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明細書 :機能性糸状菌検出方法、機能性糸状菌含有製品の評価方法及びプライマー対

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5429732号 (P5429732)
公開番号 特開2010-046032 (P2010-046032A)
登録日 平成25年12月13日(2013.12.13)
発行日 平成26年2月26日(2014.2.26)
公開日 平成22年3月4日(2010.3.4)
発明の名称または考案の名称 機能性糸状菌検出方法、機能性糸状菌含有製品の評価方法及びプライマー対
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 9
全頁数 21
出願番号 特願2008-214394 (P2008-214394)
出願日 平成20年8月22日(2008.8.22)
審査請求日 平成23年8月3日(2011.8.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】中崎 清彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】三原 健治
参考文献・文献 国際公開第2006/085567(WO,A1)
特開昭51-076422(JP,A)
New Food Industry, 2007, Vol.49, No.11, pp.21-27
FEMS Microbiol. Lett., 2007, Vol.275, pp.286-291
資源環境対策, 2006, Vol.42, No.13, pp.95-100
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C12Q 1/68
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
(1)配列番号1で示される塩基配列を有するポリヌクレオチドと、
(2)配列番号2で示される塩基配列を有するポリヌクレオチドと、
で構成されたプライマー対を用いて、PCRを行うことを含む、試料中の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケ(Coprinellus curtus)を検出する機能性糸状菌検出方法。
【請求項2】
前記機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケが、ヒメツブヒトヨタケGM-21(NITE BP-37)である請求項1記載の機能性糸状菌検出方法。
【請求項3】
前記試料が、土壌試料、コンポスト試料、培養物試料及び固定化物試料からなる群より選択された少なくとも1つである請求項1又は請求項2記載の機能性糸状菌検出方法。
【請求項4】
機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを含む機能性糸状菌含有製品の評価方法であって、
前記機能性糸状菌含有製品に由来する試料に対して、配列番号1で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドと、配列番号2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドと、で構成されたプライマー対を用いて定量的PCRを行うこと、
定量的PCRの結果に基づいて前記機能性糸状菌含有製品中の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケの存在又は濃度を評価すること、
を含む機能性糸状菌含有製品の評価方法。
【請求項5】
前記機能性糸状菌含有製品が、細菌類の活動制限状態にあるコンポストに、前記機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを接種すること、前記糸状菌を、前記コンポスト内で培養して選択的に増殖させること、を含む方法により得られた機能性コンポストである請求項4に記載の機能性糸状菌含有製品の評価方法。
【請求項6】
前記機能性コンポストが、糸状菌の生育条件で活動可能な糸状菌共存生育可能細菌類を更に含む請求項4又は請求項5記載の機能性糸状菌含有製品の評価方法。
【請求項7】
前記機能性コンポストが、糸状菌の生育条件で活動可能な糸状菌共存生育可能細菌バージバチラス・ハロフィラスI30-1(FERM BP-10975)を更に含む請求項4~請求項6のいずれかに記載の機能性糸状菌含有製品の評価方法。
【請求項8】
下記の(1)及び(2)のポリヌクレオチドからなるプライマー対:
(1) 配列番号1で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(2) 配列番号2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
【請求項9】
下記(1)のポリヌクレオチド及び(2)のポリヌクレオチドの組み合わせ
(1) 配列番号1で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド、
(2) 配列番号2で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性糸状菌検出方法、機能性糸状菌含有製品の評価方法及びプライマー対に関する。
【背景技術】
【0002】
糸状菌すなわちカビには種々の機能があることが知られており、例えば病原性糸状菌によって植物病害が引き起こされることも知られている。病原性糸状菌は、キャベツ、キュウリ、トマト、ナス、小松菜などの多くの野菜、稲などの農産物の他、花、樹木、芝生等に、立枯病、根腐病、葉腐病、萎凋病などの病害を発病させる原因となる。これらの糸状菌としては、リゾクトニア属、フザリウム属、ピシウム属、トリコデルマ属、スクレロチウム属などがよく知られている。
このような病原性糸状菌に対して効果的な植物病害防除方法として、微生物、特に糸状菌を用いた植物病害防除剤が挙げられる(例えば、特許文献1及び特許文献2)。一般に、細菌類と糸状菌類とでは増殖や活性に適した生育条件が異なっていることが知られており、病原性糸状菌の生育に適した条件で効果的に機能を発揮できる植物病害防除機能を有する機能性糸状菌を用いた植物病害防除剤は、細菌類を用いた植物病害防除剤よりも大きい効果が期待される。中でも、ヒトヨタケ科に属する糸状菌を用いた植物病害防除剤は、その機能が高い(特許文献2参照)。
【0003】
ところで、このような機能性糸状菌を植物病害防除剤として使用するには、適度な密度で土壌やコンポストに存在させて適切な植物病害防除機能を発揮させ、またこの機能を維持させる必要がある。また、機能性糸状菌の所定の機能を簡便に利用するには、土壌やコンポスト、固体培地、固定化担体に機能性糸状菌を接種して、機能性糸状菌含有製品を製造することもある。このような機能性糸状菌含有製品を作製したときには、製造・保管・運搬等の過程において、機能性糸状菌の濃度を適切にモニターすることが不可欠である。
糸状菌の濃度のモニターは、細菌と異なって、例えば希釈平板法のような寒天培地を用いた通常の測定法では測定することができない。また、コンポストなどの固体中に存在するために菌体のみの乾燥重量で測定することも、他の微生物が混在するために菌体DNAの総量として測定することもできない。
【0004】
近年、菌の同定や検出を、分子生物学的手法を用いて行う技術が開発されている。例えば、特許文献3では、有機性廃棄物や廃水等のメタン発酵処理汚泥中に存在するメタン生成に関連するメタン生成細菌及び酸生成細菌を、PCR法を用いてDNA及びRNA濃度を定量検出し、経時的にモニタリングしながら、その活性を評価する方法を提供することにより、メタン発酵装置の適切な運転管理指標とプロセス制御方法を開示している。また、特許文献4は、農産物(穀類、野菜)、畜産物(肉類)、水産物(魚介類)、毛髪、体液、微生物等の検体に含まれるDNAを、SSRプライマー対を用いるマルチプレックスにより、高精度、迅速、簡便且つ安価にDNA増幅及び解析することのできる技術を開示している。
