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明細書 :アセンブリメッシュモデル生成方法及びシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4701119号 (P4701119)
公開番号 特開2007-272704 (P2007-272704A)
登録日 平成23年3月11日(2011.3.11)
発行日 平成23年6月15日(2011.6.15)
公開日 平成19年10月18日(2007.10.18)
発明の名称または考案の名称 アセンブリメッシュモデル生成方法及びシステム
国際特許分類 G06F  17/50        (2006.01)
FI G06F 17/50 612J
請求項の数または発明の数 5
全頁数 16
出願番号 特願2006-099441 (P2006-099441)
出願日 平成18年3月31日(2006.3.31)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成18年3月1日 社団法人精密工学会発行の「2006年度精密工学会春季大会 学術講演会講演論文集」に発表
審査請求日 平成19年3月29日(2007.3.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
発明者または考案者 【氏名】金井 理
【氏名】岸浪 建史
【氏名】伊達 宏昭
【氏名】西垣 一朗
個別代理人の代理人 【識別番号】100098017、【弁理士】、【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
【識別番号】100066979、【弁理士】、【氏名又は名称】鵜沼 辰之
審査官 【審査官】加舎 理紅子
参考文献・文献 特開2005-327171(JP,A)
特開2004-295215(JP,A)
特開2000-113229(JP,A)
H. Hoppe,Progressive Meshes,Proceedings of the 23rd annual conference on Computer graphics and interactive techniques,1996年 8月,p.99-108
調査した分野 G06F 17/50
CiNii
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータを用いて構成されたアセンブリメッシュモデル生成部により、複数部品からなるアセンブリの解析用メッシュモデルを生成するアセンブリメッシュモデル生成方法において、
前記アセンブリメッシュモデル生成部は、前記部品ごとに生成された複数の部品メッシュモデルと前記複数の部品の配置情報を取り込むデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ前記複数の部品メッシュモデルと前記複数の部品の配置情報に基づいて前記複数の部品メッシュモデルの結合部を認識する結合部認識ステップと、
該結合部認識ステップで認識した前記結合部に係る2つの部品メッシュモデルの表面間に形成される空間に連結メッシュを挿入する連結メッシュ挿入ステップと、
該連結メッシュ挿入ステップで挿入された前記連結メッシュを単純化処理により除去して前記複数の部品メッシュモデルが結合したアセンブリメッシュモデルを生成する連結メッシュ除去ステップとを実行して前記解析用メッシュモデルを生成し、
前記連結メッシュ挿入ステップは、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の逆方向に一定量オフセットした後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割した前記連結メッシュを挿入することを特徴とするアセンブリメッシュモデル生成方法。
【請求項2】
コンピュータを用いて構成されたアセンブリメッシュモデル生成部により、複数部品からなるアセンブリの解析用メッシュモデルを生成するアセンブリメッシュモデル生成方法において、
前記アセンブリメッシュモデル生成部は、前記部品ごとに生成された複数の部品メッシュモデルと前記複数の部品の配置情報を取り込むデータ取込ステップと、
該データ取込ステップで取り込んだ前記複数の部品メッシュモデルと前記複数の部品の配置情報に基づいて前記複数の部品メッシュモデルの結合部を認識する結合部認識ステップと、
該結合部認識ステップで認識した前記結合部に係る2つの部品メッシュモデルの表面間に形成される空間に連結メッシュを挿入する連結メッシュ挿入ステップと、
