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明細書 :液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5087774号 (P5087774)
登録日 平成24年9月21日(2012.9.21)
発行日 平成24年12月5日(2012.12.5)
発明の名称または考案の名称 液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法
国際特許分類 G02F   1/1347      (2006.01)
G02F   1/13        (2006.01)
G02F   1/133       (2006.01)
G09C   5/00        (2006.01)
G09G   3/36        (2006.01)
G09G   3/20        (2006.01)
FI G02F 1/1347
G02F 1/13 505
G02F 1/133 505
G09C 5/00
G09G 3/36
G09G 3/20 680F
G09G 3/20 660R
請求項の数または発明の数 17
全頁数 32
出願番号 特願2008-505184 (P2008-505184)
出願日 平成19年3月14日(2007.3.14)
権利譲渡・実施許諾 特許権者において、実施許諾の用意がある。
国際出願番号 PCT/JP2007/055110
国際公開番号 WO2007/105760
国際公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
優先権出願番号 2006071836
優先日 平成18年3月15日(2006.3.15)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年1月9日(2010.1.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
発明者または考案者 【氏名】山本 裕紹
個別代理人の代理人 【識別番号】100104949、【弁理士】、【氏名又は名称】豊栖 康司
【識別番号】100074354、【弁理士】、【氏名又は名称】豊栖 康弘
審査官 【審査官】右田 昌士
参考文献・文献 国際公開第2004/055720(WO,A1)
国際公開第2004/081870(WO,A1)
山本裕紹,最近の光情報処理システム 視覚復号型暗号によるセキュアな情報ディスプレイ,光技術コンタクト,日本,2004年 6月20日,Vol.42, No.6,pp.313-321
調査した分野 G02F 1/1347
G02F 1/13 505
G02F 1/133
G09C 5/00
G09G 3/20
G09G 3/36
特許請求の範囲 【請求項1】
与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、
画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、
画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、
前記暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、
画素構造を備え、画素ピッチが前記暗号用液晶パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、
前記復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段と、
を備え、
前記暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置し、
前記暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、
前記復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、
前記暗号化作動電圧印加手段で前記暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、前記復号鍵作動電圧印加手段で前記復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、
観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成されてなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶式画像表示装置であって、
前記暗号用液晶パネルが、
所定の画素ピッチと開口比を有する第1暗号液晶層と、
前記第1暗号液晶層とほぼ等しい画素ピッチ及び開口比を有し、第1暗号液晶層と一定の距離を隔てて離間すると共に、重なるように配置された第2暗号液晶層と、
を有し、
前記暗号化手段が暗号データを、前記第1暗号液晶層用の第1暗号データと、前記第2液晶用の第2暗号データに分割し、
前記第1暗号データを第1暗号液晶層に、前記第2暗号データを第2暗号液晶層にそれぞれ与えることで、前記第1暗号液晶層と第2暗号液晶層とを介して暗号化データが暗号化されるよう構成されてなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液晶式画像表示装置であって、
前記復号鍵用液晶パネルが、
所定の画素ピッチと開口比を有する第1復号鍵用液晶層と、
前記第1復号鍵用液晶層とほぼ等しい画素ピッチ及び開口比を有し、第1復号鍵用液晶層と一定の距離を隔てて離間すると共に、重なるように配置された第2復号鍵用液晶層と、
を有し、
前記復号鍵生成手段が復号鍵データを、前記第1復号鍵用液晶層用の第1復号鍵データと、前記第2復号鍵用液晶用の第2復号鍵データに分割し、
前記第1復号鍵データを第1復号鍵用液晶層に、前記第2復号鍵データを第2復号鍵用液晶層にそれぞれ与えることで、前記第1復号鍵用液晶層と第2復号鍵用液晶層とを介して暗号化データが復号されるよう構成されてなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項4】
与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、
画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、
観察面側と反対側に配置されるバックライト用光源と、
観察面側に配置される第1偏光板と、
前記第1偏光板と離間して配置され、前記第1偏光板と直交または平行となる偏光方向を備える第2偏光板と、
前記第1偏光板及び第2偏光板の間に配置され、偏光回転素子を有する液晶パネルであって、
画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記第1偏光板と重なるように配置されて、前記暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、
画素構造を備え、画素ピッチが前記暗号用液晶パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記暗号用液晶パネルと画素毎に一致させるよう配置されて、前記復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、
前記暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、
前記復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段と、
を備え、
前記暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置し、
前記暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、
前記復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、
前記暗号化作動電圧印加手段で前記暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、前記復号鍵作動電圧印加手段で前記復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、前記バックライト用光源を通じて観察面側に、前記第1及び第2偏光板を通じて暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、
観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成されてなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の液晶式画像表示装置であって、
前記暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとが合わせて3以上あることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一に記載の液晶式画像表示装置であって、
前記暗号化手段が生成する暗号化データが、時間的に変化することを特徴とすることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の液晶式画像表示装置であって、
動画像の表示において、動画像を構成するフレーム毎に暗号化のパターンを変更してなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項8】
与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、
画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、
観察面側と反対側に配置されるバックライト用光源と、
観察面側に配置される第1偏光板と、
前記第1偏光板と離間して配置され、前記第1偏光板と直交または平行となる偏光方向を備える第2偏光板と、
前記第1偏光板及び第2偏光板の間に配置され、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記第1偏光板と重なるように配置されて、前記暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、
前記暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、
画素毎に偏光回転角度が異なるように配置した位相差板と
を備え、