【特許文献1】国際公開第97/31521号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/085567号パンフレット
【特許文献3】特開2007-268471号公報
【特許文献4】特公2007-174973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、土壌中には目的とする機能性の糸状菌以外にも種々の糸状菌や細菌類が存在しており、機能性糸状菌のみのモニターを行うには、非常に高い特異性を示す検出方法が要求される。また、機能性糸状菌を接種して得られた機能性糸状菌含有製品の評価を適切に行う評価方法が要求されている。
従って、本発明の目的は、機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケ(Coprinellus curtus)を高い精度で検出することができる機能性糸状菌検出方法及び機能性糸状菌含有製品の評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のとおりである。
<1> (1)配列番号1で示される塩基配列を有するポリヌクレオチドと、(2)配列番号2で示される塩基配列を有するポリヌクレオチドとで構成されたプライマー対を用いて、PCRを行うことを含む、試料中の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを検出する機能性糸状菌検出方法。
<2>記機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケが、ヒメツブヒトヨタケGM-21(NITE BP-37)である<1>に記載の機能性糸状菌検出方法。
> 前記試料が、土壌試料、コンポスト試料、培養物試料及び固定化物試料からなる群より選択された少なくとも1つである<1>又は2>に記載の機能性糸状菌検出方法。
【0007】
> 機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを含む機能性糸状菌含有製品の評価方法であって、前記機能性糸状菌含有製品に由来する試料に対して、配列番号1で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドと、配列番号2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドと、で構成されたプライマー対を用いて定量的PCRを行うこと、定量的PCRの結果に基づいて前記機能性糸状菌含有製品中の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケの存在又は濃度を評価すること、を含む機能性糸状菌含有製品の評価方法。
> 前記機能性糸状菌含有製品が、細菌類の活動制限状態にあるコンポストに、前記機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを接種すること、前記糸状菌を、前記コンポスト内で培養して選択的に増殖させること、を含む方法により得られた機能性コンポストである<4>記載の機能性糸状菌含有製品の評価。
> 前記機能性コンポストが、糸状菌の生育条件で活動可能な糸状菌共存生育可能細菌類を更に含む<又は<5>記載の機能性糸状菌含有製品の評価方法。
<7> 前記機能性コンポストが、糸状菌の生育条件で活動可能な糸状菌共存生育可能細菌バージバチラス・ハロフィラスI30-1(FERM BP-10975)を更に含む<4>~<6>のいずれかに記載の機能性糸状菌含有製品の評価方法。
【0008】
<8> 下記の(1)及び(2)のポリヌクレオチドからなるプライマー対:(1) 配列番号1で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、(2) 配列番号2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
<9> 下記(1)のポリヌクレオチド及び(2)のポリヌクレオチドの組み合わせ:(1) 配列番号1で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド、(2) 配列番号2で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを高い精度で検出することができる機能性糸状菌検出方法及び機能性糸状菌含有製品の評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを検出する方法は、(1)GTGTTGCATGTAGCTGCCTCCTC(GM2125F:配列番号1)で示される塩基配列を有するポリヌクレオチド及びこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド並びにこれらと実質的に相同な塩基配列を有するポリヌクレオチドと、(2)TGACGCGAGAGTTATCCAGACCTAC(GM2152R:配列番号2)で示される塩基配列を有するポリヌクレオチド及びこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド並びにこれらと実質的に相同な塩基配列を有するポリヌクレオチドと、(3)GTGTTGGTTGTAGCTGCCTCCTC(GM2127F:配列番号3)で示される塩基配列を有するポリヌクレオチド及びこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド並びにこれらと実質的に相同な塩基配列を有するポリヌクレオチドと、(4)TGGTAATTCGAGGAGAGGCAC(GM2172R:配列番号4)で示される塩基配列を有するポリヌクレオチド及びこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド並びにこれらと実質的に相同な塩基配列を有するポリヌクレオチドと、からなる群より選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを用いて、試料中の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを検出するものである。
【0011】
これらのポリヌクレオチドは機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケに対して高い特異性を示すものであるので、これらのポリヌクレオチドを用いることにより、試料中の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを精度よく検出することができる。
【0012】
上記のGM2125F、GM2127F、GM2152R又はGM2172Rは、近縁種とも明確に区別して検出することができるので、目的とする機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを精度高く特異的に検出することに非常に適している。
GM2125F、GM2127F、GM2152R又はGM2172Rは、図1で示されるGM-21株の18S(一部)、ITS1、5.8S、ITS2、26S(一部)の配列(配列番号12)を含む663塩基の領域のうち、46番目から68番目(配列番号1と配列番号3)と119番目から143番目の配列(配列番号2)と、168番目から188番目(配列番号4)に対応する。この領域は比較的保存性の低い領域であり、ヒメツブヒトヨタケに対して特異性が特に高い。このため、この領域に対応するGM2125F、GM2127F、GM2152R又はGM2172Rを使用することにより、精度よくヒメツブヒトヨタケを検出することができる。
【0013】