該連結メッシュ挿入ステップで挿入された前記連結メッシュを単純化処理により除去して、前記複数の部品メッシュモデルが結合したアセンブリメッシュモデルを生成する連結メッシュ除去ステップとを実行して前記解析用メッシュモデルを生成し、
前記連結メッシュ挿入ステップは、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の逆方向に一定量オフセットした後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割した前記連結メッシュを挿入し、
前記連結メッシュ除去ステップは、前記連結メッシュの稜線を構成する頂点対を1つの頂点に統合するエッジコラプス法により該連結メッシュを単純化処理して該連結メッシュを除去した後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の方向に前記一定量オフセットして前記複数の部品メッシュモデルを結合したセンブリメッシュモデルを生成することを特徴とするアセンブリメッシュモデル生成方法。
【請求項3】
複数部品からなるアセンブリの解析用メッシュモデルをコンピュータを用いて生成するアセンブリメッシュモデル生成システムにおいて、
前記コンピュータは、部品ごとに生成された複数の部品メッシュモデルを取り込み、複数の部品の配置情報に基づいて前記複数の部品メッシュモデルの結合部を認識する結合部認識処理手段と、
前記結合部に係る2つの部品メッシュモデルの表面間に形成される空間に連結メッシュを挿入する連結メッシュ挿入処理手段と、
前記連結メッシュを単純化処理により、除去して前記複数の部品メッシュモデルを結合してアセンブリメッシュモデルを生成する連結メッシュ除去処理手段とを有し
前記連結メッシュ挿入処理手段は、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の逆方向に一定量オフセットした後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割した前記連結メッシュを挿入することを特徴とするアセンブリメッシュモデル生成システム。
【請求項4】
複数部品からなるアセンブリの解析用メッシュモデルをコンピュータを用いて生成するアセンブリメッシュモデル生成システムにおいて、
前記コンピュータは、部品ごとに生成された複数の部品メッシュモデルを取り込み、複数の部品の配置情報に基づいて前記複数の部品メッシュモデルの結合部を認識する結合部認識処理手段と、
前記結合部に係る2つの部品メッシュモデルの表面間に形成される空間に連結メッシュを挿入する連結メッシュ挿入処理手段と、
前記連結メッシュを単純化処理により、除去して前記複数の部品メッシュモデルを結合してアセンブリメッシュモデルを生成する連結メッシュ除去処理手段とを有し、
前記連結メッシュ挿入処理手段は、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の逆方向に一定量オフセットした後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割した前記連結メッシュを挿入し、
前記連結メッシュ除去処理手段は、前記連結メッシュの稜線を構成する頂点対を1つの頂点に統合するエッジコラプス法により該連結メッシュを単純化処理して該連結メッシュを除去した後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の方向に前記一定量オフセットして前記複数の部品メッシュモデルを結合したセンブリメッシュモデルを生成することを特徴とするアセンブリメッシュモデル生成システム。
【請求項5】
複数部品からなるアセンブリの解析用メッシュモデルをコンピュータを用いて生成するアセンブリメッシュモデル生成システムにおいて、
前記コンピュータは、部品ごとに生成された複数の部品メッシュモデルを取り込み、複数の部品の配置情報に基づいて前記複数の部品メッシュモデルの結合部を認識する結合部認識処理手段と、
前記結合部に係る2つの部品メッシュモデルの表面間に形成される空間に連結メッシュを挿入する連結メッシュ挿入処理手段と、
前記連結メッシュを単純化処理により、除去して前記複数の部品メッシュモデルを結合してアセンブリメッシュモデルを生成する連結メッシュ除去処理手段とを有し、
