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明細書 :光ファイバ型センサおよび光ファイバ型センサシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4310606号 (P4310606)
公開番号 特開2003-214906 (P2003-214906A)
登録日 平成21年5月22日(2009.5.22)
発行日 平成21年8月12日(2009.8.12)
公開日 平成15年7月30日(2003.7.30)
発明の名称または考案の名称 光ファイバ型センサおよび光ファイバ型センサシステム
国際特許分類 G01D   5/353       (2006.01)
G01B  11/16        (2006.01)
FI G01D 5/26 D
G01B 11/16 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 18
出願番号 特願2002-013249 (P2002-013249)
出願日 平成14年1月22日(2002.1.22)
審判番号 不服 2006-018420(P2006-018420/J1)
審査請求日 平成17年1月13日(2005.1.13)
審判請求日 平成18年8月24日(2006.8.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000080
【氏名又は名称】タマティーエルオー株式会社
発明者または考案者 【氏名】渡辺 一弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100094053、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 隆久
参考文献・文献 国際公開第97/48994(WO,A1)
実開昭60-8820(JP,U)
特開昭61-296214(JP,A)
調査した分野 G01D5/26-5/38
G01B11/00-11/30
特許請求の範囲 【請求項1】
コアおよびクラッドを有する第1および第2の光ファイバと、前記第1および第2の光ファイバの間に位置し、その両端部が前記第1および第2の光ファイバと融着接合されており、長手方向と直交する方向の応力印加に応じて屈曲可能であり、前記第1および第2の光ファイバとコア径が異なるヘテロ・コア部である光透過部材または前記第1および第2の光ファイバのコアの屈折率またはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材とを有するセンサ用光ファイバと、
前記光透過部材を有するセンサ用光ファイバの一端部を保持する第1の保持部材と、
前記第1の保持部材と所定の距離をおいて配置され、前記光透過部材を挟んで前記センサ用光ファイバの他端部を保持する第2の保持部材と
中空構造を有して内部に前記センサ用光ファイバ、前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材が収容されたロッドであり、前記中空の前記ロッドの内部に支持ロッドが挿入されており、前記第1の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点と前記第2の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点とを結ぶ方向と同一の方向に応力が印加されて前記ロッドにたわみが生じたとき、前記中空構造に対して同心に保持されていた前記支持ロッドにより所定の位置関係に保持されていた前記第1および第2の保持部材の距離が前記たわみにより縮まり、前記光透過部材を中心として前記センサ用光ファイバが曲率半径8mm以上の範囲で屈曲するように、前記第1の保持部材が前記支持ロッドに接続され、前記第2の保持部材が前記中空構造の内壁に接している、ロッドと、
前記応力が解除されて前記ロッドの前記たわみが解消したときに前記光ファイバを前記屈曲状態から前記所定の位置関係に復帰させる圧縮バネと
を有し、
前記光透過部材の屈曲に応じて、前記センサ用光ファイバに光伝送の損失が生じる
ロッドセンサ
【請求項2】
コアおよびクラッドを有する第1および第2の光ファイバと、前記第1および第2の光ファイバの間に位置し、その両端部が前記第1および第2の光ファイバと融着接合されており、長手方向と直交する方向の応力印加に応じて屈曲可能であり、前記第1および第2の光ファイバとコア径が異なるヘテロ・コア部である光透過部材または前記第1および第2の光ファイバのコアの屈折率またはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材とを有するセンサ用光ファイバと、
前記光透過部材を有するセンサ用光ファイバの一端部を保持する第1リンク用保持部材と、
前記第1リンク用保持部材と所定の距離をおいて配置され、前記光透過部材を挟んで前記センサ用光ファイバの他端部を保持する第2リンク用保持部材と
中空構造を有して内部に前記センサ用光ファイバ、前記第1リンク用保持部材及び前記第2リンク用保持部材が収容されたロッドであり、前記中空の前記ロッドの内部において前記第1リンク用保持部材及び前記第2リンク用保持部材を接続するリンク機構が設けられており、前記第1リンク用保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点と前記第2リンク用保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点とを結ぶ方向と同一の方向に応力が印加されて前記ロッドに縮みが生じたとき、所定の位置関係に保持されていた前記第1および第2リンク用保持部材の距離が前記縮みにより縮まり、前記光透過部材を中心として前記センサ用光ファイバが曲率半径8mm以上の範囲で屈曲するように、前記第1リンク用保持部材及び前記第2リンク用保持部材が前記リンク機構に接続している、ロッドと
を有し、
前記応力が解除されて前記ロッドの前記縮みが解消したときに前記リンク機構が前記光ファイバを前記屈曲状態から前記所定の位置関係に復帰させ、
前記光透過部材の屈曲に応じて、前記センサ用光ファイバに光伝送の損失が生じる
ロッドセンサ
