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明細書 :周波数測定装置及び周波数測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5286524号 (P5286524)
登録日 平成25年6月14日(2013.6.14)
発行日 平成25年9月11日(2013.9.11)
発明の名称または考案の名称 周波数測定装置及び周波数測定方法
国際特許分類 G01R  23/10        (2006.01)
FI G01R 23/10 C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 18
出願番号 特願2008-510844 (P2008-510844)
出願日 平成19年3月22日(2007.3.22)
国際出願番号 PCT/JP2007/055885
国際公開番号 WO2007/119488
国際公開日 平成19年10月25日(2007.10.25)
優先権出願番号 2006079686
優先日 平成18年3月22日(2006.3.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年11月7日(2008.11.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】藤井 雄作
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】吉田 久
参考文献・文献 特開平7-245634(JP,A)
特開平7-312571(JP,A)
特開2001-119291(JP,A)
特開平9-113217(JP,A)
調査した分野 G01R 23/00~23/20
G01P 3/42~3/60
G01B 11/00~11/30
H04L 27/00~27/38、
7/00~7/10

23/10
特許請求の範囲 【請求項1】
入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第1のゼロクロス位置に対する第1の時刻として算出する第1の算出手段と、
前記波形情報の前記第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第2のゼロクロス位置に対する第2の時刻として算出する第2の算出手段と、
前記第1の時刻、前記第2の時刻、及び前記第1のゼロクロス位置と前記第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、前記波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定する測定手段と、
を含む周波数測定装置。
【請求項2】
前記第1の所定範囲は、第1のゼロクロス位置の前後同数のゼロクロス位置を含む範囲であり、
前記第2の所定範囲は、第2のゼロクロス位置の前後同数のゼロクロス位置を含む範囲である請求項1記載の周波数測定装置。
【請求項3】
入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第1のゼロクロス位置に対する第1の時刻として算出し、
前記波形情報の前記第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第2のゼロクロス位置に対する第2の時刻として算出し、
前記第1の時刻、前記第2の時刻、及び前記第1のゼロクロス位置と前記第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、前記波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定する
ことを特徴とする周波数測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数測定装置及び周波数測定方法に係り、特に、入力波形の周波数又は周期を測定する周波数測定装置及び周波数測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、周波数カウンタ等による周波数測定においては、入力波形のゼロクロス点(時刻)を測定し、複数(例えば、N+1個)のゼロクロスを含むN個の周期の時間Pを計算し、その時間Pにおける平均周期T(=P/N)、及び平均周波数f(=N/P=1/T)を計算している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の方法では、サンプリング間隔内に存在する複数のゼロクロスは、単に、波の数を数える目的にのみ使用されおり、時刻情報など使用していない情報が多いため、周波数測定における精度や分解能が低下してしまう、という問題がある。
【0004】
また、周波数測定の分解能を向上させるためには、サンプリング間隔を定めるNを大きくするしかなく、サンプリング間隔が拡大してしまう、という問題がある。
【0005】
また、周波数の測定において全波形を記録した後に信号処理を行う方法として、自己相関法などがあるが、信号処理に膨大な量の計算を要するため、実現困難な場合が多い、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数又は周期を測定することができる周波数測定装置及び周波数測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る周波数測定装置は、入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第1のゼロクロス位置に対する第1の時刻として算出する第1の算出手段と、前記波形情報の前記第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第2のゼロクロス位置に対する第2の時刻として算出する第2の算出手段と、前記第1の時刻、前記第2の時刻、及び前記第1のゼロクロス位置と前記第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、前記波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定する測定手段とを含んで構成されている。
