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明細書 :羽ばたき式飛行装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4150799号 (P4150799)
登録日 平成20年7月11日(2008.7.11)
発行日 平成20年9月17日(2008.9.17)
発明の名称または考案の名称 羽ばたき式飛行装置
国際特許分類 B64C  33/02        (2006.01)
A63H  27/28        (2006.01)
FI B64C 33/02
A63H 27/28
請求項の数または発明の数 7
全頁数 18
出願番号 特願2007-533258 (P2007-533258)
出願日 平成18年8月29日(2006.8.29)
国際出願番号 PCT/JP2006/316989
国際公開番号 WO2007/026701
国際公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
優先権出願番号 2005249996
優先日 平成17年8月30日(2005.8.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年2月14日(2008.2.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】平木 講儒
【氏名】後藤 尚史
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100090697、【弁理士】、【氏名又は名称】中前 富士男
【識別番号】100127155、【弁理士】、【氏名又は名称】来田 義弘
審査官 【審査官】杉山 悟史
参考文献・文献 特開2004-237975(JP,A)
特開平06-287839(JP,A)
特開平05-178293(JP,A)
米国特許第01980002(US,A)
米国特許第01835630(US,A)
米国特許第01564469(US,A)
西独国特許第01025275(DE,B)
仏国特許出願公開第02776937(FR,A1)
仏国特許出願公開第00960496(FR,A1)
仏国特許出願公開第00736100(FR,A1)
調査した分野 B64C 33/00 - 33/02
A63H 27/28
特許請求の範囲 【請求項1】
(1)胴体部と、
(2)回転駆動源によって回転駆動され、回転軸が前記胴体部に対して左右方向を向いて該胴体部内に配置されるクランク部材、及び該クランク部材に連結されて前後動すると共に上下動するクランクロッドを有するクランク機構と、
(3)前記胴体部の軸心の直上にあって、前記クランクロッドの上端部にその前端部が一定角度で連結された背骨材と、
(4)前記背骨材の前端部に内側端部が回動可能に連結された左右の翼前支持材と、前記背骨材を中心にして左右の前記翼前支持材の間に張られかつ中央部で前記背骨材に固定されて折れ曲がり可能な翼シートとを有する左右対となる翼体と、
(5)前記胴体部に揺動可能に取付けられて、前記左右の翼前支持材の中間部をそれぞれ支持する左右の揺動支持部材とを有し、
前記クランク部材の回転によって前記クランクロッドを昇降し、前記対となる翼体を上下に動かすフラッピング運動と、前記対となる翼体に捩じり動作を与えるフェザリング運動とを同時に与え、
しかも、前記左右の揺動支持部材は、それぞれ前記胴体部に下端部が連結される前側斜め部材と後側斜め部材とを有することを特徴とする羽ばたき式飛行装置。
【請求項2】
請求項1記載の羽ばたき式飛行装置において、前記クランク部材は回転円板と、その周囲に設けられたピンを有し、前記クランクロッドの下端部は前記ピンに回転自由に連結されていることを特徴とする羽ばたき式飛行装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の羽ばたき式飛行装置において、前記前側斜め部材及び前記後側斜め部材のいずれか一方又は双方は、前後動調整可能に前記胴体部に取付けられていることを特徴とする羽ばたき式飛行装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の羽ばたき式飛行装置において、前記前側斜め部材及び前記後側斜め部材のいずれか一方又は双方は、上下動調整可能に前記胴体部に取付けられていることを特徴とする羽ばたき式飛行装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の羽ばたき式飛行装置において、前記前側斜め部材及び前記後側斜め部材のいずれか一方又は双方は、伸縮調整可能になっていることを特徴とする羽ばたき式飛行装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の羽ばたき式飛行装置において、前記クランクロッドは、伸縮調整可能になっていることを特徴とする羽ばたき式飛行装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の羽ばたき式飛行装置において、前記クランク部材の回転駆動源として、ゴム巻き動力、モータ又はエンジンを有することを特徴とする羽ばたき式飛行装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、胴体部の両側に設けられた翼を羽ばたかせて推進力と揚力を発生させて飛行する羽ばたき式飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
