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明細書 :ユーザビリティ評価システム及びユーザビリティ評価プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4670056号 (P4670056)
公開番号 特開2007-272575 (P2007-272575A)
登録日 平成23年1月28日(2011.1.28)
発行日 平成23年4月13日(2011.4.13)
公開日 平成19年10月18日(2007.10.18)
発明の名称または考案の名称 ユーザビリティ評価システム及びユーザビリティ評価プログラム
国際特許分類 G06F  17/50        (2006.01)
G06F  11/34        (2006.01)
FI G06F 17/50 612C
G06F 11/34 S
G06F 17/50 622A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 17
出願番号 特願2006-097592 (P2006-097592)
出願日 平成18年3月31日(2006.3.31)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成18年3月1日社団法人精密工学会発行の「2006年度精密工学会春季大会 学術講演会講演論文集」に発表
審査請求日 平成19年3月29日(2007.3.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】金井 理
【氏名】岸浪 建史
【氏名】堀内 聡
【氏名】菊田 幸明
【氏名】浜崎 亮輔
【氏名】吉永 孝明
【氏名】坂田 豊
【氏名】菊地 慶仁
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100101258、【弁理士】、【氏名又は名称】鹿又 弘子
審査官 【審査官】加舎 理紅子
参考文献・文献 特開2001-005854(JP,A)
特開平08-328839(JP,A)
特開平08-147265(JP,A)
特開平06-083885(JP,A)
金井理 他,情報機器プロトタイピングとユーザビリティ評価へのデジタルエンジニアリングの活用,ヒューマンインタフェース学会誌,2006年 2月25日,第8巻,第1号,p.13-18
浜崎亮輔 他,STEPをベースとした形状と挙動の協調モデルによる情報家電向けプロトタイピングシステムの開発および適用事例,2005年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,2005年 3月 1日,p.235-236
調査した分野 G06F 17/50
G06F 11/34
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
3DデジタルモデルのUI要素毎にその操作を定義し、定義情報を保持するUI要素定義手段と、前記UI要素毎にその操作による前記3Dデジタルモデルの挙動を定義し、定義情報を保持するUI挙動定義手段と、前記UI要素定義手段により定義された操作と、前記UI挙動定義手段により定義された前記3Dデジタルモデルの挙動とを前記UI要素毎に関連付けた3Dデジタルプロトタイプを作成する3Dデジタルプロトタイプ作成手段と、前記3Dデジタルプロトタイプを表示装置上に3Dグラフィック表示すると共に、当該表示装置上に表示されている3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、前記3Dデジタルモデルある任意のUI要素に対するイベントに対して当該UI要素の操作と関連付けられた当該3Dデジタルモデルの挙動による遷移後の状態を表示する3Dデジタルプロトタイプ再生手段とを有する3Dデジタルプロトタイプ作成手段と、
表示装置上に表示されている前記3Dデジタルプロトタイプ作成手段により作成された3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、操作履歴を記録するイベント記録手段と、ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴールを定義し、定義された情報を保持するタスク定義手段と、前記3Dデジタルプロトタイプを前記タスク定義手段に登録されたテスト対象タスクのスタート状態にして表示し、当該テスト対象タスクのゴールを提示するタスク提示手段とを有するテスト実施手段と、
前記イベント記録手段による操作履歴の記録データをUIソフトウェアプロトタイプデータ、テスト用タスクデータを元に分析し、ユーザビリティの3要素である有効性、効率性及び満足度に関しての評価指標を求めるテスト結果解析手段とを備えたことを特徴とするユーザビリティ評価システム。
【請求項2】
前記テスト実施手段におけるタスク定義手段は、ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴール、及び当該スタートからゴールまでの操作手順の正解例を定義し、定義された情報を保持し、
前記イベント記録手段に記録された操作履歴を前記タスク定義手段に保持されている当該テスト対象タスクの正解例と比較し、所定の演算によってユーザビリティ評価指標を算出するテスト結果解析手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のユーザビリティ評価システム。