【請求項3】
コアおよびクラッドを有する第1および第2の光ファイバと、前記第1および第2の光ファイバの間に位置し、その両端部が前記第1および第2の光ファイバと融着接合されており、長手方向と直交する方向の応力印加に応じて屈曲可能であり、前記第1および第2の光ファイバとコア径が異なるヘテロ・コア部である光透過部材または前記第1および第2の光ファイバのコアの屈折率またはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材とを有するセンサ用光ファイバを複数直列に接続したセンサ用光ファイバラインと、
前記センサ用光ファイバに対してそれぞれ設けられた、前記光透過部材を有するセンサ用光ファイバの一端部を保持する第1の保持部材と、
前記センサ用光ファイバに対してそれぞれ設けられた、前記第1の保持部材と所定の距離をおいて配置され、前記光透過部材を挟んで前記センサ用光ファイバの他端部を保持する第2の保持部材と
前記センサ用光ファイバに対してそれぞれ設けられた、中空構造を有して内部に前記センサ用光ファイバ、前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材が収容されたロッドであり、前記中空の前記ロッドの内部に支持ロッドが挿入されており、前記第1の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点と前記第2の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点とを結ぶ方向と同一の方向に応力が印加されて前記ロッドにたわみが生じたとき、前記中空構造に対して同心に保持されていた前記支持ロッドにより所定の位置関係に保持されていた前記第1および第2の保持部材の距離が前記たわみにより縮まり、前記光透過部材を中心として前記センサ用光ファイバが曲率半径8mm以上の範囲で屈曲するように、前記第1の保持部材が前記支持ロッドに接続され、前記第2の保持部材が前記中空構造の内壁に接している、ロッドと、
前記センサ用光ファイバに対してそれぞれ設けられた、前記応力が解除されて前記ロッドの前記たわみが解消したときに前記光ファイバを前記屈曲状態から前記所定の位置関係に復帰させる圧縮バネと、
前記センサ用光ファイバラインに検出用の光を入射する光入射手段と、
前記検出用の光を受光する受光手段と、
を有し、
前記検出用の光により、前記光透過部材の屈曲に応じた前記センサ用光ファイバの光伝送の損失を検出し、前記ロッドのたわみを測定する
ロッドセンサシステム。
【請求項4】
コアおよびクラッドを有する第1および第2の光ファイバと、前記第1および第2の光ファイバの間に位置し、その両端部が前記第1および第2の光ファイバと融着接合されており、長手方向と直交する方向の応力印加に応じて屈曲可能であり、前記第1および第2の光ファイバとコア径が異なるヘテロ・コア部である光透過部材または前記第1および第2の光ファイバのコアの屈折率またはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材とを有するセンサ用光ファイバを複数直列に接続したセンサ用光ファイバラインと、
前記センサ用光ファイバに対してそれぞれ設けられた、前記光透過部材を有するセンサ用光ファイバの一端部を保持する第1リンク用保持部材と、
前記センサ用光ファイバに対してそれぞれ設けられた、前記第1リンク用保持部材と所定の距離をおいて配置され、前記光透過部材を挟んで前記センサ用光ファイバの他端部を保持する第2リンク用保持部材と
前記センサ用光ファイバに対してそれぞれ設けられた、中空構造を有して内部に前記センサ用光ファイバ、前記第1リンク用保持部材及び前記第2リンク用保持部材が収容されたロッドであり、前記中空の前記ロッドの内部において前記第1リンク用保持部材及び前記第2リンク用保持部材を接続するリンク機構が設けられており、前記第1リンク用保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点と前記第2リンク用保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点とを結ぶ方向と同一の方向に応力が印加されて前記ロッドに縮みが生じたとき、所定の位置関係に保持されていた前記第1および第2リンク用保持部材の距離が前記縮みにより縮まり、前記光透過部材を中心として前記センサ用光ファイバが曲率半径8mm以上の範囲で屈曲するように、前記第1リンク用保持部材及び前記第2リンク用保持部材が前記リンク機構に接続している、ロッドと、
前記センサ用光ファイバラインに検出用の光を入射する光入射手段と、
前記検出用の光を受光する受光手段と、
を有し、
前記ロッドのそれぞれにおいて前記応力が解除されて前記ロッドの前記縮みが解消したときに前記リンク機構が前記光ファイバを前記屈曲状態から前記所定の位置関係に復帰させ、
前記検出用の光により、前記光透過部材の屈曲に応じた前記センサ用光ファイバの光伝送の損失を検出し、前記ロッドの縮みを測定する
ロッドセンサシステム。
【請求項5】
複数の前記センサ用光ファイバラインと、
前記複数のセンサ用光ファイバラインと前記光入射手段および受光手段とを接続し、測定に利用する前記センサ用光ファイバラインを適宜選択切換えする光スイッチと
をさらに有する
請求項3または4に記載のロッドセンサシステム。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを用いて測定対象に関わる所定の物理量または現象の変化を測定する光ファイバ型センサ、ならびにこの光ファイバ型センサを用いた光ファイバ型センサシステムに関する。詳細には、本発明は、光ファイバの曲げによる光の伝達損失を効果的に検出して、測定対象のひずみ、曲げ、縮み、伸び等の変化を測定する光ファイバ型センサ、ならびにこの光ファイバ型センサを用いた光ファイバ型センサシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
安全確保、災害予知等の観点から、高架道路、トンネル、高架橋、鉄道、各種プラント、大型航空機、船舶等の構造物や、その近傍の自然環境の損傷や変化の効果的なモニタリングの要求が高まっている。これらのモニタリングは、長期かつ広範囲にわたり、検出された情報を一元的に統括できることが望まれている。