前記暗号化手段が、位相差板の画素毎の偏光回転角度に応じて画像データを画素毎に、視覚復号型暗号に基づいて暗号化した暗号化データを生成し、前記暗号化作動電圧印加手段で前記暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、該暗号化データを画素毎に前記位相差板を重ねることで、画像データに対応した偏光回転角度が画素毎に得られ、前記バックライト用光源を通じて観察面側に、前記第1及び第2偏光板を通じて暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、
観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成されてなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液晶式画像表示装置であって、
前記位相差板を複数備えてなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の液晶式画像表示装置であって、
前記位相差板を着脱式に構成してなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項11】
与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、
画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、
画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、
前記暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、
画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、
前記復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段と、
を備え、
前記暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置し、
前記復号鍵用液晶パネルの対応画素毎の画素ピッチが、前記暗号用液晶パネルよりも相対的に縮小されるように、表示される復号鍵データのパターンを縮小、もしくは暗号化データのパターンを拡大し、
前記暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、
前記復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、
前記暗号化作動電圧印加手段で前記暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、前記復号鍵作動電圧印加手段で前記復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、
観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成されてなることを特徴とする液晶式画像表示装置。
【請求項12】
画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、
観察面側と反対側に配置されるバックライト用光源と、
観察面側に配置される第1偏光板と、
前記第1偏光板と離間して配置され、前記第1偏光板と直交または平行となる偏光方向を備える第2偏光板と、
前記第1偏光板及び第2偏光板の間に配置され、偏光回転素子を有する液晶パネルであって、
画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記第1偏光板と重なるように配置されて、前記暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルであって、
所定の画素ピッチと開口比を有する第1暗号液晶層と、
前記第1暗号液晶層とほぼ等しい画素ピッチ及び開口比を有し、第1暗号液晶層と一定の距離を隔てて離間すると共に、重なるように配置された第2暗号液晶層と、
を有する暗号用液晶パネルと、
画素構造を備え、画素ピッチが前記暗号用液晶パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記暗号用液晶パネルと画素毎に一致させるよう配置されて、前記復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、
前記暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、
前記復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段と、
を備え、与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置に画像データを表示させる液晶式画像表示方法であって、
前記暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、概暗号データを、前記第1暗号液晶層用の第1暗号データと、前記第2液晶用の第2暗号データに分割し、
前記復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成する工程と、
前記暗号化作動電圧印加手段で前記暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示させるために、前記第1暗号データを第1暗号液晶層に、前記第2暗号データを第2暗号液晶層にそれぞれ与えると共に、前記復号鍵作動電圧印加手段で前記復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示する工程と、
を含み、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、前記バックライト用光源を通じて観察面側に、前記第1及び第2偏光板を通じて暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能としており、
観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能としたことを特徴とする液晶式画像表示方法。
【請求項13】
与えられた画像データを階調表示可能な偏光演算型画像表示装置であって、
画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、
画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用パネルと、
画素構造を備え、画素ピッチが前記暗号用パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、前記復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用パネルと、
を備え、
前記暗号用パネルと復号鍵用パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置されており、
前記暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、
前記復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、
前記暗号化データを暗号用パネルに表示すると共に、前記復号鍵データを復号鍵用パネルに表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に、前記暗号用パネルと復号鍵用パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、
観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成されてなることを特徴とする偏光演算型画像表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の偏光演算型画像表示装置であって、
前記偏光回転素子が液晶であることを特徴とする偏光演算型画像表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の偏光演算型画像表示装置であって、
前記偏光回転素子がパターン化された位相差板であることを特徴とする偏光演算型画像表示装置。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか一に記載の偏光演算型画像表示装置であって、
前記暗号用パネルと復号鍵用パネルとが合わせて3以上あることを特徴とする偏光演算型画像表示装置。
【請求項17】
与えられた画像データを階調表示可能な偏光演算型画像表示装置に画像データを表示させる偏光演算型画像表示方法であって、
画像データを視覚復号型暗号に基づき、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させるよう暗号化した暗号化データを生成すると共に、概暗号データを、第1暗号層用の第1暗号データと、第2暗号層用の第2暗号データに分割し、
さらに画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成する工程と、
暗号化データを表示するための暗号用パネルに該暗号化データを表示させるために、前記第1暗号データを第1暗号層に、前記第2暗号データを第2暗号層にそれぞれ与え、一方で復号鍵データを表示するための復号鍵用パネルに該復号鍵データを表示する工程と、
を含み、
画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に配置される第1偏光板と、その反対面側に配置された第2偏光板を通じて暗号用パネルと復号鍵用パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能としており、
観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能としたことを特徴とする偏光演算型画像表示方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示画面に表示される画像データを暗号化した液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法に関し、詳細には偏光を利用した視覚復号型暗号の液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイルコンピューティング環境の発達に伴い、電車や航空機等の公共交通機関内でパーソナルコンピュータ等の情報端末を使用した作業を行う使用形態が普及してきている。このような状況のなかで、画面上に表示された情報が使用者の意図しない不特定多数の人に、偶然または故意に見られることによって企業等の機密情報の漏洩の懸念も高まっている。