【請求項3】
前記タスク定義手段は、前記スタートからゴールまでの操作手順の正解例として複数ルートの正解例を定義し、定義された情報を保持し、
前記テスト結果解析手段は、前記複数ルートの正解例のいずれのルートを経てゴールに到達しても正解として処理することを特徴とする請求項に記載のユーザビリティ評価システム。
【請求項4】
3DデジタルモデルのUI要素毎にその操作を定義し、定義情報をコンピュータに保持するUI要素定義ステップと、
前記UI要素毎にその操作による前記3Dデジタルモデルの挙動を定義し、定義情報を保持するUI挙動定義ステップと、
前記UI要素定義ステップにおいて定義された操作と、前記UI挙動定義ステップにおいて定義された前記3Dデジタルモデルの挙動とを前記UI要素毎に関連付けた3Dデジタルプロトタイプを作成する3Dデジタルプロトタイプ作成ステップと、
前記3Dデジタルプロトタイプを表示装置上に3Dグラフィック表示すると共に、当該表示装置上に表示されている3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、前記3Dデジタルモデルの任意のUI要素に対するイベントに対して当該UI要素の操作と関連付けられた当該3Dデジタルモデルの挙動による遷移後の状態を表示する3Dデジタルプロトタイプ再生ステップ
前記3Dデジタルプロトタイプ作成ステップにより作成されて表示装置上に表示されている3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、操作履歴を記録するイベント記録ステップと、
ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴールを定義し、定義された情報を保持するタスク定義ステップと、
前記3Dデジタルプロトタイプを前記テスト対象タスクのスタート状態にして前記表示装置上に表示し、当該テスト対象タスクのゴールを提示するテストタスク提示ステップと、
前記表示装置上に表示されている前記3Dデジタルプロトタイプの前記テスト対象タスクのスタート状態からゴールに到達するまでの前記ポインティングデバイスによるイベントを操作履歴として記録し、当該記録データをUIソフトウェアプロトタイプデータ、テスト用タスクデータを元に分析し、ユーザビリティの3要素である有効性、効率性及び満足度に関しての評価指標を求めるテスト結果解析ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするユーザビリティ評価プログラム
【請求項5】
前記タスク定義ステップは、ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴール、及び当該スタートからゴールまでの操作手順の正解例を定義し、定義された情報を保持し、
前記テスト結果解析ステップでは、前記操作履歴の記録データを、前記テスト対象タスクの正解例と比較し、所定の演算によってユーザビリティ評価指標を算出することを特徴とする請求項4に記載のユーザビリティ評価プログラム
【請求項6】
前記タスク定義ステップでは、前記スタートからゴールまでの操作手順の正解例として複数ルートの正解例を定義し、定義された情報を保持し、
前記テスト結果解析ステップでは、前記複数ルートの正解例のいずれのルートを経てゴールに到達しても正解として処理することを特徴とする請求項5に記載のユーザビリティ評価プログラム
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの画面上のバーチャル空間内に表示した3DCADモデルに対してポインティングデバイスにより操作するユーザテストを実施し、ユーザビリティ評価するユーザビリティ評価システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の多機能化・高機能化が進み、UI(ユーザインタフェース)のユーザビリティを考慮した機器開発の必要性が高まっている。製品設計段階におけるユーザビリティ評価のための手法には様々なものがあるが、近年では特に人間中心設計(Human-centred design)の考え方から、ユーザ参加型の手法であるユーザテストが重要視されてきている。ユーザテストは実際のユーザの利用状況に即した評価が行える半面、機器の機能モックアップの作成やユーザ行動観察のための環境構築にコストがかかることやテスト結果の分析・文書化に時間がかかることがあるため、短い開発期間内での実施や設計上流、つまり開発設計の初期段階での実施が難しい問題点があった。

【特許文献1】特許公開2005-275439号公報
【非特許文献1】Bong K. Koh, Hee-seok Lee, Seol-hye Won, "The Usability Improvement Process during Electric Product Development", Las Vegas, USA:HCII2005, 2005. CD-ROM
【非特許文献2】ISO13407: Human-centred design processes for interactive systems, 1999
