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明細書 :シアル酸誘導体の製造方法とインフルエンザウィルス阻害剤としての利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5327839号 (P5327839)
公開番号 特開2009-292789 (P2009-292789A)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
発行日 平成25年10月30日(2013.10.30)
公開日 平成21年12月17日(2009.12.17)
発明の名称または考案の名称 シアル酸誘導体の製造方法とインフルエンザウィルス阻害剤としての利用
国際特許分類 C07H  15/14        (2006.01)
A61K  31/7028      (2006.01)
A61P  31/16        (2006.01)
FI C07H 15/14 CSP
A61K 31/7028
A61P 31/16
請求項の数または発明の数 5
全頁数 24
出願番号 特願2008-150046 (P2008-150046)
出願日 平成20年6月9日(2008.6.9)
審査請求日 平成23年6月3日(2011.6.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
【識別番号】500433225
【氏名又は名称】学校法人中部大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 香織
【氏名】坂本 純一
【氏名】松岡 浩司
【氏名】照沼 大陽
【氏名】幡野 健
【氏名】鈴木 康夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100137512、【弁理士】、【氏名又は名称】奥原 康司
【識別番号】100149294、【弁理士】、【氏名又は名称】内田 直人
審査官 【審査官】早川 裕之
参考文献・文献 特開平06-157573(JP,A)
特開昭61-282390(JP,A)
特開2006-257028(JP,A)
特表平08-502953(JP,A)
国際公開第97/043296(WO,A1)
国際公開第91/013079(WO,A1)
Bioorg. Med. Chem.,1998年,6,1283-1292
Tetrahedron Lett.,1979年,n48,4637-4640
Tetrahedron Lett.,1975年,n35,3069-3072
Biochemistry,1993年,32,3422-3428
Can. J. Chem.,1990年,68,2045-2054
Hoppe-Seyler's Z. Physiol. Chem.,1979年,360,1253-1256
J. Carbohydrate Chem.,1986年,5,11-19
Bioorganicheskaya Khimiya,1996年,22,599-605
Prot. Biol. Fluids,1984年,31,1075-1078
Monatshefte fuer Chemie,1966年,97,990-999
Monatshefte fuer Chemie,1966年,97,654-661
Monatshefte fuer Chemie,1965年,96,816-827
Monatshefte fuer Chemie,1965年,96,802-815
Bioorg. Med. Chem. Lett.,1995年,5,9-14
調査した分野 C07H 15/14
A61K 31/7012~7028
A61P 31/16
C07H 7/02
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(I)
【化1】
JP0005327839B2_000024t.gif
[但し、式中、Rが以下の置換基
【化2】
JP0005327839B2_000025t.gif
又は、以下の置換基
【化3】
JP0005327839B2_000026t.gif
(ただし、nは1~8の整数)であり、R又はRの一方がカルボキシル基で、他方が以下の置換基
