造工程が煩雑でなく生産性に著しく優れる。また、第1蛍光基が導入された第1化合物を結合させた粒子は、溶媒で洗浄した後は、凍結乾燥を行うことなく減圧下乾燥するだけで製品化でき、生産性を高めることができる。
(7)第1化合物を有しているので、粒子から第1化合物の切断部位までの距離を適正化して粒子の影響を受けずに酵素を作用させることができ、酵素活性を正確に検出することができ検出精度を高めることができる。
(8)第1化合物がアセチル化されたアミノ酸残基を有しているので、基質ペプチド等がアセチル化されている場合には基質ペプチドを切断しないか、若しくは切断活性が有意に低下する特定酵素と接触しても蛍光強度等の変化は検出されない。しかし、この特定酵素と、アセチル化されたペプチドからアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、を含む検体溶液を酵素活性検出用粒子と接触させると、脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、抗癌剤等の候補化合物である脱アセチル化酵素の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤等の候補物質をスクリーニングすることができる。脱アセチル化酵素のひとつであるヒストン脱アセチル化酵素は、細胞周期の進行・分化に関与しており、またヌクレオソーム構造を変化させることにより様々な遺伝子の発現を調節する重要な働きをしており、この調節が崩れることがある種の癌と関連していることが報告されており、さらにヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤が、抗腫瘍効果、白血病の治療に効果的であることが知られているからである。
(9)酵素活性検出用粒子に酵素を含む検体溶液を接触反応させた後、検体溶液の蛍光強度等を測定するだけで酵素活性を検出することができるので、測定時間を短縮化することができ作業性を高め測定効率を高めることができる。
(10)蛍光測定によって酵素活性を検出するので、検出感度と測定精度を高めることができる。
(11)種類の異なるペプチド等の各々に蛍光基が結合した酵素活性検出用粒子を、96ウェルの蛍光測定用マイクロプレートのウェル等に入れた後、各ウェル等の中に検体溶液を注入しイメージセンサ等で広範囲の画像解析を行うことにより、複数の酵素を含む検体溶液の酵素活性を短時間で網羅的に測定し解析することができ測定効率を飛躍的に高めることができる。
(12)第1化合物の基質ペプチド等がアセチル化されている場合には基質ペプチドを切断しないか、若しくは切断活性が有意に低下する特定酵素と、アセチル化されたペプチドからアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、を含む検体溶液を酵素活性検出用粒子と接触させると、脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、抗癌剤等の候補化合物であるヒストン脱アセチル化酵素等の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤等の候補物質を容易かつ迅速にスクリーニングすることができる。なお、既存のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法は、培養細胞の培地中に放射能標識された酢酸を添加し代謝的に放射能標識したヒストンを用いる方法、蛍光物質で標識したアセチル化リジンを用い反応生成物を逆相HPLCで分離して測定する方法等の非常に煩雑な方法が用いられていた。
【0006】
ここで、粒子としては、ポリスチレン等の合成樹脂製、シリカゲル,ガラス製等の無機材料製で、略球状,多面体状,破砕状に形成されたものが用いられる。なかでも、略球状や多面体状に形成されたものが好適に用いられる。粒子の形状を画一化することができるので、単位重量当たりの粒子の表面積を一定にすることができ、粒子の重量と表面積とを正比例の関係にすることができ、1個の粒子に結合した蛍光基の量がわかれば、粒子の重量を均一にしておけば粒子を秤量することによって、全粒子に結合した蛍光基の量を見積ることができ、測定された蛍光強度から検体溶液内の酵素の定量分析を行うことができるからである。
合成樹脂の材質としては、ペプチド結合を形成するための縮合反応に用いられるクロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、N,N-ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒、ジオキサン,テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール,エタノール等のアルコール類、ピリジン等の溶媒に不溶性のものが用いられる。ミモートプス社製ランタンシリーズ(登録商標)等の市販の固相有機合成用担体も用いることができる。
【0007】
粒子の粒径としては、0.05~0.5mmのものが好適に用いられる。市販の自動ペプチド合成装置を用いて、粒子の表面にペプチド等を結合させることができるからである。
粒子は、表面をポリエチレングリコールで被覆したものが好適に用いられる。親水性及び溶媒に対する膨潤性を高めることができるからである。
【0008】
第1化合物としては、アミノ酸、2個以上のアミノ酸がペプチド結合し酵素の特定の切断部位を含む基質ペプチドが用いられる。また、基質ペプチドにペプチド又はその他の化合物や分子が結合した分子鎖を有するものも用いることができる。
第1化合物は、C末端のアミノ酸を粒子上に固定しペプチドをC末端から伸長していく固相法等の通常のペプチド合成法を用いて合成することができる。また、目的とするアミノ酸配列のC末端側からN末端側へ逐次伸長していく逐次伸長法や、複数の短いペプチド断片を合成しペプチド断片間のカップリングにより伸長させる断片縮合法等を用いることができる。また、ペプチド合成機を用いて9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)アミノ酸やt-ブチルオキシカルボニル(Boc)アミノ酸等を導入して合成することもできる。さらに、プロテアーゼを用いてペプチド結合を生成したり、遺伝子工学を利用して合成することもできる。
【0009】
第1化合物においてペプチド結合を形成するための縮合方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、DCC-アディティブ法、活性エステル法、カルボニルジイミダゾール法、酸化還元法、ウッドワード試薬Kを用いる方法等が用いられる。
縮合反応を行う前に、公知の手段により、アミノ酸やペプチド中の反応に関与しないカルボキシル基,アミノ基等を保護したり、また反応に関与するカルボキシル基,アミノ基を活性化することもできる。
【0010】
第1蛍光基としては、酵素によって第1化合物がペプチド結合の切断部位で切断される前後において蛍光基の性質が変わり、蛍光波長や蛍光強度に変化が生じるものが用いられる。また、濃度消光現象に由来して蛍光波長や蛍光強度の変化が生じる蛍光基も用いられる。濃度消光現象とは、蛍光基が粒子上で互いに近接しているときと検体溶液中に遊離して蛍光基間の距離が離れているときとで蛍光波長や蛍光強度が変化する現象をいう。
このような第1蛍光基としては、例えば、4-メチルクマリル-7-アミド(MCA)、7-アミノ-4-カルボキシメチルクマリン(ACC)、p-ニトロアニリド、α-ナフチルアミド、α-ナフチルエステル、フルオレセイン又はその誘導体等が用いられる。
これにより、粒子から遊離した第1蛍光基の蛍光波長や蛍光強度は、遊離前の第1蛍光基のものとは異なるので、特定波長領域における蛍光強度を指標として、酵素による切断量を測定することができる。
【0011】
