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明細書 :燻製方法及びその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2975351号 (P2975351)
登録日 平成11年9月3日(1999.9.3)
発行日 平成11年11月10日(1999.11.10)
発明の名称または考案の名称 燻製方法及びその装置
国際特許分類 A23L  3/00      
A23B  4/052     
FI A23L 3/00 103
A23B 4/04
請求項の数または発明の数 16
全頁数 18
出願番号 特願平10-257765 (P1998-257765)
出願日 平成10年9月11日(1998.9.11)
審査請求日 平成11年1月5日(1999.1.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】398050010
【氏名又は名称】ユニレックス株式会社
発明者または考案者 【氏名】宮森 護
【氏名】星埜 宏
【氏名】丸山 敏彦
【氏名】樋口 雅夫
【氏名】斎藤 弘
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 正義
審査官 【審査官】塚中 哲雄
参考文献・文献 特公 昭57-45539(JP,B2)
特公 昭60-22903(JP,B2)
調査した分野 A23L 3/00 103
A23B 4/052
要約 【課題】電力消費量を低減でき、装置を小型化でき、更にワークに均一に燻煙を付着・浸透させることにより、燻製食品の品質を向上できる。
【解決手段】チャンバ11の両端には入口11a及び出口11bがそれぞれ形成され、このチャンバ内には入口から出口に向って搬送手段12が挿通される。この搬送手段により複数のワーク19が所定の間隔をあけて搬送可能に構成される。またチャンバ内には搬送手段の長手方向に沿いかつワークと所定の間隔をあけてワークを挟むように一対の電極板13が配設される。燻煙発生手段16によりワークに付着・浸透させる燻煙が発生されかつチャンバ内に導入されるように構成される。更に高電圧発生回路により一対の電極板間に7kV~15kVの直流又は交流電圧が印加され、かつワークは接地される。
特許請求の範囲 【請求項1】
接地された農産物、水産物、畜産物又はこれらの加工食品からなるワーク(19)を搬送手段(12)により燻煙が導入されたチャンバ(11)内に所定の速度で搬送し、
前記チャンバ(11)内の前記搬送手段(12)に沿って前記ワーク(19)を挟むように設けられた一対の電極板(13,14)間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加する燻製方法。

【請求項2】
所定の間隔をあけてワーク(19)と電極板(73,74)とが交互に配設されたチャンバ(71)内に燻煙を導入し、
前記電極板(73,74)間又は前記ワーク(19)間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加する燻製方法。

【請求項3】
チャンバ(91)内に所定の間隔をあけて第1及び第2電極(111,112)を配置し、
前記チャンバ(91)内に燻煙を導入し、
前記第1及び第2電極(111,112)に第1及び第2ワーク(101,102)をそれぞれ電気的に接続するとともに前記第1及び第2電極(111,112)間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加する燻製方法。

【請求項4】
隣接する電極板及びワークの距離或いは隣接するワーク同士の距離が20~100mmである請求項1ないし3いずれか記載の燻製方法。

【請求項5】
両端に入口(11a)及び出口(11b)がそれぞれ形成されたチャンバ(11)と、
前記チャンバ(11)内に前記入口(11a)から前記出口(11b)に向って挿通され農産物、水産物、畜産物又はこれらの加工食品からなる複数のワーク(19)を所定の間隔をあけて搬送可能な搬送手段(12)と、
前記チャンバ(11)内に前記搬送手段(12)の長手方向に沿いかつ前記ワーク(19)と所定の間隔をあけて前記ワーク(19)を挟むように配設された一対の電極板(13,14)と、
前記ワーク(19)に付着・浸透させる燻煙を発生しかつ前記チャンバ(11)内に導入する燻煙発生手段(16,196)と、
前記一対の電極板(13,14)間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加しかつ前記ワーク(19)を接地する高電圧発生回路(17,127,147,167)とを備えた燻製装置。

【請求項6】
チャンバ(71)内に設けられ複数のワーク(19)をそれぞれ所定の間隔をあけて支持可能な支持具(71a)と、
前記支持具(71a)により支持されたワーク(19)の間に所定の間隔をあけてそれぞれ配設された複数の電極板(73,74)と、
前記ワーク(19)に付着・浸透させる燻煙を発生しかつ前記チャンバ(71)内に導入する燻煙発生手段(16,196)と、
前記複数の電極板(73,74)間又は前記複数のワーク(19)間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加可能な高電圧発生回路(17,127,147,167)とを備えた燻製装置。

【請求項7】
チャンバ(91)内に配設され複数の第1ワーク(101)にそれぞれ電気的に接続された第1電極(111)と、
前記チャンバ(91)内に前記第1電極(111)の間に所定の間隔をあけてそれぞれ配設され複数の第2ワーク(102)にそれぞれ電気的に接続された第2電極(112)と、
前記第1及び第2ワーク(101,102)に付着・浸透させる燻煙を発生しかつ前記チャンバ(91)内に導入する燻煙発生手段(16,196)と、
前記第1及び第2電極(111,112)間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加可能な高電圧発生回路(17,127,147,167)とを備えた燻製装置。

【請求項8】
隣接する電極板及びワークの距離或いは隣接するワーク同士の距離が20~100mmである請求項5ないし7いずれか記載の燻製装置。

【請求項9】
高電圧発生回路(17)が商用周波電圧を7kV~15kVの交流電圧に増大する単一の変圧器(17a)を有し、前記変圧器(17a)の二次側コイル(17c)の両端が電極板(13,14)又はワーク(19)にそれぞれ電気的に接続され、一端がワーク(19)又は電極板(13,14)に電気的に接続された中間タップ用電線(47)の他端が前記二次側コイル(17c)の中間部に電気的に接続された請求項5ないし7いずれか記載の燻製装置。

【請求項10】
高電圧発生回路(127)が商用周波電圧を3.5kV~7.5kVの交流電圧に増大する同一の第1及び第2変圧器(121,122)を有し、前記第1及び第2変圧器(121,122)の二次側コイル(121b,122b)の一端が電極板又はワークにそれぞれ電気的に接続され、前記第1及び第2変圧器(121,122)の二次側コイル(121b,122b)の他端が共通電線(123)を介してワーク又は電極板に電気的に接続された請求項5ないし7いずれか記載の燻製装置。

【請求項11】
中間タップ用電線(47)又は共通電線(123)にこの電線(47,123)に流れる電流を整流するダイオード(52a,53a)が設けられた請求項9又は10記載の燻製装置。

【請求項12】
燻煙発生手段(16)が燻煙材(21)を貯留するホッパ(22)と、
前記燻煙材(21)を搬送するスクリュウコンベヤ(23)と、
前記スクリュウコンベヤ(23)にて搬送された前記燻煙材(21)を不完全燃焼させて燻煙を発生させる燃焼用ヒータ(24)と、
前記燻煙をチャンバ(11)内に導入する燻煙導入口(26a)とを有する請求項5ないし7いずれか記載の燻製装置。

【請求項13】
燻煙が通過する燻煙導入口(26a)にイオン化電極線(39)が架設され、前記イオン化電極線(39)に6kV~10kVの直流又は交流電圧を印加するように構成された請求項12記載の燻製装置。

【請求項14】
チャンバ(71,91)内に導入された燻煙を循環させる燻煙循環手段(77,97)が前記チャンバ(71,91)の上部及び下部に両端が接続された循環ダクト(78,98)と、前記循環ダクト(78,98)内に設けられ前記チャンバ(71,91)内上部の燻煙を前記循環ダクト(78,98)の上端から吸込みかつ前記循環ダクト(78,98)の下端から前記チャンバ(71,91)内に吐出すファン(99)とを有する請求項5ないし7いずれか記載の燻製装置。