前記結合部認識処理手段は、前記2つの部品メッシュモデルに対して共通座標系に軸が沿ったバウンディングボックスを設定し、該バウンディングボックスを設定された間隔で均等に複数のセルに分割し、各セルに含まれる頂点を各セルに対応して登録し、各セル内の一方のメッシュ頂点と、その近傍セル内に含まれる他方メッシュのメッシュ表面上の面分との距離を算出し、該算出された距離が設定された閾値未満の頂点・面分の対を前記結合部の要素として認識する処理を含み、
前記連結メッシュ挿入処理手段は、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の逆方向に一定量オフセットした後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割した前記連結メッシュを挿入する処理を含み、
前記連結メッシュ除去処理手段は、前記連結メッシュの稜線を構成する頂点対を1つの頂点に統合するエッジコラプス法により該連結メッシュを単純化処理して該連結メッシュを除去した後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の方向に前記一定量オフセットして前記複数の部品メッシュモデルを結合したセンブリメッシュモデルを生成する処理を含んでなることを特徴とするアセンブリメッシュモデル生成システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数部品からなるアセンブリの解析用メッシュモデルをコンピュータを用いて生成するアセンブリメッシュモデル生成方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品のメッシュモデルの容易な取得が可能になってきており、早期CAE(コンピュータ援用設計)に基づく効率的な製品開発への要求がますます高まってきている。非特許文献1では、高密度メッシュを単純化する方法を用いた、頑強でメッシュ性質制御性の高い有限要素解析用メッシュ生成法が提案されている。このメッシュ生成法により、単一部品のメッシュモデルのメッシュ品質や要素数などのメッシュ性質を柔軟に制御することが可能になった。また、メッシュモデルの生成に関連する先行技術としては、非特許文献2~4がある。
【0003】
一方、複数部品からなるアセンブリモデルのメッシュ生成は、CAD上で複数部品の共有面を厳密に定義する必要があること、また、メッシュ上での要素間の対応付けが必要となることなどから、単一部品のメッシュ生成よりも作業が煩雑となる。
【0004】

【非特許文献1】「有限要素解析用多重解像度メッシュモデリングに関する研究」、伊達他、2005年度精密工学会秋季大会講演論文集、(2005)191
【非特許文献2】R.H.V. Topping, J. Muylle, P. Ivanyi, R. Putanowiez and B.Cheng: Finite Element Mesh Generation, SAXE-COUBURG PUBLICATIONS, 2004
【非特許文献3】H. Hoppe: Progressive Meshes, Proceedings of SIGGRAPH'96, pp.98-108, 1996
【非特許文献4】L. De Floriani, Paola Magillo, Franco Morando and Enrico Puppo: Dynamic view-dependent multiresolution on a client-server architecture, Computer-Aided Design, 32, pp.805-823, 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、複数部品からなるアセンブリモデルのメッシュ生成処理の効率化、解析条件に適したメッシュレベルを部品ごとに容易に設定可能にするといったCAE効率化については考慮されていない。
【0006】
本発明は、複数部品からなるアセンブリモデルに対するメッシュ生成処理を効率化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のアセンブリメッシュモデル生成方法は、アセンブリモデルを構成する複数部品についてそれぞれ独立に生成された部品メッシュモデルを結合して、アセンブリメッシュモデルを生成することを特徴とする。これにより、部品ごとに独立したメッシュ生成及びメッシュ性質の制御を行うことができ、複数部品からなるアセンブリモデルのメッシュ生成処理を効率化でき、かつ解析条件に適したメッシュレベルを部品ごとに容易に設定可能になるから、CAEの効率化を図ることができる。
【0008】
