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明細書 :フィレット面認識方法、フィレット面認識プログラム及び計測情報処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5093604号 (P5093604)
公開番号 特開2009-301361 (P2009-301361A)
登録日 平成24年9月28日(2012.9.28)
発行日 平成24年12月12日(2012.12.12)
公開日 平成21年12月24日(2009.12.24)
発明の名称または考案の名称 フィレット面認識方法、フィレット面認識プログラム及び計測情報処理装置
国際特許分類 G01B  21/00        (2006.01)
FI G01B 21/00 G
請求項の数または発明の数 9
全頁数 29
出願番号 特願2008-155839 (P2008-155839)
出願日 平成20年6月13日(2008.6.13)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 高橋哲也、外2名、「2次曲面推定を利用した機械部品の計測点群に対するフィレット認識」、平成19年度 第3回情報処理学会東北支部 研究会、情報処理学会東北支部、2008年1月11日
審査請求日 平成23年5月9日(2011.5.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
発明者または考案者 【氏名】今野 晃市
【氏名】金野 哲士
【氏名】高橋 哲也
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100113435、【弁理士】、【氏名又は名称】黒木 義樹
審査官 【審査官】早川 学
参考文献・文献 特開2007-139774(JP,A)
調査した分野 G01B 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
3次元物体の3次元形状計測結果である計測点群から計測情報処理装置がフィレット面を認識するためのフィレット面の認識方法であって、
前記計測情報処理装置が、前記計測点群を複数の平面を表す領域に分割し、隣接する2つの前記平面の仮想的な交線を隣接する2つの前記平面の干渉線として算出し、前記計測点群のうち前記干渉線から第1所定距離内の計測点をフィレット面候補点群として抽出するフィレット面候補点群抽出工程と、
前記計測情報処理装置が、フィレット面候補点群抽出工程で抽出された前記フィレット面候補点群に含まれる複数の特徴線から、前記干渉線上に設定した基準点から第2所定距離離れており前記干渉線の延在方向とのなす角度が最小である特徴線を、前記フィレット面に含まれるシルエット候補線として取得するシルエット候補線取得工程と、
前記計測情報処理装置が、前記シルエット候補線に直交する複数の直交面上の点列の各々を、前記フィレット面候補点群を基にそれぞれ探索する点列探索工程と、
前記点列探索工程で得られた各前記直交面上の前記点列を二次曲線で近似し、複数の前記直交面上の前記点列の各々に対応して誤差許容範囲内で近似曲線が得られ且つ複数の前記近似曲線を基に推定される柱状体の周表面上で前記フィレット候補点群内の計測点が抽出される場合に、前記周表面上の前記計測点からフィレット面が構成されると前記計測情報処理装置が認識し、前記周表面上に前記フィレット候補点群内の計測点がない場合又は少なくとも一つの前記直交面上の前記点列に対応して前記誤差許容範囲内で前記近似曲線を得られない場合に、前記フィレット面候補点群は前記フィレット面を構成しないと前記計測情報処理装置が認識する、フィレット面認識工程と、
を備えるフィレット面認識方法。
【請求項2】
前記フィレット面認識工程は、
前記直交面上の前記点列のうち予め設定している近似対象範囲内の複数の点を前記二次曲線で近似すると共に、前記誤差許容範囲内になるように前記二次曲線を表す式に含まれる未知数を変更することで最適化して前記近似曲線を得る近似曲線算出工程と、
前記近似曲線算出工程において前記最適化を予め設定している第1最大回数まで実施して前記誤差許容範囲内で前記近似曲線が得られない場合に、前記近似対象範囲を単位ステップ分の調整量で狭める近似対象範囲調整工程と、
を含み、
前記近似対象範囲調整工程を実施した後は、前記近似曲線算出工程における前記近似対象範囲を前記近似対象範囲調整工程で調整された近似対象範囲として前記近似曲線算出工程を実施し、
前記近似対象範囲調整工程を予め設定している第2最大回数まで実施した後に、前記近似曲線算出工程を実施して、前記誤差許容範囲内で前記近似曲線が算出されない場合に前記フィレット面候補点群は前記フィレット面を構成しないと前記計測情報処理装置が認識する、
請求項1に記載のフィレット面認識方法。
【請求項3】
前記柱状体は円柱であり、
前記フィレット面認識工程では、複数の前記直交面の各々に対応して前記誤差許容範囲で前記近似曲線が算出された場合、複数の前記近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の前記楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、前記円柱の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、前記フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、前記中心軸候補線との距離が前記円柱の半径である計測点を前記周表面上の計測点と判定する、
請求項1又は2に記載のフィレット面認識方法。
【請求項4】
前記柱状体は円錐台であり、
前記フィレット面認識工程では、複数の前記直交面の各々に対応して前記誤差許容範囲で前記近似曲線が算出された場合、複数の前記近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の前記楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、前記円錐台の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、前記フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、前記中心軸候補線との距離が、前記円錐台の母線と前記中心軸線との間の距離である計測点を前記周表面上の計測点と判定する、
請求項1又は2に記載のフィレット面認識方法。
【請求項5】
3次元物体の3次元形状計測結果である計測点群からフィレット面を抽出するためのフィレット面認識プラグムであって、
コンピュータに、
前記計測点群を複数の平面を表す領域に分割し、隣接する2つの前記平面の仮想的な交線を隣接する2つの前記平面の干渉線として算出し、前記計測点群のうち前記干渉線から第1所定距離内の計測点をフィレット面候補点群として抽出するフィレット面候補点群抽出工程と、
フィレット面候補点群抽出工程で抽出された前記フィレット面候補点群に含まれる複数の特徴線から、前記干渉線上に設定した基準点から第2所定距離離れており前記干渉線の延在方向とのなす角度が最小である特徴線を、前記フィレット面に含まれるシルエット候補線として取得するシルエット候補線取得工程と、
前記シルエット候補線に直交する複数の直交面上の点列の各々を、前記フィレット面候補点群を基にそれぞれ探索する点列探索工程と、
前記点列探索工程で得られた各前記直交面上の前記点列を二次曲線で近似し、複数の前記直交面上の前記点列の各々に対応して誤差許容範囲内で近似曲線が得られ且つ複数の前記近似曲線を基に推定される柱状体の周表面上で前記フィレット候補点群内の計測点が抽出される場合に、前記周表面上の前記計測点からフィレット面が構成されると認識し、前記周表面上に前記フィレット候補点群を構成する計測点がない場合又は少なくとも一つの前記直交面上の前記点列に対応して前記誤差許容範囲内で前記近似曲線を得られない場合に、前記フィレット面候補点群は前記フィレット面を構成しないと認識する、フィレット面認識工程と、
を実行せしめるフィレット面認識プログラム。
【請求項6】
前記フィレット面認識工程は、