【請求項15】
チャンバ(11)内を所定の湿度に保つ加湿器(57)のタンク(57b)内の液体(57c)に調味料が添加された請求項5ないし7記載の燻製装置。

【請求項16】
支持具(71a)及び電極板(73,74)又は第1及び第2電極がチャンバ(71)に出入れ可能なラック(221)に設けられ、
前記支持具(71a)及び前記電極板(73,74)又は前記第1及び第2電極が高電圧発生回路に接触型コレクタ(222,242)を介して電気的に接続された請求項6又は7記載の燻製装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、農産物、水産物、畜産物又はこれらの加工食品に燻煙を付着・浸透させて燻製食品を製造する方法及びその装置に関する。更に詳しくは電界において帯電させた農産物等と燻煙とのクーロン力を利用して燻煙を上記農産物等に付着・浸透させる方法及びその装置に関するものである。

【10】
請求項6に係る発明は、図9及び図10又は図11に示すように、チャンバ71内に配設され複数のワーク19をそれぞれ支持可能な支持具71aと、支持具71aにより支持されたワーク19の間に所定の間隔をあけてそれぞれ配設された複数の電極板73,74と、ワーク19に付着・浸透させる燻煙を発生しかつチャンバ71内に導入する燻煙発生手段16と、複数のワーク19間又は複数の電極板73,74間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加可能な高電圧発生回路17とを備えた燻製装置である。この請求項6に記載された燻製装置では、請求項2に係る発明と同様に、電極板73,74間又はワーク19間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が電極板73,74間又はワーク19間の電位差に基づくクーロン力によりワーク19に付着・浸透する。

【11】
請求項7に係る発明は、図12及び図14に示すように、チャンバ91内に配設され複数の第1ワーク101にそれぞれ電気的に接続された第1電極111と、チャンバ91内に第1電極111の間に所定の間隔をあけてそれぞれ配設され複数の第2ワーク102にそれぞれ電気的に接続された第2電極112と、第1及び第2ワーク101,102に付着・浸透させる燻煙を発生しかつチャンバ91内に導入する燻煙発生手段16と、第1及び第2電極111,112間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加可能な高電圧発生回路17とを備えた燻製装置である。この請求項7に記載された燻製装置では、請求項3に係る発明と同様に、第1及び第2ワーク101,102間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が第1及び第2ワーク101,102間の電位差に基づくクーロン力により第1及び第2ワーク101,102に付着・浸透する。

【12】
請求項8に係る発明は、請求項5ないし7いずれかに係る発明であって、更に隣接する電極板及びワークの距離或いは隣接するワーク同士の距離が20~100mmであることを特徴とする。この請求項8に記載された燻製装置では、請求項4に係る発明と同様に、隣接する電極板及びワーク間や、隣接するワーク同士間に、コロナ放電やストリーマ放電等の放電が開始することをより確実に阻止できる。

【13】
請求項9に係る発明は、請求項5ないし7いずれかに係る発明であって更に図3に示すように、高電圧発生回路17が商用周波電圧を7kV~15kVの交流電圧に増大する単一の変圧器17aを有し、変圧器17aの二次側コイル17cの両端が電極板13,14又はワーク19にそれぞれ電気的に接続され、一端がワーク19又は電極板13,14に電気的に接続された中間タップ用電線47の他端が二次側コイル17cの中間部に電気的に接続されたことを特徴とする。この請求項9に記載された燻製装置では、一対の電極板13,14又はワーク19のうち一方の電極板13又はワーク19が正のときに他方の電極板14又はワーク19が負になるので、これらの電極板13,14間又はワーク19間の帯電した燻煙は電極板13,14間又はワーク19間に発生した電界に沿って速やかに移動しワーク19に付着・浸透する。

【14】
請求項10に係る発明は、請求項5ないし7いずれかに係る発明であって、更に図15に示すように、高電圧発生回路127が商用周波電圧を3.5kV~7.5kVの交流電圧に増大する同一の第1及び第2変圧器121,122を有し、第1及び第2変圧器121,122の二次側コイル121b,122bの一端が電極板又はワークにそれぞれ電気的に接続され、第1及び第2変圧器121,122の二次側コイル121b,122bの他端が共通電線123を介してワーク又は電極板に電気的に接続されたことを特徴とする。この請求項10に記載された燻製装置では、上記請求項9と同様に帯電した燻煙が速やかにワークに付着・浸透する。

【15】
請求項11に係る発明は、請求項9又は10に係る発明であって、更に図3又は図15に示すように、中間タップ用電線47又は共通電線123にこの電線47又は123に流れる電流を整流するダイオード52a,53aが設けられたことを特徴とする。この請求項11に記載された燻製装置では、燻煙に正又は負の所望の電荷を与えることができるので、ワークに所望の燻煙を確実に付着・浸透させることができ、所望の風味を有する燻製食品を製造できる。

【16】
請求項12に係る発明は、請求項5ないし7いずれかに係る発明であって、更に図1及び図4に示すように、燻煙発生手段17が燻煙材21を貯留するホッパ22と、燻煙材21を搬送するスクリュウコンベヤ23と、スクリュウコンベヤ23にて搬送された燻煙材21を不完全燃焼させて燻煙を発生させる燃焼用ヒータ24と、燻煙をチャンバ11内に導入する燻煙導入口26aとを有することを特徴とする。この請求項12に記載された燻煙装置では、ホッパ22に燻煙材21を供給するだけで燻煙を自動的に発生しかつチャンバ11内に導入できる。また燻煙の流速を極めて小さくできるので、燻煙のワーク19への付着・浸透効率を向上できる。

【17】
請求項13に係る発明は、請求項12に係る発明であって、更に図4及び図5に示すように、燻煙が通過する燻煙導入口26aにイオン化電極線39が架設され、イオン化電極線39に6kV~10kVの直流又は交流電圧を印加するように構成されたことを特徴とする。この請求項13に記載された燻煙装置では、イオン化電極線39と燻煙との間にストリーマ放電が開始し、燻煙を予め帯電させることができる。ここでストリーマ放電とは、電界で加速された電子が気体分子に衝突することにより次々に気体分子が電離し、プラズマ状態となり、気体を導電体とする放電のことをいう。なお、ストリーマ放電の進展過程において、なだれ状に電子が増殖し、電子と正イオンとからなる発光を伴った細いプラズマ柱が観測され、このプラズマ柱をストリーマという。

【18】
請求項14に係る発明は、請求項5ないし7いずれかに係る発明であって、更に図9又は図12に示すように、チャンバ71又は91内に導入された燻煙を循環させる燻煙循環手段77又は97がチャンバ71又は91の上部及び下部に両端が接続された循環ダクト78又は98と、循環ダクト78又は98内に設けられチャンバ71又は91内上部の燻煙を循環ダクト78又は98の上端から吸込みかつ循環ダクト78又は98の下端からチャンバ71又は91内に吐出すファン99とを有することを特徴とする。この請求項14に記載された燻製装置では、ファン99が作動すると、チャンバ71又は91内上部の燻煙が循環ダクト78又は98の上端から吸込みかつ循環ダクト78又は98の下端からチャンバ71又は91内に吐出す。この結果、チャンバ71又は91内に導入された燻煙を循環させることができるので、燻煙を無駄なく使用できる。

