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明細書 :生体用デバイス、生体用デバイスの接触部構造および生体センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5162757号 (P5162757)
登録日 平成24年12月28日(2012.12.28)
発行日 平成25年3月13日(2013.3.13)
発明の名称または考案の名称 生体用デバイス、生体用デバイスの接触部構造および生体センサ
国際特許分類 A61B   5/1468      (2006.01)
G01N  27/416       (2006.01)
G01N  27/30        (2006.01)
G01N  27/327       (2006.01)
A61B   5/157       (2006.01)
A61B   5/1486      (2006.01)
FI A61B 5/14 330
G01N 27/46 338
G01N 27/30 A
G01N 27/30 353F
A61B 5/14 300L
A61B 5/14 340
請求項の数または発明の数 22
全頁数 35
出願番号 特願2007-557887 (P2007-557887)
出願日 平成19年2月8日(2007.2.8)
権利譲渡・実施許諾 特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
国際出願番号 PCT/JP2007/052214
国際公開番号 WO2007/091633
国際公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
優先権出願番号 2006032275
2006041358
優先日 平成18年2月9日(2006.2.9)
平成18年2月17日(2006.2.17)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成21年12月28日(2009.12.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
発明者または考案者 【氏名】安澤 幹人
【氏名】古川 晋也
個別代理人の代理人 【識別番号】100089222、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 康伸
【識別番号】100134979、【弁理士】、【氏名又は名称】中井 博
審査官 【審査官】柏木 一浩
参考文献・文献 特開2003-038464(JP,A)
特開2000-254112(JP,A)
特開平11-352092(JP,A)
特開昭58-086449(JP,A)
特開平07-213926(JP,A)
特開平07-039931(JP,A)
調査した分野 A61B 5/1468
A61B 5/1486
A61B 5/157
G01N 27/30
G01N 27/327
G01N 27/416
特許請求の範囲 【請求項1】
棒状に形成され、その中心に軸方向に沿って延びた軸材を有し、該軸材の側面にその軸方向と交差する方向に沿って導電層と絶縁層が積層された棒状デバイスであって、
該棒状デバイスには、その先端において外部と連通し、その先端から軸方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、
該空洞部は、
その内側面において電気化学反応を行う検出用電極部が形成されている
ことを特徴とする生体用デバイス。
【請求項2】
前記検出用電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の生体用デバイス。
【請求項3】
前記検出用電極部は、前記導電層の一部によって形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の生体用デバイス。
【請求項4】
前記空洞部は、その内底部に前記軸材の先端が配置されるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の生体用デバイス。
【請求項5】
先端部を生体内に配置して使用するものであり、
その軸径が、500μm以下であり、
先端に向かって軸径が細くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の生体用デバイス。
【請求項6】
前記空洞部内に、熱や光や電気を加えると体積または親和性が変化する部材が収容されている
ことを特徴とする請求項1記載の生体用デバイス。
【請求項7】
生体に措置されるデバイスにおいて、該デバイスのベースに基端が連結された生体に接触する接触部の構造であって、
該接触部は、
その中心に基端から先端に沿って延びた軸材と、該軸材の側面にその軸方向と交差する方向に沿って積層された導電層と絶縁層とを備えており、
該接触部には、
その先端において外部と連通し、その先端から基端に向かう方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、
該空洞部は、
その内側面において電気化学反応を行う検出用電極部が形成されている
ことを特徴とする生体用デバイスの接触部構造。
【請求項8】
前記検出用電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されている
ことを特徴とする請求項7記載の生体用デバイスの接触部構造。
【請求項9】
前記検出用電極部は、前記導電層の一部によって形成されている
ことを特徴とする請求項8記載の生体用デバイスの接触部構造。
【請求項10】
前記空洞部は、その内底部に前記軸材の先端が配置されるように形成されている
ことを特徴とする請求項7記載の生体用デバイス。
【請求項11】
前記接触部の先端部を生体内に配置して使用するものであり、
前記接触部の先端部の軸径が、500μm以下であり、
先端に向かって軸径が細くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項7記載の生体用デバイス。
【請求項12】
前記空洞部内に、熱や光や電気を加えると体積または親和性が変化する部材が収容されている
ことを特徴とする請求項7記載の生体用デバイスの接触部構造。
【請求項13】
棒状に形成された棒状デバイスであって、
該棒状デバイスには、その先端において外部と連通し、その先端から軸方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、
該空洞部には、その内側面において電気化学反応を行う検出用電極部が形成されており、
該空洞部内に、該空洞部の先端開口領域が検知領域となるように、検知物質が配置されている
ことを特徴とする生体センサ。
【請求項14】
前記空洞部内には、前記生体用デバイスの軸方向に沿って、前記検知物質の存在しない中空な導入空間が形成されている
ことを特徴とする請求項13記載の生体センサ。
【請求項15】
前記棒状デバイスには、その軸方向と交差する方向に沿って導電層と絶縁層とが交互に形成されており、
前記検出用電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されている
ことを特徴とする請求項13記載の生体センサ。
【請求項16】
前記検出用電極部は、前記導電層の一部によって形成されている
ことを特徴とする請求項15記載の生体センサ。
【請求項17】
先端部を生体内に配置して使用するものであり、
その軸径が、500μm以下であり、
先端に向かって軸径が細くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項13記載の生体センサ。
【請求項18】
ベースと、該ベースに基端が連結された生体に接触する接触部を有しており、
該接触部には、その先端において外部と連通し、その先端から基端に向かう方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、
該空洞部の内側面には、電極部が形成されており、
該接触部の空洞部内に、該空洞部の先端開口領域が検知領域となるように、検知物質が配置されている
ことを特徴とする生体センサ。
【請求項19】
前記接触部の空洞部における先端から基端に向かう方向に沿って、前記検知物質の存在しない中空な導入空間が形成されている
ことを特徴とする請求項18記載の生体センサ。
【請求項20】
前記電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されている
ことを特徴とする請求項18記載の生体センサ。
【請求項21】
前記電極部は、前記導電層の一部によって形成されている
ことを特徴とする請求項20記載の生体センサ。
【請求項22】
前記接触部の先端部を生体内に配置して使用するものであり、
前記接触部の先端部の軸径が、500μm以下であり、
先端に向かって軸径が細くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項18記載の生体センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体用デバイス、生体用デバイスの接触部構造および生体センサに関する。
生体内の糖やアミノ酸等の濃度の測定には、電極の表面に所定の酵素を付着させた酵素センサが使用されている。このような酵素センサは、電極に付着された酵素が糖やアミノ酸等を特異的に酸化還元して分子やイオンを発生させる特性を利用したものであり、発生した分子やイオンの量を電極に流れる電流値として検出することによって糖やアミノ酸等の濃度を測定することができる。また、電極の表面に付着させる酵素を変化させれば、測定することができる物質も変えることができる。
本発明は、かかる生体内に存在する物質の濃度等の測定に使用される生体センサおよびこの生体センサに使用可能である生体用デバイスおよび生体用デバイスの接触部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されている酵素センサの一例として、体内のグルコース濃度を測定するグルコースセンサ(特許文献1、非特許文献1)が開発されている。
しかし、これらの器具は、電極が表面に露出しており、その電極上に酵素等を付着させているため、器具を生体に挿入したり措置したりするときに酵素等が外れたり、センシングを行う部位が損傷したりする可能性は否定できない。
【0003】
電極が外部に露出していない器具として、先端に窪みを設けたプローブが開発されている(特許文献2)。このプローブは、生体から採取した血液や体液の検査を行うものであり、窪みの中に電極および検査対象の検出に使用される試薬を配置する構成を有している。そして、特許文献2には、プローブの窪みの中に体液を収容した状態で検査を行うことにより、窪みの容積によって検査する血液の量を一定に保つことができるという効果を奏する旨が記載されている。
【0004】
近年、生体に突き刺したり生体内に措置したりして使用する生体センサが求められており、かかる生体センサでは長期間精度よく測定を行えることが必要となる。生体センサにおいて、その感度を向上させるためには電極(とくに作用極)の面積を大きくすることが必要であり、また、長期間使用するためには酵素を多く保持できることが必要である。
【0005】
ここで、特許文献2のプローブはプローブ中心に設けられた作用極リードの先端を作用極として使用するので、電極面積を大きくするためには作用極リードを太くする必要がある。しかし、作用極リードが太くなるとプローブ自体も太くなるので、生体に突き刺したり生体内に措置したりして使用するときには、生体に与える損傷が大きくなる。
しかも、特許文献2のプローブでは、その空洞部は半球状に形成されているため、酵素を多く保持するためにはその空洞部の半径を大きくする必要があり、この場合も、プローブ自体を太くせざるを得ない。
したがって、特許文献2のプローブは、生体から採取されたり分離されたりした対象物中に存在する検査対象を生体外において検出するために使用することはできても、生体内に存在する検査対象を生体から採取分離することなく生体内で直接検出・測定するデバイスには適していない。
【0006】
また、生体内に挿入して使用する内視鏡やカテーテルを利用した治療等に生体センサを組み合わせることができれば非常に有益であるが、内視鏡やカテーテルに効果的に組み合わせることができる生体センサは開発されておらず、その開発が求められている。
【0007】

【特許文献1】特開平5-60722号公報
【特許文献2】特開平11-347019号公報
【非特許文献1】W. Kenneth Ward, Lawrence B. Jansen, EllenAnderson, Gerard Reach,Jean-Claude Klein, George S. Wilson, “A newamperometric glucose microsensor: in vitro and short-term in vivo evaluation”, Biosensors& Bioelectronics 17, 2002, p.181-189