【化4】
JP0005327839B2_000027t.gif
(ただし、mは1~15の整数)を示す]で表されるシアル酸誘導体化合物、及びその薬理学上許容される塩又は水和物。
【請求項2】
mが11である請求項1に記載のシアル酸誘導体化合物、及びその薬理学上許容される塩又は水和物。
【請求項3】
nが5である請求項1に記載のシアル酸誘導体化合物、及びその薬理学上許容される塩又は水和物。
【請求項4】
一般式(I)
【化5】
JP0005327839B2_000028t.gif
(但し、式中、Rが以下の置換基
【化6】
JP0005327839B2_000029t.gif
であり、R及びRの一方がカルボキシル基で他方が水酸基を示す)で表されるシアル酸誘導体化合物、及びその薬理学上許容される塩又は水和物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のシアル酸誘導体化合物、その薬理学上許容される塩及びそれらの水和物、並びに薬理学上許容される担体を含有することを特徴とするインフルエンザによる感染症の予防及び/又は治療のための抗インフルエンザウィルス剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シアル酸誘導体化合物、該化合物の製造方法、及び該化合物を有効成分として含む医薬及び治療方法に関する。より詳細には、シアル酸誘導体化合物を有効成分して含む抗インフルエンザウィルス剤、並びに、これらの化合物を含むインフルエンザの予防及び/又は治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウィルスは、その内部に存在する8本の一本鎖RNAに変異が導入されやすく、その結果、従来効果を示していたワクチン等に対する耐性ウィルスが生じやすい。このようなインフルエンザウィルスの性質から、毎年のようにインフルエンザウィルスによる感染症が流行し、これによる死者も少なからず生じている。インフルエンザウィルスによる感染には、宿主細胞に対する接着と脱離が重要であり、それには異なる2種類の糖タンパク(ヘマグルチニンとシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ))が作用している。
【0003】
インフルエンザウィルスの表面に存在する糖タンパク質のヘマグルチニンは、感染対象である細胞表面に存在する糖タンパク質のシアル酸残基を結合する性質を持っており、この性質を利用して、インフルエンザウィルスが細胞へ感染することが知られている。従って、インフルエンザウィルス表面上のヘマグルチニンと感染対象細胞表面上のシアル酸残基との結合を阻害することができれば、インフルエンザウィルスの感染初期段階を阻止することが可能となるため、そのような阻害活性を持つ化合物はインフルエンザによる感染症の予防的手段において有効である。
一方、ノイラミニダーゼはインフルエンザウィルスが、感染した細胞から脱離する上で必須の酵素である。従って、ノイラミニダーゼの活性を有効に阻害することができれば、インフルエンザウィルスによる他の細胞への感染を抑えることができるため、インフルエンザウィルスによる感染後の治療的手段に応用することができる。
【0004】
現在市販されている抗インフルエンザ治療薬の多くは、ノイラミニダーゼ阻害物を有効成分としたものであり、例えば、タミフルR(リン酸オセルタミビル)やリレンザR(ザナミビル)などを挙げることができる。しかしながら、これらの特効薬の有効成分は何れも天然物ではないため、その耐性ウィルスの出現が危惧されており、近年、シンメトレルRやタミフルRに対する耐性ウィルスが出現したとの報告もある(非特許文献1)。そのため、変異性の高いインフルエンザウィルスによる感染症に対して、効果を持続し得る医薬の開発が望まれている。
【0005】
これまでに、発明者らは、チオグリコシド型シアル酸誘導体を種々のカルボシランデンドリマー骨格に導入(特許文献1)、あるいは、ポリマー化(特許文献2)し、インフルエンザウィルスA型由来のシアリダーゼ活性を有効に阻害する化合物の合成を行っており、有効な抗インフルエンザ治療剤の開発に努めてきた。
【0006】

