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明細書 :窒素酸化物含有化合物の検出方法およびそれに用いる検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4984292号 (P4984292)
公開番号 特開2009-109351 (P2009-109351A)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発行日 平成24年7月25日(2012.7.25)
公開日 平成21年5月21日(2009.5.21)
発明の名称または考案の名称 窒素酸化物含有化合物の検出方法およびそれに用いる検出装置
国際特許分類 G01N  21/78        (2006.01)
FI G01N 21/78 C
請求項の数または発明の数 11
全頁数 16
出願番号 特願2007-282237 (P2007-282237)
出願日 平成19年10月30日(2007.10.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2007年5月1日 クロマトグラフィー科学会発行の「クロマトグラフィー科学会誌」に発表
特許法第30条第1項適用 2007年5月5日 社団法人日本分析化学会発行の「第68回分析化学討論会講演要旨集」に発表
特許法第30条第1項適用 2007年6月26日 「日刊工業新聞」に発表
審査請求日 平成22年5月27日(2010.5.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】児玉谷 仁
【氏名】小松 優
【氏名】渡辺 雄二郎
【氏名】藤永 薫
個別代理人の代理人 【識別番号】100102842、【弁理士】、【氏名又は名称】葛和 清司
審査官 【審査官】伊藤 裕美
参考文献・文献 特開2001-281150(JP,A)
特開平11-290096(JP,A)
特開平10-170494(JP,A)
特開平11-037990(JP,A)
LILLARD T J,N-Nitrosodiphenylamine in Diphenylamine-Treated Apples. Analysis by High-Performance Liquid Chromatography-UV Photolysis-Chemiluminescence,ACS Symp Ser (Am Chem Soc),1994年,553,358-360
KIM S H,Nonvolatile N-Nitrosamides in Dried Squid. Analysis by High-Performance Liquid Chromatography-Photolysis-Chemiluminescence,ACS Symp Ser,1994年,553,355-357
CONBOY J J,Photolytic interface for high-performance liquid chromatography-chemiluminescence detection of non-volatile N-nitroso compounds,Analyst,1989年,114/2,155-159
調査した分野 G01N 21/75-21/83
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
pH10.5~11.5の水性溶媒中に存在する窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射し、紫外線照射した前記窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を過酸化水素の非存在下で反応させ、生成した発光を検出し、
ここで、前記反応は、前記発光性化合物を含む炭酸緩衝液と、前記水性溶媒とを混合することにより行なう、窒素酸化物含有化合物の検出方法。
【請求項2】
窒素酸化物含有化合物が、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、亜硝酸、亜硝酸エステル、亜硝酸塩、硝酸、硝酸エステルまたは硝酸塩である、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
窒素酸化物含有化合物がニトロソアミン類である、請求項1に記載の検出方法。
【請求項4】
紫外線の波長が170~400nmである、請求項1~3のいずれかに記載の検出方法。
【請求項5】
紫外線照射により生成したペルオキシナイトライトと発光性化合物とを反応させることを含む、請求項1~4のいずれかに記載の検出方法。
【請求項6】
発光性化合物がルミノール類、ルシゲニン類、アクリジニウム化合物、ルシフェリン類、シュウ酸エステル類またはルテニウム錯体類である、請求項1~5のいずれかに記載の検出方法。
【請求項7】
発光性化合物がルミノールである、請求項6に記載の検出方法。
【請求項8】
ルミノールが、炭酸緩衝液中で調製されたルミノールである、請求項7に記載の検出方法。
【請求項9】
窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射する前に、試料中の窒素酸化物含有化合物を分離する段階を含む、請求項1~8のいずれかに記載の検出方法。
【請求項10】
試料中の窒素酸化物含有化合物を分離する試料分離部と
前記試料分離部と紫外線照射部の間に設けられた、pH調整溶媒を導入するpH調整溶媒導入部と、
