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明細書 :高分子担持金属錯体触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5446264号 (P5446264)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発行日 平成26年3月19日(2014.3.19)
発明の名称または考案の名称 高分子担持金属錯体触媒
国際特許分類 B01J  31/22        (2006.01)
B01J  38/00        (2006.01)
C07C  69/753       (2006.01)
C07C  67/317       (2006.01)
C07C  69/757       (2006.01)
C08F 212/00        (2006.01)
C07D 307/84        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/22 Z
B01J 38/00 301Z
C07C 69/753 Z
C07C 67/317
C07C 69/757 Z
C08F 212/00
C07D 307/84
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 8
全頁数 27
出願番号 特願2008-526709 (P2008-526709)
出願日 平成19年6月20日(2007.6.20)
国際出願番号 PCT/JP2007/062379
国際公開番号 WO2008/013009
国際公開日 平成20年1月31日(2008.1.31)
優先権出願番号 2006201726
優先日 平成18年7月25日(2006.7.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年6月21日(2010.6.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】橋本 俊一
【氏名】穴田 仁洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 MINAMI, K. et al.,Highly Enantio- and Diastereoselective Construction of 1,2-Disubstituted Cyclopentane Compounds by Dirhodium(II) Tetrakis[N-phthaloyl-(S)-tert-leucinate]-Catalyzed C-H Insertion Reactions of α-Diazo Esters,Adv. Synth. Catal.,2005年,Vol. 347,p. 1483-1487
調査した分野 B01J 21/00-38/74
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】
JP0005446264B2_000028t.gif
(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒であって、
(1)一般式(化2)
【化2】
JP0005446264B2_000029t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりであり、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】
JP0005446264B2_000030t.gif
(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】
JP0005446264B2_000031t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させて架橋高分子を合成する段階、及び
(2)該架橋高分子と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体とを配位子交換させる段階
から成る方法により形成されることを特徴とする高分子担持金属錯体触媒。
【請求項2】
前記重合性モノマーが下式(化6)
【化6】
JP0005446264B2_000032t.gif
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NR-又は-PR-(式中、RびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)を表し、oは0~4の整数を表し、pは1~12の整数を表し、qは0~4の整数を表し、rは0~20の整数表す。)で表される請求項1に記載の高分子担持金属錯体触媒。
【請求項3】
分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応における請求項1又は2に記載の触媒の使用。
【請求項4】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】
JP0005446264B2_000033t.gif
(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒であって、
(1)一般式(化21)
【化21】
JP0005446264B2_000034t.gif
(式中、R10はヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりである。)で表される配位性化合物と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体との配位子交換により金属(M及びM)を該配位性化合物に担持させる段階、
(2)この金属を担持させた配位性化合物から、一般式(化22)
【化22】
JP0005446264B2_000035t.gif
(式中、R10、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される化合物を単離する段階、
(3)上記化合物(化22)にビニル基を導入して、一般式(化23)
【化23】
JP0005446264B2_000036t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)表される配位性モノマーを合成する段階、及び
(4)当該金属を担持させた配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】
JP0005446264B2_000037t.gif
(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】
JP0005446264B2_000038t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させる段階、
から成る方法により形成されることを特徴とする高分子担持金属錯体触媒。
【請求項5】
前記重合性モノマーが下式(化6)
【化6】
JP0005446264B2_000039t.gif
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NR-又は-PR-(式中、RびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)を表し、oは0~4の整数を表し、pは1~12の整数を表し、qは0~4の整数を表し、rは0~20の整数表す。)で表される請求項4に記載の高分子担持金属錯体触媒。


【請求項6】
分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応における請求項4に記載の触媒の使用。
【請求項7】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】
JP0005446264B2_000040t.gif
(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒の製法であって、
(1)一般式(化2)
【化2】
JP0005446264B2_000041t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりであり、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】
JP0005446264B2_000042t.gif
(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】
JP0005446264B2_000043t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させて架橋高分子を合成する段階、及び
(2)該架橋高分子と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体とを配位子交換させる段階
から成る高分子担持金属錯体触媒の製法。
【請求項8】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】
JP0005446264B2_000044t.gif
(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒の製法であって、
(1)一般式(化21)
【化21】
JP0005446264B2_000045t.gif
(式中、R10はヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりである。)で表される配位性化合物と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体との配位子交換により金属(M及びM)を該配位性化合物に担持させる段階、
(2)この金属を担持させた配位性化合物から、一般式(化22)
【化22】
JP0005446264B2_000046t.gif
(式中、R10、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される化合物を単離する段階、
(3)上記化合物(化22)にビニル基を導入して、一般式(化23)
【化23】
JP0005446264B2_000047t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)表される配位性モノマーを合成する段階、及び
(4)当該金属を担持させた配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】
JP0005446264B2_000048t.gif
(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】
JP0005446264B2_000049t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させる段階、
から成る高分子担持金属錯体触媒の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、高分子担持ロジウム(II)触媒、この触媒を用いたα-ジアゾカルボニル化合物の炭素-炭素多重結合への付加、C-H及びX-H (X = N, O, S, Se, Siなど)結合への挿入あるいはイリド形成を引き金とする転位・付加環化反応に関し、有機合成の属する分野及び他の分野において要求されているアトムエコノミーに供するものである。
【背景技術】
【0002】
Rh2(OAc)4に代表されるロジウム(II)錯体は、銅をはじめとする遷移金属及びそれらの錯体に比べ遥かに緩和な条件下でα-ジアゾカルボニル化合物を速やかにジアゾ分解し、現在なお直接的な構造証明には至っていないが、ロジウム(II)カルベン中間体を生成すると考えられている。
ロジウム(II)カルベン中間体のカルベン炭素は非常に高い求電子性を示し、この中間体に基づく反応は多岐にわたる。例えば炭素-炭素多重結合への付加、C-H及びX-H (X = N, O, S, Se, Siなど)結合への挿入あるいはイリド形成を引き金とする転位及び付加環化反応などが知られている。いずれも触媒反応であり、炭素-炭素結合形成と同時に不斉炭素を創出する合成化学上重要な反応である(非特許文献1)。
Rh2(OAc)4は架橋配位子であるアセタートを配位子交換反応により容易に種々カルボキシラートやアミダートに置き換えることが可能であり、多様な性質を持つロジウム(II)錯体を合成する事ができる。例えば、Doyleらは不斉空間が固定された不斉アミダート錯体Rh2(5S-MEPY)4やRh2(4S-MPPIM)4等を開発した(非特許文献2)。本錯体はα-ジアゾアセタートあるいはα-ジアゾアセトアミドの分子内C-H挿入反応や分子内シクロプロパン化反応において高いエナンチオ選択性を示す。McKervey、Daviesらはアレーンスルホニルプロリナートを架橋配位子に組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体を開発した。特にDaviesらが開発したRh2(S-DOSP)4はヘキサン中で行なうフェニルジアゾアセタートあるいはビニルジアゾアセタートの分子間C-H挿入反応や分子間シクロプロパン化反応において極めて高いエナンチオ選択性が実現する(非特許文献3)。
本発明者らは光学活性N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体を開発し、種々のα-ジアゾカルボニル化合物を基質とする分子内不斉C-H挿入反応やイリド形成を経る不斉付加環化・転移反応を報告している(非特許文献4)。
【0003】
均一系遷移金属錯体を用いる不斉触媒反応は、反応終了後の触媒と目的物の分離・精製はしばしば困難な場合がある。特に医薬品・化粧品や食品などの属する分野では、厳密に生成物から重金属を除く必要がある。また高価な配位子や金属を使用するため、大量合成に適用する際の経済性が問題となる。このため、金属錯体の除去法あるいは回収・再利用可能な触媒の開発が活発に行われている(非特許文献5)。
ロジウム(II)錯体の除去・回収及び再利用に関する解決策の一つとして、不溶性固相担体へのロジウム(II)錯体の担持が挙げられる。固相ロジウム(II)錯体を用いることで、生成物との容易な分離、高価なロジウム錯体の回収及び再利用、金属の浸出の回避が理論的には可能となる。例えばDoyleらは、可溶性ポリエチレンを組み込んだピロリジノン-5(S)-カルボキシラートを架橋配位子とするロジウム(II)アミダート錯体Rh2(S-PYCA)4を開発した。本錯体はα-ジアゾアセタートの分子内不斉C-H挿入反応において、良好な不斉収率を維持しつつ数回の再利用に成功している(非特許文献6)。また、Daviesらは二核ロジウム(II)錯体のアキシアル位が種々のルイス塩基性の軸配位子で占有されている性質に着目し、Rh2(S-DOSP)4をはじめとする種々のロジウム(II)錯体に固相上のピリジンを配位することで担持する方法論を提示した。フェニルジアゾアセタートの分子間不斉C-H挿入反応において、固定化Rh2(S-DOSP)4触媒は、Rh2(S-DOSP)4単独で用いた場合と同等の触媒活性及び不斉識別能を示すことを見出している(非特許文献7)。一方、Biffisらはペルフルオロアルキル鎖を組み込んだシリカゲルにロジウム(II)ペルフルオロカルボキシラート錯体を保持した触媒を開発し、アルコールのシリル化反応における触媒の回収、再利用を実現している(非特許文献8)。
【0004】

【非特許文献1】Synthesis, 2003, 1137-1156.