前記直交面上の前記点列のうち予め設定している近似対象範囲内の複数の点を前記二次曲線で近似すると共に、前記誤差許容範囲内になるように前記二次曲線を表す式に含まれる未知数を変更することで最適化して前記近似曲線を得る近似曲線算出工程と、
前記近似曲線算出工程において前記最適化を予め設定している第1最大回数まで実施して前記誤差許容範囲内で前記近似曲線が得られない場合に、前記近似対象範囲を単位ステップ分の調整量で狭める近似対象範囲調整工程と、
を含み、
前記コンピュータに、
前記近似対象範囲調整工程を実施した後は、前記近似曲線算出工程における前記近似対象範囲を前記近似対象範囲調整工程で調整された近似対象範囲として前記近似曲線算出工程を実行せしめ、
前記コンピュータに、
前記近似対象範囲調整工程を予め設定している第2最大回数まで実施した後に、前記近似曲線算出工程を実施して、前記誤差許容範囲内で前記近似曲線が算出されない場合に前記フィレット面候補点群は前記フィレット面を構成しないと認識せしめる、
請求項5に記載のフィレット面認識プログラム。
【請求項7】
前記柱状体は円柱であり、
前記コンピュータに、
前記フィレット面認識工程では、複数の前記直交面の各々に対応して前記誤差許容範囲で前記近似曲線が算出された場合、複数の前記近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の前記楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、前記円柱の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、前記フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、前記中心軸候補線との距離が前記円柱の半径である計測点を前記周表面上の計測点と判定せしめる、
請求項5又は6に記載のフィレット面認識プログラム。
【請求項8】
前記柱状体は円錐台であり、
前記コンピュータに、
前記フィレット面認識工程では、複数の前記直交面の各々に対応して前記誤差許容範囲で前記近似曲線が算出された場合、複数の前記近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の前記楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、前記円錐台の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、前記フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、前記中心軸候補線との距離が、前記円錐台の母線と前記中心軸線との間の距離である計測点を前記周表面上の計測点と判定せしめる、
請求項5又は6に記載のフィレット面認識プログラム。
【請求項9】
3次元物体の3次元形状計測結果である計測点群からフィレット面を認識するための計測情報処理装置であって、
前記計測点群を複数の平面を表す領域に分割し、隣接する2つの前記平面の仮想的な交線を隣接する2つの前記平面の干渉線として算出し、前記計測点群のうち前記干渉線から第1所定距離内の計測点をフィレット面候補点群として抽出するフィレット面候補点群抽出手段と、
前記フィレット面候補点群抽出手段で抽出された前記フィレット面候補点群に含まれる複数の特徴線から、前記干渉線上に設定した基準点から第2所定距離離れており前記干渉線の延在方向とのなす角度が最小である特徴線を、前記フィレット面に含まれるシルエット候補線として取得するシルエット候補線取得手段と、
前記シルエット候補線に直交する複数の直交面上の点列の各々を、前記フィレット面候補点群を基にそれぞれ探索する点列探索手段と、
前記点列探索手段で得られた各前記直交面上の前記点列を二次曲線で近似し、複数の前記直交面上の前記点列の各々に対応して誤差許容範囲内で近似曲線が得られ且つ複数の前記近似曲線を基に推定される柱状体の周表面上で前記フィレット候補点群内の計測点が抽出される場合に、前記周表面上の前記計測点からフィレット面が構成されると認識し、前記周表面上に前記フィレット候補点群を構成する計測点がない場合又は少なくとも一つの前記直交面上の前記点列に対応して前記誤差許容範囲内で前記近似曲線を得られない場合に、前記フィレット面候補点群は前記フィレット面を構成しないと認識する、フィレット面認識手段と、
を備える計測情報処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フィレット面認識方法、フィレット面認識プログラム及び計測情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3次元形状計測技術は、ものづくりには欠かせない基盤技術である。しかし、成形品の品質や、それを生み出す金型の品質と磨耗状態の検査においては、いまだに目視検査や手作業による寸法計測が多く行われている。機械部品の目視検査においては、一つ一つの部品に対して、人が検査を行うため、効率が悪く、また個人差による計測精度のバラツキが生じ,定量的な判断が困難である。
【0003】
機械部品の検査を自動化するためには、3次元計測による計測点群と、設計データであるCADモデルがどの程度一致するのかを調べることで実現が可能である。しかし、そのためには計測データとしての計測点群とCADモデルを同一の3次元空間へ配置する必要がある。計測点群とCADモデルとを同一の3次元空間へ配置する場合、CADデータと計測点群の特徴をそれぞれ抽出し、特徴量を利用して2者を同一空間で位置合わせする。その後、CADデータと計測点群の幾何学的な差分を計算する。この特徴量の抽出及びマッチング方法としては、非特許文献1に記載の技術が知られている。この非特許文献1に記載の技術では、計測点群を平面性に基づいて領域分割し、その稜線を抽出して特徴量である特徴線として用いる。

【非特許文献1】金野哲士、今野晃市、千葉則茂、「平面性に基づいた測定点群の階層的な領域分割による稜線抽出法」、芸術科学会論文誌、Vol.6、No.4、pp197-206。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1の手法では、平面形状に依存した特徴量を抽出することは可能であるが、機械部品で多用されるフィレット面に依存する特徴量を抽出することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、3次元物体を計測して得られた計測データである計測点群から、フィレット面を自動的に認識可能なフィレット面認識方法、フィレット面認識プログラム及び計測情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフィレット面認識方法は、3次元物体の3次元形状計測結果である計測点群から計測情報処理装置がフィレット面を認識するためのフィレット面の認識方法であって、(1)計測点群を複数の平面を表す領域に分割し、隣接する2つの平面の仮想的な交線を隣接する2つの平面の干渉線として算出し、計測点群のうち干渉線から第1所定距離内の計測点をフィレット面候補点群として抽出するフィレット面候補点群抽出工程と、(2)計測情報処理装置が、フィレット面候補点群抽出工程で抽出されたフィレット面候補点群に含まれる複数の特徴線から、干渉線上に設定した基準点から第2所定距離離れており干渉線の延在方向とのなす角度が最小である特徴線を、フィレット面に含まれるシルエット候補線として取得するシルエット候補線取得工程と、(3)計測情報処理装置が、シルエット候補線に直交する複数の直交面上の点列の各々を、フィレット面候補点群を基にそれぞれ探索する点列探索工程と、(4)点列探索工程で得られた各直交面上の点列を二次曲線で近似し、複数の直交面上の点列の各々に対応して誤差許容範囲内で近似曲線が得られ且つ複数の近似曲線を基に推定される柱状体の周表面上でフィレット候補点群内の計測点が抽出される場合に、周表面上の計測点からフィレット面が構成されると計測情報処理装置が認識し、周表面上にフィレット候補点群を構成する計測点がない場合又は少なくとも一つの直交面上の点列に対応して誤差許容範囲内で近似曲線を得られない場合に、フィレット面候補点群はフィレット面を構成しないと計測情報処理装置が認識する、フィレット面認識工程と、を備える。
