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明細書 :微小物の電解めっき装置及びめっき方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2006-348317 (P2006-348317A)
公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
発明の名称または考案の名称 微小物の電解めっき装置及びめっき方法
国際特許分類 C25D  17/16        (2006.01)
C25D   7/00        (2006.01)
FI C25D 17/16 B
C25D 7/00 G
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2005-172730 (P2005-172730)
出願日 平成17年6月13日(2005.6.13)
発明者または考案者 【氏名】友景 肇
【氏名】林 繁宏
出願人 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
【識別番号】505220929
【氏名又は名称】アスカコーポレーション株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査請求 未請求
テーマコード 4K024
Fターム 4K024BB09
4K024CB01
4K024CB02
4K024CB08
4K024CB09
4K024CB13
要約 【課題】 チップ部品等の微小なめっき対象物に衝撃を与えず破損を防止できると共に、めっき工程中に多数のめっき対象物とカソード側電極とを導通させられ、いずれの対象物においても確実なめっき状態が得られる微小物の電解めっき装置及び当該装置を用いる電解めっき方法を提供する。
【解決手段】 チップ部品等の微小なめっき対象物40をめっき液50と共に収容する中空容器20を回転させ、めっき対象物40を常に容器下部の溝内に位置させつつ容器内面との接触状況を変化させ、各めっき対象物40と電極30との導通の機会をまんべんなく生じさせることにより、めっき対象物40に衝撃等を与えることなくめっき状態を大きく改善することができ、適切な電解めっきが行える。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
めっき液を貯溜するめっき槽と、当該めっき槽内でめっき液中に少なくとも一部浸漬状態とされて支持され、内部に微小なめっき対象物及びめっき液の一部を収容する所定の中空容器と、前記めっき液に接触するアノード及びカソードの各電極とを少なくとも備え、前記めっき液中で、前記めっき対象物をカソード側の電極に導通する状態として電解めっきを行う微小物の電解めっき装置において、
前記中空容器が、外部に開口する投入口部分を有すると共に、凸条状又は溝状に連続する一又は複数の凹凸部を形成され、前記投入口が回動中心に位置し且つ前記凹凸部が回動中心に対し略対称配置となる状態で回動自在に支持されてなり、
前記電極のうち少なくともカソード側電極が中空容器の内側から見て溝状となる部位に配置され、
多数の微小なめっき対象物及びめっき液を中空容器内に入れた状態で前記中空容器を回動させ、当該回動に伴って各めっき対象物を溝状部分内又は複数の溝状部分間で移動させ、カソード側電極と導通させてめっきを進行させることを
特徴とする微小物の電解めっき装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の微小物の電解めっき装置において、
前記中空容器が、筒中心軸を回動軸位置に略一致させた略円筒形状とされ、前記凹凸部を筒中心軸周りに螺旋状に連続させて容器内面を略雌ねじ状に形成されることを
特徴とする微小物の電解めっき装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の微小物の電解めっき装置において、
前記電極が、前記中空容器の略円筒面に周方向に複数並べて配設され、中空容器の回動により容器下部に位置してめっき対象物が上に載った状態となる一又は複数の電極をカソードとする一方、残りの他の電極をアノードとする電極極性制御を容器の回動に合わせて行うことを
特徴とする微小物の電解めっき装置。
【請求項4】
所定の中空容器中に微小なめっき対象物及びめっき液を導入し、アノード及びカソードの各電極に接する前記めっき液中で、前記めっき対象物をカソード側の電極に導通する状態として電解めっきを行う微小物の電解めっき方法において、
前記中空容器が、外部に開口する投入口部分を有する略円筒形状とされると共に、凸条状又は溝状部分が筒中心軸周りに螺旋状に連続する凹凸部を有してなり、前記投入口が回動中心に位置し且つ前記凹凸部が回動中心に対し略対称配置となるようにして筒中心軸を傾斜させた傾斜配置状態で回動自在に支持され、