【非特許文献2】Chem. Rev. 1998, 98, 911-935.
【非特許文献3】Chem. Rev. 2003, 103, 2861-2903.
【非特許文献4】Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 1483-1487.
【非特許文献5】Chem. Rev. 2002, 102, 3275-3300.
【非特許文献6】J. Org. Chem. 1992, 57, 6103-6105.
【非特許文献7】Org. Lett. 2003, 5, 479-482.
【非特許文献8】Green Chem. 2003, 5, 170-173.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように触媒の回収・再利用を可能にする固相ロジウム(II)錯体の開発は近年注目を集めている分野である。Doyleらの報告したRh2(S-PYCA)4を使用する例はロジウム錯体の回収及び再利用が容易であるが、触媒活性の低いロジウム(II)アミダート錯体を母型触媒とする本触媒は、固相担持により触媒活性及び不斉識別能は母型錯体よりさらに低いものになっている。また、DaviesやBiffisらの手法は不溶性高分子へのロジウム(II)錯体の担持が共有結合によるものではないため金属錯体の浸出を完全に防ぐことができず、繰り返し使用により触媒活性は低下する。このように、これまで報告されたいずれの場合も改善の余地を残している。特にこれらの触媒を用いる低温下での反応は困難である。
本発明者らは、多くのジアゾ分解反応で高い触媒活性及び不斉識別能を示す光学活性N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体を不溶性高分子に担持した固相触媒の開発について検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らはカルボン酸が置換したスチレン誘導体、スチレン及び両末端にビニルベンジルオキシ基を置換した直鎖アルカンの共重合により調製した不溶性高分子とロジウム(II)カルボキシラート錯体の配位子交換反応により新規不溶性高分子担持ロジウム(II)錯体の調製法を開発し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】
JP0005446264B2_000002t.gif
(式中、MとMは、同じであっても異なってもよく、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、レニウム、鉄、ニッケル、銅、白金、ビスマス、コバルト、クロム、モリブデン及びタングステンから成る群から選択され、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって1~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される高分子担持金属錯体触媒であって、該架橋高分子が一般式(化2)
【化2】
JP0005446264B2_000003t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりであり、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】
JP0005446264B2_000004t.gif
(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】
JP0005446264B2_000005t.gif
(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させてなり、該架橋高分子と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体との配位子交換により形成されることを特徴とする高分子担持金属錯体触媒である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の高分子担持金属錯体触媒は以下のような手順で作成することが出来る。
まず、配位子として機能するポリマー部分を合成する。このポリマーは以下のようなモノマーを共重合することにより得ることができる。
(1)下記一般式(化2)で表される配位性モノマー
【化2】
JP0005446264B2_000006t.gif
式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基、好ましくはアルキル-2-(4’-アルキルオキシフタルイミドメチル基)を表す。
Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基、好ましくは水素原子を表す。)、好ましくは酸素原子を表す。
このビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。このような置換基として、α位にメチル基などのアルキル基、アルキルオキシ基などが挙げられる。
この配位性モノマーとして、例えば、N-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン、N-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-フェニルアラニン、6-ヘキセン酸等が例示される。
【0009】
(2)下記一般式(化3)で表される疎水性モノマー
【化3】
JP0005446264B2_000007t.gif
式中、Rは芳香族基、好ましくはフェニル基、α-又はβ-ナフチル基を表す。
このビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。このような置換基として、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基などが挙げられる。
この疎水性モノマーとして、スチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、スチルベン、ビニルナフタレン等が例示される。
【0010】
(3)下記一般式(化4)で表される重合性モノマー
【化4】
JP0005446264B2_000008t.gif
式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基、好ましくは4,4'-(1,3-プロピレン-1,3-ジオキシメチル)フェニル基を表す。
このビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。このような置換基として、
メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられる。
【0011】
この重合性モノマーとして下式(化6)で表されるものが好ましく用いられる。
【化6】
JP0005446264B2_000009t.gif
及びRは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NR-又は-PR-を表し、好ましくは-O-又は-NR-である。式中、Rは及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基又はアシル基、好ましくはアセチル基又はフェニル基を表す。このアルキル基としては、炭素数が1~3のアルキル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましい。
oは0~4の整数、好ましくは0又は1を表し、pは1~12の整数、好ましくは3~8の整数、より好ましくは4~6の整数表し、qは0~4の整数、好ましくは0又は1を表し、rは0~20の整数、好ましくは1~2の整数を表す。
この重合性モノマーとして、1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパン、1,4-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)ブタン又は1,4-ジビニルベンゼンが例示される。
【0012】
これらのモノマーは、合成されたポリマーにおける、配位性モノマー:疎水性モノマー:重合性モノマーのモル比(k:l:m)が、k+l+mに対して、kが1~15%、1~3%、mが0より大きく99%以下、好ましくは1~5%、lが残部となるように選択される。
【0013】
この共重合反応に用いることができる溶媒はtert-ブチルアルコール、イソプロピリアルコール、エタノール等のアルコール系溶媒又はトルエン等の炭化水素系溶媒であるが、良好な結果を得るためにはtert-ブチルアルコールの使用が望ましい。
濃度は20~50 wt%で行なうが、できるだけ高濃度で行なうことが望ましい。
重合開始剤はアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素-鉄(II)塩又は過酸化水素-トリエチルアルミニウム等が用いられる。反応温度は0℃から溶媒の還流温度の間で選ばれるが、好ましくは70℃付近である。
反応時間は反応温度及びモノマーの組成により異なるが、1~96時間の間で適宜選択される。
【0014】
モノマーとして、N-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン、スチレン及び1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパンを使用した場合、この共重合は、重合時の溶媒・反応温度及び濃度を適宜調整することにより、配位子となる官能基(この場合はカルボキシル基)が高分子の内部にも導入可能となるとともに生成する高分子がマイクロゲルに類似した高い運動性を示す。[Spanka, C.; Clapham, B.; Janda, K. D. J. Org. Chem. 2002, 67, 3045-3050.] すなわち、N-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-tert-ロイシンとスチレンの比を5:93とすることにより、高分子内部においてもロジウム錯体の配位子交換反応が進行するために必要な空間と運動性を確保することができる。また架橋剤として1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパンのような自由度の高い架橋剤を導入することにより、本不溶性高分子は溶媒中高度に膨潤し通常のMerrifield樹脂に代表される高分子担体と比べ高分子内部への金属錯体の侵入が容易となり、本高分子担体への金属錯体の導入率が高くなっている。また架橋剤及び担体上のN-フタロイル-(S)-tert-ロイシン部分に置換した長鎖リンカーの運動性と自由度の高さに由来する本固相担持触媒の高度な膨潤能は、本触媒が既存の固相触媒が適用できない低温下での反応のみならず、頻回の使用に耐え得る物理的磨耗への耐久性を実現する。