【0003】
また一方、公共の場所に設置されディスプレイが接続された端末(例えば、金融機関の端末や官公庁に設置された端末)においても、同様なセキュリティを向上するニーズが増加すると予想される。
【0004】
このように、情報の機密性を保持し漏洩を防止するセキュリティ技術が重要となっている。セキュリティを確保するために、通信に関しては各種暗号化技術、接続や情報へのアクセスに関しては個人認証技術等の開発が進められている。一方で、これらの手続を経て最終的に画面上に表示される画像情報に対しても、何らかの保護が必要とされるところであるが、この分野での対応は進んでいない。例えば通信の暗号化や個人認証による接続を経ても、画面に表示する時点で周囲からのぞき見られる可能性がある。また一方で、コンピュータ等からモニタに送信される画像信号の漏洩電磁波が傍受され、画像情報を取得、再現されるおそれもある。
【0005】
例えば、コンピュータや携帯電話等の液晶ディスプレイに表示される画像データに含まれる情報の漏洩を防止するための技術として、液晶ディスプレイの表面に視野角を制限するフィルタシートを貼付することにより、可視空間を限定する方法が知られている。また指向性画像表示、パララックスバリア式、パターン化された位相差フィルムを用いた3D-LCD(偏光メガネ式又はメガネ無し方式)、インテグラル式、超多眼、ボリューム表示、ホログラフィ応用等の方法も検討されている。
【0006】
さらに特許文献1には、視野角を制限可能な液晶式画像表示装置が開示される。この液晶式画像表示装置は、図1に示すように、観察者側(図の上側)に駆動用液晶パネル1が配置され、駆動用液晶パネル1の観察者と反対側(図の下方)に補償用液晶パネル2が駆動用液晶パネル1に積層される。これらの液晶パネルの観察者側と反観察者側にそれぞれ1枚の偏光板3および4が配置される。駆動用液晶パネル1には電極(図示せず)を介して駆動電圧を印加する駆動回路5が接続され、補償用液晶パネル2には透明電極(図示せず)を介して視野角を変化させるための電圧を印加する補償電圧印加回路6が接続される。駆動用液晶パネル1は透過型または半透過型の画素構造を有し、画像を表示する。補償用液晶パネル2は駆動用液晶パネル1と独立に電圧を印加することができる。また、補償用液晶パネル2の電極を適当に分割することによって、同一の液晶式画像表示装置の表示面内の各部分において、使用環境や表示する内容に応じた視野角特性を選択的に表示することができる。
【0007】
これらの方法では、視野角を制限することによって使用者本人のみが特定の位置から正常に閲覧でき、これ以外の位置や角度からはディスプレイ画面上に表示される情報を正視できず、横からの覗き見等を防止できる。

【特許文献1】特開2005-265930号公報
【特許文献2】特開2001-274971号公報
【特許文献3】特表2005-517218号公報
【非特許文献1】Han-Yen Tu, Chau-Jern Cheng and Mao-Ling Chen; Optical image encryption based on polarization encoding by liquid crystal spatial light modulators; Journal of Optics A: Pure and Applied Optics; 2004; 6; pp.524-528.<http://www.iop.org/EJ/abstract/1464-4258/6/6/005>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本来的に液晶式画像表示装置内には画像データが含まれているため、上記の方法では漏洩電磁波の傍受による盗聴には対抗することができない。
【0009】
一方で、視覚復号型の秘密分散を用いた印刷物が知られている(特許文献2)。視覚復号型秘密分散法による画像の暗号化は、画像情報をノイズにしか見えない複数のドットパターンに分割したものをそれぞれ透明フィルム上に印刷し、その透明フィルムを重ね合わせることで、画像が復元されるものである。しかしながら、この手法は一点を表現するために複数の画素を使用するため、解像度、明度、コントラストが半減するという問題がある。
【0010】
さらに上記の視覚復号型秘密分散法を利用し、液晶ディスプレイに表示される文字等の白黒2値画像を暗号化する提案が非特許文献1に開示される。この液晶ディスプレイは、図2に示すように液晶層7、8を2つ備え、それぞれを入力信号用及び復号鍵用としている。そして図3に示すように入力信号用液晶層7と復号鍵用液晶層8に対して、液晶の配列を垂直と平行の2方向に分け、これらの液晶層を重ね合わせることで液晶層の位相遅れを用いた排他的論理和(XOR)によって復号化する。これにより光暗号化技術の一である偏光を用いた視覚復号型暗号によって、画像情報自体を暗号化できる。このため、仮に漏洩電磁波を傍受されたとしても暗号化された画像データであるため、復号情報がない限り情報を再現できない。しかしながら、この方法は白黒2値画像にしか適用できず、グレースケールやフルカラー表示等の多階調画像を復号化できないという問題があった。
【0011】
一方で特許文献3には、液晶ディスプレイの液晶レイヤを2つに分け、液晶セルの偏光回転によって暗号化、復号化を行う液晶ディスプレイが開示される。この液晶ディスプレイは偏光回転角度でセル単位の暗号化を図ることができるが、反面観察領域を制限することはできないため、背面や側面からの覗き見に対しては有効に排除できないという問題があった。
【0012】
本発明は、更にこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、暗号化画像の視覚的な復号と視野角の制限を同時に実現し、かつ高解像度の多値画像を暗号化してもコントラストに優れた液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の液晶式画像表示装置は、与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、画素構造を備え、画素ピッチが暗号用液晶パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段とを備え、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置し、暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、暗号化作動電圧印加手段で暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、復号鍵作動電圧印加手段で復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成されている。これにより、カラーやグレースケール等の多階調表示画像データを画素毎に暗号化して表示できるので、情報の漏洩を効果的に阻止できる。特に復元画像データ自体を液晶パネルに直接表示しない構成のため、表示データそのものを傍受しても情報を得ることができず、例えば漏洩電磁波の傍受による画像復元が試みられたとしても、暗号化されたデータしか表示できず、内容を確認できないため、このような盗聴に対して効果的なセキュリティを確保できる。また視野角を制限することで視野範囲や観察領域を制限でき、側面や背面からの覗き見を効果的に阻止できる。

【0014】
また第2の液晶式画像表示装置は、暗号用液晶パネルが、所定の画素ピッチと開口比を有する第1暗号液晶層と、第1暗号液晶層とほぼ等しい画素ピッチ及び開口比を有し、第1暗号液晶層と一定の距離を隔てて離間すると共に、重なるように配置された第2暗号液晶層とを有し、暗号化手段が暗号データを、第1暗号液晶層用の第1暗号データと、第2液晶用の第2暗号データに分割し、第1暗号データを第1暗号液晶層に、第2暗号データを第2暗号液晶層にそれぞれ与えることで、第1暗号液晶層と第2暗号液晶層とを介して暗号化データが暗号化されるよう構成できる。これにより、第1暗号液晶層と第2暗号液晶層の設置間隔と、画素ピッチと、開口比とを設定することにより、復号した画像を観察可能な観察領域を3次元的に制限でき、側方からの盗み見、あるいは後方からの盗み見に対して効果的に対応できる。
【0015】
さらに第3の液晶式画像表示装置は、復号鍵用液晶パネルが、所定の画素ピッチと開口比を有する第1復号鍵用液晶層と、第1復号鍵用液晶層とほぼ等しい画素ピッチ及び開口比を有し、第1復号鍵用液晶層と一定の距離を隔てて離間すると共に、重なるように配置された第2復号鍵用液晶層とを有し、復号鍵生成手段が復号鍵データを、第1復号鍵用液晶層用の第1復号鍵データと、第2復号鍵用液晶用の第2復号鍵データに分割し、第1復号鍵データを第1復号鍵用液晶層に、第2復号鍵データを第2復号鍵用液晶層にそれぞれ与えることで、第1復号鍵用液晶層と第2復号鍵用液晶層とを介して暗号化データが復号されるよう構成できる。これにより、第1復号鍵用液晶層と第2復号鍵用液晶層の設置間隔と、画素ピッチと、開口比とを設定することにより、復号した画像を観察可能な観察領域を3次元的に制限でき、側方からの盗み見、あるいは後方からの盗み見に対して効果的に対応できる。
【0016】
さらにまた第4の液晶式画像表示装置は、与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、観察面側と反対側に配置されるバックライト用光源と、観察面側に配置される第1偏光板と、第1偏光板と離間して配置され、第1偏光板と直交または平行となる偏光方向を備える第2偏光板と、第1偏光板及び第2偏光板の間に配置され、偏光回転素子を有する液晶パネルであって、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、第1偏光板と重なるように配置されて、暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、画素構造を備え、画素ピッチが暗号用液晶パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、暗号用液晶パネルと画素毎に一致させるよう配置されて、復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段とを備え、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置し、暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、暗号化作動電圧印加手段で暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、復号鍵作動電圧印加手段で復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、バックライト用光源を通じて観察面側に、第1及び第2偏光板を通じて暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成できる。また視野角を制限することで視野範囲や観察領域を制限でき、側面や背面からの覗き見を効果的に阻止できる。