検出可能な酵素としては、トロンビン、プラスミン、ウロキナーゼ、エラスターゼ、コラゲナーゼ等ペプチドを切断する酵素全てを挙げることができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法は、前記第1蛍光基が、フルオレセイン又はその誘導体のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)である構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)薬やビタミン剤等を服用している被験者の尿中には薬等に含まれる雑多な蛍光物質が出る。これらの蛍光物質は蛍光波長が400nm付近のものが多いため、尿を検体溶液としてそのまま用いる場合、蛍光波長を400nm付近にもつ第1蛍光基は使用できない。薬等に含まれる蛍光物質の蛍光と、酵素活性によって検体溶液内に遊離した第1蛍光基の蛍光とを区別できないからである。フルオレセインは525nm前後の蛍光を発するので、薬等に含まれる蛍光物質の蛍光波長と区別することができ、薬やビタミン剤等を服用している被験者の尿もそのまま検体溶液として用いることができ汎用性に優れる。
【0013】
ここで、フルオレセイン誘導体としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)等が用いられる。
【0014】
本発明の請求項3に記載のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法は、(a)一端に第2蛍光基が他端の原子団に消光剤が結合し酵素による切断部位を有する第2化合物と、前記第2化合物の他端の前記原子団又は前記消光剤と結合した合成樹脂製又は無機材料製で形成された単位重量当たりの表面積が一定の粒子と、を備え、前記第2化合物が、アセチル化されたアミノ酸残基を有し、前記酵素により、前記第2化合物のペプチド結合が切断されることで前記第2蛍光基の蛍光値が増加する酵素活性検出用粒子に、アセチル化されたアミノ酸残基を有する前記第2化合物からアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、前記アセチル基が遊離された前記アミノ酸残基のペプチド結合を選択的に切断する特定酵素と、を含む検体溶液を接触させ反応させる接触反応工程と、(b)前記酵素活性検出用粒子と反応させた前記検体溶液の蛍光測定を行う蛍光測定工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)酵素によって第2化合物の切断部位でペプチド結合が切断されると、消光剤と第2蛍光基との距離が離れることによって第2蛍光基の蛍光値が増加し、第2蛍光基の蛍光スペクトルが変化するので、このスペクトル変化を酵素活性の測定指標にすることができ、これにより、蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる。
(2)粒子と、一端に前記粒子が他端に第2蛍光基が結合し酵素による切断部位を有する第2化合物と、を備えているので、粒子が酵素を含む検体溶液と接触することによって、第2蛍光基が酵素による切断部位で切断されて検体溶液内に遊離し、第2蛍光基の蛍光値が増加するため、検体溶液の蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる。
(3)第2蛍光基が検体溶液中に遊離せず粒子に結合したままであると、蛍光波長を測定する際に、粒子の表面で乱反射する等、粒子の影響を受け易く定量性が低下し測定精度が低下する問題が生ずるが、第2蛍光基が検体溶液中に遊離し、第2蛍光基の蛍光値が増加するので、蛍光波長を測定する際に粒子の影響を受け難く定量性が増し測定精度を高めることができる。
(4)1個当りの粒子の表面積が同一ならば、1個の粒子が結合した第2化合物即ち第2蛍光基の量はほぼ同量であるため、同量の粒子と接触した検体溶液の蛍光波長の強度は、検体溶液内の酵素の濃度に比例する。従って、検体溶液の蛍光波長の強度を測定することによって、酵素の有無の検出だけでなく、検体溶液内の酵素の定量分析も精度良く行うことができる。
(5)粒子の表面に結合した第2化合物が水を吸着しても、粒子の大きさに比べて第2化合物の大きさは著しく小さく、かつ、粒子の表面には微細な凹凸があるため、吸着水によって粒子同士が付着することがないので、塊状や水あめ状になることがなく秤量精度を高めることができるとともに取扱性に優れる。
(6)粒子の表面積が一定ならば1個の粒子の表面に結合した第2化合物の量はほぼ一定であり、かつ、粒子の表面に結合した第2化合物の重量は粒子の重量に比べて著しく小さいので、粒子の秤量誤差が生じ難く、粒子の重量が均一な場合は使用時に一定量の粒子を秤量すれば、第2化合物即ち第2蛍光基の量が検体溶液間でばらつくのを最小限に抑えることができ秤量精度を高め、これにより蛍光強度等の定量性を高め、定量分析精度を高めることができる。
(7)自動ペプチド合成装置を用いて、粒子の表面に第2化合物、第2蛍光基を結合させ合成すれば製造できるため、ペプチド合成用樹脂等を用いて蛍光プローブを製造する場合のように、合成されたペプチド等をペプチド合成用樹脂等から切断し精製する必要がなく、製造工程が煩雑でなく生産性に著しく優れる。また、第1蛍光基が導入された第2化合物を結合させた粒子は、溶媒で洗浄した後は、凍結乾燥を行うことなく減圧下乾燥するだけで製品化でき、生産性を高めることができる。
(8)第2化合物を有しているので、粒子から第2化合物の切断部位までの距離を適正化して粒子の影響を受けずに酵素を作用させることができ、酵素活性を正確に検出することができ検出精度を高めることができる。
(9)第2化合物がアセチル化されたアミノ酸残基を有しているので、基質ペプチド等がアセチル化されている場合には基質ペプチドを切断しないか、若しくは切断活性が有意に低下する特定酵素と接触しても蛍光強度等の変化は検出されない。しかし、この特定酵素と、アセチル化されたペプチドからアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、を含む検体溶液を酵素活性検出用粒子と接触させると、脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、抗癌剤等の候補化合物である脱アセチル化酵素の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤等の候補物質をスクリーニングすることができる。脱アセチル化酵素のひとつであるヒストン脱アセチル化酵素は、細胞周期の進行・分化に関与しており、またヌクレオソーム構造を変化させることにより様々な遺伝子の発現を調節する重要な働きをしており、この調節が崩れることがある種の癌と関連していることが報告されており、さらにヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤が、抗腫瘍効果、白血病の治療に効果的であることが知られているからである。
(10)酵素活性検出用粒子に酵素を含む検体溶液を接触反応させた後、検体溶液の蛍光強度等を測定するだけで酵素活性を検出することができるので、測定時間を短縮化することができ作業性を高め測定効率を高めることができる。
(11)蛍光測定によって酵素活性を検出するので、検出感度と測定精度を高めることができる。
(12)種類の異なるペプチド等の各々に蛍光基が結合した酵素活性検出用粒子を、96ウェルの蛍光測定用マイクロプレートのウェル等に入れた後、各ウェル等の中に検体溶液を注入しイメージセンサ等で広範囲の画像解析を行うことにより、複数の酵素を含む検体溶液の酵素活性を短時間で網羅的に測定し解析することができ測定効率を飛躍的に高めることができる。
(13)第2化合物の基質ペプチド等がアセチル化されている場合には基質ペプチドを切断しないか、若しくは切断活性が有意に低下する特定酵素と、アセチル化されたペプチドからアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、を含む検体溶液を酵素活性検出用粒子と接触させると、脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、抗癌剤等の候補化合物であるヒストン脱アセチル化酵素等の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤等の候補物質を容易かつ迅速にスクリーニングすることができる。なお、既存のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法は、培養細胞の培地中に放射能標識された酢酸を添加し代謝的に放射能標識したヒストンを用いる方法、蛍光物質で標識したアセチル化リジンを用い反応生成物を逆相HPLCで分離して測定する方法等の非常に煩雑な方法が用いられていた。