pH10.5~11.5の水性溶媒中に存在する窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射する紫外線照射部と
発光性化合物を含む炭酸緩衝液と前記水性溶媒とを混合することにより、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を過酸化水素の非存在下で反応させ、反応により生成した発光を検出する発光検出部と
前記試料分離部と紫外線照射部の間にpH調整溶媒を導入するpH調整溶媒導入部とを有する、窒素酸化物含有化合物の検出装置。
【請求項11】
紫外線照射部と発光検出部との間または発光検出部に発光性化合物導入部を有する、請求項10に記載の検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素酸化物含有化合物の高感度検出方法およびそれに用いる検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様な化学物質が製造、使用され、環境中に放出されている。これらの物質の中には、ヒトの健康や生態系に有害な影響を及ぼすものも数多く存在する。例えば、ニトロソ化合物、亜硝酸塩等の窒素酸化物含有化合物は環境中、食品中等に広く存在し、発がん性や変異原性を有することが確認されている。
【0003】
窒素酸化物含有化合物のうち、N-ニトロソアミン(以下、単に「ニトロソアミン」とも記す)等のニトロソアミン類はアミン類と亜硝酸系化合物との反応、アミン類とクロラミンとの反応等の種々の反応により生成することが知られている。そして、ヒトはニトロソアミン類を食物(野菜等)、食品添加物、上水道の水等から摂取しており、ヒトの健康や生態系への悪影響を未然に防止する観点からニトロソアミン類に対する対策が求められている。
【0004】
米国では、国際がん研究機関(IARC)および全米毒性学計画(NNP)が職業安全衛生局の危険有害性周知基準に従い、特定のニトロソアミン類を発がん性物質として認定し、規制対象としている。また、ドイツでは大気中ニトロソアミンへの職業性被爆の指針として、2.5μg/mおよび1.0μg/m(8時間加重平均値)の濃度基準を設定しており、カナダでは、特定のニトロソアミン類を高度な危険有害物質として指定している(非特許文献1)。さらに、米国のカリフォルニアでは、飲料水中の微量のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)による発がん性のリスクを回避するため、飲料水中のNDMAの目標濃度を3×10-6mg/L(0.003ppb)に設定している(非特許文献2)。
【0005】
このような微量のニトロソアミン類を検出するためには、高感度検出方法が必要となる。日本では、環境庁水質保全局水質管理課によりニトロソアミン類の分析法が示されている(非特許文献3)。しかし、この方法は目標定量下限値が0.03~0.06μg/L、目標検出下限値が0.01~0.02μg/Lであり、ニトロソアミン類を上記の目標濃度レベルで検出するには感度が不十分であるだけでなく、複雑で煩雑な抽出、濃縮等の操作を必要とする。
【0006】
本発明者らは、有機ニトロ化合物に紫外線を照射し、さらにイソルミノールおよび過酸化水素を反応させて発光させ、有機ニトロ化合物を検出する方法を報告している。しかし、この方法は発光反応に酸化剤を必要とするなど窒素酸化物含有化合物の検出方法として満足できるものではない。そのため、窒素酸化物含有化合物の高感度でより簡易な検出方法が求められている。

【非特許文献1】化学物質毒性ハンドブック第1巻、丸善株式会社、平成11年12月20日発行、I-285~I-307頁
【非特許文献2】PUBLIC HEALTH GOALS FOR CHEMICALS IN DRINKING WATER,December 2006 Arnold Schwarzenegger etal.
【非特許文献3】要調査項目等調査マニュアル、平成12年12月、環境庁水質保全局水質管理課
【非特許文献4】日本分析化学会第49年会講演要旨集、2A03
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、ニトロソアミン類等の窒素酸化物含有化合物の高感度検出方法およびそれに用いる検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的に鑑み鋭意研究する中で、本発明者らは、所定のpHの水性溶媒中に存在する窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射することにより、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を直接発光反応させることができ、窒素酸化物含有化合物を高感度で、かつ簡易に検出できることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、pH10.5~11.5の水性溶媒中に存在する窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射し、紫外線照射した前記窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を酸化剤の非存在下で反応させ、生成した発光を検出する、窒素酸化物含有化合物の検出方法に関する。
【0010】