【0017】
さらにまた第5の液晶式画像表示装置は、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとが合わせて3以上あるように構成できる。これにより、さらに暗号化を加えてセキュリティを高めることができる。
【0018】
さらにまた第6の液晶式画像表示装置は、暗号化手段が生成する暗号化データが、時間的に変化するよう構成できる。これにより、時間的に変化する暗号化データの解読を一層困難にできる。
【0019】
さらにまた第7の液晶式画像表示装置は、動画像の表示において、動画像を構成するフレーム毎に暗号化のパターンを変更できる。これにより、さらに暗号化を加えてセキュリティを高めることができる。
【0020】
さらにまた第8の液晶式画像表示装置は、与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、観察面側と反対側に配置されるバックライト用光源と、観察面側に配置される第1偏光板と、第1偏光板と離間して配置され、第1偏光板と直交または平行となる偏光方向を備える第2偏光板と、第1偏光板及び第2偏光板の間に配置され、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、第1偏光板と重なるように配置されて、暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、画素毎に偏光回転角度が異なるように配置した位相差板とを備え、暗号化手段が、位相差板の画素毎の偏光回転角度に応じて画像データを画素毎に、視覚復号型暗号に基づいて暗号化した暗号化データを生成し、暗号化作動電圧印加手段で暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、該暗号化データを画素毎に位相差板を重ねることで、画像データに対応した偏光回転角度が画素毎に得られ、バックライト用光源を通じて観察面側に、第1及び第2偏光板を通じて暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成できる。これにより、カラーやグレースケール等の多階調表示画像データを画素毎に暗号化して表示できるので、情報の漏洩を効果的に阻止できる。特に復元画像データ自体を液晶パネルに直接表示しない構成のため、表示データそのものを傍受しても情報を得ることができず、例えば漏洩電磁波の傍受による画像復元が試みられたとしても、暗号化されたデータしか表示できず、内容を確認できないため、このような盗聴に対して効果的なセキュリティを確保できる。

【0021】
さらにまた第9の液晶式画像表示装置は、位相差板を複数備えることができる。位相差板による偏光回転素子は着脱が自在であり、状況に応じて層数を変化させることが可能である。
【0022】
さらにまた第10の液晶式画像表示装置は、位相差板を着脱式に構成できる。これにより、異なる偏光回転角度のパターンを有する位相差板に交換したり、位相差板の枚数を変更する等して、セキュリティを更に高めることができる。
【0023】
さらにまた第11の液晶式画像表示装置は、与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置であって、画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルと、暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段とを備え、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置し、復号鍵用液晶パネルの対応画素毎の画素ピッチが、暗号用液晶パネルよりも相対的に縮小されるように、表示される復号鍵データのパターンを縮小、もしくは暗号化データのパターンを拡大し、暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、暗号化作動電圧印加手段で暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示すると共に、復号鍵作動電圧印加手段で復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成できる。これにより、カラーやグレースケール等の多階調表示画像データを画素毎に暗号化して表示できるので、情報の漏洩を効果的に阻止できる。特に復元画像データ自体を液晶パネルに直接表示しない構成のため、表示データそのものを傍受しても情報を得ることができず、例えば漏洩電磁波の傍受による画像復元が試みられたとしても、暗号化されたデータしか表示できず、内容を確認できないため、このような盗聴に対して効果的なセキュリティを確保できる。また視野角を制限することで視野範囲や観察領域を制限でき、側面や背面からの覗き見を効果的に阻止できる。特に、復号鍵用液晶パネルと暗号用液晶パネルの画素ピッチをハードウェア的に変更することなく、復号鍵データのパターンや暗号化データのパターンを縮小/拡大することで、画素ピッチの相対的な変化をソフトウェア的に実行でき、空間的な観察領域の制限をより低コストで実現できる。

【0024】
さらにまた第12の液晶式画像表示方法は、画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、観察面側と反対側に配置されるバックライト用光源と、観察面側に配置される第1偏光板と、第1偏光板と離間して配置され、第1偏光板と直交または平行となる偏光方向を備える第2偏光板と、第1偏光板及び第2偏光板の間に配置され、偏光回転素子を有する液晶パネルであって、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、第1偏光板と重なるように配置されて、暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用液晶パネルであって、所定の画素ピッチと開口比を有する第1暗号液晶層と、第1暗号液晶層とほぼ等しい画素ピッチ及び開口比を有し、第1暗号液晶層と一定の距離を隔てて離間すると共に、重なるように配置された第2暗号液晶層とを有する暗号用液晶パネルと、画素構造を備え、画素ピッチが暗号用液晶パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、暗号用液晶パネルと画素毎に一致させるよう配置されて、復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネルと、暗号用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための暗号化作動電圧印加手段と、復号鍵用液晶パネルの偏光回転素子を駆動するための復号鍵作動電圧印加手段とを備え、与えられた画像データを階調表示可能な液晶式画像表示装置に画像データを表示させる液晶式画像表示方法であって、暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、概暗号データを、第1暗号液晶層用の第1暗号データと、第2液晶用の第2暗号データに分割し、復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成する工程と、暗号化作動電圧印加手段で暗号用液晶パネルを駆動して該暗号化データを表示させるために、第1暗号データを第1暗号液晶層に、第2暗号データを第2暗号液晶層にそれぞれ与えると共に、復号鍵作動電圧印加手段で復号鍵用液晶パネルを駆動して該復号鍵データを表示する工程とを含み、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、バックライト用光源を通じて観察面側に、第1及び第2偏光板を通じて暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能としており、観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能としている。これにより、カラーやグレースケール等の多階調表示画像データを画素毎に暗号化して表示できるので、情報の漏洩を効果的に阻止できる。特に復元画像データ自体を液晶パネルに直接表示しない構成のため、表示データそのものを傍受しても情報を得ることができず、例えば漏洩電磁波の傍受による画像復元が試みられたとしても、暗号化されたデータしか表示できず、内容を確認できないため、このような盗聴に対して効果的なセキュリティを確保できる。また視野角を制限することで視野範囲や観察領域を制限でき、側面や背面からの覗き見を効果的に阻止できる。

【0025】
さらにまた第13の偏光演算型画像表示装置は、与えられた画像データを階調表示可能な偏光演算型画像表示装置であって、画像データを視覚復号型暗号に基づいて暗号化する暗号化手段と、暗号化手段で暗号化された暗号化データを復号する復号鍵データを生成する復号鍵生成手段と、画素構造を備え、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、暗号化手段で生成した暗号化データを表示するための暗号用パネルと、画素構造を備え、画素ピッチが暗号用パネルよりも縮小されており、画素毎に偏光回転素子を有すると共に、復号鍵生成手段で生成した復号鍵データを表示するための復号鍵用パネルとを備え、暗号用パネルと復号鍵用パネルとを一定の距離に離間させ、かつ画素毎に対応させるよう配置されており、暗号化手段が、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させることで画像データを視覚復号型暗号に基づき暗号化した暗号化データを生成すると共に、復号鍵生成手段が、画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成し、暗号化データを暗号用パネルに表示すると共に、復号鍵データを復号鍵用パネルに表示し、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に、暗号用パネルと復号鍵用パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能に構成されており、観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能に構成できる。上記構成によって、視覚復号型秘密分散法に基づいて偏光回転角度の加算により表現するよう映像信号を暗号化し、画像データの漏洩や傍受に対する安全性を高めることができる。さらに暗号データの画素位置の対応によって観察領域を制限でき、特定の距離に限定された観察位置においてのみ画像データを視認できるように設定でき、側面や背後からの覗き見に対してセキュリティを高めることができる。また偏光を利用することで、多階調表現が可能となり、従来の暗号化画像表示装置に比べ表現力を増した高精細な表示が実現できる。