【0015】
ここで、消光剤としては、第2蛍光基の蛍光励起波長に相当する光を吸収する物質、第2蛍光基との間のゆるい結合により無発光複合体を形成する物質、第2蛍光基と蛍光共鳴エネルギー移動が起こる物質等が用いられる。
蛍光共鳴エネルギー移動とは、第2蛍光基と消光剤が距離的に近い位置に存在するとき、消光剤(アクセプター)の励起スペクトルと第2蛍光基(ドナー)の蛍光スペクトルとが重なりをもつ場合、第2蛍光基の励起波長のエネルギーを当てると消光剤が励起エネルギーを奪い、本来観察されるはずの第2蛍光基の蛍光が減衰する現象をいう。
【0016】
第2蛍光基や消光剤としては、蛍光共鳴エネルギー移動が起こるドナーとアクセプターの組合せを用いることができる。例えば、第2蛍光基の蛍光波長と重なる波長域に吸収帯をもつ原子団である消光剤等が用いられる。具体的には、(7-メトキシクマリン-4-イル)アセチル(MOAc),アントラニロイルベンジル(ABz),N-メチルアントラニル酸(Nma)等とジニトロフェニル(Dnp)の組合せ、DabsylとEDANS(5-(2・アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸)の組合せ、トリプトファン(Trp)と5-ジメチルアミノ-1-ナフタレンスルホン酸(Dns)の組合せ、カルボキシジクロロフルオレセイン(CDCF)とカルボキシメチルローダミン(CTMR)の組合せ、カルボキシジクロロフルオレセイン(CDCF)とカルボキシX-ローダミン(CXR)の組合せ、ルシファーイエロー(LY)とカルボキシメチルローダミン(CTMR)の組合せ等が用いられる。
【0017】
第2化合物としては、アミノ酸、2個以上のアミノ酸がペプチド結合し酵素の特定の切断部位を含む基質ペプチドが用いられる。また、基質ペプチドにペプチド又はその他の化合物や分子が結合した分子鎖を有するものも用いることができる。
第2化合物の原子団又は消光剤は、粒子と直接結合してもよいし、ペプチド又はその他の化合物や分子が結合した分子鎖を介して粒子と結合してもよい。
なお、消光剤と粒子との結合、第2化合物の原子団と消光剤との結合、第2化合物の原子団と粒子との結合は、酵素によって切断されないアミド結合,エステル結合,エーテル結合,チオエーテル結合,ウレタン結合等が用いられる。消光剤が酵素によって切断されて粒子から遊離することでも第2蛍光基の蛍光スペクトルに変化が生じるが、第2化合物のアミノ酸配列に依存した酵素活性は検出できないからである。
【0018】
第2化合物に結合した第2蛍光基と消光剤の結合部間の長さは、100Å以下であることが望ましい。第2蛍光基と消光剤との結合部間の距離が長くなるにつれ蛍光強度等の変化が小さくなる傾向がみられ、100Åより長くなるとこの傾向が著しく蛍光強度の変化が著しく小さくなり感度が低下するからである。
【0019】
活性を検出できる酵素としては、例えば、トリプシン,キモトリプシン,トロンビン,プラスミン,カリクレイン,ウロキナーゼ,エラスターゼ等のセリンプロテアーゼ、ペプシン,カテプシンD,レニン,キモシン等のアスパラギン酸プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼA,B,コラゲナーゼ,サーモリシン等のメタロプロテアーゼ、カテプシンB,H,L,カルパイン等のシステインプロテアーゼ等の内部のペプチド結合を切断するエンドペプチダーゼ、血液凝固系プロテアーゼ、捕体系プロテアーゼ、ホルモンプロセシング酵素等を挙げることができる。
【0020】
なお、粒子としては、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0022】
ここで、第1化合物や第2化合物の基質ペプチドのアミノ酸残基をアセチル化する方法としては、αアミノ基と側鎖のアミノ基を保護基でブロックしてあるアミノ酸を、酢酸無水物やN-ヒドロキシスクシンイミドアセテート等を用いてアセチル化する方法が挙げられる。
【0024】
ここで、酵素を含む検体溶液としては、病理診断などの対象となる血液や尿を含む体液や培養液等を用いることができる。検体溶液は生体試料(血液等)をそのまま、あるいはフィルタや遠心分離等で血球成分等を除去したものを用いることができる。また、生体試料を基に酵素が活性を発現するような条件設定(pH調整、活性剤導入など)を行ったものを使用することもできる。pH調整剤としては、Tris-HCl,Hepes-KOH等の緩衝剤を反応バッファーとして添加することができる。また、酵素活性の発現に必要な塩類や活性保護剤を添加することもできる。
【0025】
検体溶液の蛍光測定は、蛍光分光光度計を用いる方法の他、発光ダイオード等の発光素子からの光を蛍光基の励起波長を通過するフィルタを通して検体溶液に照射し、検体溶液の蛍光を検出することができる位置に配置したCCD等の受光素子で蛍光強度等を測定する方法を用いることもできる。
【0027】
ここで、脱アセチル化酵素としては、ヒストン脱アセチル化酵素等を挙げることができる。
【0028】
特定酵素としては、リジルエンドペプチダーゼ、プラスミン、カルバイン、トリプシン、メタロプロテアーゼ、ナラタケ(Armillaria mellea)プロテアーゼ等を挙げることができる。これらのペプチダーゼは、ペプチド中のリジン残基のアミノ基がアセチル化されたペプチドを切断しないか切断活性が有意に低下するので、好適に用いられる。
【0029】
検体溶液としては、請求項5で説明したものと同様なので、説明を省略する。
検体溶液中の特定酵素の濃度は、与えられた条件下で第1化合物や第2化合物の基質ペプチドを十分に切断することができる濃度に設定される。例えば、基質ペプチドの全てが脱アセチル化によって切断可能となった場合にも、与えられた測定条件のもとで十分に切断活性を存在させる濃度にすることが望ましい。特定酵素の切断活性が不足して脱アセチル化酵素の活性阻害物質の効果が低く見積られるのを防止するためである。
【0030】
通液路の上流に形成された入液口と、前記入液口の下流に形成された出液口と、を備えた容器と、前記通液路に収容され前記容器内に保持された請求項1乃至3の内いずれか1に記載の酵素活性検出用粒子と、を備えた酵素活性検出具は、その構成により、以下のような作用が得られる。
(1)通液路の上流に形成された入液口と、入液口の下流に形成された出液口と、を備えた容器と、通液路に充填され容器内に保持された酵素活性検出用粒子と、を備えているので、入液口から尿等の検体溶液を容器内へ入れ、酵素活性検出用粒子と接触反応させた後に出液口から出た検体溶液の蛍光強度等を測定することによって、検体溶液中に活性を有する酵素が含まれる場合は蛍光基が検体溶液中に遊離するので、検体溶液の蛍光強度等を指標として、検体溶液に活性を有する酵素が含まれているかどうかを簡単に検出することができる。
(2)測定を終えた後は、新しいものと容器毎交換することによって、新たな測定ができ取扱性に優れる。