【0015】
次に、上記の高分子配位子と触媒活性を有する金属を含有する錯体との配位子交換により本発明の高分子担持金属錯体触媒が形成される。
この錯体は、下記一般式(化5)で表される。
(RCXO)
とMは、同じであっても異なってもよく、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、レニウム、鉄、ニッケル、銅、白金、ビスマス、コバルト、クロム、モリブデン及びタングステンから成る群から選択され、好ましくはロジウム、ルテニウム、クロム、モリブデン、タングステン又は銅を表す。
Xは上記の定義のとおりであり、
は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基、好ましくはアルキル基又はアミノアルキル基を表す。
nはMとMの原子価によって定まる整数であって、2~4の整数を表す。例えばMとMがともにロジウム(II)又はルテニウム(II)又は銅(II)の場合はn=4となる。
このような錯体として、Rh2(S-PTTL)4、Rh2(O2CCH3)4が例示される。
【0016】
この配位子交換反応は高分子と錯体の溶液を加熱することで行なう。本反応は平衡反応であり、一定時間の加熱後未反応のロジウム(II)錯体と遊離した配位子の溶液を除き、残った固相担持触媒を溶媒で洗浄する。必要に応じてこのサイクルを数回繰り返した後、減圧下溶媒を留去する。
本反応で用いられる溶媒はクロロベンゼンやトルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が用いられるが、クロロベンゼンの使用が望ましい。
反応は約100℃から溶媒の沸点までの範囲の温度で行なう。
反応時間はロジウム(II)錯体の進行の程度で選択されるが、1-9時間かけて行なう。通常は9時間行なった後一度反応溶液を洗浄し、再度ロジウム(II)錯体の溶液を加え加熱するサイクルを2-3回繰り返す。この方法により高分子に含まれるカルボキシル基の約50%が金属錯体に配位する。
【0017】
本発明の高分子担持金属錯体触媒は以下の方法によっても調整可能である。
すなわち、錯体と配位性モノマー(リンカーに結合する配位子)との等モル混合物を加熱(クロロベンゼンやトルエン、キシレン等の高沸点の溶媒中、110-130℃で加熱する)することで配位子交換を行ない、フェノール性水酸基に適当な長さの側鎖(末端にビニルフェニル基を組み込む必要があるが、その置換基と錯体の間は置換基がついていてもいなくてもよいアルキル基)を導入後、疎水性モノマー(スチレン)と重合性モノマー(1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパン)を共重合させることによっても合成可能である。
この場合、先に示した共重合法の他に、アラビアゴム-食塩の水溶液に錯体-疎水性モノマー(スチレン)-重合性モノマー(1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパン)のクロロベンゼン溶液を懸濁させ激しく撹拌しながら共重合させることも可能であり、この場合は任意の粒径をもつビーズ状の触媒を調製することも可能である。
この方法ははじめのロジウム(II)錯体を調製する段階においては低収率(未反応の可溶性ロジウム錯体Rh2(S-PTTL)4は原理的には回収再利用可能である)であるものの、重合直前まで金属錯体の構造を確認できる点及び原理的には高分子に含まれる全てのカルボキシル基が金属に配位していることになる(高分子触媒中に遊離のカルボキシル基が存在しない)。
【0018】
その結果、下式(化1)で表される高分子担持金属錯体触媒が得られる。
【化1】
JP0005446264B2_000010t.gif
式中、R~R、X、k、l、m、n、M、Mは上記の定義されたとおりである。
【0019】
本発明の高分子担持金属錯体触媒は、C-H挿入反応、シクロプロパン化反応、X-H挿入反応(Xはケイ素、酸素、硫黄、窒素原子を表す)、オキソニウムイリド又はスルホニウムイリド又はアンモニウムイリドの[2,3]-シグマトロピー転位反応、オキソニウムイリド又はスルホニウムイリド又はアンモニウムイリドの[1,2]-転位反応、カルボニルイリド又はチオカルボニルイリド又はアゾメチンイリドの1,3-双極付加環化反応、アルケンやアルキンの水素化反応又はヒドロシリル化反応又はヒドロホルミル化反応又はシリルホルミル化反応、α,β-不飽和カルボニル化合物のヒドロシリル化反応、シリルエノールエーテル若しくはシリルケテンアセタールとアルデヒドの向山アルドール反応、カルボニルエン反応、又はDiels-Alder反応などの反応に有効である。
これらの反応をジクロロメタン、1,2-ジクロロエタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、ベンゾトリフルオリド、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素系溶媒、エタノールやメタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリルやプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタンやニトロエタン等のニトロアルカン系溶媒中で行なうことができる。
本触媒を用いることができる温度範囲は-78~130℃であり、行なう反応の種類と基質・反応剤の活性によって最適温度を選択できる。
本触媒を用いる反応は、反応完結後反応混合物からろ過により不溶性の触媒を除くことができる。瀘取した触媒は適当な有機溶媒を用い数回洗浄した後、減圧下溶媒を留去することで再利用することが可能である。

以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0020】
まず(S)-tert-ロイシンからN-4-ベンジルオキシフタロイル-(S)-tert-ロイシンを合成した。反応式を下式に記す。
【化7】
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撹拌子を入れた50 mLナス型フラスコ中に4-ベンジルオキシフタル酸無水物(1.27 g, 5.0 mmol)と(S)-tert-ロイシン(721 mg, 5.5 mmol)をトルエン(15 mL)に懸濁させた。トリエチルアミン(50 mg, 0.5 mmol)を加え、Dean-Stark還流装置をつけ油浴で加熱還流した。原料及び中間体の消失を確認後(2時間)反応溶液を室温まで放冷し、5%塩酸(15 mL)を加え、酢酸エチル(2×30 mL)で抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水(20 ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、濃縮し粗生成物(1.85 g)を白色固体として得た。これをヘキサン-酢酸エチル(3:1, 12 mL)から再結晶し、N-4-ベンジルオキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン(1.38 g, 3.75 mmol, 75%, >99%ee)を無色鱗片状晶として得た。生成物の分析データを以下に示す。
TLC Rf 0.52(9:1 CH2Cl2/MeOH); [α]D -41.0°(c 1.08, CDCl3); IR(KBr)ν3474, 2963, 1956, 1777, 1716, 1616, 1485, 1370, 1278 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.17 (s, 9H, C(CH3)3), 4.70 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2H), 5.19 (s, 2H, OCH2Ar), 7.24 (m, 1H, ArH), 7.40 (m, 6H, ArH), 7.77 (m, 1 H, ArH); 13C NMR (100.4 MHz,CDCl3)δ;28.1 (CH3), 35.7 (C), 60.0 (CH), 70.8 (CH2), 109.0 (CH), 121.0 (CH), 123.6 (C), 125.3 (CH), 127.4 (CH), 128.4 (CH), 128.7 (CH), 134.1 (C), 135.3 (C), 163.8 (C), 167.5 (phth C=O), 167.6 (phthC=O), 173.1 (COOH).; LRMS (EI) m/z 367 (M+); HRMS (EI) calcd for C21H21NO5: 367.1419 found 367.1416. Anal. Calcd for C21H21NO5: C, 68.65; H, 5.76; N, 3.81. Found: C, 68.66; H, 5.76; N, 3.83.
生成物の鏡像体過剰率(ee)は、ジアゾメタン処理してメチルエステルに導いた後キラルカラムを用いたHPLC分析により>99% eeと決定した。分析条件:column: Daicel Chiralcel OD-H; eluent: 19 : 1 hexane/2-propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 13.1 min (minor enantiomer R), 20.5 min (major enantiomer S).