【0026】
さらにまた第14の偏光演算型画像表示装置は、偏光回転素子に液晶を利用できる。これによって、画素毎に容易に暗号化が可能となる。
【0027】
さらにまた第15の偏光演算型画像表示装置は、偏光回転素子がパターン化された位相差板である。これにより、視野の制限と暗号化を安価に実現できる。
【0028】
さらにまた第16の偏光演算型画像表示装置は、暗号用液晶パネルと復号鍵用液晶パネルとが合わせて3以上とできる。これにより、さらに暗号化を加えてセキュリティを高めることができる。
【0029】
さらにまた第17の偏光演算型画像表示方法は、与えられた画像データを階調表示可能な偏光演算型画像表示装置に画像データを表示させる偏光演算型画像表示方法であって、画像データを視覚復号型暗号に基づき、画素毎に偏光回転素子の偏光回転角度を変化させるよう暗号化した暗号化データを生成すると共に、概暗号データを、第1暗号層用の第1暗号データと、第2暗号層用の第2暗号データに分割し、さらに画素毎に暗号化データの偏光回転角度に応じて画像データを復号するための偏光回転角度を設定した復号鍵データを生成する工程と、暗号化データを表示するための暗号用パネルに該暗号化データを表示させるために、第1暗号データを第1暗号層に、第2暗号データを第2暗号層にそれぞれ与え、一方で復号鍵データを表示するための復号鍵用パネルに該復号鍵データを表示する工程とを含み、画素毎に該暗号化データと復号鍵データを重ねることで、画像データに対応した適切な偏光回転角度が画素毎に与えられて、観察面側に配置される第1偏光板と、その反対面側に配置された第2偏光板を通じて暗号用パネルと復号鍵用パネルとの対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築可能としており、観察領域内において前記再構築された画像を再現する一方、観察領域を外れた領域では、ダミー画像を表示可能とできる。これにより、カラーやグレースケール等の多階調表示画像データを画素毎に暗号化して表示できるので、情報の漏洩を効果的に阻止できる。特に復元画像データ自体を液晶パネルに直接表示しない構成のため、表示データそのものを傍受しても情報を得ることができず、例えば漏洩電磁波の傍受による画像復元が試みられたとしても、暗号化されたデータしか表示できず、内容を確認できないため、このような盗聴に対して効果的なセキュリティを確保できる。さらに、第1暗号液晶層と第2暗号液晶層の設置間隔と、画素ピッチと、開口比とを設定することにより、復号した画像を観察可能な観察領域を3次元的に制限でき、側方からの盗み見、あるいは後方からの盗み見に対して効果的に対応できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法によれば、暗号化画像の視覚的な復号と視野角の制限を同時に実現し、かつ分解能や輝度の劣化も低減できる。特にパーソナルコンピュータや携帯電話などの液晶ディスプレイに貼付する従来のプライバシー保護フィルタと比較して、偏光を用いて視覚復号型暗号を実現するアルゴリズムを利用することで、視野角の制限のみならず、映像信号の暗号化によって漏洩電磁波を傍受されても画像データを構築できず、よりセキュリティを強固にできる。さらに、観察位置を左右及び奥行きで3次元的に制限でき、側面のみならず背後からの覗き見をも阻止でき、中間でのデータ漏洩のみならず最終出力段における情報漏洩にも対処できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法を例示するものであって、本発明は液晶式画像表示装置及び液晶式画像表示方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0032】
本発明者らは、液晶ディスプレイ等の液晶式画像表示装置の覗き見対策として、視覚復号型秘密分散法をディスプレイに応用し、白と黒のドットパターンによる画面表示と、透過と遮光のパターンによる復号マスクとを重ねて画像を復元する装置の研究を重ねた(図11、図12参照)。この技術では、画面に表示される画像自体が暗号化されているため、漏洩電磁波を傍受したとしても単なるノイズにしか見えず、情報を秘匿できる。さらに、画面に対してマスクのサイズや設置する距離を調節することで、画像が復元される観察領域を限定することもできる。しかしながら、この手法では1つの光点を表示するために複数の画素を使用するため、解像度や輝度、コントラストが減少するという問題があった。この問題を解消するために、偏光を利用した視覚復号型秘密分散法に関して、本発明者らは鋭意研究を重ね、本発明を着想するに至った。
【0033】
液晶式画像表示装置は、2枚の偏光板の間に偏光回転素子、すなわち液晶層を挟む構成としている。この偏光回転素子を複数の層に分割し、かつ複数の層を画素毎に重ね合わせることで画像データを復元する。複数の層に分割された液晶層は、暗号用液晶パネル、復号鍵用液晶パネルの組として機能し、これら単独では画像データを再現できないが、組み合わせることによって画像データを再現できる。これにより、使用者の目には、目的とする画像が認識される一方、液晶層で表示される画像信号自体は暗号化されたままであり、データとしては復号されていないため、万一これを何らかの手段で傍受したとしても、画像データを構築できない。これにより、漏洩電磁波を利用した電子的な盗聴等を効果的に排除できる。
【0034】
また、複数の層を組み合わせて画像データを再現する構成は、液晶層同士とする他、液晶層と位相差板との組み合わせ等によっても実現できる。すなわち、液晶層を利用すれば任意の偏光回転角度に設定できる一方、各層のデータをすべて傍受された場合は復号されるおそれがあるが、位相差板に暗号化したパターンで偏光回転角度を設けるという、ハードウェア的な復号パネルを利用する構成は、電子的な情報のみでは復号できないためセキュリティが高まる。また、物理的な位相差板を付加するのみで足りるため、ハードウェア構成を簡素化して安価な暗号化を実現できる利点も得られる。このように、偏光回転素子の一部を位相差板のパターンとすることにより、偏光回転素子への画像信号を傍受され復元される可能性を、さらに軽減することができる。また位相差板を複数枚用いると、一層復元を困難にできる。例えば、複数人が位相差板を所持することで、各人が位相差板を持ち寄って設置している間だけ、復号データを視認でき、情報アクセスを物理的に制限できる。さらには、位相差板のみで画像表示装置を構成することもできる。
(視野角制御)
【0035】
さらに、視野角を意図的に狭くし、観察領域を限定することで側方からの覗き見を阻止することもできる。観察領域は、各層の偏光回転素子の設置間隔と、画素ピッチと、開口比によって3次元的に決定される。観察領域内から見る場合は目的とする画像が認識されるが、観察領域外から見る場合は各層の偏光回転素子の画素がずれてしまうため、正常な画像が認識されない。これにより、周囲から斜め方向に見る盗み見を阻止できる。
【0036】
さらに、単に視野角を制限するのみならず、液晶式画像表示装置との遠近距離も制限できる。これにより、遠方から拡大してのぞき見る行為をも阻止できる。このように復号鍵用鍵画像の複数化による秘密分散を活用し、機密の高度化が可能となる。
【0037】
なお本明細書においては、便宜上、暗号・復号鍵と呼び分けているが、実際は秘密分散なので、どちらも等価なものであり、暗号と復号鍵を入れ替えることも可能である。また復号鍵データを復号鍵用液晶パネルに表示するとは、復号鍵データそのものを表示する他、復号鍵データに基づいて生成した表示データ(例えば復号鍵データの反転パターン)とすることもできる。秘密分散による画像の暗号化では、情報を複数の画像に分散し、それぞれの画像を「シェア画像」と呼ぶ。本明細書では、シェア画像の内、少なくとも一を「暗号」とし、少なくとも一を「復号鍵」とする。特に動画像を対象とする場合などには、「暗号」は一画面又は1フレーム毎に変化させることができる。また「復号鍵」は単一又は複数のパターンを使用することができる。もちろん、復号鍵も一画面毎に変化させてもよいことはいうまでもない。特に動画を暗号化する際は、暗号を生成する鍵となる乱数系列が固定の場合、すなわち鍵となる暗号データのパターンが固定の場合には、情報送信者から送られる暗号データの蓄積により、鍵となる暗号データが推測される虞が生じる。したがって、動画像を表示する際にはフレーム毎に固有の乱数系列に基づいて暗号化することで、セキュリティを高めることができる。またこの場合には偏光回転素子として位相差板よりも液晶を用いる構成が好ましい。
【0038】
以下、本発明の実施の形態に係る液晶式画像表示装置を、図4に基づいて説明する。図4に示す液晶式画像表示装置100は、バックライト用光源10と、第1偏光板20と、暗号用液晶パネル30と、復号鍵用液晶パネル40と、第2偏光板50とを備える。この液晶式画像表示装置100は、バックライト用光源10が発するバックライト光を、偏光板20、50と液晶パネル30、40で通過/非通過制御する透過型としている。また液晶式画像表示装置100はアクティブマトリックス方式を採用し、フルカラーやグレースケール等の画像データを階調表示可能としている。ただ、バックライトを使用しない反射型、あるいはバックライトと反射光を併用する半透過型の構成を採用することも可能である。
(バックライト用光源10)
【0039】
バックライト用光源10は、液晶のバックライトとして一般的に利用されるCCFL(Cold-Cathode Fluorescent Lamp:冷陰極蛍光灯)やLED(Light-Emitting Diode:発光ダイオード)等が好適に利用できる。
(第1偏光板20、第2偏光板50)
【0040】
偏光板は、光の振動方向に偏りをもたせるものであり、あらゆる方向に振動している自然光から一定方向に振動する光を取り出すフィルタである。光の偏りには、その方向によって直線偏光、円・楕円偏光があり、直線偏光に変える素子を特に偏光子と呼ぶ。直線偏光は位相差板等によって円・楕円偏光に変換されることが多く、これらは円偏光版、楕円偏光板と呼ばれる。
【0041】