(3)酵素活性検出用粒子と接触した後に出液口から出た検体溶液の蛍光強度等を測定するため、酵素活性検出用粒子の蛍光に影響されずに検体溶液の測定を行うことができるので、酵素活性検出用粒子から切り離されることによる蛍光変化の大きさを考慮せずに蛍光基を選択することができ自在性に優れる。粒子から切り離される前後の蛍光変化が小さい蛍光基を用いると、蛍光測定用マイクロプレート等を用いて微量の検体溶液の蛍光波長等を測定する場合に粒子の蛍光波長等の影響を受け易く、定量性が低下し測定精度が低下する問題が生ずるため、蛍光変化の大きさを考慮して蛍光基を選択しなければならないからである。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)同量の粒子と接触した検体溶液の蛍光波長の強度は、検体溶液内の酵素の濃度に比例するため、検体溶液の蛍光波長の強度を測定することによって、酵素の有無の検出だけでなく、検体溶液内の酵素の定量分析も精度良く行うことができる酵素活性検出用粒子を提供することができる。また、蛍光波長を測定する際に粒子の影響を受け難く定量性が増し高い測定精度が得られるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(2)吸着水によって粒子同士が付着することがないので、塊状や水あめ状になることがなく秤量精度を高めることができるとともに取扱性に優れたヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(3)粒子の秤量誤差が生じ難く、使用時に一定量の粒子を秤量すれば、第1化合物及び第1蛍光基の量が検体溶液間でばらつくのを最小限に抑えることができ秤量精度を高め定量性を高めることができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(4)自動ペプチド合成装置を用いて、粒子の表面に第1化合物と第1蛍光基とを結合させ合成すれば製造できるため、ペプチドを切断する工程、精製する工程、凍結乾燥工程等の煩雑な工程が必要なく生産性に著しく優れた酵素活性検出用粒子を使用したヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法提供することができる。
(5)粒子と切断部位との距離を適正化して粒子の影響を受けずに酵素を作用させることができ、酵素活性の検出精度の高いヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(6)特定酵素と、アセチル化されたペプチドからアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、を含む検体溶液を酵素活性検出用粒子と接触させると、脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、脱アセチル化酵素の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、脱アセチル化酵素の活性阻害物質を迅速にスクリーニングすることができ、抗癌剤、白血病治療剤等の新薬の開発に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(7)酵素活性検出用粒子に酵素を含む検体溶液を接触反応させた後、検体溶液の蛍光強度等を測定するだけで酵素活性を検出することができるので、測定時間を短縮化することができ作業性を高め測定効率に優れた酵素活性の検出方法を提供することができる。
(8)蛍光測定によって酵素活性を検出するので、検出感度と測定精度を高めることができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(9)種類の異なるペプチド等の各々に蛍光基が結合した酵素活性検出用粒子を、96ウェルの蛍光測定用マイクロプレートのウェル等に入れた後、各ウェル等の中に検体溶液を注入しイメージセンサ等で広範囲の画像解析を行うことにより、複数の酵素を含む検体溶液の酵素活性を短時間で網羅的に測定し解析することができ測定効率を飛躍的に高めることができ、医薬品に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(10)脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、抗癌剤等の候補化合物であるヒストン脱アセチル化酵素等の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤等の候補物質を容易かつ迅速にスクリーニングすることができ、新薬の開発に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
【0032】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)フルオレセインの蛍光波長は薬等に含まれる蛍光物質の蛍光波長と区別することができ、薬やビタミン剤等を服用している被験者の尿もそのまま検体溶液として用いることができ汎用性に優れたヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
【0033】
請求項3に記載の発明によれば、
(1)酵素によって基質ペプチドのペプチド結合が切断されると、第2蛍光基と消光剤との距離が離れることにより相互作用が起こらなくなり、第2蛍光基からの蛍光スペクトルへのスペクトル変化を酵素活性の測定指標にすることができ、これにより、蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(2)同量の粒子と接触した検体溶液の蛍光波長の強度は、検体溶液内の酵素の濃度に比例するため、検体溶液の蛍光波長の強度を測定することによって、酵素の有無の検出だけでなく、検体溶液内の酵素の定量分析も精度良く行うことができる酵素活性検出用粒子を提供することができる。また、蛍光波長を測定する際に粒子の影響を受け難く定量性が増し高い測定精度が得られるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(3)吸着水によって粒子同士が付着することがないので、塊状や水あめ状になることがなく秤量精度を高めることができるとともに取扱性に優れた酵素活性検出用粒子を使用したヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法提供することができる。
(4)粒子の秤量誤差が生じ難く、使用時に一定量の粒子を秤量すれば、第2化合物及び第2蛍光基の量が検体溶液間でばらつくのを最小限に抑えることができ秤量精度を高め定量性を高めることができる酵素活性検出用粒子を使用したヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(5)自動ペプチド合成装置を用いて、粒子の表面に第2化合物第2蛍光基とを結合させ合成すれば製造できるため、ペプチドを切断する工程、精製する工程、凍結乾燥工程等の煩雑な工程が必要なく生産性に著しく優れた酵素活性検出用粒子を使用したヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(6)粒子と切断部位との距離を適正化して粒子の影響を受けずに酵素を作用させることができ、酵素活性の検出精度の高い酵素活性検出用粒子を提供することができる。
(7)特定酵素と、アセチル化されたペプチドからアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素と、を含む検体溶液を酵素活性検出用粒子と接触させると、脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、脱アセチル化酵素の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、脱アセチル化酵素の活性阻害物質を迅速にスクリーニングすることができ、抗癌剤、白血病治療剤等の新薬の開発に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(8)酵素活性検出用粒子に酵素を含む検体溶液を接触反応させた後、検体溶液の蛍光強度等を測定するだけで酵素活性を検出することができるので、測定時間を短縮化することができ作業性を高め測定効率に優れた酵素活性の検出方法を提供することができる。
(9)蛍光測定によって酵素活性を検出するので、検出感度と測定精度を高めることができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(10)種類の異なるペプチド等の各々に蛍光基が結合した酵素活性検出用粒子を、96ウェルの蛍光測定用マイクロプレートのウェル等に入れた後、各ウェル等の中に検体溶液を注入しイメージセンサ等で広範囲の画像解析を行うことにより、複数の酵素を含む検体溶液の酵素活性を短時間で網羅的に測定し解析することができ測定効率を飛躍的に高めることができ、医薬品に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