また、これらの配列に対してそれぞれ相補的な配列と、このそれぞれ相補的な配列と実質的に相同な配列も、機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを精度よく検出することができるので、GM2125F、GM2127F、GM2152R及びGM2172Rと同様に本発明の検出方法に使用することができる。
【0014】
ここで実質的に相同な配列とは、GM2125F、GM2127F、GM2152R及びGM2172Rの配列又はこれらとそれぞれ相補的な配列と同程度、機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な相同性を有している配列を意味し、このような配列としては、1~5塩基程度の数塩基の置換、欠失、付加されたものを挙げることができる。このような数個の塩基が異なる実質的に相同であって機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な塩基配列は、例えば、4×SSC 65℃におけるハイブリダイゼーション、次いで、0.1×SSC 65℃で1時間の洗浄のような一般的なハイブリダイゼーションの条件でGM2125F、GM2127F、GM2152R、GM2172R又はこれらと相補的な配列にハイブリダイズする塩基配列を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
【0015】
GM2125F、GM2127F、GM2152R及びGM2172Rの配列又はこれらとそれぞれ相補的な配列と実質的に相同な配列のうち、より好ましい配列としては、上記GM2125F、GM2127F、GM2152R及びGM2172Rの配列又はこれらとそれぞれ相補的な配列に対して、3’末端側で1~3塩基の置換若しくは付加、5’末端側で1~5塩基の置換若しくは付加、又はそれぞれの末端側での1~5塩基の連続した欠失した配列であって、下記の表1記載のPCR条件下で増幅可能な配列を挙げることができる。このような実質的に相同な配列であれば、上記GM2125F、GM2127F、GM2152R及びGM2172Rの配列と同様に、PCR技術を含む各種の検出方法に利用することができる。
【0016】
【表1】
JP0005429732B2_000002t.gif

【0017】
従って、下記のいずれかであるポリヌクレオチドは、機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを精度よく検出するための本発明の検出方法に使用される。
(1) 配列番号1で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド、又はこれらと実質的に相同であって機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な塩基配列を有するポリヌクレオチド、
(2) 配列番号2で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド、又はこれらと実質的に相同であって機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な塩基配列を有するポリヌクレオチド。
(3) 配列番号3で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド、又はこれらと実質的に相同であって機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な塩基配列を有するポリヌクレオチド。
(4) 配列番号4で示される塩基配列若しくはこれと相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド、又はこれらと実質的に相同であって機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な塩基配列を有するポリヌクレオチド。
【0018】
また、下記のポリヌクレオチドからなるプライマー対は、機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを特に精度よく検出するためのPCR法を用いる本発明の検出方法に使用される。
(1) 配列番号1若しくは配列番号3で示される塩基配列又はこれと実質的に相同であって機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な塩基配列を有するポリヌクレオチド、
(2) 配列番号2若しくは配列番号4で示される塩基配列又はこれと実質的に相同であって機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを認識可能な塩基配列を有するポリヌクレオチド。
【0019】
本発明の機能性糸状菌検出方法における検出対象としての機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケは、植物病害防除効果があるヒメツブヒトヨタケであることが好ましく、植物病害防除の安定性及び検出精度の観点から、GM-21(NITE BP-37)であることが好ましい。これらの特に好ましいヒメツブヒトヨタケは、高い植物病害防除機能を有しているため植物病害防除剤として利用されるが、ヒメツブヒトヨタケが適切な量で存在していることがこのような機能を発揮するために必要である。本発明を適用することにより、期待する植物病害防除機能が得られるかどうかの評価を、例えば、後述する定量的PCRによって、このヒメツブヒトヨタケを正確に検出することにより簡便に行うことができる。これらの糸状菌は、土壌やコンポスト、固体培地等に対して予め接種して増殖させることにより、植物病害防除効果を有する土壌やコンポスト、固体培養物等を構成しうるものである。
【0020】
本発明における試料は、検出対象としての機能性糸状菌が存在し得る固相、水相、コロイド状、粉体、乾燥物等の試料であれば検出対象として含むことができる。例えば、機能性糸状菌が存在しうる土壌、コンポスト試料、培養物試料及び固定化物試料からなる群より選択された少なくとも1つであってもよい。
【0021】
本発明におけるコンポストとは、有機廃棄物を腐熟させることによって得られる堆肥である。コンポスト化とは、有機廃棄物中の有機物を微生物の作用により分解処理し、農耕地への施用に適した状態に変化させる工程を意味する。コンポスト化処理とは、一般に、適当な通気及び撹拌条件下に有機物を、所定期間、貯留して、微生物によって発酵させることをいう。本発明において「コンポスト」との語は、腐熟の進行に伴って有機物が完全に分解した完熟状態のものだけでなく、未熟状態のものを指す場合にも用いる。
【0022】
コンポスト化に用いられる有機廃棄物としては、生ごみ、下水汚泥、及び/又は畜産排泄物等を挙げることができ、魚粉、鶏糞、牛糞、油粕、おがくず、木片、野菜くず、落ち葉、汚泥等が一般に用いられる。
またコンポスト化に用いられる種菌としては、細菌、放線菌など雑多な微生物を含む製剤やコンポスト製品そのものが用いられる。これらのコンポスト化に用いられる種菌は、市販されているものをそのまま利用することができる。
【0023】
培養物試料は、有機物を栄養源として微生物を培養させた培養物であり、米ぬか、小麦ふすま、おからなどの固体基質の水分を調整し、必要に応じて栄養分も調整して、微生物で発酵させた試料をいう。また、固定化物試料は、微生物と微生物が固定化されうる担体で構成された試料をいう。担体としては、例えば、パーライト、バーミキュライト、ゼオライト、珪藻土、鹿沼土又はこれらの組み合わせのような多孔質、タルク、クレー、炭酸カルシウム又はこれらの組み合わせのような鉱物性粉末、ポリビニルアルコールなどの高分子化合物、ザンタンゴム、アルギン酸又はこれらの組み合わせのような天然高分子化合物などが包含される。
【0024】
これらの試料は、試料の形態に応じて適宜調製してもよい。例えば、水相の試料の場合には、適度な濃度となるように希釈してもよく、固相、粉体又は乾燥物の場合には、適当な水性媒体に懸濁又は膨潤させてもよい。
