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明細書 :シェル化したマイクロバブルの製造方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4803495号 (P4803495)
公開番号 特開2008-168175 (P2008-168175A)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発行日 平成23年10月26日(2011.10.26)
公開日 平成20年7月24日(2008.7.24)
発明の名称または考案の名称 シェル化したマイクロバブルの製造方法及び装置
国際特許分類 B01F   3/04        (2006.01)
B01J  13/04        (2006.01)
B01F   5/00        (2006.01)
FI B01F 3/04 Z
B01J 13/02 A
B01F 5/00 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2007-001158 (P2007-001158)
出願日 平成19年1月9日(2007.1.9)
審査請求日 平成21年10月19日(2009.10.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】中嶋 光敏
【氏名】許 晴怡
個別代理人の代理人 【識別番号】100085257、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 有
審査官 【審査官】北村 英隆
参考文献・文献 特開2005-144356(JP,A)
特開2005-152740(JP,A)
特開2004-122107(JP,A)
特表2006-523142(JP,A)
調査した分野 B01F 3/04,5/00,5/06
B01J 13/04,19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
気相が流れるマイクロチャネルに油相が流れるマイクロチャネルを合流させて外側にオイルシェルが形成された非球形マイクロバブルを形成し、この後、前記合流点よりも下流側で前記マイクロチャネルを水相が流れるマイクロチャネルに合流させて、前記オイルシェルが形成された非球形マイクロバブルを水相中に分散させ、この後、拡大流路により水相の流速を急激に低下せしめることで、水相中に外側にオイルシェルが形成された球形マイクロバブル形成することを特徴とするシェル化したマイクロバブルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシェル化したマイクロバブルの製造方法において、前記気相と油相と水相の流量比は1:0.05~0.5:2~20とすることを特徴とするシェル化したマイクロバブルの製造方法。
【請求項3】
オイルシェルで被覆された気相が水相中に分散したシェル化したマイクロバブルを製造する装置であって、この製造装置は基板を備え、この基板には気相供給口、油相供給口、水相供給口およびマイクロバブルの取出口が形成され、更に基板の一面側には前記気相供給口に一端がつながる気相流路と、前記油相供給口に一端がつながる油相流路と、前記水相供給口に一端がつながる水相流路が形成され、前記気相流路と油相流路とは合流し、この合流点によりも下流側にて前記水相流路とが合流し、更に前記気相流路と前記水相流路との合流点よりも下流側の水相流路には水相の流速を急激に低下せしめる拡大流路が形成されていることを特徴とするシェル化したマイクロバブルの製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシェル化したマイクロバブルの製造装置において、前記気相流路と水相流路とは直交することを特徴とするシェル化したマイクロバブルの製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水相中に微細な気相が分散したシェル化したマイクロバブルの製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分散相粒子の粒径が一定となったエマルションを製造する方法(装置)が、非特許文献1及び特許文献1に提案されている。
【0003】
非特許文献1にはマイクロチャネルを用いた二色ポリマー微粒子の生成に関する内容が開示されている。この先行技術では、ガラス基板に着色モノマー(分散相)を流す流路と、この流路に両側から合流するポリビニルアルコール水溶液(連続相)を流す流路を形成し、Y字状をなす合流部にて着色モノマーをポリビニルアルコール水溶液の剪断力で微細な液滴にしている。