翼の羽ばたき動作の主運動である翼の打ち上げ及び打ち下ろしの往復運動(フラッピング運動ともいう)は、胴体に搭載したモータ等の回転動力源により発生させた回転運動をクランクを利用してある支点回りの往復回転運動に変換することで実現している。ここで、図18に示すように、羽ばたき式飛行装置100を、図示しない胴体に搭載された図示しない回転動力源と、胴体の中央部に取付けられた翼支持部材102と、翼支持部材102に中央の屈曲部103を介して折れ曲がり可能に連結される左右一対の翼104、105と、回転動力源に連結され進行方向に対して垂直な面内(左右に延びる垂直面内)で回転運動を行なうクランクピン106と、クランクピン106の先端部と翼104、105の各支持部107、108を接続するクランクシャフト109、110とを有して構成した場合、左右の翼104、105を打ち上げる(クランクピン106が下死点から上死点に向かう)とき及び左右の翼104、105を打ち下げる(クランクピン106が上死点から下死点に向かう)とき、クランクピン106に連結された2つのクランクシャフト109、110は対称的な運動を行なうことができない。このため、左右の翼104、105の動きは完全に対称とはならず、左右の翼104、105の動作には位相差が発生する。このため、羽ばたき式飛行装置100では左右のバランスが崩れて、羽ばたき式飛行装置100は左右に揺れ動きながら飛行を行なうことになる。
【0003】
一方、実際の鳥の翼の動かし方は、フラッピング運動だけではなく、翼の捩じりに関する往復運動(フェザリング運動又はピッチング運動ともいう)、翼を前方に押し出したり後退させたりする運動(リードラグ運動ともいう)、翼の支点自身を上下動する運動(ヒービング運動ともいう)等の各種運動を組み合わせた自由度の大きな運動となっており、飛行中は各種運動を状況に応じて使い分けている。
【0004】
このため、翼の動作に、例えば、フラッピング運動とフェザリング運動を実現させるためには、フラッピング運動用とフェザリング運動用の回転動力源をそれぞれ搭載すればよいが、2つの回転動力源を搭載すると、胴体のサイズや重量が大きくなるため、飛行の面で不利となる。そこで、例えば、日本国特開2004-237975号公報に提案されているように、1つの回転動力源からフラッピング運動とフェザリング運動を得る羽ばたき装置として、回転している円板上でストッパーのついた小径円板を転がすことで、翼を前後方向に打ち上げ打ち下ろしするフラッピング運動を行なうと共に、打ち上げ打ち下ろしの切り返しのタイミングで揚力が大きくなるように翼を捩じるフェザリング運動を与える装置が提案されている。
しかしながら、日本国特開2004-237975号公報に記載された発明では、翼を捩じるフェザリング運動が円板上を小径円板が転がるという2次的な運動によって与えられるため、動力の伝達効率が悪く、実用的には揚力の向上を期待できないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、1つの回転動力源から大きな推進力及び揚力を発生させるフラッピング運動とフェザリング運動を同時に行なうことが可能な羽ばたき式飛行装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、(1)胴体部と、(2)回転駆動源によって回転駆動され、回転軸が前記胴体部に対して左右方向を向いて該胴体部内に配置されるクランク部材、及び該クランク部材に連結されて前後動すると共に上下動するクランクロッドを有するクランク機構と、(3)前記胴体部の軸心の直上にあって、前記クランクロッドの上端部にその前端部が一定角度で連結された背骨材と、(4)前記背骨材の前端部に内側端部が回動可能(屈曲自在)に連結された左右の翼前支持材と、前記背骨材を中心にして左右の前記翼前支持材の間に張られかつ中央部で前記背骨材に固定されて折れ曲がり可能な翼シートとを有する左右対となる翼体と、(5)前記胴体部に揺動(傾動)可能に取付けられて、前記左右の翼前支持材の中間部をそれぞれ支持する左右の揺動支持部材とを有し、前記クランク部材の回転によって前記クランクロッドを昇降し、前記対となる翼体を上下に動かすフラッピング運動と、前記対となる翼体に捩じり動作を与えるフェザリング運動とを同時に与える。
【0007】
即ち、クランク部材に連結された1つの回転駆動源(例えば、モータやエンジン)を回転させることによって、クランクロッドを胴体部に対して前後動すると共に上下動させることができる。クランクロッドの上端部と背骨材の前端部は一定角度で連結され、クランクロッドの傾き及び昇降によって、背骨材も揺動並びに上下動する。そして、背骨材の前端部には、左右に伸びる翼前支持材が回動可能に連結され、かつこの翼前支持材の中間部は胴体部の左右に揺動可能に取付けられた揺動支持部材によって支持されているので、クランクロッドの昇降及び揺動によって、背骨材と左右の翼前支持材が連動する。これによって、背骨材を中心にして左右の翼前支持材との間に張られた翼シートを有する翼体のフラッピング及びフェザリング運動が1つの回転駆動源により実現可能となるとともに、フラッピング運動のみの場合に比べ、揚力及び推進力を増大させることが可能となる。
【0008】
なお、クランクロッドの長さ、クランクロッドに背骨材を固着する際の角度、及び左右の揺動支持部材が連結される左右の翼前支持材の途中位置を変更することにより、左右の翼体のフラッピング運動に対して連成させるフェザリング運動のタイミングを設定することが可能になり、翼の打ち上げ時の抗力を小さくし、翼の打ち下げ時の上昇力を大きくすることができ、安定した揚力を発生させることが可能になる。