また後述するような機能性コンポストを試料として用いてもよい。機能性コンポストについては後述する。
【0025】
本発明の検出方法では、これらの試料から、上記ポリヌクレオチドとハイブリダイズ可能な核酸試料を調製する調製行程を含むことが好ましい。このような核酸試料を調製する方法としては、例えば、適当な塩濃度の試薬を用いて試料懸濁液を調製し、DNAを抽出すればよい。これらの試料からのDNAの抽出は、試料の形態に応じて公知の方法を用いることができる。また土壌、コンポスト等の固体試料からの直接DNA抽出方法には、市販のキットを用いて行うことができ、例えば、ISOIL for Beads Beating kit(Nippon Gene Co.)等を挙げることができ、当業者には容易に入手可能である。
【0026】
本発明の機能性糸状菌検出方法は、これらの試料における機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを検出するために上記ポリヌクレオチドの少なくとも1つを用いるものであり、検出に用いる分子生物学的手法の形態に従って、適宜選択することができる。
【0027】
本発明の機能性糸状菌検出方法に適用可能な分子生物学的な手法としては、例えば、サザンブロットや、ノザンブロット、ドットブロット、in situハイブリダイゼーション、PCR法を用いた各種手法等、当業界で周知の手法を挙げることができる。
【0028】
これらの手法を用いた検出方法の中でも、検出の精度及び管理の容易性の観点から、本発明の検出方法は、GM2125F又はこれと実質的に相同な塩基配列からなるポリヌクレオチドと、GM2152R又はこれと実質的に相同な塩基配列からなるポリヌクレオチドと、で構成された一対のプライマー対を用いて、PCRを行うことを含むものであることが好ましく、GM2125FとGM2152Rで構成されたプライマー対を用いてPCRを行うことを含むものであることが最も好ましい。
【0029】
PCR法の利用としては、定量的PCR法を挙げることができる。一般的な定量的PCR法は、試料から調製された核酸試料を一対のプライマーと接触させ、一連のポリメラーゼ連鎖反応条件下で断続的な増幅反応を繰り返す。このときの増幅反応条件は、当業界において技術常識ないし経験則に従って適宜設定すればよい。用いられた一対のプライマー(3’側プライマーと5’側プライマー)の間に相当する特定の断片長の核酸領域が特異的に増幅される。
【0030】
増幅された核酸が目的とする核酸配列であることは、例えば、その断片長を当業界において周知の方法で確認することができる。このような確認方法としては、電気泳動法や、更にその断片に特異的なプローブ等を用いたハイブリダイゼーション法を挙げることができる。
増幅される核酸の量は、試料中の微生物(本発明では糸状菌)の数量とほぼ相関しているので、その増幅核酸の定量値に基づいて数量を求めることができる。定量的PCR法によれば、既知量の核酸の増幅度を指標にして目的核酸の量を知ることができる。
【0031】
他の方法としてはFISH法を挙げることができる。FISH法では、プローブを標識化して標識化FISHプローブとし、これを検体試料と混合し、細胞内の標的核酸とFISHプローブの結合が行われる条件下でハイブリダイゼーションを行い、蛍光顕微鏡観察下でハイブリダイズしたプローブからの蛍光シグナルが得られるかどうかによって、検出対象を同定し、菌数計測を行うことができる。標識としては、蛍光色素あるいは放射性同位元素、またはジゴキシゲニン(DIG)等の化学発光物質を挙げることができる。
【0032】
本発明の検出方法は、PCRを行う工程の後に、増幅された核酸量から検量線に従って目的とする糸状菌の量を決定することを含む。これにより、目的とする機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケの試料中での有無や、その数量を精度よく知ることができる。
このように本発明の機能性糸状菌検出方法は、精度よく機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを検出することができる。この検出方法はまた同時に、機能性糸状菌を含有する製品の評価方法としても利用可能であり、特に定量的PCRを用いる場合には、予め機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを接種することによって製造される機能性糸状菌含有製品の評価に好ましく用いることができる。
【0033】
本発明の機能性糸状菌含有製品の評価方法は、前記機能性糸状菌含有製品に由来する試料に対して、GM2125F若しくはGM2127F、又はこれと実質的に相同な塩基配列からなるポリヌクレオチドと、GM2152R若しくはGM2172R、又はこれと実質的に相同な塩基配列からなるポリヌクレオチドと、で構成されたプライマー対を用いて定量的PCRを行うこと、定量的PCRの結果に基づいて前記機能性糸状菌含有製品中の機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケの存在又は濃度を評価すること、を含む。
【0034】
上述したようなプライマー対を用いることによって、機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを精度よく検出することができるので、機能性糸状菌含有製品において、接種された機能性糸状菌が維持されているか、また濃度がどのように変化しているかといった評価を精度よく且つ容易に行うことができる。この結果、機能性の高い機能性糸状菌含有製品を適切に管理しながら製造すること、また製造された機能性糸状菌含有製品を保管管理することが容易となる。
【0035】
用いられるポリヌクレオチドは、上記検出方法と同様に上記のいずれかであってもよいが、GM2125FとGM2152Rとからなるプライマー対であることが、精度よく機能性糸状菌含有製品を評価することができるため、好ましい。
【0036】
上記評価には、機能性糸状菌含有製品における機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケの存在又は濃度を評価するものであればよく、特定の時点における糸状菌の有無や濃度のみならず、経時的な菌数又は濃度の変化を評価するものであってもよい。
【0037】
本評価方法における機能性糸状菌含有製品とは、上述した機能性糸状菌が存在しうる製品を意味し、上記検出方法における「試料」として説明したものは、そのまま該当する。また、機能性糸状菌含有製品としては、糸状菌の増殖率の観点及び植物病害防除剤としての効果の観点から機能性コンポストであることが好ましい。
【0038】
機能性糸状菌含有製品の製造方法としては、例えば所定量の土壌に所定量の機能性糸状菌を接種することにより容易に製造することができる。特に、機能性コンポストの場合には製造効率の面から、以下の製造方法によって得られた機能性コンポストであることが好ましい。
【0039】
機能性コンポストの好ましい製造方法としては、機能を有する糸状菌を接種すること、前記糸状菌を、前記コンポスト内で培養して選択的に増殖させること、を含む機能性コンポストの製造方法を挙げることができる。
この方法によれば、糸状菌と細菌類との活動環境の違いから、コンポスト内で細菌類よりも糸状菌を選択的に且つ効率よく増殖させることができる。この結果、増殖した糸状菌をコンポストに安定して定着させることができ、機能性コンポストを効率よく製造することができる。
【0040】
また、機能性コンポストの好ましい他の製造方法としては、糸状菌の生育条件で活動可能な糸状菌共存生育可能細菌類を含むコンポストであって前記糸状菌共存生育可能細菌類以外の細菌類の活動制限状態のコンポストに、機能を有する糸状菌を接種すること、前記糸状菌を、前記コンポスト内で培養して前記糸状菌共存生育可能細菌類と共に選択的に増殖させること、を含む機能性コンポストの製造方法であってもよい。