前記電極が、中空容器の内側から見て溝状となる部位に中空容器の略円筒面に周方向に複数並ぶ配置として配設され、
多数の微小なめっき対象物及びめっき液を中空容器内に入れた状態で前記中空容器を回転させ、当該回転に伴って各めっき対象物を溝状部分で下方へ移動させつつ、中空容器の回転により容器下部に位置してめっき対象物が上に載った状態となる電極をカソードとし、他の電極をアノードとする制御を行い、めっき対象物をカソード側電極と導通させてめっきを進行させることを
特徴とする微小物の電解めっき方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状電子部品(セラミックコンデンサ、抵抗、インダクタ等)の端子部をはじめとする微小なめっき対象物の電解めっきに用いる電解めっき装置に関し、特に部品を損傷させることなく効率的にめっきが行え、電極やめっき液の劣化も少なく保守性に優れる電解めっき装置、及びこれを用いためっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路基板の小型化に伴ってチップ部品の利用が増えているが、こうしたチップ部品の端子部の配設にあたっては、金属端子を部品本体に物理的に取付けるのが困難であるため、通常めっきにより部品表面に端子部となる金属部分を生じさせていた。チップコンデンサを例に挙げると、その端子部形成においては、まずセラミックチップ端部に非電解めっきで導体としてのニッケルめっきを施された後、その上に電解めっきでスズめっきをなされるのが一般的である。
【0003】
こうした小型のめっき対象物への電解めっきを行う装置としては、従来から、主にバレル方式のめっき装置が用いられていた。バレル方式は、多孔板製筒体からなるバレルをその筒軸が横向きとなる状態でめっき液を入れた処理槽内に回転可能に支持し、バレルの内部にカソード電極を配置する一方、バレル外側にアノード電極を配置し、バレル内にダミー(導電媒体の金属球)と共にめっき対象物を収納し、バレルを回転させてカソード電極とめっき対象物とを導通状態として、めっき対象物に電解めっきを行うものである。
【0004】
しかし、近年チップ部品のさらなる微小化が進んでおり、バレル方式のめっき装置では、バレルの孔の大きさを細かくしなければチップ部品を保持できないが、チップ部品に合わせて孔の大きさを細かくするとめっき液の流通が確保できなくなり、適切にめっきを行うことが難しくなるという問題があった。また、チップ部品に対し相対的に大きくなるダミーへのめっき付着が無視できないものとなり、めっき液の劣化割合が大きくなる問題もあった。
【0005】
このため、近年、チップ部品等微小なめっき対象物に適した電解めっき装置として、様々なものが提案されており、その一例として、特開平7-118896号公報、特開平8-232799号公報に開示されるものがある。
この従来の電解めっき装置は、駆動軸上端部に固定された底板と、中央に開口を有して底板との間に処理室を形成しつつ底板に固定される椀状又は円筒状のカバーと、底板とカバー外周との間に挟持される通電用の接触リングと、この接触リング近傍に配置される多孔体部と、カバー開口から挿入されてめっき液に接触する電極とを備える構成である。
【0006】
上記従来の電解めっき装置では、供給管よりめっき液等をカバー開口を通じて供給され、底板、接触リング及びカバーの回転、停止又は減速を繰返して処理室内のめっき対象物を接触リングに適宜押付けて通電、めっきを行う一方、多孔体部から飛散しためっき液を前記供給管に循環させる仕組みとなっている。

【特許文献1】特開平7-118896号公報
【特許文献2】特開平8-232799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電解めっき装置は前記各特許文献に示される構成となっており、チップ部品等のめっき対象物を遠心力の作用で接触リングに押付けつつ回転と停止又は減速の繰返しで多数のめっき対象物を均一に混合して通電性を向上させられ、同時にめっき液の更新も促せるために、短時間で均一なめっき厚さを確保できると共に、めっき液管理を適切に行え、最適のめっき層が得られるものの、カソード側電極である接触リングのめっき対象物が接触していない部位にはめっきが進行する状態となり、めっき液が劣化するために更新、補充等の保守が必要であった。また、底板及びカバー等の回転で生じる遠心力によりめっき対象物を接触リングに付けるため、めっき対象物が回転する底板や接触リングと接触する際の衝撃に耐えきれず破損する危険性も高く、製品歩留りに悪影響を及すという課題を有していた。