【19】
請求項15に係る発明は、請求項5ないし7いずれかに係る発明であって、更に図3に示すように、チャンバ11内を所定の湿度に保つ加湿器57のタンク57b内の液体57cに調味料が添加されたことを特徴とする。この請求項15に記載された燻製装置では、加湿器57を作動させると、調味料が加湿器57により霧化された液体57cとともにチャンバ11内に導入され、ワーク19に付着・浸透する。

【2】

【従来の技術】従来、チャンバ内に所定の間隔をあけて一対の電線を配置し、これらの電線間に高電圧(10kV~20kV)の直流又は交流電圧を印加してコロナ放電を行わせ、これらの電線に魚・肉等のワークを吊し、更にチャンバ下部の火床から燻煙を発生させる電燻法が知られている。またチャンバ内に一対の電極を互いに向合った状態で配設し、これらの電極間に高電圧(例えば40KV)を印加しかつ一対の電極の間に魚・肉等のワークを配置し、更に燻煙発生手段により発生した燻煙をチャンバ内に導入する電燻法が知られている。上記いずれの電燻法でも、火床や燻煙発生手段で発生した燻煙がコロナ放電によりイオンを帯びるので、帯電した燻煙が電極となっているワークに吸引される。この結果、ワークに燻煙が速やかに付着・浸透するので、貯蔵性に優れた燻製食品が得られる。

【20】
請求項16に係る発明は、請求項6又は7に係る発明であって、更に図20に示すように、支持具71a及び電極板73,74又は第1及び第2電極がチャンバ71に出入れ可能なラック221に設けられ、支持具71a及び電極板73,74又は第1及び第2電極が高電圧発生回路に接触型コレクタ222を介して電気的に接続されたことを特徴とする。この請求項16に記載された燻製装置では、支持具71a又は第1及び第2電極へのワーク19a,19bの着脱をチャンバ71外で行うことができるので、作業性を向上できる。

【21】

【発明の実施の形態】次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~図3に示すように、燻製装置10は両端に入口11a及び出口11bがそれぞれ形成されたチャンバ11と、チャンバ11内に入口11aから出口11bに向って挿通された搬送手段12と、チャンバ11内に搬送手段12の長手方向に沿って配設された一対の電極板13,14と、燻煙を発生しかつチャンバ11内に導入する燻煙発生手段16と、一対の電極板13,14間に所定の直流又は交流電圧を印加する高電圧発生回路17とを備える。チャンバ11は角筒状に形成され(図2)、その入口11a及び出口11bにはチャンバ11内に作業者が手などを挿入するのを防止するために電気絶縁性を有する簾状のカーテン18がそれぞれ取付けられる(図1)。

【22】
搬送手段12はこの実施の形態ではチェーンコンベヤであり、チャンバ11の出口11b側上部に回転可能に設けられた駆動スプロケット12aと、チャンバ11の入口11a側上部に回転可能に設けられた従動スプロケット12bと、これらのスプロケット12a,12bに掛け渡された無端のチェーン12cとを有する(図1及び図2)。駆動スプロケット12aは駆動モータ12dにより回転駆動され、チェーン12cの外周面には所定の間隔をあけて農産物、水産物、畜産物又はこれらの加工食品からなる複数のワーク19をそれぞれ吊下げ可能な複数のフック12eが突設される。一対の電極板13,14はフック12eに吊下げられたワーク19と所定の間隔をあけてワーク19を挟むようにチャンバ11内に配設される、即ち一対の電極板13,14はチャンバ11の両側内面に碍子11cを介してそれぞれ取付けられる。電極板13,14はアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン等により金網状、パンチングメタル状、平板状等に形成される。またワーク19はフック12eを介してチェーン12cに電気的に接続される。ワーク19としては、サケ(鮭),マス(鱒),カニ(蟹),ニシン(鰊),ホタテ,イカ等の魚貝類、牛,豚,鶏等の肉類、鶏卵,うずらの卵等の鳥の卵、大根,ニンジン,ゴボウ,セロリ,ウド等の野菜類、ソーセージ,ハム,ビーフジャーキ,ベーコン,チーズ等の加工食品等が挙げられる。またフック12eに吊下げられたワーク19がチャンバ11の入口11aから出口11bに達するまでの時間はワーク19の種類によって異なるが、5分~2時間の間の所定の時間に適宜設定される。なお、搬送手段12としてチェーンコンベヤではなく、ワイヤコンベヤやコロコンベヤを用いてもよく、またチャンバ11内を所定の速度で通過しかつ接地された籠でもよい。

【23】
燻煙発生手段16はチャンバ11下部に入口11a側から挿入される(図1)。この燻煙発生手段16は図4及び図5に詳しく示すように、燻煙材21を貯留するホッパ22と、燻煙材21を搬送するスクリュウコンベヤ23と、スクリュウコンベヤ23にて搬送された燻煙材21を不完全燃焼させて燻煙を発生させる燃焼用ヒータ24と、燻煙をチャンバ11内に導入する燻煙導入口26aとを有する。ホッパ22に貯留される燻煙材21としては、桜、山毛欅(ぶな)、椚(くぬぎ)等の木材チップ、みかんの皮、わら、紅茶、緑茶、ハーブ、酒粕、味噌、松ぼっくり、コーヒー、松葉、梅干しの種等を用いることが好ましい。また燻煙は固形物質と液状物質とガス状物質(揮発性物質)とからなり、燻煙には上記燻煙材21により異なるが、グアヤコール,オイゲノール等のフェノール類や、メチルアルコール,エチルアルコール等のアルコール類や、ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド等のカルボニル化合物や、ギ酸,酢酸等の有機物や、ベンゼン,トルエン等の炭水化物等が含まれる。スクリュウコンベヤ23は角筒状の角筒体26に収容され、回転軸23aの外周面に螺旋状に羽根23bが固着されたヘリカルフィーダ23cと、このフィーダ23cが挿通された円筒状のガイド筒23dと、フィーダ23cを回転駆動する電動モータ23eとからなる。

【24】
燃焼用ヒータ24は断熱スペーサ27を介してガイド筒23dの先端に接続され、ガイド筒23d及び燃焼用ヒータ24は角筒体26内に固定されたベース28上に支持台29を介して水平に載置される。燃焼用ヒータ24はガイド筒23dと同一の内外径を有する円筒状に形成され、その中央上面から先端上面にかけて開口部24aが形成される。電動モータ23eはベース28の基端上面に第1ブラケット31を介して取付けられ、ヘリカルフィーダ23cはガイド筒23d及び燃焼用ヒータ24に回転可能に挿通される。フィーダ23cの基端近傍は軸受33を介してガイド筒23dの基端により回転可能に保持され、先端はベース28の先端上面に第2ブラケット32及び軸受33を介して回転可能に保持される。またヘリカルフィーダ23cの基端は電動モータ23eの出力軸23fにカップリング34を介して接続され、ホッパ22の下端はガイド筒23dの基端近傍の上面に接続される。燻煙導入口26aは角筒体26の先端上面に形成される。図4の符号36は角筒体26の基端に挿着され燻煙を燻煙導入口26aからチャンバ11内に送込むファンであり、符号37はベース28の先端近傍の上面に載せられ燻煙材21の燃焼後に残った灰37aを収容する灰皿であり、符号38は燃焼用ヒー24タの開口部24aに設けられ燻煙導入口26aを通過する空気(燻煙を含む。)の温度を検出する温度センサである。