この方法によれば、糸状菌共存生育可能細菌類以外の細菌類に対しては活動を制限すると共に、糸状菌共存生育可能細菌類と機能を有する糸状菌とを選択的に且つ効率よく増殖させることができる。この結果、機能を有する糸状菌が糸状菌共存生育可能細菌類と共に増殖することによって、機能性コンポスト内では、機能を有する糸状菌と糸状菌共存生育可能細菌類とが協働して環境を形成し、これを維持するため、機能を有する糸状菌にとって有利な環境が機能性コンポスト内に安定して形成される。
【0041】
コンポストに接種される糸状菌は、糸状菌の菌糸体、胞子体又は子実体であってもよく、これらの粉砕物であってもよい。粉砕にあたっては、そのままでも、乾燥してからでもよいが、好ましくはそのままの状態で、刃物状のもので撹拌するなどして適宜な大きさとすればよい。菌子体をホモジナイザーで粉砕する場合には、一般に、大きいものでも直径3mm程度であり、多くはそれ以下となる。胞子の場合には胞子一つひとつの大きさであり、子実体であれば、例えば1mm角の大きさなどとすることができる。勿論、それらの寸法より大きくても細かくてもよいが、細かければ細かい程、均一に接種するのに好都合である。
【0042】
糸状菌又はその粉砕物をコンポストに接種する際には、糸状菌の生育状態によって異なるが、例えば約8×10-6g乾燥菌体/g乾燥コンポスト以上、生育安定性の観点から好ましくは約8×10-4g乾燥菌体/g乾燥コンポスト以上となるように糸状菌又はその粉砕物を接種すればよい。
【0043】
接種工程では、機能を有する糸状菌を、細菌類の活動制限状態にあるコンポストに接種する。コンポスト内に混在する大多数の細菌や放線菌類(本明細書では、これらを単に「細菌類」と称することがある)と、植物病害防除機能を有する糸状菌とでは、生育及び活動のための環境に対する要求性が異なるので、細菌類が活動制限状態であっても糸状菌が増殖・活動可能な状態の環境とすることで、目的とする糸状菌を選択的に増殖させることができる。
【0044】
このとき、糸状菌と同一環境下でも活動が可能であり糸状菌と共存することができる細菌類(本明細書では、「糸状菌共存生育可能細菌類」と称する。)が存在していることがさらに好ましい。この糸状菌共存生育可能細菌類は、コンポスト化を行う他の細菌類が活動制限される環境下であっても活動が制限されないので、糸状菌と共にコンポスト内で安定的な菌叢を形成することができる。このような糸状菌共存生育可能細菌類としては、バージバチラス・ハロフィラス(Virgibacillus halophilus)を挙げることができる。バージバチラス・ハロフィラスとしては、バージバチラス・ハロフィラスI30-1株を挙げることができる。この菌株は、茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、2008年5月28日付けで寄託されている(受託番号FERM BP-10975)。
【0045】
本発明における細菌類の活動制限状態とは、コンポスト中の細菌類の活動が制限されて生育、活性が抑制される条件であればよく、例えば、栄養制限状態、pH制限状態及び水分制限状態からなる群より選択された条件を挙げることができる。これらの各制限条件は、用いられる糸状菌又は細菌類(種菌)の種類や、コンポストの製造を行う環境等に応じて、単独又は2つ以上を組み合わせて適宜選択することができる。
【0046】
栄養制限状態とは、コンポストの腐熟度が進行して有機廃棄物中の有機物がわずかに残存している所謂「完熟」寸前の状態をいう。このような完熟寸前の状態は、例えばコンポストのC/N比やCO発生速度の低下(高レベルの炭素変化率)、微生物叢の遷移等によって判定することができる。このような完熟寸前のコンポストでは、栄養状態が非常に乏しいため細菌類の活動が制限されるが、糸状菌は、細菌類の増殖が制限される栄養状態のコンポストであっても増殖することができる。
【0047】
CO発生速度は、コンポスト単位乾燥重量あたり、単位時間あたりのCO発生量として定義され、重量が既知のコンポスト堆積層への通気速度と排出されるCO濃度の測定値から容易に求めることができる。なお、COの濃度はフローセル型の赤外吸収式COメータであれば連続測定ができる。また排気ガスを一旦、テドラーバッグのようなプラスチック製バッグに捕集して、ガスクロやガス検知管で測定してもよい。捕集する排気ガス量には特に制限はないが、例えば5L容のテドラーバッグを用いて捕集可能な量あればよい。
【0048】
使用可能な完熟寸前のコンポストの一例としては、CO発生速度が最大となった後のCO発生速度が1×10-5mol/h/g乾燥コンポスト~3×10-5mol/h/g乾燥コンポストのものを挙げることできる。本発明におけるCO発生速度は、光明理化学工業株式会社製126SA又は126SH、北川式検知管を用いた測定で得られた値を基準とする。
【0049】
pH制限状態とは、細菌類の至適pH条件よりも低いpH状態をいう。このような制限pH状態としては、例えばpH4~7、好ましくはpH5~6を挙げることができる。
【0050】
水分制限状態とは、細菌類の至適水分率よりも低い水分率の状態をいう。このような水分制限状態としては、例えば水分率20%~40%(質量比)の状態を挙げることができる。水分率は、コンポストを105℃、48時間の条件下で乾燥させた後に、乾燥コンポストの質量を測定することにより得ることができる。
【0051】
これらの活動制限状態それぞれについては、対象となる糸状菌の生育状態に応じて単独又は組み合わせを適宜選択することができる。これらの活動制限状態は、いずれか1つを律速とすることにより他の条件を緩和することができるが、目的とする糸状菌をより確実に且つ選択的に増殖させることができる観点から、上記の栄養制限状態、pH制限状態及び水分制限状態からなる群から少なくとも1つを選択することがより好ましく、栄養制限状態とすることが、コンポスト化処理の過程で糸状菌の接種時期を調整することにより簡単に得ることができるため、更に好ましい。
【0052】
本機能性コンポストの製造方法では、上記のような細菌類の活動制限状態のコンポスト(即ち、後述する糸状菌増殖用コンポスト)を入手することによって行ってもよいが、このようなコンポストを作製する工程を更に含んでいるものであってもよい。
コンポストの作製工程は、有機廃棄物にコンポスト化微生物を接種して培養することにより、有機廃棄物中の有機物を分解させる工程をいう。
【0053】
原料としての有機廃棄物に微生物を接種すれば、所定期間の培養によって有機物の分解が進行してコンポストが作製されるが、より効率よくコンポスト化を行うには、水分率、pH等を、コンポスト中の細菌類にとって最適な増殖条件に設定することが好ましい。これにより、細菌類によるコンポスト化を迅速に行うことができる。早期にコンポスト化を行うために水分率及びpH等を細菌類の最適増殖条件に設定してコンポスト化することを、本発明では適宜「高速コンポスト化」という。
【0054】
このような高速コンポスト化の条件としては、例えば、コンポストの内部の温度、水分率、pHなどを調整することが好ましい。最適活動条件としては、細菌類及び有機廃棄物の種類によって異なるが、一般には通常の好熱性細菌や放線菌の増殖に適した条件であればよく、温度は60℃付近(例えば、50~65℃)とすることができ、水分率40%~60%、pH8.0~pH8.5の条件を挙げることができる。このような最適条件下の有機廃棄物に種菌を接種して培養することによって、早期に、例えば7日間程度で、上記糸状菌を接種可能なコンポストを得ることができる。
【0055】
例えば、栄養制限状態のコンポストを得るには、栄養制限状態となるまで有機廃棄物を腐熟させればよい。細菌類の種類及び活動状態並びに細菌数によって異なるが、一般に、細菌類に対する上記最適条件下での培養を5日間~7日間行うことによって完熟寸前まで腐熟が進行し、栄養制限状態のコンポスト(完熟寸前のコンポスト)を容易に得ることができる。糸状菌の接種は、上述したようにC/N比、CO発生速度等を指標に栄養制限状態であることを確認しながら行えばよい。
【0056】