また、本発明は、窒素酸化物含有化合物が、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、亜硝酸、亜硝酸エステル、亜硝酸塩、硝酸、硝酸エステルまたは硝酸塩である、前記検出方法に関する。
さらに、本発明はニトロソ化合物がニトロソアミン類である、前記検出方法に関する。
【0011】
また、紫外線の波長が170~400nmである、前記検出方法に関する。
さらに、本発明は、紫外線照射により生成したペルオキシナイトライトと発光性化合物とを反応させることを含む、前記検出方法に関する。
【0012】
また、本発明は、発光性化合物がルミノール類、ルシゲニン類、アクリジニウム化合物、ルシフェリン類、シュウ酸エステル類またはルテニウム錯体類である、前記検出方法に関する。
【0013】
さらに、本発明は、発光性化合物がルミノールである、前記検出方法に関する。
また、本発明は、ルミノールが炭酸緩衝液中で調製されたルミノールである、前記検出方法に関する。
【0014】
さらに、本発明は、窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射する前に、試料中の窒素酸化物含有化合物を分離する段階を含む、前記検出方法に関する。
【0015】
また、本発明は、試料中の窒素酸化物含有化合物を分離する試料分離部と、窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射する紫外線照射部と、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を反応させ、反応により生成した発光を検出する発光検出部と、前記試料分離部と紫外線照射部の間にpH調整溶媒を導入するpH調整溶媒導入部とを有する、窒素酸化物含有化合物の検出装置に関する。
さらに、本発明は、紫外線照射部と発光検出部との間または発光検出部に発光性化合物導入部を有する、前記装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の検出方法によれば、抽出、濃縮等の煩雑な操作を必要とせず、微量の試料をそのまま測定することができ、また、検出反応に過酸化水素等の酸化剤を必要とせず、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を直接発光反応させて、窒素酸化物含有化合物を検出できるため、簡易かつ高感度で検出することができる。特に、本発明は環境中のニトロソアミン類の検出に適しており、ニトロソアミン類の定量測定も可能である。
【0017】
本発明の窒素酸化物含有化合物の検出装置は、試料中の窒素酸化物含有化合物を分離する試料分離部と、窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射する紫外線照射部と、発光性化合物との発光反応を検出する発光検出部とを有し、試料を試料分離部において穏和な条件で分離するとともに、pH調整溶媒を試料分離部と紫外線照射部の間に設けられたpH調整溶媒導入部から挿入するため、紫外線照射時のpHを反応に適したpHに的確に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[I]窒素酸化物含有化合物の検出方法
(1)窒素酸化物含有化合物
本明細書において窒素酸化物含有化合物とは、窒素酸化物(NO、NOまたはNO)を分子中に含有する化合物を意味する。窒素酸化物含有化合物は紫外線照射により活性酸素種を生成する。窒素酸化物含有化合物としてはニトロソ化合物(ニトロソアミン類、ニトロソアミド類等)、ニトロ化合物[少なくとも1つのニトロ基を有する脂肪族ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、1-ニトロプロパン、1-ニトロブタン、2-メチル-2-ニトロプロパン、1-ニトロペンタン、1-ニトロヘキサン等の飽和脂肪族ニトロ化合物、5-ニトロ-1-ペンテン、6-ニトロ-1-ヘキセン等の不飽和脂肪族ニトロ化合物等)、少なくとも1つのニトロ基を有する芳香族ニトロ化合物(ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、2-ニトロトルエン、3-ニトロトルエン、4-ニトロトルエン、2-クロロニトロベンゼン、3-クロロニトロベンゼン、4-クロロニトロベンゼン、2-フルオロニトロベンゼン、3-フルオロニトロベンゼン、4-フルオロニトロベンゼン、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェニル、2,6-ジニトロフェニル、4,6-ジニトロ-2-メチルフェノール、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、2-アミノ-4-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール、2,4-ジニトロアニリン等)等]、亜硝酸、亜硝酸エステル(亜硝酸エチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸イソアミル等)、亜硝酸塩[亜硝酸のアルカリ金属塩(Li塩、Na塩、K塩等)、アルカリ土類金属塩(Mg塩、Ca塩等)、アンモニウム塩等]、硝酸、硝酸エステル(ニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログリコール等)、硝酸塩[硝酸のアルカリ金属塩(Li塩、Na塩、K塩等)、アルカリ土類金属塩(Mg塩、Ca塩等)、アンモニウム塩等]等が挙げられる。