【25】
また燻煙導入口26aにはイオン化電極線39が架設される。この電極線39はタングステン線により形成されることが好ましく、電極線39の両端にはこの電極線39に張力を与えるために引っ張りコイルばね39aが接続される。また燻煙導入口26aの両側内面には一対の導電板26b,26bが絶縁板26c,26cを介して取付けられる(図5)。イオン化電極線39と導電板26bとの間には5kV~15kV、好ましくは6kV~10kVの直流又は交流電圧が印加され、電極線39と導電板26bとの間でストリーマ放電を開始させるために電極線39と導電板26bとの距離は8~15mm、好ましくは10mm程度に設定される。上記電極線39にはガラスビーズやガラススリーブ等の絶縁リング39bが遊嵌される。電極線39から電子が飛び出すと電極線39がその反作用で振動して共振する場合があり、このリング39bは上記共振を抑制するために設けられる。

【26】
高電圧発生回路17は図3に詳しく示すように、商用周波電圧を7kV~15kVの交流電圧に増大する単一の変圧器17aを有する。この変圧器17aの一次側コイル17bは第1コントローラ41を介してAC100V又はAC200Vの商用周波電源46に接続される。第1コントローラ41は商用周波電圧を調整するスライダック等により構成され、このコントローラ41を調整することにより、上記変圧器17aの二次側コイル17bの電圧を7kV~15kVの範囲内の一定電圧に増大できるようになっている。この変圧器17aの二次側コイル17cの両端は一対の電極板13,14にそれぞれ電気的に接続され、二次側コイル17cとワーク19とは中間タップ用電線47により電気的に接続される。中間タップ用電線47の一端はチェーン12c及びフック12eを介してワーク19に電気的に接続され、他端は二次側コイル17cの中間部に電気的に接続される。なお、ワーク19はフック12e及びチェーン12cを介して接地される。

【27】
中間タップ用電線47には切換スイッチ48が設けられる。このスイッチ48は単一の共通接点48aと、3つの第1~第3切換接点48b~48dと、一端が共通接点48aに接続され他端が第1~第3切換接点48b~48dに切換え可能な可動片48eとを有し、第1~第3切換接点48b~48dは二次側コイル17cの中間部に第1~第3分岐電線51~53を介してそれぞれ接続される。第2分岐電線52には第2切換接点48cから二次側コイル17cに向う電流を許容し、逆向きの電流を阻止する第1ダイオード52aが設けられ、第3分岐電線53には第3切換接点48dから二次側コイルに向う電流を阻止し、逆向きの電流を許容する第2ダイオード53aが設けられる。

【28】
一対の電極板13,14間には変圧器17aの二次側コイル17cの電圧と同一の7kV~15kV、好ましくは8kV~12kVの直流又は交流電圧が印加され、電極板13,14及びワーク19の距離は好ましくは20~100mm、より好ましくは25~80mmに設定される。一対の電極板13,14間に印加される電圧を7kV~15kVに限定したのは、7kV未満では燻煙を十分に帯電できず、15kVを越えると放電が開始してしまうからである。また電極板13,14及びワーク19の距離を20~100mmに限定したのは、20mm未満では放電が開始してしまい、100mmを越えると燻煙を十分に帯電できないからである。上記一対の電極板13,14間に印加される電圧と、電極板13,14及びワーク19の距離とは、一対の電極板13,14間に発生する電界を一定とすると比例関係にあり、上記範囲内で最適な値に適宜設定される。

【29】
一方、チャンバ11内にはこのチャンバ11内の温度を検出する温度センサ54(図3)と、チャンバ11内の温度を調整する温調ヒータ56(図1~図3)とが設けられ、温度センサ54の検出出力に基づいて第2コントローラ42(図3)が温調ヒータ56を制御するように構成される。また燻煙発生手段16の燃焼用ヒータ24は第3コントローラ43により制御され、ファン36の回転速度は第4コントローラ44により制御される。更にチャンバ11にはこのチャンバ11内を所定の湿度に保つ加湿器57がダクト(図示せず)を介して接続される。加湿器57はこの実施の形態では超音波加湿器であり、商用周波電源46に電気的に接続された発振回路57aと、この発振回路57aに電気に接続されかつタンク57bの底部に設けられた超音波振動子57dとを有する。

【3】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の電燻法では、コロナ放電領域における電界を利用するため、電力消費量が極めて多く、また装置が大型化する不具合があった。また、上記従来の電燻法では、電極とワークとの間でコロナ放電が行われるため、ワークに燻煙が不均一に付着・浸透し、燻製食品の品質が低下する問題点もあった。

【30】
超音波振動子57dは発振回路57aにより28kHz~50kHzの周波数で振動するように構成されることが好ましい。タンク57bの液体57c(例えば、水)には調味料が添加される。調味料としては、味噌、醤油、塩、砂糖、ガーリック、みりん、酒、ワイン、或いはこれらを調合して得られた調味料等を用いることが好ましい。図1の符号58は制御ボックスであり、図1及び図2の符号11dはチャンバ11内に導入された燻煙を空気とともに排出する排気ダクトであり、符号11eはチャンバ下部に設置されワーク19等から落下した異物を受ける網状のスクリーンである。更に図3の符号59はメインスイッチであり、符号60は高電圧発生回路用スイッチである。

【31】
なお、この実施の形態では、チャンバ内に導入された燻煙を排気ダクトから大気中に排出したが、排気ダクトの途中に循環ダクトの一端を接続しかつ循環ダクトの他端をチャンバの下部に接続し、更に循環ダクト内にファンを設けてもよい。この場合、ファンを作動させると、チャンバ内の燻煙が循環ダクトを通ってチャンバ下部に再び導入されて循環するので、燻煙を無駄なく使用できる。また、この実施の形態では、ワークを搬送手段のフックに吊下げたが、ワークを搬送手段により所定の間隔をあけて搬送できれば、ワークを搬送手段により挟んでも或いはワークを搬送手段上に置いてもよい。

【32】
このように構成された燻煙装置の動作を説明する。先ずホッパ22に燻煙材21を貯留して燻煙発生手段16を作動させ、イオン化電極線39に所定の直流又は交流電圧を印加する。電動モータ23eによりヘリカルフィーダ23cを回転駆動すると、ホッパ22内の燻煙材21はガイド筒23d内を通って燃焼用ヒータ24に搬送され、この燃焼用ヒータ24により不完全燃焼して燻煙が発生する。この燻煙は燃焼用ヒータ24の開口部24aから立上り、ファン36により発生した空気流に乗って燻煙導入口26aからチャンバ11内に導入される。このようにホッパ22に燻煙材21を供給するだけで燻煙発生手段16により燻煙を自動的に発生することができ、かつ自動的にチャンバ11内に導入することができる。

【33】
またファン36の回転速度を第4コントローラ44にて制御することにより、燻煙の流速を極めて小さくできる。これによりチャンバ11内で燻煙が極めてゆっくり流動するので、燻煙のワーク19への付着・浸透効率を向上できる。なお、燻煙が燻煙導入口26aを通過するときに、イオン化電極線39と導電板26bとの間でストリーマ放電が開始しているので、イオン化電極線39又は導電板26bと燻煙との間でもストリーマ放電が開始する。この結果、チャンバ11内に導入される前に多くの燻煙を帯電させることができる。

【34】
次にチャンバ11内全体に燻煙が行き渡った時点で搬送手段12を作動させ、切換スイッチ48を第1切換接点48bに切換えた状態で高電圧発生回路17により一対の電極板13,14間に所定の交流電圧を印加する。これにより一対の電極板13,14間に放電が開始しない所定の電界が発生するので、未だ帯電していない燻煙も帯電し、チャンバ11内の燻煙の殆ど全てが帯電する。この状態でチャンバ11の入口11a外方に位置するフック12eにワーク19を吊下げると、ワーク19は入口11aからチャンバ11内に入って一対の電極板13,14間に至り、上記帯電した燻煙が一対の電極板13,14間の電位差に基づくクーロン力によりワーク19に付着・浸透する。