またpH制限状態のコンポストを得るには、有機廃棄物の腐熟中に適切なpH調整剤を用いてコンポストのpHを調整すればよい。このために使用可能なpH調整剤としては、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
【0057】
細菌類の活動制限状態にあるコンポスト内に糸状菌を接種した後、培養して、この糸状菌を選択的に増殖させる(増殖工程)。細菌類の活動制限状態のコンポストでは、細菌類に対する選択圧によって、コンポストに細菌類が存在しているとしても、接種した糸状菌が選択的に増殖する。
【0058】
このとき、糸状菌共存生育可能細菌類がコンポスト内に存在している場合には、糸状菌が選択的に増殖する際に糸状菌共存生育可能細菌類も同様に選択的に増殖する。この糸状菌共存生育可能細菌類は、糸状菌と共に増殖し且つ糸状菌の機能発揮を阻害しない。また糸状菌共存生育可能細菌類は、増殖によって糸状菌と共に安定した菌叢を形成するので、コンポストが土壌に施用されたときには、土壌中に元々存在する微生物のコンポスト内への侵入を効果的に抑制することができる。これにより、本発明の機能性コンポストを土中に使用しても機能性糸状菌を安定に存在させることができる。
【0059】
培養温度は、細菌類の活動制限状態が継続可能となるように行うことが好ましく、例えば10℃~35℃とすることができ、20℃~35℃がより好ましく、27℃~30℃が特に好ましい。35℃以下であれば、細菌類の増殖を効果的に抑制でき、一方、10℃以上であれば糸状菌の適度な増殖速度を維持することができる。また培養は通気条件下であればよく、pHは4~7、好ましくはpH5~6とすることができる。
【0060】
培養期間は、目的とする糸状菌がコンポスト内で充分増殖するのに必要な期間であればよく、例えば5日間~7日間とすることができる。この間に、糸状菌による有機物の分解も進行し、栄養制限状態のコンポストを用いた場合には培養期間終了と同時に完熟したコンポストも得ることができる。
培養期間終了後のコンポストでは、糸状菌が充分に存在している。一例として、乾燥コンポスト1gあたりのDNA量として約5μg/g乾燥コンポスト程度以上、好ましくは30μg/g乾燥コンポスト以上とすることができる。
【0061】
このようにして得られる機能性糸状菌含有製品は、機能性糸状菌として機能性糸状菌ヒメツブヒトヨタケを含むので、植物病原性糸状菌がリゾクトニア属及びフザリウム属の少なくとも一方に属する糸状菌である場合に、特に顕著な植物病害防除効果を発揮できる。本発明の植物病害防除剤を使用可能な植物病害としては、チンゲンサイ尻腐病、シバ葉腐病、メロンつる割病、トマト根腐萎凋病等を挙げることができる。
【0062】
この機能性糸状菌含有製品を使用する場合には、一般に、対象となる土壌、培地、培養土に適当量混合すればよい。例えば、植物病害防除対象となる植物の場合には、植物の根元付近の土壌、培地や培養土に混合する。このときの混合比については病原菌の濃度などの相対的条件によって変化するが、一般に、植物病害防除機能を有する糸状菌をDNA量として5μg/g乾燥コンポストの菌体量で適当量、例えば1~20質量%程度土壌中に混合することが望ましい。
【0063】
また本発明に用いられる細菌類の活動制限状態にあるコンポストは、糸状菌を効率よく増殖させることができるので、本発明おける機能性糸状菌を接種する材料として好適である。本糸状菌増殖用コンポストに含まれる糸状菌共存生育可能細菌としては、前述したようにバージバチラス・ハロフィラスであることが好ましく、例えばバージバチラス・ハロフィラスI30-1株とすることができる。
【0064】
この糸状菌増殖用コンポストにおける細菌類の活動制限状態とは、前述した事項がそのまま該当し、栄養制限状態、pH制限状態及び水分制限状態からなる群より選択された少なくとも1つを挙げることができる。また、このような活動制限状態であれば、細菌類の活動を制限すると共に、糸状菌を選択的に増殖させることができる。
【0065】
従って、このような糸状菌増殖用コンポストから機能性糸状菌含有製品を作製する工程に本発明の評価方法を適用することによって、製造工程途中での品質管理、出荷時の品質管理だけでなく、製品保存中の品質管理などを簡便に且つ精度よく行うことができ、高い機能性を有する機能性糸状菌含有製品を安定して提供することができる。
【実施例】
【0066】
以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。また実施例中の%は、特に断らない限り、重量(質量)基準である。
【0067】
[実施例1]
(1)GM-21株用のプライマーの設計
GM-21株(NITE BP-37)の18S(一部)、ITS1、5.8S、ITS2、26S(一部)の塩基配列(図1)と、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)より取得した種々の糸状菌の塩基配列を、Clustal X(http://www.clustal.org/#Download)を用いてアライメントを行い、保存性の低い領域をGM-21株の塩基配列の中から選別した。
なお、比較した糸状菌は、Aspergillus fumigatus(NBRC No. 5840)、Chaetomium thermophilum (NBRC No. 30073、No. 30072)、Talaromyces bacillisporus(NBRC No. 8397)、Mycogone rosea (NBRC No. 8882)、Humicola grisea(NBRC No. 9854, No. 4868)、Penicillium argillaceum (NBRC No. 31128)などであった。
【0068】
この領域に対して、増幅サイズは80~150bp、プライマーの長さは17~25塩基、GC含量は40~60%(部分的にGC、ATリッチができないように、3’末端では特に注意する)、T/C又はA/Gが連続しない、プライマー内部・プライマー間で3塩基以上の相補的配列を避ける、プライマー3’末端が2塩基以上相補する配列を避けることなど、一般的に用いられる基準を考慮し、Primer 3(http://frodo.wi.mit.edu/primer3/input.htm)を用いて候補を得た。これらの候補のうち、アニール位置やプライマー長等を適宜修正することによって改変し、本発明のプライマーセットを含む下記プライマーセットA~Fを得た(表2参照)。
【0069】
【表2】
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【0070】
(2)最適プライマーの選定I(Ct値による比較)
菌体濃度をDNA濃度として定量するためにリアルタイムPCR法を適用する。リアルタイムPCR用の装置はSmart Cycler II(タカラバイオ株式会社)を用い、PCR反応によって合成された二本鎖DNAの増幅量をリアルタイムでモニタリングし、蛍光強度の2回微分分析によってサイクル数であるCt値を求めた。Ct値と初期鋳型DNA量の間には相関関係があるので、あらかじめ検量線を作成しておくことで、サンプル中のDNA濃度を求めることができる。
【0071】
リアルタイムPCR装置としてはSmart Cycler II(タカラバイオ株式会社)、TaqとしてSYBR Premix Ex Taq(タカラバイオ株式会社)、インターカレーターとしてSYBR Green Iを用い、リアルタイムPCR反応をおこなった。PCR反応の溶液組成を表3に示す。6種類のプライマー、プライマーAからFを用い、増幅条件は、最初に95℃、10sの変性を行った後に、95℃、5秒(変性)、60℃、20秒(アニーリング・伸張)を40サイクルとした(表4参照)。PCR反応溶液組成、増幅条件はメーカー推奨のものを用いた。
【0072】
【表3】
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【0073】
【表4】
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【0074】