第1偏光板20及び第2偏光板50は、図5に示すように互いに直交する方向を偏光方向とする偏光フィルタである。液晶式画像表示装置は図5に示すように、第1、第2偏光板20、50を直交配列させ、片側の偏光板を通過した光が液晶の配向状態に応じて反対側の偏光子を通過できるか否かが決まり、電圧によって液晶の配向状態を変化させて表示を制御している。すなわち、液晶に作動電圧を印加しない状態では、直交して配置された偏光板の偏光方向と並ぶように液晶がねじれ、一方の偏光板から入射された光は液晶によってねじられて、他方の偏光板を通過できる。すなわち、ON状態とできる。一方、液晶に作動電圧印加手段で作動電圧を印加して液晶を整列させると、光はねじられず、一方の偏光板から入射した光は他方の偏光板を透過できず、OFF状態となる。OFF状態は発光のない黒を表現する。このように液晶をシャッタとして機能させ、発光のON/OFFを制御する。さらにカラーフィルタを使用することで、カラー化、多値画像化が実現できる。この例では、256階調の表示を可能としている。
(暗号用液晶パネル30、復号鍵用液晶パネル40)
【0042】
液晶パネルは、暗号化データを表示するための暗号用液晶パネル30と、復号鍵データを表示するための復号鍵用液晶パネル40で構成される。各液晶パネルは、画素毎に偏光回転素子を有する。暗号用液晶パネル30、復号鍵用液晶パネル40の各偏光回転素子を、それぞれに設けた画素の対応する位置が一致するように、各液晶パネルが設置される。
【0043】
液晶パネルには、ねじれネマティック液晶、超ねじれネマティック液晶、平行配行ネマティック液晶等が適宜利用できる。液晶パネル内の液晶配向としては、垂直配向、平行配向(一軸配向)、反平行配向、ねじれ配向、ハイブリッド配向等の入射光の偏光状態、旋光方向を変化させることのできるもので、かつパネルへの電圧印加により入射光の偏光状態、旋光方向を変化させる程度を変えることのできるすべての液晶表示モードを用いることができる。
【0044】
特にハイブリッド配向とした場合、しきい値特性をもたないため、電圧印加に対して緩やかな液晶配向変化を起こし、複屈折性の調整が容易であり、視野角制御を精度よく行なうことが可能である。またねじれ配向とした場合、その旋光性の変化により表示を行なうことができるため、高コントラスト比の表示を得ることができ、表示品位を高くすることができる。さらに平行配向(一軸配向)、垂直配向とした場合、その配向状態の解析が容易であり、光学特性設計、復号鍵用液晶パネル40と暗号用液晶パネル30の印加電圧の最適化を容易に行なうことができ、視野角制御を簡便に行なうことができる。
【0045】
暗号用液晶パネル30内の液晶材料は、複屈折性を有し、電界により配向方向を変化させることができるものであればどのような液晶材料でも用いることができる。また上述した偏光板につき、液晶層に電圧を印加していないときに偏光の振動面が90°回転するとして、偏光板の透過方向が直交であり光を透過するタイプ(ノーマリホワイト)と、偏光板の透過方向が平行であり光を透過しないタイプ(ノーマリブラック)のいずれも使用することができる。
【0046】
復号鍵用液晶パネル40内の液晶材料は、複屈折性を有し、電界により配向方向を変化させることができるものであればどのような液晶材料でも用いることができる。復号鍵用液晶パネル40内の液晶配向としては、垂直配向、平行配向(一軸配向)、反平行配向、ねじれ配向、ハイブリッド配向等の入射光の偏光状態、旋光方向を変化させることのできるもので、かつパネルへの電圧印加により入射光の偏光状態、旋光方向を変化させる程度を変えることのできるすべての液晶表示モードを用いることができる。
【0047】
特に復号鍵用液晶パネル40をハイブリッド配向とした場合、その電圧依存性にしきい値特性をもたないため、電圧印加に対して緩やかな液晶配向変化を起こし、複屈折性の調整が容易であり、視野角制御を精度よく行なうことが可能である。さらに、ハイブリッド配向は暗号用液晶パネル30の透明電極界面付近に存在する電圧印加により応答しない液晶分子の影響を補償し、視野角を広くしやすい点で特に適している。
(暗号化作動電圧印加手段60、復号鍵作動電圧印加手段70)
【0048】
暗号用液晶パネル30と、復号鍵用液晶パネル40は、各々暗号化作動電圧印加手段60と、復号鍵作動電圧印加手段70とに接続され、液晶パネルに含まれる偏光回転素子を駆動する作動電圧を印加されて駆動する。この作動電圧印加手段は画素毎に独立してON/OFF及び階調を制御して駆動する液晶駆動ドライバを構成する。さらに暗号化作動電圧印加手段60と、復号鍵作動電圧印加手段70は、各々の動作を制御する暗号化手段80、復号鍵生成手段90と接続される。
(暗号化手段80)
【0049】
暗号化手段80は、外部から入力された画像データに基づいて暗号化データを生成する。生成された画像データに基づいて、暗号化作動電圧印加手段60を制御し、暗号用液晶パネル30の液晶を駆動してON/OFF制御する。
【0050】
液晶式画像表示装置に所望の画像データを表示するために、暗号用液晶パネル30と復号鍵用液晶パネル40の対応する画素の偏光回転素子に、偏光回転角度が与えられる。偏光回転角度は画素毎にランダムな比率で付与される。これにより、暗号用液晶パネル30と復号鍵用液晶パネル40とを組み合わせることで、画像データが再現できる。一方で、各液晶パネルには、復号前のデータのみしか残らないため、万一これらのデータを漏洩電磁波等により取得されたとしても、画像データが再現されることはない。
(復号鍵生成手段90)
【0051】
復号鍵生成手段90は、暗号化データに対応した復号鍵データを生成する。暗号化データと復号鍵データを重ね合わせることで、本来の画像データを表現するための正しい偏光面の回転角が得られる。
【0052】
上記の例では、画素毎に偏光回転角度を変更した暗号パターンを使用して、暗号解読を困難にしている。さらに、暗号パターンを一定とせず、例えば時間的に変化させることもできる。例えば、液晶式画像表示装置に動画像を表示する場合は、フレーム毎に暗号パターンを変更することで、暗号解読を一層困難にできる。
(視覚復号型暗号)
【0053】
本実施の形態では、暗号技術として視覚復号型秘密分散法(視覚復号型暗号)を採用している。秘密分散は、秘密情報を複数の鍵に分散しておき、そのうち一定数の鍵が揃って初めて秘密情報へのアクセスが許可される秘密管理法であり、情報を個人で管理する場合のリスクを軽減する効果がある。視覚復号型暗号は、秘密分散の新しいタイプであり、1994年にNaorとShamirによって提案された、秘密画像を複数枚の暗号化された画像に秘密情報を分散する暗号手法である。従来の視覚復号型暗号では、複数の画素(例えば4画素)で一画素を構成するため、解像度、明るさ、コントラストの面で劣り、画質が低下するという問題があった。これに対して本実施の形態では、偏光面の回転を利用した偏光式視覚復号型暗号を構築し、秘密としたい画像データを暗号化データと復号鍵データに分散することで、これら解像度、明るさ、コントラストの低下を阻止している。
【0054】
この様子を、図6に基づいて説明する。図6は、(a)バックライト、(b)第1偏光板20、(c)暗号用液晶パネル30、(d)復号鍵用液晶パネル40、(e)第2偏光板50、(f)出力光パターンを示している。この内、(b)第1偏光板20、(e)第2偏光板50については偏光の透過方向を示し、(c)暗号用液晶パネル30、(d)復号鍵用液晶パネル40については偏光面の回転を示している。ここでは、説明のため4画素のブロックパターンで2値画像を表示する例で、(f)に示すパターンに表示させるような画像データが入力されているとする。(b)第1偏光板20及び(e)第2偏光板50は、互いに直交するような偏光方向に固定されている。(c)暗号用液晶パネル30と(d)復号鍵用液晶パネル40は、各々図6に示すとおりの偏光回転角度を0と90°のパターンとしている。これらの2枚の液晶パネルを通過すると、4画素の左半分で90°、右半分で0となる。この結果、左半分では(a)バックライトから(b)偏光板に入射された光が(c)暗号用液晶パネル30、(d)復号鍵用液晶パネル40を介して(e)第2偏光板50を通過して、(f)出力光パターンの左半分を「明」とする。一方、右半分では光が透過されず、「暗」となる。このように液晶パネルの偏光回転角度を制御することで、1画素毎に暗号化を行い、情報表示のセキュリティを確保している。
【0055】
以上の例では、単純化のため画素の偏光回転角度を0又は90°のいずれかとしたが、±45°、30°等の中間値をとることも可能であることは言うまでもない。特に図4に示すように、任意の偏光回転角度を使用することで暗号化の精度をより高めることができる。
【0056】
次に図4に基づいて、偏光式視覚復号型暗号で光演算を行う様子を説明する。この液晶式画像表示装置100は、偏光回転素子が超ねじれネマティック液晶であり、各液晶パネルの偏光回転角度として0~180°、256階調の制御が可能であるとする。また暗号用液晶パネル30及び復号鍵用液晶パネル40を1次元方向に3画素とし、各画素を重ねるように配置している。暗号用液晶パネル30の偏光回転角度を、左から60°、10°、45°とし、一方復号鍵用液晶パネル40の偏光回転角度を左から30°、80°、45°としている。これにより、第2偏光板50を透過して得られる偏光は、3画素のいずれも90°となるので、光が透過し、1すなわち「明」もしくはONとなる。なお、光演算によって計90°とする他、270°とすることでも同様の効果が得られる。
【0057】
一方、暗号用液晶パネル30及び復号鍵用液晶パネル40のいずれにおいても、得られるデータは画像データそのものでなく、暗号化データ及び復号鍵データであって、仮に傍受されたとしてもそれのみでは画像データを復元することができない。したがって、液晶式画像表示装置の内部においても完全な画像データが存在しないため、このデータを傍受されたとしても情報が漏洩することはなく、セキュリティを高めることができる。
【0058】
なお、図4の例では、暗号用液晶パネル30の下に復号鍵用液晶パネル40を配置したが、この構成に限られず、暗号用液晶パネルの上に復号鍵用液晶パネルを配置することでも、同様の効果が得られる。
【0059】
また、暗号用液晶パネル、復号鍵用液晶パネルを一枚で構成する他、これらを複数の液晶パネルで構成することも可能である。例えば、図7に示す変形例のように暗号用液晶パネル30を第1暗号用液晶層31、第2暗号用液晶層32で構成し、第1暗号用液晶層31の偏光回転素子と第2暗号用液晶層32の偏光回転素子とを重ね合わせることで暗号化データを構築する。暗号化手段80は、暗号化データを第1暗号用液晶層用、第2暗号用液晶層用に分配する。これにより、各液晶層のデータによる暗号解読がより困難になり、セキュリティを向上できる。
【0060】
同様に、復号鍵用液晶パネルも複数層とできる。図8は、復号鍵用液晶パネル40を第1復号鍵用液晶層41、第2復号鍵用液晶層42で構成した例を示している。この場合は、復号鍵生成手段90が、復号鍵データを第1復号鍵用液晶層用、第2復号鍵用液晶層用に分配し、これらを重ね合わせることで復号鍵データを構築する。この構成でも、各液晶層のデータのみでの復号を困難としてセキュリティを向上できる。