【35】
また一対の電極板13,14に印加される電圧は図6に示すように変化する、即ち中間タップ用電線47を中心に見ると、一対の電極板13,14のうち一方の電極板13が正のときに他方の電極板14が負になり、一方の電極板13が負のときに他方の電極板14が正になり、かつ一対の電極板13,14が交互に正負に変化する。この結果、正に帯電した燻煙は電極板13,14間の電気力線に沿って、負に帯電した燻煙は電気力線とは反対向きに、速やかに移動しワーク19に付着・浸透するので、帯電した燻煙を効率良くワーク19に付着・浸透させることができる。一対の電極板13,14間に印加される電圧は従来の電燻法と比較して低く、かつこれらの電極板13,14間では放電が開始しないため、電極板13,14間に流れる電流は極めて小さく、電力消費量は僅かで済む。またワーク19に付着・浸透した燻煙にはフェノール類、アルコール類、酢酸等が含まれ、これらの成分によりワーク19中の細菌類の発育・成長・増殖が抑制され、ワーク19を上記のように静電界内に置くことにより、ワーク19中の細菌類が死滅する。即ち、本発明の燻製装置は抗菌・滅菌作用を有する。なお、燻煙にはワーク19に付着・浸透してワーク19を特定の色に着色するタールや、ワーク19に特定の香りを与える芳香族等の成分も含まれる。

【36】
更に加湿器57のタンク57bの液体57cに調味料を添加すれば、発振回路57aから超音波振動子57dに高周波電圧を印加することにより、振動子57dが極めて高い周波数で振動するため、この振動が調味料が添加された液体57cに伝わって、調味料が液体57cとともに霧化する。この結果、調味料は霧化された液体57cとともにダクト(図示せず)を通ってチャンバ11内に導入され、一対の電極板13,14間で帯電してワーク19に付着・浸透するので、ワーク19の味わいは深くなる。

【37】
一方、切換スイッチ48の可動片48eを第2切換接点48cに切換えると、一対の電極板13,14に印加される電圧は図7に示すように変化する、即ち中間タップ用電線47を中心に見ると、一対の電極板13,14のうち一方の電極板13が正のときに他方の電極板14がゼロになり、一方の電極板13がゼロのときに他方の電極板14が正になり、かつ一対の電極板13,14が交互に正に変化する。この結果、一対の電極板13,14間の燻煙に負の電荷を与えることができ、ワーク19に所望の燻煙を確実に付着・浸透させることができるので、所望の風味を有する燻製食品を製造できる。

【38】
また切換スイッチ48の可動片48eを第3切換接点48dに切換えると、一対の電極板13,14に印加される電圧は図8に示すように変化する、即ち中間タップ用電線47を中心に見ると、一対の電極板13,14のうち一方の電極板13が負のときに他方の電極板14がゼロになり、一方の電極板13がゼロのときに他方の電極板14が負になり、かつ一対の電極板13,14が交互に負に変化する。この結果、一対の電極板13,14間の燻煙に正の電荷を与えることができ、ワーク19に所望の燻煙を確実に付着・浸透させることができるので、所望の風味を有する燻製食品を製造できる。

【39】
図9及び図10は本発明の第2の実施の形態を示す。図9及び図10において図1及び図3と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、チャンバ71がドア(図示せず)を有する箱状に形成され、かつ断熱材72により包囲される(図9)。このチャンバ71内には複数の支持具71aが配設され、これらの支持具71aには複数のワーク19をそれぞれ吊下げ可能(支持可能)に構成される。また支持具71aに吊下げられたワーク19の間には所定の間隔をあけて複数の電極板73,74が配設される。チャンバ71内はこの実施の形態では、隔壁71bにより第1及び第2室71c,71dの2つの室に区画される。複数の電極板73,74は一方の電極板73及び他方の電極板74からなり、ワーク19を挟んで交互に配設される。一方の電極板73は高電圧発生回路17の二次側コイル17cの一端に接続され、他方の電極板74は二次側コイル17cの他端に接続される。また中間タップ用電線47の他端は支持具71aを介してワーク19に電気的に接続され、更にワーク19は支持具71aを介して接地される(図10)。隣接する電極板73,74及びワーク19の距離は第1の実施の形態と同様に好ましくは20~100mm、より好ましくは25~80mmに設定される。

【4】
本発明の第1の目的は、電力消費量を低減でき、かつ装置の小型化を図ることができる燻製方法及びその装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、農産物等のワークに均一に燻煙を付着・浸透させることにより、燻製食品の品質を向上できる燻製方法及びその装置を提供することにある。本発明の第3の目的は、燻煙のワークへの付着・浸透効率を向上でき、燻煙を無駄なく使用でき、更にワークを味わい深い燻製食品にできる燻製方法及びその装置を提供することにある。

【40】
燻煙発生手段16は第1の実施の形態の燻煙発生手段と同一に構成され、制御ボックス75の下部に収容される。この燻煙発生手段16で発生した燻煙は導入ダクト76a及び燻煙導入口76bを通ってチャンバ71の第1及び第2室71c,71d内に導入される。図9の符号39はイオン化電極線である。またチャンバ71内に導入された燻煙は燻煙循環手段77により循環するように構成される。この燻煙循環手段77は両端がチャンバ71の上部及び下部に接続された循環ダクト78(図9)と、循環ダクト78内に設けられたファン(図示せず)とを有する。循環ダクト78の上端は排気ダクト81の合流部に接続される(図9)。ファンを作動させると、チャンバ71内上部の燻煙が排気ダクト81を通って循環ダクト78にその上端から流入し、循環ダクト78内を流下して循環ダクト78の下端からチャンバ71内に吐出されるように構成される。

【41】
図10の符号82はドアが閉じたときにオフし、ドアが開いたときにオンするドアセンサであり、符号83はドアが開いてドアセンサ82がオンしたときに、電流が流れて高電圧発生回路用スイッチ60をオフする電磁マグネットである。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。なお、この実施の形態では、ワークを支持具に吊下げたが、ワークを支持具により挟んでも或いは支持具上に置くように構成してもよい。このように構成された燻製装置は、チャンバ71のドアをあけて支持具71aにワーク19を吊下げた後に、ドアを閉めてチャンバ71内に燻煙を導入し、かつ電極板73,74間に所定の電圧を印加し、更に所定時間経過した後にドアを開いてワーク19をチャンバ71内から取出す、いわゆる回分式の燻製装置であることを除いて、動作は上記第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。

【42】
図11は本発明の第3の実施の形態を示す。図11において図10と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、高電圧発生回路17の二次側コイル17cの一端が複数のワーク19のうちの一方のワーク19aに接続され、他端が他方のワーク19bに接続され、更に中間タップ用電線47の他端が複数の電極板73,74に接続される。一方のワーク19aと他方のワーク19bは電極板73,74を挟んで隣り合うように構成され、電極板73,74は接地される。また隣接する電極板73,74及びワーク19a,19bの距離は第2の実施の形態と同様に好ましくは20~100mm、より好ましくは25~80mmに設定される。上記以外は第2の実施の形態と同一に構成される。このように構成された燻製装置では、ワーク19a,19b間に所定の電圧が印加されることを除いて、動作は第2の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。