従来から、機械や建築物等の構造物のひずみ測定器としては、電気抵抗式のひずみゲージが知られている。
また、光ファイバの持つ軽量、低電力、耐電磁誘導性、耐腐食性等の特徴を活かそうとする光ファイバ式ひずみセンサも考案されている(例えば特開平11-287626号公報を参照)。
【0003】
光ファイバ式ひずみセンサには、屈曲型と伸張型という2つの代表的な方式が存在する。
屈曲型の光ファイバ式ひずみセンサでは、光ファイバ自体にあらかじめ曲率半径数mm程度の小さな曲げ(マイクロベンディング)を部分的に与えておき、測定したいひずみ量をこの曲げに伝え、光の伝達損失からひずみ量を検出する。この方式は、光ファイバは伝達損失が発生する曲率半径の範囲において、曲率半径が小さくなると伝達損失が増大し、曲率半径が大きくなると伝達損失が減少するという原理に基づいている。
【0004】
一方、伸張型の光ファイバ式ひずみセンサでは、測定したいひずみ量を、光ファイバを長手方向に伸張させるような力に変換し、光ファイバを伸ばそうとするときに光ファイバ内部に生じる屈折率の周期的な変化を利用する。光ファイバが長手方向にひずみ状態になっている領域を光が通過するとき、散乱される光の波長が少しだけシフトする。この波長のシフトと光ファイバの長手方向のひずみとの間には相関があり、波長のシフトを測定すれば、ひずみ量を測定することができる。この伸張型のひずみ測定方式は、「ブリルアン散乱法」とも呼ばれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気抵抗式のひずみゲージでは、電力消費、金属腐食による接点不良・寿命短縮、電磁界の影響下でのノイズ等の不利益があり、上記のような長期的、広範囲な使用には適さない。
【0006】
屈曲型の光ファイバ式ひずみセンサにおいては、通常のシングルモード光ファイバは曲率半径が数十mm程度の緩やかな曲げ(マクロベンディング)にはほとんど伝達損失を示さないということが問題になる。このため、損失によってひずみを計測するためには、破断限界に近い屈曲を光ファイバに与える必要がある。このようなマイクロベンディングによるセンサは、ひずみ量の変化に対して非常に敏感なので、実用上は使いにくく、また適用範囲も限られる。さらに、破断限界近傍で光ファイバを用いると、検出時の測定対象の変化によりファイバが容易に破断し、センシング機能がその時点で損なわれてしまうという危険性も生じる。
【0007】
通常のシングルモード光ファイバではなく、コアを光ファイバの中心軸からずらしたり、屈折率の異なる光ファイバを組み合わせたりした特殊な光ファイバを用いて、マクロベンディングに対しても伝達損失を検出可能な屈曲型センサも考えられている。しかし、このような特殊な光ファイバは製造が困難であり、コスト面でも大きな不利が存在する。
【0008】
伸張型の光ファイバ式ひずみセンサにおいても、光ファイバに伸びを与える際に、光ファイバがガラスにより製造されていることに起因する破断限界が存在し、上記と同じセンシング機能の消失の可能性がある。
また、ブリルアン散乱法は、ごくわずかな周波数シフトを測定するため、その測定のための装置が複雑かつ高価になる。
【0009】
さらには、測定対象によりその変化は数μmから数cmまで多岐にわたるため、これらの変化を効果的に光ファイバのマクロベンディングに変換する機構が必要となる。
これまでは、マイクロベンディング状態において微少な曲率半径の変化しか光ファイバに与えていなかったので、上記のような機構は考えられていなかった。
【0010】
本発明は上述した問題点を鑑みてなされたものであって、その目的は、製造が容易で、測定対象のひずみ、曲げ、縮み等の変化を測定可能なセンサ用光ファイバを用いて、このセンサ用光ファイバに無理な屈曲や伸張を与えることなく、測定対象の上記変化を幅広い測定範囲で効果的に測定可能な光ファイバ型センサを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、この光ファイバ型センサを利用して、測定対象の各種変化を、幅広い測定範囲で、かつ、長期的、広範囲に測定可能であり、検出情報を一元管理することができる光ファイバ型センサシステムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の光ファイバ型センサは、コアおよびクラッドを有する第1および第2の光ファイバと、前記第1および第2の光ファイバの間に位置し、その両端部が前記第1および第2の光ファイバと融着接合されており、長手方向と直交する方向の応力印加に応じて屈曲可能で前記第1および第2の光ファイバのコアの屈折率またはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材とを有するセンサ用光ファイバと、前記光透過部材を有するセンサ用光ファイバの一端部を保持する第1の保持部材と、前記第1の保持部材と所定の距離をおいて配置され、前記光透過部材を挟んで前記センサ用光ファイバの他端部を保持する第2の保持部材とを有し、前記第1の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点と前記第2の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点とを結ぶ方向と同一の方向に応力が印加されたとき、その応力に応じて前記光透過部材を中心として前記センサ用光ファイバを曲率半径8mm以上の範囲で屈曲させ、前記応力が解除されたとき、前記屈曲状態から復帰させる機構手段とを有し、前記光透過部材の屈曲に応じて、前記センサ用光ファイバに光伝送の損失を生じさせる。
【0012】
好適には、前記機構手段は、応力が印加されないとき、弾性力により前記第1および第2の保持部材を所定の位置関係に保持する弾性体をさらに有し、前記第1および第2の保持部材は、応力が印加されたとき、その応力に応じて保持している前記センサ用光ファイバの長手方向に沿ってそれぞれ相対的に移動し、前記応力が解除されたとき、前記弾性体の弾性力により前記所定の位置関係に復帰させられる。
【0013】