【0008】
また、第2の発明に係る周波数測定方法は、入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第1のゼロクロス位置に対する第1の時刻として算出し、前記波形情報の前記第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、前記第2のゼロクロス位置に対する第2の時刻として算出し、前記第1の時刻、前記第2の時刻、及び前記第1のゼロクロス位置と前記第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、前記波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定することを特徴としている。
【0009】
第1の発明及び第2の発明によれば、入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、第1のゼロクロス位置に対する第1の時刻として算出し、また、波形情報の第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を、第2のゼロクロス位置に対する第2の時刻として算出する。
【0010】
そして、第1の時刻、第2の時刻、及び第1のゼロクロス位置と第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定する。
【0011】
従って、時刻計測対象となるゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値を用いて、波形情報の周期又は周波数を測定することにより、多くのゼロクロス位置の時刻を用いて測定しているため、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数又は周期を測定することができる。
【0012】
なお、ゼロクロス位置とは、波形情報が振動を示している場合に、振動方向が一方向から他方向へ反転する位置をいう。
【0013】
また、第3の発明に係る周波数測定装置は、入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々と、前記第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々との時刻の差を各々算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された時刻の差の平均値及び前記第1のゼロクロス位置と前記第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、前記波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定する測定手段とを含んで構成されている。
【0014】
また、第4の発明に係る周波数測定方法は、入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々と、前記第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々との時刻の差を各々算出し、前記算出された時刻の差の平均値及び前記第1のゼロクロス位置と前記第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、前記波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定することを特徴としている。
【0015】
第3の発明及び第4の発明によれば、入力された波形情報の第1のゼロクロス位置を含む第1の所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々と、第1のゼロクロス位置とは異なる第2のゼロクロス位置を含む第2の所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々との時刻の差を各々算出する。
【0016】
そして、算出された時刻の差の平均値及び第1のゼロクロス位置と第2のゼロクロス位置との間に存在する波の数に基づいて、波形情報の周期及び周波数の少なくとも一方を測定する。
【0017】
従って、時刻計測対象となるゼロクロス位置の各々を含む各所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻に基づいて算出される複数の時刻の差の平均値を用いて、波形情報の周期又は周波数を測定することにより、多くのゼロクロス位置の時刻を用いて測定しているため、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数又は周期を測定することができる。
【0018】