具体的には、複数部品からなるアセンブリの解析用メッシュモデルをコンピュータを用いて生成するアセンブリメッシュモデル生成方法及び同システムにおいて、部品ごとに生成された複数の部品メッシュモデルを取り込むデータ取込ステップと、複数の部品の配置情報に基づいて前記複数の部品メッシュモデルの結合部を認識する結合部認識ステップと、前記結合部に係る2つの部品メッシュモデルの表面間に形成される空間に連結メッシュを挿入する連結メッシュ挿入ステップと、該連結メッシュを単純化処理した後、除去して前記複数の部品メッシュモデルを結合してアセンブリメッシュモデルを生成する連結メッシュ除去ステップとを有して構成する。
【0009】
すなわち、複数の部品の結合面に係る部品メッシュモデルの結合部に、連結要素(頂点、稜線、面分)から構成される連結メッシュを一旦挿入する。そして、挿入した連結メッシュを単純化処理して、2つの部品メッシュモデルの結合部に挿入した連結メッシュを取り除くことにより、2つの部品メッシュモデルの結合部の表面上の頂点を共通化することができる。したがって、複数部品から構成されるアセンブリの部品メッシュモデルがそれぞれ独立に生成されたものであっても、複数の部品メッシュモデルを矛盾なく結合することができる。これにより、部品ごとに独立したメッシュ生成及びメッシュ性質の制御を行うことができ、複数部品からなるアセンブリモデルのメッシュ生成処理を効率化できる。しかも、解析条件に適したメッシュレベルを部品ごとに容易に設定可能になるから、CAEの効率化を図ることができる。
【0010】
つまり、言い換えれば、本発明のアセンブリメッシュモデル生成は、異なるメッシュモデル表面間に連結要素を挿入し、それらを単純化して除去することにより、結合部で要素間の接続関係に矛盾のないアセンブリメッシュモデルを生成することができる。本発明によれば、結合部で要素分割が異なるメッシュを容易に一体化できる。さらに、LOD(詳細度制御)を用いて結合したアセンブリメッシュモデルを複数の部品メッシュモデルに分離する可逆操作も可能である。
【0011】
上記の場合において、前記結合部認識ステップは、前記2つの部品メッシュモデルの一方のメッシュ頂点と他方のメッシュのメッシュ表面上の面分との距離が設定された閾値未満の頂点・面分の対を前記結合部の要素として認識する処理とすることができる。さらに、前記結合部認識ステップは、前記2つの部品メッシュモデルに対して共通座標系に軸が沿ったバウンディングボックスを設定し、該バウンディングボックスを設定された間隔で均等に複数のセルに分割し、各セルに含まれる頂点を各セルに対応して登録し、各セル内の一方のメッシュ頂点と、その近傍セル内に含まれる他方メッシュのメッシュ表面上の面分との距離を算出し、該算出された距離が設定された閾値未満の頂点・面分の対を前記結合部の要素として認識する処理とすることができる。
【0012】
また、前記連結メッシュ生成ステップは、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割して前記連結メッシュを生成することができる。さらに、前記連結メッシュ挿入ステップは、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の逆方向に一定量オフセットした後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割した前記連結メッシュを挿入するものとすることができる。また、前記連結メッシュ除去ステップは、前記連結メッシュの稜線を構成する頂点対を1つの頂点に統合するエッジコラプス法により該連結メッシュを除去するものとすることができる。
【0013】
また、前記連結メッシュ挿入ステップは、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の逆方向に一定量オフセットした後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの表面間の空間を四面体分割した前記連結メッシュを挿入し、前記連結メッシュ除去ステップは、前記連結メッシュの稜線を構成する頂点対を1つの頂点に統合するエッジコラプス法により該連結メッシュを単純化処理して該連結メッシュを除去した後、前記結合部の前記2つの部品メッシュモデルの頂点の位置を該頂点の法線の方向に前記一定量オフセットして前記複数の部品メッシュモデルを結合したアセンブリメッシュモデルを生成するものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数部品からなるアセンブリモデルに対するメッシュ生成処理を効率化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明のアセンブリメッシュモデル生成方法を適用した一実施形態のメッシュモデル生成システムの概要構成図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のメッシュモデル生成システムは、コンピュータを用いて形成されてなる、品質・粗密・フィーチャ制御部1と、アセンブリメッシュ生成部2と、解析条件設定部3とを備えて構成されている。