【0019】
ニトロソアミン類は、ニトロソ基(-N=O)と窒素原子との結合を有するアミン化合物であり、N-ニトロソアミン、その誘導体等が挙げられる。本発明の方法により検出するニトロソアミン類は特に限定されないが、例えば、N-ニトロソアミン、N-ニトロソジブチルアミン、N-ニトロソジエタノールアミン、N-ニトロソジエチルアミン、N-ニトロソジメチルアミン、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソジプロピルアミン、N-ニトロソ-N-エチルウレア、N-ニトロソ-N-メチルウレア、N-ニトロソメチルビニルアミン、N-ニトロソモルホリン、N-ニトロソノルニコチン、N-ニトロソピペリジン、N-ニトロソピロリジン、N-ニトロソサルコシン、N-ニトロソメチル-N’-ニトログアニジン、N-ニトロソメチルウレタン、N-ニトロソアナバシン、N-ニトロソテトラヒドロビピリジン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソジ-n-プロピルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルアミン、N-ニトロソイソプロパノールアミン、p-ニトロソジメチルアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、4-(N-ニトロソメチルアミン)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン、N-ニトロソメチルエチルアミン、N-ニトロソノルニコチン、N-ニトロソプロリン等の米国やカナダで危険有害物質として認定されているニトロソアミン類である。検出試料として用いる窒素酸化物含有化合物は、1種であっても2種以上の混合物であってもよく、また、他の化合物との混合物であってもよい。
【0020】
(2)試料の分離
本発明の検出方法は、予め試料中の窒素酸化物含有化合物を分離する段階を含んでいてもよい。例えば、水道水中のニトロソアミン類を検出する場合、ニトロソアミン類は通常2種以上の混合物として含まれており、その種類によって毒性の程度が異なるため、各ニトロソアミン類の含有量を同定する必要がある。したがって、検出操作前に、予めそれらのニトロソアミン類を分離しておくのが望ましい。分離方法は特に限定されず、キャピラリー電気泳動、カラムクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等)、アフィニティークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等の方法を目的に応じて、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
(3)紫外線照射
pH10.5~11.5の水性溶媒中に存在する窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射することにより、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物とを酸化剤の非存在下で直接反応させて発光させることができる。以下に本発明の検出方法において考えられる発光反応機構の一例として、N-ニトロソ化合物の発光反応機構を示すが、本発明はこの反応機構に限定されるものではない。
【0022】
【化1】
JP0004984292B2_000002t.gif

【0023】
N-ニトロソ化合物に紫外線を照射することにより、N-NO結合が切断され、一酸化窒素(NO)が発生する。同時に共存する水または溶存酸素への紫外線照射から活性酸素種(O・)が発生し、発生したNOとO・の反応により、ペルオキシナイトライト(ONOO)が生成する。このペルオキシナイトライトを発光性化合物(ルミノール)と混合すると発光反応が起きる。本発明の方法はかかる反応により生じた光を検出することによりN-ニトロソ化合物を検出する。なお、本発明者らは実際に反応によりペルオキシナイトライトが発生することを確認しているが、発光に関与する化学種はペルオキシナイトライトに限定されるものではない。
【0024】
照射する紫外線の波長は、好ましくは170~400nm、より好ましくは180~300nm、特に好ましくは180~190nmまたは250~260nmである。紫外線の波長を上記範囲にすることにより、ペルオキシナイトライトの生成を促進し、検出感度を向上させることができる。また、紫外線の照射時間は好ましくは約10~60秒であるが、照射時間は照射する物質により異なる。例えば、ニトロソアミン類では約15~30秒、硝酸イオンまたは亜硝酸イオンでは約20~40秒が好ましい。照射時間が短いと検出感度を低下させ、また、照射時間が長くても検出感度を低下させる。
【0025】
紫外線を照射する段階は、試料を好ましくは溶媒中、より好ましくは水性溶媒(水または水と有機溶媒の混合溶媒)中に存在させて照射する。試料を予めカラム等で分離する場合は、試料をその溶離液中に存在させてもよいが、分離装置で分離した後、紫外線を照射する前に、pH調整溶媒等によりpHを10.5~11.5に調整する。
【0026】
(4)発光性化合物