また、上記の第1の所定範囲を、第1のゼロクロス位置の前後同数のゼロクロス位置を含む範囲とし、第2の所定範囲を、第2のゼロクロス位置の前後同数のゼロクロス位置を含む範囲とすることができる。これにより、時刻計測対象となるゼロクロス位置の前後同数のゼロクロス位置の時刻情報を有効活用して、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数又は周期を測定することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の周波数測定装置及び周波数測定方法によれば、時刻計測対象となるゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻の平均値、又は時刻計測対象となるゼロクロス位置の各々を含む各所定範囲内の複数のゼロクロス位置各々の時刻に基づいて算出される複数の時刻の差の平均値を用いて、波形情報の周期又は周波数を測定することにより、多くのゼロクロス位置の時刻を用いて測定しているため、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数又は周期を測定することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る周波数測定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の周波数を計測する計測ルーチンの内容を示す流れ図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の波形情報を示すグラフである。
【図4A】ビート周波数及び基準周波数の測定データを示すグラフである。
【図4B】ビート周波数及び基準周波数の測定データから算出した錘体の変位速度を示すグラフである。
【図4C】変位速度から算出した錘体の変位を示すグラフである。
【図4D】変位速度から算出した錘体の加速度を示すグラフである。
【図4E】加速度から算出した錘体の慣性力を示すグラフである。
【図5】ビート周波数及び基準周波数の瞬時値に基づく慣性力とビート周波数の瞬時値及び基準周波数の平均値に基づく慣性力とを示すグラフである。
【図6】デジタイザを用いて計測した慣性力と周波数カウンタを用いて計測した慣性力とを示すグラフである。
【図7】慣性力と位置との関係を示すグラフである。
【図8A】通常の周波数測定アルゴリズムで測定した慣性力を示すグラフである。
【図8B】通常の周波数測定アルゴリズムにおいて、サンプリング数を大きくとって測定した慣性力を示すグラフである。
【図8C】本発明の第1の実施の形態に係る周波数測定アルゴリズムで測定した慣性力を示すグラフである。
【図9】本発明の第3の実施の形態の波形情報を示すグラフである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では、浮上質量法に基づいて、衝撃力に対する材料の力学的応答を求めるために周波数を高精度に測定する周波数測定装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
【0022】
ここで、浮上質量法は、浮上支持した質量(慣性質量)に作用する慣性力を光波干渉計を利用して高精度に取り出すことを特徴とする、変動する力の発生方法及び計測方法である。浮上質量法では、浮上支持した物体(慣性質量)に作用する慣性力を、光波干渉計により、超高精度に測定する。測定中に光波干渉計で測定するのは、物体にあてた信号光のドップラーシフト周波数fのみである。このドップラーシフト周波数fから、物体の速度v、位置x、加速度a、及び慣性力Fを数値微分や数値積分などによって求める。これにより、物体の速度v、位置x、加速度a、及び慣性力Fを、高精度に、かつ、完全に同期したデータとして、測定することができる。
【0023】
また、本実施の形態に係る周波数測定装置は、PCベースの計測システム(National InstrumentsのLabViewなど)であり、PCのPCIバスなどに後付で取り付けたデジタイザ(高速ADボード)で入力波形を丸ごと取り込み,その上で,様々な用途に向け,その波形を処理する。例えば,デジタルオシロスコープとして利用する場合や、スペクトラムアナライザとして利用することが想定される。
【0024】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る周波数測定装置10には、浮上支持した物体を取り付けるための浮上物体支持部12、及び光波干渉計14を備えた計測ユニットが設けられている。浮上物体支持部12は、摩擦抵抗の小さい静圧空気軸受を備えており、静圧空気軸受の可動部16が、軸受支持部18によって支持されている。
【0025】
可動部16は、水平方向を向くように軸受支持部18によって支持されており、また、軸受支持部18には、貫通孔が穿設されており、静圧空気軸受の可動部16は、この貫通孔を貫通するように配置されている。
【0026】
この貫通孔の内周面と可動部16の外周面との間には、可動部16の外周面全周に亘って圧縮空気層(約5~10μm)が形成されている。これにより、可動部16は、極めて小さい摩擦抵抗で可動部16の長さ方向に直進運動することが可能である。なお、図示を省略したが、圧縮空気は可動部16の一端から導入され、圧縮空気は、可動部16の中央部に形成された出口から、軸受支持部18の内周に形成された溝を介して、軸受支持部18の中央部に形成された入口に導かれる。そして、この圧縮空気は、軸受支持部18の内部配管を介して、軸受支持部18の貫通孔の内周面と可動部16の外周面との間に供給される。また、給気チューブを介して軸受支持部18に圧縮空気を直接導入するようにしてもよい。
【0027】
また、可動部16の側面後方には、光波干渉計を構成するコーナ・キューブ・プリズム20が光入出射側に後方を向けて固定されている。
【0028】
また、浮上物体支持部12には、軸受支持部18を載せるためのベース22が設けられ、ベース22はL字型となっており、ベース22の一部が、可動部16の端部に対向するように立設されている。ベース22の立設部の可動部16側の側面上方には、可動部16が当接するためのゴムブロック等で構成された緩衝材24が固定されている。
【0029】