【0017】
品質・粗密・フィーチャ制御部1には、複数の部品から構成されるアセンブリ(組立体)に係る部品ごとの原メッシュモデルが入力されている。品質・粗密・フィーチャ制御部1は、RE(Reserve Engineering)メッシュ、STL(Stereo Lithography)、FE(Finite Element:有限要素)メッシュなどの原メッシュモデルを取り込み、所望のメッシュ品質やメッシュの粗密度などのフィーチャを有する多重解像度のメッシュモデルを生成する機能を有している。REメッシュは、現物モデルをスキャンによって計算機内に形状モデルを構築し、これに基づいて生成されたメッシュである。STLは、3D-CADから光造形などのシステムに渡す形状データであり、例えば、三角形のパッチの集合により記述されていることから、三角形のメッシュが簡単に得られるが、解析で使えるようなメッシュ品質を持っていない。
【0018】
アセンブリメッシュ生成部2は、品質・粗密・フィーチャ制御部1から出力される多重解像度の複数の部品メッシュモデル5、6を取り込み、それらの部品メッシュモデル5、6を結合したアセンブリメッシュモデル7を生成して、次段の解析処理システムへ出力する機能を有している。また、アセンブリメッシュ生成部2には、複数の部品メッシュモデル5、6の配置情報が入力されている。
【0019】
解析条件設定部3は、品質・粗密・フィーチャ制御部1から出力される複数の部品メッシュモデル5、6と、アセンブリメッシュ生成部2から出力されるアセンブリメッシュモデル7とを取り込み、入力される解析条件付パッチに基づいて解析条件付メッシュモデル8を生成して、次段の解析処理システムへ出力する機能を有している。また、アセンブリメッシュ生成部2と解析条件設定部3は、入力されるメッシュ結合指令に応答して、起動されるようになっている。
【0020】
ここで、本実施形態の特徴部であるアセンブリメッシュ生成部2の概要構成について説明する。メッシュ合成にはブーリアン演算や詳細形状生成・モーフィングのためのメッシュ重ね合わせ等様々な種類がある。本実施形態では、曲面又は平面の面と面で2つの部品メッシュモデルを結合するタイプのメッシュ結合を対象とする。面と面で2つの部品メッシュモデルを結合する本実施形態のメッシュ結合によれば、アセンブリメッシュモデル生成の効率化、及び解析条件設定の効率化を実現できる。
【0021】
つまり、複数部品からなるアセンブリモデルのメッシュ生成は、CAD上での厳密な共有面定義や、メッシュ上での要素間の対応付けが必要となり、単一部品のメッシュ生成よりも作業が煩雑となる。しかし、本実施形態のメッシュ結合を用いると、品質・粗密・フィーチャ制御部1において部品ごとに独立したメッシュの生成及び性質制御ができ、後のアセンブリメッシュ生成部2において一つに合成されたアセンブリメッシュモデルを生成できる。
【0022】
また、メッシュモデル上での解析条件設定は、多数の要素の選択処理といった煩雑な操作が要求される。単純な解析条件設定においては、いくつかの解析条件付パッチ(解析条件付テンプレートメッシュ)を用意しておき、解析条件設定部3において解析条件付パッチを対象のメッシュモデルに合成することにより、効率の良い解析条件設定が可能となる。
【0023】
ここで、CAEにおいて上述した効率化を実現するためのメッシュ結合には、次の機能が要求され、本実施形態のメッシュ結合ではこれらの機能を満足する。
(1)与えられた部品配置における各部品メッシュモデルの結合部分が効率よく認識できること
(2)異なる要素分割がなされている各部品メッシュモデル間の結合部に対して要素間に矛盾のない1つの結合面を生成できること
(3)部品の組み合わせや解析条件の変更を円滑に行えるように可逆操作(分離)が可能であること
要求(1)は処理効率化に対する要求であり、要求(2)は結果のアセンブリメッシュモデルを解析で利用するための条件、要求(3)は、アセンブリモデル生成における部品交換や、解析条件変更を柔軟に行えるようにするためのメッシュ利用の観点からの要求である。
【0024】