【非特許文献3】ISO9241-11: Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs) - Part11: Guidance on usability, 1998
【非特許文献4】Dana L. Uehling, Karl Wolf, "User Action Graphing Effort (USAGE9)", Conference companion on Human factors in computing system, p.p. 290-291, May 07-11, 1995, Denver, Colorado, United States
【非特許文献5】Broak, J., "SUS: a‘quick and dirty' usability scale", Usability Evaluation in Industry. Taylor and Francis, 1996[6]ANSI/NCTTS 354-2001(2001). American National Standard for Information Technology - Common Industry Format for Usability Test Reports
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、設計上流で利用が可能である筐体形状の3DCADモデル、UIソフトウェアのプロトタイプから成るデジタルプロトタイプを活用し、ユーザテスト実施機能、ユーザ行動の記録機能、テスト結果の分析・文書化機能を持つ情報機器ユーザビリティ評価技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明のユーザビリティ評価システムは、3DデジタルモデルのUI要素毎にその操作を定義し、定義情報を保持するUI要素定義手段と、前記UI要素毎にその操作による前記3Dデジタルモデルの挙動を定義し、定義情報を保持するUI挙動定義手段と、前記UI要素定義手段により定義された操作と、前記UI挙動定義手段により定義された前記3Dデジタルモデルの挙動とを前記UI要素毎に関連付けた3Dデジタルプロトタイプを作成する3Dデジタルプロトタイプ作成手段と、前記3Dデジタルプロトタイプを表示装置上に3Dグラフィック表示すると共に、当該表示装置上に表示されている3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、前記3Dデジタルモデルある任意のUI要素に対するイベントに対して当該UI要素の操作と関連付けられた当該3Dデジタルモデルの挙動による遷移後の状態を表示する3Dデジタルプロトタイプ再生手段とを有する3Dデジタルプロトタイプ作成手段と、
表示装置上に表示されている前記3Dデジタルプロトタイプ作成手段により作成された3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、操作履歴を記録するイベント記録手段と、ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴールを定義し、定義された情報を保持するタスク定義手段と、前記3Dデジタルプロトタイプを前記タスク定義手段に登録されたテスト対象タスクのスタート状態にして表示し、当該テスト対象タスクのゴールを提示するタスク提示手段とを有するテスト実施手段と、
前記イベント記録手段による操作履歴の記録データをUIソフトウェアプロトタイプデータ、テスト用タスクデータを元に分析し、ユーザビリティの3要素である有効性、効率性及び満足度に関しての評価指標を求めるテスト結果解析手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1のユーザビリティ評価システムにおいて、前記テスト実施手段におけるタスク定義手段は、ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴール、及び当該スタートからゴールまでの操作手順の正解例を定義し、定義された情報を保持し、前記イベント記録手段に記録された操作履歴を前記タスク定義手段に保持されている当該テスト対象タスクの正解例と比較し、所定の演算によってユーザビリティ評価指標を算出するテスト結果解析手段を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項のユーザビリティ評価システムにおいて、前記タスク定義手段は、前記スタートからゴールまでの操作手順の正解例として複数ルートの正解例を定義し、定義された情報を保持し、前記テスト結果解析手段は、前記複数ルートの正解例のいずれのルートを経てゴールに到達しても正解として処理することを特徴とするものである。
【0017】