【非特許文献1】N.Engl.J.Med.,353:2667-2672 2005
【特許文献1】特開2008-50283
【特許文献2】特開2008-81411
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、これまでにも抗インフルエンザ治療剤の有効成分として効果を発揮する化合物がいくつか報告されている。しかし、ヘマグルチニンとノイラミニダーゼの両方を阻害し、細胞への侵入及び細胞からの脱離を同時に抑制する低分子化合物は知られていない。
そこで、本発明は、ヒトインフルエンザウィルスの感染対象細胞への侵入及び該細胞からの脱離の両過程を阻害する化合物の提供、及び該化合物を含有する抗インフルエンザ予防薬及び/又は治療薬、さらには、インフルエンザ感染の予防手段等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究を行った結果、いくつかのシアル酸誘導体が、インフルエンザウィルスのヘマグルチニンとシアル酸との結合活性及びノイラミニダーゼ活性の両方を阻害することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、一般式(I)
【化6】
JP0005327839B2_000002t.gif

(但し、式中、Rは、炭素数2から12のアルキル基、二重結合を含むアルケニル基、三重結合を含むアルキニル基であり、何れも1~2個のアミド結合を含んでも良いことを示し、Rは、カルボキシル基、あるいは水酸基かスルフィドを介した炭素数1~15のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を示し、RはRと入れ替わった場合であり、水酸基かスルフィドを介した炭素数1~15のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、あるいはカルボキシル基を示す)で表されるシアル酸誘導体化合物、及びその薬理学上許容される塩又は水和物、並びに該化合物及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物に加えて薬理学上許容される担体を含有することを特徴とする、インフルエンザウィルスによる感染症の予防及び/又は治療のための抗ウィルス剤、あるいは、予防又は治療のための用途を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシアル酸誘導体結合化合物は、インフルエンザウィルス(特にA型)の細胞への感染を有効に阻害し、さらに、インフルエンザウィルス(特にA型)が感染細胞から遊離するのに必要なノイラミニダーゼ活性を有効に阻害することから、インフルエンザ感染症の予防及び/又は治療を目的として抗インフルエンザウィルス剤の有効成分として利用することができる。
【0011】
本発明の抗インフルエンザウィルス剤は、インフルエンザによる感染症の予防及び/又は治療の用途に用いることができる。用途としては、例えば、医薬としての点鼻薬の他、インフルエンザ感染に対する衛生用品として口腔又は喉に塗布又はスプレーするための、塗布剤又はスプレーの有効成分として使用することができる。あるいは、空気清浄機のフィルター又はマスクのカーゼ等に、活性を保持するような形態で塗布又は充填することにより、空気中のウィルスを捕獲し、人体等への感染の事前予防に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
式(I)中、Rは、1~2個のアミド結合を含んでも良い炭素数2から12のアルキル基、二重結合を含むアルケニル基、三重結合を含むアルキニル基のいずれかであり、下記の式で示される置換基のいずれかであることが好ましい(nは特に5が好ましい)。
【化7】
JP0005327839B2_000003t.gif

【0013】
は、カルボキシル基、あるいは水酸基かスルフィドを介した炭素数1~15のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれかであり、特に、カルボキシル基又は水酸基が好ましい。
【0014】
はRと入れ替わった場合であり、水酸基かスルフィドを介した炭素数1~15のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、あるいはカルボキシル基のいずれかであり、特に、カルボキシル基又は下記の置換基が好ましい(mは特に11が好ましい)。
【化8】
JP0005327839B2_000004t.gif

【0015】
式(I)において、RがCH=CH-CO-であり、R及びRの一方がカルボキシル基であり、他方が水酸基である化合物(Ia)は、例えば、以下のような過程により合成することができる。
【化9】
JP0005327839B2_000005t.gif

まず、N-アセチルノイラミン酸1をピリジン溶媒に溶解し、無水酢酸を用いてアセチル化を行い、次いで、ジアゾメタンを用いてメチル化を行い、シアル酸メチル完全アセチル化体2を得る。次に、シアル酸メチル完全アセチル化体2をジクロロメタンに溶解し、1-ドデカンチオールを加え、氷冷後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を加え、反応を行う。その後、反応生成物の抽出及び精製を行うことにより、シアル酸チオラウリルグリコシド体3を得ることができる(α体及びβ体混合物)。
【化10】
JP0005327839B2_000006t.gif

【0016】
次に、シアル酸チオラウリルグリコシド体3からβ-シアル酸チオラウリルグリコシド体4を単離精製し、メタノール中、ナトリウムメトキシドを用いてZemplen条件下で処理することにより、β-脱O-アセチル化体5を得、得られた化合物5をメタノール中、メタンスルホン酸を用いて60℃で一晩加熱還流し、アミンのメタンスルホン酸塩6を得る。次に、得られたアミンのメタンスルホン酸塩6をメタノールに溶解し、氷冷後、トリエチルアミン、続いて、塩化アクリロイルをゆっくりと滴下し、Schotten-Baumann反応を行う。化合物6の中和には、8当量のトリエチルアミンが必要で、その後、4当量の塩化アクリロイルを添加することで、良好に、N-アクリロイル体7と塩の混合物を得ることができる。次に、ジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え(0.1当量)、アセチル化を行い、完全保護されたN-アクリロイル体8を得る。
【化11】
JP0005327839B2_000007t.gif

【0017】
得られたN-アクリロイル体8をアセトン-蒸留水(9:1)混合溶液に溶解し、N-ヨードサクシンイミドを反応させ、反応産物を抽出精製、O-アセチルシアル酸誘導体11を得る。次に化合物11の脱O-アセチル化を行い、塩基条件下でメチルエステルの加水分解を行うことにより、シアル酸誘導体(Ia)を取得することができる。
【化12】
JP0005327839B2_000008t.gif

【0018】
また、式(I)において、RがCH=CH-CO-であり、Rがカルボキシル基であり、Rが-S(CH11CHである化合物(Ib)は、例えば、以下のように合成することができる。
【化13】
JP0005327839B2_000009t.gif

