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明細書 :高品位結晶質石灰石及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4693095号 (P4693095)
公開番号 特開2006-256893 (P2006-256893A)
登録日 平成23年3月4日(2011.3.4)
発行日 平成23年6月1日(2011.6.1)
公開日 平成18年9月28日(2006.9.28)
発明の名称または考案の名称 高品位結晶質石灰石及びその製造方法
国際特許分類 C01F  11/18        (2006.01)
FI C01F 11/18 G
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2005-075133 (P2005-075133)
出願日 平成17年3月16日(2005.3.16)
審査請求日 平成19年2月7日(2007.2.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】恒川 昌美
【氏名】伊藤 真由美
【氏名】広吉 直樹
【氏名】本間 佑吾
【氏名】岡田 信三
【氏名】大川 滋之
個別代理人の代理人 【識別番号】100110423、【弁理士】、【氏名又は名称】曾我 道治
【識別番号】100084010、【弁理士】、【氏名又は名称】古川 秀利
【識別番号】100094695、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 憲七
【識別番号】100111648、【弁理士】、【氏名又は名称】梶並 順
【識別番号】100122437、【弁理士】、【氏名又は名称】大宅 一宏
審査官 【審査官】村守 宏文
参考文献・文献 特開平10-265218(JP,A)
特開平10-265219(JP,A)
特表平08-510167(JP,A)
特開平01-104359(JP,A)
特開昭54-101799(JP,A)
井上外志雄ほか,アルキル硫酸ソーダによるMg(OH)-CaCO3系の浮選に関する研究,東京大学工学部総合試験所年報,日本,1980年 9月,Vol.39,Page.185-190
調査した分野 C01F 11/18
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
白色度の低い低品位結晶質石灰石からカーボン、石英、各種炭酸塩等の不純物を、疎水性表面を有する、合成樹脂、低品位結晶質石灰石、低純度の結晶質石灰石からなる群より選択される1種または2種以上のキャリアに吸着した後、浮選法により該不純物を分離除去することを特徴とする高品位結晶質石灰石。
【請求項2】
粉砕・粒度調整した白色度の低い低品位結晶質石灰石に加水した後、捕収剤を添加する結晶質石灰石スラリー調製工程(第一工程)と、合成樹脂、低品位結晶質石灰石、低純度の結晶質石灰石からなる群より選択される1種または2種以上のキャリアに加水した後、捕収剤を添加するキャリアスラリー調製工程(第二工程)と、第一工程で得られた結晶質石灰石スラリーと第二工程で得られたキャリアスラリーとを混合し、次に起泡剤を添加して浮選し、カーボン、石英、各種炭酸塩等の不純物を該キャリアに吸着する吸着工程(第三工程)と、第三工程で得られた不純物吸着キャリアと結晶質石灰石とを分離する分離工程(第四工程)とを含むことを特徴とする高品位結晶質石灰石の製造方法。
【請求項3】
捕収剤がオレイン酸ナトリウム、ケロシン、SDS、DAAからなる群より選択される1種または2種以上の捕収剤であり、起泡剤がメチル・イソブチル・カービノール(MIBC)、ジエチレン・グライコール・カービノールからなる群より選択される少なくとも1種以上の起泡剤であることを特徴とする請求項2記載の高品位結晶質石灰石の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙用原料やプラスチック充填材等に利用できる高品位結晶質石灰石及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石灰石は方解石(カルサイト)、アラゴナイト(あられ石)、ドロマイト(白雲石または苦灰石)などの炭酸塩鉱物を50%以上含むものと定義されており、セメント、鉄鋼、ソーダ、製糖、飼料、骨材等に幅広く用いられている。これらの石灰石は、白色度を問題とされることはなく、破砕、粉砕した石灰石がそのままの状態で用いられている。
【0003】
一方、石灰石を微粉砕したものは粒度と白色度により、普通炭酸カルシウム(普通タンカル)と重質炭酸カルシウム(重質タンカル)とに区別される。
普通炭酸カルシウムは、道路舗装用フィラー、肥料、飼料、ガラス、排煙脱硫及び中和用タンカル、苦土タンカル、陶磁器等に使用される。