請求項の発明のユーザビリティ評価プログラムは、3DデジタルモデルのUI要素毎にその操作を定義し、定義情報をコンピュータに保持するUI要素定義ステップと、前記UI要素毎にその操作による前記3Dデジタルモデルの挙動を定義し、定義情報を保持するUI挙動定義ステップと、前記UI要素定義ステップにより定義された操作と、前記UI挙動定義ステップにより定義された前記3Dデジタルモデルの挙動とを前記UI要素毎に関連付けた3Dデジタルプロトタイプを作成する3Dデジタルプロトタイプ作成ステップと、前記3Dデジタルプロトタイプを表示装置上に3Dグラフィック表示すると共に、当該表示装置上に表示されている3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、前記3Dデジタルモデルの任意のUI要素に対するイベントに対して当該UI要素の操作と関連付けられた当該3Dデジタルモデルの挙動による遷移後の状態を表示する3Dデジタルプロトタイプ再生ステップと、前記3Dデジタルプロトタイプ作成ステップにより作成されて表示装置上に表示されている3Dデジタルプロトタイプの各UI要素に対するポインティングデバイスによるポインティング操作入力をイベントとして受け付け、操作履歴を記録するイベント記録ステップと、ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴールを定義し、定義された情報を保持するタスク定義ステップと、前記3Dデジタルプロトタイプを前記テスト対象タスクのスタート状態にして前記表示装置上に表示し、当該テスト対象タスクのゴールを提示するテストタスク提示ステップと、前記表示装置上に表示されている前記3Dデジタルプロトタイプの前記テスト対象タスクのスタート状態からゴールに到達するまでの前記ポインティングデバイスによるイベントを操作履歴として記録し、当該記録データをUIソフトウェアプロトタイプデータ、テスト用タスクデータを元に分析し、ユーザビリティの3要素である有効性、効率性及び満足度に関しての評価指標を求めるテスト結果解析ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0018】
請求項の発明は、請求項のユーザビリティ評価プログラムにおいて、前記タスク定義ステップは、ユーザテスト用のテスト対象タスクのスタートとゴール、及び当該スタートからゴールまでの操作手順の正解例を定義し、定義された情報を保持し、前記テスト結果解析ステップでは、前記操作履歴の記録データを、前記テスト対象タスクの正解例と比較し、所定の演算によってユーザビリティ評価指標を算出することを特徴とするものである。
【0019】
請求項の発明は、請求項のユーザビリティ評価プログラムにおいて、前記タスク定義ステップでは、前記スタートからゴールまでの操作手順の正解例として複数ルートの正解例を定義し、定義された情報を保持し、前記テスト結果解析ステップでは、前記複数ルートの正解例のいずれのルートを経てゴールに到達しても正解として処理することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明のユーザビリティ評価システム及びプログラムによれば、ユーザテストに機器の物理モックアップの作成が不要であるのでごく初期の開発設計段階からユーザテストを実施してユーザビリティ評価することができ、その上、多人数に対して遠隔地でもユーザテストを実施し、ユーザビリティ評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の1つの実施の形態のユーザビリティ評価システムのシステム構成を示している。本システムは、Webブラウザ上に表示された電子機器の3Dプロトタイプを被験者に操作させ、その操作結果を解析することによって、ユーザビリティの評価を行うシステムである。本システムは、タスク定義登録部1、テスト実施部2、テスト結果解析部3から構成されている。尚、本システムはネットワーク接続されたコンピュータシステムあるいはスタンドアロンのコンピュータシステムに上記諸機能を発揮するユーザビリティ評価プログラムを実装することによりそのコンピュータシステムにより構成することもできる。
【0026】
そして、タスク定義登録部1は、ユーザビリティエンジニアが定義したテスト対象タスクデータ101の登録する部分である。ここで、タスクとは、「ゴールを達成するために必要な一連の行動」のことであり、本システム上ではState Chart形式で定義されたUIソフトウェアプロトタイプ102からタスクのゴールGやスタートC等を選択することによって定義する。
【0027】
テスト実施部2は、被験者に対しテストを実施し、そのイベントを記録する部分であり、テストタスク表示部2A、3Dプロトタイプ再生部2B、イベント記録部2Cの3つの処理部分から成る。
【0028】
このテスト実施部2におけるテストタスク表示部2Aは、ユーザビリティエンジニアによって定義されたテストタスクを被験者に対して表示する部分である。3Dプロトタイプ再生部2Bは、UIソフトウェアプロトタイプデータ102と、筐体の3DCADモデルデータ103からWebブラウザ上で筐体の3Dモデル、つまり3Dデジタルプロトタイプモデルを作成して再生し、またその回転、移動、拡大縮小等の操作をマウスのようなポインティングデバイスによるドラッグ操作によって可能にし、また、ポインティングデバイスによるクリック操作によって操作可能なアイテム、例えば、デジタルカメラらのプロトタイプであれば電源ボタン、シャッターボタン、ズームボタン、再生ボタン等の3Dプロトタイプ104を再生し、さらに各アイテムに対するクリック操作を当該アイテムに対する操作イベントとして認識する部分である。イベント記録部2Cは、各タスクに対して被験者がポインティングデバイスによって行った操作イベントを時系列的に記録し、イベント記録データ105を作成する部分である。
【0029】
テスト結果解析部3は、被験者のイベント記録データ105をUIソフトウェアプロトタイプデータ102、テスト用タスクデータ101を元に分析し、ユーザビリティの3要素(有効性、効率性、満足度)に関しての評価指標106を演算する部分である。