【43】
図12~図14は本発明の第4の実施の形態を示す。図12~図14において図9及び図10と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、チャンバ91内に複数の第1ワーク101を吊下げ可能なかつ複数の第1ワーク101に電気的に接続可能な複数の第1電極111が配設され、チャンバ91内に上記第1電極111間に所定の間隔をあけて複数の第2ワーク102を吊下げ可能なかつ複数の第2ワーク102に電気的に接続可能な複数の第2電極112が配設される(図12及び図13)。高電圧発生手段17の二次側コイル17cの一端は第1電極111を介して第1ワーク101に電気的に接続され、二次側コイル17cの他端は第2電極112を介して第2ワーク102に電気的に接続される(図14)。また中間タップ用電線47の他端は接地され、電極板は用いられない。更に隣接する第1及び第2ワーク101,102同士の距離は20~100mm、好ましくは25~80mmに設定される。図12及び図13の符号97は燻煙循環手段であり、この燻煙循環手段97は両端がチャンバ91の上下にそれぞれ接続された循環ダクト98と、チャンバ91内の燻煙を循環させるファン99とを有する。循環ダクト98の上部には排気ダクト100が接続される。上記以外は第2の実施の形態と同一に構成される。

【44】
このように構成された燻製装置では、第1及び第2ワーク101,102間に所定の電圧が印加されることを除いて、動作は第2の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。なお、この実施の形態では、ワークを第1及び第2電極にそれぞれ吊下げたが、ワークを第1及び第2電極によりそれぞれ挟んでも或いは第1及び第2電極上にそれぞれ置くように構成してもよい。

【45】
図15は本発明の第5の実施の形態を示す。図15において図3と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、高電圧発生回路127が商用周波電圧を3.5kV~7.5kV、好ましくは4kV~6kVの交流電圧に増大する同一の第1及び第2変圧器121,122を有し、第1及び第2変圧器121,122の二次側コイル121b,122bの一端が電極板(図示せず)にそれぞれ電気的に接続され、第1及び第2変圧器121,122の二次側コイル121b,122bの他端が共通電線123を介してワーク(図示せず)に電気的に接続される。共通電線123には第1の実施の形態と同様に切換スイッチ48及び第1~第3分岐電線51~53が接続され、第2及び第3分岐電線52,53には第1及び第2ダイオード52a,53aが設けられる。図15の符号121a,122aは第1及び第2変圧器121,122の一次側コイルである。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された燻製装置の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。なお、この実施の形態の高電圧発生回路を第2~第4の実施の形態の高電圧発生回路に適用してもよい。

【46】
図16は本発明の第6の実施の形態を示す。図16において図10と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、高電圧発生回路147の二次側コイル17cの一端が全ての電極板(図示せず)に接続され、二次側コイル17cの他端がワーク(図示せず)に接続され、更に中間タップ用電線は用いられない。図16の符号17aは変圧器であり、符号17bは一次側コイルである。上記以外は第2の実施の形態と同一に構成される。このように構成された燻製装置では、電極板がワークと比較して表面積が大きく、一方の電極板が正のときには他方の電極板も正となり、かつ一方の電極板が負のときには他方の電極板も負となるため、帯電した燻煙のワークへの付着・浸透効率は若干低下するが、帯電した燻煙をワークに付着・浸透させることはできる。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。

【47】
図17は本発明の第7の実施の形態を示す。図17において図14と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、高電圧発生回路167の二次側コイル17cに4つの第3~第6ダイオード163~166と二連スイッチ161が接続される。上記第3~第6ダイオード163~166のうち第3及び第4ダイオード163,164は直列に接続され、第5及び第6ダイオード165,166は直列に接続され、更に第3及び第4ダイオード163,164と第5及び第6ダイオード165,166とは並列に接続される。また第3ダイオード163と第4ダイオード164との接続部は二次側コイル17cの一端に接続され、第5ダイオード165と第6ダイオード166との接続部は二次側コイル17cの他端に接続される。二連スイッチ161は2つの第1及び第2共通接点161a,161bと、4つの第1~第4切換接点161c~161fと、2つの第1及び第2可動片161g,161hとを有する。第1切換接点161cは二次側コイル17cの一端に接続され、第2切換接点161dは第3及び第5ダイオード163,165に接続される。また第3切換接点161eは第4及び第6ダイオード164,166に接続され、第4切換接点161fは二次側コイル17cの他端に接続される。第1共通接点161aは第1ワーク101に接続され、第2共通接点161bは第2ワーク102に接続される。

【48】
上記二連スイッチ161は手動式の切換スイッチであり、高電圧発生回路用スイッチ60がオフの状態で切換え可能に構成される。また符号171はセイフティスイッチであり、符号172は高抵抗の抵抗体であり、符号173はコンデンサである。更に符号174はセイフティスイッチ171をオンするセイフティ用電磁マグネットであり、符号177はマグネット作動スイッチ176をオンする作動スイッチ用電磁マグネットである。上記以外は第4の実施の形態と同一に構成される。

【49】
このように構成された燻製装置では、高電圧発生回路用スイッチ60がオフの状態で二連スイッチ161の可動片161g,161hを一点鎖線矢印の方向に切換えた後に高電圧発生回路用スイッチ60をオンすると、第1及び第2ワーク101,102間に交流電圧が印加される。また高電圧発生回路用スイッチ60がオフの状態で二連スイッチ161の可動片161g,161hを実線で示す位置に切換えた後に高電圧発生回路用スイッチ60をオンすると、第1及び第2ワーク101,102間に直流電圧が印加される。第1及び第2ワーク101,102間に直流電圧を印加すると、この実施の形態では第1ワーク101が正極となり、かつ第2ワーク102が負極となる。この結果、第1ワーク101に負に帯電した燻煙が付着・浸透し、第2ワーク102に正に帯電した燻煙が付着・浸透し、第1及び第2ワーク101,102はそれぞれ異なった風味を有する燻製食品となる。

【5】

【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、図1及び図3に示すように、接地された農産物、水産物、畜産物又はこれらの加工食品からなるワーク19を搬送手段12により燻煙が導入されたチャンバ11内に所定の速度で搬送し、前記チャンバ11内の搬送手段12に沿ってワーク19を挟むように設けられた一対の電極板13,14間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加する燻製方法である。この請求項1に記載された燻製方法では、一対の電極板13,14間に電圧を印加することにより、これらの電極板13,14間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、かつこの帯電した燻煙が一対の電極板13,14間の電位差に基づくクーロン力によりワーク19に付着・浸透する。また電極板13,14とワーク19との間でコロナ放電等の放電が開始しないので、帯電した燻煙はワーク19に均一に付着・浸透する。

【50】
また第1及び第2ワーク101,102間に直流電圧を印加した後にドアを開けると、ドアセンサ82がオンして作動スイッチ用電磁マグネット177に電流が流れ、マグネット作動スイッチ176がオンする。このマグネット作動スイッチ176がオンすると、セイフティ用電磁マグネット174に電流が流れてセイフティスイッチ171がオンする。この結果、第1及び第2ワーク101,102に帯電した電荷はセイフティスイッチ171及び抵抗体172で瞬時に放電するので、作業者が第1及び第2ワーク101,102に触れても感電することはない。上記以外の動作は第4の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。