本発明に用いる発光性化合物は、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と反応して発光するものであればよく、一般に発光反応に用いられている発光性化合物を用いることができる。発光性化合物の好ましい具体例としては、ルミノール類[ルミノール、イソルミノール、N-エチルイソルミノール、N-(4-アミノブチル)-N-エチルイソルミノールヘミサクシミド、N-(6-アミノヘキシル)-N-エチルイソルミノール等]、ルシゲニン類[ルシゲニン(N,N’-ジメチル-9,9’-ビスアクリジニウムジナイトレート)またはその誘導体]、アクリジニウム化合物(アクリジニウム、アクリジニウムエステル、ベンズアクリジニウム等)、ルシフェリン類[CLA(2-メチル-6-フェニル-3,7-ジヒドロイミダゾ-[1,2-a]ピラジン-3-オン)、MCLA(2-メチル-6-(p-メトキシフェニル)-3,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン塩酸塩)、FCLA(3,7-ジヒドロ-6-[4-[2-[N’-(5-フルオレセイニル)チオウレイド]エトキシ]フェニル]-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン)等]、シュウ酸エステル[ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサラート、ビス(2,4-ジニトロフェニル)
オキサラート、ビス(ペンタフルオロフェニル) オキサラート、シュウ酸ビス[3,4,6-トリクロロ-2-(ペンチルオキシカルボニル)フェニル]等]、ルテニウム錯体[トリス(2,2’-ビピリジン)ルテニウム(III)錯体等]等が挙げられる。中でもペルオキシナイトライトを高感度に検出する観点からルミノール類、特にルミノールが好ましい。
【0027】
本発明の検出方法によれば、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物が酸化剤の非存在下で直接反応して発光するが、検出感度の増大、発光持続性効果等を目的として増感剤の存在下で反応させてもよい。増感剤としては、p-ヨードフェノール、p-ブロムフェノール、フェノールインドール、4-[4′-(2′-メチル)チアゾリル]フェノール、4-(4′-チアゾリル)フェノール、4-[4′-(2′-(3′-ピリジル))チアゾール]フェノール、4-(2′-チエニル)フェノール、4-[2′-(4′-メチル)チアゾリル]フェノール、フェノチアジン-N-プロピルスルフォネート、フェノールインドフェノール等のフェノール誘導体、6-ハイドロキシベンゾチアゾール、4-(4-ハイドロキシフェニル)チアゾール等のチアゾール誘導体、3-(10-フェノチアジル)-プロピルスルホン酸塩、p-ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ジエチルアニリン等が挙げられる。
【0028】
発光性化合物は、好ましくは溶媒中、より好ましくは水性溶媒中において調製する。特に、発光性化合物を緩衝液中において調製することにより発光反応時のpHを望ましい範囲に調整することができる。例えば、発光性化合物としてルミノールを用いる場合、発光反応時の溶液のpHは、発光量の観点から9.5~11が好ましく、10~10.5がより好ましい。発光量は緩衝液の種類によっても影響を受ける。発光性化合物としてルミノールを用いる場合、炭酸緩衝液中においてルミノールの発光量が最も大きくなる。したがって、ルミノール調製溶媒としては炭酸緩衝液を用いるのが好ましい。炭酸緩衝液の濃度は、好ましくは0.05~1M、より好ましくは0.1~0.5Mである。
【0029】
発光反応溶液中の発光性化合物の濃度は、特に限定されないが通常0.1~10mMであり、好ましくは0.1~1mM、より好ましくは0.1~0.5mMである。発光性化合物の濃度が低いと検出感度が低下し、また、発光性化合物の濃度が高すぎても過剰部分は反応に関与せず、コストの上昇を招く。
【0030】
(5)発光量の検出
紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物との反応によって生じた発光は、発光検出器により発光量を検出する。発光量を検出することにより、試料中に存在する窒素酸化物含有化合物を検出することができる。本発明の検出方法は、窒素酸化物含有化合物を単に定性的に検出するだけでなく、定量的に測定することも可能である。発光反応による発光量は窒素酸化物含有化合物の種類によって異なるため、特定の窒素酸化物含有化合物を定量するには、例えば、対象とする窒素酸化物含有化合物の検量線と、試料中の窒素酸化物含有化合物の発光量とから試料中の濃度を測定する。具体的には、まず、濃度既知の窒素酸化物含有化合物の標準品を用い、窒素酸化物含有化合物の濃度と発光量との関係を検量線によって求め、次に、濃度未知の試料の発光量を測定し、試料中の窒素酸化物含有化合物の濃度を予め作成した検量線から読み取ることにより測定する。
【0031】
試料の窒素酸化物含有化合物が混合物の場合は、上述のように予め分離手段により試料中の窒素酸化物含有化合物を分離し、分離した各窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を反応させ、各窒素酸化物含有化合物により生成した発光量を測定する。そして、対応する窒素酸化物含有化合物の検量線から試料中のそれぞれの窒素酸化物含有化合物の濃度を読み取る。
【0032】
(6)検出感度