ベース22の立設部と軸受支持部18との間に設定された基準位置には、基準位置で鉛直方向に沿った光路を形成するように、レーザダイオード26Aとフォトダイオード26Bとで構成された基準位置センサ26が配置されている。基準位置センサ26のフォトダイオード26Bは、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ及び逆変換するDAコンバータからなるコンバータ28とPCIバス30とを介してパーソナルコンピュータ32に接続されている。パーソナルコンピュータ32には、可動部16に作用する慣性力を計測するためのプログラムを記憶したROM、計測された時系列データを記憶するハードディスク等で構成された記憶媒体、及び記憶した時系列データを表示するLCDやCRT等で構成された表示装置が設けられている。
【0030】
光波干渉計14は、ゼーマンタイプのヘリウムネオンレーザ等から構成された光源34を備えており、この光源34から出射された光は、無偏光ビームスプリッタ36で第1の測定光と第1の参照光とに分光される。また、第1の測定光は、第2の偏光ビームスプリッタ38に入射され、第2の測定光と第2の参照光とに分光される。
【0031】
第2の測定光は、可動部16に固定された第1のコーナ・キューブ・プリズム20に入射され、第1のコーナ・キューブ・プリズム20で反転されて光路が180°変更され、再度第2の偏光ビームスプリッタ38に入射される。ここで、第2の偏光ビームスプリッタ38と第1のコーナ・キューブ・プリズム20との間の光路の方向は、可動部16の移動方向と平行になるように設定されている。また、第2の測定光は、第1のコーナ・キューブ・プリズム20で反転する際に、可動部16の変位速度に応じたドップラーシフト(ドップラ効果による周波数変化または位相変化)を生じ、反射光の状態が変化する。
【0032】
一方、第2の参照光は、第2の偏光ビームスプリッタ38から第2のコーナ・キューブ・プリズム40方向に反射され、第2のコーナ・キューブ・プリズム40で反転されて再度第2の偏光ビームスプリッタ38に入射され、第2の偏光ビームスプリッタ38で第1のコーナ・キューブ・プリズム20からの反射光(信号光)と干渉し、信号光と第2の参照光との周波数の差分に相当するビート周波数を生ずる干渉光が生じる。すなわち、光波干渉計14によって、信号光に生じた状態変化(信号光の周波数のドップラーシフト、または信号光の位相の変化)が、干渉光により検出される。
【0033】
干渉光は、第2の偏光ビームスプリッタ38から反射ミラー42と第1の偏光板(例えば、グラン・トンプソン・プリズム)44とを介して、フォトダイオードで構成された第1の光検出器46に入射される。そして、第1の光検出器46によって、干渉光のビート周波数fbeatに応じた電気信号に変換されて、この電気信号が第1の周波数カウンタ(model:R5363;manufactured by Advantest Corp.,Japan)48に入力されると共に、デジタイザ(model:5102;manufactured by National Instruments Corp.,USA)50に入力される。そして、第1の周波数カウンタ48によりビート周波数fbeatの測定値を表すデジタルデータが生成され、このデジタルデータが、GPIBカード52とPCIバス30とを介して、パーソナルコンピュータ32に入力される。また、デジタイザ50では、第1の光検出器46から出力される干渉光のビート周波数fbeatに応じた電気信号を、サンプリングレート20MS/sで記録し、ビート周波数fbeatに応じた電気信号が示す波形情報を記憶する。ここで、ビート周波数fbeatに応じた電気信号がサンプリングデータとして5000個記録されるようになっており、また、計測時間は0.25秒となっている。
【0034】
また、デジタイザ50に記録された波形情報は、PCIバス60を介して、パーソナルコンピュータ62に入力される。
【0035】
また、第1の参照光は、第2の偏光板54を介して、フォトダイオードで構成された第2の光検出器56に入射され、第2の光検出器56で、可動部16の静止状態に対応する基準周波数frestの電気信号に変換される。そして、この電気信号が入力される第2の周波数カウンタ58によって基準周波数frestの値を表すデジタルデータが生成され、このデジタルデータが、GPIBカード52とPCIバス30とを介して、パーソナルコンピュータ32に入力される。また、第2の光検出器56から出力される基準周波数frestの電気信号が、デジタイザ50でサンプル記録され、また、PCIバス60を介して、基準周波数frestの電気信号が示す波形情報が、パーソナルコンピュータ62に入力される。
【0036】
本実施の形態に係る周波数測定装置10の光源34では、周波数が3MHz程度異なり、かつ、一方が縦偏光の偏光成分を有し、他方が横偏光の偏光成分を有する2つの周波数レーザを用いている。無偏光ビームスプリッタ36は、両方の周波数レーザの偏光成分を均等に2分する。一方、第2の偏光ビームスプリッタ38は縦偏光成分を反射し、横偏光成分を透過する。
【0037】
無偏光ビームスプリッタ36によって2分された光の一方を、第2の偏光板54により45度の角度で切り出すことにより、光源34が発振する2つの周波数レーザの差周波数が、ビートとして観測される。
【0038】
一方、第2の偏光ビームスプリッタ38によって2分された一方の偏光(この場合、横偏光)の成分だけが、可動部16において反射されて、可動部16の速度に比例したドップラーシフトを受ける。第2の偏光ビームスプリッタ38で2分された2つの偏光成分は、再び、第2の偏光ビームスプリッタ38で合波され、この合波された光を第1の偏光板44によって45度の角度で切出すことにより、2つの周波数レーザの差周波数がビートとして観測される。
【0039】
ここで、横偏光成分は、可動部16の速度に比例したドップラーシフトを受けているため、結果として、第1の光検出器46で観測されるビート周波数fbeatは、第2の光検出器56で観測される周波数frestと比べると、ドップラーシフト分だけ異なっている。
【0040】