まず、プライマーがGM-21株に効率的にアニールするか確認するために、GM-21株DNA濃度を67.9ng/mLとしてリアルタイムPCR反応をおこなった。
GM-21株の培養はポテトデキストロース培地(PD培地)を用い、25℃で3日間培養した。GM-21株DNAの抽出・回収には、ISOIL for Beads Beating kit(Nippon Gene Co.)を、また、DNA精製にはMicrospin S-300 HR Columns(GE Healthcare UK Ltd., Buckinghamshir, England)を用いた。なお、DNA濃度はQuant-tiTM PicoGreen dsDNA Assay Kit(Invitrogen Corporation)を用いて測定した。これらはいずれもメーカーのマニュアルに従って操作した。結果を図2に示す。
【0075】
図2に示されるように、プライマーセットA、B及びFはいずれもCt値が19サイクル程度となり、適正な増幅効率であることが確かめられた。
これに対してプライマーセットC、D及びEの場合にはCt値が大きく増幅の効率がよくないことわかった。
【0076】
(3)最適プライマーの選定II(超純水を用いたCt値による比較)
次にプライマーが誤検出をおこしやすい構造か確かめるためにDNAを含まない超純水(ミリQ)をサンプルとして用いて上記(2)と同様にして、リアルタイムPCR反応を行った。この方法での評価では、一般にCt値が30サイクル付近以上となったときには非特異的増幅であって有効な増幅とは認められと評価することができ、一方、超純水に対して増幅が認められないことは、誤検出しないと評価することができる。結果を図3に示す。
【0077】
図3に示されるように、30サイクル以上のプライマーセットB~Eは、純水に対しては増幅しないということができ、一方、全く増幅が見られなかったプライマーセットAでは誤検出しない精度の高いものということができる。
従って、前記(2)を合わせてプライマーセットA及びBは良好なプライマーセットであると判定することができ、とりわけプライマーセットAは優れたプライマーセットであることが示された。
【0078】
(4)プライマーセットAを用いた定量的検出
プライマーセットAを用いたリアルタイムPCRによってGM-21株DNAの定量精度の確認を行った。
GM-21株より抽出した濃度1583ng/mLのDNAを10-8倍まで8段階希釈したものを用い、上記(2)と同様の方法でリアルタイムPCR反応をおこなった。結果を図4に示す。
【0079】
図4に示されるように、GM-21株DNAが適当量あれば、プライマーセットAによる検出が可能であることがわかった。
また、DNA濃度が15.83pg/mL以上(Ct値が28サイクル以内)であれば直線性があり、正確な定量ができることが示された。この場合の相関係数を表す直線のR値は0.9973であり、十分な定量性があるとわかった。なお、PCR増幅効率は約88.2%であり、DNAの増幅効率は十分に高いことがわかった。
【0080】
[実施例2]
複数の糸状菌が存在している環境下での定量性
1.58ng/mLのGM-21株DNA溶液と、129.6ng/mLのRhizoctonia属糸状菌、Rhizoctonia solani Pak-choi 2のDNA溶液を等量で混合し、上記(2)と同様にプライマーセットAを用いたリアルタイムPCR反応をおこなった。
【0081】
その結果、プライマーセットAによるCt値は26.16となり、図4の検量線からGM-21株DNA濃度は0.732ng/mLと計算された。上記(4)で示されたDNA混合溶液中のGM-21株DNA濃度は0.79ng/mLである。
従って、GM-21株以外の糸状菌由来DNAがサンプル中に共存する場合でもGM-21株DNAのみを正確に定量できることがわかった。
【0082】
[実施例3]
(1)近縁種に対する特異性
プライマーセットAがGM-21株と近縁のCoprinellus属、およびPsathyrella属糸状菌を識別するのに有効か検討した。
特異性試験にはCoprinus disseminatus (イヌセンボンダケ)、Coprinus cinereus(ウシグソヒトヨダケ)、Psathyrella candolliana(イタチタケ)、Psathyrella velutinaの株を用いた(表5参照)。いずれもポテトデキストロース培地(PD培地)を用い、25℃で3日間培養した後、実施例1(2)と同様の方法で、DNAを抽出・回収し、精製して、プライマーセットAを用いたリアルタイムPCRを実施した。
結果を図5に示す。プライマーセットAはGM-21株と近縁のCoprinellus属、およびPsathyrella属糸状菌とを識別可能であることがわかった。
【0083】
(2)コンポスト中に普通に存在する糸状菌に対する特異性
プライマーセットAがGM-21株とコンポスト中の普通に存在する糸状菌を識別するのに有効か検討した。
特異性試験にはコンポスト中の普通に存在する糸状菌としてAspergillus fumigatus、Penicillium argillaceum、Mycobone rosea、Talaromyces bacillisporus、Humicola grisea、Chaetomium thermophilum var. coprophilumの株を用いた(表5参照)。培養は表5に示した条件でいずれも3日間行い、実施例1(2)と同様の方法で、DNAを抽出・回収し、精製して、リアルタイムPCRを実施した。
結果を図5に示す。プライマーセットAはGM-21株とコンポスト中の普通に存在する糸状菌とを識別可能であることがわかった。
【0084】
(3)土壌中の病原菌に対する特異性
プライマーセットAがGM-21株と土壌中の病原性糸状菌を識別するのに有効か検討した。
病原性糸状菌としてチンゲンサイ尻腐病の病原菌(Rhizoctonia solani Pak-choi 2)、トマト根腐れ萎凋病の病原菌(Fusarium oxysporum f. sp. radicis-lycopersici FO-To-3)、メロンつる割病の病原菌(Fusarium oxysporum f. sp. melonis FO-Me-2)、シバ葉腐病の病原菌(Rhizoctonia solani Kuhn AG2-2 K1)、レタスすそ枯病の病原菌(Rhizoctonia solani lettuce 2)を用いた(表5参照)。いずれもポテトデキストロース培地(PD培地)を用い、25℃で3日間培養した後、実施例1(2)と同様の方法で、DNAを抽出・回収し、精製して、プライマーセットAを用いたリアルタイムPCRを実施した。
【0085】
Ct値は有効な増幅とは認めない30サイクル以上となったので、プライマーセットAはこれらの土壌中の病原性糸状菌に対しては反応しないということができ、プライマーセットAはGM-21株と土壌中の病原性糸状菌とを識別可能であることがわかった。
【0086】
(4)土壌中に普通に存在する糸状菌に対する特異性
プライマーセットAがGM-21株と土壌中に普通に存在する糸状菌とを識別するのに有効か検討した。
特異性試験には土壌中の普通に存在する糸状菌として研究室で単離したPenicillium sp. MY1、Aspergillus niger MTP-1、Mucor sp. MY 2、Rhizopus oryzae YAN1を用いた(表5参照)。いずれもポテトデキストロース培地(PD培地)を用い、25℃で3日間培養した後、実施例1(2)と同様の方法で、DNAを抽出・回収し、精製して、プライマーセットAを用いたリアルタイムPCRを実施した。
【0087】
Ct値は有効な増幅とは認められない30サイクル以上となったので、プライマーセットAはこれらの土壌中の普通に存在する糸状菌に対しては反応しないということができ、プライマーセットAはGM-21株と土壌中の普通に存在する糸状菌とを識別可能であることがわかった。
【0088】
【表5】
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【0089】