本発明の検出方法は、抽出、濃縮等の複雑で煩雑な操作を必要とせず、試料(水道水等)をそのまま分析に供することができ、しかも高感度で測定することができる。従来の検出方法は、試料中のニトロソアミン類をジクロロメタンで抽出、濃縮した後、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)を用いて試料中のニトロソアミン類の濃度を測定する(非特許文献:要調査項目等調査マニュアル、平成12年12月、環境庁水質保全局水質管理課)。この方法による検出下限値は、N-ニトロソジメチルアミンにおいて0.02μg/Lである。これに対し、本発明の検出方法では、N-ニトロソジメチルアミンにおいて9.8ng/L(0.0098μg/L)であり、従来法に比べ、高感度で検出することができる。
【0033】
(7)実施態様
本発明の検出方法の好ましい実施態様について説明する。試料として窒素酸化物含有化合物の混合物を用いる場合、まず、試料を高速液体クロマトグラフ装置等の分離手段を用いてそれぞれの窒素酸化物含有化合物に分離する。分離手段として高速液体クロマトグラフを用いる場合、溶離液は水と有機溶媒の混合溶媒であるのが好ましく、例えば、メタノール等のアルコール類と水の混合溶媒を用いる。次いで、分離した各窒素酸化物含有化合物に好ましくは波長170~400nmの紫外線を10~60秒間照射する。その際、紫外線照射時の溶液のpHを10.5~11.5に調整する。
【0034】
次に、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物とを反応させる。その際、反応溶液を発光反応に適した条件に調整するのが好ましい。発光性化合物としてはルミノールが好ましく、特に、0.1~0.5Mの炭酸緩衝液中に調製したルミノールを用い、発光反応時の溶液のpHを9.5~11に調整するのが好ましい。発光性化合物との反応により生成した光は発光検出器を用いて検出する。
【0035】
本発明の検出方法はより好ましくはフローシステムを用いて行う。すなわち、試料を溶媒(水、有機溶媒またはそれらの混合液であり、例えば、分離カラムの溶離液であってもよい。)とともに流路中に導入し、試料の分離、紫外線照射および発光性化合物との反応を1つの流路内で行い、反応により生成した発光を検出し、検出を終えた反応溶液を検出系外へ廃棄する。発光性化合物は紫外線照射後に上記流路内に導入し、発光反応に最適な条件で紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と反応させる。例えば、発光性化合物としてルミノールを用いる場合、好ましくはルミノールを緩衝液(例えば、0.1~0.5Mの炭酸緩衝溶液)中に調製し、上記流路内に導入し、発光反応溶液のpHを好ましくは9.5~11とする。紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物との混合は、流体の流れ(乱流)を利用してもよいし、流路をコイル状にして混合を促進してもよい。
【0036】
もちろん、本発明の検出方法は上記のフローシステムによる方法に限られない。例えば、試料の入った複数の試験管をサンプラー上にセットし、試験管内の試料を順次サンプリングし、サンプリングした試料を複数の反応キュベット内にそれぞれ注入し、さらに各キュベットに緩衝液を注入して溶液を所定のpHに調整した後、紫外線を照射し、次いで発光性化合物溶液を各キュベット内に注入し、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物との反応により生成した光を発光検出器により検出してもよい。
【0037】
[II]検出装置
本発明の窒素酸化物含有化合物の検出装置は、本発明の検出方法を実施するのに適する。本発明の検出装置は、試料中の窒素酸化物含有化合物を分離する試料分離部と、窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射する紫外線照射部と、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を反応させ、反応により生成した発光を検出する発光検出部と、前記試料分離部と紫外線照射部の間にpH調整溶媒を導入するpH調整溶媒導入部とを有する。紫外線照射部に備えられた光源は紫外線を照射できるものであればよく、一般に使用される低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、水銀キセノンランプ等の紫外線ランプを用いることができる。紫外線照射部の試料に紫外線を照射する部分は、紫外線を透過する材質により構成され、例えば石英ガラス、プラスチック(フッ素樹脂、アクリル樹脂等)等により構成される。また、発光検出部は紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物とを反応させ、生成した光を検出する。発光反応はフローシステムの流路内で行ってもよいし、キュベット等の容器内で行ってもよい。発光検出部は一般のルミノメーター等を用いることができる。
【0038】
検出反応をフローシステムで行う場合は、好ましくは紫外線照射部と発光検出部との間または発光検出部に発光性化合物の導入部を有する。導入部から発光性化合物を注入し、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と混合して反応させる。
【0039】
試料分離部としては、例えばキャピラリー電気泳動装置、カラムクロマトグラフ装置(高速液体クロマトグラフ装置(HPLC)等)、アフィニティークロマトグラフ装置、薄層クロマトグラフ装置等が挙げられる。これらの分離装置を2種以上組み合わせて用いてもよい。試料分離部は好ましくは高速液体クロマトグラフ装置である。
【0040】