前記機構手段は、応力印加により、前記弾性体の弾性力に抗して前記第1および第2の保持部材の距離が縮まり前記センサ用光ファイバを屈曲させる構成であってもよいし、前記弾性体の弾性力に抗して、前記第1の保持部材と、前記第2の保持部材に装着される外部連結部材とを引張り前記第1および第2の保持部材の距離を縮めて前記センサ用光ファイバを屈曲させる構成であってもよい。
【0014】
本発明の光ファイバ型センサシステムは、コアおよびクラッドを有する第1および第2の光ファイバと、前記第1および第2の光ファイバの間に位置し、その両端部が前記第1および第2の光ファイバと融着接合されており、長手方向と直交する方向の応力印加に応じて屈曲可能で前記第1および第2の光ファイバのコアの屈折率またはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材とを有するセンサ用光ファイバを複数直列に接続したセンサ用光ファイバラインと、前記光透過部材を有するセンサ用光ファイバの一端部を保持する第1の保持部材と、前記第1の保持部材と所定の距離をおいて配置され、前記光透過部材を挟んで前記センサ用光ファイバの他端部を保持する第2の保持部材とを有し、前記第1の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点と前記第2の保持部材が前記センサ用光ファイバを保持する点とを結ぶ方向と同一の方向に応力が印加されたとき、その応力に応じて前記光透過部材を中心として前記センサ用光ファイバを曲率半径8mm以上の範囲で屈曲させ、前記応力が解除されたとき、前記屈曲状態から復帰させる機構手段と、前記センサ用光ファイバラインに検出用の光を入射する光入射手段と、前記検出用の光を受光する受光手段と、を有し、前記検出用の光により、前記光透過部材の屈曲に応じた前記センサ用光ファイバの光伝送の損失を検出し、前記センサ用光ファイバラインの周囲の情報を測定する。
【0015】
また、前記センサ用光ファイバラインは複数であってもよく、その場合には当該複数のセンサ用光ファイバラインと前記光入射手段および受光手段との間に、測定に利用する前記センサ用光ファイバラインを適宜選択切換えする光スイッチが接続される。
【0016】
本発明では、2本の光ファイバの間に、これらの光ファイバのコアの屈折率またはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材が挟み込まれ、光透過部材と光ファイバの長手方向に直交する断面が互いに融着接合される。これによりセンサ用光ファイバが形成され、融着接合された光透過部材がセンサとして機能する。
測定対象の変化は、機構手段により、その変化に応じたセンサ用光ファイバの曲げに変換される。センサ用光ファイバを、光透過部材を中心としてある曲率半径の範囲内で曲げると、曲率半径の変化に応じて光透過部材を透過する光の伝達損失が変化する。この伝達損失の変化を検出することで、測定対象の変化を測定することができる。
【0017】
本発明においては、光透過部材とその両側の光ファイバは、その両端側を、2つの保持部材によりそれぞれ保持される。これらの保持部材が光ファイバの長手方向に相対的に動くことで、測定対象の変化が光透過部材とその両側の光ファイバの曲げに変換される。保持部材は、測定対象に応力が印加されないときには、弾性体の弾性力により所定の位置に復帰される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら述べてゆく。
【0019】
曲げロッドセンサ
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る曲げロッドセンサの構成を示す図である。図1(a)に示す曲げロッドセンサ100は、光ファイバ型センサ10と、支持ロッド110と、ボールジョイント120と、ロッド130と、ブーツ140を有する。図1(b)は、支持ロッド110の端部の拡大図である。
【0020】
光ファイバ型センサ10は、図1(a)に示すように、一端部に支持ロッド110を挿通させて、この支持ロッド110ごと中空のロッド130の内部に挿入されている。
支持ロッド110の両端部には、図1(b)に示すように、ボールジョイント120が螺合している。それぞれのボールジョイント120は、例えば2分割されたブーツ140に挟み込まれることで保持される。
ブーツ140は、ロッド130の両端部においてロッド130の内壁面に嵌合しており、例えば、外部からロッド130を貫通して螺合するボルト150によって、ロッド130に固定される。
以上の構成により、支持ロッド110は、中空のロッド130の内部においてロッド130と同心で支持される。また、光ファイバ型センサ10は、例えばロッド130の長手方向の中央部に、支持ロッド110が貫通している端部の反対側の端部がロッド130の内壁に面接触するように配置される。
【0021】
図2(a)は図1(a)における光ファイバ型センサ10近傍の拡大図であり、図2(b)はその断面I-Iから見た側面図である。
光ファイバ型センサ10は、センサヘッド1と、ヘテロ・コア型光ファイバ2を有する。
光ファイバ型センサ10は、後述する光入射手段および受光手段に接続されている。
センサヘッド1は、第1の保持部材11と、第2の保持部材12と、圧縮コイルばね13を有する。
ヘテロ・コア型光ファイバ2が本発明におけるセンサ用光ファイバの一実施態様である。また、センサヘッド1が本発明における機構手段の一実施態様であり、圧縮コイルばね13が本発明における弾性体の一実施態様である。
【0022】
第1保持部材11には、支持ロッド110の外径に嵌合する大きさの直径を有する貫通孔11aが備えられている。この貫通孔11aに、支持ロッド110が挿入される。
また、第1保持部材11には、貫通孔11aに嵌合した支持ロッド110の長手方向と直交する方向に突出したピン11bが備えられており、第1保持部材11と一体化している。
このピン11bは、圧縮コイルばね13に差し込まれてから、第2保持部材12に設けられている挿入孔12aに挿入される。このとき、挿入孔12aにはピン11bのみが挿入され、圧縮コイルばね13は第1保持部材11と第2保持部材12の間に挟み込まれる。
【0023】
これにより、第1保持部材11と第2保持部材12は、図2(a)に示されるように、支持ロッド110と第1、第2保持部材11,12とがなす姿勢がT字型になるように配置される。