更に、左右の揺動支持部材が連結される翼前支持材の支持位置を変更することにより、総フラッピング角度を調整することが可能となる。ここで、総フラッピング角度とは、胴体部を正面視して、翼体を最大に打ち上げた(即ち、左右対となる翼体の両先部を最上部にする)ときに翼前支持材が水平となす角度(上フラッピング角度)と、翼体を最大に打ち下げたときに翼前支持材が水平となす角度(下フラッピング角度)の和を指す。
【0009】
第2の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、第1の発明に係る羽ばたき式飛行装置において、前記クランク部材は回転円板と、その周囲に設けられたピンを有し、前記クランクロッドの下端部は前記ピンに回転自由に連結されている。クランク部材に回転円板を用いることによって、慣性力を有効に利用してクランク部材の回転が円滑になり、更にその機構も簡略化され全長も短くなり、胴体部に横置きすることが容易となる。
【0010】
第3の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、第1、第2の発明に係る羽ばたき式飛行装置において、前記左右の揺動支持部材は、それぞれ前記胴体部に下端部が連結される前側斜め部材と後側斜め部材とを有する。これによって、揺動支持部材をより強固に構成でき、翼前支持材の中間部を前後方向に容易に移動させないで支持することが可能となる。更に、揺動支持部材に加わる荷重を胴体部に分散させることができる。
【0011】
第4の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、第3の発明に係る羽ばたき式飛行装置において、前記前側斜め部材及び前記後側斜め部材のいずれか一方又は双方は、前後動調整可能に前記胴体部に取付けられている。これによって、翼前支持材の中間部を回動自在に支持する位置を調節することができ、上フェザリング角度と下フェザリング角度の配分を調整することが可能になる。ここで、上フェザリング角度とは、胴体部を側面視して、背骨材の後端側が水平線(胴体部の軸心)より持ち上がった(即ち、背骨材が最も下向きとなった)状態の水平線と背骨材とのなす最大角度をいう。下フェザリング角度とは、胴体部を側面視して、背骨材の後端側が水平線(胴体部の軸心)より下がった(即ち、背骨材が最も上向きとなった)状態の水平線と背骨材とのなす最大角度をいう。なお、飛行中に上フェザリング角度と下フェザリング角度の配分を調整することにより、発生する空気力の大きさと方向を変化させることが可能になり、直進飛行から上昇又は下降飛行に移行することが可能になる。また、例えば、飛行中に回転駆動源を停止して、左右の揺動支持部材の上端部の位置を同時に胴体部に対して前後に移動させることにより、左右の翼体を所望の角度に設定することが可能になり、飛行の軌道を変更することができる。
【0012】
第5の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、第3、第4の発明に係る羽ばたき式飛行装置において、前記前側斜め部材及び前記後側斜め部材のいずれか一方又は双方は、上下動調整可能に前記胴体部に取付けられている。また、第6の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、第3~第5の発明に係る羽ばたき式飛行装置において、前記前側斜め部材及び前記後側斜め部材のいずれか一方又は双方は、伸縮調整可能になっている。
第5、第6の発明によって、左右の揺動支持部材の上端部の位置を胴体部に対して上下に変化させることができ、上フラッピング角度と下フラッピング角度の配分を調整することが可能になる。なお、飛行中に上フラッピング角度と下フラッピング角度の配分を調整することにより、発生する空気力の大きさと方向を変化させることが可能になり、飛行の軌道を変更することが可能になる。
【0013】
第7の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、第1~第6の発明に係る羽ばたき式飛行装置において、前記クランクロッドは、伸縮調整可能になっている。これによって、背骨材の前端部の平均的位置を上下に変化させることが可能となり総フラッピング角度を変えることができる。またクランクロッドを伸縮することによって、クランクロッドの鉛直方向とのなす角を変化し、総フェザリング角度を自由に調整することが可能となる。ここで、総フェザリング角度とは、上フェザリング角度と下フェザリング角度の和を指す。
【0014】
そして、第8の発明に係る羽ばたき式飛行装置は、第1~第7の発明に係る羽ばたき式飛行装置において、前記クランク部材の回転駆動源として、ゴム巻き動力、モータ又はエンジンを有する。これによって、この羽ばたき式飛行装置を飛ばすことができ、特にモータやエンジンを用いて、例えば、左右の揺動支持部材をそれぞれ構成する前側斜め部材や後側斜め部材の長さなどを無線を用いたリモートコントローラ等によって変えると、この羽ばたき式飛行装置の操縦を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る羽ばたき式飛行装置の説明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同羽ばたき式飛行装置の一部切欠き側断面図、一部正断面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ同羽ばたき式飛行装置の一部切欠き側断面図、一部正断面図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ同羽ばたき式飛行装置の一部切欠き側断面図、一部正断面図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ同羽ばたき式飛行装置の一部切欠き側断面図、一部正断面図である。