なお、2台の周波数カウンタ48、58の各々は、第1の光検出器46及び第2の光検出器56が出力する電気信号を、サンプリングレート(T=400/f)で、サンプリングデータとして、それぞれ2000個記録する。本実施の形態の設定では、2台の周波数カウンタ48、58は、休止時間なしで、入力信号400周期ごとに平均周波数を計算し、記録する。
【0041】
また、パーソナルコンピュータ62には、可動部16に作用する慣性力を計測する後述する計測ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROM、計測された時系列データを記憶するハードディスク等で構成された記憶媒体、及び記憶した時系列データを表示するLCDやCRT等で構成された表示装置が設けられている。
【0042】
次に、本実施の形態の計測ルーチンについて図2を用いて説明する。まず、パーソナルコンピュータ62を立ち上げ、図2に示す計測ルーチンを起動させると共に、フォトダイオード26B、第1の光検出器46、及び第2の検出部56にレーザ光が入射されるように、レーザダイオード26A及び光源34からレーザ光を発振させる。また、パーソナルコンピュータ32も同様に立ち上げる。このような状況で、初期段階として可動部16を長さ方向に手で押して、可動部16を慣性で移動させる。これにより、第1のコーナ・キューブ・プリズム20及び可動部16を一体とした物体(以下、錘体という)が慣性で移動する。なお、アクチュエータを設けて、このアクチュエータで錘体に初速(または、初期運動量、または初期運動エネルギー)を与えても良い。
【0043】
ステップ100において、基準位置センサ26から基準位置信号が入力されたか否かを判断し、レーザダイオード26Aからフォトダイオード26Bにいたるレーザ光を、可動部16が遮り、基準位置センサ26によって基準位置信号が生成されて、基準位置信号がコンピュータ62に入力されると、ステップ102において、トリガ信号をデジタイザ50に入力し、デジタイザ50を起動する。また、トリガ信号がデジタイザ50に入力されるときに、第1の周波数カウンタ48及び第2の周波数カウンタ58にもトリガ信号を入力し、これらを同時に起動する。これにより、デジタイザ50、第1の周波数カウンタ48、及び第2の周波数カウンタ58が、第1の光検出器46及び第2の検出部56からの電気信号を同期して検出するようになる。
【0044】
ここで、サンプリング数(例えば、5000個)を示すデータを、PCIバス60を介してパーソナルコンピュータ62からデジタイザ50に予め送信しておく。デジタイザ50は、第1の検出器46及び第2の光検出器56の各々に対して、予め定められたサンプリング数の電気信号を記録し、図3に示すような、サンプリング数の電気信号に基づく波形情報が、ビート周波数fbeat及び基準周波数frestの各々について、デジタイザ50に記録される。
【0045】
次のステップ104では、デジタイザ50から出力されるビート周波数fbeatの波形情報及び基準周波数frestの波形情報を全波形分取込む。
【0046】
ここで、図3に示すように、波形情報におけるサンプリング測定間隔P0、P1、・・・Pnの各々は、波の数で定められている。
【0047】
そして、ステップ106において、ビート周波数fbeatの波形情報及び基準周波数frestの波形情報の各々に対して、各サンプリング測定間隔Pj(サンプリング測定間隔は、Nj個の波のゼロクロス位置の時刻tによって定められる時間範囲(tjNj~t(j+1)Nj)とする)について、第1の時刻としてのサンプリング開始時刻Tj及び第2の時刻としてのサンプリング終了時刻Tj+1を算出する。ここで、サンプリング開始時刻Tjは、サンプリング開始位置のゼロクロス位置(例えば、時刻t2の位置)及び前後同数の2n個のゼロクロス位置を含む(2n+1)個のゼロクロス位置(ゼロクロス平均個数の半幅n=2とすると、t0、t1、t2、t3、t4、t5の位置)の平均時刻を、以下の(1)式によって算出される。
【0048】
【数1】
JP0005286524B2_000002t.gif

【0049】
また、サンプリング終了時刻Tj+1も同様に、サンプリング終了位置のゼロクロス位置(例えば、時刻t12の位置)及び前後同数の2n個のゼロクロス位置を含む(2n+1)個のゼロクロス位置(t10、t11、t12、t13、t14の位置)の平均時刻を算出する。
【0050】
なお、本実施の形態では、ゼロクロス位置を、マイナス側からプラス側へ移行する隣接する2つのサンプリング測定点の線形補間により求めている。また、ノイズの影響を考慮し、ゼロに非常に近いサンプリング測定点をゼロクロス位置と見なし、そのサンプリング測定点の時刻をそのまま用いている。また、サンプリング測定間隔内の波の個数Njは、サンプリング開始時刻Tjに対応するゼロクロス位置とサンプリング終了時刻Tj+1のゼロクロス位置との間に存在する波の数となっている。
【0051】
そして、ステップ108で、ビート周波数fbeatの波形情報及び基準周波数frestの波形情報の各々に対して、各サンプリング測定間隔Pjを、ステップ106で算出されたサンプリング開始時刻Tj及びサンプリング終了時刻Tj+1に基づいて、以下の(2)式によって算出する。
j=Tj+1-Tj (2)
なお、本実施の形態では、Njがサンプリング測定間隔を定める周期を示しており、例えば、Nj=10(j=0、1、・・・)となっている。
【0052】
そして、ステップ110で、ビート周波数fbeatの波形情報及び基準周波数frestの波形情報の各々に対して、サンプリング測定間隔Pj毎に、各サンプリング測定間隔Pj及び各サンプリング測定間隔Pj内の波の個数Njに基づいて、以下の(3)式によって、周波数fjを算出する。
j = Nj / Pj (3)
そして、ステップ112において、サンプリング測定間隔毎に、錘体(第1のコーナ・キューブ・プリズム20及び可動部16を一体とした物体)の速度vを以下の(4)式及び(5)式に従って演算し、可動部16の長さ方向の錘体の変位速度vを検出する。