重質炭酸カルシウムは、白色度の高い高純度の結晶質石灰石を物理的に粉砕し分級して製造されるものであり、プラスチック、ゴム、塗料、製紙、建材、窯業、ガラス、食品、医薬等非常に広汎にわたって使用されている。
また、沈降炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)は、石灰石を原料として化学的製法により生産されるものであり、ゴム、プラスチック、製紙、インキ、塗料、食品、香粧品等に使用されている。
【0004】
大部分の石灰石は種々の不純物を含んでおり、この不純物のために灰色、薄黄色、あるいは薄墨色等の色彩を呈している。
一方、不純物の含有量が低くて白色度の高い高品位結晶質石灰石は、量的に限界があり、最近は埋蔵量も少なくなって来ている。
このため、石灰石鉱山では白色度の高い高品位結晶質石灰石を選択的に採鉱・選鉱し、重質炭酸カルシウム原料として製紙用フィラー、プラスチック、ゴム、塗料、食品、高級ガラス原料等に用いている。
しかしながら、白色度の高い高純度の結晶質石灰石であるにもかかわらず、微量の不純物を含むために製紙用フィラー等への使用基準をわずかに満たさない低品位結晶質石灰石(ISO白色度94未満)は、低純度の結晶質石灰石と一緒にされてセメント原料等に供されている。
このような高度利用されていない高純度の低品位結晶質石灰石中には不純物の一つとしてカーボンが含まれており、主として浮選による方法(例えば、特許文献1参照)、あるいは浮選と焼成を組み合わせて白色度を高める方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0005】

【特許文献1】特開平10-265218
【特許文献2】特開平10-265219
【0006】
しかしながら、浮選のみによる方法では対象の粒度が微粒になると効率が低く、また主として不純物カーボンのみが除去されるので、不純物の除去率は高くない。また、焼成による方法でも除去されるのはカーボンであり、処理コストが高くなるため実用には適さない。
また、一般的に、超微粒子になる程浮選等による物理的な選別除去は困難となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に白色度の高い高品位結晶質石灰石は、地質学的に条件が整った場合にのみ生成するため、極めて限られた鉱床地域でのみ産出する貴重な資源であり、国内外で鉱量的に枯渇傾向にある。しかし、白色度の高い高純度の結晶質石灰石を産する鉱床では、地質学的要因から、不純物を含むやや低品位の石灰石を多く産する。
現状では、製紙用フィラー等への使用基準を満たさない低品位の結晶質石灰石(ISO白色度94未満)は製紙用フィラー等に利用されていない。
【0008】
本発明は、これらの低品位結晶質石灰石から高品位結晶質石灰石を得、多量に賦存するこれらの低品位結晶質石灰石を製紙用フィラー等に高度利用することができる高品位結晶質石灰石、及びその製造方法を提供するものである。
本願明細書では、不純物が少なく白色度の高い高純度の結晶質石灰であっても、微量の不純物を含むために製紙用フィラー等への使用基準をわずかに満たさない結晶質石灰石を低品位結晶質石灰石(ISO白色度94未満)、製紙用フィラー等への使用基準を満たす結晶質石灰石を高品位結晶質石灰石(ISO白色度94以上)として区別して表記する。
【0009】
尚、前述のISO白色度は下記測定方法に従って測定するものである。
すなわち、ISO白色度の測定対象用試料を10μmアンダーが90%以上になるように粉砕し、該粉砕試料をオプトロンブライトネス型式2(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、JISP8148(紙及び板紙の拡散照明方法による白色度試験方法(ISO白色度))に準じて測定したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の方法を見出し、本発明を完成した。
先ず本発明者らは、低品位結晶質石灰石の白色度低下の原因がカーボンだけに起因するものではなく、カーボンの他に石英や各種炭酸塩なども白色度低下の原因となっていることをつきとめた。そしてこれらの石英や炭酸塩の表面にはカーボンが付着していた。
【0011】
そして、これらのカーボン、石英、炭酸塩等の不純物を効率良く分離除去する方法として、以下の方法が低品位結晶質石灰石の白色度を飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、微量の不純物を伴う低品位結晶質石灰石を粉砕し、石灰石粒子と不純物粒子に単体分離した後にスラリーとする。一方、より多くの不純物を伴う石灰石(低純度の結晶質石灰石)粗粒子をキャリア(担体粒子)とし、この表面を界面活性剤で疎水化処理した後にスラリーに加え、あるいは樹脂等の疎水性表面を有する粗粒子をキャリアとしてスラリーに加え、攪拌することで不純物粒子をキャリア表面に付着・凝集させ、このキャリアを浮選除去することにより、高純度石灰石を分離回収し、高品位結晶質石灰石を得ることを特徴とする。