【0007】
また、本発明に係るフィレット面認識プログラムは、3次元物体の3次元形状計測結果である計測点群からフィレット面を抽出するためのフィレット面認識プラグムであって、コンピュータに、(A)計測点群を複数の平面を表す領域に分割し、隣接する2つの平面の仮想的な交線を隣接する2つの平面の干渉線として算出し、計測点群のうち上記干渉線から第1所定距離内の計測点をフィレット面候補点群として抽出するフィレット面候補点群抽出工程と、(B)フィレット面候補点群抽出工程で抽出されたフィレット面候補点群に含まれる複数の特徴線から、干渉線上に設定した基準点から第2所定距離離れており干渉線の延在方向とのなす角度が最小である特徴線を、フィレット面に含まれるシルエット候補線として取得するシルエット候補線取得工程と、(C)シルエット候補線に直交する複数の直交面上の点列の各々を、フィレット面候補点群を基にそれぞれ探索する点列探索工程と、(D)点列探索工程で得られた各直交面上の点列を二次曲線で近似し、複数の直交面上の点列の各々に対応して誤差許容範囲内で近似曲線が得られ且つ複数の近似曲線を基に推定される柱状体の周表面にフィレット候補点群内の計測点が抽出される場合に、周表面上の計測点からフィレット面が構成されると認識し、周表面上にフィレット候補点群を構成する計測点がない場合又は少なくとも一つの直交面上の点列に対応して誤差許容範囲内で近似曲線を得られない場合に、フィレット面候補点群はフィレット面を構成しないと認識する、フィレット面認識工程と、を実行せしめる。
【0008】
また、本発明に係る計測情報処理装置は、3次元物体の3次元形状計測結果である計測点群からフィレット面を認識するための計測情報処理装置であって、(a)計測点群を複数の平面を表す領域に分割し、隣接する2つの平面の仮想的な交線を隣接する2つの上記平面の干渉線として算出し、計測点群のうち干渉線から第1所定距離内の計測点をフィレット面候補点群として抽出するフィレット面候補点群抽出手段と、(b)フィレット面候補点群抽出手段で抽出されたフィレット面候補点群に含まれる複数の特徴線から、干渉線上に設定した基準点から第2所定距離離れており干渉線の延在方向とのなす角度が最小である特徴線を、フィレット面に含まれるシルエット候補線として取得するシルエット候補線取得手段と、(c)シルエット候補線に直交する複数の直交面上の点列の各々を、フィレット面候補点群を基にそれぞれ探索する点列探索手段と、(d)点列探索手段で得られた各直交面上の点列を二次曲線で近似し、複数の直交面上の点列の各々に対応して誤差許容範囲内で近似曲線が得られ且つ複数の近似曲線を基に推定される柱状体の周表面上でフィレット候補点群内の計測点が抽出される場合に、周表面上の計測点からフィレット面が構成されると認識し、周表面上にフィレット候補点群を構成する計測点がない場合又は少なくとも一つの直交面上の点列に対応して誤差許容範囲内で近似曲線を得られない場合に、フィレット面候補点群はフィレット面を構成しないと認識する、フィレット面認識手段と、を備える。
【0009】
本発明に係るフィレット面認識方法、フィレット面認識プログラム及び計測情報処理装置では、計測点群から平面性に基づいて分割された各領域に対応する複数の平面のうち隣接する2つの平面の干渉線を算出し、その干渉線から所定距離内の計測点をフィレット面候補点群として抽出する。抽出したフィレット面候補点群内から干渉線に対して上記条件を満たす特徴線をシルエット候補線として取得し、シルエット候補線に対して設定した複数の直交面上にのる点列をフィレット面候補点群から探索する。そして、探索された各点列を二次曲線で近似し、予め設定している誤差許容範囲内で近似曲線が得られ且つ近似曲線から推定される柱状体の周表面上でフィレット候補点群内の計測点が抽出される場合に、二次曲面上の計測点から構成される曲面をフィレット面として認識する。一方、誤差許容範囲で近似曲線を算出できた場合であっても上記柱状体上にフィレット候補点群を構成する計測点がない場合又は少なくとも一つの直交面上の点列に対応して誤差許容範囲内で近似曲線を得られない場合に、フィレット面候補点群にはフィレット面を構成する計測点は含まれていないと判定する。よって、本発明に係るフィレット面認識方法、フィレット面認識プログラム及び計測情報処理装置により、計測点群からフィレット面を計測点群から自動的に認識可能である。
【0010】
また、本発明に係るフィレット認識方法では、上記フィレット面認識工程は、直交面上の点列のうち予め設定している近似対象範囲内の複数の点を二次曲線で近似すると共に、誤差許容範囲内になるように二次曲線を表す式に含まれる未知数を変更することで最適化して近似曲線を得る近似曲線算出工程と、近似曲線算出工程において最適化を予め設定している第1最大回数まで実施して誤差許容範囲内で近似曲線が得られない場合に、近似対象範囲を単位ステップ分の調整量で狭める近似対象範囲調整工程と、を含み、近似対象範囲調整工程を実施した後は、近似曲線算出工程における近似対象範囲を近似対象範囲調整工程で調整された近似対象範囲として近似曲線算出工程を実施し、近似対象範囲調整工程を予め設定している第2最大回数まで実施した後に、近似曲線算出工程を実施して、誤差許容範囲内で近似曲線が算出されない場合にフィレット面候補点群はフィレット面を構成しないと計測情報処理装置が認識する、ことが好適である。
【0011】
同様に、本発明に係るフィレット面認識プログラムでは、上記認識工程は、直交面上の点列のうち予め設定している近似対象範囲内の複数の点を二次曲線で近似すると共に、誤差許容範囲内になるように二次曲線を表す式に含まれる未知数を変更することで最適化して近似曲線を得る近似曲線算出工程と、近似曲線算出工程において最適化を予め設定している第1最大回数まで実施して誤差許容範囲内で近似曲線が得られない場合に、近似対象範囲を単位ステップ分の調整量で狭める近似対象範囲調整工程と、を含み、上記コンピュータに、近似対象範囲調整工程を実施した後は、近似曲線算出工程における近似対象範囲を近似対象範囲調整工程で調整された近似対象範囲として近似曲線算出工程を実行せしめ、上記コンピュータに、近似対象範囲調整工程を予め設定している第2最大回数まで実施した後に、近似曲線算出工程を実施して、誤差許容範囲内で近似曲線が算出されない場合にフィレット面候補点群はフィレット面を構成しないと認識せしめる、ことが好ましい。
【0012】
上記のように二次曲線で近似した近似曲線に対して最適化を図ることでより正確に二次曲線を算出することができる。また、最適化を上記第1最大回数まで実施して誤差許容用範囲内の二次曲線が得られない場合に、近似対象範囲を狭めて更に近似曲線を算出することで、計測点群に含まれる計測誤差の影響を低減して二次曲線を算出することができ、結果として、より正確にフィレット面を認識することが可能である。
【0013】
更に、本発明に係るフィレット面認識方法では、上記柱状体は円柱であり、フィレット面認識工程では、複数の直交面の各々に対応して誤差許容範囲で近似曲線を算出できた場合、複数の近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、円柱の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、中心軸候補線との距離が上記円柱の半径である計測点を周表面上の計測点と判定する、ことが好ましい。或いは、上記柱状体は円錐台であり、フィレット面認識工程では、複数の直交面の各々に対応して誤差許容範囲で近似曲線が算出された場合、複数の近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、円錐台の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、中心軸候補線との距離が、円錐台の母線と上記中心軸線との間の距離である計測点を周表面上の計測点と判定する、ことが好ましい。
【0014】