なお、本実施形態では、対象とするメッシュの種類は、三角形メッシュ並びに四面体メッシュである。三角形・四面体メッシュを利用したCAEのためのメッシュ結合の種類は、図3に示す7つのケースが考えられる。本実施形態では、図3中のSS型のみを対象としているが、基本となるアルゴリズムは、その他の全てのケースに容易に拡張できる。
【0025】
ここで、アセンブリメッシュ生成部2におけるアセンブリメッシュモデルの生成方法の概要を、図2及び図4を参照して説明する。図2は、アセンブリメッシュ生成部2における処理手順の概要を示している。アセンブリメッシュ生成部2は、メッシュ結合指令が入力されると、品質・粗密・フィーチャ制御部1から結合対象の例えば2つの部品メッシュモデル5、6のデータを取り込む(ステップS1)。次に、アセンブリメッシュ生成部2は、入力される部品メッシュモデル5、6の配置関係の情報に基づいて、図4(A)に示すような2つの部品メッシュモデル5、6の結合部の認識処理を実行する(ステップS2)。次に、アセンブリメッシュ生成部2は、図4(B)に示す2つの部品メッシュモデル5、6の結合部のメッシュ表面間に、複数の連結要素からなる連結メッシュ13を挿入する(ステップS3)。次に、アセンブリメッシュ生成部2は、連結メッシュ13に対してメッシュ単純化処理を実行して、図4(C)に示すように、連結メッシュ13を除去する(ステップS4)。これにより、結合部で矛盾のない要素間の接続性を持つアセンブリメッシュモデル7を生成して、そのデータを解析処理システムに出力する(ステップS5)。なお、連結要素には、稜線や四面体が考えられるが、本実施形態では四面体を採用している。
【0026】
このようなアセンブリメッシュモデルの生成方法には、次の特徴がある。
(1)図4(A)に示すように、結合する面で異なるメッシュ分割が成されていても、結果として同図(C)に示す矛盾の無い要素を持つ一つの共有面を生成できる。
(2)結合する面の形状が若干異なっていても問題なく結合できる。
(3)メッシュ階層を用いた処理履歴管理により、可逆操作(分離)が可能である。
(4)図3の全タイプのメッシュ結合に容易に拡張できる。
【0027】
本実施形態のアセンブリメッシュモデルの生成方法においては、2つの部品メッシュモデル5、6の結合部の表面形状が類似しており、それらの面がほぼ一致するように相対的な配置が定められているものとする。また、結合に利用する一方の部品メッシュモデルのメッシュ解像度(メッシュ密度)が、他方の部品メッシュモデルのメッシュ解像度に比べて高いもの (例えば、2倍以上) とする。仮に、2つの部品メッシュモデルが同等のメッシュ解像度を持つ場合、結合部を認識した後に、一方の部品メッシュモデルの結合部表面の稜線に中点を挿入し、四面体若しくは三角形面分を分割して、メッシュ解像度の疎密関係を調整する。
【0028】
以下に、図2のステップS2~S4の処理の詳細について、図5~図12を参照して説明する。
〔S2:結合部の認識〕
結合部の認識処理の手順は、図5に示すようになっている。まず、2つのメッシュ表面の一部分を結合してメッシュを合成するためには、各メッシュ表面のどの部分が結合に利用されるかを見つけなければならない。本実施形態では、頂点と三角形面分間の距離が、一定の閾値未満の部分をメッシュの結合に必要な部分とする。基本的には、図6に示すように、一方のメッシュn上の頂点i (位置pi) と、他方のメッシュmの面分fとの距離dist (f, i)を算出する。算出した距離distとユーザ指定の閾値τを比較し、dist<τを満たす頂点・面分の対を結合部の要素と判定する。この判定処理を、2つのメッシュの全ての頂点・面分の対について実施することは非効率的であるから、本実施形態では、判定処理すべき頂点・面分対の探索を絞込み、結合部の認識を効率よく行うために空間の規則分割を用いた。
【0029】
本実施形態の結合部の認識処理の詳細を、図5のステップS11~S15及び図7を参照して説明する。
(ステップS11) 結合対象の2つの部品メッシュモデル5、6に対し、両者に共通の座標系であるワールド座標系に軸が沿った3次元のバウンディングボックス15を生成する(図7(A))。
(ステップS12) バウンディングボックス15をユーザが指定した間隔で均等に複数の3次元のセル16に分割する(図7(B))。
(ステップS13) 各セル(ボックス)16内に含まれるメッシュ表面上の頂点を、そのセルに登録する。
(ステップS14) 各セル16内の頂点に対して、そのセルと隣接セル(3=27個)内に含まれる他方のメッシュ表面上の面分との距離dist (f, i)を算出する。
(ステップS15) 算出された距離distが閾値τ未満の場合には、その頂点と面分の対は結合部の要素であると認識する(図7(C))。