【図6】同羽ばたき式飛行装置の翼体と屈曲部との連結状態を示す説明図である。
【図7】同羽ばたき式飛行装置の翼体と揺動支持部材との連結状態を示す説明図である。
【図8】(A)~(C)は同羽ばたき式飛行装置の揺動支持部材の説明図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ揺動支持部材と胴体部との連結状態を示す説明図である。
【図10】翼体における総フラッピング角、上フラッピング角、及び下フラッピング角の説明図である。
【図11】(A)、(B)は翼体における上フラッピング角と下フラッピング角の配分変化を示す説明図である。
【図12】翼体における総フェザリング角、上フェザリング角、及び下フェザリング角の説明図である。
【図13】翼体のフラッピング運動とフェザリング運動の連成状態を示す説明図である。
【図14】(A)、(B)は翼体における上フェザリング角と下フェザリング角の配分変化を示す説明図である。
【図15】(A)、(B)は胴体部に対する上支点部の上下位置の変化に伴う上フラッピング角と下フラッピング角の配分変化を示す説明図である。
【図16】(A)、(B)は胴体部に対する上支点部の前後位置の変化に伴う上フェザリング角と下フェザリング角の配分変化を示す説明図である。
【図17】(A)、(B)は胴体部に対する左右の上支点部の上下位置を独立に変化した場合の上フラッピング角と下フラッピング角の配分変化を示す説明図である。
【図18】従来例に係る羽ばたき式飛行装置の説明図である。
【図19】(A)はフラッピング運動とフェザリング運動を連動させた場合の風速と空気力(揚力方向)を示すグラフ、(B)はフラッピング運動のみの風速と空気力(揚力方向)の関係を示すグラフである。
【図20】(A)はフラッピング運動とフェザリング運動を連動させた場合の風速と空気力(推力方向)を示すグラフ、(B)はフラッピング運動のみの風速と空気力(推力方向)の関係を示すグラフである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供する。
図1~図5に示すように、本発明の一実施例に係る羽ばたき式飛行装置10は、胴体部11と、胴体部11の軸心の直上に設けられた背骨材40と、背骨材40の両側に設けられた左右一対の翼体12、13とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0017】
図2(A)、(B)~図5(A)、(B)に示すように、胴体部11は、例えば、底部材14と、底部材14の両側に平行に設けられた左、右側部材15、16と、底部材14及び左、右側部材15、16の前側に設けられる正面部材17、底部材14及び左、右側部材15、16の後側に設けられる背面部材18を有している。
【0018】
そして、胴体部11内には、胴体部11の前後方向に延びる垂直面内を回転するクランク部材19と、クランク部材19の回転駆動源(図示せず)が搭載されている。ここで、クランク部材19は、その回転軸20が図示しない軸受を介して左側部材15に直交して取付けられ左側部材15に平行に配置された回転円板20aと、回転円板20aの縁部に回転軸20の軸心に平行に(偏心して)取付けられたピン21とを有している。なお、回転軸20は、例えば、歯車等の図示しない動力伝達機構を介してモータ、エンジン、ゴム巻き動力等の回転駆動源の回転動力軸と接続している。また、ピン21の先部には、クランクロッド22の下端部が回動自在に連結されている。更に、クランクロッド22の途中には、例えば、ねじを用いた機械式の長さ伸縮機構23が設けられて、クランクロッド22の長さが伸縮可能になっている。クランク部材19及びクランクロッド22を有して、回転運動を上下運動(前後方向に運動する場合も含む)に変えるクランク機構が形成される。
【0019】
図6に示すように、左右一対の翼体12、13はそれぞれ、例えば、胴体部11の軸心直上に設けられた背骨材40の前端部を中心にして左右方向に直線状に延びる長尺の翼前支持材24、25と、左右の翼前支持材24、25とそれぞれ平行に、しかも、背骨材40の後端部を中心にして左右方向に配置される短尺の後側フレーム26、27と、左右の翼前支持材24、25の先端部及び左右の後側フレーム26、27の先端部をそれぞれ接続する左右の連結フレーム28、29とを有している。更に、翼体12、13は、左右の翼前支持材24、25、左右の後側フレーム26、27、及び左右の連結フレーム28、29全体を覆う1枚の翼シート30を有している。なお、この翼シート30の中央部は背骨材40に固定され、背骨材40を中心として中央部で折れ曲がり可能となっている。
【0020】
ここで、左右の翼前支持材24、25の基端部(中心側)は、前後方向に隙間を設けて平行に配置された取付け部材31、32の間にそれぞれ装入され、左右のピン33により取付け部材31、32に回動可能に取付けられて前側屈曲機構34を形成している。同様に、左右の後側フレーム26、27の基端部(中心側)は、前後方向に隙間を設けて平行に配置された取付け部材35、36の間にそれぞれ装入されて、左右のピン37により取付け部材35、36に回動可能に取付けられて後側屈曲機構38を形成している。これによって、左右一対の翼体12、13は、前側屈曲機構34及び後側屈曲機構38を介して折れ曲がり可能に連結される。なお、前側屈曲機構34、後側屈曲機構38及び背骨材40を有して屈曲部39が構成され、この屈曲部39に翼体12、13の内側端部が連結されている。
【0021】
また、クランクロッド22の上端部には、背骨材40の前端部が一定角度(この実施例では直角)で固着され、前側屈曲機構34はクランクロッド22の上部に、後側屈曲機構38は背骨材40の後端部にそれぞれ連結されている。