【0008】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、チップ部品等の微小なめっき対象物に衝撃を与えず破損を防止できると共に、めっき工程中に多数のめっき対象物とカソード側電極とを導通させられ、いずれの対象物においても確実なめっき状態が得られる微小物の電解めっき装置及び当該装置を用いる電解めっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る微小物の電解めっき装置は、めっき液を貯溜するめっき槽と、当該めっき槽内でめっき液中に少なくとも一部浸漬状態とされて支持され、内部に微小なめっき対象物及びめっき液の一部を収容する所定の中空容器と、前記めっき液に接触するアノード及びカソードの各電極とを少なくとも備え、前記めっき液中で、前記めっき対象物をカソード側の電極に導通する状態として電解めっきを行う微小物の電解めっき装置において、前記中空容器が、外部に開口する投入口部分を有すると共に、凸条状又は溝状に連続する一又は複数の凹凸部を形成され、前記投入口が回動中心に位置し且つ前記凹凸部が回動中心に対し略対称配置となる状態で回動自在に支持されてなり、前記電極のうち少なくともカソード側電極が中空容器の内側から見て溝状となる部位に配置され、多数の微小なめっき対象物及びめっき液を中空容器内に入れた状態で前記中空容器を回動させ、当該回動に伴って各めっき対象物を溝状部分内又は複数の溝状部分間で移動させ、カソード側電極と導通させてめっきを進行させるものである。
【0010】
このように本発明によれば、チップ部品等の微小なめっき対象物をめっき液と共に収容する中空容器を回転させ、対象物を常に容器内の下部の溝内に位置させつつ容器内面との接触状況を変化させ、各めっき対象物と電極との導通の機会をまんべんなく生じさせることにより、めっき対象物に衝撃等を与えることなくめっき状態を大きく改善することができ、適切な電解めっきが行える。
また、本発明に係る微小物の電解めっき装置は必要に応じて、前記中空容器が、筒中心軸を回動軸位置に略一致させた略円筒形状とされ、前記凹凸部を筒中心軸周りに螺旋状に連続させて容器内面を略雌ねじ状に形成されるものである。
【0011】
このように本発明によれば、中空容器の凹凸部を略螺旋状に配設し、中空容器を回転させると、めっき対象物が凹凸の中間部分の斜面を連続的に滑り落ちる状態となって溝内をその連続する向きへ少しずつ進む過程を繰返し、筒軸方向のいずれかに移動させられることにより、めっき対象物と電極との電気的接触状態をさらに適切に変化させて確実にめっきを行えると共に、めっき中の移送も実現することとなり、装置の停止を伴わない連続的な工程も可能となり、前後の工程と連携して効率よくめっき工程を進められる。
また、本発明に係る微小物の電解めっき装置は必要に応じて、前記電極が、前記中空容器の略円筒面に周方向に複数並べて配設され、中空容器の回動により容器下部に位置してめっき対象物が上に載った状態となる一又は複数の電極をカソードとする一方、残りの他の電極をアノードとする電極極性制御を容器の回動に合わせて行うものである。
【0012】
このように本発明によれば、中空容器の外周に配設された複数の電極のうち、容器下部に位置してめっき対象物が上に載っている状態の電極がカソードとされると共に、他の電極がアノードとされ、中空容器の回転に合わせて電極の極性が入れ替ることにより、電極のめっき対象物非接触部分でのめっき進行がカソードとなった電極のみで起る状態となり、電極自体へのめっきを必要最小限に抑えてめっき液の長寿命化が図れることに加え、同じ電極が中空容器の回転で移動してアノードに変ることで、電極で進行しためっき部分がエッチングにより除去されることとなり、電極へのめっきが確実に防止でき、保守の手間が省ける。また、アノード側電極を中空容器内に別途設ける必要が無く、構造が簡略となってコストダウンが図れる。
【0013】
また、本発明に係る微小物の電解めっき方法は、所定の中空容器中に微小なめっき対象物及びめっき液を導入し、アノード及びカソードの各電極に接する前記めっき液中で、前記めっき対象物をカソード側の電極に導通する状態として電解めっきを行う微小物の電解めっき方法において、前記中空容器が、外部に開口する投入口部分を有する略円筒形状とされると共に、凸条状又は溝状部分が筒中心軸周りに螺旋状に連続する凹凸部を有してなり、前記投入口が回動中心に位置し且つ前記凹凸部が回動中心に対し略対称配置となるようにして筒中心軸を傾斜させた傾斜配置状態で回動自在に支持され、前記電極が、中空容器の内側から見て溝状となる部位に中空容器の略円筒面に周方向に複数並ぶ配置として配設され、多数の微小なめっき対象物及びめっき液を中空容器内に入れた状態で前記中空容器を回転させ、当該回転に伴って各めっき対象物を溝状部分で下方へ移動させつつ、中空容器の回転により容器下部に位置してめっき対象物が上に載った状態となる電極をカソードとし、他の電極をアノードとする制御を行い、めっき対象物をカソード側電極と導通させてめっきを進行させるものである。
