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明細書 :酸素濃度測定方法および酸素センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3134076号 (P3134076)
公開番号 特開平11-037942 (P1999-037942A)
登録日 平成12年12月1日(2000.12.1)
発行日 平成13年2月13日(2001.2.13)
公開日 平成11年2月12日(1999.2.12)
発明の名称または考案の名称 酸素濃度測定方法および酸素センサ
国際特許分類 G01N 21/63      
G01N 21/27      
G01N 21/31      
FI G01N 21/63 Z
G01N 21/27
G01N 21/31
請求項の数または発明の数 4
全頁数 5
出願番号 特願平09-207352 (P1997-207352)
出願日 平成9年7月17日(1997.7.17)
審査請求日 平成9年7月17日(1997.7.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
発明者または考案者 【氏名】浅井 圭介
【氏名】大倉 一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100084607、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 文男 (外1名)
審査官 【審査官】鈴木 俊光
参考文献・文献 特開 平1-155244(JP,A)
特開 平11-37944(JP,A)
実開 昭61-118057(JP,U)
特表 昭62-503191(JP,A)
特表 平4-502815(JP,A)
天尾豊、「金属ポルフィリンを用いた光学的酸素センシング技術」、蛋白質 核酸 酵素、1998年9月号、第1492-1496頁
調査した分野 G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/74
特許請求の範囲 【請求項1】
酸素反応性を有する光励起物質をパルス光で励起し、励起状態の物質分子による測定光の吸収強度の時間変化を測定し、そのパターンから酸素濃度を得ることを特徴とする酸素濃度測定方法

【請求項2】
酸素反応性を有する光励起物質が発光しない物質であることを特徴とする請求項1の酸素濃度測定方法

【請求項3】
測定光の酸素反応性を有する光励起物質への投射と検出を光ファイバによって行うことを特徴とする請求項1の酸素濃度測定方法

【請求項4】
光励起により発光しない酸素反応性を有する物質をパルス光で励起し、励起状態の物質分子による測定光の吸収強度の時間変化を測定し、そのパターンから酸素濃度を得る酸素濃度測定方法のための酸素センサであって、上記酸素反応性を有する光励起物質をバインダに混合・溶解し、基板上に塗布したことを特徴とする酸素センサ
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【産業上の利用分野】本発明は、酸素センサおよび酸素濃度測定方法、特に気体酸素の分圧を光学的に測定する測定方法とそのセンサに関する。

【10】
酸素濃度を変えたときのZnTPPの三重項状態の寿命tを図6に示す。無酸素状態時の寿命をt0とし、(t0/t)-1を酸素濃度に対してプロットすると(Stern-Volmer Plot)、図7のようにほぼ直線に乗ることが確認された。

【11】
上記実施例では、酸素センサはバインダである酸素透過性の樹脂中に分散させることにより相互差用によって励起状態S1から直ちに基底状態に落ちるのを防止しているが、極めて稀薄な状態で基板上に固定出来れば、かならずしも樹脂中に分散させる必要はない。また、液体中の溶解酸素量の測定には、光励起物質を液体中に溶解あるいは分散させて酸素センサとすることができる。また、実施例においては、測定光の投射側から測定しているが、基板が光透過性である場合には、基板の裏側から透過光を測定してもよいことは言うまでもない。さらに、レーザビームを拡径することにより、広い範囲でセンサを励起し、測定光も全面に投射し、CCDカメラなどによる高速分解撮影によって、センサ面内の酸素の濃度分布を画像として測定するなど、種々の応用が可能である。

【12】

【発明の効果】本発明の酸素濃度測定方法および酸素センサは、上記のように励起光で励起された酸素反応性を有する光励起物質の光吸収を利用しているので、発光を伴わない光励起物質もセンサとして利用することが出来、励起光、測定光や計測装置の時間分解能に応じて最適なセンサを選ぶことが出来るという効果を有する。また、センサ物質を分散させたバインダを被測定表面に塗ることによって、測定したい部位の濃度を直接測定することが出来、局部の測定だけでなく、測定器の移動によって、面上の分布測定が行えるなど、広い範囲への応用が可能であるという特徴を有している。

【2】

【従来の技術】酸素濃度の測定は、生化学、生理学、医学、化学等、多くの分野で使用されている。近年、光ファイバ技術の発展にもより、光を用いた酸素センサの開発が盛んになって来た。光センサは磁界の影響を受けず小型化が容易であるという特徴を持つ。また、光ファイバの利用により、離れた場所のそのままの状態を観測出来、しかも、観測位置を比較的自由に設定できるという利点がある。