〔連結メッシュの挿入〕
2つの部品メッシュモデル5,6の結合部として認識された結合部の表面間を接続する複数の連結要素からなる連結メッシュ13を挿入する処理手順を図8に示す。
【0030】
まず、連結メッシュの挿入は、基本的に2つの部品メッシュモデル5,6間の結合部空間を四面体メッシュに分割する処理である。しかし、図9(a)に示すように、結合部の2つの部品メッシュモデル5,6の結合面の要素分割が異なる場合には、メッシュ間の干渉が起こっており、自己干渉のない適切な四面体メッシュを生成ができない。そこで、本実施形態では、図8のステップS21において、次式(1)を適用することで、図9(b)に示すように、結合面上の頂点位置をその法線の逆方向に一定量だけオフセットし、メッシュ間に連続した空間を生成する。
【0031】
【数1】
JP0004701119B2_000002t.gif

【0032】
次に、ステップS22において、図9(c)に示すように、部品メッシュモデル5,6の結合部の境界間を三角形の面分集合で繋ぎ(タイリング)、三角形メッシュで境界付けられる閉空間を生成する。最後に、ステップS23において、図9(d)に示すように、その閉空間に対して四面体メッシュ分割を実施し、2つの部品メッシュモデル5,6のメッシュ表面間を接続する連結要素を生成する。本実施形態では、非特許文献2に記載されている周知のドロネー法の四面体分割を用いたが、これに限らず、非特許文献2に記載されているアドバンシングフロント法等の既存の手法も用いることができる。
【0033】
〔連結メッシュの単純化〕
挿入した連結要素をメッシュ単純化により除去する手順を図10のフローチャートに示す。この単純化には、図11(A)、(B)に示すように、稜線を構成する頂点対i、jを1頂点kに統合する周知のエッジコラプス(Edge Collapse)法(以下、EC方という。)を用いる。EC法の適用対象は、連結メッシュ挿入によって新たに生成された稜線であって、少なくとも一方の端点が部品メッシュモデル5,6のメッシュ表面上の頂点であり、かつ、EC法により要素の裏返りを生じない稜線のみとする。また、EC法は、これらの条件を満たす稜線のうち、その長さの短いものから順に適用する。EC法適用による頂点対の統合後の新たな頂点位置は、連結要素の内部頂点を端点に持つ稜線に対しては部品メッシュモデル5、6のメッシュ表面上の頂点位置とする。また、2つの部品メッシュモデル5、6のメッシュ間を結ぶ稜線に対しては、疎なメッシュ上の頂点位置とし、疎なメッシュへ密なメッシュを適合させるように設定する。
【0034】
このような条件に従ってEC法を適用することにより、図12(a)のように挿入された連結メッシュ13に対して、図12(b)に示すように、2つの部品メッシュモデル5、6のメッシュ間を連結している稜線を除去する(ステップS31)。次に、図8のステップS21の頂点のオフセットを逆方向に適用する次式(2)により、図12(c)に示すように、2つの部品メッシュモデル5、6の結合部のメッシュ形状を復元することができる。
【0035】
【数2】
JP0004701119B2_000003t.gif

【0036】
以上説明したように、本実施形態のアセンブリメッシュ生成部2により、複数の部品の結合面に係る部品メッシュモデル5、6の結合部に、連結要素(頂点、稜線、面分)から構成される連結メッシュ13を挿入し、挿入した連結メッシュ13を単純化処理して結合部に挿入した稜線を取り除くことにより、結合部の表面上の頂点を共通化することができる。したがって、複数部品から構成されるアセンブリの部品メッシュモデルがそれぞれ独立に生成され、結合部で要素分割が異なるメッシュであっても、複数の部品メッシュモデルを結合して、結合部で要素間の接続関係に矛盾のないアセンブリメッシュモデルを生成することができる。
【0037】
また、品質・粗密・フィーチャ制御部1により、部品ごとに独立したメッシュ生成及びメッシュ性質の制御を行うことができ、複数部品からなるアセンブリモデルのメッシュ生成処理を効率化できる。
【0038】
しかも、解析条件設定部3により、メッシュレベルで解析条件が容易に設定可能になるから、CAEの効率化を図ることができる。
【0039】
さらに、LOD(詳細度制御)を用いて結合したアセンブリメッシュモデルを2つの部品メッシュモデル5、6に分離する可逆操作も可能である。
【0040】
〔メッシュの分離〕