v=λair・fDoppler/2 (4)
Doppler=-(fbeat-frest) (5)
ここで、λairは、空気の屈折率、fDopplerは、可動部16で反射したビーム光のドップラーシフト周波数である。
【0053】
次のステップ114では、この変位速度vを、サンプリング測定間隔で積分することにより、可動部16の長さ方向の錘体の変位(すなわち、基準位置を基準とした位置)xをサンプリング測定間隔毎に検出する。また、ステップ116において、可動部16の長さ方向の変位速度vを、サンプリング測定間隔で微分することにより、錘体の加速度αをサンプリング測定間隔毎に検出する。
【0054】
ここで、錘体が軸受支持部18で支持されていて、錘体と軸受支持部18との間に作用する摩擦力を無視できる場合には、錘体の質量をM、錘体の加速度をαとすると、錘体の慣性力Fは、F=M・αで表すことができる。
【0055】
したがって、ステップ118では、検出された加速度αと予め記憶されている錘体の質量Mとを乗算することにより、錘体の慣性力Fをサンプリング測定間隔毎に検出する。
【0056】
次のステップ120において、上記のステップ112~118によって算出された変位速度v、加速度α、位置x、及び慣性力Fの各データを時系列的にハードディスク等の記憶媒体に記憶保持する。
【0057】
そして、ステップ122において、キーボードの操作等により時系列データの表示指示があったか否かを判断し、表示指示があった場合にはステップ124において記憶媒体から時系列データを読み出して表示装置に表示する。また、時系列データをプリンタ等から適宜出力するようにしてもよい。
【0058】
また、上記では、デジタイザ50に記録されている波形情報に基づいて、パーソナルコンピュータ62で周波数等が計測される様子を説明した。パーソナルコンピュータ32においては、上記の処理と同時に、計測データの比較のために、周波数カウンタ48、58から取り込まれる周波数fbeat、frestに基づいて、各種データが計測される。
【0059】
次に、上記の周波数測定装置10によって、周波数fbeat、frest、変位速度v、加速度α、位置x、及び慣性力Fを計測した結果を図4A~図4Eに示す。この計測では、ゼロクロス平均個数の半幅n=100、サンプリング測定間隔内の波の数Nj=400(j=0、1、・・・)とした。図4A~図4Eにビート周波数fbeat、基準周波数frest、これらの周波数から算出した錘体の変位速度v、変位速度vを積分して算出した錘体の変位x、変位速度vを微分して算出した錘体の加速度α、錘体の質量Mに加速度αを乗算して算出した錘体の慣性力Fの測定結果を示す。
【0060】
また、図5に、測定された慣性力Fと時間との関係を示す。Fdigitizerは、fbeatの瞬時値とfrestの瞬時値とを用いて計算したものである。Fdigitizermは、fbeatの瞬時値とfrestの平均値(全測定時間における平均値)とを用いて計算したものである。両者の差(Fdigitizer-Fdigitizerm)が、ほぼゼロであることから、測定期間を通してfrestの変動が無視できる程度であることが分かる。このことより、図5に示したパルス状の波形の最後部付近で観測される波形の乱れが、frestの変動に起因するものでなく、fbeatの変動に起因するものであることが分かる。
【0061】
次に、図6に、デジタイザ50を用いた周波数測定から算出した慣性力Fdigitizerと、第1の周波数カウンタ48及び第2の周波数カウンタ58を用いた周波数測定から算出した慣性力Fcounterとの比較を示す。測定結果を比較すると、上述したデジタイザ50を用いた周波数測定が高精度かつ低ノイズに行われていることが分かる。なお、デジタイザ50における周波数のサンプリングレートは、Nj=400であるので、周波数カウンタのサンプリングレートと全く同一である。すなわち、図6中で、Fcounterの測定点である白丸がある時刻に、必ず、Fdigitizerの測定点がある。
【0062】
また、図7に、上記の処理により測定した慣性力Fdigitizerと、位置(試料の押し込み深さ)xとの関係を示す。高精度かつ高分解能な測定が実現していることが分かる。
【0063】
次に、図8A~図8Cに、図4A~図7と同一の測定データを用いた場合のN及びnの効果を示す。図8A~図8Cは、図1の構成の周波数測定装置10で、デジタイザ50を用いて測定した周波数から算出した慣性力Fdigitizerと時刻tとの関係を示し、図8Aは、通常の周波数測定アルゴリズムで、N=400、n=0とした場合であり、図8Bは、通常の周波数測定アルゴリズムで、N=4000、n=0とした場合である。図8Aと図8Bとを比較すると、図8Bでは、サンプリング測定間隔内の波の数Nを大きく取ったことにより、ノイズは大幅に低減されているが、その分、測定間隔が粗くなっている。また、図8Cは、本実施の形態のように、ゼロクロス平均個数の半幅nを導入し、N=400、n=100とした場合であり、図8Aと同様に測定間隔が細かく、かつ、図8Bと同程度のノイズ低減を達成している。また、この実験例では、図8Cにおいて、パルスピーク付近の力の振動を捉えることに成功したことを示している。
【0064】
ここで、本発明の原理をより一般的に表現すると、以下のように表現される。すなわち、被測定信号(入力信号)について、所定の時刻帯である時刻・位相決定時刻帯に含まれる波形情報から、入力信号の位相θ1(rad/s)と時刻t1(s)とを求める。次に、別の時刻帯に含まれる情報から、入力信号の位相θ2(rad/s)と時刻t2(s)とを求める。その結果から、2つの時刻t1、t2の間に存在する波の数は、(θ2-θ1)/2π と計算される。したがって、周期T(s)及び周波数f(Hz)は、以下のように計算できる。
T = (2π)(t2-t1)/(θ2-θ1
f = 1/T