【51】
図18及び図19は本発明の第8の実施の形態を示す。この実施の形態では、燻煙発生手段196が鉛直方向に延びる2本の円筒体191,191と、ロッドを螺旋状に所定の隙間をあけて巻回することにより形成され上記2本の円筒体191,191にそれぞれ収容された燻煙発生筒192,192と、円筒体191,191の下方にそれぞれ設けられた灰皿193と、円筒体191に隣接しかつ円筒体191の下端に連通し燻煙を案内する案内筒194と、案内筒194の下部側面に接続された燻煙流出パイプ197と、この燻煙流出パイプ197に設けられたブロア(図示せず)とを有する。2本の円筒体191,191と案内筒194とは一体的に形成される。案内筒194はこの案内筒194の内部に立設された仕切板198により燻煙が逆U字状に迂回するように構成される。案内筒194の上面には切換ダンパ199を介して空気導入パイプ201が接続される。切換ダンパ199は2本の円筒体191,191のいずれか一方に空気導入パイプ201を連通するように切換える。また図18の符号202は導入される空気量を調整する流量調整ダンパであり、符号203は燃焼していない燻煙材の通過を阻止しかつ燃焼して灰となった燻煙材の通過を許容する金網である。

【52】
このように構成された燻製装置では、燻煙発生筒192が挿入された円筒体191に燻煙材を貯留した状態でブロアを作動させると、空気が空気導入パイプ201から入って円筒体191内を流下し、案内筒194を通って燻煙流出パイプ197から流出する。この状態で燻煙材の上端に火を付けると、燻煙材が不完全燃焼して燻煙が発生するが、この燻煙は上記空気流に乗って燻煙流出パイプ197から流出し、チャンバ内に導入される。

【53】
図20及び図21は本発明の第9の実施の形態を示す。図20において図9と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、支持具71a及び電極板73,74がチャンバ71に出入れ可能なラック221に設けられ、支持具71a及び電極板73,74が高電圧発生回路に接触型コレクタ222を介して電気的に接続される。ラック221は直方体の枠状に形成され、下端に車輪221aが取付けられる。接触型コレクタ222はチャンバ71内上部に固定された給電部223と、ラック221の上端に固定された受電部224とを有する。給電部223は内部に導線223aが挿通された筒体223bと、この筒体223bの下端に取付けられた摺動体ホルダ223cと、このホルダ223cに上下方向に摺動可能に挿入された摺動体223dと、摺動体223dの下端に取付けられたアッパ接触子223eとからなる。筒体223bと摺動体ホルダ223cは電気絶縁性材料により形成され、摺動体223dとアッパ接触子223eは導電性材料により形成される。導線223aの下端は摺動体223dの上端に接続され、導線223aの上端は高電圧発生回路に接続されるか或いは接地される。図21の符号223fはアッパ接触子223eを押下げる方向に付勢する圧縮コイルばねである。

【54】
また受電部224は下端に支持具71a又は電極板73,74が取付けられた受電本体224aと、この受電本体224aの上端に取付けられ上記アッパ接触子223eに接触可能なロア接触子224bとからなる。受電本体224a及びロア接触子224bは導電性材料により形成される。アッパ接触子223eは略U字状に湾曲して形成され、ロア接触子224bの上面は略逆U字状に湾曲して形成される。この実施の形態では、一方のワーク19aが高電圧発生回路の二次側コイルの一端に接続され、他方のワーク19bが二次側コイルの他端に接続され、電極板73,74が接地される。即ち、ワーク19a,19b及び電極板73,74の高電圧発生回路への接続方法及び接地方法は上記第3の実施の形態と同一に行われる。上記以外は第2の実施の形態と同一に構成される。

【55】
このように構成された燻製装置では、チャンバ71外でラック221の支持具71aにワーク19a,19bを吊下げた後、このラック221を床及びチャンバ71間に掛け渡されたスロープ板(図示せず)を走行させてチャンバ71に収容する。ラック221がチャンバ71に収容されると、受電部224のロア接触子224bが給電部223のアッパ接触子223eに接触する。ドアを閉じて高電圧発生回路用スイッチ(図示せず)をオンすると、第3の実施の形態と同様にワーク19a,19b間に所定の電圧が印加される。燻製処理が終了すると、高電圧発生回路用スイッチをオフしてドアを開き、ラック221をチャンバ71から引出した後、ワーク19a,19bをラック221の支持具71aから外す。このように支持具71aへのワーク19a,19bの着脱をチャンバ71外で行うことができるので、作業性を向上できる。

【56】
なお、この実施の形態では、一方のワークを高電圧発生回路の二次側コイルの一端に接続し、他方のワークを二次側コイルの他端に接続し、電極板を接地したが、第2の実施の形態と同様に一方の電極板を二次側コイルの一端に接続し、他方の電極板を二次側コイルの他端に接続し、ワークを接地してもよい。また、この実施の形態の燻製装置を第4の実施の形態の燻製装置に適用してもよい。即ち、第1及び第2電極をチャンバに出入れ可能なラックに設け、第1及び第2電極を高電圧発生回路に接触型コレクタを介して電気的に接続してもよい。

【57】
図22は本発明の第10の実施の形態を示す。図22において図21と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、接触型コレクタ242の給電部243のアッパ接触子243eが板ばねにより形成され、第9の実施の形態の摺動体、摺動体ホルダ及び圧縮コイルばねが用いられないことを除いて、第9の実施の形態と同一に構成される。このように構成された燻製装置の動作は第9の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。

【58】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、接地されたワークを搬送手段により燻煙が導入されたチャンバ内に所定の速度で搬送し、チャンバ内の搬送手段に沿ってワークを挟むように設けられた一対の電極板間に7kV~15kVの電圧を放電が開始しないように印加したので、一対の電極板間に放電が開始しない所定の電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が一対の電極板間の電位差に基づくクーロン力によりワークに付着・浸透する。この結果、一対の電極板間に印加される電圧が比較的低くかつ大電流が流れないため、電力消費量を低減できる。また電極板とワークとの間でコロナ放電等の放電が開始しないので、帯電した燻煙はワークに均一に付着・浸透する。また所定の間隔をあけてワークと電極板とが交互に配設されたチャンバ内に燻煙を導入し、電極板間又はワーク間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加すれば、電極板間又はワーク間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が電極板間又はワーク間の電位差に基づくクーロン力によりワークに付着・浸透する。この結果、上記と同様の効果が得られる。

【59】
またチャンバ内に所定の間隔をあけて第1及び第2電極を配置し、チャンバ内に燻煙を導入し、更に第1及び第2電極に第1及び第2ワークをそれぞれ電気的に接続するとともに第1及び第2電極間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加すれば、第1及び第2ワーク間に放電が開始しない電界を発生させて燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が第1及び第2ワーク間の電位差に基づくクーロン力により第1及び第2ワークに付着・浸透する。この結果、上記と同様の効果が得られる。また隣接する電極板及びワークの距離或いは隣接するワーク同士の距離を20~100mmに設定すれば、隣接する電極板及びワーク間や、隣接するワーク同士間に、コロナ放電やストリーマ放電等の放電が開始することをより確実に阻止できる。

【6】
請求項2に係る発明は、図9及び図10又は図11に示すように、所定の間隔をあけてワーク19と電極板73,74とが交互に配設されたチャンバ71内に燻煙を導入し、前記電極板73,74間又はワーク19間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加する燻製方法である。この請求項2に記載された燻製方法では、電極板73,74間又はワーク19間に電圧を印加することにより、電極板73,74間又はワーク19間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、かつこの帯電した燻煙が電極板73,74間又はワーク19間の電位差に基づくクーロン力によりワーク19に付着・浸透する。