シアル酸チオラウリルグリコシド体3からα-シアル酸チオラウリルグリコシド体を単離精製し、上記と同様な方法でα-N-アクリロイル体12(化合物8のα体)を合成する。
【化14】
JP0005327839B2_000010t.gif

得られたα-N-アクリロイル体12をメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させ、脱保護を行いシアル酸誘導体化合物(Ib)を合成することができる。
【0019】
さらに、式(I)において、RがCH=CH-CO-NH-(CH-CO-であり、Rがカルボキシル基であり、Rが-S(CH11CHである化合物(Ic)は、例えば、以下のように合成することができる。
【化15】
JP0005327839B2_000011t.gif

シアル酸チオラウリルグリコシド体3からα-シアル酸チオラウリルグリコシド体を単離精製し、上記と同様な方法でアミンのメタンスルホン酸塩(α体)13を合成する。次に13をメタノールに溶解し、トリエチルアミンと6-ブロモヘキサノイルクロライドを用いてSchotten-Baumann反応を行い、末端のブロモがクロライドに置換されたクロライド体14とブロマイド体15を得る。この反応は、-15℃で行うことにより、クロライド体の生成を減少させることができる。
【化16】
JP0005327839B2_000012t.gif

続いて、化合物14及び15の混合物をDMFに溶解し、アジ化ナトリウムを用いて60℃で反応させて末端にアジド基を持つシアル酸誘導体16へ変換し、さらに、メタノール中ナトリウムメトキシドを用いたZemplen条件下、脱O-アセチル化を行うことにより、シアル酸誘導体17を得ることができる。17を水素置換下、メタノール中、5%水酸化パラジウム存在下でアミン体18へ変換し、炭酸ナトリウム、アクリル酸クロリドによるアクリロイル化を行い、次いで、アセチル化によりヘキシル基をリンカーとして持つシアル酸誘導体19を合成する。
【化17】
JP0005327839B2_000013t.gif