【0030】
上述したように、3Dデジタルプロトタイプ再生部2Bは、ユーザテストの対象となる電子機器モデルの3Dデジタルプロトタイプ作成する機能を有している。この3Dデジタルプロトタイプ作成部は、ソフトウェアにより構成されるものであるが、機能構成に分解して示すと、図2に示す構成である。すなわち、既存の3DCADソフトウェアによって作成された3DCADメッシュモデルに対して、例えば、VRMLエディタを利用してWeb上で操作できる3Dモデル103を作成する3Dモデル作成部11と、この3DCADモデル103上の各UI要素、例えば、デジタルカメラモデルであれば電源ボタン、ズーム操作ボタン、再生ボタン、メニューボタン等のUI要素を定義するUI要素定義部12と、これとは別にUI挙動仕様に基づくUI挙動定義を行ってUIソフトウェアプロトタイプデータ102を作成するUI挙動定義部13と、UI要素定義がなされた3DCADモデル103とUIソフトウェアプロトタイプデータ102とを合成して3Dデジタルプロトタイプ104を作成して再生する3Dデジタルプロトタイプ作成・再生部14とから構成される。
【0031】
次に、上記構成のユーザビリティ評価システムを用いたユーザビリティ評価方法について説明する。図3に示すように、本実施の形態のユーザビリティ評価方法は、3DCADデータとUI挙動仕様とを連係させる3Dプロトタイプを作成するステップST1、この3Dプロトタイプを用いたユーザテストST2、そしてユーザテストの結果を解析してユーザビリティ評価指標を出力するステップST3から成る。本実施の形態のユーザビリティ評価方法によれば、ユーザテストの対象となる電子機器モデルの3Dプロトタイプを対象としたユーザビリティテスト用情報モデルを作成する。そのためにまず、図2に示した3Dデジタルプロトタイプ再生部2Bにおける3Dデジタルプロトタイプ作成機能によって、3DCADモデル103を作成し、この3DCADモデル103に対してUI要素を定義し、これとは別にUI挙動仕様に基づくUI挙動定義を行ってUIソフトウェアプロトタイプデータ102を作成し、これらUI要素定義がなされた3DCADモデル103とUIソフトウェアプロトタイプデータ102とを合成して3Dプロトタイプ104を作成する。
【0032】
尚、3DCADモデル103の作成には、例えば、VRMLエディタを用い、Webブラウザ上に3Dグラフィック表示できるようにする。UI要素定義は、デジタルカメラのプロトタイプに対するものであれば、上述したように電源ボタンであれば「電源ボタン」というボタン名と共に、それを押す操作ができることを定義し、また、ズーム操作ボタン「ズーム操作ボタン」というボタン名と共に、その「W」側、「T」側それぞれを押す操作ができることを定義する。他のUI要素についても同様である。
【0033】
UIソフトウェアプロトタイプデータ102は、UIソフトウェアの挙動を表現するモデルとして状態遷移表現を用いて作成する。図4に本実施の形態で作成したUIソフトウェアプロトタイプデータの一部を簡略化して示してある。図5のテーブルに示すように、状態遷移は、主にstate、event、behavior、actionの4つで構成される。図6に3Dプロトタイプとしてのデジタルカメラの電源オン状態を例示しているように、stateはUIのとり得る状態を表す。eventはUIに対する入力(例えば、ユーザのマウスクリック)を表す。また、actionはプロトタイプの動作(例えば、プロトタイプがデジタルカメラであればレンズの機械的駆動、画面の遷移)を表す。図7に詳しいように、behaviorは状態の遷移を表し、遷移前のstate、遷移を引き起こすevent、遷移に伴って起こる機器のaction、遷移後のstateによって定義する。これらを組み合わせることによって、UIの状態遷移を定義する。
【0034】
テスト用タスクモデル101は、テスト時にユーザに提示するタスクの正解をCheck Pointという概念を用いて定義する。一般的に情報機器ではゴールを達成するための道筋(Route)は複数あることが多い。そのため、非特許文献4等で用いられている熟練者による操作を正解タスクとする方法など、正解を1つのbehaviorの系列に限定する手法は適さない。そこで本実施の形態では、図8、図9に示すように、チェックポイント(必ず通らなければならないstate)の集合によってタスクを表す。図9の例の場合、Start→State1→State2→State4と操作されても、またStart→State3→State4と操作されてもチェックポイントCPであるState4に到達すれば正しい操作(正解)とするのである。ただし、各チェックポイント(CP)間は操作数か操作時間の上下限値を設定し、その範囲内で次チェックポイントに到達すれば正しい操作が行われたと判定する。また、別のルート(Route2)であるStart→State5→State6を経てGoalに到達した場合にも正しい操作が行われた判定する。こうすることにより、タスクの自由度を試験者が自由に設定することができ、複数の経路Route1,Route2で達成可能なタスクについても適切に定義可能にしている。
【0035】
このようにして作成された3Dプロトタイプモデル104を被験者のコンピュータシステムでWebブラウザ上で表示させ、ユーザテストを実施する。