【0013】
すなわち、超微粒子になる程浮選等による物理的な選別除去が困難であった低品位石灰石中の超微粒子カーボンを、該カーボンより大きな粒子であるキャリアに付着させ、該キャリアと共に超微粒子カーボンを浮選除去するほうが、カーボンのみを浮選除去するよりは極めて効率的であることを、本発明者らは見出したのである。
【0014】
浮選法は、一般的に気泡と粒子の衝突により不純物を気泡に付けて回収するので、不純物の量が少なすぎると気泡との衝突確率が下がり、長時間を要し効率が低下する。
しかし、石灰石中に不純物として存在する石英よりも粗粒のキャリアを多量に(不純物の量と比較すると多量に)入れることで、キャリアに不純物が付いている状態で浮選によりキャリア(石英よりも更に粗粒かつ多量に存在)を回収するほうが更に効率が上がる。
【0015】
尚、キャリアは、ほとんどが気泡と共に選別除去されるが、万が一残留しても、値段の安い低品位結晶質石灰石をキャリアとして用いれば、高品位結晶質石灰石中に残留しても異物混入問題を起こさないため、合成樹脂をキャリアとする方法よりも優れている。
【0016】
すなわち、本発明は、白色度の低い低品位結晶質石灰石からカーボン、石英、各種炭酸塩等の不純物を、疎水性表面を有する、合成樹脂、低品位結晶質石灰石、低純度の結晶質石灰石からなる群より選択される1種または2種以上のキャリアに吸着した後、浮選法により該不純物を分離除去することを特徴とする高品位結晶質石灰石(請求項1)である。
さらに、粉砕・粒度調整した白色度の低い低品位結晶質石灰石に加水した後、捕収剤を添加する結晶質石灰石スラリー調製工程(第一工程)と、合成樹脂、低品位結晶質石灰石、低純度の結晶質石灰石からなる群より選択される1種または2種以上のキャリアに加水した後、捕収剤を添加するキャリアスラリー調製工程(第二工程)と、第一工程で得られた結晶質石灰石スラリーと第二工程で得られたキャリアスラリーとを混合し、次に起泡剤を添加して浮選し、カーボン、石英、各種炭酸塩等の不純物を該キャリアに吸着する吸着工程(第三工程)と、第三工程で得られた不純物吸着キャリアと結晶質石灰石とを分離する分離工程(第四工程)とを含むことを特徴とする高品位結晶質石灰石の製造方法(請求項2)である。
捕収剤がオレイン酸ナトリウム、ケロシン、SDS、DAAからなる群より選択される1種または2種以上の捕収剤であり、起泡剤がメチル・イソブチル・カービノール(MIBC)、ジエチレン・グライコール・カービノールからなる群より選択される少なくとも1種以上の起泡剤であることを特徴とする請求項2記載の高品位結晶質石灰石の製造方法(請求項3)である。
【0017】
本発明の基本的な技術思想は、白色度の低い低品位結晶質石灰石(ISO白色度94未満)中に含まれるカーボン、石英、各種炭酸塩等の不純物を粉砕により単体分離した後、該分離不純物をキャリアに吸着して、該吸着キャリアを浮選除去することによって得られる白色度の高い高品位結晶質石灰石(ISO白色度94以上)、及び白色度の低い低品位結晶質石灰石(ISO白色度94未満)から白色度の高い高品位結晶質石灰石(ISO白色度94以上)を得るという製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
従来の浮選法ではカーボンしか分離除去できなかったが、本発明の高品位結晶質石灰石の製造方法によれば、微量の不純物を含む低品位結晶質石灰石から低品位化の原因物質であるカーボン、石英、各種炭酸塩等の不純物を分離除去することができ、高品位結晶質石灰石として高度利用することができる。
また、本発明の高品位結晶質石灰石の製造方法によれば、不純物量の多い低純度の結晶質石灰石から高品位結晶質石灰石を得ることにも応用でき、高度利用できる石灰石資源量の増大をもたらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる白色度の低い低品位結晶質石灰石とは、白色度が高くない石灰石や普通炭酸カルシウム、さらに重質炭酸カルシウムでも製紙用に不向きな微量なカーボン、石英、各種炭酸塩等の不純物を含むやや白色度の低い重質炭酸カルシウムのことを言う。
更に詳しくは、黒色不純物含有量が0.5質量%以下、または製紙用フィラー等への使用基準であるISO白色度94未満である低品位結晶質石灰石を対象とする。
【0020】
本発明に用いられる高品位結晶質石灰石とは、填料や塗工顔料等の製紙用原料、ゴム原料、プラスチック原料として適する白色度(ISO白色度94以上)を有する高品位結晶質石灰石を言う。
【0021】