【0061】
このように、液晶パネルを複数の液晶層で構成することにより、暗号化の精度が高まり、より復号化が困難でセキュリティを高めることができる。ただ、液晶層を多く設けると光量の低下を招くため、使用される液晶で要求される輝度等に応じて、液晶層の層数等を適宜決定する。
(偏光回転角度)
【0062】
次に、偏光回転角度の取り得る値により、暗号化の組み合わせパターンの総数を計算する。図8に係る液晶式画像表示装置において、偏光回転素子が超ねじれネマティック液晶の場合、各層では偏光回転角度として0~180°、256階調の制御が可能であるとする。一般の液晶ディスプレイを用いて表示する際の、ある画素における偏光回転角度をθsとすると、図8に係る液晶式画像表示装置を用いる場合の偏光回転角度は以下のように示すことができる。
【0063】
【数1】
JP0005087774B2_000002t.gif

【0064】
上式数1において、(Φm1+Φm2+Φd)の組み合わせは、Φm1・Φm2は自由な値を取り、上式を満たすΦdは180°の間に2点存在するため、256×256×2=131072通りとなる。
(θs=30°のとき、(Φm1+Φm2+Φd)が取り得る値は、30°、150°、210°、330°、390°、510°の6通りである。)
【0065】
このように偏光式視覚復号型暗号を用いることで、秘密画像の1画素を、暗号用液晶パネル・復号鍵用液晶パネルの1画素で表現できるため、解像度の劣化が無く、また復号後の画像のコントラストが向上する効果が得られる。
(視野角制御)
【0066】
上記の例では、暗号用液晶パネル30と復号鍵用液晶パネル40とは、対応する画素が一致するように、これらを重ねて配置している。暗号用液晶パネル30と復号鍵用液晶パネル40とを近接させて配置することで、広い視野角を確保できる。一方で、周囲からの覗き見を阻止するために、意図的に視野角を狭くすることが望まれる。このような視野角を制限する方式としては、液晶層のピッチを暗号用液晶層と復号鍵用液晶層で変更し、かつ、暗号用液晶パネル30と復号鍵用液晶パネル40との距離を一定間隔に離間させて、視野角を制限することで視野範囲を制限できる。
【0067】
この例を図9に基づいて説明する。この例では、暗号用液晶パネル30と復号鍵用液晶パネル40を離間させることで、正面の領域では偏光面の回転角が正しく得られる。一方、右領域では、液晶パネル同士が離間された間隔によって画素がずれて視認される結果、暗号用液晶パネル30と復号鍵用液晶パネル40とで正しい画素の組み合わせとならず、偏光面の回転角が異なって加算される結果、正常な画像データとして視認できない。同様に左側の領域においても、画素がずれて視認される結果正しい画像データとして視認できない。この結果、正面の位置でのみ正しい画像データとして視認でき、結果として視野角が制限され、上下左右からでは正しく視認できなくして、近傍の位置からの覗き見を阻止できる。
(ダミー画像の表示)
【0068】
また、上記の例では液晶式画像表示装置の正面においてのみ画像データを再現できるよう設計しており、視野範囲を外れた領域(図9において左右の領域)では、正常な画像を表示できないように構成している。ここで変形例として、正面位置で正常画像を表示させつつ、左右の領域では意図的に異なる画像を表示させることもできる。例えば、暗証番号を表示する液晶ディスプレイにおいて、右領域や左領域では、暗証番号でないダミー番号を意図的に表示させて、盗み見した者を攪乱できる。さらに、ダミー番号を特殊な報知番号に設定し、この番号を入力した場合に盗み見した者がいるおそれありとして警報を発する、あるいはしかるべき部署に通報する等の処理を行わせるようにして、このような者の検出を行うようにしてもよい。
【0069】
さらに、正面において画像データを再現させる構成の他、他の変形例として、意図的に上下左右のいずれかの位置で画像データを再現させるように構成することもできる。例えば、図9において右領域でのみ正しい画像データを表示させ、正面と左領域ではダミー画像データを表示させることも可能である。これにより、正面から見た画像が正しいデータであると信じさせて、盗み見行為を攪乱できる。
(位相差板45)
【0070】
上記の例では、暗号化データ及び復号鍵データのいずれも、偏光回転角度を制御可能な液晶パネルを使用して設定していた。この構成では、画素毎に、また時間毎に暗号パターンを変更できる利点が得られる。一方、2枚の液晶パネルを使用することで、液晶駆動ドライバが2つ必要となる。一方の液晶パネルは補償用等に併用することもでき、ハードウェア的な負担を低減することも可能であるが、複数の液晶及びその駆動回路が必要なため、回路が複雑化する上、コスト高となる。
【0071】
これに対して、偏光回転角度を固定した位相差板に、復号鍵データに相当する復号パターンを設けることで、液晶パネルを増やすことなく視覚復号型暗号化を実現できる。この例を、本発明の実施の形態2に係る液晶式画像表示装置を示す図10に基づいて説明する。図10に示す液晶式画像表示装置200は、バックライト用光源10と、第1偏光板20と、暗号用液晶パネル30と、位相差板45と、第2偏光板50とを備える。図4等と同じ部材は同じ番号を付し、詳細説明を省略する。この図に示す液晶式画像表示装置200は、復号鍵用液晶パネル40に代わって位相差板45を備えている。位相差板45は、液晶により発生する位相差を補償する(例えば色つき防止等)位相差フィルムである。また位相差フィルムには視野角拡大のための光学補償機能を備えるものも存在する。本実施の形態においては、使用目的に応じて視野角を決定し、その調整に位相差フィルムを使用することもできる。
【0072】
位相差板45は、復号鍵用パネルとして使用するため、画素毎に偏光回転角度を設けている。偏光回転角度は一律とせず、画素毎に異なるよう配置することで、暗号解読を困難にする。一方、復号鍵用パネルに設けられた画素毎の偏光回転角度のパターンに応じて、暗号化手段80は画像データの画素毎に偏光回転角度を調整した暗号化パターンを生成する。これにより、暗号化パターンに従い生成された暗号化データを暗号用液晶パネル30に表示し、暗号用液晶パネル30に位相差板45を重ねて観察面側から観察すると、暗号用液晶パネルと位相差板45との対応する画素を通過した光が、観察領域内においてのみ与えられた画像を再構築した、すなわち復号した画像データが視認できる。
【0073】
この位相差板45の偏光回転角度は、物理的に変更できず固定式となる。ただ、位相差板45を液晶式画像表示装置に着脱式とすることで、異なる偏光回転角度の位相差板45を用意し、交換することで暗号パターンを物理的に変更することが可能となる。
【0074】
さらに複数の位相差板45を装着可能とすれば、位相差板45すなわち復号パネルの層数を変更することもでき、使用用途や目的に応じて暗号パターンのみならず暗号の精度を変更することもできる。以上のようにして、XOR演算による二値画像ではない中間色の再現と、観察領域の制限とが可能なディスプレイが実現される。
(視覚復号型暗号)
【0075】
以下、視覚復号型暗号により表示画像の暗号化と観察領域の制限を両立する原理を説明する。図11は、モノクロ画像を暗号化する様子を示す説明図である。ここでは、暗号化したい秘密画像を構成する黒画素と白画素のそれぞれについて、2×2の補助画素から構成される画素の組合せで表現している。表示画像と復号鍵データの組合せによって、画素値が決まるため、表示画像もしくは復号鍵データだけでは、秘密画像の情報が一切漏れない。この方法により、暗号パターンを構成した例を図12に示す。復号鍵データのパターンをOHPシート等の透明なシートに複写し、表示画像の上に重ねると復号画像が得られる。復号には一切の計算を必要としない。復号鍵用パネルを縮小し、図13のように、画像表示面から一定の距離に設置することで、表示画素と復号鍵用パネルの画素が1対1に対応して見える視点位置が限定されるため、表示画像の暗号化と同時にディスプレイの観察領域を制限することができる。図13の例では、画像情報を2枚の画像に分散して暗号化する例を示しており、2枚の内一方を復号マスク、他方を表示画像とし、復号マスクのピッチと設置距離により観察位置を限定できる。この構成では、単純に視野角を制限しているだけではなく、観察距離を限定する効果がある。
(観察領域の制限)
【0076】
暗号化された画像は、復号鍵用パネルの補助画素と表示画像の補助画素が1対1に対応する視点位置から観察することで復号される。図14に示すように、表示画像の画素ピッチに比べて復号鍵用パネルのピッチを縮小し、画像表示面から一定の距離に復号鍵用パネルを設置する。復号鍵用パネルの補助画素のピッチをPM、表示画面上の補助画素のピッチをPD、表示画面から観察位置までの距離をZE、表示画面から復号鍵用パネルまでの距離をZMとするとき、以下の数2の関係が成立する位置に復号鍵用パネルを設置する必要がある。
【0077】
【数2】
JP0005087774B2_000003t.gif

【0078】
図14の構成は、多階調画像やカラー画像に対応できる。ただ図14の状態では、ピッチと配置間隔によって観察可能な位置が一点しかない。すなわち、観察領域が制限されすぎて、画素の欠け無し、かつクロストーク無しに秘密画像を観察可能な位置は1点となり、両眼で同時に観察できない。そこで、観察領域を拡大する必要があるため、表示画像の発光部の周りに黒領域を導入する。ここで、観察領域を得るために開口比を導入した構成を図15、図16に示す。これらの図において、図15が欠け無しの領域、図16がクロストーク無しの領域、をそれぞれ示している。ここで、開口幅をW、ピッチをPとすると、開口比aはa=W/Pで求めることができる。図15、図16において、表示画像の補助画素の開口幅をWD、開口比をaD、復号鍵用パネルの補助画素の開口幅をWM、開口比をaMとし、観察領域の幅を求める。画素全体が見える領域の幅Vdxは、図15の通り、暗号パネルと表示画像の補助画素の開口を結ぶ光線から決まり、以下の数3が成立する。
【0079】
【数3】
JP0005087774B2_000004t.gif

【0080】
また図16に示すように、クロストークが生じない領域の幅Vcxは、以下の通りである。
【0081】
【数4】
JP0005087774B2_000005t.gif

【0082】
で与えられる。観察領域の幅はクロストークと画素の欠けの2種類の条件で制限されるため、観察領域の幅を最大化するためには、数3と数4の右辺が等しくなることが必要である。その結果、aM=1が得られ、復号鍵用パネルの補助画素の開口比を1とすることが最適条件であることがわかる。観察領域の奥行きは、以下の数5のように制限される。
【0083】
【数5】
JP0005087774B2_000006t.gif