同様に、本発明に係るフィレット面認識プログラムでは、上記柱状体は円柱であり、上記コンピュータに、フィレット面認識工程では、複数の直交面の各々に対応して誤差許容範囲で近似曲線を算出できた場合、複数の近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、円柱の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、中心軸候補線との距離が、上記円柱の半径である計測点を前記周表面上の計測点と判定せしめる、ことが好ましい。或いは、上記柱状体は円錐台であり、上記コンピュータに、フィレット面認識工程では、複数の直交面の各々に対応して誤差許容範囲で近似曲線が算出された場合、複数の近似曲線の各々を基に楕円曲線を算出し、複数の楕円曲線で表される楕円の中心点を基に、円錐台の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出し、フィレット面候補点群を構成する複数の計測点のうち、中心軸候補線との距離が、円錐台の母線と上記中心軸線との間の距離である計測点を周表面上の計測点と判定する、ことが好ましい。
【0015】
この場合、上記算出された中心軸候補線の一部を中心軸線として有する円柱又は円錐台の周表面に対応したフィレット面を認識することができる。
【0016】
また、本発明に係るフィレット面認識方法において、上記点列探索工程では、基準特徴線をN等分(Nは3以上の整数)する(N-1)個の点を設定し、(N-1)個の点の各々に対して直交面を設定し、(N-1)個の点のうち各直交面上の点を基点にしてフィレット面候補点群のうち基点に最も近い点である最近接点を探索し、最近接点を基点にしてその基点に対する最近接点を探索することを繰り返し、探索された最近接点をそれぞれ、直交面上に射影して点列とする、ことができる。同様に、本発明に係るフィレット面認識プログラムの上記点列探索工程では、シルエット候補線をN等分(Nは3以上の整数)する(N-1)個の点を設定し、(N-1)個の点の各々に対して直交面を設定し、(N-1)個の点のうち各直交面上の点を基点にしてフィレット面候補点群のうち基点に最も近い点である最近接点を探索し、最近接点を基点にしてその基点に対する最近接点を探索することを繰り返し、探索された最近接点をそれぞれ、直交面上に射影して上記点列とする、ことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、3次元物体を計測して得られた計測データである計測点群から、フィレット面を認識することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図中の寸法比率は必ずしも説明中のものとは一致していない。
【0019】
図1は、本発明に係るフィレット面認識方法の一実施形態の処理の流れを示す図面である。本実施形態のフィレット面認識方法は、機械部品を、3次元計測装置などで計測して得られた計測データである計測点群10から上記3次元物体のフィレット面を自動的に認識するためのものである。フィレット面とは、二つの平面間の接続を滑らかにするために挿入される曲面である。機械部品の形状には、平面形状とフィレット形状とが混在している。そこで、本実施形態では、3次元物体として機械部品を例にして説明する。図1では、3次元物体としての機械部品の3次元形状をレンジセンサなどの3次元計測装置で計測した後、取得した計測データとしての計測点群10を、コンピュータを利用して自動的に処理する工程を示している。また、本実施形態のフィレット面認識方法では、フィレット面が円柱(柱状体)の周表面を表す形状であると仮定する。ここでは、柱状体として円柱を例示したが、柱状体は例えば円錐台とすることもできる。
【0020】
図1に示すように、フィレット面認識方法は、フィレット面候補点群抽出工程S10と、シルエット候補線取得工程S20と、点列探索工程S30と、フィレット面認識工程S40とを含んでおり、この順に実施する。以下、各工程について説明する。
【0021】
(1)フィレット面候補点群抽出工程S10
この工程S10では、計測点群10のうちで、フィレット面を構成すると推定される複数の計測点をフィレット面候補点群として抽出する。フィレット面が前述したように2つの平面を滑らかに繋ぐための曲面であることから、フィレット面候補点群となる部分は、2つの平面が交差する干渉線付近の点群である。よって、2つの平面の干渉線を抽出し、その近傍にある点群を探索することでフィレット面候補点群を抽出する。2つの平面が交差する上記干渉線とは、機械部品においてフィレット処理が行われる前に2つの平面が接続されていた場合の接続部分のことである。すなわち、干渉線は、2つの平面を無限平面と考えた場合の交差した部分である。
【0022】
フィレット面候補点群の抽出手順を、図2を利用して説明する。図2は、機械部品の3次元計測結果である複数の計測点12で構成される計測点群10を領域分割する工程を示す図面である。図2は、機械部品の3次元形状を計測した3次元計測装置の位置を原点として設定された3次元座標系に計測点群10を構成する計測点12を3次元座標データとしてプロットした状態を模式的に表したものである。図2(b)は、図2(a)の計測点群10からフィレット面候補点群が抽出された状態を模式的に示している。
【0023】
機械部品は平面形状を有しているため、先ず、平面性に基づいて計測点群10を複数の領域14に分割する(領域分割工程)。この領域分割では、例えば非特許文献1に記載の平面性に基づいた領域分割の手法を利用できる。領域分割の手順を説明する。
[領域分割工程]
先ず、図2に示した計測点群10から、特徴線として3次元デプスエッジを抽出する。3次元デプスエッジとは、計測点群10を構成する複数の計測点12から隣接点との奥行き値の差分が大きい計測点12を点列として抽出したものである。次に、抽出した特徴線と近傍の点群を包含するような無限平面が存在すると仮定し、その無限平面の単位法線ベクトルを算出する。続いて、平面の法線ベクトルと特徴線とを基に、局所的な座標軸を特徴線上に設定する。そして、各特徴線上に設定された局所的な座標軸と特徴線近傍の点群の接平面の法線ベクトルがなす角度を使って、計測点群10の平面性に基づいた領域分割を行う。図2では、3つの領域14を示している。各領域14内の計測点群10で構成される平面を平面14とも称す。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、計測点群10の領域分割で得られる複数の平面14のうち隣接する2つの平面14,14の干渉線16をそれぞれ算出する(干渉線算出工程)。
【0025】
隣接する2つの平面14,14を無限平面と仮定してその干渉線16を求め、干渉線16を含む無限直線を算出する。そして、その無限直線から距離r1内に存在する点群を探索した後、無限直線に射影し、上記無限直線上の射影点列の両端間の線分を干渉線16とする。図2(a)及び図2(b)に示すように、隣接する2つの平面14,14の組が3つできる場合には、3本の干渉線16,16,16が算出されることになる。上記距離r1は、計測対象としての機械部品のフィレット半径に基づいて決定しておけばよい。
【0026】
次に、その算出された各干渉線16を利用してフィレット面候補点群18を抽出する(抽出工程)。すなわち、計測点群10のうち各干渉線16から距離(第1所定距離)r2内にある複数の計測点12をフィレット面候補点群18として抽出する。なお、図2(b)では各干渉線16に対するフィレット面候補点群18をまとめてハッチングで示しているが、フィレット面候補点群18は、干渉線16毎に抽出される。上記距離r2は、計測対象としての機械部品のフィレット半径に基づいて決定しておけばよい。
【0027】
(2)シルエット候補線取得工程S20
図3を利用してシルエット候補線取得工程S20を説明する。図3は、シルエット候補線取得工程を説明するための図面であり、図2(b)に示した3つの干渉線16,16,16のうちの一つの干渉線16と、干渉線16から距離r3内の特徴線を示している。図3では計測点群10は図示していない。
【0028】
この工程S20では、フィレット面候補点群抽出工程S10で抽出されたフィレット面候補点群18に対して上記3次元デプスエッジとしての特徴線を探索する(特徴線探索工程)。そして、抽出された特徴線の中でフィレット面上にのっておりフィレット面のシルエットを表すと推定される特徴線をシルエット候補線22として選択する(特徴線選択工程)。特徴線探索工程及び特徴線選択工程について説明する。