第1保持部材11と第2保持部材12は、ピン11bの軸方向に沿って、その軸上で互いに移動可能である。
第1保持部材11と第2保持部材12の大きさは、移動の際に十分なストロークが得られるように規定される。
なお、第2保持部材12のロッド130の内周面に接する側の端部は、前述のように、ロッド130の内周面と面接触するように、ロッド130の内径の曲率半径と同じ曲率半径となるように形成されている。
【0024】
このセンサヘッド1には、図3に示すヘテロ・コア型光ファイバ2が取り付けられる。
図3は、ヘテロ・コア型光ファイバ2の要部の長手方向の断面図である。
ヘテロ・コア型光ファイバ2は、光ファイバにより構成される光の伝送体の中途部に、同じく光伝送体で構成される数mmから数cmの微小なヘテロ・コア部3を挟装したものである。ヘテロ・コア部3は、本発明における光透過部材の一実施態様である。本実施形態においては、ヘテロ・コア部3の長さcは5mmとした。
以下では、ヘテロ・コア部3に融着接合される一方の光伝送体を第1の光ファイバ部20a、もう一方の光伝送体を第2の光ファイバ部20bと呼ぶこととする。本実施形態において用いられるヘテロ・コア型光ファイバ2においては、第1の光ファイバ部20aと第2の光ファイバ部20bは、どちらも同じ光ファイバ20である。
【0025】
第1および第2の光ファイバ部20a,20b(光ファイバ20)、ならびにヘテロ・コア部3には、例えば、シングル・モード光ファイバを用いる。
光ファイバ20は、コア21およびクラッド22を有する。
ヘテロ・コア部3は、コア31およびクラッド32を有する。
本実施形態においては、ヘテロ・コア部3のコア31の径bは、光ファイバ20のコア21の径aよりも十分に小さく、a=9μm、b=5μmとする。
光ファイバ20とヘテロ・コア部3は、長手方向に直交する界面4でコア同士が接触するように同軸に接続されている。この接続には、好適には、汎用化されている放電による融着手法が採用される。従って、安価、容易な製造が可能である。
【0026】
この接続されたヘテロ・コア部3およびその近傍の光ファイバ20により、センサ部が構成される。
ヘテロ・コア型光ファイバ2には、通常、図3に示すコア・クラッド構造の上から、ファイバ保護のため例えばプラスチックによる図示しない薄いコーティングが施される。
センサ部は、センサ部の保護および曲げ方向を一定とするため、その上からさらにテープ5により挟み込まれる。テープ5は、例えば適度な弾性力を有する薄いプラスチックテープである。
【0027】
このセンサ部の一端側を、座金6でテープ5を第1保持部材11に押さえ付けて、その上から六角穴付きボルト7で締結することにより、第1保持部材11に固定する。
センサ部の他端側は、同様に座金6と六角穴付きボルト7により第2保持部材12に固定される。
座金6により固定されている第1保持部材11と第2保持部材12の間の部分が、本実施形態において曲げセンサとして機能するセンサ部SPとなる。
なお、ヘテロ・コア型光ファイバ2は、ヘテロ・コア部3がセンサ部SPの中央に位置するように配置される。
【0028】
テープ5により保護されている部分以外のヘテロ・コア型光ファイバ2は、コーティングの上から図示しない2次被覆を施されている。
本実施形態においては、ヘテロ・コア型光ファイバ2の第2保持部材12側の端部は、ファイバを切断したままの状態になっている。一方、第1保持部材11側からは、ヘテロ・コア型光ファイバ2がそのまま延びて、例えばブーツ140に設けられた引き出し穴からロッド130の外部に出て、後述するOTDR(Optical Time-Domain Reflectometer)に接続される。なお、後述するように、ヘテロ・コア型光ファイバ2の第2保持部材12側の端部を、光ファイバ20を接続することにより延長し、別の光ファイバ型センサ10のヘテロ・コア型光ファイバ2に接続することも可能である。
【0029】
次に、各構成要素の作用について説明する。
図1(a)において、例えば曲げロッドセンサ100の両端部を固定しておき、矢印の方向に力Fが作用したとする。
力Fは曲げロッドセンサ100を矢印方向に曲げようとする力として作用し、曲げロッドセンサ100の曲げは、ロッド130の中央部のたわみとしてあらわれる。
前述のように、センサヘッド1の第2保持部12はロッド130の内周面に接触しており、第1保持部11は支持ロッド110により支持されている。支持ロッド110の中心軸は、ロッド130の中心軸と一致しており、かつ、ボールジョイント120によって支持されている。従って、ロッド130のたわみが支持ロッド110に影響を与えることはない。支持ロッド110が十分な剛性を有していれば、ロッド130がたわんだ時の光ファイバ型センサ10の動きを表す図4に示されるように、第1保持部材11は動かず、第2保持部材12のみが、ピン11bに沿って、第1保持部材11の方向へ動くことになる。第2保持部材12のストロークSTは、ロッド130のたわみ量と同じである。
【0030】
第2保持部材12が動くと、センサ部SPも、図4に示すように円弧状に曲がる。
図4に示すように、光ファイバ型センサ10は、OTDR60に接続されている。
この状態でセンサ部SPに光パルスが入力されると、ヘテロ・コア部3の入口、出口である界面4において、光パルスの一部がコア21からクラッド32へリークして、伝達損失が発生することになる。
本実施形態においては、光ファイバ20のコア径aとヘテロ・コア部3のコア径bが異なる、ヘテロ・コア型光ファイバ2を用いている。従って、曲率半径の比較的大きいマクロベンディングにおいても、コア21からクラッド32へのリークを効果的に発生させることができる。
この、センサ部SPの曲げによる光の伝達損失(曲げ損失)を、例えばOTDRにより検出することで、曲げロッドセンサ100の曲がり具合を検出することができる。
【0031】
OTDRは、光ファイバにレーザー光等の光パルスを入射させ、光伝送の途中から入射側(後方)に反射して戻ってくる後方散乱光を時間分解して測定するもので、光伝送路の任意の位置の反射情報を実時間で測定することができる装置である。このOTDRが、本発明における光入射手段と受光手段を兼ねている。曲げによってセンサ部SPにおけるリークが増加すると、界面4からの後方散乱光の強さも変化するので、この後方散乱光をOTDRで測定することで、実質的に曲げ損失を測定することができる。