(11)脱アセチル化酵素によってペプチドからアセチル基が遊離され、アセチル基が遊離されたペプチドは特定酵素によって切断され特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、抗癌剤等の候補化合物であるヒストン脱アセチル化酵素等の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤等の候補物質を容易かつ迅速にスクリーニングすることができ、新薬の開発に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図
【図2】実施の形態2における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図
【図3】実施の形態2における酵素活性検出用粒子の変形例の模式図
【図4】実施の形態3における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図
【図5】実施の形態4における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図
【図6】実施の形態5における酵素活性検出具の模式図
【符号の説明】
【0039】
1 酵素活性検出用粒子
2 粒子
3 第1化合物
4 第1蛍光基
5 酵素
6 第1蛍光基
10 酵素活性検出用粒子
11 第2化合物
12 消光剤
13 第2蛍光基
14 酵素
15 第2蛍光基
20 酵素活性検出用粒子
21 第1化合物
22 第1蛍光基
23 脱アセチル化酵素
24 特定酵素
30 酵素活性検出用粒子
31 第2化合物
32 消光剤
33 第2蛍光基
34 脱アセチル化酵素
35 特定酵素
36 第2蛍光基
40 酵素活性検出具
41 容器
42 通液路
43 入液口
44 出液口
45,46 フィルタ
47 酵素活性検出用粒子
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図である。
図中、1は実施の形態1における酵素活性検出用粒子、2はハロゲン化炭化水素類,エステル類等の溶媒に不溶性の合成樹脂(ポリスチレン等)製やガラス製等で略球状や多面体状等に形成された粒子、3は一端に粒子2が結合したアミノ酸,ペプチド等の第1化合物である。第1化合物3のXは任意のアミノ酸残基を示している。4は第1化合物3の他端に結合し第1化合物3とのペプチド結合や第1化合物3の切断部位が後述する酵素5によって切断される前後において、蛍光波長や蛍光強度に変化が生じる蛍光基の1種である4-メチルクマリル-7-アミド(MCA),フルオレセインイソチオシアネート(FITC)等の第1蛍光基、5は第1蛍光基4と第1化合物3とのペプチド結合や第1化合物3の基質ペプチドを特定の切断部位で選択的に切断する検体溶液中のメタロプロテアーゼ等の基質特異性を有する酵素、6は酵素5によって第1化合物3の切断部位で切断されたことにより遊離し蛍光波長等が変化した第1蛍光基である。
【0041】
以上のように構成された酵素活性検出用粒子1は、ペプチド等の第1化合物3をC末端から伸長していく固相法等の通常のペプチド合成法、目的とするアミノ酸配列のC末端側からN末端側へ逐次伸長していく逐次伸長法、複数の短いペプチド断片を合成しペプチド断片間のカップリングにより伸長させる断片縮合法、ペプチド合成機を用いてFmoc法、Boc法等を導入して合成する方法等を用いて合成することができる。
【0042】
以上のように構成された実施の形態1における酵素活性検出用粒子について、以下その酵素活性の検出原理を説明する。
図1(a)に示す酵素活性検出用粒子1の4-メチルクマリル-7-アミド(MCA),フルオレセインイソチオシアネート(FITC)等の第1蛍光基4は特定波長領域において非蛍光物質であり、また粒子2の表面に高密度に存在しているときは濃度消光により蛍光強度が弱い。この酵素活性検出用粒子1に酵素5を含む検体溶液を接触させ反応させると、基質特異性を有するメタロプロテアーゼ等の酵素5は、第1蛍光基4と第1化合物3との間のペプチド結合や第1化合物3の基質ペプチドを特定の切断部位で選択的に切断する。
第1化合物3と遊離した第1蛍光基6は7-アミノ-メチルクマリン(AMC)等の蛍光物質となったり、粒子2から離れることで濃度消光の効果が減少し、第1蛍光基6の蛍光波長又は該特定波長領域における蛍光強度は、第1化合物3とペプチド結合した第1蛍光基4とは異なるので、検体溶液の蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる(図1(b)参照)。
【0043】
以上のように、実施の形態1における酵素活性検出用粒子は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)粒子2と、粒子2が一端に第1蛍光基4が他端に結合し検体溶液中の酵素5による切断部位を有する第1化合物3と、を備えているので、粒子2が酵素5を含む検体溶液と接触反応することによって、検体溶液の蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる。
(2)粒子2の表面に結合した第1化合物3に水が吸着しても、粒子2の大きさに比べて第1化合物3の大きさは著しく小さく、かつ、粒子2の表面には微細な凹凸があるため、吸着水によって粒子2同士が付着することがないので、塊状や水あめ状になることがなく秤量精度を高めることができるとともに取扱性に優れる。
(3)自動ペプチド合成装置を用いて、粒子2の表面に第1化合物3,第1蛍光基4を結合させ合成すれば製造できるため、合成されたペプチド等を切断し精製する工程が不要で生産性を高めることができる。
(4)第1化合物3を有しているので、粒子2と切断部位(本実施の形態の場合は第1蛍光基4と第1化合物3との間のペプチド結合)との距離を適正化して粒子2の影響を受けずに酵素5を作用させることができ、酵素活性を正確に検出することができ検出精度を高めることができる。
【0044】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、10は実施の形態2における酵素活性検出用粒子、11は後述する検体溶液中の酵素14の特定の切断部位を含む基質ペプチド,基質ペプチドにペプチド又はその他の化合物や分子が結合した分子鎖等の第2化合物である。第2化合物11のX,Yは任意のアミノ酸残基等の原子団を示しており、端部の原子団Yが粒子2と結合している。12は第2化合物11の原子団Yと結合するジニトロフェニル(Dnp),5-ジメチルアミノ-1-ナフタレンスルホン酸(Dns)等の消光剤、13は第2化合物11の他端に導入され消光剤12と蛍光共鳴エネルギー移動がみられる(7-メトキシクマリン-4-イル)アセチル(MOAc),トリプトファン(Trp)等の第2蛍光基である。消光剤12と第2蛍光基13は互いに蛍光に影響を及ぼす相互作用がみられる距離(100Å以下)で結合している。14は検体溶液中に存在するセリンプロテアーゼ,アスパラギン酸プロテアーゼ,メタロプロテアーゼ,システインプロテアーゼ等の酵素、15は第2化合物11が酵素14の基質特異性によって特定の切断部位で切断され遊離されたことにより蛍光波長等が変化した第2蛍光基である。
【0045】
以上のように構成された実施の形態2における酵素活性検出用粒子について、以下その酵素活性の検出原理を説明する。
図2(a)に示す酵素活性検出用粒子10の消光剤12と第2蛍光基13は、互いに蛍光に影響を及ぼす相互作用がみられる距離で結合しているので、消光剤12の吸収スペクトルと第2蛍光基13の蛍光スペクトルとが重なりをもち、第2蛍光基13の励起波長のエネルギーを当てると本来観察されるはずの第2蛍光基13の蛍光の減衰が観察される。