【0020】
得られたO-アセチルシアル酸誘導体19をメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させ、脱保護を行いシアル酸誘導体化合物(Ic)を合成することができる。
【0021】
本発明の化合物を有効成分として含有せしめることにより、ウィルス感染、特に、インフルエンザウィルス感染の予防及び治療のための抗ウィルス剤を調製することができる。
上記薬剤は、本発明の化合物、その薬剤上許容される塩又はそれらの水和物のうち、1又は複数の種類を含有してもよい。また、一般式(I)で示される本発明の化合物を製剤化する場合には、製剤中、通常、0.1~50質量%、好ましくは、0.5~20質量%となるように含有される。
【0022】
本発明の化合物は、生体に対して悪影響を及ぼさない医薬組成物の形態で特定の疾患の治療薬として使用することができる。通常、そのような組成物には、本発明の化合物の他、薬剤上許容される担体が含まれる。
「薬剤上許容される担体」は、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、アイソトニックに作用して吸着を遅らせる薬剤及びその類似物を含み、薬剤的投与に適するもののことである。該担体及び該担体を希釈するために好ましいものの例には、限定はしないが、水、生理食塩水、フィンガー溶液、デキストロース溶液、コラーゲン、ヒト血清アルブミン、有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース等などが含まれる。また、リポソーム及び不揮発性油などの非水溶性媒体も用いられる。さらに、本発明の化合物の活性を保護又は促進するような特定の化合物が、該組成物中に包含されていてもよい。
【0023】
本発明に係る薬剤は、皮内、皮下、経口(例えば、吸入なども含む)、経皮及び経粘膜への投与を含み、治療上適切な投与経路に適合するように製剤化される。非経口、皮内、又は皮下への適用に使用される溶液又は懸濁液には、限定はしないが、注射用の水などの滅菌的希釈液、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒、ベンジルアルコール又は他のメチルパラベンなどの保存剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなどの無痛化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝剤、塩化ナトリウム又はデキストロースなど浸透圧調製のための薬剤を含んでもよい。
pHは塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調製することができる。非経口的標品はアンプル、ガラスもしくはプラスチック製の使い捨てシリンジ又は複数回投与用バイアル中に収納される。
【0024】
点鼻用薬剤として使用する場合、液剤、ゲル状剤、エアゾール剤等として使用することができ、この場合、担体として、高級アルコール(例えば、オクチルドデカノール等)、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル)、懸濁化剤(例えば、ポリソルベート80)の他グリセリンプロパーノールなどの安定化剤などを使用することができる。
また、軟膏剤、クリーム剤として使用する場合には、担体として、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、セタノール、ステアリルアルコール等、当業者によって容易に選択可能な物質を使用することができる。
【0025】
経口組成物には、不活性な希釈剤又は体内に取り込んでも害を及ぼさない担体が含まれる。経口組成物には、例えば、ゼラチンのカプセル剤に包含されるか、加圧されて錠剤化される。経口的治療のためには、活性化合物は賦形剤と共に取り込まれ、錠剤、トローチ又はカプセル剤の形態で使用される。また、経口組成物は、流動性担体を用いて調製することも可能であり、流動性担体中の該組成物は経口的に適用される。さらに、薬剤的に適合する結合剤、及び/又はアジュバント物質などが包含されてもよい。
錠剤、丸薬、カプセル剤、トローチ及びその類似物は以下の成分又は類似の性質を持つ化合物の何れかを含み得る:微結晶性セルロースのような賦形剤、アラビアゴム、トラガント又はゼラチンなどの結合剤;スターチ又はラクトースなどの、アルギン酸、PRIMOGEL、又はコーンスターチなどの膨化剤;ステアリン酸マグネシウム又はSTRROTESなどの潤滑剤;コロイド性シリコン二酸化物などの滑剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、メチルサリチル酸又はオレンジフレイバーなどの香料添加剤。
【0026】
本発明の化合物によるウィルス感染症の予防又は治療において、適切な投与量レベルは、投与される患者の状態、投与方法等に依存するが、当業者であれば、容易に最適化することが可能である。
注射投与の場合は、例えば、一日に患者の体重あたり約0.1μg/kgから約500mg/kgを投与するのが好ましく、一般に一回又は複数回に分けて投与され得るであろう。好ましくは、投与量レベルは、一日に約0.1μg/kgから約250mg/kgであり、より好ましくは一日に約0.5μg~約100mg/kgである。
経口投与の場合は、組成物は、好ましくは1.0から1000mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され、好ましくは活性成分が1.0,5.0,10.0,15.0,20.0,25.0,50.0,75.0,100.0,150.0,200.0,250.0,300.0,400.0,500.0,600.0,750.0,800.0,900.0及び1000.0mgである。化合物は一日に1~4回の投与計画で、好ましくは一日に一回又は二回投与される。
また、点鼻、粘膜への塗布の場合には、適宜、適量を点鼻又は塗布することで投与量を調節することができる。
【0027】