【0022】
更に、左右一対の翼体12、13の翼前支持材24、25の途中位置には、揺動支持部材41、42の上端部にそれぞれ設けられた上支点部43、44が連結されている。ここで、上支点部43、44は、例えば、図7、図8(A)~(C)に示すように、翼前支持材24、25の途中位置に設けられ翼前支持材24、25を挿通させてその軸心回りに回動可能に支持するフレーム受部材45と、フレーム受部材45を載置して両側から把持する継手45aとを有している。
【0023】
そして、継手45aは、フレーム受部材45を載置する台座部材45bと、台座部材45bの両側に設けられ台座部材45bに載置されたフレーム受部材45を挟む一対のピン受け部材46、47とを備え、ピン受け部材46、47にはフレーム受部材45の両側にそれぞれ設けられた短ピン部材47aが挿通する孔47bが設けられている。ここで、継手45aは揺動支持部材41、42の上端部に取付けられ、フレーム受部材45を挿通する翼前支持材24、25には、フレーム受部材45を挟むようにストッパー部材47cが設けられている。これによって、翼前支持材24、25に揺動及び回動可能に揺動支持部材41、42の上端部を連結することができる。
【0024】
また、図7、図8に示すように、左右の揺動支持部材41、42は、前側斜め部材48、49と後側斜め部材50、51をそれぞれ備え、図9に示すように、左の揺動支持部材41の前側斜め部材48及び後側斜め部材50の各下端部には、下端部を胴体部11の左側部材15にそれぞれ取付ける下支点部52、53が設けられ、右の揺動支持部材42の前側斜め部材49及び後側斜め部材51の各下端部には、下端部を胴体部11の右側部材16にそれぞれ取付ける下支点部54、55が設けられている。
【0025】
ここで、前側斜め部材48、49の上端部にはフレーム受部材45が取付けられ、後側斜め部材50、51の上端部側には、後側斜め部材50、51の両側の部分を残して中央部に軸心方向に切り欠き部54aが形成されて、前側斜め部材48、49の上端部側は、この切り欠き部54aを挿通している。そして、切り欠き部54aを挿通している前側斜め部材48、49の上端部側には貫通孔55aがそれぞれ形成され、貫通孔55aには切り欠き部54aの両側の突出部54bにそれぞれ形成された孔54cを介して連結ピン55bが装入されている。また、下支点部52(54)、53(55)は、例えば、図9(A)、(B)に示すように、前側斜め部材48(49)及び後側斜め部材50(51)の下端部に設けられた孔を貫通するピン部材56と、ピン部材56の両端側を回動可能に支持する一対のピン受け部材57、58を備えて、前側斜め部材48(49)及び後側斜め部材50(51)の下端部と回動可能に連結する回動連結機構59を有している。
【0026】
更に、下支点部52(54)、53(55)は、回動連結機構59を胴体部11の左側部材15(右側部材16)に対して前後移動可能に支持する前後移動機構60と、左側部材15(右側部材16)上に設けられ前後移動機構60を左側部材15(右側部材16)に対して上下移動可能となるように前後移動機構60の両側をそれぞれ支持する対となる上下移動機構60aを有している。ここで、前後移動機構60及び上下移動機構60aには、例えば、ねじを用いた機械式の長さ伸縮機構を使用することができる。更に、前側斜め部材48、49と後側斜め部材50、51の途中には、例えば、ねじを用いた機械式の長さ伸縮機構61~64が設けられて、前側斜め部材48(49)と後側斜め部材50(51)の長さが伸縮調整可能になっている。
【0027】
このような構成とすることにより、前後移動機構60(上下移動機構60a)を駆動させることにより、回動連結機構59を介して前側斜め部材48(49)と後側斜め部材50(51)の下端をそれぞれ胴体部11に対しての前後(上下)に移動させることができ、前側斜め部材48(49)と後側斜め部材50(51)の下端部を胴体部11に対して左右にそれぞれ揺動させることができる。
ここで、前後移動機構60を操作して、前側斜め部材48(49)及び後側斜め部材50(51)にそれぞれ連結している回動連結機構59を同時に同一方向に実質的に同一距離だけ移動させると、前側斜め部材48(49)の上端が胴体部11に対する高さ位置を変えずに胴体部11に対して前後に移動することになり、上支点部43(44)を胴体部11に対する高さ位置を一定にして胴体部11に対して前後に移動させることができる。
【0028】
また、前後移動機構60を操作して、前側斜め部材48(49)及び後側斜め部材50(51)にそれぞれ連結している回動連結機構59を同時に反対方向に実質的に同一距離だけ移動させたり、上下移動機構60aを操作することにより、前側斜め部材48(49)の上端が胴体部11に対する前後位置を変えずに胴体部11に対して上下に移動することになり、上支点部43(44)を胴体部11に対する前後位置を一定にして胴体部11に対して上下に移動させることができる。更に、前後移動機構60及び上下移動機構60aを連動させることにより、前側斜め部材48(49)及び後側斜め部材50(51)にそれぞれ連結している回動連結機構59を介して前側斜め部材48(49)の上端を胴体部11に対して前後及び上下に移動させて、上支点部43(44)を胴体部11、更に詳細には、クランク部材19の軸心に対して前後及び上下に移動させることができる。上支点部43(44)の位置を前後方向に移動させると、これに伴い背骨材40の前後方向の位置、詳細にはクランク部材19の軸心に対する前後位置が変わる。
【0029】
続いて、本発明の羽ばたき式飛行装置10の作用について説明する。