酵素活性検出用粒子10に酵素14を含む検体溶液を接触させ反応させると、基質特異性を有する酵素14は、第2化合物11のペプチド結合を切断する。
第2蛍光基13が粒子2から遊離すると、第2蛍光基13と消光剤12との間で蛍光に影響を及ぼす相互作用がみられなくなるので、検体溶液に第2蛍光基13の励起波長のエネルギーを当てると、検体溶液との接触前には観察されなかった第2蛍光基15の蛍光波長が観察されるようになり、酵素14の反応前の蛍光波長とは異なるため、蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる(図2(b)参照)。
【0046】
以上のように実施の形態2における酵素活性検出用粒子は構成されているので、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)消光剤12と第2蛍光基13を選択することにより、第2蛍光基13の蛍光波長を可視部領域に設定することが可能になるので、市販のCCDカメラ等の可視光検出装置を用いて測定することが可能になり汎用性に優れる。
(2)第2化合物11はアミノ酸配列を自由に選択することができるため、酵素14として、N末端側及びC末端側のペプチド結合を選択的に切断する酵素、個々のアミノ酸に対する基質特異性が高くなく切断作用の発現に比較的長いペプチド鎖を必要とするエラスターゼ等の酵素の検出もできるようにすることができ、検出できる酵素の種類を増やすことができ応用性に優れる。
【0047】
図3は実施の形態2における酵素活性検出用粒子の変形例を示す模式図である。なお、実施の形態2と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、10aは変形例の酵素活性検出用粒子、12aは第2化合物11の端部のアミノ酸残基等の原子団Yと結合した消光剤であり、消光剤12aは粒子2とも結合している。
変形例の酵素活性検出用粒子10aの場合も、実施の形態2で説明したように、酵素によって第2化合物11の切断部位でペプチド結合が切断されると、消光剤12aと第2蛍光基13との距離が離れることによって第2蛍光基13の蛍光スペクトルが変化するので、このスペクトル変化を酵素活性の測定指標にすることができ、検体溶液の蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、20は実施の形態3における酵素活性検出用粒子、21は一端が粒子2の表面と結合するペプチド等の第1化合物である。第1化合物21のXは任意のアミノ酸残基であり、Zはアセチル化されたリジン等のアミノ酸残基である。22は第1化合物21のアミノ酸残基Xとペプチド結合したフルオレセインイソチオシアネート(FITC)等の第1蛍光基、23はアセチル化されたアミノ酸残基Zからアセチル基(Ac)を遊離させる反応を触媒する検体溶液中のヒストン脱アセチル化酵素等の脱アセチル化酵素、24は第1化合物21のアミノ酸残基Zのペプチド結合を選択的に切断する検体溶液中のメタロプロテアーゼ等の特定酵素である。
【0049】
以上のように構成された実施の形態3における酵素活性検出用粒子について、以下その酵素活性の検出原理を説明する。
図4(a)に示す酵素活性検出用粒子20のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)等の第1蛍光基22は濃度消光により蛍光強度が弱い。この酵素活性検出用粒子20に脱アセチル化酵素23と特定酵素24とを含む検体溶液を接触させ反応させると、脱アセチル化酵素23が第1化合物21のアミノ酸残基Zからアセチル基(Ac)を遊離させる。なお、メタロプロテアーゼ等の特定酵素24は、第1化合物21のアミノ酸残基Zがアセチル化されている間は、ペプチド結合を切断しないか、若しくは切断活性が有意に低下し、活性をほとんど示さない。
第1化合物21のアミノ酸残基Zからアセチル基が遊離されると、メタロプロテアーゼ等の特定酵素24は、図4(b)に示すように、アセチル基(Ac)が遊離されたアミノ酸残基ZのC末端側を選択的に切断する。
粒子2から遊離した第1蛍光基22の蛍光波長又は該特定波長領域における蛍光強度は、粒子2と結合した第1蛍光基22とは異なるので、検体溶液の蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる(図4(c)参照)。
従って、脱アセチル化酵素23の活性を阻害する脱アセチル化酵素活性阻害物質を検体溶液が含む場合、脱アセチル化酵素活性阻害物質を検体溶液が含まない場合の各々の蛍光強度等を測定し比較することによって、その脱アセチル化酵素活性阻害物質が有効か否かの判定をすることができる。
【0050】
以上のように実施の形態3における酵素活性検出用粒子は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)第1化合物21のアミノ酸残基Zがアセチル化されている場合にはペプチド結合を切断しないか、若しくは切断活性が有意に低下する特定酵素24と接触しても蛍光強度等の変化は検出されない。しかし、特定酵素24と、アセチル化された第1化合物21からアセチル基を遊離させる脱アセチル化酵素23と、を含む検体溶液を酵素活性検出用粒子20と接触させると、脱アセチル化酵素23によって第1化合物21からアセチル基が遊離され、第1化合物21は特定酵素によって切断され、遊離された第1蛍光基22が特定波長の蛍光を示すので、その検体溶液の蛍光強度等を基準にすれば、抗癌剤等の候補化合物である脱アセチル化酵素の活性の阻害物質が、検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤,抗腫瘍薬,白血病治療薬等の候補物質をスクリーニングすることができる。
【0051】
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4における酵素活性検出用粒子の酵素活性検出原理を示す模式図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、30は実施の形態4における酵素活性検出用粒子、31は一端が粒子2の表面と結合したアミノ酸,ペプチド等の第2化合物である。第2化合物31のXは任意のアミノ酸残基からなる原子団であり、Zはアセチル化されたリジン等のアミノ酸残基である。32は第2化合物31の一端側に導入されたジニトロフェニル(Dnp),5-ジメチルアミノ-1-ナフタレンスルホン酸(Dns)等の消光剤、33は第2化合物31の他端に導入され消光剤32と互いに蛍光に影響を及ぼす相互作用がみられる距離(100Å以下)で結合した(7-メトキシクマリン-4-イル)アセチル(MOAc),トリプトファン(Trp)等の第2蛍光基、34はアセチル化されたアミノ酸残基Zからアセチル基(Ac)を遊離させる反応を触媒する検体溶液中のヒストン脱アセチル化酵素等の脱アセチル化酵素、35は第2化合物31のアミノ酸残基ZのC末端側のペプチド結合を選択的に切断する検体溶液中のリジルエンドペプチダーゼ、プラスミン、カルバイン、トリプシン、メタロプロテアーゼ、ナラタケ(Armillaria mellea)プロテアーゼ等の特定酵素、36は第2化合物31が特定酵素35によって切断され遊離されたことにより蛍光波長等が変化した第2蛍光基である。
【0052】
以上のように構成された実施の形態4における酵素活性検出用粒子について、以下その酵素活性の検出原理を説明する。
図5(a)に示す酵素活性検出用粒子30の消光剤32と第2蛍光基33は、互いに蛍光に影響を及ぼす相互作用がみられる距離で結合しているので、消光剤32の吸収スペクトルと第2蛍光基33の蛍光スペクトルとが重なりをもち、第2蛍光基33の励起波長のエネルギーを当てると本来観察されるはずの第2蛍光基33の蛍光の減衰が観察される。
この酵素活性検出用粒子30に脱アセチル化酵素34と特定酵素35とを含む検体溶液を接触させ反応させると、脱アセチル化酵素34が第2化合物31のアミノ酸残基Zからアセチル基(Ac)を遊離させる。なお、特定酵素35は、第2化合物31のアミノ酸残基Zがアセチル化されている間は、ペプチド結合を切断しないか、若しくは切断活性が有意に低下し、活性をほとんど示さない。