本発明でいう不純物は、カーボン粒子、及びカーボン粒子が表面に付着した石英や各種炭酸塩であり、該カーボン粒子の粒径は150μm以下である。石灰石中の低品位化の原因は、このカーボン粒子、及びカーボン粒子が表面に付着した石英や各種炭酸塩である。
【0022】
本発明に用いられるキャリアとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、メタクリルスチレン(MS)樹脂、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリカーボネイト、アセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ふっ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等の合成樹脂、低品位結晶質石灰石、低純度の結晶質石灰石からなる群より選択される1種または2種以上のキャリアである。
前述の合成樹脂は、5mm以下の粉末状または細片状が好ましく、3mm以下の粉末状または細片状がより好ましい。
低品位結晶質石灰石または低純度の結晶質石灰石は1mm以下が好ましく、850μm以下がより好ましく、150μm以下が最も好ましい。
【0023】
本発明に用いられる捕収剤は、オレイン酸ナトリウム、ケロシン、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルアンモニウムアセテート(DAA)からなる群より選択される1種または2種以上である。
【0024】
本発明に用いられる起泡剤は、メチル・イソブチル・カービノール(MIBC)、ジエチレン・グライコール・カービノールからなる群より選択される少なくとも1種以上の起泡剤である。
【0025】
本発明の高品位結晶質石灰石の製造方法について説明する。
すなわち、まず微量の不純物を伴う低品位結晶質石灰石を粉砕し100μm以下の粉末として該石灰石粉末中の不純物粒子を単体分離した。
次にこの単体分離した石灰石粉末をスラリーとし、捕収剤を添加した。
一方、より多くの不純物を伴う石灰石粗粒子をキャリア(担体粒子)とし、この表面を捕収剤で疎水化処理した後に前記石灰石粉末スラリーに加え、あるいは樹脂等の疎水性表面を有する粗粒子をキャリアとして前記石灰石粉末スラリーに加え、攪拌することで不純物粒子をキャリア表面に付着・凝集させ、このキャリアを浮選除去することにより、高純度石灰石を分離回収し、高品位結晶質石灰石を得た。

【0026】
石灰石粗粒子をキャリア(担体粒子)として用いる方法は、不純物を除く対象とする微量の不純物を伴う低品位結晶質石灰石よりもさらに不純物の多い低純度の結晶質石灰石粉末を使用するため、未利用資源の有効活用になる。
【0027】
微量の不純物を伴う低品位結晶質石灰石中のカーボン粉末は疎水性であり、この性質を利用して、疎水性能を有する樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、メタクリルスチレン(MS)樹脂、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリカーボネイト、アセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ふっ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等)片や石灰石微粉末等へカーボン粉末を衝突させ選択的に吸着させることによって、石灰石粉末とカーボン粉末を分離させるものである。尚、この際衝突を効率的に行うために攪拌することが有効である。
【0028】
前述の樹脂片や低純度の石灰石微粉末等により高い疎水性能を付与するために、該樹脂片や低純度の石灰石微粉末等をオレイン酸ナトリウム、ケロシン、SDS、DAA等で処理するものである。
【0029】
本発明における微量の不純物を伴う低品位結晶質石灰石の純度測定方法として下記の方法を本発明者らは見出した。
すなわち、微量の不純物を伴う低品位結晶質石灰石粉末を20%の酢酸水溶液で懸濁して炭酸カルシウム分を溶解後、遠心分離により残渣を回収した。該残渣を水洗後、50%グリセリン水溶液に溶解して濁度計(ボイック積分球式濁度計)で濁度を測定した(濁度法)。
本濁度法による方法は重量法では測定限界以下の0.1%程度以下のカーボン等の不純物の測定に適しているものである。
【0030】
異なるグレードの石灰石について、この濁度法によって測定した不純物量と白色度(ISO白色度)の関係を下図に示す。
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【実施例】
【0031】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0032】
〔実施例1 粗粒子キャリア浮選法〕