【0004】
特許文献1は本発明者らが提案した技術であり、基板の一面側に互いに合流するマイクロチャネルを形成し、一方のマイクロチャネルに連続相を、他方のマイクロチャネルに分散相を流し、前記連続相と分散相とが層流状態で合流した直後に、連続相と分散相の流速を急激に低下せしめることで、連続相中に分散相粒子を顕在化せしめるようにしたものである。
【0005】

【特許文献1】特許第3777427号公報
【非特許文献1】Polymer preprints Japan Vol,52,No,5(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示した技術で水相中に微細な気相が分散したマイクロバブルの製造しようとすると、いきなり水相に気相を分散させることになり、短時間のうちに気相同士が結合し、長期間安定したマイクロバブル状態を維持することができない。
【0007】
具体的には、造影剤のような場合に、安定かつ単分散マイクロバブルが求められているが、このことを満足できる方法及び装置が非特許文献1を含めて提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係るシェル化したマイクロバブルの製造方法は、気相が流れるマイクロチャネルに油相が流れるマイクロチャネルを合流させて外側にオイルシェルが形成された非球形マイクロバブルを形成し、この後、前記合流点よりも下流側で前記マイクロチャネルを水相が流れるマイクロチャネルに合流させて、前記オイルシェルが形成された非球形マイクロバブルを水相中に分散させ、この後、水相の流速を急激に低下せしめることで、水相中に外側にオイルシェルが形成された球形マイクロバブル形成するようにした。
前記気相と油相と水相の流量比の好ましい範囲は、1:0.05~0.5:2~20である。
【0009】
また、本発明に係るマイクロバブルの製造装置は、基板を備え、この基板には気相供給口、油相供給口、水相供給口および多相マイクロバブルの取出口が形成され、更に基板の一面側には前記気相供給口に一端がつながる気相流路と、前記油相供給口に一端がつながる油相流路と、前記水相供給口に一端がつながる水相流路が形成され、前記気相流路と油相流路とは合流し、この合流点によりも下流側にて前記気相流路と前記水相流路とが合流し、更に前記気相流路と前記水相流路との合流点よりも下流側の水相流路には水相の流速を急激に低下せしめる拡大流路が形成された構成とした。
【0010】
具体的な構成としては、前記気相流路と油相流路との合流流路と水相流路とが直交して合流し、この合流点よりも上流側の気相流路に油相流路が合流する構成が考えられ、夫々の合流点は近接してもよいし、離間してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るエマルションの作製方法によれば、気相を微細なマイクロバブルとして水相中に長期間安定して維持することができる。したがって、造影剤、機能性成分、薬物、遺伝子の送達システムなどとしての有効利用が考えられる。
【0012】
また本発明によれば、各相の供給流量比を変えることにより、精密且つ柔軟なコア・シェルの構造制御、例えばコア(気相)の容積やシェル(油層または高分子膜)の厚みを自由にコントロールすることが可能になり、薬物や遺伝子などの送達システムに極めて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るシェル化したマイクロバブルの作製に用いる装置の断面図、図2は同装置に組み込まれた基板の表面を示す図、図3は気相からシェル化したマイクロバブルに至る過程を説明した図である。
【0014】
マイクロバブル製造装置はケース1内に下から順に、透明板2、基板3、O-リング4、ジョイントプレート5を重ね、透明板2の下方にはシェル化したマイクロバブルの生成状況を観察するCCDカメラ6を配置している。
【0015】
前記ジョイントプレート5には気相供給孔7、油相供給孔8、水相供給孔9、シェル化したマイクロバブル取出孔10が形成され、気相供給孔7には気相供給源11が、油相供給孔8には油相供給源12が、水相供給孔9には水相源13が、シェル化したマイクロバブル取出孔10には回収容器14がそれぞれ接続されている。
【0016】
前記基板3は例えばシリコン基板からなり、このシリコン基板を集積回路形成技術(エッチングなど)を応用して流路を形成している。具体的には、前記気相供給孔7と重なる位置に形成される気相供給口31、前記油相供給孔8と重なる位置に形成される油相供給口32、前記水相供給孔9と重なる位置に形成される水相供給口33、前記シェル化したマイクロバブル取出孔10と重なる位置に形成されるシェル化したマイクロバブル取出口34を備え、前記気相供給口31からは幅が約100μm、深さが約5μmの気相流路35が下流側に向って形成され、また前記油相供給口32からは同じく幅が約100μm、深さが約5μmの油相流路36が下流側に向って形成されている。