[実施例4]
(1) コンポストの製造
原料は市販の油粕コンポスト(油かす:富士見園芸株式会社製)を用いた。初期pHを7.86、含水率を60%に調整して種菌(オーレスG:松本微生物研究所製)を乾燥重量比で19:1となるように油粕コンポストに接種し、得られたコンポスト混合原料を、1ミニリアクタ当り15g投入してコンポスト化を行った。
条件は0~12時間かけて30℃から60℃まで昇温し、192時間まで60℃で高速コンポスト化した。この高速コンポスト化後の油粕コンポスト試料を、以下のGM-21株検出試験に用いた。
【0090】
(2)コンポスト・土壌にGM-21株を接種して検出
純粋培養したGM-21株をコンポスト、あるいは土壌(静岡大学工学部内花壇の土壌)に一定濃度接種して回収できるか確かめた。GM-21株はPD液体培地200mLを用いて35℃で3日間振盪培養した。培養後ホモジナイズ処理したGM-21株懸濁液1mLを、DNA量として1/10量となるように、上記(1)で作成した高速コンポスト化後の油粕コンポスト試料および土壌試料9gに接種し、十分に混合した。次いで、GM-21株懸濁液、GM-21株を接種した高速コンポスト化後の油粕コンポスト試料および土壌から、実施例1(2)と同様にして、ISOIL for Beads Beating kit (Nippon Gene Co., Ltd., Toyama) を用いてそれぞれDNAを抽出・回収し、Microspin S-300 HR Columns(GE Healthcare UK Ltd., Buckinghamshir, England)を用いて精製して、プライマーセットAを用いたリアルタイムPCRを実施した。
【0091】
DNA量として1/10量となるようにGM-21株接種懸濁液(平均DNA量:189ng/mL)を接種された高速コンポスト化後の油粕コンポスト中の平均DNA量は、12.7ng/g-湿潤コンポストとなり、ほぼ1/10量となった(図6参照)。
また、土壌試料についても、1/10濃度になるようにGM-21株接種懸濁液を接種された土壌試料中のDNA濃度は、高速コンポスト化後の油粕コンポストと同様に、ほぼ1/10量となった。
この結果、プライマーセットAはコンポスト、あるいは土壌に一定濃度接種したGM-21株を定量可能であることが確かめられた。
【0092】
[実施例5]
(1) 機能性コンポストの製造
実施例4と同様に市販の油粕コンポストを用いて、192時間まで60℃で高速コンポスト化した。8日(192時間)経過後、コンポストの一部を121℃、90minの条件でオートクレーブを用いて滅菌処理した。
【0093】
滅菌していないコンポストと滅菌したコンポストを適宜混合し、細菌類濃度が10CFU/g乾燥コンポスト、10CFU/g乾燥コンポストとなるように調整したそれぞれの試料のpHを、10容量%の硫酸を用いて人為的にpH6付近に調節した。次いで、事前にPD液体培地を用いて35℃、110rpmの条件で3日間振盪培養したGM-21株(0.0068g乾燥菌体/mL)を各試料に1mL接種して、最終濃度0.00113g乾燥菌体/g乾燥コンポストとした。
【0094】
このように細菌類濃度を10CFU/g乾燥コンポスト、および10CFU/g乾燥コンポストに変化させGM-21株を接種したそれぞれの試料を、30℃で5日間培養してコンポスト化を行い、機能性コンポスト試料1及び2を得た。なお、この機能性コンポスト試料には、GM-21株接種前のコンポストのときからGM-21株と共存生育可能な細菌類が含まれている。この機能性コンポスト試料を、以下のGM-21株検出試験に用いた。
【0095】
コンポスト化終了後、機能性コンポスト試料1及び2それぞれの細菌類濃度を希釈平板法(TS培地、30℃)によって測定した。また、細菌類が高濃度に存在するコンポスト中のGM-21株濃度を、実施例1(2)と同様にプライマーセットAを用いたリアルタイムPCR法によって測定した。図7は、コンポスト化における細菌類濃度の経時的変化を示している。
【0096】
図7に示されるように、GM-21株接種時の細菌類濃度は、機能性コンポスト試料1の場合では10CFU/g乾燥コンポスト、機能性コンポスト試料2の場合では10CFU/g乾燥コンポスト程度であったが、機能性コンポスト試料1及び2はいずれも、コンポスト化終了時には10CFU/g乾燥コンポスト以上と高濃度になっていた。
【0097】
<コンポスト中のGM-21株濃度の確認>
上記機能性コンポスト試料1及び2の製造工程におけるGM-21株濃度を、リアルタイムPCR法を用いて測定した。測定方法は実施例1(2)と同様にしてISOIL for Beads Beating kit (Nippon Gene Co., Ltd., Toyama) を用いて、DNAを抽出・回収し、Microspin S-300 HR Columns(GE Healthcare UK Ltd., Buckinghamshir, England)を用いて精製して、プライマーセットAを用いたリアルタイムPCRを実施した。結果を図8に示す。
【0098】
図8には、コンポスト化におけるGM-21株濃度の経時変化が示されている。
図8に示されるように、機能性コンポスト試料2の場合、GM-21株接種時に比べて培養終了時には100倍以上にGM-21株が増殖していた。このように、本実施例の機能性コンポスト試料の場合、細菌類の生存下で試料へのGM-21株の接種を行っても、GM-21株が増殖可能であることが明らかであった。また、GM-21株は、GM-21株接種時の細菌類の量に変わりなく増殖可能であることも明らかであった。
【0099】
さらに、本実施例ではGM-21株を接種する際に試料を一部滅菌して用いたが、滅菌をまったく行わない高速コンポスト化後の試料にGM-21株を接種しても、同様にGM-21株の増殖が認められた。
従って、GM-21株接種時に細菌類が存在しても、コンポスト化条件を制御すればGM-21株が共に増殖していくことがわかった。プライマーセットAは機能性コンポスト製造過程で接種したGM-21株の経時変化を定量可能であることが確かめられた。
【0100】
このように本発明の配列番号1及び配列番号2から構成されたプライマーセットを用いることによって、機能性糸状菌を精度よく検出することができることがわかった。また、機能性糸状菌を含む試料の評価を同様に精度よく行うことができることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明のプライマーセットを得るために使用したGM-21株の配列である。
【図2】本発明の実施例1にかかるGM-21株を用いたリアルタイムPCRのCt値を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例1にかかる超純水サンプルを用いたリアルタイムPCRのCt値を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例1にかかるGM-21株濃度とプライマーセットAによるリアルタイムPCRのCt値との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例3にかかる異なる種類の微生物とプライマーセットAによるリアルタイムPCRのCt値を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例4にかかるGM-21株接種懸濁液、コンポスト中のGM-21株濃度をリアルタイムPCRで測定したグラフである。
【図7】本発明の実施例5にかかる機能性コンポスト製造工程におけるコンポスト内の細菌類濃度の変化を経時的に示したグラフである。
【図8】本発明の実施例5にかかる機能性コンポスト製造工程におけるコンポスト内のGM-21株濃度の変化を経時的に示したグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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