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる事情に鑑み、生体内に挿入したりや措置したりして生体内において直接検査対象を検出・測定することが可能であり、しかも、センシング領域を微細な領域に保ちつつセンシングを行う部位の損傷を防ぐことができる生体センサおよびこの生体センサに使用可能である生体用デバイスおよび生体用デバイスの接触部構造を提供することを目的とする。
また、複数の物質の同時検査が可能でありかつ製造が容易であり、しかも、カテーテル、光センサ、光源、熱源、刺激電極、内視鏡等、管状または線状の医療機器等への適用が可能となる生体センサおよび生体センサに適用できる生体用デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の生体用デバイスは、棒状に形成され、その中心に軸方向に沿って延びた軸材を有し、該軸材の側面にその軸方向と交差する方向に沿って導電層と絶縁層が積層された棒状デバイスであって、該棒状デバイスには、その先端において外部と連通し、その先端から軸方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、該空洞部は、その内側面において電気化学反応を行う検出用電極部が形成されていることを特徴とする。
第2発明の生体用デバイスは、第1発明において、前記検出用電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されていることを特徴とする。
第3発明の生体用デバイスは、第2発明において、前記検出用電極部は、前記導電層の一部によって形成されていることを特徴とする。
第4発明の生体用デバイスは、第1発明において、前記空洞部は、その内底部に前記軸材の先端が配置されるように形成されていることを特徴とする。
第5発明の生体用デバイスは、第1発明において、先端部を生体内に配置して使用するものであり、その軸径が、500μm以下であり、先端に向かって軸径が細くなるように形成されていることを特徴とする。
第6発明の生体用デバイスは、第1発明において、前記空洞部内に、熱や光や電気を加えると体積または親和性が変化する部材が収容されていることを特徴とする。
第7発明の生体用デバイスの接触部構造は、生体に措置されるデバイスにおいて、該デバイスのベースに基端が連結された生体に接触する接触部の構造であって、該接触部は、その中心に基端から先端に沿って延びた軸材と、該軸材の側面にその軸方向と交差する方向に沿って積層された導電層と絶縁層とを備えており、該接触部には、その先端において外部と連通し、その先端から基端に向かう方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、該空洞部は、その内側面において電気化学反応を行う検出用電極部が形成されていることを特徴とする。
第8発明の生体用デバイスの接触部構造は、第7発明において、前記検出用電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されていることを特徴とする。
第9発明の生体用デバイスの接触部構造は、第8発明において、前記検出用電極部は、前記導電層の一部によって形成されていることを特徴とする。
第10発明の生体用デバイスの接触部構造は、第7発明において、前記空洞部は、その内底部に前記軸材の先端が配置されるように形成されていることを特徴とする。
第11発明の生体用デバイスの接触部構造は、第7発明において、前記接触部の先端部を生体内に配置して使用するものであり、前記接触部の先端部の軸径が、500μm以下であり、先端に向かって軸径が細くなるように形成されていることを特徴とする。
第12発明の生体用デバイスの接触部構造は、第7発明において、前記空洞部内に、熱や光や電気を加えると体積または親和性が変化する部材が収容されていることを特徴とする。
第13発明の生体センサは、棒状に形成された棒状デバイスであって、該棒状デバイスには、その先端において外部と連通し、その先端から軸方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、該空洞部には、その内側面において電気化学反応を行う検出用電極部が形成されており、該空洞部内に、該空洞部の先端開口領域が検知領域となるように、検知物質が配置されていることを特徴とする。
第14発明の生体センサは、第13発明において、前記空洞部内には、前記生体用デバイスの軸方向に沿って、前記検知物質の存在しない中空な導入空間が形成されていることを特徴とする。
第15発明の生体センサは、第13発明において、前記棒状デバイスには、その軸方向と交差する方向に沿って導電層と絶縁層とが交互に形成されており、前記検出用電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されていることを特徴とする。
第16発明の生体センサは、第15発明において、前記検出用電極部は、前記導電層の一部によって形成されていることを特徴とする。
第17発明の生体センサは、第13発明において、先端部を生体内に配置して使用するものであり、その軸径が、500μm以下であり、先端に向かって軸径が細くなるように形成されていることを特徴とする。
第18発明の生体センサは、ベースと、該ベースに基端が連結された生体に接触する接触部を有しており、該接触部には、その先端において外部と連通し、その先端から基端に向かう方向に沿って延びた筒状の空洞部が形成されており、該空洞部の内側面には、電極部が形成されており、該接触部の空洞部内に、該空洞部の先端開口領域が検知領域となるように、検知物質が配置されていることを特徴とする。
第19発明の生体センサは、第18発明において、前記接触部の空洞部における先端から基端に向かう方向に沿って、前記検知物質の存在しない中空な導入空間が形成されていることを特徴とする。
第20発明の生体センサは、第18発明において、前記電極部は、前記空洞部内面に沿って、略筒状の面を有するように形成されていることを特徴とする。
第21発明の生体センサは、第20発明において、前記電極部は、前記導電層の一部によって形成されていることを特徴とする。
第22発明の生体センサは、第18発明において、前記接触部の先端部を生体内に配置して使用するものであり、前記接触部の先端部の軸径が、500μm以下であり、先端に向かって軸径が細くなるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、棒状デバイス近傍に対極を配置し、対極と棒状デバイスの検出用電極部との間に電圧を印加すれば、両者の間に存在する物質に電流を流すことができる。そして、検出用電極部表面に酵素などの検知物質を配設しておけば、対極と棒状デバイスとの間に位置する検査対象の濃度や量に対応した電流値を検出することができる。しかも、棒状デバイスの空洞部内側面に電極を設けているので、棒状デバイスを生体に挿入する場合でも、検出用電極部が損傷したり検知物質が脱落したりすることを防ぐことができる。また、空洞部内に検知物質を充填しておけば、センシングする領域は空洞部の先端開口領域となる。すると、先端開口領域を小さくしておけば、検知物質と検出対象が接触する面積が小さくなるので、微細な領域の検査も可能である。しかも、空洞部から遊離して離散する検知物質の量を少なくすることができるので、センサ寿命を長くすることができる。さらに、棒状デバイスの軸方向における空洞部の長さを長くすれば棒状デバイスおよび空洞部の断面積にかかわらず、空洞部の容積を大きくできるから、空洞部内に収容できる検知物質の量を多くすることができる。すると、空洞部内に検査対象の検出に必要な量の検知物質を長期間存在させておくことができるから、センサ寿命を長くすることができる。棒状デバイスに加わる力を軸材に支持させることができるから、棒状デバイスが折れ曲がったりして破損することをより確実に防ぐことができ、確実に棒状デバイスを生体等の検査対象に挿入することができる。さらに、棒状デバイスの軸方向における検出用電極部の長さを長くすれば、棒状デバイスの断面積や空洞部の断面積を大きくしなくても、検出用電極部の面積を大きくすることができる。すると、電圧を印加できる領域を大きくできるので、多くの電流を流すことが可能となり、生体センサに使用した場合には、センサの感度を向上させることができる。また、電極面積を大きくできることは、検知物質を空洞部内に収容して生体センサとして使用する場合、収容する検知物質のうち電極近傍に位置する検知物質の量を増やすことができるため、センサの応答速度を高く保ちながらセンサの感度を向上することができる。
第2発明によれば、棒状デバイスの軸方向における検出用電極部の長さを長くすれば、棒状デバイスの断面積や空洞部の断面積を大きくしなくても、検出用電極部の面積を大きくすることができる。すると、電圧を印加できる領域を大きくできるので、多くの電流を流すことが可能となり、生体センサに使用した場合には、センサの感度を向上させることができる。また、電極面積を大きくできることは、検知物質を空洞部内に収容して生体センサとして使用する場合、収容する検知物質のうち電極近傍に位置する検知物質の量を増やすことができるため、センサの応答速度を高く保ちながらセンサの感度を向上することができる。
第3発明によれば、導電層をリードとして利用でき、しかも、棒状デバイスの細径化が容易になる。
第4発明によれば、空洞部の内底部に軸材の先端が配置されているから、この軸材を伝熱性の高い素材によって形成すれば空洞部内の物質を加熱することができる。また、軸材を光ファイバ等によって形成すれば空洞部内の物質に光を照射することも可能である。
第5発明によれば、生体に突き刺したり挿入したり、また生体内に埋め込んだままとすることも可能である。しかも、生体に措置したときに、生体が受ける負担を少なくすることができる。例えば、痛みの発生を抑えることができ、傷口を小さくすることもできる。
第6発明によれば、検出用電極部や軸材から熱や光や電気を加えると体積または親和性が変化する部材を収容しておけば、棒状デバイスの先端近傍に空洞部内に収容していた物質を供給したり、棒状デバイスの先端近傍に存在する物質を採取したりすることができる。
第7発明によれば、接触部近傍に対極を配置し、対極と検出用電極部との間に電圧を印加すれば、両者の間に存在する物質に電流を流すことができる。そして、検出用電極部表面に酵素などの検知物質を配設しておけば、対極と接触部との間に位置する検査対象の濃度や量に対応した電流値を検出することができる。しかも、接触部の空洞部内側面に電極を設けているので、接触部を生体に挿入する場合でも、検出用電極部が損傷したり検知物質が脱落したりすることを防ぐことができる。また、空洞部内に検知物質を充填しておけば、センシングする領域は空洞部の先端開口領域となる。すると、先端開口領域を小さくしておけば、検知物質と検出対象が接触する面積が小さくなるので、微細な領域の検査も可能である。しかも、空洞部から遊離して離散する検知物質の量を少なくすることができるので、センサ寿命を長くすることができる。さらに、接触部の軸方向における空洞部の長さを長くすれば接触部および空洞部の断面積にかかわらず、空洞部の容積を大きくできるから、空洞部内に収容できる検知物質の量を多くすることができる。すると、空洞部内に検査対象の検出に必要な量の検知物質を長期間存在させておくことができるから、センサ寿命を長くすることができる。接触部に加わる力を軸材に支持させることができるから、接触部が折れ曲がったりして破損することをより確実に防ぐことができ、確実に接触部を生体等の検査対象に挿入することができる。
第8発明によれば、接触部の軸方向における検出用電極部の長さを長くすれば、接触部の断面積や空洞部の断面積を大きくしなくても、検出用電極部の面積を大きくすることができる。すると、電圧を印加できる領域を大きくできるので、多くの電流を流すことが可能となり、生体センサに使用した場合には、センサの感度を向上させることができる。また、電極面積を大きくできることは、検知物質を空洞部内に収容して生体センサとして使用する場合、収容する検知物質のうち電極近傍に位置する検知物質の量を増やすことができるため、センサの応答速度を高く保ちながらセンサの感度を向上することができる。
第9発明によれば、導電層をリードとして利用でき、しかも、接触部の細径化が容易になる。
第10発明によれば、空洞部の内底部に軸材の先端が配置されているから、この軸材を伝熱性の高い素材によって形成すれば空洞部内の物質を加熱することができる。また、軸材を光ファイバ等によって形成すれば空洞部内の物質に光を照射することも可能である。
第11発明によれば、接触部の先端を生体に突き刺したり挿入したり、また生体内に埋め込んだままとすることも可能である。しかも、生体に措置したときに、生体が受ける負担を少なくすることができる。例えば、痛みの発生を抑えることができ、傷口を小さくすることもできる。
第12発明によれば、検出用電極部や軸材から熱や光や電気を加えると体積または親和性が変化する部材を収容しておけば、接触部の先端近傍に空洞部内に収容していた物質を供給したり、接触部の先端近傍に存在する物質を採取したりすることができる。