第2化合物31のアミノ酸残基Zからアセチル基が遊離されると、特定酵素35は、図5(b)に示すように、アセチル基(Ac)が遊離された第2化合物31のアミノ酸残基Zのペプチド結合を切断する。
第2蛍光基33が粒子2から検体溶液内に遊離すると、第2蛍光基33と消光剤32との間で蛍光に影響を及ぼす相互作用がみられなくなるので、検体溶液に第2蛍光基33の励起波長のエネルギーを当てると、検体溶液との接触前には観察されなかった第2蛍光基36の蛍光波長が観察されるようになり、検体溶液との反応前の蛍光波長とは異なるため、蛍光強度等の変化を指標として酵素活性を検出することができる(図5(c)参照)。
従って、脱アセチル化酵素34の活性を阻害する脱アセチル化酵素活性阻害物質を検体溶液が含む場合、脱アセチル化酵素活性阻害物質を検体溶液が含まない場合の各々の蛍光強度等を測定し比較することによって、その脱アセチル化酵素活性阻害物質が有効か否かの判定をすることができる。
【0053】
以上のように実施の形態4における酵素活性検出用粒子は構成されているので、実施の形態3に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第2化合物31はアミノ酸配列を自由に選択することができ、特定酵素35も自由に選択できるので、C末端側のペプチド結合を選択的に切断する安定性に優れたリジルエンドペプチダーゼ等を特定酵素35として用いることができ、酵素検出精度を高めることができる。
【0054】
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5における酵素活性検出具の模式図である。
図中、40は酵素活性検出具、41は筒状等に形成された容器、42は容器41内に形成された通液路、43は通液路42の上流に形成された入液口、44は通液路42の下流に形成された出液口、45は多孔状等に形成され入液口43に配設されたフィルタ、46は多孔状等に形成され出液口44に配設されたフィルタ、47はフィルタ45,46の内側の通液路42に収容され容器41内に保持された酵素活性検出用粒子である。なお、酵素活性検出用粒子としては、実施の形態1乃至5で説明したものを用いることができる。
【0055】
以上のように構成された酵素活性検出具40の使用方法について、以下説明する。
尿等の検体溶液を、入液口43から容器41内へ流入させ、容器41の通液路42を通過させて出液口44から流出させる。検体溶液は、通液路42内に充填された酵素活性検出用粒子47と接触反応した後に出液口44から流出されるので、出液口44から流出された検体溶液の蛍光強度等を測定する。
【0056】
以上のように実施の形態5における酵素活性検出具は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)酵素活性検出用粒子47と接触反応した後に出液口44から流出した検体溶液の蛍光強度等を測定することによって、検体溶液中に切断活性を有する酵素が含まれているかどうかを簡単に検出することができる。また、酵素活性検出用粒子47の蛍光に影響されずに検体溶液の測定を行うことができるので、酵素活性検出用粒子47から切り離されることによる蛍光変化の大きさを考慮せずに蛍光基を選択することができ自在性に優れる。
(2)酵素活性検出用粒子47が容器41内に充填され保持されているので、測定を終えた後は、新しいものと容器41毎交換することによって、新たな測定ができ取扱性に優れる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例で説明するアミノ酸、ペプチド、保護基、溶媒等は、当該技術分野で慣用されている略号又はIUPAC-IUBの命名委員会で採用された略号を使用している。例えば、以下の略号を使用している。Ala:アラニン、Lys:リジン、βAla:βアラニン、Glu:グルタミン酸、Gly:グリシン、Arg:アルギニン、FITC:Fluorescein-4-isothiocyanate isomer-I(フルオレセインイソチオシアネート) 、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DCM:ジクロロメタン、i-PrOH:2-プロパノール、MeOH:メタノール、Lys(Dnp):(2S)-2-amino-6-(2,4-dinitrophenylamino)hexanoic acid、Pro:プロリン、Arg:アルギニン、Phe:フェニルアラニン、Leu:ロイシン、Val:バリン、Asn:アスパラギン、Asp:アスパラギン酸、Tyr:チロシン、Gln:グルタミン、His:ヒスチジン、Ser:セリン、Thr:スレオニン。
【0058】
(実施例1)
実施例1では、酵素活性検出用粒子としてのペプチジル蛍光基結合球状粒子を合成して酵素Subtilisinによって活性測定を行った。以下、その方法について説明する。
<ペプチジル蛍光基結合球状粒子の合成>
粒子としては球状の市販のNH2-PEGA-resin(渡辺化学工業製、粒径約0.1mm)を用いた。Peptide synthesizer (Model 433A, Applied Biosystems) を用いてNH2-PEGA Resin (0.5 g, 25μmol) に、Lys(Dnp)、Zzz、Yyy、Xxx、βAlaの5つのアミノ酸を順に導入した。なお、Xxx、Yyy、Zzzは表1に示すアミノ酸である。その後、プラスチックベッセルに粒子を入れ、DMF を加えて粒子を膨潤させた。DMF を吸引除去した後、少量のDMFに溶解させた FITC (30μmol, 12 mg), DMF (2 ml) 及びDIEA (25μmol, 4.4μl) を加え、室温で3時間振とうした。反応液を吸引除去した後、DMF (2 ml, 2回)、 DCM (2 ml, 2回)、i-PrOH (2 ml, 2回)、DMF (2 ml, 2回)、MeOH (2 ml, 2回)、エーテル (2 ml, 2回) の順で粒子を洗浄した。その後、フェノール (75 mg)、1,2-エタンジチオール (25μl)、チオアニソール(50μl)、蒸留水(50μl) 及びTFA (2 ml) の混合溶液と3時間反応させた。反応液を吸引除去後、DCM (2 ml, 2回)、 DMF (2 ml, 2回)、20%ピペリジン / DMF (2 ml, 2回)、DMF (2 ml, 2回)、i-PrOH (2 ml, 2回)、DMF (2 ml, 2回)、蒸留水 (2 ml, 2回)、エーテル (2 ml,1回) の順で粒子を洗浄し減圧乾燥することによって、FITCからなる第2蛍光基が一端のβアラニンに結合し、ジニトロフェニル(Dnp)からなる消光剤が他端のリジンに結合したβAla-Xxx-Yyy-Zzz-Lysからなる第2化合物と、第2化合物のリジンに結合したPEGA resinからなる粒子と、を有する8種類(表1に示すアミノ酸配列の試料1~8)の酵素活性検出用粒子を得た。
【0059】
【表1】
JP0005337960B2_000002t.gif

【0060】
<酵素活性の測定>
試料1~8の酵素活性検出用粒子の各々1 mg に0.01% Tween 20を含有する20 mM Tris-HCl buffer(pH 8.0, NaCl 100mM, CaCl2 50 mM) 190 μl を加え、検体溶液としてのSubtilisin水溶液10 μl (10 unit)を加え、測定時間ごとにサンプルから10 μlとり、bufferを190 μl加えて96ウェルプレートに移し、蛍光値をPerkin Elmer社製Wallac 1420 ARVO sx プレートリーダーにより測定した(測定時間0.1秒)。検体溶液を加えてから20分後の蛍光値の変化量(検体溶液を加える前の蛍光値と検体溶液を加えてから20分後の蛍光値との差)(励起波長485 nm、蛍光波長535 nm)を表1の右列に示す。
表1に示すように、最も活性の高い試料1と活性の低い試料8とでは、蛍光値の変化量に10倍以上の違いが認められる。このことから、第2化合物のアミノ酸配列の異なる酵素活性検出用粒子を用いて、各基質によるSubtilisinの酵素活性の違いを検出することが可能なことが確認された。