ここで、結合したアセンブリメッシュモデルを複数の部品メッシュモデルに分離する可逆操作について説明する。EC法によるメッシュ単純化の履歴は、非特許文献3に記載されたProgressive Mesh構造や、非特許文献4に記載されたMulti-triangulationなどの構造を用いて保存することができる。したがって、保存されたメッシュ単純化履歴データを元に、LOD法を用いて、元の部品メッシュモデルの結合部の要素と、挿入した連結メッシュの要素を高速に復元することができる。そのため、単純化の履歴を保存しておくことにより、LODによる最高解像度化と、連結メッシュ要素の除去により、メッシュの分離操作を容易に実現できる。
【0041】
〔アセンブリメッシュモデルの生成例〕
図13~図16に、簡単なアセンブリモデルのメッシュ生成に適用した結果を示す。図13は、2つの部品メッシュモデル5、6が結合部のメッシュが異なる密度でメッシュ分割されている四面体メッシュの相対配置を示している。同図(a)のメッシュ1は、部品メッシュモデル6に対応し、要素数が4,734、(W、D、H)=(40、40、40)である。同図(b)のメッシュ2は、部品メッシュモデル5に対応し、要素数が2,186、(W、D、H)=(80、80、40)である。それらのメッシュ1,2は、同図(c)に示すように、メッシュ2の貫通穴にメッシュ2を挿入して、アセンブリメッシュモデルが生成される。
【0042】
図14(a)、(b)は、メッシュ1、2の結合部の認識を行った結果を示す図である。本実施例では、バウンディングボックスを16個のセルに分割して、絞込み処理により結合部を認識した例である。本実施例によれば、頂点・面分間距離を総当りで評価する場合2に比べて、約40倍の処理高速化が確認された。
【0043】
図15(a)は、頂点オフセットの結果を示し、同図(b)は挿入された連結メッシュの要素を示す。オフセット処理により、メッシュ間を連結する干渉のない四面体メッシュが生成できている。
【0044】
図16(a)~(c)は、メッシュ1、2を結合したアセンブリメッシュモデルメッシュを示している。連結メッシュの単純化により、密なメッシュのメッシュ1の結合部の表面要素が変化し、結合面で要素間に矛盾のないアセンブリモデルのメッシュが生成された。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のアセンブリメッシュモデル生成方法を適用した一実施形態のメッシュモデル生成システムの概要構成図である。
【図2】アセンブリメッシュ生成部における処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図3】三角形・四面体メッシュを利用したCAEのためのメッシュ結合の種類を示す図である。
【図4】2つの部品メッシュモデルの結合部の認識処理を説明する図である。
【図5】結合部の認識処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】一方のメッシュ上の頂点と他方のメッシュ上の面分との距離の算出を説明する図である。
【図7】空間を規則分割して結合部の認識を効率よく行う手順を説明する図である。
【図8】認識された結合部の表面間を接続する複数の連結要素からなる連結メッシュを挿入する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】結合部のメッシュ間の干渉を回避するために、結合面上の頂点位置をオフセットして連結メッシュを挿入する例の説明図である。
【図10】挿入した連結要素をメッシュ単純化により除去する手順を示すフローチャートである。
【図11】挿入した連結要素をメッシュ単純化により除去するエッジコラプス法を説明する図である。
【図12】EC法を適用して連結メッシュの稜線を除去するとともに、頂点のオフセットを逆方向に適用してメッシュ形状を復元する手順を説明する図である。
【図13】部品メッシュモデルとアセンブリメッシュモデルの一実施例を示す図である。
【図14】図13の実施例の部品メッシュモデルについて結合部の探索の結果を示す図である。
【図15】図13の実施例の頂点オフセットと連結メッシュの要素を示す図である。
【図16】図13の実施例の部品メッシュモデルを結合したアセンブリメッシュモデルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 品質・粗密・フィーチャ制御部
2 アセンブリメッシュ生成部
3 解析条件設定部
5、6 部品メッシュモデル
7 アセンブリメッシュモデル
8 解析条件付メッシュモデル
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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