【0021】
【化8】
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N-4-ベンジルオキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン(1.38 g, 3.75 mmol) のジクロロメタン溶液(10 mL) を-78℃に冷却し、イソブテン(6 mL)、リン酸(0.2 mL, 500 mg の五酸化二リンを1.1 mLの85%リン酸に加えて用時調製した) のジクロロメタン溶液(1 mL)及びBF3・OEt2(0.3 mL)を順次加え、2時間撹拌した。その後反応溶液を4℃ に昇温し、さらに24時間撹拌した。反応溶液に氷片(10 g) と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 mL) を加えて30分撹拌した後酢酸エチル(50 mL) で抽出した。有機層を水(20 mL)及び飽和食塩水(20 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物(1.60 g)を得た。カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル 50 g, 10:1 n-hexane/EtOAc)によりN-4-ベンジルオキシフタロイル-(S)-tert-ロイシンtert-ブチルエステル(1.11 g, 2.63 mmol, 70%, >99%ee)を無色アモルファスとして得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.43 (5:1 hexane/EtOAc); [α]D -7.8°(c 0.78, EtOH); IR (KBr)ν3474, 2973, 1775, 1717, 1618, 1487, 1373, 1284 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.17 (s, 9H, C(CH3)3), 1.40 (s, 9H, C(CH3)3), 4.55 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2t-Bu), 5.19 (s, 2H, OCH2Ar), 7.23 (m, 1H, ArH), 7.42 (m, 6 H, ArH) 7.76 (m, 1H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3)δ;27.9 (CH3), 28.1 (CH3), 35.6 (C), 60.7 (CH), 70.7 (CH2), 81.9 (C), 108.8 (CH), 120.7 (CH), 123.9 (C), 125.1 (CH), 127.5 (CH), 128.5 (CH), 128.8 (CH), 134.3 (C), 135.4 (C), 163.8 (C), 166.9 (C=O), 167.8 (C=O), 167.9 (C=O); LRMS (EI) m/z 423 (M+); HRMS (EI) calcd for C25H29NO5: 423.2045 found 423.2050; Anal. Calcd for C25H29NO5: C, 70.90; H, 6.90; N, 3.31. Found: C, 70.83; H, 6.91; N 3.21.
生成物の鏡像体過剰率(ee)は、キラルカラムを用いたHPLC分析により>99% eeと決定した。分析条件:column: Daicel Chiralcel OD-H; eluent: 19 : 1 hexane/2-propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 11.8 min (minor enantiomer R), 18.8 min (major enantiomer S).
【0022】
【化9】
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N-4-ベンジルオキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン tert-ブチルエステル(1.27 g, 3.0 mmol)のTHF溶液(30 mL) に10% Pd/C(159 mg) を加え、水素ガス雰囲気下室温で6時間撹拌した。反応混合物をろ過し残渣をTHF(10 mL) で洗浄した。ろ液を濃縮後、残渣(1.40 g)のカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル, 40 g, 3:1 n-hexane/EtOAc)によりN-4-ヒドロキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン tert-ブチルエステル(960 mg, 2.88 mmol, 96%)を無色アモルファスとして得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.55(1:1 hexane/AcOEt); [α]D +1.1°(c 0.75, CDCl3); IR (KBr)ν3387, 2975, 1775, 1717, 1615, 1468, 1370, 1261 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.17 (s, 9H, C(CH3)3), 1.40 (s, 9H, C(CH3)3), 4,57 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2 t-Bu), 7.08 (m, 1H, Ar), 7.25 (m, 1 H, Ar), 7.67 (m, 1 H, Ar); 13C NMR (100.4 MHz, CDCl3)δ;28.0 (CH3), 28.4 (CH3), 35.7 (C), 61.2 (CH), 83.0 (C), 110.7 (CH), 120.7 (CH), 122.8 (C), 125.5 (CH), 134.2 (C), 162.0 (C), 167.7 (C), 168.1 (C); LRMS (EI) m/z 334 (MH+); Anal. Calcd for C18H23NO5: C, 64.85; H, 6.95; N, 4.20. Found: C, 64.94; H, 7.01; N, 4.22.
【0023】
【化10】
JP0005446264B2_000014t.gif
水素化ナトリウム(50% in oil, 0.8 g, 16.7 mmol)のDMF(5 mL)懸濁液を0℃に冷却し、1,6-ヘキサメチレングリコール(3.55 g, 30 mmol)のDMF溶液(5 mL)を滴下し15分間撹拌した。クロロメチルスチレン(1.53 g, 10 mmol)のDMF溶液(1 mL)を5分以上かけて滴下した後、反応溶液を室温に昇温して3時間撹拌した。反応溶液を再度氷浴で冷却し、水(15 mL)を加え5分間撹拌酢酸エチル(2 ×40 ml)で抽出した。あわせた有機層を水(20 mL)、飽和食塩水(15 mL)で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物(4.2 g)を得た。カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル70 g, 9:1→1:1 hexane/EtOAc)して6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキサノール(1.64 g, 7.0 mmol, 70%)を無色油状物質として得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.44 (1:1 hexane/EtOAc); IR (film)ν3403, 2935, 2858, 1630, 1512, 1406, 1364 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.22 (br, 1H, OH), 1.38 (m, 4H, -CH2-), 1.61 (m, 4H, -CH2-) 3.46 (t, J=5.94 Hz, 2H, OCH2CH2), 3.63 (m, 2H, CH2CH2OH), 4.49 (s, 2H, ArCH2O), 5.23 (d, J = 11.2 Hz, 1H, ArCH=CH2), 5.74 (d, J = 17.8 Hz, 1H, ArCH=CH2), 6.71 (dd, J = 11.2 Hz, 17.8 Hz, 1H, ArCH=CH2), 7.29 (m, 2H, ArH), 7.39 (m, 2H, ArH); 13C NMR (100.4 MHz, CDCl3) δ25.6 (CH2), 26.0 (CH2), 29.7 (CH2), 32.7 (CH2), 62.7 (CH2), 70.2 (CH2), 72.5 (CH2), 113.5 (CH2), 126.0 (CH), 127.7 (CH), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.1 (C); LRMS (EI) m/z 234 (M+); HRMS (EI) m/z calcd for C15H22O2: 234.1620 found 234.1618. Anal. Calcd for C15H22O2: C, 76.88; H, 9.46. Found: C, 76.45; H, 9.42.
【0024】
【化11】
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氷冷下、塩化p-トルエンスルホニル(1.43 g, 7.5 mmol)にピリジン(6 mL)を加え溶解させた後、6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキサノール(1.17 g, 5.0 mmol)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応溶液を氷水(20 mL)にあけ30分間激しく撹拌した後酢酸エチル(50 mL)で抽出した。有機層を水(20 mL)、飽和食塩水(20 mL)で順次洗浄した後無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物(1.60 g)を得た。カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル 70 g, 4:1 hexane/AcOEt)により、p-トルエンスルホン酸6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル(1.38 g, 3.5 mmol, 71%)を油状物質として得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC Rf = 0.43 (3:1 hexane/AcOEt); IR (film)ν2938, 2861, 1630, 1599, 1512, 1402, 1360, 1177 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.29-1.34 (m, 4H, -CH2-), 1.53-1.64 (m, 4H, -CH2-), 2.44 (s, 3H, ArCH3), 3.41 (t, J = 6.40 Hz, 2H, OCH2CH2), 4.01 (t, J = 6.40 Hz, 2H, ArCH2O), 4.46 (s, 2H, CH2CH2OTs), 5.22 (d, J = 10.9 Hz, 1 H, ArCH=CH2), 5.73 (d, J=16.9 Hz, 1 H, ArCH=CH2), 6.70 (dd, J = 10.9 Hz, 16.9 Hz, 1 H, ArCH=CH2), 7.20 (m, 2H, ArH), 7.34 (m, 4H, ArH), 7.78 (m, 2H, ArH); 13C NMR (100.4 MHz, CDCl3) δ25.2 (CH2), 25.6 (CH2), 28.8 (CH2), 21.5 (CH3), 29.4 (CH2), 70.0 (CH2), 70.5 (CH2), 72.5 (CH2), 113.6 (CH2), 126.1 (CH), 127.7 (CH), 129.7 (CH), 133.1 (C), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.1 (C), 144.5 (C).; MS (EI) m/z 388 (M+); HRMS (EI) m/z calcd for C22H28SO4: 388.1708, found 388.1708. Anal. Calcd for C22H28 SO4: C, 68.01; H, 7.26; S, 8.25. Found: C, 67.16; H, 7.20; S, 8.19.