【0036】
ユーザテストでは、図10に示すように、テスト用タスク表示部2Aに、例えば、デジタルカメラの3Dデジタルプロトタイプのユーザビリティ評価を実施する場合(以下、同じ)、スタート状態が再生モード状態であって、ゴールが撮影モード状態であるとすれば、3Dデジタルプロトタイプ再生部2Bは3Dデジタルプロトタイプを再生モード状態で表示する(ステップS11)。そして、「REC MODEに切り替え、撮影を行ってください。」のテスト用タスクを表示して被験者に提示する(ステップS12)。この後、被験者がマウスのようなポインティングデバイスにて定義されているUI要素上でクリックとすることによる押す操作をすれば、これを1回のイベントとして、テストにおける被験者の操作ログにイベントを時系列に記録していく。操作ログではUIソフトウェアプロトタイプデータの形式に従って、state、event、action、behaviorから成るタスクごとのユーザの操作によるUIの状態遷移と、それらが発生した時刻をイベント記録データ105として記録する(ステップS13,S14)。イベント記録データ105には、タスクごとに以下のデータを、例えば、図示しているように、XML形式で、ユーザの操作(操作部品名、操作時刻)、通過State(State名、到達時刻)、UIの動作(動作名、動作時刻)を記録する。
【0037】
このようにして実施したユーザテストのテスト結果に対する評価は、次のようにして行う。ユーザビリティ評価には、ISO9241に定められたユーザビリティを構成する3要素、有効性、効率性、満足度について行う。ここで、有効性はタスク達成率、操作数から求め、効率性は平均操作時間から求め、満足度は非特許文献5に提案されている質問紙SUSのスコアを用いて行い、ユーザビリティテスト結果は、報告書規格である非特許文献6に提案されているCIFに基づいて行う。尚、ユーザビリティ評価手法そのものはこれに限定されるものではなく、ここに例示した以外の指標についても試験者が追加することが可能である。
【実施例】
【0038】
3Dデジタルプロトタイプとしてデジタルカメラのプロトタイプを作成し、これに対して電源オフ状態からタイマ撮影を行うというテスト用タスクを定義し、ユーザテストを3人の被験者に対して行ってもらった。また、デジタルカメラらの実機に対して別の3人の被験者に対しても同様のタスクをおこなってもらった。いれずれの被験者も当該モデルについては操作未経験の人たちであった。
【0039】
ユーザビリティ評価結果は、図11に示す表のようになった。タスク達成率はどちらのグループ100%であり、平均操作数についてはほぼ同等の値を得た。ただし、操作時間は実機の方が早かった。これは、操作時間に関しては3Dデジタルプロトタイプの操作がコンピュータシステム上でポインティングデバイスによるものであり、手でもってモデルを操作するよりもボタン位置を確かめたりするのにモデルを回転させる操作が必要となるためであると考えられる。
【0040】
これから、本システムによるユーザテストは十分に実用性のあるものであることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の1つの実施の形態のユーザビリティ評価システムの機能ブロック図。
【図2】上記実施の形態のユーザビリティ評価システムにおける3Dデジタルプロトタイプ作成部の機能ブロック図。
【図3】上記実施の形態のユーザビリティ評価システムを用いたユーザビリティ評価方法のフローチャート。
【図4】上記実施の形態において採用するEXPRESS-GによるUI挙動のUIソフトウェアプロトタイプモデルの説明図。
【図5】上記実施の形態におけるEXPRESS-GによるUIソフトウェアプロトタイプモデルの要素state、event、action、behaviorを説明する表。
【図6】上記実施の形態のユーザビリティ評価システムによるデジタルカメラらの3Dデジタルプロトタイプの電源オン時の3D表示例の説明図。
【図7】上記実施の形態におけるEXPRESS-GによるUIソフトウェアプロトタイプモデルの要素state、event、action、behaviorの説明図。
【図8】上記実施の形態におけるEXPRESS-Gによるテスト用タスクのUIソフトウェアプロトタイプモデルの説明図。
【図9】上記実施の形態のユーザビリティ評価方法におけるテスト用タスクの正解例を示す説明図。
【図10】上記実施の形態のユーザビリティ評価システムによるユーザテストのフローチャート。
【図11】本発明の実施例のユーザビリティ評価結果の表。
【符号の説明】
【0042】
1 タスク定義登録部
2 テスト実施部
2A テスト用タスク表示部
2B 3Dデジタルプロトタイプ再生部
2C イベント記録部
3 テスト結果解析部
11 3Dモデル作成部
12 UI要素定義部
13 UI挙動定義部
14 3Dデジタルプロトタイプ作成・再生部
101 テスト用タスクデータ
102 UIソフトウェアプロトタイプデータ
103 3DCADモデル
104 3Dデジタルプロトタイプ
105 イベント記録データ
106 ユーザビリティ評価指標
図面
【図4】
0
【図5】
1
【図8】
2
【図11】
3
【図1】
4
【図2】
5
【図3】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図9】
9
【図10】
10