以下、本発明に使用する検出装置を図1および図2を参照しながら説明する。図1に示す検出装置は、フローシステムによる窒素酸化物含有化合物の検出装置であり、インジェクター1、試料分離部2、紫外線照射部3、発光検出部4、ポンプ10およびこれらの装置を互いに繋ぐ流路21、ポンプ11およびポンプ11と発光性化合物導入部5を繋ぐ流路22、ならびにデータ処理装置12を有する。流路21には溶離液を導入し、ポンプ10によりインジェクター1、試料分離部2、紫外線照射部3および発光検出部4に送給し、発光検出部4から廃棄する。また、流路22には発光性化合物溶液(ルミノール溶液等)を導入し、ポンプ11により発光性化合物導入部5を介して流路21に注入する。
【0041】
この装置を用いて窒素酸化物含有化合物を含有する試料を測定する場合、まず、インジェクター1から試料を注入する。試料は溶離液とともに試料分離部(例えばHPLC)2を通り、試料分離部2により各窒素酸化物含有化合物に分離する。分離した各窒素酸化物含有化合物を流路21を通して紫外線照射部3に送給する。紫外線照射部3において窒素酸化物含有化合物に紫外線を照射し、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物を流路21を通して発光検出部4に送給する。発光検出部4において、発光性化合物を発光性化合物導入部5を介して流路21に導入し、溶離液中の窒素酸化物含有化合物と発光性化合物を混合する。このとき、発光反応に最適なpH域になるように溶離液と発光性化合物溶液(例えば、発光性化合物を含有する炭酸緩衝液)によりpHを調整する。発光検出部4では、紫外線照射した窒素酸化物含有化合物と発光性化合物との発光反応により生じた発光を検出し、光電子増倍管4aにより増幅し、増幅した信号をデータ処理装置12に送る。データ処理装置12では、例えば、各窒素酸化物含有化合物の検量線に基づき、発光信号を各窒素酸化物含有化合物の濃度に変換する。
【0042】
図2に示す検出装置は、インジェクター1、試料分離部2、紫外線照射部3、発光検出部4、ポンプ10およびこれらの装置を互いに繋ぐ流路21、ポンプ11およびポンプ11と発光性化合物導入部5を繋ぐ流路22、ポンプ12およびポンプ12とpH調整溶媒導入部6を繋ぐ流路23、ならびにデータ処理装置12を有する。流路21には溶離液を導入し、ポンプ10によりインジェクター1、試料分離部2、紫外線照射部3および発光検出部4に送給し、発光検出部4から廃棄する。また、流路22には発光性化合物溶液(ルミノール溶液等)を導入し、ポンプ11により発光性化合物導入部5を介して発光検出部4の内部にある流路21に注入する。さらに、流路23にはpH調整溶媒を導入し、ポンプ12により試料分離部2と紫外線照射部3の間に設けたpH調整溶媒導入部6を介して流路21に注入する。pH調整溶媒は好ましくは緩衝液であり、pH調整溶媒を試料分離部2と紫外線照射部3の間で注入することにより、流路21中で溶離液と混合し、紫外線照射部3における液性を反応に適したpH(pH10.5~11.5)に調整することができる。また、試料分離部2においては、溶離液を試料分離に適したpHに調整できるとともに、アルカリ耐性カラムの使用等の特別な配慮を必要としないという利点を有する。図2に示す検出装置は、pH調整溶媒をpH調整溶媒導入部6を介して流路21に注入する以外は図1に示す検出装置と同様である。
【0043】
図1および図2に示す例では、発光性化合物導入部5を発光検出部4の内部の流路21に設けているが、発光性化合物導入部5を発光検出部4の外部に設置し、発光性化合物を試料が発光検出部4に入る直前で導入部5を介して流路21に注入してもよい。なお、この検出装置は試料分離部2を有するが、試料中に1種類のみの窒素酸化物含有化合物を有する場合等、試料の分離を必要としない場合は、試料分離部2を取り外してもよい。また、単に発光を検出する場合のようにデータ処理を必要としない場合は、データ処理装置12を省略してもよい。本発明の検出装置は、フローシステムを採用することにより、多数の試料を連続的に測定することが可能となる。
【0044】
本発明の検出装置を用いて窒素酸化物含有化合物を検出するときの、検出条件(紫外線の波長、照射時間、紫外線照射時の溶液のpH、発光性化合物の種類、発光反応時の溶液のpH等)は上述の本発明の検出方法おける条件と同様である。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1
紫外線照射時間と発光量との関係
窒素酸化物含有化合物試料として、N-ニトロソジエタノールアミン、N-ニトロソピロリジン、N-ニトロソモルホリンおよびN-ニトロソジメチルアミンをそれぞれ50nM含有する水溶液を調製し、図1に示す検出装置(試料分離部を取り外したもの)を用い、下記の測定条件により、紫外線照射時間を変動させてニトロソアミン類の発光量を測定した。結果を図3に示す[各ニトロソアミン類の発光量(mV)はバックグラウンドのmVを差し引いた値を示す(以下同様)]。図3から明らかなように、いずれのニトロソアミン類においても約15~30秒の紫外線照射時間で発光量が最大となった。
(測定条件)
溶離液:10mMホウ酸緩衝液(pH10.5):メタノール=98:2
溶離液の流量:1.0ml/分
ルミノール溶液:0.1mMのルミノール溶液となるように、ルミノールを0.5M炭酸緩衝液(pH10.0)に溶解した。
ルミノール溶液の流量:0.25ml/分
試料注入量:100μL
紫外線照射時間:0~45秒