前後移動機構60を用いて胴体部11の左、右側部材15、16上における下支点部52~55の位置を決定して固定し、長さ伸縮機構61~64を用いて前側斜め部材48、49と後側斜め部材50、51の長さを決定して固定すると、前側斜め部材48、49と後側斜め部材50、51を二辺とする三角形の大きさが決まる。これにより、胴体部11に対して、上支点部43、44の上下及び前後位置がそれぞれ固定され、左右の翼体12、13は上支点部43、44との連結位置において胴体部11側に固定される状態になる。そして、回転駆動源を駆動させてクランク部材19を回転させると、ピン21に連結するクランクロッド22は上下動を繰り返し、クランクロッド22に固着する背骨材40も、胴体部11の軸心の直上にある平行線に対して上下に揺動を繰り返す。
【0030】
このとき、左右の翼体12、13は、上支点部43、44との連結位置において胴体部11側に固定される状態であるので、屈曲部39を構成する前側屈曲機構34と後側屈曲機構38が上下動を行なうと、翼体12、13は中央の屈曲部39を介して上下に折れ曲がる動作を繰り返し、フラッピング運動が実現される。
ここで、クランク部材19の回転円板20aは胴体部11の前後方向に延びる垂直面内で回転するので、クランクロッド22は、正面視して胴体部11に対して上下動を行なうことになり、クランクロッド22の上下動と屈曲部39における翼体12、13の折れ曲がり動作は同期する。このため、各翼体12、13のフラッピング運動は対称に(位相差なく)行なわれる。これによって、翼体12、13の上下の空気が後方に安定して押し出されることになり、その反力として胴体部11に推進力を発生させることができる。
【0031】
また、下支点部52~55には、それぞれ前側斜め部材48、49と後側斜め部材50、51の下端部を胴体部11の左、右側部材15、16に回動可能に連結する回動連結機構59が設けられているので、前側斜め部材48、49と後側斜め部材50、51の下端部は胴体部11に対して左右に揺動可能となる。このため、翼前支持材24、25の中間部に連結される上支点部43、44と前側屈曲機構34との間の距離を、例えば、図2(B)、図4(B)に示すように、翼前支持材24、25が水平状態のときに、正面視して揺動支持部材41、42がそれぞれ垂直又は垂直より外側に少し開くように予め調整し、クランクロッド22の下端部のピン21の位置をクランク部材19の回転円板20aの上下方向中央位置にしておくのが好ましい。これによって、図3(B)に示すように翼体12、13が最も打ち上げられた状態と、図5(B)に示すように翼体12、13が最も打ち下げられた状態の場合は、上支点部43、44が前側屈曲機構34側(内側)に寄るように、前側斜め部材48、49と後側斜め部材50、51は内側に揺動する。これによって、円滑なフラッピング運動を実現できる。なお、この実施例においては、翼体が打ち上げられたとは、翼体の先側が上がった状態を、翼体が打ち下げられたとは翼体の先部が下がった状態をいう。
【0032】
図3(A)、(B)に示すようにクランクロッド22の下端が胴体部11に対して最下点位置にあるとき、前側屈曲機構34と後側屈曲機構38も胴体部11に対して最下点位置にあり、翼体12、13は中央の屈曲部39を介して上側に最大に折れ曲がり、翼体12、13は最も打ち上げた状態になる。また、図5(A)、(B)に示すようにクランクロッド22の下端が胴体部11に対して最上点位置にあるとき、前側屈曲機構34と後側屈曲機構38も胴体部11に対して最上点位置にあり、翼体12、13は中央の屈曲部39を介して下側に最大に折れ曲がり、翼体12、13は最も打ち下げた状態になる。そして、図10に示すように、翼体12、13を最も打ち上げた状態で翼前支持材24、25が水平となす上フラッピング角θuと翼体12、13を最も打ち下げた状態で翼前支持材24、25が水平となす下フラッピング角θdの和が総フラッピング角Θとなり、総フラッピング角度Θの大きさに応じて推進力が変化する。
【0033】
なお、図11(A)、(B)に示すように、翼体12と上支点部43との連結位置をP点からQ点に移動させて連結位置と前側屈曲機構34との間の距離を大きくすると、翼体12が中央の屈曲部39において上方に折れ曲がる際の上フラッピング角がθuPからθuQ(<θuP)に変化し、翼体12が中央の屈曲部39において下方に折れ曲がる際の下フラッピング角をθdPからθdQ(<θdP)に変化させることができ、総フラッピング角ΘをθuP+θdPからθuQ+θdQに減少させることができる。従って、作製する羽ばたき式飛行装置10の仕様に応じて、翼体12と上支点部43との連結位置を調整し総フラッピング角度Θを設定する。
【0034】
左右の翼体12、13において、揺動支持部材41、42の上支点部43、44の胴体部11に対する前後方向の位置が固定されているので、前側屈曲機構34が上下動を行なっても、前側屈曲機構34の胴体部11に対する前後位置は略一定に保持される。従って、クランクロッド22の下端部がピン21と共に回転軸20の回りを回転移動する際、図12に示すように、前側屈曲機構34に連結するクランクロッド22の上端部の胴体部11に対する前後位置は一定に保持されて、クランクロッド22は上下する。この場合、クランクロッド22の上端部は胴体部11に対して前後方向は一定に保持されているが、上下方向には移動し、これに伴い一定角度で連結されている背骨材40の前端部もクランクロッド22の上端部と同じ運動を繰り返す。なお、図12ではクランク部材19の軸心の直上に背骨材40の前端部が位置しておらず、背骨材40の前端部がクランク部材19の軸心より前側に位置する例を示している。これによって、上フェザリング角φuが下フェザリング角φdより大きくなる。