【0084】
【数6】
JP0005087774B2_000007t.gif

【0085】
1/(N-1)の1次の近似式より、数5と数6の右辺が等しくなる条件は、aM=1である。補助画素の開口比を1と設定する場合、数3、数4の右辺は0となるが、表示画像の補助画素の開口比を小さくすることで、数3、数4で示された観察領域がともに拡大する効果がある。あるいはPMをPDに近づけることで観察領域が拡大する。これは数2より、復号鍵用パネルを画像表示面に近づけることを意味し、密着により観察領域が制限されない事実に一致する。表示画像の開口比が実現ハードウェアの仕様によって制限されても、復号鍵用パネルのピッチと設置距離により、観察領域を調整可能である。以上のようにして、観察領域を幾何的に導出し、所望の大きさの観察領域を実現する設計指針を得ることができる。
【0086】
復号鍵用パネルのパターンが固定であっても、秘密画像の画素値に応じた偏光回転角度(x,y)を設定することで、異なる画像を表示可能である。ただし、セキュリティの観点では、多数の表示画像を蓄積と出現頻度の解析により、鍵のパターンを推定されるリスクが高まる。動画像の表示のような場合には、図17に示される実現形態において、フレーム毎に鍵パターンが変化することが望ましい。
【0087】
以上のように、液晶式画像表示装置は、液晶による偏光面の回転を用いることで、視野角の制限と暗号化された画像データの復号を同時に実現でき、データそのものが傍受されるリスクに対してもセキュリティを高めることができる。また表示画像の暗号化と同時に、観察領域の制限を行うこともできる利点を有する。
【0088】
なお、暗号化を解除して画像データをそのまま表示するモードや、必要に応じて視野角を調整するよう設定することもできる。すなわち、視野角制御及び/又は暗号化のON/OFFを切り替え自在に構成することで、使用目的や用途に応じた使い分けも可能となる。
(液晶式画像表示装置の試作)
【実施例】
【0089】
次に、液晶式画像表示装置を作成し、観察領域内の観察画像を観察することで、液晶パネルの積層による偏光演算を実証した。ここでは、出射側の偏光フィルムが取り除かれた液晶パネルと、入射側の偏光フィルムが取り除かれた液晶パネルを積層した構造、すなわち偏光フィルム-液晶パネル-液晶パネル-偏光フィルムの構造を備える液晶ディスプレイを製作した。製作した積層液晶パネルを図18に、画面の表示例として、黒背景における色見本の表示例を図19に、白背景における色見本の表示例を図20に、それぞれ示す。ここで2枚の液晶パネル同士の間隔は1cmである。画面表示例は、図19、図20に示すように背景の液晶パネルにおける偏光回転角度を0°(液晶パネルが単一であれば黒)とするときは、前景に表示された各画素は画素値に対して光強度が単調に増加する。一方、背景の液晶パネルにおける偏光回転角度を90°(液晶パネルが単一であれば白)とすると、前景の液晶パネルに表示された各画素の画素値に対して光強度が単調に減少した。これらの色の関係、すなわち積層液晶パネルに表示される背景又は前景の色と、観察される色との関係を表1に示す。表1より、背景の液晶パネルにおける偏光回転角度を0°にするときには、前景に表示された色がそのまま観察され、背景の液晶パネルにおける偏光回転角度を90°にすると、前景に表示された色の補色が観察され、偏光の回転による色の変化および多階調の表示原理が確認できた。
【0090】
【表1】
JP0005087774B2_000008t.gif

【0091】
この液晶ディスプレイに表示する画像データとして、偏光に基づく復号を可能にする暗号化が施された暗号画像の例を図21に示す。各画素は白と黒で表現される。また比較のため、この画像を従来の強度演算(白:透過、黒:遮光)に基づいて復号した結果も併せて図22に示す。また、偏光回転角の加算(白:偏光回転角度90°、黒:偏光回転角度0°)が行われる積層液晶パネルに表示した結果を図23に示す。
【0092】
これらの図から、液晶式画像表示装置では、観察領域内の画像、すなわち正面で視認される復号された画像と、観察領域外で視認される画像とを比較すると、暗号・復号鍵とも偏光を利用しているため、観察領域内では、白色が明るく表示されることが確認できた。特に図22に示す従来の方法では、復号結果である「TU」文字の白部分は白黒のランダムドット状(砂目模様)で表現されるのに対して、図23に示す本実施例による復号結果では、各画素で白/黒が決定され、白部分と黒部分のコントラスト向上していることが確認できた。さらに、この液晶ディスプレイを観察領域外から観察した様子を図24に示す。図24において(a)は観察領域の上からみた様子、(b)は下から見た様子、(c)は右から見た様子、(d)は左から見た様子を、それぞれ示している。これらの図に示すように、観察領域外では復号結果である「TU」文字は視認できない。これらの結果から、偏光面の回転角度の加算による暗号の復号の有効性と、観察領域の制限が実現できることが確認できた。
【0093】
このように秘密分散法を利用することで、秘密データをn枚(nは2以上)の暗号データに分散して、そのうちのk枚(kは2以上n以下)の重ね合わせにより、秘密データが復号されるように暗号化することが可能となる。暗号データを複数枚に分散することで、一層解読を困難にできる。なお、秘密データを分散させた複数枚の暗号データに動作機能上の区別はない。すなわち、暗号化データを表示させる暗号化層と復号鍵データを表示させる復号鍵層は、任意に設定できる。例えば、情報送信者から送信された暗号データを表示する偏光回転素子を暗号化層、ユーザが保有する暗号データを表示する偏光回転素子を復号鍵層としたり、逆にユーザが保有する側を暗号化層とし、送信データ側を復号鍵層とすることもできる。
【0094】
秘密分散法では、ユーザ毎に固有の乱数系列に基づいて秘密データを複数枚の暗号データに分散する。このとき、複数枚の内の一部を復号用の鍵となる復号用データとして用いることができる。例えば、秘密データを2枚の暗号データに分散するとき、1枚の暗号データをユーザが保有し、他方を情報送信者が所有する。任意の秘密データに対して、情報送信者はユーザが持つ暗号データにより復号可能となるように通信される暗号データを構成できる。また、秘密データを3枚以上の暗号データに分散するときは、通信される暗号データ1枚と復号用データ2枚の組み合わせ、もしくは通信される暗号データ2枚と復号用データ1枚の組み合わせが可能である。復号用データが2枚以上の場合には複数のユーザが復号用データを持ち寄ってはじめて復号がなされるように鍵を複数化できる。一方で通信される暗号データが複数枚ある場合には、アクセス権限の異なる複数のサーバの利用もしくは異なる複数の通信経路により暗号データを伝達することで、暗号データへのアクセスを、1枚の暗号データを用いる場合に比べて厳しく制限できる。これを利用すれば、情報アクセスに複数の監視者の決裁を必要とするような用途に好適に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
なお、以上の例では液晶式画像表示装置に適用した例について説明したが、液晶以外の偏光演算型画像表示装置も使用可能である。例えば、位相差板、磁気光学空間光変調素子、電気光学空間光変調素子等が利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】従来の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】従来の他の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図3】2次元平面の排他的論理和により偏光を用いた暗号化を実現する様子を説明する模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る液晶式画像表示装置を示す断面図である。
【図5】第1偏光板及び第2偏光板の配向方向と光の透過する状態を示す斜視図である。
【図6】偏光回転角度のパターンにより暗号化を行う様子を説明する模式図である。
【図7】本発明の変形例に係る液晶式画像表示装置を示す断面図である。
【図8】本発明の他の変形例に係る液晶式画像表示装置を示す断面図である。
【図9】本発明のさらに他の変形例に係る液晶式画像表示装置を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る液晶式画像表示装置を示す断面図である。
【図11】2値画像を暗号化する様子を示す説明図である。
【図12】観察領域を限定する様子を示す説明図である。
【図13】視覚復号型暗号を説明する説明図である。
【図14】復号鍵用パネルのピッチと設置距離の関係を示す説明図である。
【図15】画素の欠け無しに秘密画像が復号されて観察される領域を示す説明図である。
【図16】クロストーク無しに秘密画像が復号されて観察される領域を示す説明図である。
【図17】液晶パネルの積層による偏光暗号の復号の様子を示す説明図である。
【図18】実施例に係る液晶式画像表示装置の積層液晶パネルを示す斜視図である。
【図19】図18に表示した黒背景における色見本の表示例を示すイメージ図である。
【図20】図18に表示した白背景における色見本の表示例を示すイメージ図である。
【図21】視覚復号型暗号の例を示すイメージ図である。
【図22】従来の視覚複号型暗号である強度演算による復号結果を示すイメージ図である。
【図23】本発明の実施例に係る復号結果を観察領域内から視認するイメージ図である。
【図24】本発明の実施例に係る復号結果を観察領域外から視認するイメージ図である。
【符号の説明】
【0097】
100、200…液晶式画像表示装置
1…駆動用液晶パネル
2…補償用液晶パネル
3…観察者側の偏光板
4…反観察者側の偏光板
5…駆動回路
6…補償電圧印加回路
7…入力信号用液晶層
8…復号鍵用液晶層
10…バックライト用光源
20…第1偏光板
30…暗号用液晶パネル
31…第1暗号用液晶層
32…第2暗号用液晶層
40…復号鍵用液晶パネル
41…第1復号鍵用液晶層
42…第2復号鍵用液晶層
45…位相差板
50…第2偏光板
60…暗号化作動電圧印加手段
70…復号鍵作動電圧印加手段
80…暗号化手段
90…復号鍵生成手段
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図6】
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【図11】
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【図13】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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