また、時刻・位相決定時刻帯を入力信号のゼロクロス位置の個数で規定し、例えば、あるゼロクロス位置の前後n個、合計(2n+1)個のゼロクロス位置が存在する範囲を時刻・位相決定時刻帯とする。そして、位相θ=mπ(mは整数)のゼロクロス位置の時刻tを、(2n+1)個のゼロクロス位置の時刻の平均値を用いて求めている。
【0065】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る周波数測定装置によれば、サンプリング開始位置に対応するゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置の時刻の平均値と、サンプリング終了位置に対応するゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置の時刻の平均値とを用いて、波形情報の周波数を測定することにより、多くのゼロクロス位置の時刻を用いているため、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数を測定することができる。
【0066】
また、サンプリング開始位置及びサンプリング終了位置の各々のゼロクロス位置の前後同数のゼロクロス位置の時刻情報を有効活用して、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数を測定することができる。
【0067】
また、従来の手法(すなわち、サンプリング開始位置及び終了位置のゼロクロス位置の時刻のみを用いて周波数を測定する方法)では、デジタイザの性能が一定という条件下において、周波数の測定分解能をあげるには、Nを大きくするしかなく、Nを大きくすることは、サンプリング間隔の拡大(悪化)を意味していた。しかし、本実施の形態によれば、ゼロクロス平均個数の半幅nの導入により、サンプリング間隔の拡大を招くことなく、周波数の測定分解能を向上させることが可能となる。
【0068】
また、本発明の実施の形態において、サンプリング開始位置又はサンプリング終了位置のゼロクロス位置及び前後同数のゼロクロス位置を含む「平均化を実施する区間」の導入により、「測定区間」の定義が、通常の周波数カウンタのアルゴリズムによるものとは、異なったものになる。このことは、図8A~図8C、および、その説明において、端的に示されている。すなわち、本発明のアルゴリズムを用いることにより、ごく僅かな「測定区間」の拡大(平均化区間程度の拡大)により、A/D変換され取得された波形情報に対して、時間軸上、及び電圧軸上における大きな平均化効果を得ることができる。このことは、A/D変換における時間軸上のノイズ、及び電圧軸上のノイズの大幅な低減が達成されると解釈することもできる。
【0069】
本発明の実施の形態に係る周波数測定装置によれば、A/D変換における時間軸上のノイズ、あるいは、電圧軸上のノイズが問題になるような極限域における、周波数測定(又は周期測定)における時間分解能(又はサンプリング間隔)、及び周波数分解能(又は周期分解能)の両方を向上させる。一方、通常の周波数測定や周期測定器においては、通常、A/D変換における時間軸上のノイズ、あるいは、電圧軸上のノイズが問題になっており、周波数測定(又は周期測定)における時間分解能(又はサンプリング間隔)、及び周波数分解能(又は周期分解能)がトレードオフの関係にある。
【0070】
なお、上記の実施の形態では、デジタイザによって記録された全波形測定値に基づいて波形情報の周波数を測定する方法を示したが、上記の(1)式~(3)式によるアルゴリズムを、通常の周波数カウンタに内蔵するアルゴリズムとしても適用しても良い。この場合には、n=2、N=10とすると、ハードウェア(電気回路)として、以下のように実現することができる。まず、全部で(2n+1)×2=10個の時刻情報を記録する10個のレジスタを用意し、5個のレジスタの記憶値を平均する平均化回路を用意する。そして、平均化回路の出力が、通常のカウンタで取り扱う測定時間の両端の時刻に相当するように構成すればよい。
【0071】
また、サンプリング開始位置における(2n+1)個のゼロクロス位置とサンプリング終了位置における(2n+1)個のゼロクロス位置とが重複していない場合を例に説明したが、サンプリング開始位置に対応するゼロクロス位置とサンプリング終了位置に対応するゼロクロス位置とが異なっていれば、各々の(2n+1)個のゼロクロス位置が一部重複していてもよい。
【0072】
また、周波数を算出する場合を例に説明したが、波形情報の周期を算出するようにしてもよい。その場合には、サンプリング測定間隔を、サンプリング測定間隔内に存在する波の数で除算して、波形情報の周期を算出すればよい。これにより、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で波形情報の周期を測定することができる。
【0073】
また、タイムインターバル測定を行うようにしてもよい。この場合には、タイムインターバルアナライザの内部動作アルゴリズムを、測定時間の開始位置に対応するゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置の時刻の平均値と、測定時間の終了位置に対応するゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置の時刻の平均値とを用いて、タイムインターバル測定を行うアルゴリズムにすればよい。
【0074】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、サインフィッティングを適用して、サンプリング測定間隔内の波形の時刻及び位相を取得している点が第1の実施の形態と異なっている。なお、周波数測定装置の構成は、第1の実施の形態の構成と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