【3】
従来知られている光酸素センサの多くは、酸素反応性を有する光励起物質の発光強度又は発光寿命が酸素濃度によって変化することを利用している。例えば、米国特許第4810655号は、ポリフィリン、クロリン等の発光色素を混合した塩化ビニルなどの酸素透過性の樹脂フィルムを酸素センサとし、これを照射光によって励起した後、センサの発光(燐光)強度の低下パターンから血液中の酸素濃度を測定するものである。しかし、多くの酸素反応性を有する光励起物質はこのような発光現象を示さないので、センサとして利用される物質が限定されるという問題がある。

【4】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来と異なる現象を利用することにより、上記従来技術のようなセンサ物質の制限を受けることの少ない酸素濃度の測定方法と、そのための酸素センサを得ようとするものである。

【5】

【課題を解決するための手段】本発明においては、酸素反応性を有する光励起物質をパルス光で励起し、励起状態の酸素反応性を有する光励起物質による測定光の吸収強度の時間変化を測定し、そのパターンから酸素濃度を得る。

【6】

【発明の実施の形態】具体的には、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)などの酸素反応性を有する光励起物質を基板上に稀薄状態に固定し、酸素センサとする。この酸素センサに測定光を投射し、その吸収を測定する。この測定光の投射部位にレーザパルス、例えばNd-YAG OPOレーザをパルス幅10nsで照射し上記酸素反応性を有する光励起物質を励起すると、この励起によって上記酸素反応性を有する光励起物質すなわち酸素センサが測定光を吸収するようになり、励起された酸素反応性を有する光励起物質が基底状態に落ちるにつれて吸収の度合いは低下するが、この基底状態へ落ちる速さ、すなわち励起状態の寿命は酸素の存在によって早まるので、測定光の吸収強度の低下として表れる励起状態の寿命を測定することによって、センサがおかれた雰囲気の酸素濃度を知ることが出来る。

【7】
これをより具体的に示せば、図2はこの反応を模式的に示したもので、同図(a)はZnTPPなどの酸素反応性を有する光励起物質のエネルギレベルを示し、基底状態S0にあった物質は、レーザ光により一重項状態S1のレベルへ励起される。物質分子が密に存在すると相互差用によって直ちに基底状態S0へ落ちてしまう。三重項状態T1は比較的寿命が長く、レベルS1から遷移した励起分子は測定光を吸収してレベルT2にさらに励起されるが、レベルT1にある分子数の減少に応じて測定光の吸収も減衰する。センサの雰囲気中に酸素が存在すると、レベルT1の光励起物質分子は酸素を励起し(3212)、自らはエネルギーを失って基底状態S0へ落ちるため、レベルT1にある分子数の減少は、無酸素状態に比べて早くなり、測定光の吸収の減衰も早まる。その状況を図2(b)に模式的に示す。図中、-O2は酸素濃度が0の場合を示し、+O2は濃度が高い場合を示す。この吸収の減衰は酸素濃度の関数であるので、これから酸素濃度を求めることが出来る。

【8】

【実施例】以下、本発明の実施例を示す。図1は本発明の酸素濃度測定方法を実施するためのシステムの概念図である。図中1は酸素反応性を有する光励起物質を稀薄状態で基盤上に固定した酸素センサ、2は励起用レーザビーム、3はXeランプである測定光光源、4は測定光を酸素センサに投射し、反射光をピックアップする光ファイバ、5は励起光カットフィルタ、6はモノクロメータおよびオシロスコープ7を内蔵する光検出器、8は表示された吸収曲線を示す。なお、図中、9は必要により、被測定ガスを送入するパイプである。

【9】
酸素センサ1は、ポリスチレンを含むトルエン溶液に、センサとなる酸素反応性を有する光励起物質であるZnTPPを溶解し、これを基板上に塗布、乾燥させたものである。この光励起物質の一重項励起スペクトルを図3に示す。励起光となるレーザは、この酸素センサの吸収極大の1つである550nmを用いるため、Nd-YAGレーザとし、パルス幅10nsのパルス光によって励起した。ファイバ4の少なくとも先端部は、二重ファイバとなっており、中心から測定光を投射し、反射光を周辺部から受光する。もちろん、周辺部から投射し、中心部で受光してもよい。また、2本以上のファイバを並列あるいは束ねて使用してもよく、その一部から励起光を投射するようにしてもよい。励起物質による過渡期吸収スペクトルを図4に示す。この実施例においては、モノクロメータによって吸収が最大となる470nmを観測波長としている。得られた吸収率-時間の減衰曲線の1例を図5に示す。Arは無酸素のアルゴン雰囲気を、O2は酸素を含む雰囲気を示す。
図面
【図2】
0
【図1】
1
【図4】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6