第13発明によれば、棒状デバイス近傍に対極を配置し、対極と棒状デバイスの検出用電極部との間に電圧を印加すれば、対極と棒状デバイスとの間に位置する検査対象の濃度や量に対応した電流値を検出することができる。しかも、棒状デバイスの空洞部内側面に電極を設けているので、棒状デバイスを生体に挿入する場合でも、検出用電極部が損傷したり検知物質が脱落したりすることを防ぐことができる。また、棒状デバイスの空洞部内面に検出用電極部を設けかつ空洞部内に検知物質を充填しておけば、センシングする領域は空洞部の先端開口領域となる。すると、先端開口領域を小さくしておけば、検知物質と検出対象が接触する面積が小さくなるので、微細な領域の検査も可能である。しかも、空洞部から遊離して離散する検知物質の量を少なくすることができるので、センサ寿命を長くすることができる。さらに、棒状デバイスの軸方向における空洞部の長さを長くすれば棒状デバイスおよび空洞部の断面積にかかわらず、空洞部の容積を大きくできるから、空洞部内に収容できる検知物質の量を多くすることができる。すると、空洞部内に検査対象の検出に必要な量の検知物質を長期間存在させておくことができるから、センサ寿命を長くすることができる。さらに、棒状デバイスの軸方向における検出用電極部の長さを長くすれば、棒状デバイスの断面積や空洞部の断面積を大きくしなくても、検出用電極部の面積を大きくすることができる。すると、生体センサの感度を向上させることができる。
第14発明によれば、導入空間を形成することによって、先端開口領域だけでなく導入空間内面でも検知物質と検出対象とを反応させることができる。よって、検知物質と検出対象が一度に接触する面積、すなわち一度に反応できる面積を大きくとることができ、検知物質と検出対象を十分に反応させることができるから、検出対象の濃度が薄い場合でも、検出感度を向上させることができる。また、電極表面に付着させる検知物質を、導入空間を形成しつつ、薄い膜状ではなく厚みのある膜状に形成すれば、導入空間の形成により検出対象と検知物質が接する面積を大きくとりながら、検知物質を多く付着させることができる。検知物質の劣化が進んだ場合でも、検知物質と検出対象を十分に反応させることができ、検出感度の大きな低下を抑えることができる。このことは、生体センサにおいてはセンサ寿命の向上につながる。また、導入空間を設けた場合は、導入空間を設けない場合に比べて、導入空間の容積の分だけ検知物質の使用量を節約することができる。また、検知物質を検出用電極部に付着させるときに、検出用電極部に電圧を印加して電気的に検知物質を付着させる方法を用いた場合、検知物質が検出用電極部に沿って付着していくことを利用して導入空間を設けることができる。
第15発明によれば、棒状デバイスの軸方向における検出用電極部の長さを長くすれば、棒状デバイスの断面積や空洞部の断面積を大きくしなくても、検出用電極部の面積を大きくすることができる。すると、電圧を印加できる領域を大きくできるので、多くの電流を流すことが可能となり、生体センサに使用した場合には、センサの感度を向上させることができる。また、電極面積を大きくできることは、検知物質を空洞部内に収容して生体センサとして使用する場合、収容する検知物質のうち電極近傍に位置する検知物質の量を増やすことができるため、センサの応答速度を高く保ちながらセンサの感度を向上することができる。
第16発明によれば、導電層をリードとして利用でき、しかも、棒状デバイスの細径化が容易になる。
第17発明によれば、生体に突き刺したり挿入したり、また生体内に埋め込んだままとすることも可能である。しかも、生体に措置したときに、生体が受ける負担を少なくすることができる。例えば、痛みの発生を抑えることができ、傷口を小さくすることもできる。
第18発明によれば、接触部近傍に対極を配置し、対極と電極部との間に電圧を印加すれば対極と接触部との間に位置する検査対象の濃度や量に対応した電流値を検出することができる。とくに、接触部の空洞部内側面に電極を設ければ、接触部を生体に挿入する場合でも、電極部が損傷したり検知物質が脱落したりすることを防ぐことができる。また、接触部の空洞部内面に電極部を設けかつ空洞部内に検知物質を充填しておけば、センシングする領域は空洞部の先端開口領域となる。すると、先端開口領域を小さくしておけば、検知物質と検出対象が接触する面積が小さくなるので、微細な領域の検査も可能である。しかも、空洞部から遊離して離散する検知物質の量を少なくすることができるので、センサ寿命を長くすることができる。さらに、接触部の軸方向における空洞部の長さを長くすれば接触部および空洞部の断面積にかかわらず、空洞部の容積を大きくできるから、空洞部内に収容できる検知物質の量を多くすることができる。すると、空洞部内に検査対象の検出に必要な量の検知物質を長期間存在させておくことができるから、センサ寿命を長くすることができる。さらに、接触部の軸方向における電極部の長さを長くすれば、接触部の断面積や空洞部の断面積を大きくしなくても、電極部の面積を大きくすることができる。すると、生体センサの感度を向上させることができる。
第19発明によれば、導入空間を形成することによって、先端開口領域だけでなく導入空間内面でも検知物質と検出対象とを反応させることができる。よって、検知物質と検出対象が一度に接触する面積、すなわち一度に反応できる面積を大きくとることができ、検知物質と検出対象を十分に反応させることができるから、検出対象の濃度が薄い場合でも、検出感度を向上させることができる。また、電極表面に付着させる検知物質を、導入空間を形成しつつ、薄い膜状ではなく厚みのある膜状に形成すれば、導入空間の形成により検出対象と検知物質が接する面積を大きくとりながら、検知物質を多く付着させることができるので、検知物質の劣化が進んだ場合でも、検知物質と検出対象を十分に反応させることができ、検出感度の大きな低下を抑えることができる。このことは、生体センサにおいてはセンサ寿命の向上につながる。また、導入空間を設けた場合は、導入空間を設けない場合に比べて、導入空間の容積の分だけ検知物質の使用量を節約することができる。また、検知物質を電極部に付着させるときに、電極部に電圧を印加して電気的に検知物質を付着させる方法を用いた場合、検知物質が電極部に沿って付着していくことを利用して導入空間を設けることができる。
第20発明によれば、接触部の軸方向における電極部の長さを長くすれば、接触部の断面積や空洞部の断面積を大きくしなくても、電極部の面積を大きくすることができる。すると、電圧を印加できる領域を大きくできるので、多くの電流を流すことが可能となり、生体センサに使用した場合には、センサの感度を向上させることができる。また、電極面積を大きくできることは、検知物質を空洞部内に収容して生体センサとして使用する場合、収容する検知物質のうち電極近傍に位置する検知物質の量を増やすことができるため、センサの応答速度を高く保ちながらセンサの感度を向上することができる。
第21発明によれば、導電層をリードとして利用でき、しかも、接触部の細径化が容易になる。
第22発明によれば、接触部の先端を生体に突き刺したり挿入したり、また生体内に埋め込んだままとすることも可能である。しかも、生体に措置したときに、生体が受ける負担を少なくすることができる。例えば、痛みの発生を抑えることができ、傷口を小さくすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の生体用デバイスの一実施形態である棒状デバイス1の概略説明図であって、(A)は棒状デバイス1の概略側面図であり、(B)は棒状デバイス1の先端部の概略拡大断面図であり、(C)は(B)のC-C線断面矢視図である。
なお、本出願の図面では、生体用デバイスや生体センサの構造を理解しやすくするために、各構成要素の大きさや厚さ、長さの相対的な比率は、実際の部材の比率とは必ずしも一致していない。図1に記載されている本発明の棒状デバイス1であれば、その外径が0.3~500μm程度の場合、軸材2の外径が0.1~300μm程度、導電層3の厚さは0.05~100μm程度、絶縁層4の厚さは0.05~100μm程度が好ましいが、軸材2の軸径や導電層3および絶縁層4の厚さは上記のごとき範囲に限定されるものではない。そして、導電層3と絶縁層4は同じ厚さとしても良いが、導電層3を絶縁層4よりも薄くしておけば、棒状デバイス1の外径が太くなるのを抑えつつ、導電層3と他の物質等との間においてショートすることを抑制することができる。
【0012】
本発明の生体用デバイスの一実施形態である棒状デバイス1を説明する。
図1において、符号1は、本発明の生体用デバイスの一実施形態に係わる棒状デバイスを示している。この棒状デバイス1は、軸方向(図1では左右方向)に沿って延びた線状、つまり細長い部材である。
棒状デバイス1は、その中心に軸方向に沿って延びた軸材2を備えているが、この軸材2は必ずしも設けなくてもよい。軸材2を設けずに、棒状デバイス1の軸方向に沿って延びた貫通孔1hを有する形状としてもよい(図4(A)参照)。
なお、図1では、棒状デバイス1の断面形状が円形の場合を示しているが、その断面形状は円形に限られず、半円形でもよいし、正方形や長方形、六角形、八角形等の多角形等でもよい。
【0013】
前記軸材2の側面には、軸材2の軸方向(棒状デバイス1の軸方向)と交差する方向に沿って、交互に形成された導電性の素材からなる層(導電層3)と絶縁性の素材からなる層(絶縁層4)とを備えている。
なお、図1では、導電層3と絶縁層4がそれぞれ一層のみ形成されている場合を示しているが、導電層3および絶縁層4は、交互に形成されていれば、複数設けてもよい(図2(C)、図3(A)参照)。
さらになお、図1では、軸材2の側面には導電層3が形成されているが、軸材2の側面に絶縁層4を形成しその表面に導電層3を形成して、その導電層3の表面に絶縁層4を形成してもよいのは、いうまでもない。
【0014】
図1に示すように、棒状デバイス1の先端部(図1では右端部)には、その端面から内方に窪んだ空洞部3hが形成されている。つまり、空洞部3hは、棒状デバイス1の先端部において外部と連通した状態となるように形成されている。そして、この空洞部3hは、棒状デバイス1の軸方向に沿って延びた筒状に形成されている。この空洞部3hは、棒状デバイス1の外径D1が約0.3~500μm程度であれば、その内径D2が約0.1~300μm程度となるように形成されているが、外径D1に対する内径D2の内径の比率は特に限定されない。また、空洞部3hは、その軸方向における断面積が一定である必要はなく、棒状デバイス1の先端部の断面積に比べてその内部の断面積が大きくなるように形成してもよい(図3(C)参照)。
【0015】
なお、空洞部3hの断面形状は、略筒状に形成されていればよく、その断面形状は円形断面に限られず、半円形でもよいし、正方形や長方形、六角形、八角形等の多角形等でもよい。
さらになお、図1では、棒状デバイス1と空洞部3hの断面形状は相似形となっているが、相似形となっていなくてもよい。例えば、棒状デバイス1の断面形状が円形で空洞部3hの断面形状が半円形や多角形等であったり、逆に、棒状デバイス1の断面形状が半円形や多角形等で空洞部3hの断面形状が円形であったりしてもよい。
【0016】
そして、図1(B)、(C)に示すように、この空洞部3hの内面には、空洞部3hの内面に沿って電極部3aが形成されている。この電極部3aは、導電層3によって形成されており、その略円筒状の内面が空洞部3hの内面を形成している。図1では、空洞部3hの内底面3sよりも棒状デバイス1の先端部側に位置する部分(図1中の長さLの部分)が電極部3aを構成している。
なお、電極部3aの内面は略円筒状に限られず、その内面によって囲まれた空間の断面が半円形や、正方形や長方形、六角形、八角形等の多角形等となるように形成されていてもよい。
【0017】
さらになお、図1では、導電層3の一部によって電極部3aが形成されているが、導電層3とは別の導電性物質によって電極部3aを形成してもよい。
また、軸材2の側面に絶縁層4を形成しその表面に導電層3を形成した構造となっている場合であれば、絶縁層4の一部を除去して空洞部3hに導電層3を露出させて電極部3aを形成してもよい。
さらに、軸材2の側面に絶縁層4を形成しその表面に導電層3を形成した構造となっている場合であれば、絶縁層4の内面に、導電層3とは別に導電性材料によって形成された電極部3aを設けて、この電極部3aを導電層3に電気的に接続させる構成としてもよい。
【0018】
また、図1(A)に示すように、棒状デバイス1の基端、つまり、電極部3aが設けられている端部と逆に位置する端部には、信号検出部6が設けられている。この信号検出部6は、導電性の材料から形成されており、導電層3と電気的に接続されている。このため、信号検出部6に電圧を印加すれば、導電層3を介して、電極部3aに電圧を印加することができる。
【0019】
なお、絶縁層4の一部を除去して導電層3を露出させ、その露出した部分を信号検出部6としてもよく、導電層3と電気的に接続されていればよい。
さらになお、導電層3は信号検出部6と電極部3aを電気的に接続するリード線として機能するのであるが、導電層3を設けずに、例えば、電線等のリード線を棒状デバイス1に設けて両者を電気的に接続させてもよい。しかし、導電層3をリード線として機能させる場合には、棒状デバイス1の細径化が容易になるし、上述したように導電層3の一部を電極部3aとして利用できるという利点がある。