【0025】
【化12】
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N-4-ヒドロキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン tert-ブチルエステル(900 mg, 2.7 mmol)の DMF 溶液(5 mL)にK2CO3(746 mg, 5.4 mmol)を加え室温で5分間撹拌後(反応液は徐々に黄色に変化)、トルエンスルホン酸6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル(857 mg, 2.5 mmol)のDMF溶液(1 mL)を加え、50℃ で3 時間撹拌した。反応溶液に水(20 mL)を加え、酢酸エチル(3×50 mL)で抽出後、あわせた有機層を飽和食塩水(20 mL)で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、残渣(1.70 g)のカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル 55 g, 5:1 n-hexane/Et2O)によりN-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン tert-ブチルエステル(1.07 g, 2.0 mmol, 80%)を無色油状物質として得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.43 (5:1 hexane/EtOAc); [α]D +1.7°(c 1.10, CHCl3); IR (film)ν3474, 2938, 2865, 1775, 1744, 1717, 1618, 1489, 1373 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.17 (s, 9H, C(CH3)3), 1.40 (s, 9H, C(CH3)3), 1.48 (m, 4H, -CH2-), 1.66 (m, 2H, -CH2-), 1.81 (m, 2H, -CH2-), 3.48 (t, J = 6.6 Hz, 2H, OCH2CH2), 4.06 (t, J = 6.6 Hz, 2H, OCH2CH2), 4.49 (s, 2H, OCH2Ar), 4.55 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2t-Bu), 5.23 (d, J = 11.2 Hz, 1H, ArCH=CH2), 5.74 (d, J = 17.8 Hz, 1H, ArCH=CH2), 6.71 (dd, J = 11.2 Hz, 17.8 Hz, ArCH=CH2), 7.15 (m, 1H, ArH), 7.24 (m, 3 H, ArH), 7.39 (m, 2 H, ArH) 7.74 (m, 1 H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz,CDCl3) δ25.8(CH2), 25.9 (CH2), 27.9 (CH3), 28.0 (CH3), 28.9 (CH2), 29.7 (CH2), 35.6 (C), 60.8 (CH), 68.8 (CH2), 70.1 (CH2), 72.6 (CH2), 81.8 (C), 108.2 (CH), 113.6 (CH2), 120.3 (CH), 123.3 (C), 125.0 (CH), 126.1 (CH), 127.7 (CH), 134.2 (C), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.1 (C), 164.1 (C), 166.7 (C=O), 167.7 (C=O), 167.8 (C=O); LRMS (EI) m/z 549 (M+); HRMS (EI) calcd for C33H43NO6: 549.3090, found 549.3097; Anal. Calcd for C33H43NO6: C, 72.10; H, 7.88; N 2.55. Found: C, 70.74; H, 7.89; N, 2.49.
生成物の鏡像体過剰率(ee)は、キラルカラムを用いたHPLC分析により>99% eeと決定した。分析条件:column: Daicel Chiralcel OJ-H; eluent: 19 : 1 hexane/2-propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 9.7 min (minor enantiomer R), 16.3 min (major enantiomer S).
【0026】
【化13】
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N-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン tert-ブチルエステル(1.07 g, 2.0 mmol, > 99% ee)にギ酸 (9 mL) を加え室温で3時間撹拌した。反応溶液の濃縮後、残査(1.10 g)をカラムクロマトグラフィー精製 (シリカゲル 30 g, 2:1 hexane/EtOAc) によりN-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン(841 mg, 1.92 mmol, 92%)を無色アモルファスとして得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.50 (9:1 CH2Cl2/MeOH); [α]D -14.9° (c 0.56, CHCl3); IR (film)ν2940, 2866, 1775, 1714, 1618, 1489, 1450, 1375 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.17 (s, 9H, C(CH3)3), 1.46 (m, 4H, -CH2-), 1.64 (m, 2H, -CH2-), 1.82 (m, 2H, -CH2-), 3.47 (t, J = 6.4 Hz, 2H, OCH2CH2), 4.05 (t, J = 6.4 Hz, 2H, OCH2CH2), 4.49 (s, 2H, OCH2Ar), 4.69 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2H), 5.23 (d, J = 10.9 Hz, 1H, ArCH=CH2), 5.74 (d, J = 17.5 Hz, 1H, ArCH=CH2), 6.70 (dd, J = 10.9 Hz, 17.5 Hz, ArCH=CH2), 7.14 (m, 1H, ArH), 7.29 (m, 3H, ArH), 7.38 (m, 2H, ArH) 7.74 (m, 1H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ25.8(CH2), 25.9 (CH2), 28.0 (CH3), 28.9 (CH2), 29.6 (CH2), 35.7 (C), 59.9 (CH), 68.9 (CH2), 70.1 (CH2), 72.6 (CH2), 108.5 (CH), 113.6 (CH2), 120.6 (CH), 123.1 (C), 125.2 (CH), 126.1 (CH), 127.8 (CH), 134.1 (C), 136.4 (CH), 136.8 (C), 138.0 (C), 164.3 (C), 166.7 (C=O), 167.8 (C=O), 172.7 (C=O); MS (EI) m/z 493 (M+); HRMS (EI) m/z calcd for C29H35NO6: 493.2464 found 493.2464.
生成物の鏡像体過剰率(ee)は、ジアゾメタン処理してメチルエステルに導いた後キラルカラムを用いたHPLC分析により>99% eeと決定した。分析条件:column: Daicel Chiralcel OJ-H; eluent: 19 : 1 hexane/2-propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 11.3 min (minor enantiomer R), 16.9 min (major enantiomer S).
【0027】
【化14】
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水素化ナトリウム(50% in oil, 528 mg, 11 mmol)のDMF(5 mL)懸濁液を0℃に冷却し、1,3-プロパンジオール(381 mg, 5.0 mmol)のDMF溶液(3 mL)を滴下し15分間撹拌した。クロロメチルスチレン(1.53 g, 10 mmol)のDMF溶液(1 mL)を5分以上かけて滴下した後、反応溶液を室温に昇温して3時間撹拌した。反応溶液を再度氷浴で冷却し、水(15 mL)を加え5分間撹拌酢酸エチル(2×40 ml)で抽出した。あわせた有機層を水(20 mL)、飽和食塩水(15 mL)で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物(1.6 g)を得た。カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル70 g, 9:1→1:1 hexane/EtOAc)により1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパン(1.14 g, 3.7 mmol, 74%)を無色油状物質として得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC Rf = 0.40 (19:1 hexane/EtOAc); IR (film)ν2859, 1630, 1510, 1404, 1364 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.91 (t, J = 6.2 Hz, 2H, CH2CH2O), 3.57 (t, J = 6.2 Hz, 4H, CH2CH2O), 4.58 (s, 4H, ArCH2O), 5.23 (d, J = 10.7 Hz, 2 H, ArCH=CH2), 5.73 (d, J = 17.7 Hz, 2 H, ArCH=CH2), 6.70 (dd, J = 10.7 Hz, 17.7 Hz, 2 H, ArCH=CH2), 7.26 (m, 4H, ArH), 7.37 (m, 4H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ30.2 (CH2), 67.3 (CH2), 72.7 (CH2), 113.6 (CH2), 126.1 (CH), 127.8 (CH), 136.5 (CH), 136.8 (C), 138.1 (C); Anal. Calcd for C21H24O2: C, 81.78; H, 7.84. Found: C, 81.61; H, 7.94.
【0028】
次に、上記で得たモノマーを用いて高分子配位子を合成し、触媒活性を有する金属を含有する錯体との配位子交換により本発明の高分子担持金属錯体触媒を合成する。その反応を図1に示す。
N-4-[6-(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキシル]オキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン(49.4 mg, 0.1 mmol)、スチレン(194 mg, 1.86 mmol)、1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパン(12.3 mg, 0.04 mmol)及びAIBN(3.2 mg, 0.02 mmmol)のtert-ブチルアルコール溶液(1 mL)をアルゴン雰囲気下、3回のfreeze-pump-thaw操作で脱気した後、70℃で60時間撹拌した。反応溶液を濃縮後、粗生成物 (260 mg)をジクロロメタン(5 mL)及び酢酸エチル(3×5mL)で順次洗浄し、残渣を減圧乾燥し高分子配位子(123 mg, 48%)を白色粉末として得た。生成物の分析データを以下に記す。
Anal. Calcd for C950H990N6O40 : C, 86.89; H, 7.60; N, 0.64. Found: C, 86.99; H, 7.67; N, 0.69.