周波数測定装置10のパーソナルコンピュータ62は、デジタイザ50から波形情報を取り込むと、時刻及び位相決定時刻帯であるサンプリング測定間隔内の波形を、最小二乗法などにより適当な近似曲線(sin(ωt+θ0)など)でフィッティングする。これにより、サンプリング測定間隔内における時刻及び位相が既知となるため、第1の実施の形態と同様に、所定のゼロクロス位置の時刻を平均化して、サンプリング開始時刻及びサンプリング終了時刻の各々を算出し、周波数等のデータを計測する。
【0076】
また、2つのサンプリング測定間隔の位相接続(2πの何倍だけ離れているかの判定)については、測定間隔間のゼロクロスの数を数える方法を用いることが好ましい。
【0077】
なお、サインフィッティングを用いる方法として、次の2つの場合が考えられる。サインフィッティングを用いる方法の一方は、個々のゼロクロス位置を求める目的で、第1の実施の形態における線形補間の代わりに、サインフィッティングを用いる方法であり、この場合、回帰に用いる範囲は、1/4周期前後となっている。なお、フィッティングする目的関数は正弦波でなく、多項式等でもよい。3次程度の多項式であれば、フィッティングに要する計算時間を節約できるメリットがある。
【0078】
また、サインフィッティングを用いる方法のもう一方は、数周期程度以上の多くの区間でy=Asin(ωt+θ0)でフィッティングする方法であり、A、ω、θ0を最小二乗法などにより求める。この場合、1回のサインフィッティングにおいて、多周期に渡る平均化操作を行う形になる。この操作を、少しずつ重複を持たせながらシフトした区間に対して行うことで、より高い効果が得られる。
【0079】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と周波数測定装置の構成は同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
図9に示すように、サンプリング測定間隔は、複数の測定間隔に基づいて算出され、以下の(6)式及び(7)式に基づいて、サンプリング測定間隔Pjは、2n+1個(例えば5個)の測定間隔の平均として算出される。
j,k = tNj+N+k - tNj+k (6)
【0081】
【数2】
JP0005286524B2_000003t.gif

【0082】
サンプリング開始位置のゼロクロス位置を含む5個のゼロクロス位置の時刻の各々と、サンプリング終了位置のゼロクロス位置を含む5個のゼロクロス位置の時刻の各々とを用いて、ゼロクロス位置を一つずつずらしながら、各々測定間隔を算出し、算出された測定間隔を平均化することにより、サンプリング測定間隔Pjを求める。
【0083】
そして、サンプリング測定間隔Pj及びゼロクロス位置の個数Njに基づいて、以下の(8)式によって、周波数fjが算出される。
j = Nj / Pj (8)
このように、本実施の形態では、サンプリング測定間隔を求める段階で平均操作を行う。これに対し、第1の実施の形態では、ゼロクロス位置の時間を求める段階で平均操作を行っているが、第1の実施の形態と第3の実施の形態とにおける周波数を算出するアルゴリズムは数学的に等価である。
【0084】
なお、Nの大きさの設定方法については、大きく分けて、通常の周波数カウンタと同様に2通りある。すなわち、Nを設定値として一定とする方法と、目標サンプリング時間を設定値としてNを可変とする方法とがある。Nを一定として設定する方法では、入力周波数に応じて、サンプリング時間は変化する。(サンプリング時間はNと入力周波数の周期との積である。)一方、目標サンプリング時間を設定値とする方法では、サンプリング時間が目標時間に最も近くなるように、Nをその都度変化させる。
【0085】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る周波数測定装置によれば、サンプリング開始位置となるゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々と、サンプリング終了位置となるゼロクロス位置を含む所定範囲内の複数のゼロクロス位置の各々とを用いて、ゼロクロス位置をずらしながらサンプリング測定間隔を各々算出し、サンプリング測定間隔の平均値を用いて、波形情報の周波数を測定することにより、多くのゼロクロス位置の時刻を用いているため、サンプリング間隔を拡大させることなく、高精度かつ高分解能で周波数を測定することができる。
【0086】
なお、(6)式~(8)式に基づく上記のアルゴリズムを、通常の周波数カウンタに内蔵するアルゴリズムとして適用してもよい。しかし、その場合には、周波数カウンタの必要数が増えてしまうため、周波数カウンタに内蔵するアルゴリズムとして適用する場合には、第1の実施の形態に係る(1)式~(3)式に基づくアルゴリズムを適用することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
衝撃力に対する材料の力学的応答を求めるために周波数を計測する計測装置に適用することによって、材料に関して高精度な測定データを得ることができる。また、本発明を、周波数カウンタや、PCベースの周波数測定システムの、動作アルゴリズムとして適用することにより、計算時間を過大にすることなく、単一周波数測定の精度を大幅に向上することができる。
【符号の説明】
【0088】
10 周波数測定装置
32、62 パーソナルコンピュータ
46、56 光検出器
48、58 周波数カウンタ
50 デジタイザ
j 周波数
beat ビート周波数
rest 基準周波数
j サンプリング測定間隔
j サンプリング開始時刻
j サンプリング終了時刻
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図4A】
2
【図4B】
3
【図4C】
4
【図4D】
5
【図4E】
6
【図5】
7
【図6】
8
【図7】
9
【図8A】
10
【図8B】
11
【図8C】
12
【図9】
13
【図1】
14