さらに、本発明には、ウィルス感染、特に、インフルエンザウィルスに感染した、又は感染する危険性のある哺乳動物の該感染症に関する予防又は治療方法も含まれる。
ここで「治療」とは、ウィルスに感染するおそれがあるか又は感染した哺乳動物において、該感染症の病態の進行を阻止又は緩和することを意味し、治療的処置のみならず予防的処置をも含む広い意味として使用される。
【0028】
さらに、本発明の抗ウィルス剤をウィルスによる感染症の予防又は治療の用途に用いる場合において、例えば、衛生用品としてのスプレー剤としての用途に関しては、医薬製剤として、点鼻薬、軟膏等の製剤化に準じて製造することができる。また、本発明の抗ウィルス剤を空気清浄機のフィルター又はマスクへの充填に利用する場合には、本発明の化合物の活性を損なうことなく、シート又は繊維等に塗布又は担持させることで使用することができる。
【0029】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
〔合成例1〕5-アクリルアミド-3,5-ジデオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノソ酸(Ia)の合成
メチル-5-アセトアミド-2,4,7,8,9-ペンタ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノソネート(2)
N-アセチルノイラミン酸1(1.75g,5.66mmol)をピリジン(18mL)に溶解し、攪拌氷冷した。無水酢酸(13mL,141.50mmol)を滴下後、反応液を室温に戻して一晩攪拌した。反応液を濃縮し、メタノール-ジエチルエーテル(10mL-10mL)に溶解した。氷冷後、ジアゾメタンエーテル溶液を滴下した。TLCで反応が完全に進行したのを確認後、酢酸を加え余剰量のジアゾメタンの処理を行った。反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[酢酸エチル]で精製し、シアル酸メチル完全アセチル化体2(2.67g,88.25%)を得た。
【表1】
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【0031】
メチル(ドデシル-5-アセトアミド-4,7,8,9-テトラ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-2-チオ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド)オネート(3)
シアル酸アセテート2(0.50g,0.94mmol)を塩化メチレン(5mL)に溶解し、1-ドデカンチオール(898μL,3.75mmol)を加え氷冷後、ボロントリフルオリドエチルエーテル錯体(367μL,2.92mmol)を加え室温に戻し、3時間攪拌した。反応液を冷飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層をろ過し、ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[トルエン-酢酸エチル 1:2 (v/v)]で精製し、チオラウリルグリコシド3(0.52g,81.33%)を得た。
【表2】
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【0032】
メチル(ドデシル-5-アセトアミド-3,5-ジデオキシ-2-チオ-β-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド)オネート(5)
β-チオラウリルグリコシド体4(0.20g,0.30mmol)をメタノール(2mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(6.50mg,0.12mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和後、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮後、残査に目的とするβ-脱-O-アセチル化メチルエステル体5(quant.)を得た。
Rf 0.69[2:1(v/v)クロロホルム-メタノール]
【0033】
[メチル(ドデシル-5-アミノ-3,5-ジデオキシ-2-チオ-β-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロシド)オネート]メタンサルフェート(6)
β-脱-O-アセチル化メチルエステル体5(0.15g,0.29mmol)をメタノール(1.4mL)に溶解し、メタンスルホン酸塩(38μL,0.58mmol)を加え、反応液を一晩加熱還流した。室温まで冷却後、陰イオン交換樹脂IRA-93ZU(OH- 型)で中和を行い、イオン交換樹脂を除去した。ろ液を濃縮後、残査に目的とするβ-アミンのメタンスルホン酸塩6(quant.)を得た。
Rf 0.41[65:25:4(v/v/v)クロロホルム-メタノール-水]
【0034】
メチル(ドデシル-N-アクリルアミド-4,7,8,9-テトラ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-2-チオ-β-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド)オネート(8)
β-アミンメタンスルホン酸塩7(0.27g,0.48mmol)をアルゴン雰囲気下、メタノールに溶解し、トリエチルアミン(535μL,3.84mmol)を滴下後、アクリル酸クロリド(156μL,1.92mmol)を滴下した。反応終了後、濃縮し、ピリジン(2.5mL)、ジメチルアミノピリジン(23mg,0.19mmol)、無水酢酸(906μL,9.60mmol)を加え,一晩攪拌した。濃縮し、氷水を加え、1M 硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン-酢エチ 5:6 (v/v)]で精製し、β-N-アクリロイル体8(263mg,79.70%)を得た。
【表3】
JP0005327839B2_000016t.gif