【0029】
高分子配位子(51.8 mg)にRh2(S-PTTL)4 (31 mg, 22.4μmol)のクロロベンゼン溶液(1.0 mL)を加え9時間加熱還流した。上清をデカンテーションし、緑色の残査をメタノール-ジクロロメタン(1:1, 3×2 mL)で洗浄後、減圧乾燥した。このものに再度Rh2(S-PTTL)4 (31 mg, 22.4μmol)のクロロベンゼン溶液(1.0 mL)を加え9時間加熱還流した。上清のデカンテーション、残査の洗浄(1:1メタノール/ジクロロメタン、3×2 mL)、減圧乾燥により緑色粉体の固相担持ロジウム(II)錯体(66 mg)を得た。生成物の分析データを以下に記す。
Anal. Calcd for C1100H1161N15O82Rh6: C, 79.97; H, 7.08; N, 1.27; Rh, 3.74. Found: C, 79.61; H, 7.02; N, 1.28; Rh, 3.54. この結果より、理論値の50%の二核ロジウム(II)錯体が高分子配位子に取り込まれたことになる。
【実施例2】
【0030】
以下、別法による高分子担持金属錯体触媒の調製法を示す。
【化15】
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N-4-ベンジルオキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン (1.10 g, 3.0 mmol) のTHF (30 mL)溶液に 10% Pd/C (159 mg) を加え、水素ガス雰囲気下室温で6時間撹拌した。反応混合物をろ過し、残査をTHF (10 ml) で洗浄した。あわせたろ液を濃縮して得られる粗生成物(810 mg)をヘキサン-酢酸エチル(3:1, 5 mL)から再結晶しN-4-ヒドロキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン(665 mg, 2.40 mmol, 80%) を無色鱗片状晶として得た。
N-4-ヒドロキシフタロイル-(S)-tert-ロイシンの機器データを以下に記す。
TLC Rf 0.41 (9:1 CH2Cl2/MeOH); 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.13 (s, 9H, C(CH3)3), 4,53 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2H), 7.11 (dd, J=2.2 Hz, J=8.2 Hz, 1H, Ar), 7.18 (d, J=2.2 Hz, 1 H, Ar), 7.69 (d, dd, J=8.2 Hz, 1H, Ar); 13C NMR (100.4 MHz, CD3OD) δ ; 28.4 (CH3), 36.3 (C), 60.6 (CH) 110.9 (CH), 121.7 (CH), 123.2 (C), 126.3 (CH), 135.5 (C), 165.0 (C), 169.4(C), 169.4(C), 170.9 (C); LRMS (FAB) m/z 278 (M+H); HRMS (FAB) calcd for C14H16NO5: 278.1028 found 278.1029. Anal. Calcd for C14H15NO5: C 60.64, H 5.45, N 5.05, found C 60.79, H 5.51, N 5.03.
【0031】
【化16】
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アルゴン雰囲気下、Rh2(S-PTTL)4(568 mg, 0.4 mmol)と4-ヒドロキシフタロイル-(S)-tert-ロイシン(111 mg, 0.4 mmol)にクロロベンゼン(6 mL)を加え、1.5時間加熱還流した。放冷後反応溶液を酢酸エチル(10 mL)で希釈し飽和重曹水(2×10 mL)、水(10 mL)次いで飽和食塩水(10 mL)で洗浄した後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮して得られた緑色の粗生成物(581 mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 40 g, 4:1:0.01 = toluene:AcOEt:Et3N)で精製し緑色固体を(178 mg, 31%)。この固体を酢酸エチル(0.5 mL)に熱時溶解・ろ過後、ろ液にヘキサン(1.5mL)を加え放置すると、dirhodium(II) tris[N-phtaloyl-(S)-tert-leucinate][N-4-hydroxyphthaloyl-(S)-tert-leucinate] ・bis(ethyl acetate)adductを緑色針状状晶として得た(150 mg, 0.10 mmol, 26%) 。
生成物の機器データを以下に記す。
TLC Rf 0.51 (1:2 hexane/AcOEt); mp >280℃; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.09 (s, 9H, C(CH3)3), 1.11 (br, 27H, C(CH3)3), 1.26 (t, J =7.26 Hz, 6H, CH3CH2), 2.05 (s, 6H, CH3), 4.12 (q J =7.26 Hz, 4H, CH3CH2), 4.67 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2), 4.80 (br, 3H, CH(t-Bu)CO2), 7.00 (m, 1H, Ar), 7.12 (m, 1H, Ar), 7.56-7.76 (m, 13 H, Ar); 13C NMR (100.4 MHz, CDCl3) δ 14.1 (CH3), 21.0 (CH3), 21.0 (CH3), 28.0 (CH3), 35.2 (C), 35.6, (C), 35.6 (C), 60.6 (CH2), 61.3 (CH), 110.1 (CH), 120.3 (CH), 123.2 (CH), 124.8 (CH), 131.7 (C), 131.8 (C), 133.8 (CH), 167.5 (C), 171.8 (C), 185.6(C), 186.7 (C), 187.0 (C); LRMS (FAB) m/z 1262 (M+); HRMS (FAB) calcd for C56H56N4O17Rh2: 1262.1751 found 1262.1753. Anal. Calcd for C56H56N4O17Rh2・2AcOEt: C 53.41, H 5.04, N 3.89. found C 53.66, H 5.21, N 4.07.
【0032】
【化17】
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アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(50% in oil, 240 mg, 5.0 mmol)のDMF懸濁液(5 mL)を0℃に冷却し、4-ビニルベンジルアルコール(1.34 g, 10 mmol)のDMF (1 mL)溶液を加え15分間撹拌した。1, 6-ジブロモヘキサン(3.66 g, 15 mmol)のDMF(3 mL)溶液を5分以上かけて加え、室温で3時間撹拌した。氷冷下反応溶液に水(15 mL)を加えて5分間撹拌し、酢酸エチル (2 × 40 mL)で抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水(15 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、残査(4.11 g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 70 g, 20:1 hexane/Et2O)で精製すると6-(4-ビニルベンジルオキシ)ブロモヘキサン(1.72 g, 5.8 mmol, 58%)が油状物質として得られた。
生成物の機器データを以下に記す。
TLC Rf = 0.53 (10:1 hexane/AcOEt); 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.37-1.48 (m, 4H, -(CH2)-), 1.51-1.65 (m, 2H, -(CH2)-), 1.81-1.91 (m, 2H, -(CH2)-), 3.38-3.48 (m, 4H, OCH2CH2, BrCH2CH2), 4.49 (s, OCH2Ar), 5.23 (d, J=10.9 Hz, 1 H, ArCHCH2), 5.74 (d, J=17.5 Hz, 1 H, ArCHCH2), 6.71 (dd, J=10.9 Hz, 17.5 Hz, 1 H, ArCHCH2), 7.28 (m, 2H, Ar), 7.39 (m, 2H, Ar); 13C NMR (100.4 MHz, CDCl3) δ 25.4 (CH2), 28.0 (CH2), 29.6 (CH2), 32.7 (CH2), 33.8 (CH2), 70.0 (CH2), 72.5 (CH2), 113.5(CH2), 126.0 (CH), 127.6 (CH), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.0 (C); MS (EI) m/z 296 (M+); HRMS (EI) m/z calcd for C15H21BrO: 296.0775 found 296.0778. Anal. Calcd for C15H21BrO: C 60.61, H 7.12, Br 26.88.; found C 60.79, H 7.22, S 26.83.