【60】
また両端に入口及び出口が形成されたチャンバ内に搬送手段を挿通し、この搬送手段がワークを所定の間隔をあけて搬送し、チャンバ内に搬送手段の長手方向に沿いかつワークを挟むように一対の電極板を配設し、燻煙発生手段により燻煙を発生してチャンバ内に導入し、更にワークを接地して高圧発生回路により一対の電極板間に7kV~15kVの電圧を放電が開始しないように印加すれば、上記と同様に一対の電極板間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が一対の電極板間の電位差に基づくクーロン力によりワークに付着・浸透する。この結果、上記と同様に一対の電極板に印加される電圧が比較的低くかつ大電流が流れないため、電力消費量を低減でき、装置全体を小型化できる。また電極板とワークとの間でコロナ放電等の放電が開始しないので、帯電した燻煙はワークに均一に付着・浸透する。

【61】
またチャンバ内に配設された支持具によりワークを支持し、これらのワークの間に電極板を配設し、燻煙発生手段により燻煙を発生してチャンバ内に導入し、更に高電圧発生回路によりワーク間又は電極板間に7kV~15kVの電圧を放電が開始しないように印加すれば、上記と同様に電極板間又はワーク間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が電極板間又はワーク間の電位差に基づくクーロン力によりワークに付着・浸透する。この結果、上記と同様の効果が得られる。またチャンバ内に交互に配設された第1及び第2電極に第1及び第2ワークをそれぞれ電気的に接続し、燻煙発生手段により燻煙を発生してチャンバ内に導入し、更に高電圧発生回路により第1及び第2電極間に7kV~15kVの電圧を放電が開始しないように印加すれば、上記と同様に第1及び第2ワーク間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が第1及び第2ワーク間の電位差に基づくクーロン力により第1及び第2ワークに付着・浸透する。この結果、上記と同様の効果が得られる。

【62】
また高電圧発生回路が商用周波電圧を7kV~15kVの交流電圧に増大する単一の変圧器を有し、この変圧器の二次側コイルの両端を電極板又はワークに電気的に接続し、一端がワーク又は電極板に電気的に接続された中間タップ用電線の他端を二次側コイルの中間部に電気的に接続すれば、一対の電極板又はワークのうち一方の電極板又はワークが正のときに他方の電極板又はワークが負になるので、これらの電極板間又はワーク間の帯電した燻煙は電極板間又はワーク間に発生した電界に沿って速やかに移動しワークに付着・浸透する。この結果、帯電した燻煙を効率良くワークに付着・浸透させることができる。

【63】
また高電圧発生回路が商用周波電圧を3.5kV~7.5kVの交流電圧に増大する同一の第1及び第2変圧器を有し、第1及び第2変圧器の二次側コイルの一端を電極板又はワークに電気的に接続し、第1及び第2変圧器の二次側コイルの他端を共通電線を介してワーク又は電極板に電気的に接続しても、上記と同様に帯電した燻煙が速やかにワークに付着・浸透するので、帯電した燻煙を効率良くワークに付着・浸透させることができる。また上記中間タップ用電線又は共通電線にこの電線に流れる電流を整流するダイオードを設ければ、燻煙に正又は負の所望の電荷を与えることができるので、ワークに所望の燻煙を確実に付着・浸透させることができ、所望の風味を有する燻製食品を製造できる。

【64】
また燻煙発生手段のホッパに燻煙材を貯留し、この燻煙材をスクリュウコンベヤにより搬送し、更にこの搬送された燻煙材を燃焼用ヒータにより不完全燃焼させて燻煙を発生させて燻煙導入口からチャンバ内に導入すれば、ホッパに燻煙材を供給するだけで燻煙を自動的に発生しかつチャンバ内に導入できる。また燻煙の流速を極めて小さくできるので、燻煙のワークへの付着・浸透効率を向上できる。また燻煙導入口にイオン化電極線を架設し、このイオン化電極線に6kV~10kVの電圧を印加すれば、イオン化電極線と燻煙との間にストリーマ放電が開始し、燻煙を予め帯電させることができる。この結果、燻煙をワークに更に速やかに付着・浸透させることができる。またストリーマ放電はコロナ放電より電流の少ない放電であるため、電力消費量の増大は比較的僅かで済む。

【65】
また燻煙循環手段の循環ダクトの両端をチャンバの上部及び下部に接続し、この循環ダクト内にファンを設ければ、ファンが作動すると、チャンバ内上部の燻煙が循環ダクトの上端から吸込みかつ循環ダクトの下端からチャンバ内に吐出す。この結果、チャンバ内に導入された燻煙を循環させることができるので、燻煙を無駄なく使用できる。またチャンバ内を所定の湿度に保つ加湿器のタンク内の液体に調味料を添加すれば、加湿器の作動により、調味料が加湿器により霧化された液体とともにチャンバ内に導入され、ワークに付着・浸透する。この結果、ワークが味わい深い燻製食品となる。更に支持具及び電極板又は第1及び第2電極をチャンバに出入れ可能なラックに設け、支持具及び電極板又は第1及び第2電極を高電圧発生回路に接触型コレクタを介して電気的に接続すれば、支持具又は第1及び第2電極へのワークの着脱をチャンバ外で行うことができるので、作業性を向上できる。

【7】
請求項3に係る発明は、図12及び図14に示すように、チャンバ91内に所定の間隔をあけて第1及び第2電極111,112を配置し、前記チャンバ91内に燻煙を導入し、第1及び第2電極111,112に第1及び第2ワーク101,102をそれぞれ電気的に接続するとともに第1及び第2電極111,112間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加する燻製方法である。この請求項3に記載された燻製方法では、第1及び第2電極111,112間に電圧を印加することにより、第1及び第2ワーク101,102間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、かつこの帯電した燻煙が第1及び第2ワーク101,102間の電位差に基づくクーロン力により第1及び第2ワーク101,102に付着・浸透する。

【8】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る発明であって、更に隣接する電極板及びワークの距離或いは隣接するワーク同士の距離が20~100mmであることを特徴とする。この請求項4に記載された燻製方法では、隣接する電極板及びワーク間や、隣接するワーク同士間に、コロナ放電やストリーマ放電等の放電が開始することをより確実に阻止できる。

【9】
請求項5に係る発明は、図1及び図3に示すように、両端に入口11a及び出口11bがそれぞれ形成されたチャンバ11と、チャンバ11内に入口11aから出口11bに向って挿通され農産物、水産物、畜産物又はこれらの加工食品からなる複数のワーク19を所定の間隔をあけて搬送可能な搬送手段12と、チャンバ11内に搬送手段12の長手方向に沿いかつワーク19と所定の間隔をあけてワーク19を挟むように配設された一対の電極板13,14と、ワークに付着・浸透させる燻煙を発生しかつチャンバ11内に導入する燻煙発生手段16と、一対の電極板13,14間に7kV~15kVの直流又は交流電圧を放電が開始しないように印加しかつワーク19を接地する高電圧発生回路17とを備えた燻製装置である。この請求項5に記載された燻製装置では、請求項1に係る発明と同様に、一対の電極板13,14間に放電が開始しない電界が発生して燻煙が帯電し、この帯電した燻煙が一対の電極板13,14間の電位差に基づくクーロン力によりワーク19に付着・浸透する。また電極板13,14とワーク19との間でコロナ放電等の放電が開始しないので、帯電した燻煙はワーク19に均一に付着・浸透する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図13】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図21】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図16】
12
【図19】
13
【図11】
14
【図12】
15
【図15】
16
【図22】
17
【図14】
18
【図17】
19
【図18】
20
【図20】
21