【0029】
[特徴線探索工程]
図3に示すように、干渉線16上に基準点20を定め、基準点20から距離(第2所定距離)r3内にある3次元デプスエッジとしての特徴線を複数探索する。より詳細には、フィレット面候補点群18から3次元デプスエッジを求め、基準点20から距離r3内にあるものを複数探索する。基準点20は、干渉線16上にあればよいが、干渉線16の中央部にあることが好ましい。フィレット面上のシルエット線は干渉線16の延在方向においてその中央部にはより確実に存在すると考えられるからである。本実施形態では、基準点20は干渉線16の中点とする。また、上記距離r3は、計測対象としての機械部品のフィレット半径により決めておけばよい。
【0030】
[特徴線選択工程]
上記特徴線探索工程で得られた複数の特徴線を次の2つの基準で評価し、2つとも満たすような最適な特徴線を一つ選択し、シルエット候補線22とする。
(i)特徴線が一定(所定長さ)以上の長さであるかを評価する。長さが十分ではない特徴線は除く。この評価の基準となる一定の長さは、計測対象の機械部品の大きさを考慮して予め設定しておけばよい。
(ii)干渉線16の単位方向ベクトルと、特徴線の単位方向ベクトルのなす角を評価する。そして、角度が最も小さい特徴線を選択する。換言すれば、干渉線16の延在方向とのなす角度が最も小さい特徴線を選択する。
【0031】
例えば,図3のUを干渉線16の単位方向ベクトルとし、Ut1とUt2を探索の結果得られた特徴線22,22の単位方向ベクトルとする場合は、干渉線16の単位方向ベクトルと、特徴線22,22の単位方向ベクトルのなす角が小さい特徴線22を選択し、シルエット候補線22とする。
【0032】
シルエット線は、干渉線16の延在方向と略同方向に延在しており、その延在方向におけるフィレット面の長さと同様の長さを有していると考えられるため、上記2つの基準(i)、(ii)を満たす特徴線を選択することで、効率的に且つより正確にシルエット線の候補となる線を選択することができる。
【0033】
上記特徴線探索工程及び特徴線選択工程では、一つの干渉線16について説明しているが、干渉線16毎にその干渉線16に対応したシルエット候補線22を抽出する。
【0034】
(3)点列探索工程S30
図4を利用して点列探索工程S30を説明する。この工程S30では、シルエット候補線22に直交する複数の直交面を設定し、計測点群10を基に各直交面上にのる点列を探索する。図4(a)はシルエット候補線に直交する複数の直交面を設定する方法を説明する図である。図4(b)は、図4(a)で設定された各直交面にのっている点列の模式図である。
【0035】
図4(a)に示しているように、シルエット候補線22を4等分し、シルエット候補線22上の点24s,24m,24eを得る。次に、シルエット候補線22の方向ベクトルを法線uとし、点24s,24m,24eを通る平面である直交面26s,26m,26eを定義する。そして、直交面26s,26m,26eにのる点を探索し、図4(b)に示すように、直交面26s,26m,26e上の点列28s,28m,28eを得る。直交面26s,26m,26eに対応する点列28s,28m,28eを得る手順は同様である。そのため、点24s,24m,24eを点Pと表し、直交面26s,26m,26eを直交面26と表し、点列28s,28m,28eを点列28と表して、点列28を得る手順を、図5を利用して説明する。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り同様の表記を用いる。
【0036】
本実施形態では、図5に示すように、直交面26の近傍に存在する点列28を探索し、その点列28を直交面26上に射影して点列28とする。点列28の探索手法としては、例えば、次のようにすることができる。直交面26とシルエット候補線22との交点である点Pを開始点として、その8近傍の隣接点Pを探索する。本実施形態では、隣接点Pを直交面26に射影した点と、開始点Pとの距離が閾値よりも小さい場合に、隣接点Pが直交面26の近傍に存在すると判断する。次に、隣接点Pを次の開始点として同様の探索を繰り返し、直交面26近傍の点列28を探索する。そして、点列28を直交面26に射影して点列28を得る。
【0037】
(4)フィレット面認識工程S40
次に、図1に示したフィレット面認識工程S40を説明する。この工程S40では、点列探索工程S30で得られた各点列28s,28m,28eに対してそれぞれ二次曲線近似を実施し、対象とするフィレット面候補点群18にフィレット形状が含まれる否かを判定する。フィレット面候補点群18にフィレット形状が含まれると判定した場合を、フィレット面を認識したとする。ここでも、直交面26s,26m,26eを直交面26とも表し、点列28s,28m,28eを点列28とも表す場合がある。
【0038】
本実施形態では、点列28の近似に利用する二次曲線として楕円を表す円錐曲線を使用し、円錐曲線として有理2次Bezier曲線(G. Farin, “Curves and Surfaces for Computer Aided GeometricDesign: A Practical Guide,” Academic Press Inc. 1996参照)を用いる。有理2次Bezier曲線は、3つの制御点p,p,p及び各制御点の重みw,w,wを用いて式(1)のように表される。
【数1】
JP0005093604B2_000002t.gif

ただし、B(t),B(t),B(t)はBernstein関数を表す。
【0039】
また、本実施形態では、点列28のうち所定の近似対象範囲の点列に対して式(1)による近似を実施して近似曲線を算出する(近似曲線算出工程)と共に、所定の場合に近似対象範囲を後述するSetBackにより調整する(SetBack工程)。近似曲線算出工程及びSetBack工程(近似対象範囲調整工程)について説明する。
【0040】
[近似曲線算出工程]
所定の近似対象範囲での式(1)を用いた近似方法を、近似対象範囲が点列28全体である場合を例にして述べる。また、点列28は、点Q~点Qn—1(nは1以上の整数)から構成されるとする。この工程では、近似対象範囲内の点列に対して式(1)を利用して暫定的に二次曲線近似を実施し(近似工程)、その近似の最適化を図り(最適化工程)、最適化された近似曲線を算出する。
【0041】
(i)近似工程
図6は、初期状態の有理2次Bezier曲線を示す模式図である。直交面26上にのる点列28の両端の点Q,Qn-1を、有理2次Bezier曲線の端点と仮定し、有理2次Bezier曲線で近似する。初期値としては、w=w=w=1、p=Q、p=Qn-1とする。制御点pの初期値は以下の方法で算出する。はじめに、2つの制御点pと制御点pとを連結した線分S1の中点pを算出する。次に、中点pを通り、線分S1に垂直な直線S2を生成し、直線S2に最も近い点Qを求める。そして、C(0.5)=Qとして制御点pを算出する。初期値を用いて点列28を有理2次Bezier曲線で近似した結果、図6に示した実線が得られる。
【0042】
点列28を構成する点Qに対応するパラメータtの算出方法について説明する。本実施形態では、有理2次Bezier曲線を使用するため、制御点pのパラメータtを0.0、制御点pのパラメータtn-1を1.0とする。その他の点Qに対応するパラメータtは、初期値を用いて定義された有理2次Bezier曲線Cinit(t)に点Qを射影した点におけるパラメータとする。すなわち、Cinit(t)=Qが成り立つ。
【0043】
(ii)最適化工程
最適化工程では、未知数である制御点pと重みwを最適化する。この最適化では、点列28上の点Qから、有理2次Bezier曲線C(t)までの距離を基にして下記の式(2)で定義される誤差評価関数Eを使用する。
【数2】
JP0005093604B2_000003t.gif

誤差評価関数Eによって決まる誤差評価値が許容誤差範囲より小さくなるように、制御点pおよび重みwを、最小二乗法を用いて算出する。なお、制御点p1と重みw1を一度変更することで最適化工程を一回実施したとする。
【0044】
最適化工程を予め設定している最大回数(第1最大回数)N1(N1は2以上の整数)まで実施しても誤差評価関数Eが許容誤差範囲を超えている場合にSetBack工程を実施する。