【0061】
(実施例2)
実施例2では、酵素活性検出用粒子としてのペプチジル蛍光基結合球状粒子を合成して酵素Trypsinによって活性測定を行った。以下、その方法について説明する。
<ペプチジル蛍光基結合球状粒子の合成>
実施例1で説明した方法と同様にして、FITCからなる第2蛍光基が一端のβアラニンに結合し、ジニトロフェニル(Dnp)からなる消光剤が他端のリジンに結合したβAla-Xxx-Yyy-Zzz-Lysからなる第2化合物と、第2化合物のリジンに結合したPEGA resinからなる粒子と、を有する13種類(表2に示すアミノ酸配列の試料9~21)の酵素活性検出用粒子を合成した。
【0062】
【表2】
JP0005337960B2_000003t.gif

【0063】
<酵素活性の測定>
試料9~21の酵素活性検出用粒子の各々1 mg に0.01% Tween 20を含有する20 mM Tris-HCl buffer(pH 8.0, NaCl 100mM, CaCl2 50 mM) 190 μl を加え、検体溶液としてのTrypsin水溶液16 μl (100 unit)を加え、測定時間ごとにサンプルから10 μlとり、bufferを190 μl加えて96ウェルプレートに移し、蛍光値をPerkin Elmer社製Wallac 1420 ARVO sx プレートリーダーにより測定した(測定時間0.1秒)。検体溶液を加えてから60分後の蛍光値の変化量(検体溶液を加える前の蛍光値と検体溶液を加えてから60分後の蛍光値との差)(励起波長485 nm、蛍光波長535 nm)を表2の右列に示す。
表2に示すように、最も活性の高い試料9と活性の低い試料21とでは、蛍光値の変化量に60倍以上の違いが認められる。このことから、第2化合物のアミノ酸配列の異なる酵素活性検出用粒子を用いて、各基質によるTrypsinの酵素活性の違いを検出することが可能なことが確認された。
【0064】
(実施例3)
実施例3では、酵素活性検出用粒子としてのペプチジル蛍光基結合球状粒子を合成して酵素の活性測定を行い、酵素間の比較を行った。以下、その方法について説明する。
<ペプチジル蛍光基結合球状粒子の合成>
実施例1で説明した方法と同様にして、FITCからなる第2蛍光基が一端のβアラニンに結合し、ジニトロフェニル(Dnp)からなる消光剤が他端のリジンに結合したβAla-Xxx-Yyy-Zzz-Lysからなる第2化合物と、第2化合物のリジンに結合したPEGA resinからなる粒子と、を有する4種類(表3に示すアミノ酸配列の試料22~25)の酵素活性検出用粒子を合成した。
【0065】
【表3】
JP0005337960B2_000004t.gif

【0066】
<酵素活性の測定>
試料22~25の酵素活性検出用粒子の各々1 mg に0.01%Tween 20を含有する20 mM Tris-HCl buffer(pH 8.0, NaCl 100mM, CaCl2 50 mM) 190 μl を加え、検体溶液としてのElastase水溶液10 μl (10 unit) 、Trypsin水溶液10 μl (10 unit)及びSubtilisin水溶液10 μl (10 unit)を加え、測定時間ごとにサンプルから10 μlとり、bufferを190 μlを加えて96ウェルプレートに移し、蛍光値をPerkin Elmer社製Wallac 1420 ARVO sx プレートリーダーにより測定した(測定時間0.1秒)。検体溶液を加えてから60分後の蛍光値の変化量(検体溶液を加える前の蛍光値と検体溶液を加えてから60分後の蛍光値との差)(励起波長485 nm、蛍光波長535 nm)を表3の右列に示す。
表3に示すように、試料22ではTrypsinによる活性はSubtilisinによる蛍光変化の約240分の1である。また、試料23ではElastaseによる活性はSubtilisinによる蛍光変化の約2倍であることが認められる。このことから、本実施例のアミノ酸配列の異なる酵素活性検出用粒子は、酵素の基質特異性の違いによって、異なる蛍光変化を示すことが確認された。
このことから、アミノ酸配列の異なる酵素活性検出用粒子を、96ウェルの蛍光測定用マイクロプレートのウェル等に入れた後、各ウェル等の中に検体溶液を注入しイメージセンサ等で広範囲の蛍光の画像解析を行うことにより、複数の酵素を含む検体溶液の酵素活性を短時間で網羅的に測定し解析することができ測定効率を飛躍的に高めることができることが明らかになった。
また、アミノ酸配列の異なる複数種の酵素活性検出用粒子を合成し、アミノ酸配列毎に別々の容器に収容した複数の酵素活性検出具を用意しておき、例えば、被験者の尿を検体溶液として複数の酵素活性検出具に通過させ、通過した各々の検体溶液の蛍光強度等を測定し記録しておく。これを毎日若しくは1週間に1回等のように定期的に継続して測定し、以前の測定結果と比較することによって、尿中に含まれる酵素の量や種類に変化が生じたかどうかを検知することができ、酵素活性検出用粒子と接触した検体溶液の蛍光強度等を指標として体調に変化が生じているか否かを診断することができる。
【0067】
なお、本実施例においては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)からなる第2蛍光基が一端に結合し、ジニトロフェニル(Dnp)からなる消光剤が他端のリジンに結合した第2化合物と、第2化合物のリジンに結合したPEGA resinからなる粒子と、を有する酵素活性検出用粒子を合成して、これと接触させた検体溶液の蛍光変化を測定し、酵素活性の違いを検出できることを説明したが、第2蛍光基として(7-メトキシクマリン-4-イル)アセチル(MOAc)等を用いた場合も、同様の結果が得られることを確認した。
また、PEGA resin等の粒子が一端にFITC等の第1蛍光基が他端に結合し酵素による切断部位を有する基質ペプチド等の第1化合物を備えた酵素活性検出用粒子を用いた場合も、これと接触させた検体溶液の蛍光変化を測定し、酵素活性の違いを検出できることを確認した。
また、実施例2で説明した試料15の第2化合物のリジン(Yyy)がアセチル化された酵素活性検出用粒子を合成し、これにヒストン脱アセチル化酵素と、メタロプロテアーゼ等の特定酵素と、を含む検体溶液を接触させ反応させた後、検体溶液の蛍光測定を行い測定値を比較すると、ヒストン脱アセチル化酵素の活性の阻害物質が多く含まれている検体溶液では蛍光変化が少ないことが確認された。このことから、本実施例の酵素活性検出用粒子を用いると、抗癌剤等の候補化合物であるヒストン脱アセチル化酵素の活性の阻害物質が検体溶液内にどの程度存在しているかを検出することができ、抗癌剤等の候補物質を容易かつ迅速にスクリーニングできることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、酵素活性を検出するヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法に関し、検体溶液の蛍光波長の強度を測定することによって、酵素の有無の検出だけでなく検体溶液内の酵素の定量分析も精度良く行うことができ、また吸着水の影響を受け難く秤量誤差も生じ難いため取扱性に優れるとともに測定精度を高め定量性を高めることができ、さらに合成したペプチドを切断し精製する工程や凍結乾燥工程等の煩雑な工程が必要なく生産性に著しく優れた酵素活性検出用粒子を用いて、粒子に酵素を含む検体溶液を接触させた後、検体溶液の蛍光強度等を測定するだけで酵素活性を検出することができ、測定時間を短縮化することができ作業性を高め測定効率に優れ、またイメージセンサ等で広範囲の画像解析を行うことにより、複数の酵素を含む検体溶液の酵素活性を短時間で網羅的に測定し解析することができ測定効率を飛躍的に高めることができ、医薬品に繋がる有用な物質の検索やスクリーニングを高効率で行うことができるヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法を提供することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5