【0035】
メチル-N-アクリルアミド-4,7,8,9-テトラ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロサミネート(11)
N-アクリロイル体8(3.00g,4.36mmol)を水-アセトン[1:9(v/v)]混合溶媒(15mL)に溶かし、氷冷後、N-ヨードサクシンイミド(1.96g,8.72mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。氷水を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[トルエン-酢酸エチル 1:2 (v/v)]で精製し、重合性O-アセチルシアル酸誘導体11(quant.)を得た。
【表4】
JP0005327839B2_000017t.gif

【0036】
5-アクリルアミド-3,5-ジデオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノソ酸(Ia)
重合性O-アセチルシアル酸誘導体11(1.36g,2.0mmol)をメタノール(14mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(43mg,0.8mmol)を加え、室温で1晩攪拌した。強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和後、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮した。残渣に0.05M NaOH水溶液を加え、TLCにより反応の終了を確認後、強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮し、目的とする水溶性シアル酸誘導体(Ia)を定量的に得た。
【表5】
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【0037】
〔合成例2〕ドデシル-5-アクリルアミド-3,5-ジデオキシ-2-チオ-D-グリセロ-α-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシドン酸(Ib)の合成
メチル(ドデシル-5-アセトアミド-3,5-ジデオキシ-2-チオ-α-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド)オネート
α-チオラウリルグリコシド体(1.36g,2.0mmol)をメタノール(14mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(43mg,0.8mmol)を加え、室温で1晩攪拌した。強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和後、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮後、残査に目的とするα-脱-O-アセチル化メチルエステル体(quant.)を得た。
Rf 0.73[65:25:4(v/v/v)クロロホルム-メタノール-水]
【0038】
[メチル(ドデシル-5-アミノ-3,5-ジデオキシ-2-チオ-α-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロシド)オネート]メタンサルフェート
α-脱-O-アセチル化メチルエステル体(1.02g,2.00mmol)をメタノール(10mL)に溶解し、メタンスルホン酸塩(260μL,4.00mmol)を加え、反応液を二晩加熱還流した。室温まで冷却後、陰イオン交換樹脂IRA-93ZU(OH型)で中和を行い、イオン交換樹脂を除去した。ろ液を濃縮後、残査に目的とするα-アミンのメタンスルホン酸塩(990mg,88.08%)を得た。
Rf 0.52[65:25:4(v/v/v)クロロホルム-メタノール-水]
【0039】
メチル(ドデシル-N-アクリルアミド-4,7,8,9-テトラ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-2-チオ-α-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド)オネート(12)
α-アミンメタンスルホン酸塩(990mg,1.76mmol)をアルゴン雰囲気下、メタノール(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.96mL,14.08mmol)を滴下後、アクリル酸クロリド(572μL,7.04mmol)を滴下した。さらに、トリエチルアミン(1.96mL,14.08mmol)とアクリル酸クロリド(572μL,7.04mmol)の滴下を2回ほど繰り返した。反応終了後、濃縮し、ピリジン(9 mL)、ジメチルアミノピリジン(86mg,0.70mmol)、無水酢酸(3mL,35.20mmol)を加え,一晩攪拌した。濃縮し、氷水を加え、1M 硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン-酢酸エチル 5:6 (v/v)]で精製し、α-N-アクリロイル体12(742mg,61.32%)を得た。
【表6】
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【0040】
ドデシル-5-アクリルアミド-3,5-ジデオキシ-2-チオ-D-グリセロ-α-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシドン酸(Ib)
重合性O-アセチルシアル酸誘導体12(60 mg,87.2μmol)をメタノール(0.6mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(2mg,0.8mmol)を室温で加えた。反応終了後、強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮した。残渣に0.2M NaOH水溶液を加え、TLCにより反応の終了を確認後、強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮し、目的とする水溶性シアル酸誘導体(Ib)(44mg,quant.)を得た。
【表7】
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【0041】
〔合成例3〕5-(6-アクリルアミドヘキシルアミド)-3,5-ジデオキシ-2-チオ-D-グリセロ-α-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシドン酸(Ic)
メチル(ドデシル-N-6-アジデヘキシルアミノ-4,7,8,9-テトラ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-2-チオ-α-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド) オネート(16)