【0032】
図5は、センサ部SPの曲率半径と曲げ損失との関係を示す図である。図5(a)に示すように、ヘテロ・コア部3を有するセンサ部SPの曲率半径をR0とする。
第1、第2光ファイバ部20a,20bのコア径aが9μmで、ヘテロ・コア部3のコア径bが5μmの9-5-9型のヘテロ・コア型光ファイバ2において、ファイバ長を160m、伝送光の波長を1.3μmとして、曲げ損失をOTDR(ADVANTEST製、Q8460A/Q84601)によって測定した結果の一例を図5(b)に示す。
図5(b)において、曲率半径が15~20mmの範囲で曲げ損失は約1.5~3dBの範囲でほぼ単調に変化していることがわかる。ヘテロ・コア型光ファイバでない従来の光ファイバにおいては、曲率半径15~20mmでは測定に利用できる程の損失変化は生じないが、本実施形態におけるヘテロ・コア型光ファイバ2では、観測しやすい損失変化を生じているといえる。
【0033】
以下、これまで述べてきた光ファイバ型センサ10および曲げロッドセンサ100を用いた光ファイバ型センサシステムと、この光ファイバ型センサシステムを利用して測定対象の変化を測定する場合の動作の一例について述べる。
例えばロッド130の長さを1mとして、材料や肉厚等の設計パラメータを適切に設定すると、約3400Nの力が中央部に加わったとき、ロッド130が5mmたわむ曲げロッドセンサ100を作成することができる。ロッド130および支持ロッド110の材料としては、例えばスチールが用いられる。
この曲げロッドセンサ100は、例えば土砂崩れの予知のような、比較的大きな力が加わった際に生じる微小な変位を測定する必要がある場合などに利用することができる。
【0034】
図6は、本実施形態に係る光ファイバ型センサシステムを利用して、土地のひずみを測定する場合の構造概念図である。
図6において示されている光ファイバ型センサシステムは、OTDR60と、光ファイバ20と、ヘテロ・コア型センサライン50を有する。
【0035】
ヘテロ・コア型センサライン50は、一つ以上の曲げロッドセンサ100を所定間隔で並べ、曲げロッドセンサ100内の光ファイバ型センサ10同士を、光ファイバ20により接続することで構成される。図6においては、4本の曲げロッドセンサ100が、長手方向を鉛直にして観測エリアARの土中に埋められている。
光ファイバ20は、光ファイバ型センサ10のヘテロ・コア型光ファイバ2の、第1の光ファイバ部20aおよび/または第2の光ファイバ部20bに、例えば放電による融着手法を用いて融着される。光ファイバ20の接続は、通常の光コネクタ等の接続手段によって行ってもよい。
以上の構成により、光伝送路としての光ファイバ20の中途部に、所定間隔でヘテロ・コア部3が存在するヘテロ・コア型の光ファイバラインが形成される。この光ファイバの一端は長く延ばされて、観測場所に設置されているOTDR60に接続される。
【0036】
雨などにより地盤がゆるむと、地中では土砂などの流動が生じることがある。土砂が流動すると、地表に固定されている曲げロッドセンサ100を曲げようとする応力が発生する。
例えば3400N程度の力Fが中央部にかかり、曲げロッドセンサ100が曲がったとすると、前述のようにロッド130は約5mmたわむ。
センサヘッド1の圧縮コイルばね13は、このたわみを減らさず、また、応力が解除されたときに、センサ部SPが曲げのない状態となるように第2保持部材12を復帰させる強さのものが選ばれる。
応力が解除された時(無負荷状態)のセンサ部SPの長さdを20mmとしておくと、ロッド130のたわみにより第2保持部12が5mm、第1保持部材11方向へ移動した場合には、センサ部SPの曲率半径R0は約8mmとなる。これは、曲率半径8mmに至るまでの、曲げ損失を観測しやすい曲率半径15~20mmの範囲の曲げが、ロッド130の約5mmのたわみの範囲内で生じているということであり、小さな変位を敏感に計測可能であるということを意味している。
また、曲率半径8mmならばファイバの破断・破損も生じず、センシング機能に影響を与えることもない。
【0037】
上記本発明の一実施形態においては、センサ部に光ファイバを用いているため、電力供給ラインなどでセンサ部に電力を直接供給する必要がない。従って経済的で、絶縁の必要もなく広範囲にセンサを配置することができる。また、電磁波によるノイズ等の不利益もない。さらには、金属ではないため、腐食・接点不良等の不利益がなく、長寿命である。従って、長期にわたるモニタリングに適している。
【0038】
また、本一実施形態にかかるヘテロ・コア型光ファイバ2は、好適には、通常普及している光ファイバを用いて、汎用化されている放電融着手法により製造されるので、安価で容易に供給することができる。
また、本実施形態において用いた9-5-9型のヘテロ・コア型光ファイバ2は、ヘテロ・コア部3を挿入したことによる挿入損失が比較的小さいため、前述のように、一本の光伝送路中に複数個直列に設置することができる。これにより、低コストで効率的なセンシングが可能になる。直列に設置できるヘテロ・コア部3の数はOTDRのダイナミックレンジによって異なる。ダイナミックレンジを15dB程度と考えると、ヘテロ・コア部3の一つ当たりの挿入損失を0.3~0.4dB、曲げ損失を1dBとすれば、10個程度の直列接続を見込むことができる。
このヘテロ・コア型光ファイバによる曲げ損失の計測は、ブリルアン散乱方式に比べれば、波長のずれの変化を計測せずに、光の増減のみを計測しているので計測システムは簡便で廉価にできるという利点もある。
【0039】
これまで述べてきたように、本実施形態においては、マクロベンディングにおいて曲げ損失を検出可能なので、ファイバの破断・破損がない。また、センサヘッド1のような簡単な構成で、測定対象の変位をセンサ部SPの円弧状の曲げに変換することができる。
さらに、マクロベンディングであれば、マイクロベンディングとは異なり、図5(b)に示すように、例えば10~25mmの範囲の比較的大きな曲率半径の変化をファイバに与えることができる。これにより、数μm~数cmの広い範囲で測定対象の変位を測定することが可能になり、また、様々な測定対象に光ファイバ型センサを適用することが可能になる。
【0040】