【0035】
そして、クランクロッド22の上端部の上下動に連動して、背骨材40が揺動を繰り返すと、屈曲部39の後側屈曲機構38の位置が前側屈曲機構34に対して上下及び前後に変化する。このため、翼体12、13のフラッピング運動を行ないながら、翼体12、13を胴体部11の進行方向に対して傾斜する(捩じる)フェザリング運動を行なうことができる。ここで、クランクロッド22の下端がクランク部材19の最上点位置にあって翼体12、13が最も打ち下げた状態からクランクロッド22の下端がクランク部材19の最下点位置にあって翼体12、13が最も打ち上げた状態に向かう際に、図2(A)、(B)に示すように、胴体部11の進行方向に対して翼体12、13を、翼体12、13の前側が上になるように傾ける。また、クランクロッド22の下端がクランク部材19の最下点位置にあって翼体12、13が最も打ち上げた状態からクランクロッド22の下端がクランク部材19の最上点位置にあって翼体12、13が最も打ち下げた状態に向かう際に、図4(A)、(B)に示すように、胴体部11の進行方向に対して翼体12、13を、翼体12、13の前側が下になるように傾ける。以上のようにすると、図13に示すように、翼体12、13の打ち下げ時には推進力と共に打ち下げの反力としての揚力を効率的に得ることができ、翼体12、13の打ち上げ時には推進力と共に打ち上げの反力としての下向き力を小さくすることができる。これによって、羽ばたき式飛行装置10は飛行を行なうことができる。なお、揚力と下向き力との関係は、背骨材40の前端部の位置がクランク部材19の軸心に対して前側にあるか、後側にあるかで変わる。従って、後側斜め部材50、51、前側斜め部材48、49の胴体部11への取り付け位置、その長さを変更することによって背骨材40の前端部の位置を調整できる。
【0036】
そして、図12に示すように、翼体12、13が前側を上にして最も傾いた状態で背骨材40が水平となす下フェザリング角φdと翼体12、13が前側を下にして最も傾いた状態で背骨材40が水平となす上フェザリング角φuの和が総フェザリング角Φとなり、総フェザリング角Φの大きさと、上フェザリング角φu及び下フェザリング角φdの配分により、揚力及び下向き力を変化させることができる。従って、作製しようとする羽ばたき式飛行装置10の飛行性能に応じて、総フェザリング角Φの大きさと、上フェザリング角φu及び下フェザリング角φdの配分を決定する。なお、この配分は背骨材40の前端部の前後方向位置、クランクロッド22の長さによって変わる。背骨材40の前端部の位置は、前側斜め部材48、49及び後側斜め部材50、51によって調整できる。
【0037】
なお、図14(A)、(B)に示すように、長さ伸縮機構23を駆動させクランクロッド22の長さを長くして、前側屈曲機構34をD点からE点にすると、翼体12、13が最も下向き傾斜した状態で背骨材40が水平となす上フェザリング角はφuDからφuE(<φuD)に変化し、翼体12、13が最も上向き傾斜した状態で背骨材40が水平となす下フェザリング角はφdDからφdE(<φdD)に変化させることができ、総フェザリング角ΦをφuD+φdDからφdE+φdEに減少させることができる。従って、作製しようとする羽ばたき式飛行装置10の飛行性能に応じて、クランクロッド22の伸縮範囲を決定し総フェザリング角度Φを設定する。
【0038】
ここで、下支点部52~55の位置を変えずに、前側斜め部材48、49及び後側斜め部材50、51に設けられている長さ伸縮機構61~64を連動して駆動させて前側斜め部材48、49及び後側斜め部材50、51の長さを伸縮すると、例えば、図15(A)、(B)に示すように、上支点部43の胴体部11に対する高さ位置をR点からS点に移動させて低くすると、総フラッピング角Θを一定にして、上フラッピング角をθuRからθuS(<θuR)に、下フラッピング角をθdRからθdS(>θdR)にそれぞれ変化させて、上フラッピング角と下フラッピング角の配分を変化させることができる。
【0039】
一方、前側斜め部材48、49及び後側斜め部材50、51の長さを変えずに、前後移動機構60を駆動させて下支点部52~55の位置を変化させると、図16(A)、(B)に示すように、上支点部43、44を胴体部11に対して前側に移動することができ、総フェザリング角Φを一定にして、上フェザリング角をφuFからφuG(>φuF)に、下フェザリング角をφdFからφdG(<φdF)にして、上フェザリング角と下フェザリング角の配分を変化させることができる。これによって、飛行中に上フラッピング角と下フラッピング角の配分及び上フェザリング角と下フェザリング角の配分を調整して推進力と揚力を変えることができ、羽ばたき式飛行装置10の例えば、上昇角及び下降角を調整できる。
【0040】
また、飛行中に、例えばリモコン装置等によって、前側斜め部材48及び後側斜め部材50にそれぞれ設けられている長さ伸縮機構61、63と、前側斜め部材49及び後側斜め部材51にそれぞれ設けられている長さ伸縮機構62、64を独立して駆動させることにより、前側斜め部材48、49及び後側斜め部材50、51の長さを独立に伸縮することができ、例えば、図17(A)、(B)に示すように、左の翼体12と連結する上支点部43の胴体部11に対する高さ位置を、右の翼体13と連結する上支点部44の胴体部11に対する高さ位置より高くすることができる。
これによって、翼体12の上フラッピング角θu12を翼体13の上フラッピング角θu13より大きくし、翼体12の下フラッピング角θd12を翼体13の下フラッピング角θd13より小さくすることができる。その結果、翼体12に加わる空気力の大きさ及び方向と、翼体13に加わる空気力の大きさ及び方向を別々に変えることができ、尾翼を用いることなく直進飛行から旋回飛行に移行することが可能になる。