【0014】
このように本発明によれば、チップ部品等の小型対象物をめっき液と共に収容する中空容器を回転させ、めっき対象物を常に容器下部に位置させつつ中空容器内面に略螺旋状に配設した溝部を進ませ、容器内面との接触状況を変化させ、各めっき対象物と容器下部に位置する電極との導通の機会を多く与えることにより、めっき対象物に衝撃等を与えることなく電気的接触状態を適度に変化させられ、各めっき対象物をまんべんなく電極と導通させて確実に電解めっきが行えると共に、めっき対象物のめっき進行中の移送も行え、連続的な工程が可能となり、前後の工程と連携させて効率よくめっき工程を進められる。また、容器下部以外に位置する電極がアノードとされ、且つ中空容器の回転に合わせて電極の極性が入れ替ることから、電極のめっき対象物非接触部分でのめっき進行が容器下部の電極のみで起る状態となり、電極自体へのめっきを必要最小限に抑えてめっき液の長寿命化が図れることに加え、同じ電極が中空容器の回転で容器下部から移動してアノードに変ることで、電極で進行しためっき部分がエッチングにより除去されることとなり、電極の保守の手間も省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図1ないし図5に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る電解めっき装置のめっき対象物投入可能状態説明図、図2は本実施の形態に係る電解めっき装置における中空容器の側面図及び正面図、図3は本実施の形態に係る電解めっき装置における中空容器の縦断面図及び溝部横断面図、図4は本実施の形態に係る電解めっき装置のめっき対象物移動状態説明図、図5は本実施の形態に係る電解めっき装置における中空容器内へのめっき液噴射状態説明図である。
【0016】
前記各図において本実施の形態に係る電解めっき装置1は、めっき液50を貯溜するめっき槽10と、このめっき槽10内でめっき液中に浸漬状態とされて支持され、内部にめっき対象物40及びめっき液50を収容する所定の中空容器20と、この中空容器20に一体化したアノード31及びカソード32となる各電極30とを備える構成である。
【0017】
前記めっき槽10は、めっき対象物40のめっきに必要十分な量のめっき液50を貯溜するものであり、その内部には中空容器20がめっき液50に浸漬しつつ回転可能に配設されると共に、この中空容器20を回転させる駆動手段11並びに中空容器20内にめっき液50を導入する循環ポンプ12も配設される構成である。また、めっき槽10には、めっき槽10内におけるめっき液量を調整する液量制御手段(図示を省略)も併設されており、めっき槽10内のめっき液面位置を必要に応じて調整可能となっている。
【0018】
前記中空容器20は、外部に開口する投入口21を端部に配置された略円筒形状とされると共に、溝部22及びこれに隣接する凸条部分からなる凹凸部を螺旋状に連続させて容器内面を略雌ねじ状に形成されてなる構成であり、前記投入口21及び円筒中心軸が回動の中心に位置し、且つ円筒中心軸が投入口21側を上側にしつつ傾斜した傾斜配置状態でめっき槽10内に回動可能に支持される仕組みである。ただし、中空容器20の傾斜角度は、中に入れためっき対象物40が中空容器20の非回転状態で自然に下方へ移行しない程度の傾きとされる。この中空容器20の周側面に一体化した状態で前記電極30が配置される。
【0019】
中空容器20の投入口21は、めっき対象物40投入時以外には、めっき液50のみを通すメッシュ体などの多孔質材からなる蓋体23で閉塞され、めっき作業時におけるめっき対象物40の容器外への飛散を生じさせない仕組みとなっている。また、この投入口21周囲の中空容器20上端部は先細形状(略円錐台状)となっており、めっき液50が中空容器20の下方から容器内に噴射されて導入された際に、この上端部の先細形状部分で適切に跳ね返らせて、容器内各部へめっき液やこれと一緒に取込まれて上昇しためっき対象物40が適切に分散するようにしており、めっき対象物40と電極30との接触機会を増やすようにし、めっき対象物40が電極30との接触面を入替える割合が高くなるようにしている。
【0020】
一方、中空容器20の下端部所定範囲部分も先細形状となっており、中空容器20内のめっき対象物40をめっき液50の容器内導入口部分に集めて、めっき液50の容器内へ噴射、導入された際に、めっき対象物40がめっき液50の噴流に巻込まれて一緒に容器内上端部まで移動する状態を得やすくしている。この下端部の先細形状部分には溝部22並びに電極30は設けられず、この位置でめっき対象物40のめっきが進行することはない。一方、この下端部の先細形状部分には、前記蓋体23同様の多孔質材からなる部位が存在しており、中空容器20内外でのめっき液50の流通を促せるものとなっている。