【0020】
(生体センサ)
つぎに、上記の棒状デバイスを利用した生体センサを説明する。
生体センサとして本実施形態の棒状デバイスを使用する場合には、棒状デバイス1の空洞部3hに生体センサによって検査する検査対象、例えばグルコース等の検査対象と反応する検知物質MSが配置される(図1参照)。
検知物質MSとしては、グルコースであればグルコースオキシダーゼを使用するが、検査対象に合わせて適切な物質が採用される。例えば、グルコースオキシダーゼ等の酵素や、抗原、抗体、ポリペプチド、レセプター、アクセプター、核酸、糖、細胞、微生物、透過選択性膜、非特異吸着防止膜、キレート剤、クラウンエーテル、シクロデキストリン等を挙げることができる。
【0021】
なお、検知物質MSは、空洞部3h内に隙間なく充填してもよいが、図2(A)に示すような形状に充填してもよい。具体的には、棒状デバイス1の軸方向、つまり空洞部3hの軸方向に沿って、中空な導入空間MHが形成されるように検知物質MSを空洞部3h内に充填してもよい。検出対象の濃度が薄い場合には、精度のよい測定には十分な量の検知物質MSや十分な広さの検出対象との反応面積が必要となる。かかる場合に、導入空間MHを設けておけば、先端の開口領域だけでなく導入空間MHの内面でも検知物質MSと検出対象とを反応させることができるので、検知物質MSと検出対象を十分かつ迅速に反応させることができる。よって、低濃度の検出対象が存在する場合でも、高感度かつ迅速に測定することができる。
【0022】
とくに、電極部3a表面に付着させる検知物質MSを、導入空間MHを形成しつつ、薄い膜状ではなく厚みのある膜状に形成すれば、導入空間MHの形成により検出対象と検知物質MSが接する面積を大きくとりながら、検知物質MSを多く付着させることができる。すると、検知物質MSの劣化が進んだ場合でも、検知物質MSと検出対象を十分に反応させることができ、検出感度の大きな低下を抑えることができる。このことは、生体センサにおいてはセンサ寿命の向上につながる。
しかも、導入空間MHを設けた場合は、導入空間MHの容積の分だけ導入空間MHを設けない場合に比べて、導入空間MHの容積の分だけ検知物質MSの使用量を節約することができる。
【0023】
この導入空間MHは、どのような方法で形成してもよい。例えば、検知物質MSを電極部3aに付着させるときに、電極部3aに電圧を印加して電気的に検知物質MSを付着させる方法を用いれば、検知物質MSが電極部3aに沿って付着していくことを利用して導入空間MHを設けることができる。
【0024】
生体センサは、検出対象と検知物質MSが反応して生成される物質を、検知物質MSと接する電極において酸化還元し、その際に発生する電流や電圧変化を検出することによって濃度等を測定する。このため、検出対象を含む物質に電圧を印加するために、一対の電極が必要となる。図1のごとき棒状デバイス1であれば、棒状デバイス1とは別に、棒状デバイス1の電極部3aの対極REを設けなければならない(図6(A)参照)。
ここで、棒状デバイス1とは別に対極REを設ける場合、棒状デバイス1の構造を簡単にできるという利点がある。
【0025】
一方、棒状デバイス1に対極REを設ける場合は、測定の際に、棒状デバイス1のみを生体に配置すればよいという利点がある。棒状デバイス1に対極REを設ける方法は種々考えられるが、例えば、棒状デバイス1を以下に示すような構造とすれば棒状デバイス1に対極REを設けることができる。
また、棒状デバイス1に対極REを設けることは、すなわち、棒状デバイス1に両極が固定されていることを意味するので、棒状デバイス1の電極部3aと対極REの距離を常に一定の状態に保つことができるし、両極の相対位置に変化がないことから対象物と両極との位置関係が安定しており、測定条件を安定させることができる利点もある。
さらに、棒状デバイス1に対極REを設けることは、対極REを棒状デバイス1とは別に設ける場合に比べて、対極REの位置を棒状デバイス1の近くにできる利点がある。
さらに、対極REの位置に関らず、棒状デバイス1を生体センサとして使用する場合、対極REにタンパク質などが付着し、対極REと電極3aとの間の電気抵抗が増加し、測定誤差が増加することが考えられる。このとき、対極REが棒状デバイス1に設けられていれば、対極REと電極3aとの距離が近いため、対極REにタンパク質などが付着しても、測定誤差を極力抑えることができる。
【0026】
図3(A)に示すように、絶縁層4の表面、つまり棒状デバイス1の表面に導電層5を設ければ、この導電層5を対極REとして使用することができる。
また、図2(C)に示すように、導電層5の表面に絶縁層からなる絶縁層7を設け、かつ、この導電層5の一部を空洞部3h内に露出させる。すると、導電層5における空洞部3hに露出している部分5aを対極REとして使用することができる。なお、空洞部3h内に導電性の素材からなる電極を設け、この電極が導電層5と電気的に接続されるよう構成としてもよい。
さらに、図4(B)に示すように、軸材2を貫通し、先端部分が空洞部3h内に配置された導電性線材8を設ける。すると、導電性線材8において、軸材2から突出している部分(図4(B)では長さLAの部分)を対極REとして使用することも可能である。この場合、導電性線材8が設けられている空間に、検知物質MSと導電性線材8との間を電気的に短絡するのではではなく、検知物質MSとの間でイオンの交換ができる物質9を充填することが好ましい。この物質9は、液体状、固体状等のポリマー等の電解質であり、例えば、デュポン社のイオン交換樹脂であるナフィオンを用いることができる。
なお、この場合には、軸材2は絶縁性材料であるか、軸材2や導電性線材8と導電層3とが電気的に絶縁されていることが必要であるのは、いうまでもない。また、導電性線材8の形状は、棒状、管状、フィンやスリットの入った棒状等、特に限定されない。
【0027】
また、図5(A)に示すように、棒状デバイス1を、管状デバイス10と組み合わせて使用することも可能である。
この場合、管状デバイスと10として、中空な貫通孔を有する導電性を有する管状部材11の表面に絶縁層12を設け、この絶縁層12の一部を除去して露出した管状部材11の表面に検知物質MSを配置したものを使用する。この管状部材11の貫通孔に棒状デバイス1を挿入し、その先端部を管状部材11の先端から突出させておく。そして、棒状デバイス1の近傍に対極REを配置し、棒状デバイス1の導電層3と対極REとの間、および管状部材11と対極REとの間に電圧を印加すれば、棒状デバイス1先端近傍と管状部材11における検知物質MSが配置された位置近傍において、検出対象の濃度等を測定することができる。
しかも、棒状デバイス1の空洞部に収容する検知物質MSと、管状部材11に設けた検知物質MSとを異なる検知物質とすれば、異なる検出対象を同時に測定することができる。
また、管状部材11に検知物質MSを設けなければ、管状部材11を参照電極として使用でき、管状部材11から検出される電流によって棒状デバイス1から検出される電流を較正することもできる。
なお、図5(B)に示すように、棒状デバイス1が対極RE(図5(B)では導電層5が相当する)をも有している場合には、棒状デバイス1とは別に対極を設けなくてもよくなる。
【0028】
(生体センサの使用方法)
つぎに、上記の棒状デバイス1を利用した生体センサの使用例を説明する。
以下では、検知物質MSがグルコースオキシダーゼである場合を説明するが、他の検知物質MSの場合でもグルコースオキシダーゼと同様に検知物質MSに対応した物質の量や濃度等を検出できるのはいうまでもない。
【0029】
まず、棒状デバイス1の空洞部3hにグルコースオキシダーゼを配置する。
そして、図6に示すように、グルコースオキシダーゼが配置された棒状デバイス1を生体内に挿入する。このとき、棒状デバイス1の軸径を、500μm以下、好ましく300μm以下、さらに好ましくは200μm以下としておけば、生体に突き刺したり挿入したり、また生体内に埋め込んだままとすることも可能である。しかも、生体に措置したときに、生体が受ける負担を少なくすることができる。例えば、痛みの発生を抑えることができ、傷口を小さくすることもできる。
【0030】
なお、棒状デバイス1の先端部の形状を、先端に向かって細くなる形状としたり(図3(C)参照)、その軸方向に対して傾斜した面で切断したような形状、言い換えれば、注射針の先端のような形状(図3(B)参照)に形成しておけば、生体に突き刺したり挿入したりするときに抵抗を少なくすることができ、また、生体に対する負担を少なくすることができる。
【0031】
図6(A)に示すように、棒状デバイス1の信号検出部6をポテンショスタットPSに接続し、棒状デバイス1を、測定対象となる生体の所定の位置に配置する。そして、ポテンショスタットPSに連結された、例えば、銀・塩化銀電極等の対極REを棒状デバイス1の近傍に配置する。
なお、図6(B)に示すように、棒状デバイス1が対極REを有するものである場合には、棒状デバイス1の信号検出部6および対極REをポテンショスタットPSに接続し、棒状デバイス1のみを生体の所定の位置に配置すればよい。
【0032】
そして、棒状デバイス1および対極REが所定の位置に配設されると、棒状デバイス1の導電層3と対極REとの間に電圧を印加する。このとき、棒状デバイス1の導電層3と対極REとの間に印加する電圧は、検知物質MSの種類や測定目的に合わせて最適な電圧値とすればよい。例えば、グルコースオキシターゼによる血液中のグルコース濃度測定の場合において、導電層3および対極REの素材として銀・塩化銀を使用するのであれば、両電極間に印加する電圧は、-0.5~+1.0V程度とすればよい。
【0033】
対極REと棒状デバイス1の導電層3との間に電圧が印加されると、棒状デバイス1の先端近傍にグルコースが存在した場合、そのグルコースとグルコースオキシダーゼが反応してグルコースの量に応じて過酸化水素が発生する。すると、導電層3の空洞部3h内面(図1(B)における幅Lの領域)において、過酸化水素の酸化反応や酸素の還元反応が生じる。過酸化水素の酸化反応が生じれば、過酸化水素の量に応じて棒状デバイス1の信号検出部6と対極REとの間に流れる電流量が変化する。つまり、棒状デバイス1の先端近傍に存在するグルコースの量に応じて、棒状デバイス1の信号検出部6と対極REとの間に流れる電流量が変化する。
【0034】
よって、この電流量の変化を、ポテンショスタットPSが有する電流計等によって検出し、ポテンショスタットPSに連結されたデータ解析手段DAによってその検出されたデータを解析すれば、棒状デバイス1の先端近傍におけるグルコースの存在の有無やその量・濃度を検出することができるのである。
なお、棒状デバイス1の信号検出部6と対極REとの間で検出される物理量は電流に限られず、電位差の変化を検出してもよく、検知物質MSや、その検知物質MSに反応する物質に応じて最適なものを選択すればよい。
【0035】
また、本実施形態の棒状デバイス1では空洞部3h内面に電極部3aが配置されている。このため、生体内に棒状デバイス1を挿入したりするときに、電極部3aが生体と接触することを防ぐことができるから、電極部3aの損傷を防ぐことができる。そして、検知物質MSも空洞部3h内に収容されているので、本体を生体に挿入する場合でも、検知物質MSの脱落を防ぐことができる。
【0036】
さらに、棒状デバイス1を生体に措置したときに、グルコースとグルコースオキシダーゼは空洞部3hの先端開口領域でのみ接触する。つまり、センシングする領域が小さくなるから微細な領域の検査も可能である。
【0037】
しかも、先端開口領域が小さければ、空洞部3hから遊離して離散する検知物質MSの量を少なくすることができるので、センサ寿命を長くすることができる。例えば、空洞部3hにグルコースオキシダーゼが保持されている場合には、グルコースオキシダーゼに含まれている酸素や、グルコースとグルコースオキシダーゼの反応によって生成された過酸化水素が生体中に拡散することを抑制することができる。すると、過酸化水素や酸素を空洞部3h内で高濃度に保っておくことができるから、検出感度や検出精度を高くすることができ、しかも、検出期間を長くすることもできる。
【0038】
さらに、空洞部3hは筒状に形成されており、その内面に設けられている電極部3aも筒状の面を空洞部3h側に有している。このため、棒状デバイス1を細くしたり先端開口領域を小さくしたりしても、電極部3aを棒状デバイス1の軸方向に延ばせば酸化還元反応が生じる面積を大きく保つことができる。つまり、棒状デバイス1の軸方向における電極部3aの長さを長くすれば、空洞部3hの断面積(つまり、棒状デバイス1の径)にかかわらず、電極部3aの面積を大きくすることができる。よって、センシング領域を狭く保ちつつ、その検出感度や検出精度は高く維持することができる。
【0039】
そして、電極部3aの面積を大きくすることができれば、電圧を印加できる領域を大きくできる。すると、対極REと電極部3aとの間に多くの電流を流すことが可能となり、生体センサに使用した場合には、センサの感度を向上させることができる。しかも、電極部3aの面積を大きくできることは、空洞部3h内に収容する検知物質MSのうち電極部3a近傍に位置する検知物質MSの量を増やすことができるため、センサの応答速度を高く保ちながらセンサの感度を向上することができる。