[SetBack工程]
SetBackとは、点列28から2次曲線近似に使用する点列の範囲を調整することである。SetBackすることにより、シルエット候補線抽出の結果が、測定誤差によって本来の位置からずれることを考慮した楕円近似を行うことが可能となる。
【0045】
図7は、SetBackを説明するための図面である。SetBack工程では、近似対象範囲を単位ステップ分の調整量だけ狭める。具体的には、点列28の両端の点を繋ぐ線分S1の長さを1とすることで、近似対象範囲を0から1のパラメータで表す。この場合、近似対象範囲はパラメータ区間[t,t](t,tは0以上1以下の数であり、t<t)に対応する。SetBack工程では0と1の両端から矢印の方向に単位ステップ分の調整量として0.05刻みで狭めていき、狭められた線分に対応する点列の範囲を新しい近似対象範囲とする。
【0046】
本実施形態では、SetBack工程を実施する最大回数(第2最大回数)N2(N2は2以上の整数)を予め設定しておき、この最大回数N2以下の場合には、SetBack工程を実施した後、再度近似曲線算出工程に戻る。SetBack工程を実施後に近似曲線算出工程を実施する場合、近似曲線算出工程では、SetBack工程で変更された近似対象範囲の両端の点をそれぞれ制御点p,pに対応するものとして近似曲線を算出する。SetBack工程を最大回数N2まで実施しても、誤差評価関数Eが許容誤差より小さくならない場合には、フィレット面候補点群18はフィレット面を構成しない、すなわちフィレット面候補点群18にはフィレット形状を表す計測点12は含まれていないと判定する。
【0047】
最適化工程において誤差評価関数Eが許容誤差範囲より小さくなる近似曲線が算出できた場合には、得られた近似曲線(二次曲線)から楕円曲線を推定した後、その楕円曲線で表される楕円の中心点を算出する(中心点算出工程)。各点列28s,28m,28eに対して中心点が算出された場合、各平面26s,26m,26e上の中心点を基に、各平面26s,26m,26eを断面とする円柱の中心軸線の候補となる中心軸候補線を算出する(中心軸候補線算出工程)。そして、その中心軸候補線から所定距離Rの位置に計測点12があるか否かを判定する(判定工程)。各工程について説明する。
【0048】
[中心点算出工程]
図8を利用して中心点算出工程を説明する。点列28s,28m、28eに対してそれぞれ得られた近似曲線(二次曲線)をまとめて近似曲線Clとして説明する。図8に示すように、得られた近似曲線Clを算出すべき楕円曲線Cの一部とみなし、他の部分を表す二次曲線Crを得られた近似曲線Clから推定して楕円曲線Cを推定する。本実施形態では、近似曲線算出工程で使用する二次曲線として楕円を表す有理2次Bezier曲線C(t)を用いているため、式(2)において重みwの符号を負にすることで算出すべき楕円曲線Cの残りの部分である二次曲線Crを推定できる。このようにして得られた楕円曲線Cの長径又は短径を連結した線分の中心を楕円曲線Cで表される楕円の中心点Gとすることができる。
【0049】
[中心軸候補線算出工程]
各点列28s,28m,28eに対して推定された各楕円曲線Cの中心点Gを連結して得られる線分の単位方向ベクトルの平均を単位方向ベクトルとした無限直線を生成し、中心軸候補線30とする。
【0050】
[判定工程]
フィレット面候補点群18を構成する計測点12が中心軸候補線30から所定距離Rの位置にあるか否かを判定する。所定距離Rは、点列28s,28m、28eに対してそれぞれ算出された近似曲線Clと中心軸候補線30との間の距離の最大値である。中心軸候補線30から所定距離Rの位置は、中心軸候補線30を中心軸線とし半径Rの円柱の周表面に対応するため、中心軸候補線30から距離Rの位置を、上記周表面を表す二次曲面上とも称す場合もある。そして、中心軸候補線30から所定距離Rの位置に計測点12があるか否かの判定は、周表面を表す二次曲面上に計測点12があるか否かを判定することに対応する。図9は、中心軸候補線30から距離Rの位置にある計測点12を示す模式図であり、中心軸候補線30から距離Rの位置を二次曲面32として表している。図9では、周表面としての二次曲面32を一点鎖線で表している。
【0051】
図9に示すように、推定された二次曲面32上にフィレット面候補点群18を構成する計測点12がのっている場合、換言すれば、中心軸候補線30から距離Rの位置に計測点12がある場合、二次曲面32上の複数の計測点12がフィレット面を構成していると判定する。
【0052】
図9に示すように、二次曲面32上に複数の計測点12がのっている場合、二次曲面32上の計測点12を上記中心軸候補線30上に射影し、無限直線である中心軸候補線30上での最大値と最小値を計算し、その2点を両端とした線分を規定して二次曲面32を周表面とした円柱の中心軸線30aを規定する。
【0053】
また、二次曲面32上にフィレット面候補点群18がない場合、すなわち、中心軸候補線30から距離Rの位置に計測点12がない場合には、そのフィレット面候補点群18はフィレット面を構成しない、すなわち、計測点群10のうちそのフィレット面候補点群18で表される領域はフィレット形状ではないと判定する。
【0054】
換言すれば、誤差評価関数Eが誤差許容範囲内となる二次曲線が算出された場合であって、上記中心軸線30aが算出されたときに、上記二次曲面32上の計測点12からフィレット面が構成されているとし、中心軸線30aが算出できないときには、フィレット面候補点群18はフィレット面を構成しないと判定する。
【0055】
図10を利用して、上記フィレット面認識工程S40の手順を説明する。図10は、フィレット面認識工程のフローチャートである。ここでは、二次曲線近似において最適化を行う最大回数N1及びSetBackを実施する最大回数N2を予め設定しているものとする。
【0056】
先ず、設定されているパラメータ区間[t,t]内の点列に対して式(1)を利用して二次曲線近似を実施し近似曲線を算出する(ステップS41)。すなわち、前述した近似工程(ステップS41A)を実施した後、最適化工程(ステップS41B)を実施して近似曲線を算出する。ここでは、点列28s,28m,28eのそれぞれに対して近似曲線を算出する。
【0057】
次に、誤差評価関数Eが誤差許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS42)。ステップS41で算出した3つの近似曲線に対する誤差評価関数Eが全て誤差許容値以下で得られている場合(ステップS42でYES)には中心点Gを算出する。図10では、誤差評価関数Eによる判定を最適化工程(ステップS41B)の後に実施しているが、式(2)を利用して最適化を実施するため、実際には最適化工程(ステップS41B)と同時に実施していることになる。
【0058】
ステップS41で算出した近似曲線に対する誤差評価関数Eが誤差許容範囲外の場合には、上記最適化工程を実施した回数が最大回数N1以下か否かを判定する(ステップS43)。最適化工程を実施した回数が最大回数N1以下の場合(ステップS43でYES)には、ステップS41に戻る。また、最適化工程を実施した回数が最大回数N1を超えている場合(ステップS43でNO)には、SetBack工程を実施した回数が最大回数N2か否かを判定する(ステップS44)。SetBack工程を実施した回数が最大回数N2以下の場合(ステップS44でYES)には、SetBack工程を実施した後(ステップS45)、ステップS41に戻る。
【0059】
ステップS44で「NO」の場合には、対象とするフィレット面候補点群18内にはフィレット面を構成する計測点12は含まれていないと認識し、フィレット面認識工程S40を終了する。なお、ステップS43、ステップS44は点列28s,28m,28eに対して算出した近似曲線のうち誤差許容範囲内で得られていないものに対して実施すればよい。
【0060】