【0033】
【化18】
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dirhodium(II)tris[N-phtaloyl-(S)-tert-leucinate][N-4-hydroxyphthaloyl-(S)-tert-leucinate]・bis(ethyl acetate)adduct (57.6 mg, 40 mmol)のDMF溶液(0.5 mL)にCs2CO3 (28.7 mg, 88 mmol)を加え5分間撹拌した(反応液は徐々に青緑色から黄緑色に変化)。6-(4-ビニルベンジルオキシ)ブロモヘキサン (14.3 mg, 48 mmol)のDMF溶液 (0.5 mL)を加え室温で10時間撹拌後、反応溶液に水(2 mL)を加え、酢酸エチル (2 × 5 mL)で抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水(2 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮して得られた残査(67 mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(silica gel 1 g, 3:1 n-hexane/AcOEt)すると、dirhodium(II)tris[N-phtaloyl-(S)-tert-leucinate][N-4-[6-(4-vinylbenzyloxy)hexyloxy]-phthaloyl-(S)-tert-leucinate]・bis(ethyl acetate)adduct (60.7 mg, 36.8 mmol, 92%)を緑色鱗片状晶として得た。
生成物の機器データを以下に記す。
TLC Rf 0.54 (1:1 hexane/EtOAc); 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.02 (br, 36H, C(CH3)3), 1.18 (t, J=7.26 Hz, 6H, CH3CH2), 1.21, (m, 4H), 1.57 (m, 2H), 1.76 (m, 2H), 1.97 (s, 6H, CH3), 3.40 (m, 2H), 4.00 (m, 2H), 4.12 (q J=7.26 Hz, 4H, CH3CH2), 4.40 (s, 2H), 4.64 (s, 1H, CH(t-Bu)CO2), 4.70 (br, 3H, CH(t-Bu)CO2), 5.16 (d, J=10.9 Hz, 1 H, ArCHCH2), 5.67 (d, J=16.9 Hz, 1 H, ArCHCH2), 6.71 (dd, J=10.9 Hz, 16.9 Hz, 1 H, ArCHCH2), 7.01 (m, 1H, Ar), 7.12 (m, 1H, Ar), 7.56-7.76 (m, 13 H, Ar); LRMS (FAB) m/z 1478 (M+); HRMS (FAB) calcd for C71H76N4O18Rh2: 1478.3265 found 1478.3258.
【0034】
スチレン (32.3 mg, 0.31 mmol)、dirhodium(II)tris[N-phtaloyl-(S)-tert-leucinate][N-4-[6-(4-vinylbenzyloxy)hexyloxy]-phthaloyl-(S)-tert-leucinate]・bis(ethyl acetate)adduct (2.1 mg, 6.7 mmol)、AIBN(0.54 mg, 3.2 mmmol)のtert-ブチルアルコール (93 mg)溶液をアルゴン雰囲気下、3回のfreeze-pump-thaw操作で脱気し、75℃で10時間撹拌した。溶媒留去して得た残査(55.9 mg)をグラスフィルター上でジクロロメタン(2 mL)、酢酸エチル(3×1 mL)で順次洗浄後、減圧乾燥して高分子配位子(54.6 mg, 88%)を緑色粉体として得た。この反応を図2に示す。
生成物の機器データは以下の通りである。
Anal. Calcd for C1141H1174N20O94Rh10・10AcOEt : C, 76.34; H, 6.80; N, 1.51; Rh, 5.54. anal; C, 76.80; H, 7.05; N, 1.50; Rh, 4.99.
【実施例3】
【0035】
実施例1で得た高分子担持金属錯体触媒を用いて、分子内不斉C-H挿入反応を行った。不溶性ロジウム(II)触媒にトルエンを加え膨潤させた後-78℃に冷却し、反応基質である2-ジアゾ-(6-フェニル)ヘキサン酸メチルのトルエン溶液を加えると分子内C-H挿入反応が進行した。反応完結後上清をデカンテーションで回収後濃縮すると環化生成物を得ることができる。残渣は酢酸エチルなどで洗浄後、減圧乾燥することで再度の利用が可能になる。
【0036】
その結果を下表に示す。
【表1】
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【0037】
本発明に係るロジウム触媒を用いるこの反応は、-78℃という固相担持型遷移金属錯体では前例のない低温下で不斉反応を実現し、反応の化学選択性、ジアステレオ選択性及びエナンチオ選択性ともに母型錯体である均一系不斉触媒Rh2(S-PTTL)4を用いた場合と同等の結果を得ることができる。また、この触媒は水、エタノール、酢酸エチル、アセトン、エーテル、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン等に不溶であるため触媒の回収や反応生成物の精製が容易に行なえる。そして、回収した触媒はその効率を損なうこと無く再利用が可能である。例えば上記反応式(化7、R=水素原子、R=メチル基)では収率85%、C-H挿入/アルケン生成に係る化学選択性は>99:1、不斉収率94%である。この反応後、触媒の回収・再利用を繰り返したところ、20回の連続した再利用での収率83%、C-H挿入/アルケン生成に係る化学選択性は>99:1、不斉収率94%と収率、選択性にほとんど変化が見られなかった。以上のように本発明に係るロジウム(II)触媒は、C-H挿入反応等の不斉カルベン反応の極めて有用な触媒といえる。
【実施例4】
【0038】
実施例1で作成したロジウム触媒を用いて、分子内不斉C-H挿入反応を行った。不溶性ロジウム(II)触媒にトルエンを加え膨潤させた後-60℃に冷却し、反応基質である2-(2-ベンジルオキシフェニル)-2-ジアゾ酢酸メチルのトルエン溶液を加えると分子内C-H挿入反応が進行した。反応完結後上清をデカンテーションで回収後濃縮すると環化生成物を得ることができる。残渣は酢酸エチルなどで洗浄後、減圧乾燥することで再度の利用が可能になる。
【0039】
その結果を下表に示す。
【表2】
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本発明に係るロジウム触媒を用いるこの反応についても、-60℃という低温下における不斉反応を実現する。反応の化学選択性、ジアステレオ選択性及びエナンチオ選択性についても母型錯体である均一系不斉触媒Rh2(S-PTTL)4を用いた場合と同等の結果を得ることができる。本発明に係るロジウム触媒は本反応系についても15回の連続した再利用での収率、位置及びジアステレオ選択性及び不斉収率の低下は認められなかった。以上のように本発明に係るロジウム(II)触媒は、多様な構造をもつ基質に対しても極めて有用な触媒といえる。
【実施例5】
【0040】
【化19】
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固相担持ロジウム(II)錯体(28.6 mg)及びトルエン(1.0 mL)を入れた反応用試験管を-78℃に冷却し、2-ジアゾ-(6-フェニル)ヘキサン酸メチル(93.0 mg, 0.40 mmol)のトルエン溶液(1.0 mL)を加え、その温度で4時間撹拌した。上清をデカンテーション後、残査をトルエン(2×2 mL)、酢酸エチル(2 mL)及びトルエン(2 mL)で順次洗浄した。あわせた上清を濃縮後、残査 (90 mg)をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル 6 g、15:1 n-hexane/EtOAc)精製し(1S,2R)-2-フェニルシクロペンタンカルボン酸メチル(69.0 mg, 0.34 mmol, 85%)を無色油状物質として得た。混合物中の(1S,2R)-2-フェニルシクロペンタンカルボン酸メチルの光学純度は、HPLC分析により94% eeであることが分かった。回収した固相担持ロジウム(II)錯体は、減圧乾燥後同様の反応を繰り返し行った。
(1S,2R)-2-フェニルシクロペンタンカルボン酸メチルの分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.39 (5:1 hexane/EtOAc); IR (neat) ν 1732 (C=O), 1200, 1171, 700 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.70 (m, 1H, CH2), 1.95-2.15 (m, 5H, CH2), 3.16 (ddd, J = 6.2, 9.0, 9.0 Hz, 1H, C2-H), 3.22 (s, 3H, CO2CH3), 3.41 (ddd, J = 7.1, 9.0, 9.0 Hz, 1H, C1-H), 7.15-7.28 (m, 5H, ArH); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.8 (CH2), 28.6 (CH2), 31.2 (CH2), 49.2 (CH), 49.8 (CH), 50.9 (CH3), 126.3 (CH), 127.8 (CH), 127.9 (CH), 141.5 (C), 174.9 (C=O); LRMS (EI) m/z 204 (M+); HRMS (EI) calcd for C13H16O2 (M+) 204.1150; found 204.1151; Anal. Calcd for C13H16O2: C, 76.44; H, 7.90. Found: C, 76.33; H, 7.98.