【0040】
さらに、電極部3aの先端は先端開口領域近傍に位置しているから、先端開口領域近傍における反応で生成された過酸化水素が還元されるまでの時間が短くなるので、検出感度が高くなる。しかも、電極部3aが筒状であるから、空洞部3hの内方に位置するグルコースオキシダーゼがグルコースと反応しても、反応箇所と電極部3aとの距離は、先端開口領域近傍で反応した場合とそれほど変わらない。つまり、空洞部3hの内方に位置するグルコースオキシダーゼがグルコースと反応しても、過酸化水素が生成されてから還元されるまでの時間を短くできる。よって、先端開口領域近傍の検知物質MSが劣化した場合や、検査対象の量が多い場合でも、検出感度を高く維持することができる。
【0041】
さらに、棒状デバイス1の軸方向における空洞部3hの長さを長くすれば空洞部3hの断面積(つまり、棒状デバイス1の径)にかかわらず、空洞部3hの容積を大きくできる。すると、棒状デバイス1を細くしても空洞部3h内に収容できる検知物質の量を多くすることができるから、検査対象の検出に十分な量の検知物質を空洞部3h内に長期間存在させておくことができ、センサ寿命を長くすることができる。
なお、軸材2を設けず、空洞部3hが、棒状デバイス1の先端から基端まで貫通した貫通孔となっている場合には、棒状デバイス1の基端から空洞部3h内に検知物質を補充することも可能となるから、センサを長期間連続して使用することができる。
【0042】
また、空洞部3hの内底面3sが軸材2の先端面となるように形成されている場合、軸材2を伝熱性の高い素材によって形成すれば軸材2を介して空洞部3h内の物質を加熱することも可能である。さらに、軸材2を光ファイバ等によって形成すれば、光ファイバ等を通して空洞部3h内の物質に光を照射することも可能である。すると、空洞部3h内の検知物質MSに光学的な刺激を与えることができる。
すると、棒状デバイス1を、生体内における所定の位置に薬剤等を投与するデバイスや、逆に、生体内における所定の位置の細胞や組織などを採取するデバイスとしても使用することができる。
【0043】
例えば、図7(A)に示すように、熱や光によって体積が変化する物質、例えば、熱や光によって膨張したり収縮したりする物質によって円筒状容器50を形成する。この円筒状容器50の中空部分50hに薬剤P等を収容し、その円筒状容器50を空洞部3hに配置する。そして、棒状デバイス1の先端を薬剤Pを投与したい部分に配置して、軸材2から熱や光を円筒状容器50に供給すれば、円筒状容器50を変形させることができ、中空部分50h内の薬剤P等を棒状デバイス1の先端から吐出させることができる(図7(B)参照)。すると、薬剤Pを所望の位置に確実に投与できる。
【0044】
また、図8に示すように、空洞部3hに薬剤P等を収容し、その薬剤Pと軸材2の先端面との間に、熱や光や電気が加わると、温度、ペーハー、分子構造などの変化により体積が増加する物質Mを収容しておく。そして、棒状デバイス1の先端を薬剤Pを投与したい部分に配置して、軸材2から熱や光や電気を空洞部3h内、つまり、物質Mに供給すれば、物質Mの体積を増加させることができ、薬剤P等を棒状デバイス1の先端から吐出させることができる(図8(B))。すると、薬剤Pを所望の位置に確実に投与できる。
また、物質Mのかわりに、熱や光や電気が加わると薬剤Pとの親和性が低下する物質を収容し、その物質に熱や光や電気を加えることで薬剤Pとの親和性を低下させ、薬剤Pを吐出させることもできる。また、熱や光や電気が加わると薬剤Pとの親和性が低下する物質のかわりに、熱や光や電気が加わると薬剤Pとの親和性が向上する物質を収容し、薬剤Pの吐出前に熱や光や電気を加えておき、吐出時に熱や光や電気を加えることをやめることで、その物質と薬剤Pとの親和性を低下させて薬剤Pを吐出することができることは言うまでもない。
【0045】
さらに、図9に示すように、空洞部3hに、この空洞部3h内と外部との間を気密に隔離する栓51を配置しておき、この栓51と軸材2の先端面との間に、熱や光や電気が加わると、温度、ペーハー、分子構造などの変化により体積が増加する物質Mを、熱や光や電気を加えた状態で収容しておく。また、この状態を維持するために、軸材2から熱や光や電気を空洞部3h内、つまり、物質Mに適宜供給しておく。そして、棒状デバイス1の先端を、細胞等を採取したい物質が存在する位置に配置して、軸材2を介して物質Mから熱や光や電気を奪えば、物質Mの体積を減少させることができる。すると、栓51と軸材2の先端面との間の圧力が低下し栓51が軸材2の先端面に向かって移動するので、空洞部3hにおける栓51が移動した空間に棒状デバイス1の先端近傍に位置する細胞等の採取物質を吸引することができる。また、熱や光や電気が加わると体積が増加する物質Mの変わりに、熱や光や電気が加わると、温度、ペーハー、分子構造などの変化により体積が減少する物質を配置し、その物質に熱や光や電気を加えて、栓51と軸材2の先端面との間の圧力を低下させ、栓51を軸材2の先端面に向かって移動させ、空洞部3hにおける栓51が移動した空間に棒状デバイス1の先端近傍に位置する細胞等の採取物質を吸引することができる。
また、物質Mのかわりに、熱や光や電気が加わると採取物質との親和性が向上する物質を収容し、その物質に熱や光や電気を加えることで採取物質との親和性を向上させ、採取物質を吸引することもできる。また、熱や光や電気が加わると採取物質との親和性が向上する物質のかわりに、熱や光や電気が加わると採取物質との親和性が低下する物質を収容し、採取物質の吸引前に熱や光や電気を加えておき、吸引時に熱や光や電気を加えることをやめることで、その物質と採取物質との親和性を向上させて採取物質を吸引することができることは言うまでもない。
【0046】
なお、円筒状容器50や、空洞部3hに収容する物質が、電気的な刺激によって体積が変化するものであれば、電極部3aからの電気的な刺激だけで上記のごとき機能を発揮させることができる。
【0047】
(各部材料の説明)
つぎに、棒状デバイス1の各部を構成する素材について説明する。
【0048】
軸材2は、絶縁性を有する材料、例えば、超弾性樹脂や、PET、ポリフェニレンジアミン、ポリウレタン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン、ガラス(SiO2)、ポリプロピレン、ポリチオフェン、ポリエステル、ポリエチレン、尿素樹脂、ポリシラン、ポリアニリン、金属酸化物、合金等によって形成されているが、とくに限定はない。
とくに、超弾性樹脂を使用すれば、超弾性樹脂はその弾性が非常に高いので、棒状デバイス1を中心軸周りに回転させながら検査対象物に突き刺したりするときに、棒状デバイス1が折れ曲がったりして破損することをより確実に防ぐことができ、確実に棒状デバイス1を生体等の検査対象に挿入することができる。この超弾性樹脂は、例えば、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエチレン+ナイロン、ポリエチレン+ペルプレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリシロキサン、ケイ素樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ペルプレン、ポリエチレン+ポリ塩化ビニル、ポリエチレン+フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリシラン等が好適である。とくに、生体が拒絶反応を起こしにくい、言い換えれば生体適合性を有するフッ素樹脂、ポリシロキサン等が好適である。
【0049】
なお、軸材2には、光ファイバ等の光を透過する部材や、後述する導電層3に使用できる材料によって形成してもよい。とくに、後述する導電層3に使用できる材料である超弾性合金を使用すれば、超弾性合金はその弾性が非常に高い。すると、上記のごとき、超弾性樹脂を使用した場合と同様に、棒状デバイス1を中心軸周りに回転させながら対象物に突き刺すときに、棒状デバイス1が折れ曲がったりして破損することをより確実に防ぐことができ、確実に棒状デバイス1を生体等に挿入することができる。
さらになお、軸材2を導電性の素材で形成しておき、検知物質MSが軸材2の先端と接するように形成しておけば、空洞部3hの内底面3sも電極として機能させることができる。すると、酸化還元反応が生じる面積をさらに大きくすることができ、センサの検出感度や検出精度をより高く維持することができる。
【0050】
導電層3、5は、導電性を有する素材を、蒸着法やスパッタリング法、無電解めっき等の薄膜法等によって軸材2や絶縁層4の外周面上に形成したものである。この導電層3、5を形成する方法はこれらの方法に限られず、どのような方法を用いてもよい。
また、導電層3、5に使用される素材は、例えば、超弾性合金や、Au(金)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、白金-イリジウム(Pt-Ir)合金等の合金、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、炭素(C)、ポリピロ-ル、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン等が挙げられるが、とくに限定はない。
とくに、導電層3、5の素材として、超弾性合金を使用すれば、超弾性合金はその弾性が非常に高いので、軸材2だけでなく導電層3、5も棒状デバイス1に加わる力を支持することができるので、棒状デバイス1を中心軸周りに回転させながら対象物に突き刺すときに、棒状デバイス1が折れ曲がったりして破損することをより確実に防ぐことができ、確実に棒状デバイス1を生体等に挿入することができる。この超弾性合金は、例えば、チタン-ニッケル合金(Ti-Ni)や、インジウム-タリウム合金(In-Tl)、銅-亜鉛合金(Cu-Zn)、銅-亜鉛-X合金(Cu-Zn-X(Si,Sn,Al,Ga))、銅-アルミニウム-ニッケル合金(Cu-Al-Ni)、銅-金-亜鉛合金(Cu-Au-Zn)、銅-スズ合金(Cu-Sn)、ニッケル-アルミニウム合金(Ni-Al)、鉄-白金合金(Fe-Pt)、インジウム-カドミウム合金(In-Cd)、マンガン-銅合金(Mn-Cu)、銀-カドミウム合金(Ag-Cd)、金-カドミウム合金(Au-Cd)、鉄-パラジウム合金(Fe-Pd)、鉄-ニッケル-コバルト-チタン合金(Fe-Ni-Co-Ti)、鉄-ニッケル-炭素合金(Fe-Ni-C)、鉄-マンガン-珪素合金(Fe-Mn-Si)チタン-アルミニウム-スズ-ジルコニウム-モリブデン合金(Ti-Al-Sn-Zr-Mo)、チタン-アルミニウム-バナジウム合金(Ti-Al-V)、チタン-モリブデン-アルミニウム合金(Ti-Mo-Al)、チタン-ニオビウム合金(Ti-Nb)、チタン-ニオビウム-スズ合金(Ti-Nb-Sn)、チタン-バナジウム-鉄-アルミニウム合金(Ti-V-Fe-Al)等が好適である。とくに、生体に有害な銅、ニッケル、カドミウムを含まない合金が好適である。
なお、導電層3、5の素材として白金を使用する場合には、白金の層を形成する前に、下地として他物質の層を形成してからその層の表面に白金からなる導電層3、5を形成すれば、白金の定着性を向上させることができる。
【0051】
絶縁層4、7は、絶縁性を有する素材を、蒸着法やスパッタリング法等の薄膜法等によって導電層3、5の表面上に形成したものであるが、絶縁層4、7を形成する方法はこれらの方法に限られず、どのような方法を用いてもよい。
この絶縁層4、7は、軸材2と同等の絶縁性を有する材料、例えば、超弾性樹脂や、PET、ポリフェニレンジアミン、ポリウレタン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン、ガラス(SiO2)、ポリプロピレン、ポリチオフェン、ポリエステル、ポリエチレン、尿素樹脂、ポリシラン、ポリアニリン、金属酸化物等によって形成されているが、とくに限定はない。
【0052】
(棒状デバイスの製造方法)
つぎに、棒状デバイス1の製造方法の一例を説明する。
【0053】
まず、棒状デバイス1の軸材2の先端面に、中子となるような部材2aを配置する(図10(A))。
ついで、軸材2の外周面および部材2aの外周面に、導電性を有する素材をスパッタリング等によって付着させて導電層3を形成する。このとき、導電性を有する素材が付着する範囲は、部材2aの先端よりも僅かに内方に位置するように形成する(図10(B))。
なお、導電層3を棒状デバイス1の先端に露出させる場合には、導電性を有する素材を部材2aの先端まで付着させればよい。
【0054】
さらに、導電層3の外周面に、絶縁性を有する素材をスパッタリング等によって付着させて絶縁層4を形成する。このとき、絶縁層4によって導電層3の先端が完全に覆われるように形成する(図10(C))。なお、導電層3を棒状デバイス1の先端に露出させる場合には、絶縁層4は導電層3の先端が完全に覆わないように形成する。