α-アミンメタンスルホン酸塩13(4.26g,7.6mmol)をメタノール(30mL)に溶解する。アルゴン雰囲気下、-15℃で、トリエチルアミン(2.1mL,15.1mmol)を滴下後、ジエチルエーテル(4.8mL)で希釈した6-ブロモヘキサノイルクロリド(1.2mL,7.8mmol)を滴下した。反応終了後、濃縮し、ピリジン(49mL)、無水酢酸(14.3mL,151.6mmol)を加え,一晩攪拌した。濃縮し、氷水を加え、1M 硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン-酢エチ 1:1 (v/v)]で精製し、ブロマイド体14とクロライド体15(2.48g,40.28%)を得た。得られた化合物をDMF(24mL)に溶解する。アルゴン雰囲気下、アジ化ナトリウム(597mg,9.2mmol)を加え、60℃で一時間撹拌した。氷水を加え、飽和食塩水とクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン-酢エチ 1:1 (v/v)]で精製し、アジド体16(2.37g,quant.)を得た。
【表8】
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【0042】
メチル(ドデシル-N-6-アジデヘキシルアミノ-3,5-ジデオキシ-2-チオ-α-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド) オネート(17)
α-アジド体16(1.71g,2.2mmol)をメタノール(17mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(48mg,0.9mmol)を加え、室温で1晩攪拌した。強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和後、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮後、残査に目的とするα-シアル酸誘導体17(1.33g,quant.)を得た。
Rf 0.52[8:1(v/v)クロロホルム-メタノール]
【0043】
メチル(ドデシル-N-6-アクリロイルアミノヘキシルアミノ-4,7,8,9-テトラ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-2-チオ-α-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシド) オネート(19)
α-シアル酸誘導体17(1.34g,2.21mmol)をメタノール(13mL)に溶解し、水酸化パラジウムカーボン(235mg,2.21mmol)を加え、水素置換下、室温で1晩攪拌した。溶液は活性炭ろ過して濃縮し、メタノール(8mL)に溶解する。アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(1.2mL,8.84mmol)を加え、1,4-ジオキサン(1.4mL)で希釈したアクリル酸クロリド(359μL,4.42mmol)を滴下した。反応終了後、セライトろ過して濃縮し、ピリジン(17mL)、無水酢酸(4.2mL,44.51mmol)を加え,一晩攪拌した。濃縮し、氷水を加え、1M 硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[酢酸エチル]で精製し、ヘキシル基をリンカーとして持つシアル酸誘導体19(610mg,34.46%)を得た。
【表9】
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【0044】
5-(6-アクリルアミドヘキシルアミド)-3,5-ジデオキシ-2-チオ-D-グリセロ-α-D-ガラクト-2-ノニュロピラノシドン酸(Ic)
重合性O-アセチルシアル酸誘導体19(50mg,62.4μmol)をメタノール(0.5mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(1.3mg,0.8mmol)を0℃で加え、室温下、10時間攪拌した。反応終了後、強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮した。残渣に0.2M NaOH水溶液を加え、TLCにより反応の終了を確認後、強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)で中和、イオン交換樹脂を除去し、ろ液を濃縮し、目的とする水溶性シアル酸誘導体(Ic)(27mg,69.2%)を得た。
【表10】
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【0045】
〔実験1〕赤血球凝集素阻害活性試験
本発明の化合物がインフルエンザウィルスの感染(対象細胞への侵入過程)を阻害する可能性について検討するため、ヘマグルチニンによる赤血球凝集効果に対する本発明の化合物の影響を検討した。ここでは、化合物(Ia)、(Ib)及び(Ic)について確認を行った。
ヘマグルチニンとしては、ヒト型(A/PR/8/34(H1N1)及びA/Aichi/2/68(H3N2))、トリ型(A/Duck/HK/313/78(H5N3))を使用した。
用いた化合物の濃度は、それぞれ1mMに調整したものを順次希釈して評価した。また、ポジティブコントロールとして用いたフェツインも1mMに調整したものを順次希釈して評価した。本発明の化合物のうち、化合物(Ib)及び(Ic)において、有意な赤血球凝集効果の阻害活性が見出された(図1)。
【0046】
〔実験2〕ノイラミニダーゼ活性阻害試験
次に、インフルエンザウィルスが感染細胞から遊離する際に必要なノイラミニダーゼ活性を本化合物が阻害するかどうか検討した。本実験においても、化合物(Ia)、(Ib)及び(Ic)について確認を行った。また、ノイラミニダーゼは、ヒト型(A/PR/8/34(H1N1)及びA/Aichi/2/68(H3N2))、トリ型(A/Duck/HK/313/78(H5N3))由来のものを用いた。用いた化合物の濃度は、それぞれ1mMに調整したものを順次希釈して評価した。
その結果、いずれの化合物もヒト型(A/PR/8/34(H1N1)及びA/Aichi/2/68(H3N2))、トリ型(A/Duck/HK/313/78(H5N3))由来のノイラミニダーゼ活性を有意に阻害することが確認された(図2)。ポジティブコントロールとして用いたオセルタミビルは、市販品を用いた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の化合物は、インフルエンザウィルスの細胞への感染及び感染細胞からの遊離を効果的に阻害することから、インフルエンザ感染症の予防及び/又は治療を目的とした抗インフルエンザウィルス剤の開発、並びにインフルエンザ感染症の予防及び/又は治療に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は化合物(Ia)、(Ib)及び(Ic)の赤血球凝集阻止活性試験の結果を示す。
【図2】図2は、化合物(Ia)、(Ib)及び(Ic)によるインフルエンザノイラミニダーゼ活性の阻害効果を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1