低純度の結晶質石灰石(不純物含有率0.15質量%)をジョークラッシャー、ボールミルを用いて粉砕し、篩い分けによって106~150μmに調製しキャリアとした。該キャリア10gに90mlの水を加えて3分間攪拌後、オレイン酸ナトリウム濃度が3×10-4Mになるように添加し、更に5分間攪拌した(キャリア調製物)。
低品位結晶質石灰石(不純物含有率0.12質量%)をジョークラッシャー、ボールミルを用いて90%が50μm以下になるように粉砕し、該粉砕物30gに270mlの水を加えて3分間攪拌後、オレイン酸ナトリウム濃度が3×10-4Mになるように添加し、更に5分間攪拌した(石灰石調製物)。
次に、キャリア調製物と石灰石調製物とを混合し、メチル・イソブチル・カービノール(MIBC)を15μl、ケロシンを15μl添加し更に5分間攪拌した(懸濁調製物)。そして該懸濁調製物を浮選機に移しさらに40mlの水を加え5分間攪拌し、次に10分間浮選した。
この浮選後、キャリアと石灰石とを分けて取り出し、高品位結晶質石灰石を回収した。
【0033】
〔実施例2 粗粒子キャリア浮選法〕
低純度の結晶質石灰石(不純物含有率0.15質量%)をジョークラッシャー、ボールミルを用いて粉砕し、篩い分けによって106~150μmに調製しキャリアとした。該キャリア10gに90mlの水を加えて3分間攪拌後、DAA濃度が2.5×10-4MになるようにDAA添加し、更に5分間攪拌した(キャリア調製物)。
低品位結晶質石灰石(不純物含有率0.12質量%)をジョークラッシャー、ボールミルを用いて90%が50μm以下になるように粉砕し、該粉砕物30gに270mlの水を加えて3分間攪拌後、DAA濃度が2.5×10-4MになるようにDAA添加し、更に5分間攪拌した(石灰石調製物)。
次に、キャリア調製物と石灰石調製物とを混合し、メチル・イソブチル・カービノール(MIBC)を15μl、ケロシンを15μl添加し更に5分間攪拌した(懸濁調製物)。そして該懸濁調製物を浮選機に移しさらに40mlの水を加え5分間攪拌し、次に10分間浮選した。
この浮選後、キャリアと石灰石とを分けて取り出し、高品位結晶質石灰石を回収した。
【0034】
〔実施例3 ポリスチレンキャリア浮選法〕
ポリスチレン製ディスポディッシュを家庭用ミキサー用いて粉砕し、篩い分けによって590~850μmに調製しキャリアとした。該キャリア4gに90mlの水を加えて5分間攪拌後、ケロシンを15μl添加し更に3分間攪拌した(キャリア調製物)。
低品位結晶質石灰石(不純物含有率0.12質量%)をジョークラッシャー、ボールミルを用いて90%が50μm以下になるように粉砕し、該粉砕物36gに270mlの水を加えて10分間攪拌後、ケロシンを15μl添加し更に3分間攪拌した(石灰石調製物)。
次に、キャリア調製物と石灰石調製物とを混合し、メチル・イソブチル・カービノール(MIBC)を15μl添加し更に25分間攪拌した(懸濁調製物)。そして該懸濁調製物を浮選機に移しさらに40mlの水を加え5分間攪拌し、次に10分間浮選した。
この浮選後、キャリアと石灰石とを分けて取り出し、高品位結晶質石灰石を回収した。
【0035】
〔比較例1 従来の浮選法〕
低品位結晶質石灰石(不純物含有率0.12質量%)をジョークラッシャー、ボールミルを用いて90%が50μm以下になるように粉砕し、該粉砕物40gに360mlの水を加えて10分間攪拌後、メチル・イソブチル・カービノール(MIBC)を15μl、ケロシンを15μl添加し更に3分間攪拌した。
次に、浮選機に移しさらに40mlの水を加え5分間攪拌し、10分間浮選した。
この浮選後、浮鉱と石灰石とを分けて取り出し、高品位結晶質石灰石を回収した。
【0036】
実施例1~実施例3、及び比較例1に於ける不純物除去率及び高品位結晶質石灰石回収率を下表に示す。
【0037】
【表1】
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【0038】
以上説明したように、本発明の石灰石粗粒子または/および樹脂片をキャリアとして用いた浮選法は、不純物の除去率が最高で58.3%と、従来の浮選法のみの場合と比して1.9倍と極めて優れている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明により低品位結晶質石灰石中の不純物を除去することにより、高品位結晶質石灰石を製造することが可能となり、従来用いることが出来なかった低品位結晶質石灰石を重質炭酸カルシウム原料として製紙用フィラー、プラスチック、ゴム、塗料、食品、高級ガラス原料等に用いることができる。
これによって、低品位結晶質石灰石を高品位結晶質石灰石としても利用でき、各種分野での資源量の増大と原料確保が容易になる。
また、本発明は無機物質中の微量有機系不純物を除去するためにも適用することができ、他の無機物資の高度利用や廃棄物中の有価物回収等の資源リサイクル分野でも応用することができる。