最後に、部材2aを除去すれば、部材2aが存在していた部分に空洞部3hが形成され、空洞部3h内面には導電層3によって電極部3aが形成されるのである。
【0055】
また、軸材2の先端に中子となるような部材2aを配置せず、棒状デバイス1を形成してもよい。この場合には、図11(A)に示すように、絶縁層4を形成した後では、軸材2の先端が絶縁層4の先端まで存在する状態となるのであるが、軸材2の軸径が太い場合には機械的な加工により、また、軸材2の軸径が細い場合には化学的な加工により空洞部3hを形成すればよい。化学的な加工を行う場合、軸材2の先端に軸材2を溶解する薬品等を供給すれば、軸材2が溶解され(図11(B))、軸材2が溶解された部分に空洞部3hを形成することができる(図11(C))。化学的な加工の場合、空洞部3hの深さの調整が難しいが、使用する薬品等の量や溶解時間を調整することによって所定の深さにすることができる。
なお、軸材2を溶解する薬品等は、導電層3および絶縁層4を溶解させないものが使用されるのはいうまでもなく、例えば、Ni—Tiの軸材2の表面に、Ptによって導電層3を形成し、シリカによって絶縁層4を形成した場合には、硝酸等の薬剤を使用すれば、軸材2のみを溶解させて空洞部3hを形成することができる。
【0056】
さらになお、棒状デバイス1の軸材2自体を上述したような導電層3に使用できる材料によって形成してもよい。この場合には、導電層3を設けなくても良くなり、軸材2の表面を覆うように絶縁層4だけを設け、軸材2自体に、電極部3aを内面に有する空洞部3hを形成すれば、棒状デバイス1を形成することができる。すると、導電層3を設けた棒状デバイス1と同等の機能を有しながら、導電層3の厚さの分だけ棒状デバイス1を細くすることができる。例えば、軸材2の軸径を0.1μmとし、絶縁層4の厚さも0.1μmとすれば、たった0.3μmしかない棒状デバイス1を形成することも可能となる。そして、導電層3を形成する工程が不要となるので、棒状デバイス1を製造する工程も少なくすることができる。この場合も、空洞部3hの形成は難しいが、軸材2の軸径が太い場合には機械的な加工により形成することができるし、軸材2の軸径が細い場合には上述したように化学的な加工により空洞部3hを形成することができる。
【0057】
さらになお、棒状デバイス1の軸材2を導電層3に使用できる材料によって形成し、かつ、その表面にさらに導電層3を設けてもよい。この場合、導電層3を、軸材2の材料よりも導電性の高い材料によって形成すれば、軸材2の材料により強度を保持しつつ、導電層3の材料によって高い導電性を棒状デバイス1に付与することも可能となる。
【0058】
(生体用デバイスの接触部)
また、生体センサに、ベースとなる部分(以下、単にベース35という)と接触部31とを設けて生体センサ30を形成してもよい。
なお、接触部31の構造やこの部分を構成する素材などは、上述した棒状デバイス1における先端部分の形状と実質同等の構造である。
【0059】
図12に示すように、生体センサ30は、例えば、シート状や板状に形成されたベース35を備えている。このベース35は、例えば絶縁性のフィルムや絶縁性の合成樹脂、絶縁性の繊維材料、絶縁膜を有する金属材料を素材として形成されており、剛性の高い材料や可撓性や柔軟性を有する材料、超弾性材料など、種々の材料を使用することができ、上述した棒状デバイス1の軸材2や絶縁層4に使用される素材も使用することができる。
【0060】
なお、ベース35の形状はシート状や板状に限定されず、吸盤状、ブロック状などとしてもよく、特に限定されない。また、生体センサ30の接触部31は、ベース35上において、面全体に均等に分布するように配置してもよいし、円環状や線状の配置など、部分的に配置にしても良い。例えば、ベース35の形状を、吸盤状とする場合、吸盤面の中心付近に接触部31を配置することが有効であり、この場合、吸盤の吸引力を有効に利用した、生体センサ30を実現できる。
また、生体センサ30において、対極を、接触部31とは別に配置する場合、ベース35上の接触部31を配置しない部分に対極を配置することができる。例えば、接触部31を円環状に配置して中心部に対極を配置したり、その逆で円環状に配置した対極の中心部に接触部31を配置したり、対極と接触部31を交互に配置したりするなど、検査対象物に合わせて対極および接触部31の配置を自由に決定することができる。このように、生体センサ30では、対極および接触部31の配置を最適化して固定できるので、測定誤差を減らすことができる。
【0061】
前記ベース35の内部または表面には導電性部分36が設けられている。この導電性部分36は、導電性を有する素材、例えば、上述した棒状デバイス1の導電層3に使用される素材によって形成されている。そして、この導電性部分36は後述する接触部31の導電層33に電気的に接続されている。
なお、導電性部分36に使用される素材は、ベース35が可撓性や柔軟性を有するものである場合には、可撓性や柔軟性を有するものを使用するのは、いうまでもない。
さらになお、導電性部分36は複数設けてもよい。この場合、後述する接触部31の導電層33を複数設けた場合において、各導電性部分36を別の導電層33とそれぞれ電気的に接続すれば、一の導電層33を対極や参照電極として使用できるようになるので、好適である。
【0062】
図12に示すように、ベース35の一面には、突起状に形成された接触部31が設けられている。この接触部31は、実質的に上述した棒状デバイス1の先端部分の形状と同等の構造を有している。つまり、接触部31は、軸材32と、その軸32の側面に導電層33と絶縁層34が交互に形成されている。
なお、軸材32、導電層33および絶縁層34は、それぞれ上述した棒状デバイス1の軸材2、導電層3および絶縁層4と同じ素材によって構成することができる。
【0063】
そして、接触部31には、その先端面から内方に窪んだ筒状の空洞部33hが形成されており、この空洞部33hの内面には、筒状の電極部33aが設けられている。そして、空洞部33hには、検知物質MSが配設されている。
なお、棒状デバイス1の場合と同様に、導電層33の一部によって電極部33aを形成してもよいし、導電層33とは別の導電性の部材であって導電層33と電気的に接続された部材によって電極部33aを形成してもよい。さらになお、導電層33に代えてリード線を設け、電極部33aと導電性部分36を電気的に接続するようにしてもよい。
【0064】
(接触部を有する生体センサの使用例)
以上のごとき構成であるから、生体センサ30のベース35をシート状の部材で形成した場合、生体センサ30を、接触部31が生体側に位置するように生体の表面に取り付ければ、接触部31が生体に接触し生体に突き刺さる。すると、上述した棒状デバイス1と同様に、接触部31近傍に対極を配置すれば、対極と導電性部分36との間、つまり、対極と電極部33aとの間に電圧を印加でき、両者の間に存在する物質に電流を流すことができる。よって、対極と電極部33aとの間に位置する検査対象の濃度や量に対応した電流値を検出することができる。
なお、複数の導電層33を有し、一の導電層33を対極として使用できる場合には、生体センサ30と別体の対極を設けなくてもよい。
【0065】
また、上述した棒状デバイス1と同様に、軸材32を設けず、空洞部33hが、接触部31の先端から基端まで貫通した貫通孔となっている場合には、接触部31の基端から空洞部33h内に検知物質を補充することも可能となる(図12(B))。
【0066】
さらに、上述した棒状デバイス1と同様に、接触部31の軸材32を導電性の素材で形成しておけば、空洞部33hの内底面も電極として機能させることができる。すると、酸化還元反応が生じる面積をさらに大きくすることができ、センサの検出感度や検出精度をより高く維持することができる。
【0067】
さらに、上述した棒状デバイス1と同様に、接触部31の軸材32として伝熱性の高い素材によって形成すれば空洞部33h内の物質を加熱することができ、軸材32を光ファイバ等によって形成すれば空洞部33h内の物質に光を照射することも可能である。すると、上述した棒状デバイス1と同様に、円筒状容器50や上述した物質M等を空洞部33h内配置すれば、生体センサ30を、生体内における所定の位置に薬剤等を投与するデバイスとして使用することができ、逆に、生体内における所定の位置の細胞や組織などを採取するデバイスとしても使用することができる(図7、図8および図9参照)。
【0068】
(管状の生体用デバイスの内容)
つぎに、本発明の生体用デバイスの他の実施形態である管状デバイスおよびこの管状デバイスからなる生体センサを説明する。
【0069】
図13は本実施形態の生体センサBC概略説明図であって、(A)は先端部の概略拡大側面図であり、(B)は先端部の概略拡大断面図である。図14は本実施形態の生体センサBCの概略側面図である。
各構成要素の大きさや厚さ、長さの相対的な比率は、実際の部材の比率とは必ずしも一致していない。図13および図14に記載されている本発明の管状デバイスであれば、その外径が0.3μm~6mm程度の場合、管状部材22はその外径が0.1μm~5mm程度、厚さは0.01~2mm程度、導電層23は厚さは0.05~100μm程度、絶縁層24の厚さは0.05~700μm程度が好ましいが、管状部材22の軸径や導電層23および絶縁層24の厚さは上記のごとき範囲に限定されるものではない。そして、導電層23と絶縁層24は同じ厚さとしても良いが、導電層23を絶縁層24よりも薄くしておけば、本体21の外径が太くなるのを抑えつつ、導電層23と、他の物質等との間においてショートすることを抑制することができる。
【0070】
まず、図13および図14に示すように、本実施形態の生体センサBCは、中空な貫通孔を有する複数本の管状デバイス21A~21Cから形成されており、これらの3つの管状デバイス21A~21Cが組合されて形成されている。
【0071】
各管状デバイス21A~21Cは、実質同一の形状に形成されており、管状デバイス21Aはその外径ODAが管状デバイス21Bの貫通孔の内径IDBよりも細くなり、管状デバイス21Bはその外径ODBが管状デバイス21Cの貫通孔の内径IDCよりも細くなるように形成されている。
また、各管状デバイス21A~21Cは、その軸方向の長さが、管状デバイス21A、管状デバイス21B、管状デバイス21Cの順で短くなるように形成されているが、各管状デバイス21の長さはとくに制限されない。
【0072】
そして、管状デバイス21Cの貫通孔に管状デバイス21Bが挿入され、管状デバイス21Cに挿入されている管状デバイス21Bの貫通孔に管状デバイス21Aが挿入された状態で管状デバイス21が形成されているのである。つまり、本実施形態の生体センサBCは、外形の異なる3本の管状デバイス21A~21Cが入れ子状態になるように配置されて形成されているのである。
【0073】
なお、本実施形態の生体センサBCにおいて、外方に位置する管状デバイス(被挿入側デバイス)の貫通孔の内径IDと、この管状デバイスに挿入される管状デバイス(挿入側デバイス)の外径ODは、被挿入側デバイスに挿入側デバイスをスムースに挿入できる程度の差があればよい。この差は特に限定されないが、被挿入側デバイスを挿入側デバイスに挿入し両者の中心軸を一致させたときに、両者の間に5~100μm程度の隙間が形成されるようにしておけば、挿入による絶縁層24の破損を防ぐことができるので、好適である。
さらになお、本実施形態で生体センサBCでは、3本の管状デバイス21A~21Cを組み合わせて形成されているが、生体センサを構成する管状デバイスの本数は特に限定されず、2本でもよいし、4本以上で構成されていてもよい。
【0074】
そして、各管状デバイス21A~21Cの先端部外面には、電極部25が形成されている。この電極部25には、生体センサBCによって検査する検査対象と反応する検知物質MSが配置されている。この検知物質MSは、例えば、グルコースオキシダーゼなどの酵素や、抗原、抗体、ポリペプチド、レセプター、アクセプター、核酸、糖、細胞、微生物、透過選択性膜、非特異吸着防止膜、キレート剤、クラウンエーテル、シクロデキストリン等であるが、特に限定はない。
【0075】
(生体センサの使用方法)
つぎに、本実施形態の生体センサBCの使用例を説明する。
以下では、検知物質MSがグルコースオキシダーゼである場合を説明するが、他の検知物質MSの場合でも同様に検知物質MSに対応した物質の量や濃度等を検出できるのはいうまでもない。
【0076】
まず、本実施形態の生体センサBCにおける2つの管状デバイス21A,21Bを、管状デバイス21Aは管状デバイス21Bの先端から、また、管状デバイス21Bは管状デバイス21Cの先端から外方に突出させた状態となうようにする(図13(A)参照)。その状態で、管状デバイス21A,21Bの電極部25に検知物質MSであるグルコースオキシダーゼを配置する。なお、管状デバイス21Cの電極部25には何も配置しない。
【0077】
そして、本実施形態の生体センサBCを生体内に配置し、2つの管状デバイス21A,21Bの各電極部25が、生体におけるそれぞれを測定位置に配置されるように調整する。
【0078】