次に、ステップS42で誤差評価関数Eが誤差許容範囲内であると判定された場合(ステップS42でYES)について説明する。この場合、前述した中心点算出工程を実施して中心点Gを算出する(ステップS46)。続いて、中心軸候補線算出工程を実施して中心軸候補線30を算出する(ステップS47)。そして、中心軸候補線30から上記所定距離R離れた位置にフィレット面候補点群18内の計測点12があるか否かを判定する(ステップS48)。中心軸候補線30から距離Rの位置に計測点12がある場合(ステップS48でYES)、前述したようにして中心軸線30aを規定し(ステップS49)、フィレット面認識工程S40を終了する。また、中心軸候補線30から上記所定距離R離れた位置に計測点12がない場合、フィレット面候補点群18内にフィレット面を構成する計測点はないと認識して、フィレット面認識工程S40を終了する。
【0061】
なお、図10に示したフローチャートで説明したフィレット面認識工程S40では、ステップS44、ステップS48がフィレット形状であるか否かを判定していることになる。また、ここでは、例えば、図2(b)に示した3本の干渉線16,16,16の一つの干渉線16に対するフィレット面候補点群18を対象としてフィレット面認識を実施しているが、各干渉線16に対するフィレット面候補点群18に対しても同様に実施する。
【0062】
上記フィレット面認識工程S40を実施した後には、例えば、出力工程を実施することが好ましい。出力工程では、フィレット面認識工程S40で認識された認識結果を、コンピュータが有する又はコンピュータに接続された表示手段としてのディスプレイに出力する。このようにディスプレイ等に認識結果を出力する際には、ユーザが認識結果を視認し易いように、フィレット面認識工程S40での認識結果に応じて計測点群10に各種画像処理を施すことが好ましい。各種画像処理としては、例えば、3次元座標系にプロットする処理するや、認識工程S40でフィレット形状を表すと認識された領域の色を他の領域の色と区別するなどによりフィレット形状の領域他の領域と区別して表示することが含まれる。なお、図10に示したステップS44又はステップS48を経てフィレット形状を含んでないとみなされたフィレット面候補点群18の部分は、計測点群12を他の領域と区別せずに表示すればよい。このような出力工程は、例えば、各工程S10,S20,S30での処理の後に実施して、それぞれの処理結果を出力するようにしてもよい。
【0063】
以上説明したフィレット面認識方法によれば、3次元計測データとしての計測点群10からフィレット面を自動的に認識することができる。また、SetBackを利用しているため、計測点群10に含まれる計測誤差の影響が低減される。その結果、より高精度でフィレット面を認識することが可能である。そして、このように計測点群10からより正確にフィレット面を認識できることで、例えば、機械部品の設計用のCADデータとのマッチングを容易に実施可能である。CADデータとのマッチングには、前述した中心軸線30aを特徴線として使用することができる。
【0064】
ここで、機械部品を計測して得られた計測点群10に対して、図1に示したフィレット面認識方法を適用し得られた実験結果について説明する。
【0065】
図11は、計測対象の3次元物体としての機械部品を示す図面である。機械部品は、高さ6mm、幅7.2mm、奥行13.2mmのプラスチック製である。図12は、図11に示した機械部品のCADデータを示す図面である。図12に示す領域A1,A2がフィレット面を表している。
【0066】
機械部品の計測には、接触型3次元計測装置である「PICZA(ピクザ) modelmodel PIX-4(Roland DG社製)」を用いた。計測ピッチはPICZAの最小ピッチである0.05mmである。
【0067】
図13は、計測結果を示す図面であり、3次元座標系に計測結果としての計測点群10をプロットしたものである。計測点群10を構成する計測点12の総点数は、134,765である。図14は、図13に示した計測点群10に対してフィレット面候補点群抽出工程S10を実施して抽出したフィレット面候補点群18を示している。図14中の実線が干渉線16を示しており、ハッチングの部分がフィレット面候補点群18を示している。なお、図14においても、各干渉線16に対するフィレット面候補点群18をまとめて示している。
【0068】
図14に示した各フィレット面候補点群18に対してシルエット候補線取得工程S20、点列探索工程S30及びフィレット面認識工程S40を実施してフィレット面認識した結果を図15に示す。フィレット面認識工程S40において近似の最適化工程を行う最大回数N1は10回と設定し、SetBack工程を実施する最大回数N2は5回と設定している。図15より、図8に示すCADデータのフィレット面だけがフィレット面認識されたことが分かる。
【0069】
図16は図15で示されたフィレット面の拡大図である。図16(a)は、図15で示されたフィレット面A1を示しており、図16(b)は、図15で示されたフィレット面A2を示している。この図16(a)及び図16(b)でそれぞれ示したフィレット面の中心部分にある実線が推定された中心軸線30aである。この中心軸線30aを用いることで、フィレット形状を含む計測点群10でも安定した位置合わせ処理が可能となる。
【0070】
次に、本発明の実施の形態に係るフィレット面認識プログラムの一実施形態について説明する。図17は、フィレット面認識プログラムの一実施形態の構成を、記録媒体と共に示す図面である。図17に示すフィレット面認識プログラム34は、記録媒体36に格納されて提供される。記録媒体36としては、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD等の記録媒体や、半導体メモリ等が例示される。
【0071】
図18は、記録媒体に記憶されたプログラムを実行するためのコンピュータのハードウェア構成を示す図面である。図18に示すように、コンピュータ38は、記録媒体36を読みとるためのCD-ROMドライブ装置、DVDドライブ装置等の読取装置38Aと、オペレーティングシステムを常駐させた第1メモリ(RAM)38Bと、記録媒体36に記憶されたプログラムを記憶する第2メモリ38Cと、ディスプレイとしての表示装置38Dと、マウスやキーボード等といった入力装置38Eと、データ等の送受を行うための通信装置38Fと、プログラムの実行を制御するCPU38Gとを備えている。
【0072】
コンピュータ38は、記録媒体36が読取装置38Aに挿入されると、読取装置38Aから記録媒体36に格納されたフィレット面認識プログラム34にアクセス可能になり、当該フィレット面認識プログラム34によって、本発明の一実施の形態に係る計測情報処理装置として動作することが可能になる。フィレット面認識プログラム34は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号としてネットワークを介して提供されるものであってもよい。この場合、コンピュータ38は、通信装置38Fによって受信したフィレット面認識プログラム34を第2メモリ38Cに格納し、当該フィレット面認識プログラム34を実行することができる。
【0073】
図17に示したように、フィレット面認識プログラム34は、処理を統括するメインモジュール34Aと、フィレット面候補点群抽出モジュール34Bと、シルエット候補線取得モジュール34Cと、点列探索モジュール34Dと、フィレット面認識モジュール34Eと、を備えている。フィレット面候補点群抽出モジュール34Bは上記のフィレット面候補点群抽出工程S10の処理をコンピュータ38に実行させ、シルエット候補線取得モジュール34Cは上記のシルエット候補線取得工程S20の処理をコンピュータ38に実行させ、点列探索モジュール34Dは、上記の点列探索工程S30の処理をコンピュータ38に実行させ、フィレット面認識モジュール34Eは上記のフィレット面認識工程S40の処理をコンピュータ38に実行させる。なお、フィレット面認識プログラム34は、前述した出力工程の処理をコンピュータ38に実行させる出力モジュールを更に備えていてもよい。
【0074】
次に、本発明に係る計測情報処理装置の一実施形態について説明する。図19は、本発明に係る計測情報処理装置の一実施形態の構成を示す図面である。図19に示すように、計測情報処理装置40は、機能的に、入力手段40Aと、フィレット面候補点群抽出手段40Bと、シルエット候補線取得手段40Cと、点列探索手段40Dと、フィレット面認識手段40Eと、出力手段40Fとを備えている。