【0021】
前記電極30は、中空容器20の略円筒面に周方向に複数並べて配設され、外部のめっき用電源(図示を省略)と電気的に接続されると共に、容器内のめっき対象物40及びめっき液50に接触する構成である。これら電極30は、中空容器20の回転速度に同期させて行われる電極極性制御により、中空容器20の回転により容器下部に位置してめっき対象物40が上に載った状態となる電極30をカソード32とされる一方、残りの他の電極30をアノード22とされる仕組みである。
【0022】
次に、本実施の形態に係る電解めっき装置を用いためっき工程について説明する。あらかじめ、めっき槽10内にはめっき液50が十分な量貯溜され、中空容器20全体がめっき液50中に浸漬すると共に、容器内がめっき液50で満たされている状態にあるものとする。
まず、めっき槽10内におけるめっき液50の液面を、液量制御手段(図示を省略)により中空容器20の投入口21高さまで下げた後、投入口21を覆う蓋体23を外し、チップ部品等の微小なめっき対象物40を所定量投入口21から中空容器20内に入れる。めっき対象物40の投入後、蓋体23を閉じ、再びめっき液50の液面を上昇させて中空容器20全体がめっき液50中に浸漬する状態とする。
【0023】
この時、めっき対象物40は、その一部が傾斜した中空容器20の下端部まで達しているため、容器下方の循環ポンプ12を作動させ、めっき液50を中空容器20内に勢いよく噴射させて導入し、容器下端部に位置しているめっき対象物40がめっき液50の噴流に巻込まれて共に上昇する状態を得る。
【0024】
容器下方からのめっき液50導入でめっき対象物40が容器上端部に達したら、循環ポンプ12を一旦停止させ、中空容器20を所定回転速度で容器内面の雌ねじの向きと同方向に回転させる(右ねじの場合は右回転)。この回転に伴い、各めっき対象物40が雌ねじ状の溝部22に沿って少しずつ移動すると共に、中空容器20と一体化して内部に面している各電極30と接する。
【0025】
これと同時に、複数の電極30のうち、中空容器20の下部に位置してめっき対象物40が載っている状態の電極30がカソード32、他の電極30がアノード31となるように電圧を印加すると、めっき液50中でカソード32となった電極30に直接接触しためっき対象物40や、こうしためっき対象物40を介して電気的接続状態となっている他のめっき対象物40において電解めっきが進行することとなる。
【0026】
めっき対象物40は、中空容器20の回転に伴って一緒に回転しようとするものの、重力の影響により溝部22間にある凸条部分に進行を遮られて凸条部分の斜面を連続的に滑り落ちる状態となり、溝部22内をその連続する向きへ少しずつ進む過程を繰返し、容器下部をより下方へ移動していく。この移動により、めっき対象物40を常に中空容器20下部の溝部22内に位置させつつ容器内面との接触状況を変化させ、各めっき対象物40と電極30との導通の機会をまんべんなく生じさせることができ、各めっき対象物40に過大な衝撃等を与えることなく確実にめっきを進められる。
【0027】
中空容器20の回転で各電極30の位置も変化するが、回転速度に合わせて電極30の極性を変える制御を行っており、容器下部に達した電極30はカソード32へ変る一方、底部から離脱した電極30はアノード31に変わり、適切にめっきを継続進行させられる仕組みとなっている。
【0028】
なお、カソード32となっている電極30では、めっき対象物40非接触部分でめっきが進行することになるが、このめっき進行はこの容器下部に位置する電極30のみで起る状態となり、電極自体へのめっきを必要最小限に抑えてめっき液の長寿命化が図れることに加え、同じ電極30が中空容器20の回転に伴い容器下部から上側へ移動してアノード31に変ることで、電極30で一旦進行しためっき部分がエッチングにより除去されることとなり、結果的に電極30へのめっきが防止できる。
【0029】
こうして中空容器20の回転を継続してめっきを行い、所定時間経過又は所定数の回転を経て、容器内を移動するめっき対象物40の大部分が容器下端部に達したら、一旦この段階で、めっきの各工程が所定回数繰返されて各めっき対象物40に適切にめっきがなされたか否かを判定する。ここで、めっきの各工程の繰返し数が設定数に達していない場合には、新たに容器下方の循環ポンプ12を作動させ、めっき液50を中空容器20内に勢いよく噴射させて導入し、容器下端部に達していためっき対象物40をめっき液50の噴流と共に上昇させて容器上端部に戻し、前記各工程を繰返すこととなる。
【0030】
逆に、各工程があらかじめ設定された回数分繰返されて十分なめっきが得られている場合には、めっき作業完了となり、中空容器20の回転を停止させ、めっき対象物40を中空容器20から取出し、必要に応じて洗浄等の後工程へ移送すればよい。