ついで、管状デバイス21Aの信号検出部26と管状デバイス21Cの信号検出部26との間に電圧を印加する。すると、管状デバイス21Aの信号検出部26、導電層23、電極部25、生体、管状デバイス21Cの電極部25、導電層23、信号検出部26を通って電流が流れる。
同様に、管状デバイス21Bの信号検出部26と管状デバイス21Cの信号検出部26との間に電圧を印加すると、管状デバイス21Bの信号検出部26から管状デバイス21Cの信号検出部26に電流が流れる。
このとき、各管状デバイス21A~21Cの管状部材22が絶縁性を有する素材で形成されており、しかも、後述するように管状デバイス21Cの最外層が絶縁層24であるため、隣接する管状デバイス21の導電層23間でショートが発生することは防がれている。
【0079】
管状デバイス21A~21Cに電圧を印加したときに、管状デバイス21A,21Bの各電極部25の近傍にグルコースが存在した場合、そのグルコースとグルコースオキシダーゼが反応してグルコースの量に応じて過酸化水素が発生する。すると、電極部25の表面において、過酸化水素の酸化反応や酸素の還元反応が生じる。この酸化還元反応が生じれば、過酸化水素や酸素の量に応じて、管状デバイス21A,21Bの信号検出部26と管状デバイス21Cの信号検出部26との間に流れる電流量が変化する。つまり、管状デバイス21A,21Bの各電極部25の近傍に存在するグルコースの量に応じて、管状デバイス21A,21Bの信号検出部26と管状デバイス21Cの信号検出部26との間に流れる電流量が変化する。
【0080】
よって、管状デバイス21A,21Bの各電極部25の近傍におけるグルコースの存在の有無やその量・濃度を検出することができるのである。しかも、管状デバイス21A,21Bの各電極部25は異なる位置に配置されているから、位置の相違によるグルコースの濃度や量等の相違、つまり、生体内におけるグルコースの濃度等の分布を調べることも可能となる。
なお、信号検出部26間に印加する電圧は、検知物質の種類や測定目的に合わせて最適な電圧値とすればよい。
【0081】
さらになお、管状デバイス21A,21Bの信号検出部26と管状デバイス21Cの信号検出部26との間で検出される物理量は電流に限られず、電位差の変化を検出してもよく、検知物質MSや、その検知物質MSに反応する物質に応じて最適なものを選択すればよい。
さらになお、管状デバイス21A,21Bに異なる検知物質MSを配置してもよい。すると、複数の物質を同時に測定することも可能である。
【0082】
また、生体センサBCにおいて、各管状デバイス21A~21C同士がその軸方向に沿って自由に移動できるようにしておけば、管状デバイス21A,21Bの各電極部25の位置をより正確に目的の位置に配置することができる。
【0083】
一方、各管状デバイス21A~21C同士が相対的に移動できないようにしておけば、各管状デバイス21A~21Cの電極部25の相対的な位置を一定に保っておくことができるから、常に一定の間隔だけ離れた位置におけるグルコースの濃度等を測定することができる。相対的な位置の固定はどのような方法で行ってもよいが、図15(B)に示すように、絶縁性を有する部材27によって固定すれば、管状デバイス21同士の隙間に生体等が入ってしまうことも防ぐことができる。
【0084】
また、各管状デバイス21A~21Cにおける相対的な位置を固定しなくても、管状デバイス21の先端部における絶縁層24を、図16(C)、(D)のように形成すれば、各管状デバイス21A~21Cの電極部25の相対的な位置を一定に保っておくことができる。
具体的には、挿入側の管状デバイス(図16では管状デバイス21A,21Bが相当する)の絶縁層24の外径が、図16(C)、(D)のように挿入される側の管状デバイス(図16では管状デバイス21B,21Cが相当する)の内径よりも大きくなるように形成しておく。すると、挿入される側の管状デバイス21に対し、挿入側の管状デバイス21が挿入できる長さを制限することができる。言い換えれば、挿入される側の管状デバイス21の先端から、挿入側の管状デバイス21が突出する長さを制限することができるのである。
【0085】
上記のごとき生体センサBCにおいて、電極部25に検知物質MSを配置しない管状デバイス21を設ければ、生体センサBC以外に対極を設けなくても、検査対象となる物質の濃度や量を測定することができる。しかし、生体センサBCとは別に対極を配置すれば、全ての管状デバイス21A~21Cの電極部25に検知物質MSを配置して対象物質の濃度等を測定することも可能である。
【0086】
そして、最も径が細い管状デバイス21Aであっても、その軸方向に沿って貫通孔22hが形成されているから、この貫通孔22hを通して他のセンサを生体内に配置することができる。すると、強度が弱く生体に突き刺して挿入することができないセンサ、例えば、光ファイバ等を有するセンサであっても、本実施形態の生体センサBCが濃度等を測定している位置の近傍まで挿入することができるから、濃度等と同時に光ファイバによる測定を行うことも可能となる。
例えば、酸素濃度やpH、表面圧力などの測定、光ファイバの先端表面に抗体や生体などの認識素子を付着した光バイオセンサとしての使用、表面プラズモン共鳴による測定を行うことができる。よって、従来は不可能であった、多種濃度の同時測定、異種測定も可能となるので、好適である。
【0087】
また、生体センサBCの先端から貫通孔22hを通して先端近傍の物質を採取することも可能であるから、採取した細胞により、癌細胞、生体内の腫瘍等の検査も行うことができるので、好適である。
【0088】
しかも、管状デバイス21の管状部材22を絶縁性を有する材料によって形成していれば、管状デバイス21の導電層23に電圧を印加しても導電層23と貫通孔に配置される他のセンサとの間でショートが発生することを防ぐことができる。すると、センサが精密機器などであって電気的なノイズ等に影響を受けやすいものであっても、測定を正確に行うことができるし、故障の発生も防ぐことができる。
【0089】
なお、管状デバイス21の管状部材22を、導電層23に使用できる材料によって形成してもよい。この場合には、貫通孔22hに配置される他のセンサとの間や他の管状デバイス21の導電層23との間におけるショートが発生する可能性が高くなるものの、管状デバイス21に導電層23を設けなくても良くなる。つまり、管状部材22の表面を覆うように絶縁層24だけを設け、その絶縁層24を除去して管状部材22の表面を露出させるだけで、電極部25や信号検出部26を形成することができる。すると、導電層23を設けた管状デバイス21と同等の機能を有しながら、導電層23の厚さの分だけ管状デバイス21を細くすることができるし、また、管状デバイス21を製造する工程も少なくすることができる。
【0090】
さらになお、管状デバイス21の管状部材22を導電層23に使用できる材料によって形成し、かつ、その表面にさらに導電層23を設けてもよい。この場合、導電層23を、管状部材22の材料よりも導電性の高い材料によって形成すれば、管状部材22の材料により強度を保持しつつ、導電層23の材料によって高い導電性を管状デバイス21に付与することも可能となる。
【0091】
なお、管状デバイス21は、それ一本だけでも生体センサとして使用することができる。つまり、一本の管状デバイス21と対極とを生体内に挿入し、管状デバイス21の信号検出部26と対極との間に電圧を印加すれば、両者の間に流れる電流等を検出することができ、管状デバイス21の先端近傍における物質の濃度等を検出することができる。そして、管状デバイス21の貫通孔22hを通して他のセンサを挿入することも可能であるから、上記の生体センサBCの場合と同様の効果も得ることができる。
この場合、信号検出部26と対極との間に印加する電圧は、検知物質の種類や測定目的に合わせて最適な電圧値とすればよい。例えば、グルコースオキシターゼによる血液中のグルコース濃度測定の場合において、導電層23および対極の素材として銀・塩化銀を使用するのであれば、両者の間に印加する電圧は、-0.5~+1.0V程度とすればよい。
【0092】
また、図17に示すように、生体センサBCは管状デバイス21Aおよび管状デバイス21Bが外方に位置する管状デバイスよりも突出した状態において、その先端部が先端に向かって細くなるように形成されていてもよい。この場合には、生体センサBCを生体に突き刺したりするときに抵抗を少なくすることができるので好適である。同様に、管状デバイスの先端部の形状を、その軸方向に対して傾斜した面で切断したような形状、言い換えれば、注射針の先端のような形状に形成しておけば、生体に突き刺したり挿入したりするときに抵抗を少なくすることができ、また、生体に対する負担を少なくすることができる(図3(B)参照)。
なお、各管状デバイス21A~21Cは、その先端部が截頭円錐状となるように形成されるのであるが、中心軸に対する截頭円錐部の側面の傾きは、全ての管状デバイス21A~21Cにおいて同じ傾きであってもよいし、異なる傾きとなるように形成されていてもよい。
【0093】
なお、図15(B)に示すように、隣接する管状デバイス21同士を絶縁性を有する部材27によって固定すれば、隣接する管状デバイス21間で電流がリークする可能性をより低くすることができる。
さらになお、図15(A)および図16に示すように、絶縁層24は導電層23の一部にだけ形成してもよく、この場合、管状デバイス21を入れ子状態に組み合わせる際、隙間を多く確保できるため、管状デバイス21の直線性が良くない場合の組み立てや、作業性の向上に好適である。なお、導電層23の材質にグラファイトを用いることも組み立ての作業性を向上することに効果的である。そして、絶縁層24を一部だけに形成した場合、隣接する管状デバイス間においてショートが問題となるが、管状デバイス21の管状部材22が絶縁性を有する材料によって形成されているので、隣接する管状デバイス間におけるショートの発生は抑えられる。しかし、ショートの発生を抑える上では、図13に示すように、絶縁層24を導電層23の表面全体に形成するほうが効果的であるのは、いうまでもない。
【0094】
(管状デバイスの説明)
つぎに、生体センサBCを形成する管状デバイス21の構造について説明する。
図13および図14において、符号21は、生体センサBCを形成する管状デバイスを示している。この管状デバイス21は、軸方向(図14では左右方向)に沿って延びた線状、つまり細長い部材である。
なお、図13および図14では、管状デバイス21の断面形状が円形の場合を示しているが、その断面形状は円形に限られず、半円形でもよいし、正方形や長方形、六角形、八角形等の多角形等でもよい。
【0095】
前記管状デバイス21は、その軸方向に沿って延びた中空な管状の部材である管状部材22を備えている。この管状部材22は、その中心に軸方向に沿ってその基端から先端まで連通する貫通孔22hが形成されている。この貫通孔22hが、管状デバイス21における貫通孔を構成している。
【0096】
なお、管状部材22の断面形状は円形に限られず、半円形でもよいし、正方形や長方形、六角形、八角形等の多角形等でもよい。
さらになお、図14では、管状デバイス21と管状部材22の断面形状は相似形となっているが、相似形となっていなくてもよい。例えば、管状デバイス21の断面形状が円形で管状部材22の断面形状が半円形や多角形等であったり、逆に、管状デバイス21の断面形状が半円形や多角形等で管状部材22の断面形状が円形であったりしてもよい。
さらになお、貫通孔22hの断面形状は、略筒状に形成されていればよく、その断面形状は円形断面に限られず、半円形でもよいし、正方形や長方形、六角形、八角形等の多角形等でもよい。
さらになお、図14では、管状部材22と貫通孔22hの断面形状は相似形となっているが、相似形となっていなくてもよい。例えば、管状部材22の断面形状が円形で貫通孔22hの断面形状が半円形や多角形等であったり、逆に、管状部材22の断面形状が半円形や多角形等で貫通孔22hの断面形状が円形であったりしてもよい。
【0097】
さらになお、管状デバイス21は、管状部材22を設けず、導電層23や絶縁層24だけで貫通孔を有する棒状の管状デバイス21が形成されていてもよいが、管状部材22を設けておけば、管状部材22を管状デバイス21の軸として機能させることができるので、管状デバイス21の強度を高くすることができる。
【0098】
図13および図14に示すように、管状部材22の側面には、管状部材22の軸方向(管状デバイス21の軸方向)と交差する方向に沿って、交互に形成された導電性の素材からなる層(導電層23)と絶縁性の素材からなる層(絶縁層24)とを備えている。
なお、図13および図14では、各管状デバイス21に導電層23と絶縁層24がそれぞれ一層のみ形成されている場合を示しているが、導電層23および絶縁層24は、交互に形成されていれば、複数設けてもよい。
さらになお、図13では、管状部材22の側面には導電層23が形成されているが、管状部材22の側面に絶縁層24を形成しその表面に導電層23を形成して、その導電層23の表面に絶縁層24を形成してもよいのは、いうまでもない。
【0099】
図13および図14に示すように、管状デバイス21の先端側の端部(図13では右端)には、絶縁層24が除去されて導電層23の表面が露出している部分(電極部25)が形成されている。