また、本発明においては、前述のヘテロ・コア型センサライン50を複数用いることも可能である。
図7は、複数のヘテロ・コア型センサライン50を用いて土地のひずみを測定する場合の構造概念図である。図7においては、観測エリアAR内の別々の場所に、2つのヘテロ・コア型センサライン50が設置されている。
各ヘテロ・コア型センサラインのヘテロ・コア型光ファイバラインは、光スイッチ70を介してOTDR60に接続される。光スイッチ70は、検出に利用するヘテロ・コア型ファイバラインならびにセンサラインを、必要に応じて適宜切換える。
【0041】
各ヘテロ・コア型センサライン50からは、それぞれ異なる検出情報が同時に伝送され、そのうち、光スイッチ70によって選択されたヘテロ・コア型センサライン50からの検出情報がOTDR60で測定される。
光スイッチ70によるヘテロ・コア型センサライン50の選択切換えは、所定時間間隔で自動的に行ってもよいし、手動で任意に行ってもよい。
なお、光スイッチ70の接続ポート数により、接続可能なヘテロ・コア型センサライン50の数は規定される。
【0042】
ヘテロ・コア型センサライン50から伝送された検出情報を、OTDR60に接続される図示しないコントローラによって解析し、グラフ、動画等の高度な表現によりモニタに表示することも可能である。その際に、複数のヘテロ・コア型センサライン50からの検出情報を総合して解析することも可能である。
【0043】
図7に示す形態によれば、さらに広範囲で多種類の同時的に得られる検出情報を、一元的に測定することができる。また、そのときに必要となるOTDRの数も少なくてすむ。
なお、本発明の一実施形態に係る曲げロッドセンサ100は、土地のひずみの測定だけでなく、様々な分野で使用することができる。例えば、曲げロッドセンサ100を梁等の構成要素として用いれば、建物等の構造物を構築することができるだけでなく、その構成要素が用いられている部分の曲げやたわみを容易に恒常的に観測することができる。
【0044】
縮みロッドセンサ
本発明は、曲げロッドセンサ100とは異なる実施形態をとることも可能である。
図8は、異なる実施形態としての縮みロッドセンサ200の構成を示す図であり、図8(a)はその側面図、図8(b)はその矢印G方向から見た背面図である。
縮みロッドセンサ200は、光ファイバ型センサ40と、リンク80と、ロッド130と、第1キャップ85と、第2キャップ86と、第3キャップ87を有する。
【0045】
光ファイバ型センサ40は、曲げロッドセンサ100に用いられた光ファイバ型センサ10の第1、第2保持部材11,12の代わりに、第1保持部材11からピン11bを取り除いたリンク用保持部材14を2個用いたものである。従って、光ファイバ型センサ40においては、圧縮コイルばね13も用いられていない。
リンク用保持部材14には、第1保持部材11とその貫通孔11aと同じ位置関係で、貫通孔14aが設けられている。
それ以外の光ファイバ型センサ40の構成は光ファイバ型センサ10と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0046】
リンク80は、4つの長いアーム81と、4つの短いアーム82を有する。
図8(b)に示すように、アーム81同士で1つの大きな平行四辺形型のリンク83が形成され、アーム82同士で1つの小さな平行四辺形型のリンク84が形成されている。
小リンク84の長い対角線をなす頂点部が、大リンク83の短い対角線をなす頂点部に、それぞれピン85により回転自在に軸支されることで、小リンク84が大リンク83に連結される。
大リンク83の残りの頂点部は、ピン91によってそれぞれリンクベース90に回転自在に連結される。
【0047】
一方のリンクベース90はボルトによって第1キャップ85に固定され、他方のリンクベース90は第2キャップ86に固定される。
第1キャップ85には、例えば光ファイバ20の連通のために用いられる連通孔85aが設けられている。
【0048】
光ファイバ型センサ40は、その2つのリンク用保持部材14が、貫通孔14aにピン85を連通させて、小リンク84の短い対角線をなす頂点部にそれぞれ軸支されることで小リンク84に連結される。
光ファイバ型センサ40を連結されたリンク80は、ロッド130の内部に挿入される。
ロッド130の一端の内周面は第1キャップ85により閉塞され、他端の内周面は、第2キャップ86の上からさらに第3キャップ87を嵌合することで閉塞される。
【0049】
縮みロッドセンサ200の両端部から図8(b)中の矢印H方向に力が加わると、ロッド130が矢印H方向に縮み、大リンク83が矢印J方向にひらく。この大リンク83の動きに連動して、小リンク84は矢印K方向に縮む。これにより、小リンク84に連結している光ファイバ型センサ40も、リンク用保持部材14間の相対距離が縮まるように動く。
光ファイバ型センサ40が矢印K方向に縮むと、光ファイバ型センサ40のリンク用保持部材14に保持されているセンサ部SPが円弧状に曲がる。
このセンサ部SPの曲げも、リンク用保持部材14の間隔を適切に規定すると、光ファイバ型センサ10の場合と同じくマクロな曲げとすることができる。
【0050】
以上のように、縮みロッドセンサ200によると、ロッド130の矢印H方向へのわずかな縮みを、センサ部SPのマクロベンディングに変換して、敏感に検出することができる。
縮みロッドセンサ200の場合にも、曲げロッドセンサ100の場合と同じく、複数の縮みロッドセンサ200を用いて光ファイバ型センサシステムを構成することができる。
【0051】
引張りセンサ
図9は、本発明のさらに異なる実施形態に係る光ファイバ型センサ120の構成図であり、図9(a)はその上面図、図9(b)は図9(a)における断面II-IIから見た断面図である。
光ファイバ型センサ120は、引張りセンサとして用いられる。
【0052】
光ファイバ型センサ120は、センサヘッド15と、ヘテロ・コア型光ファイバ2を有する。
センサヘッド15は、箱型の第1保持部材121と、第2保持部材122と、スライド軸123と、連結部材124、圧縮コイルばね13を有する。
第2保持部材122は、箱型の第1保持部材121の内部に形成されている空間MS内に、第1保持部材121と同軸で互いに移動可能なように配置される。
【0053】