【0031】
このように、本実施の形態に係る電解めっき装置においては、チップ部品等の微小なめっき対象物40をめっき液50と共に収容する中空容器20を回転させ、めっき対象物40を常に容器下部に位置させつつ中空容器20内面に略螺旋状に配設した溝部22内を進ませ、容器内面との接触状況を変化させ、各めっき対象物40と容器下寄りに位置する電極30との導通の機会を多く与えられることから、めっき対象物40に衝撃等を与えることなく電気的接触状態を適度に変化させられ、各めっき対象物40をまんべんなくカソード32である電極30と導通させて確実に電解めっきが行えると共に、めっき対象物40のめっき進行中の移送も行え、連続的な工程が可能となり、前後の工程と連携させて効率よくめっき工程を進められる。また、中空容器20に一体配設した複数の電極30のうち、容器下部に位置する電極30をカソード32とすると共に、他の電極30をアノード31とする電極極性制御を行っていることから、各電極30を有効利用でき、アノード側電極を中空容器20内に別途設ける必要が無く、めっき装置としての構造を簡略化してコストダウンが図れる。
【0032】
なお、前記実施の形態に係る電解めっき装置においては、中空容器20を傾斜状態で回動可能に支持する構成としているが、これに限らず、中空容器20の内面をめっき対象物40がスムーズに動きうる表面性状とし、中空容器20の回転のみでめっき対象物40を容器筒軸方向へ移動させられるようにしつつ、中空容器20を中心軸が水平向きとなる状態で支持する構成とすることもでき、めっき対象物40を容器内で移動させる際の回転速度を速められ、めっき対象物40とめっき液50との攪拌状態をさらに高めて各めっき対象物40と電極30、めっき液50との通電性を向上させられ、めっき形成速度を改善して、適切なめっき状態を確保しつつ、めっき工程にかかる時間を短縮できる。
【0033】
また、前記実施の形態に係る電解めっき装置において、中空容器20は溝部22を螺旋状に配置して内面が略雌ねじ状となる形状として形成され、溝部22を横断する向きの断面形状が滑らかな略正弦波状に連なる凹凸をなす構成としているが、これに限らず、この断面形状が三角波や矩形、方形波などの直線の組合せからなる波形状の凹凸や、曲線と直線の組合せが略波状に繰返す形状の凹凸をなすように溝部を形成する構成とすることもでき、溝部の端部に段差を生じさせた特殊な溝形状とすることで、中空容器20の回転状態で一部又は全部のめっき対象物40が隣合う溝部間を移る際に、高い側から低い側へ落下する状態となり、各めっき対象物40の溝部における位置の入れ替りを促して電極30にまんべんなく接触させられ、均等なめっきの進行が図れる。
【0034】
また、前記実施の形態に係る電解めっき装置において、中空容器20は一つの溝部22を螺旋状に配置して内面が略雌ねじ状となる形状として形成される構成としているが、これに限らず、中空容器の円筒面に、筒中心軸に略平行又は所定角度傾いた状態となる複数の溝部を周方向に等間隔で並列させて配置した形状として中空容器を形成し、この中空容器を筒中心軸が略水平に近い傾きとなる状態で支持する構成とすることもでき、中空容器の回動によりめっき対象物40を複数の溝部間で移動させ、容器内面との接触状況を変化させられることから、前記実施形態同様、めっき対象物40に過大な衝撃等を与えることなく電極との電気的接触状態を適度に変化させられ、各めっき対象物40をまんべんなくカソード側電極と導通させて確実に電解めっきが行える。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電解めっき装置のめっき対象物投入可能状態説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る電解めっき装置における中空容器の側面図及び正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る電解めっき装置における中空容器の縦断面図及び溝部横断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る電解めっき装置のめっき対象物移動状態説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る電解めっき装置における中空容器内へのめっき液噴射状態説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 電解めっき装置
10 めっき槽
11 駆動手段
12 循環ポンプ
20 中空容器
21 投入口
22 溝部
23 蓋体
30 電極
31 アノード
32 カソード
40 めっき対象物
50 めっき液
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4