紫外線照射時間は市販の低圧水銀灯(殺菌灯、主波長254nm)にテフロン(登録商標)チューブを巻き付け、巻き付ける長さを調節することにより照射時間を調整した。
【0047】
実施例2
紫外線照射時の試料溶液のpHと発光量との関係
溶離液として10mMホウ酸緩衝液、10mMリン酸緩衝液または10mM炭酸緩衝液を用い、各緩衝液のpHを調整することにより紫外線照射時の試料溶液のpHを変動させた以外、実施例1と同様にしてニトロソアミン類の発光量を測定した。結果を図4に示す。図4から明らかなように、紫外線照射時の溶液のpHが約10.5~11.5のときに発光量が最大となった。
【0048】
実施例3
発光反応時の反応溶液のpHと発光量との関係
溶離液として10mMホウ酸緩衝液(pH10.5)を用い、ルミノール溶液の緩衝液として0.5M炭酸緩衝液を用い、炭酸緩衝液のpHを調整することにより発光反応時の試料溶液のpHを変動させた以外、実施例1と同様にしてニトロソアミン類の発光量を測定した。結果を図5に示す。図5から明らかなように、発光反応時の反応溶液のpHが10~10.5のときに発光量が最大となった。
【0049】
実施例4
ルミノール溶液の緩衝液の種類と発光量との関係
ルミノール溶液の緩衝液として、(a)0.1M炭酸緩衝液、(b)0.5M炭酸緩衝液、(c)0.1Mホウ酸緩衝液、(d)0.5Mホウ酸緩衝液、(e)0.1Mリン酸緩衝液、(f)0.5Mリン酸緩衝液(いずれもpH10に調整した)を用いた以外、実施例1と同様にしてニトロソアミン類の発光量を測定した。結果を図6に示す。図6から明らかなように、ルミノール溶液の緩衝液として炭酸緩衝液を用いたとき、他の緩衝液を用いたときに比べ、バックグラウンドの発光量が低く、ニトロソアミン類の発光量が高くなった。特に、炭酸緩衝液の濃度を0.5Mとしたときにニトロソアミン類の発光量が最も高くなった。
【0050】
実施例5
窒素酸化物含有化合物の種類と発光量との関係
窒素酸化物含有化合物試料として、N-ニトロソジエチルアミン(0.1μM)、N-ニトロソジ-n-プロピルアミン(0.1μM)、N-ニトロソジフェニルアミン(0.1μM)、およびN-ニトロソフェンフルラミン(N-nitrosofenfluramine)(0.1μM)、S-ニトロソグルタチオン(0.1μM)、1-ニトロプロパン(1μM)、コニフェロン(coniferron)(10μM)、ニトロベンゼン(10μM)、硝酸ナトリウム(10μM)、および亜硝酸ナトリウム(10μM)を用い、紫外線照射時間を15秒とし、溶離液を10mMホウ酸緩衝液(pH10.5):メタノール=90:10とした以外、実施例1と同様にして試料の発光量を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
JP0004984292B2_000003t.gif

【0052】
表1から明らかなように、紫外線照射により活性酸素種を生成する化合物であればニトロソアミン類に限らず本発明の方法により検出できることが分る。特にニトロソアミン類は検出感度が高く、本発明の方法に適している。
【0053】
実施例6
検出限界および検量範囲
図1に示す検出装置の試料分離装置として、アルカリ耐性のある逆相カラム(Gemini
C18(5μm)250×4.6mm、phenomenex社製)を用い、試料としてN-ニトロソジエタノールアミン、N-ニトロソジメチルアミンおよびN-ニトロソピロリジンを含有する水試料を用いた以外、実施例1と同様にしてニトロソアミン類の発光量を測定した。また、各ニトロソアミン類の検量範囲を既知濃度の試料を用いて測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、上記のニトロソアミン類の検出限界は9.8~20ng/Lであり、検量範囲は0.20~50×10-9Mであった。
【0054】
【表2】
JP0004984292B2_000004t.gif

【0055】
実施例7
実試料測定
試料として水道水を用いた以外、実施例6と同様にして試料中の窒素酸化物含有化合物の発光量を測定した。結果を図7(a)、(b)および(c)に示す。保持時間3分付近に硝酸イオンの強いピークが観察された以外、ニトロソアミン類以外のピークは観察されず、本発明の方法が感度だけでなく、高い特異性を有していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態による窒素酸化物含有化合物の検出装置を示す概略図である。
【図2】本発明の別の実施形態による窒素酸化物含有化合物の検出装置を示す概略図である。
【図3】紫外線照射時間と発光量との関係を示すグラフである。
【図4】紫外線照射時の溶液のpHと発光量との関係を示すグラフである。
【図5】発光反応時の溶液のpHと発光量との関係を示すグラフである。
【図6】ルミノール溶液の緩衝液の種類と発光量との関係を示すグラフである。
【図7】試料中のニトロソアミン類の検出ピークを示すクロマトグラムであり、(a)は標準ニトロソアミン混合液によるクロマトグラムであり、(b)は水道水によるクロマトグラムであり、(c)は水道水に標準ニトロソアミン混合液を添加した試料によるクロマトグラムである。
【符号の説明】
【0057】
1・・・インジェクター
2・・・試料分離部
3・・・紫外線照射部
4・・・発光検出部
5・・・発光性化合物導入部
6・・・pH調整溶媒導入部
10,11,12・・・ポンプ
12・・・データ処理装置
21,22,23・・・流路
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6