【0075】
フィレット面候補点群抽出手段40Bは上記のフィレット面候補点群抽出工程S10の処理を実行する部分であり、シルエット候補線取得手段40Cは上記のシルエット候補線取得工程S20の処理を実行する部分であり、点列探索手段40Dは、上記の点列探索工程S30の処理を実行する部分であり、フィレット面認識手段40Eは、上記のフィレット面認識工程S40の処理を実行する部分である。また、入力手段40Aは、機械部品などの3次元物体を3次元計測装置などで計測した際の計測点群10の入力や、フィレット面認識方法で使用する各種パラメータの入力を受け付ける。出力手段40Fは、フィレット面認識手段40Eで得られた認識結果をディスプレイなどの表示装置に出力する。
【0076】
計測情報処理装置40は、上述したフィレット面認識プログラム34に従って動作するコンピュータであることができ、この場合、図19は、フィレット面認識プログラム34に従って動作するコンピュータの機能ブロックを表していることになる。また、計測情報処理装置40は、入力手段40Aと、フィレット面候補点群抽出手段40Bと、シルエット候補線取得手段40Cと、点列探索手段40Dと、フィレット面認識手段40Eと、出力手段40Fそれぞれの処理を実行する専用回路から構成された装置であってもよい。
【0077】
以上説明した、フィレット面認識プログラム34及び計測情報処理装置40においても、フィレット面認識方法と同様の作用効果を有する。すなわち、3次元計測データとしての計測点群10からフィレット面を自動的に認識することができる。また、SetBackを利用しているためより高精度でフィレット面を認識することが可能である。そして、このように計測点群10からより正確にフィレット面を認識できることで、例えば、機械部品の設計用のCADデータとのマッチングを容易に実施可能である。CADデータとのマッチングには、前述した中心軸線30aを特徴線として使用することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、シルエット候補線22に複数の直交面を設定する際、シルエット候補線22を4等分したが、3等分以上すればよい。また、中心軸線30aの算出も所定の場合に行うとしたが、必ずしも中心軸線30aの算出は実施しなくてもよい。ただし、中心軸線30aを算出し、フィレット面の特徴線とすることで、CADデータとの位置合わせがより容易になることは前述したとおりである。点列28を近似する際の二次曲線として式(1)で表される二次曲線を使用したがこれに限定されない。フィレット形状を表す柱状体の形状に応じて選択すればよい。
【0079】
また、図2に示すような計測点群10は、直方体形状の機械部品の計測結果に対応している。そして、上記実施形態では、計測点群10の平面性に基づいた領域分割が一回で終了していることを前提として説明した。しかしながら、例えば、図20に示すように3次元物体42がポリゴン形状のものである場合には、図21に示すように、3次元計測結果としての計測点群を平面性に基づいて領域分割したとき、一回の領域分割では、平面性に基づいて分割できない領域(図21のハッチング部分)46が残る場合がある。この場合には、残存している計測点群(領域46内の計測点群)に対して更に領域分割を実施すればよい。このように複数回の領域分割を実施する場合のデータ構造を図22に示す。図22では、平面性に基づいて分割された領域に含まれる計測点群をまとめて点群Iと表し、計測点群のうち平面性に基づいて領域分割されなかった領域の点群を点群IIと表している。この場合、領域分割の工程を繰り返すことで、計測点群のデータ構造は、図22に示すように二本木、すなわち、ツリー構造で表されることになる。このようなデータ構造を有する計測点群においては、干渉線16を抽出する工程では、隣接する平面のペアの組を図22に示すツリー構造において深さ方向に探索していけばよい。
【0080】
また、上記実施形態では、柱状体を円柱とし、フィレット面候補点群18がフィレット形状を構成する計測点12を含むか否かを判定する際に距離Rを使用した。この距離Rは、円柱の半径に対応することになる。そして、上記実施形態では距離Rは、中心軸候補線30と、算出された二次曲線と間の最大距離としたがこれに限定されない。例えば、柱状体の円柱の半径を、予め計測対象としての3次元物体又はそのCADデータのフィレット形状から推定しておき、当該半径を上記距離Rとして使用することもできる。
【0081】
また、柱状体としては、前述したように円柱に限らず、円錐台を使用することもできる。この場合は、円錐台の中心軸線と母線との距離、すなわち、円錐台の高さ方向において変化する半径を上記距離Rとして使用すればよい。この場合、距離Rは、円錐台の底面の半径と上面の半径(円錐台における最大半径と最小半径)との間で高さに応じて線形に変化することになる。円錐台の場合も、使用する円錐台の形状(高さ、底面及び上面の大きさ)は計測対象としての3次元物体又はそのCADデータのフィレット形状から予め推定しておけばよい。なお、他の柱状体の場合も同様にすることができる。すなわち、計測対象としての3次元物体又はそのCADデータから柱状体の形状及びその中心軸線と周表面までの距離を推定しておき、その距離を上記距離Rとして使用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係るフィレット面認識方法の一実施形態の処理の流れを示す図面である。
【図2】3次元物体の3次元計測結果である複数の計測点で構成される計測点群を領域分割する工程を示す図面である。
【図3】シルエット候補線取得工程を説明するための図面である。
【図4】点列探索工程を説明するための図面である。
【図5】フィレット候補点群を基に点列の探索方法を説明するための図面である。
【図6】点列を二次曲線で近似する方法の一例を説明するための図面である。
【図7】近似対象範囲を調整する方法を説明するための図面である。
【図8】近似曲線を一部に含む楕円及びその中心点の模式図である。
【図9】中心軸候補線から所定距離の位置にある計測点を示す模式図である。
【図10】フィレット面認識工程のフローチャートである。
【図11】計測対象の3次元物体としての機械部品を示す図面である。
【図12】図11に示した機械部品のCADデータを示す図面である。
【図13】図11に示した機械部品の計測結果としての計測点群を示す図面である。
【図14】図13に示した計測点群に対してフィレット面候補点群抽出工程を実施して抽出したフィレット面候補点群を示す図面である。
【図15】図14に示した各フィレット面候補点群に対するフィレット面認識結果を示す図面である。
【図16】図15で示されたフィレット面の拡大図である。
【図17】本発明に係るフィレット面認識プログラムの一実施形態の構成を記録媒体と共に示す図面である。
【図18】記録媒体に記憶されたプログラムを実行するためのコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【図19】本発明に係る計測情報処理装置の一実施形態の構成図である。
【図20】3次元物体の一例の模式図である。
【図21】図20に示した3次元物体の3次元計測結果である計測点群を平面性に基づいた領域分割を一回実施した場合の領域分割結果を示す模式図である。
【図22】図20に示した3次元物体の3次元計測結果である計測点群を平面性に基づいた領域分割をする際のデータ構造を示す図面である。
【符号の説明】
【0083】
10…計測点群、12…計測点、14…平面を表す領域、16…干渉線、18…フィレット面候補点群、20…基準点、22…シルエット候補線、26,26s,26m,26e…平面(直交面)、28,28s,28m,28e…点列、30…中心軸候補線、30a…中心軸線、34…フィレット面認識プログラム、38…コンピュータ、40…計測情報処理装置、40B…フィレット面候補点群抽出手段、40C…シルエット候補線取得手段、40D…点列探索手段、40E…フィレット面認識手段。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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