なお、図13および図14では、導電層23の一部によって電極部25が形成されているが、導電層23とは別の導電性物質によって電極部25を形成してもよい。この場合、絶縁層24の表面に、導電層23とは別に導電性材料によって形成された電極部25を設けて、この電極部25を電気的に導電層23と接続させる構成としてもよい。
【0100】
また、図14に示すように、管状デバイス21の基端側の端部(図14では左端)には、導電性の素材によって形成された信号検出部26が設けられている。この信号検出部26は、電源DCや電流計A、電圧計V等に接続されている。このため、信号検出部26に対して電圧を印加すれば、導電層23を介して、電極部25に電圧を印加することができる。
【0101】
なお、絶縁層24の一部を除去して導電層23を露出させ、その露出した部分を信号検出部26としてもよい。
さらになお、導電層23は信号検出部26と電極部25を電気的に接続するリード線として機能するのであるが、導電層23を設けずに、例えば、電線等のリード線を管状デバイス21に設けて両者を電気的に接続させてもよい。しかし、導電層23をリード線として機能させる場合には、管状デバイス21の細径化が容易になるし、上述したように導電層23の一部を電極部25や信号検出部26として利用できるという利点がある。
【0102】
(各部素材の説明)
つぎに、管状デバイス21の各部を構成する素材に説明する。
【0103】
管状部材22は、絶縁性を有する材料、例えば、超弾性樹脂や、PET、ポリフェニレンジアミン、ポリウレタン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン、ガラス(SiO2)、ポリプロピレン、ポリチオフェン、ポリエステル、ポリエチレン、尿素樹脂、ポリシラン、ポリアニリン、金属酸化物等によって形成されているが、とくに限定はない。
とくに、超弾性樹脂を使用すれば、超弾性樹脂はその弾性が非常に高いので、管状デバイス21や生体センサBCを中心軸周りに回転させながら検査対象物に突き刺したりするときに、管状デバイス21や生体センサBCが折れ曲がったりして破損することをより確実に防ぐことができ、確実に管状デバイス21や生体センサBCを生体等の検査対象に挿入することができる。この超弾性樹脂は、例えば、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエチレン+ナイロン、ポリエチレン+ペルプレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリシロキサン、ケイ素樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ペルプレン、ポリエチレン+ポリ塩化ビニル、ポリエチレン+フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリシラン等が好適である。とくに、生体が拒絶反応を起こしにくい、言い換えれば生体適合性を有するフッ素樹脂、ポリシロキサン等が好適である。
【0104】
導電層23は、導電性を有する素材を、蒸着法やスパッタリング法、無電解めっき等の薄膜法等によって管状部材22の外周面上に形成したものであるが、導電層23を形成する方法はこれらの方法に限られず、どのような方法を用いてもよい。
また、導電層23に使用される素材は、例えば、超弾性合金や、Au(金)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、白金-イリジウム(Pt-Ir)合金等の合金、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、炭素(C)、ポリピロ-ル、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン等が挙げられるが、とくに限定はない。
とくに、導電層23の素材として、超弾性合金を使用すれば、超弾性合金はその弾性が非常に高いので、管状部材22だけでなく導電層23も生体センサBCに加わる力を支持することができるので、管状デバイス21や生体センサBCを中心軸周りに回転させながら対象物に突き刺すときに、管状デバイス21や生体センサBCが折れ曲がったりして破損することをより確実に防ぐことができ、確実に管状デバイス21や生体センサBCを生体等に挿入することができる。この超弾性合金は、例えば、チタン-ニッケル合金(Ti-Ni)や、インジウム-タリウム合金(In-Tl)、銅-亜鉛合金(Cu-Zn)、銅-亜鉛-X合金(Cu-Zn-X(Si,Sn,Al,Ga))、銅-アルミニウム-ニッケル合金(Cu-Al-Ni)、銅-金-亜鉛合金(Cu-Au-Zn)、銅-スズ合金(Cu-Sn)、ニッケル-アルミニウム合金(Ni-Al)、鉄-白金合金(Fe-Pt)、インジウム-カドミウム合金(In-Cd)、マンガン-銅合金(Mn-Cu)、銀-カドミウム合金(Ag-Cd)、金-カドミウム合金(Au-Cd)、鉄-パラジウム合金(Fe-Pd)、鉄-ニッケル-コバルト-チタン合金(Fe-Ni-Co-Ti)、鉄-ニッケル-炭素合金(Fe-Ni-C)、鉄-マンガン-珪素合金(Fe-Mn-Si)チタン-アルミニウム-スズ-ジルコニウム-モリブデン合金(Ti-Al-Sn-Zr-Mo)、チタン-アルミニウム-バナジウム合金(Ti-Al-V)、チタン-モリブデン-アルミニウム合金(Ti-Mo-Al)、チタン-ニオビウム合金(Ti-Nb)、チタン-ニオビウム-スズ合金(Ti-Nb-Sn)、チタン-バナジウム-鉄-アルミニウム合金(Ti-V-Fe-Al)等が好適である。とくに、生体に有害な銅、ニッケル、カドミウムを含まない合金が好適である。
なお、導電層23の素材として白金を使用する場合には、白金の層を形成する前に、下地として他物質の層を形成してからその層の表面に白金からなる導電層23を形成すれば、白金の定着性を向上させることができる。
【0105】
絶縁層24は、絶縁性を有する素材を、蒸着法やスパッタリング法等の薄膜法等によって導電層23の表面上に形成したものであるが、絶縁層24を形成する方法はこれらの方法に限られず、どのような方法を用いてもよい。
この絶縁層24は、管状部材22と同等の絶縁性を有する材料、例えば、超弾性樹脂や、PET、ポリフェニレンジアミン、ポリウレタン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン、ガラス(SiO2)、ポリプロピレン、ポリチオフェン、ポリエステル、ポリエチレン、尿素樹脂、ポリシラン、ポリアニリン、金属酸化物等によって形成されているが、とくに限定はない。
【0106】
(管状デバイスの製造方法)
つぎに、管状デバイス21の製造方法の一例を説明する。
【0107】
上記のごとき管状デバイス21は、管状部材22の外周面に、導電性を有する素材をスパッタリング等によって付着させて導電層23を形成し(図18(A)、(B))、その後導電層23の表面にマスクMKを形成する(図18(C))。
ついで、導電層23およびマスクMKが形成された部材の外周面に、絶縁性を有する素材をスパッタリング等によって付着させて絶縁層24を形成し(図18(D))、その後マスクMKを除去する(図18(E))。すると、マスクMKが除去された部分には導電層23の表面が露出した電極部25、および、信号検出部26が形成され、本実施形態の管状デバイス21が完成する。
この管状デバイス21に、電極部25に検知物質MSを配置し、各管状デバイスを組み合わせると生体センサBCを形成することができる。そして、管状デバイス21を別々に形成してから組み合わせるので、生体センサBCの形成が容易になるし、また、電極部25への検知物質MSの配置も簡単かつ確実に行うことができる。
【0108】
(実施例)
本発明の棒状デバイスを利用した生体センサの性能を確認するために、グルコース濃度を変化させて、センサに流れる応答電流の変化を調べた。
実験では、本発明の生体センサと、対極兼参照極となるAg/AgCl電極とをpH 7.4 のリン酸緩衝溶液(0.1 M)に浸漬し、印加電位0.6 Vの条件でリン酸緩衝溶液中に含まれるグルコース濃度測定し、グルコース濃度と応答電流との関係を測定した。
応答電流の測定には、バッチ式アンペロメトリー法を用いた(図6参照)。
【0109】
使用した生体センサは、外側面をシリカでコーティングした外径0.5 mm、内径0.3 mmの白金管の管内面に酵素(グルコースオキシダーゼ)を下記の方法により固定したものを使用した(図4(A)参照)。この生体センサでは、電極面積、つまり、白金管の管内面において酵素が付着している部分の面積は0.35mmである。
なお、測定に使用した生体センサは、センサ作製後、4日間経過したものである。
【0110】
酵素は、脱気したトリトンX-100(0.8 mM)、グルコースオキシダーゼ(10 mg/mL)を含むpH 7.0 のリン酸緩衝溶液(0.05 M)に上記白金管を浸漬し、1.3 V(vs Ag/AgCl)で1時間電位を印加したのち、白金管を1,2-フェニレンジアミン(5.40mg/mL)を含むpH 7.4 のリン酸緩衝溶液(0.05 M)に移し、0.7 V(vs Ag/AgCl)で15分間電位を印加して、白金管内面に固定した。
【0111】
図19に示すように、0~25 mM (0~約450 mg/dL )の範囲でグルコース濃度とセンサ応答電流との間に0を通る良好な直線関係が得られている。このことから、本発明の生体センサでは、正確に濃度を測定できる範囲が広く、検出対象が高濃度で存在する場合でも正確な濃度測定を行うことができることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の生体センサは、生体内の濃度と生体の健康状態などを同時に測定する多機能医療機器等に適している。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の生体用デバイスの一実施形態である棒状デバイス1の概略説明図であって、(A)は棒状デバイス1の概略側面図であり、(B)は棒状デバイス1の先端部の概略拡大断面図であり、(C)は(B)のC-C線断面矢視図である。
【図2】(A)は他の実施形態の棒状デバイス1先端部の概略拡大断面図であり、(B)は(A)のB-B線断面矢視図であり、(C)はさらに他の実施形態の棒状デバイス1の棒状デバイス1先端部の概略拡大断面図である。
【図3】他の実施形態の棒状デバイス1先端部の概略拡大断面図である。
【図4】他の実施形態の棒状デバイス1先端部の概略拡大断面図である。
【図5】他の実施形態の棒状デバイス1先端部の概略拡大断面図である。
【図6】棒状デバイス1による生体内物質測定状況の概略説明図である。
【図7】(A)棒状デバイス1の使用方法の一例を示した図であり、(B)は円筒状容器20から薬剤Pが射出される状況を示した図である。
【図8】棒状デバイス1の使用方法の一例を示した図である。
【図9】棒状デバイス1の使用方法の一例を示した図である。
【図10】本実施形態の棒状デバイス1における先端部の製造過程を示した図である。
【図11】本実施形態の棒状デバイス1における先端部の他の製造過程を示した図である。
【図12】接触部31を有する生体センサ30の概略説明図である。
【図13】本実施形態の生体センサBCの概略説明図であって、(A)は先端部の概略拡大側面図であり、(B)は先端部の概略拡大断面図である。
【図14】本実施形態の生体センサBCの概略側面図である。
【図15】他の実施形態の生体センサBC先端部の概略拡大断面図である。
【図16】他の実施形態の生体センサBC先端部の概略拡大断面図である。
【図17】(A)は他の実施形態の生体センサBC先端部の概略拡大側面図であり、(B)は(A)の実施形態の生体センサBC先端部の概略拡大断面図である。
【図18】本実施形態の管状デバイス21の先端部の製造過程を示した図である。
【図19】棒状デバイスを使用した生体用デバイスにおける、グルコース濃度と応答電流の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0114】
1 棒状デバイス
1h 貫通孔
2 軸材
2a 中子となるような部材
3 導電層
3a 電極部
3h 空洞部
3s 空洞部3hの内底面
4 絶縁層
5 導電層
5a 露出している部分
6 信号検出部
7 絶縁層
8 導電性線材
10 管状デバイス
11 導電性を有する管状部材
12 絶縁層
13 絶縁層
21 管状デバイス
22 管状部材
22h 貫通孔
23 導電層
24 絶縁層
25 電極部
26 信号検出部
27 絶縁性を有する部材
30 生体センサ
31 接触部
32 軸材
33 導電層
33a 電極部
33h 空洞部
34 絶縁層
35 ベース
36 導電性部分
50 円筒状容器
50h 中空部分
51 栓
MS 検知物質
BC 生体センサ
MH 導入空間
RE 対極
PS ポテンショスタット
DA データ解析手段
P 薬剤
M 熱や光や電気が加わると体積が増加する物質
DC 電源
A 電流計
V 電圧計
MK マスク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18