【0017】
油相流路36は気相流路35の両側に設けられ、気相流路35に対して90°以下の角度で斜めに合流している。油相が合流した気相流路は更に延びて水相流路37に合流している。この水相流路37の一端は水相供給口33につながり、他端はシェル化したマイクロバブル取出口34につながっている。この水相流路37も前記同様幅は約100μm、深さは約5μmとしている。
【0018】
前記気相流路35及び油相流路36の合流点よりも上流側部分35a、36aについては流路幅を約50μmに絞って流速を上げ、水相流路37の合流点よりも上流側部分37aについても流路幅を約50μmに絞って流速を上げている。
【0019】
また、水相流路37の下流側部分には流速を低下せしめるプール38が形成されている。図示例ではプール38の幅を水相流路37の上流側部分と同じにしているが、プール38の幅を更に大きくすることで、流速を急激に低下せしめるようにしてもよい。
【0020】
以上において、気相流路35と油相流路36との合流点において、気相が分散相で油相が連続相となったG/Oエマルションが形成される。分散相は外側にオイルシェルが形成されるが、流速が早いため糸状に延びた非球形粒子となっている。
【0021】
前記糸状に延びた気相は水相流路37との合流点において、水相の流れによる剪断力を受けて小さく分断され、オイルシェルにて外周が被覆された気相が分散相で水相が連続相となったG/O/Wエマルションが形成される。この場合でもオイルシェルにて外周が被覆された気相は水相の流れが早いため非球形粒子となっている。
【0022】
この後、水相流路37を流れる非球形粒子(分散相)はプール38に至り、ここで急速に速度が低下するため、球形粒子となり、目的とするシェル化したマイクロバブルが得られる。
【0023】
(実施例)
図1乃至図3に示した構成からなるシェル化したマイクロバブル製造装置を用い、気相を空気や窒素ガス、油相を界面活性剤入りの大豆油やテトラデカンなど、水相を異なる濃度のSDS水溶液とし、気相と油相と水相の流量比が、1:0.05~0.5:2~20となる条件でマイクロバブルの作製を試みた。
【0024】
図4は上記実施例においてシェル化したマイクロバブルが作製されている様子を示す写真であり、極めて均一な単分散シェル化したマイクロバブルが得られていることが観察される。
【0025】
図5は別の例でシェル化したマイクロバブルが作製されている様子を示す写真であり、この実施例では、気相流路35と油相流路36との合流点の直ぐ下流側に水相流路37との合流点を設けている。この別実施例でも極めて均一な単分散シェル化したマイクロバブルが得られていることが観察される。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係るシェル化したマイクロバブルの製造方法および製造装置は、食品工業、医薬或いは化粧品製造等に利用されるだけでなく、クロマトグラフィー担体、重合トナー、顔料、導電性スペーサー、メタリック塗料、環境浄化用微粒子、難燃剤、触媒、蓄熱剤、抗菌剤、フェロモン、食用油、生理活性物質、酵素、アルミフレーク、マイカ、肥料等を内部に充填した生分解性マイクロカプセル、薬品のカプセル化、電気泳動ディスプレイ等への応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るマイクロバブルの作製に用いる装置の断面図
【図2】同装置に組み込まれた基板の表面を示す図
【図3】気相からシェル化したマイクロバブルに至る過程を説明した図
【図4】基板の具体例を示す写真
【図5】基板の別実施例を示す写真
【符号の説明】
【0028】
1…ケース、2…透明板、3…基板、4…O-リング、5…ジョイントプレート、6…CCD、7…気相供給孔、8…油相供給孔、9…水相供給孔、10…多相マイクロバブル取出孔、11…気相供給源、12…油相供給源、13…水相源、14…回収容器、31…気相供給口、32…油相供給口、33…水相供給口、34…マイクロバブル取出口、35…気相流路、36…油相流路、37…水相流路、35a、36a、37a…流路の絞られた部分、38…プール。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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