【0041】
更に、回転駆動源の運転を止めて左右の翼体12、13のフラッピング運動及びフェザリング運動を停止させて羽ばたき式飛行装置10が慣性飛行を行なっているときに、例えば、リモコン装置によって、前後駆動機構60を操作して回動連結機構59を同時に同一方向に実質的に同一距離だけ移動させて上支点部43(44)の胴体部11に対する高さ位置を一定にして胴体部11に対して前後に移動させると、左右の翼体12、13の迎え角を変更することができ、翼体12、13に働く空気力のベクトルを変化させて、上昇飛行又は下降飛行に移行できる。なお、回動連結機構59を同時に反対方向に実質的に同一距離だけ移動させて上支点部43(44)の胴体部11に対する前後位置を一定にして胴体部11に対して上下に移動させても、回動連結機構59を独立に移動させて上支点部43(44)を胴体部11に対して前後及び上下に移動させるようにして、左右の翼体12、13の迎え角を変更することもできる。
【0042】
また、回転駆動源の運転を止めて左右の翼体12、13のフラッピング運動及びフェザリング運動を停止させて羽ばたき式飛行装置10が慣性飛行を行なっているときに、左右の揺動支持部材41、42の前後駆動機構60及び上下移動機構60aのいずれか一方又は双方をそれぞれ独立に操作して、左右の上支点部43、44の胴体部11に対する上下位置、又は胴体部11に対する前後及び上下位置が異なるようにする。これによって、左右の翼体12、13で迎え角が異なることにより左右の翼体12、13に作用する空気力のベクトルも異なり、旋回飛行に移行することができる。
【実験例】
【0043】
次に、図19、図20を参照しながら、フラッピング運動にフェザリング運動を加えた場合の作用、効果を確認する実験について説明する。
図19(A)はフラッピング運動とフェザリング運動を連動させた場合の風速と空気力(揚力方向)を示すグラフ、(B)はフラッピング運動のみの風速と空気力(揚力方向)の関係を示すグラフである。フラッピング運動のみの場合は、風速(横軸)を上げても仰角を増やさなければ正の揚力は生じないが、フェザリング運動と連動させるとほぼどの仰角でも正の揚力を生じている。
【0044】
図20(A)はフラッピング運動とフェザリング運動を連動させた場合の風速と空気力(推力方向)を示すグラフ、(B)はフラッピング運動のみの風速と空気力(推力方向)の関係を示すグラフである。風速(横軸)を上げると抵抗が増すので、フラッピング運動のみの場合は、推力は負の値になってしまうが、フラッピング運動とフェザリング運動を連動させると風速を増してもほぼ正の推力を発生している。
【0045】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施例や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の羽ばたき式飛行装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、本発明の羽ばたき式飛行装置には尾翼を設けなかったが、尾翼を取付けることもできる。尾翼を取付けることにより、左右の翼体を羽ばたかせた際の反力で胴体部が揺れるのを防止でき、安定した飛行を行なうことができる。また、飛行中に、翼体の羽ばたき動作を行なわない状態でも、左右の翼体と連結する上支点部の胴体部に対する上下及び前後位置を変化することにより、直進飛行から上昇飛行、下降飛行、及び旋回飛行のいずれか1に移行することが可能になる。
なお、クランクロッド22、背骨材40、翼前支持材24、25、後側フレーム26、27、揺動支持部材41、42の連結はピン又は軸を用いて回動可能に連結しているが、弾性部材又は自由に繰り返し折り曲げ可能な部材を用いて、回動可能又は繰り返し屈曲可能に連結することもできる。
【0046】
また、飛行中に、前側斜め部材及び後側斜め部材の長さを独立に伸縮させながら、下支点部の位置をそれぞれ独立に変化させることにより、左右の翼体のフラッピング角及びフェザリング角を同時に独立に変化させて、羽ばたき式飛行装置に作用する空気力のベクトルを変化させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る羽ばたき式飛行装置の産業上の利用分野として、次の分野がある。
(1)模型飛行機等の玩具分野
回転動力源が1つで、簡単な機構で左右の翼体のフラッピング運動及びフェザリング運動を実現しているので、低コストで故障発生が少ない玩具を提供できる。
(2)災害救援ロボット分野
無線操縦化して撮影装置(例えば、CCDカメラや赤外線カメラ)を搭載することによって、例えば半倒壊した建物の中など、狭くあるいは危険で容易に人間の近づけない場所にいち早く到着して生存者を発見するなど、災害発生時の迅速な被災状況把握や人命救助が可能になる。
(3)大気探査ロボット分野
自律飛行を可能にして、例えば空港周辺で風の観測を行えば、離着陸時の航空機を危険にさらすマイクロバーストを検知することができ、大気の分析装置を搭載して火山の火口上空を飛行させれば噴火活動把握に貢献させることができ、もちろん温室効果ガス(二酸化炭素など)や大気汚染の観測にも利用できる。さらにデータ送信装置を搭載して惑星探査機から放出して惑星大気中を飛行させれば従来行われてきたパラシュートによる降下に比べより広範囲での観測が可能になる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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