第1保持部材121と第2保持部材122の間には、圧縮コイルばね13が配置される。
また、第1保持部材121と第2保持部材122の間には、これまで述べてきた光ファイバ型センサ10,40と同じく、ヘテロ・コア型光ファイバ2が設置される。
第2保持部材122は、連結部材124、第1保持部材121、圧縮コイルばね13を貫通して第2保持部材122に螺合するスライド軸123によって、連結部材124に接続される。このスライド軸123および連結部材124が、本発明における外部連結部材の一実施態様である。
【0054】
以上の構成により、第1保持部材121の、連結部材124側とは反対側の端部に形成されている連結穴121aと、連結部材124に形成されている連結穴124aに、例えば棒などを差し込んで、図9に示す矢印L方向に引張ると、第2保持部材122が矢印M方向に動くことになる。
この第2保持部材122の動きにより、これまでと同じく、ヘテロ・コア型光ファイバ2のセンサ部SPが、円弧状に曲げられる。
引張り力が解除されると、圧縮コイルばね13の付勢力により、第2保持部材122はセンサ部SPの曲げが存在しない初期位置に戻る。
なお、ねじ150は第2保持部材122の初期位置を変化させるためのものである。ねじ150の出現部分を長くすると、第2保持部材122の初期位置が矢印M方向へずれ、センサ部SPも引張り力が存在しない時にある程度曲がった状態となる。これにより、センサ部SPの感度を変えることができる。
また、図9(a)に示されているゴム管125は、ヘテロ・コア型光ファイバ2の光ファイバ20をセンサヘッド15の外部へ導くためのものである。
【0055】
光ファイバ型センサ120によれば、引張り力をセンサ部SPのマクロベンディングに変換して、例えば部材の伸びなどを測定することができる。
光ファイバ型センサ120を用いても、これまでと同じく光ファイバ型センサシステムを構成することができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態においては、第1、第2の光ファイバ部20a,20bおよびヘテロ・コア部3にシングル・モード光ファイバを用いたが、マルチ・モード光ファイバを用いてもよい。また、これら2種の光ファイバを組み合わせてヘテロ・コア型光ファイバを作成してもよい。これにより、センサヘッドの設計を変更することなく、センサ部の感度を変えることができる。
【0057】
また、ヘテロ・コア部3のコア径bは、図10(a)に示すように、光ファイバ20のコア径aより大きくてもよい。
また、コア・クラッドの内外積層構造にこだわらず、図10(b)に示すように、例えば光ファイバ20のクラッド22と同等の屈折率を持つ光伝送部材30を、ヘテロ・コア部3の代わりの光透過部材として用いることも可能である。
要は、マクロベンディング状態において界面4で効果的な光のリークが生じる構造であればよい。
【0058】
さらに、圧縮コイルばねに限らず、付勢ばね等の他の弾性体を用いてもよい。
光ファイバ型センサシステムを構成する場合にも、曲げロッドセンサ100、縮みロッドセンサ200、光ファイバ型センサ120を組み合わせて用いることができる。これにより、一本のセンサ用光ファイバラインで、多種の情報を検出することが可能になる。
光の伝達損失の計測には、OTDRだけでなく、1つのセンサ部の光の入出力関係を損失として計測する手法を用いることも可能である。
さらにまた、前述の実施形態においてはセンサ部SPに曲げが生じていない状態を初期状態としているが、第1、第2保持部材間の距離を変化させることにより、センサ部SPがある程度曲がった状態を初期状態とすることもできる。これにより、例えば部材の伸び・縮みの両方を一つの光ファイバ型センサで測定することが可能になる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、製造が容易で、測定対象のひずみ、曲げ、縮み等の変化を測定可能なセンサ用光ファイバを使用して、この光ファイバに無理な屈曲や伸張を与えることなく、測定対象の上記変化を、幅広い測定範囲において測定可能で、検出情報を一元管理することのできる光ファイバ型センサおよび光ファイバ型センサシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の一実施形態に係る曲げロッドセンサの構成図であり、図1(b)はその支持ロッドの端部の拡大図である。
【図2】図2(a)は図1(a)の要部の拡大図であり、図2(b)は図2(a)の断面I-Iから見た側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るヘテロ・コア型光ファイバの要部の長手方向の断面図である。
【図4】図2に示す光ファイバ型センサの動きを説明するための図である。
【図5】図5(a)はセンサ部の曲率半径を規定するための図であり、図5(b)はその曲率半径と曲げ損失の関係を示したグラフである。
【図6】本発明の一実施形態に係る光ファイバ型センサシステムの構造概念図である。
【図7】図6の光ファイバ型センサシステムの別の実施態様を示す構造概念図である。
【図8】図8(a)は、本発明の異なる実施形態に係る縮みロッドセンサの構成を示す側面図であり、図8(b)はその矢印G方向から見た背面図である。
【図9】図9(a)は、本発明のさらに異なる実施形態に係る光ファイバ型センサの構成を示す上面図であり、図9(b)は図9(a)の断面II-IIから見た断面図である。
【図10】図10(a),(b)は、本発明に係るセンサ用光ファイバの異なる実施形態の要部の長手方向の断面図である。
【符号の説明】
1,15…センサヘッド、2…ヘテロ・コア型光ファイバ、3…ヘテロ・コア部、10,40,120…光ファイバ型センサ、11,121…第1保持部材、12,122…第2保持部材、13…圧縮コイルばね、14…リンク用保持部材、20…光ファイバ、50…ヘテロ・コア型センサライン、80…リンク、90…リンクベース、100…曲げロッドセンサ、110…支持ロッド、123…スライド軸、124…連結部材、130…ロッド、200…縮みロッドセンサ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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