鏡像異性体過剰率(ee)はキラルカラムを用いたHPLC分析により94%と決定した。分析条件: column Daicel Chiralcel OJ-H followed by Daicel Chiralpak AS-H; eluent: 100:1 hexane/i-PrOH; 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 12.9 min for (1R,2S) enantiomer (minor), 14.7 min for (1S,2R) enantiomer (major).
【実施例6】
【0041】
【化20】
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固相担持ロジウム(II)錯体(28.6 mg)及びトルエン(1.0 mL)を入れた反応用試験管を-60℃に冷却し、2-(2-ベンジルオキシフェニル)-2-ジアゾ酢酸メチル(113 mg, 0.40 mmol)のトルエン溶液(1.0 mL)を加え、その温度で6時間撹拌した。上清をデカンテーション後、残査をトルエン(2×2 mL)、酢酸エチル(2 mL)及びトルエン(2 mL)で順次洗浄した。あわせた上清を濃縮後、残査 (90 mg)をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル 6 g、15:1 n-hexane/EtOAc)精製し(2R,3S)-2,3-シス-2,3-ジヒドロ-2-フェニルベンゾフラン-3-カルボン酸メチル(67.0 mg, 0.33 mmol, 82%)を無色針状晶として得た。回収した固相担持ロジウム(II)錯体は、減圧乾燥後同様の反応を繰り返し行った。(2R,3S)-2,3-シス-2,3-ジヒドロ-2-フェニルベンゾフラン-3-カルボン酸メチルの分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.35 (5:1 hexane/EtOAc); mp 91-92℃; IR (neat) ν 1736 (C=O), 1480, 1229, 1213 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 3.21 (s, 3H, CO2CH3), 4.62 (d, J = 9.9 Hz, 1H, CH CO2CH3), 5.99 (d, J = 9.9 Hz, 1H, OCHPh), 6.01-6,98 (m, 2H, ArH), 7.22-7.38 (m, 2H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 51.5 (CH3), 53.9 (CH), 85.6 (CH), 109.9 (CH), 121.2 (CH), 124.7 (C), 125.8 (CH), 126.1 (CH), 128.1 (CH), 128.2 (CH), 129.5 (CH), 137.0 (C), 160.4 (C), 170.2 (C=O); LRMS (EI) m/z 254 (M+); HRMS (EI) calcd for C16H14O3 (M+) 254.0943; found 254.0946; Anal. Calcd for C16H14O3: C, 75.57; H, 5.55. Found: C, 75.38; H, 5.77.
鏡像異性体過剰率(ee)はキラルカラムを用いたHPLC分析により89%と決定した。分析条件: column Daicel Chiralcel OD-H; eluent: 9:1 hexane/i-PrOH; 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 7.9 min for (2R,3S) enantiomer (major), 14.1 min for (2S,3R) enantiomer (minoir).
【実施例7】
【0042】
本実施例においては、不斉分子内芳香環C-H挿入反応における本願発明の触媒の再利用を検討した。本願発明の触媒は不溶性であるため、反応完結後、反応混合物からろ過により触媒を除くことができる。瀘取した触媒は適当な有機溶媒を用い数回洗浄した後、減圧下溶媒を留去することで再利用することできる。本実施例において、以下に示すように、本願発明の固相担持型金属触媒は100回の繰返し使用においても反応性及び不斉識別能の低下は認められなかった。
実施例1で得た固相担持ロジウム(II)錯体(7.4 mg, 2 mol % of catalyst)及びジクロロメタン(0.5 mL)を入れた反応用試験管に2-ジアゾ-4,4-ジフェニル-3-オキソペンタン酸メチル(30.8 mg, 0.1 mmol)のジクロロメタン溶液(0.5 mL)を室温で加え、その温度で20 分間撹拌した。上清をデカンテーション後、残査をジクロロメタン(1 mL)で洗浄した。あわせた上清を濃縮後、残査 (28 mg)をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル 1 g、ベンゼン)精製し(3S)-3-メチル-3-フェニル-2-オキソインダン-1-カルボン酸メチル(24.1 mg, 86%)を淡青色固体として得た。得られた(3S)-3-メチル-3-フェニル-2-オキソインダン-1-カルボン酸メチルの光学純度は、脱メトキシカルボニル化後のHPLC分析により91% eeであることが分かった。回収した固相担持ロジウム(II)錯体は、減圧乾燥後同様の反応を繰り返し行った。
(3S)-3-メチル-3-フェニル-2-オキソインダン-1-カルボン酸メチルの分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.55 (2 : 1 hexane/EtOAc); mp 81.0-82.0℃; IR (KBr) ν 2971, 2949, 1595, 1475, 1440 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, almost enol form) δ 1.80 (3H, s, CH3), 3.98 (3H, s, CO2CH3), 7.07-7.13 (2H, m, ArH), 7.20-7.32 (6H, m, ArH), 7.65 (1H, d, J = 7.3 Hz, ArH), 11.00 (1H, brs, enol-OH); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 21.7 (CH3), 51.6 (CH3), 54.8 (C), 102.3 (C), 120.5 (CH), 122.8 (CH), 124.5 (CH), 126.6 (CH), 127.3 (CH), 127.4 (CH), 128.5 (CH), 137.5 (C), 140.2 (C), 145.0 (C), 169.5 (C), 186.2 (C); LRMS (EI) m/z 280 (M+), 248, 233, 219, 205, 192; HRMS (EI) calcd for C18H16O3 (M+) 280.1099, found 280.1092; Anal. Calcd for C18H16O3: C, 77.12; H, 5.75. Found: C, 77.33; H, 5.92.
【0043】
結果を下表に示す。
【表3】
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【0044】
次に、上記反応で得た(3S)-3-メチル-3-フェニル-2-オキソインダン-1-カルボン酸メチル(24.1 mg, 0.086 mmol)の含水ジメチルスルホキシド(0.5 mL, 1 : 9 水:DMSO)溶液を120℃で30分撹拌した。反応液は淡橙色になった。放冷後、水(5 mL)を加え、酢酸エチル(20 mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1 g, 1 : 2 ヘキサン/ベンゼン)にて精製し(S)-3-メチル-3-フェニル-2-インダノン (18.2 mg, 95%)を淡橙色油状物として得た。
(S)-3-メチル-3-フェニル-2-インダノンの分析データを以下に記す。
TLC Rf 0.65 (2 : 1 hexane/EtOAc); IR (film) ν 3025, 2971, 1752, 1597, 1495, 1480 cm-1; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.76 (3H, s, CH3), 3.53 (1H, d, J = 21.8 Hz, CH2), 3.68 (1H, d, J = 21.8 Hz, CH2), 7.16-7.41 (9H, m, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) ? 23.8 (CH3), 41.6 (CH2), 58.3 (C), 124.8 (CH), 125.2 (CH), 126.7 (CH), 126.9 (CH), 127.7 (CH), 127.9 (CH), 128.4 (CH), 135.8 (C), 142.0 (C), 146.4 (C), 216.1 (C); LRMS (EI) m/z 222 (M+), 194, 179, 165, 152; HRMS (EI) calcd for C16H14O (M+) 222.1045, found 222.1046; Anal. Calcd for C16H14O: C, 86.45; H, 6.35. Found: C, 86.40; H, 6.40.
生成物の鏡像体過剰率(ee)はキラルカラムを用いたHPLC分析により97% eeと決定した。
分析条件:column: Daicel Chiralcel OD-H; eluent: 200 : 1 hexane/2-propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 9.4 min (major enantiomer S), 10.8 min (minor enantiomer R).
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1の高分子担持金属錯体触媒の合成法を示す図である。
【図2】実施例2の高分子担持金属錯体触媒の合成法(別法)を示す図である。
図面
【図1】
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【図2】
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