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明細書 :電源補償装置、電源補償設備、無停電電源装置、および無停電電源設備

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5028631号 (P5028631)
登録日 平成24年7月6日(2012.7.6)
発行日 平成24年9月19日(2012.9.19)
発明の名称または考案の名称 電源補償装置、電源補償設備、無停電電源装置、および無停電電源設備
国際特許分類 H02M   7/48        (2007.01)
FI H02M 7/48 N
請求項の数または発明の数 6
全頁数 26
出願番号 特願2008-505098 (P2008-505098)
出願日 平成19年3月9日(2007.3.9)
権利譲渡・実施許諾 特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
国際出願番号 PCT/JP2007/054630
国際公開番号 WO2007/105613
国際公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
優先権出願番号 2006070007
優先日 平成18年3月14日(2006.3.14)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年1月15日(2010.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
発明者または考案者 【氏名】大西 ▲徳▼生
個別代理人の代理人 【識別番号】100089222、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 康伸
【識別番号】100134979、【弁理士】、【氏名又は名称】中井 博
審査官 【審査官】安食 泰秀
参考文献・文献 特開2004-312979(JP,A)
実開平5-43744(JP,U)
特開2006-67673(JP,A)
特開2004-23833(JP,A)
特開2006-25560(JP,A)
特開平7-46886(JP,A)
特開平11-178216(JP,A)
特開2000-139083(JP,A)
調査した分野 H02M 7/48
特許請求の範囲 【請求項1】
逆導通機能を持つスイッチ素子を2つ直列に接続するスイッチ回路をレグとすると、3つのレグと第1のコンデンサとが並列接続されてなる電力変換回路を交流電源と負荷との間に接続し、該交流電源を補償する電源補償装置において、
前記電力変換回路は、
2つのレグを用いて構成され、前記交流電源と前記負荷との間に第1のリアクトルを介して直列に接続される直列コンバータ部と、
2つのレグを用いて構成され、前記負荷に並列に第2のリアクトルを介して接続される並列コンバータ部と、を含み、
前記直列コンバータ部および前記並列コンバータ部を構成するレグのうち1つのレグが前記直列コンバータ部と前記並列コンバータ部とで共通であり、
前記直列コンバータ部は、
出力する電圧が、前記第1のリアクトルの電圧降下と合わせて前記交流電源の電圧の大きさまたは電圧波形歪みを補償する電圧となるように制御されており、
前記並列コンバータ部は、
出力する電圧が、前記第2のリアクトルの電圧降下と合わせて前記交流電源の電圧の大きさまたは電流波形歪みを補償する電圧となるように制御されており、
前記第1のコンデンサと並列に、電圧が一定である定電圧源が接続されており、
前記直列コンバータ部から出力される電圧は、
前記負荷の端子電圧に含まれる電圧波形歪みに基づいて制御されており、
前記並列コンバータ部から出力される電圧は、
前記交流電源の周波数と同一の周波数を有しかつ前記第1のコンデンサと前記定電圧源との間に流れる電流の時間平均値を零にし得る振幅に調整された基準電流波形と、前記交流電源の電流波形とに基づいて制御されている
ことを特徴とする電源補償装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源補償装置において、
前記並列コンバータ部から出力される電圧および前記第2のリアクトルの電圧降下によって、前記交流電源の電流位相が調整される
ことを特徴とする電源補償装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電源補償装置において、
エネルギー蓄積要素と、
該エネルギー蓄積要素に蓄積されているエネルギーを、前記第1のコンデンサの端子電圧に合わせた直流電力に調整して該第1のコンデンサに供給する電力調整手段とを備えている
ことを特徴とする電源補償装置。
【請求項4】
少なくとも2つの請求項1、請求項2、または請求項3に記載の電源補償装置が、三相線路における2線路間に接続されており、
各電源補償装置は、
他の電源補償装置に対して、接続された2線路のうちいずれか一方の線路が異なるように配設されている
ことを特徴とする電源補償設備。
【請求項5】
請求項1、請求項2、または請求項3に記載の電源補償装置を用いる無停電電源装置であって、
前記直列コンバータ部のレグのうち、交流電源側のレグの2つのスイッチ素子を同時にオフにして、前記交流電源と前記負荷とを切り離し、
残る2つのレグにおけるスイッチ素子のオンオフ制御によって前記負荷端子に交流電圧を発生させる際、
前記直列コンバータ部のレグのうち、前記負荷に接続されるレグは、
前記負荷端子にて発生させる交流電圧の周期のうち正の半周期の期間において、
第1のコンデンサの正電圧の端子側のスイッチ素子がオンに、他方のスイッチ素子がオフに制御され、
前記負荷端子にて発生させる交流電圧の周期のうち負の半周期の期間において、
第1のコンデンサの正電圧の端子側のスイッチ素子がオフに、他方のスイッチ素子がオンに制御される
ことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項6】
少なくとも2つの請求項5に記載の無停電電源装置が、三相線路における2線路間に接続されており、
各無停電電源装置は、
他の無停電電源装置に対して、接続された2線路のうちいずれか一方の線路が異なるように配設されている
ことを特徴とする無停電電源設備。
発明の詳細な説明
【0001】
本発明は、負荷に安定した電圧を供給する電源補償装置、電源補償設備、無停電電源装置、および無停電電源設備に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電源を補償して負荷に安定した電圧を供給する電源補償装置として、交流電源と負荷との間に直列に補償電圧源を設置する安定化電源装置が知られている。この安定化電源装置を説明する回路図を図27(a)に示す。図27(a)において、交流電源1と負荷2との間に直列に接続する補償電圧源3が、交流電源1を補償し、負荷電圧の安定を実現する。
安定化電源装置は、例えば、交流電源1の電圧が不足する場合に、補償電圧源3が不足分を補うように動作する。また、交流電源1の電圧波形が歪んでいる場合に、補償電圧源3が負荷2での電圧波形歪を抑える電圧を出力するように動作する。
【0003】
また、交流電源の補償となる別電源を接続する電源補償装置として、交流負荷に並列に電流源を接続する系統連系インバータや無停電電源が知られている。この系統連系インバータや無停電電源を説明する回路図を図27(b)に示す。図27(b)において、負荷2に並列にされる電流源6が、系統連系インバータであれば連系する別電源であり、無停電電源であれば、交流電源1を支援する別電源である。系統連系インバータや無停電電源では、電流源6の端子電圧が負荷2の電圧と一致するように制御することで、別電源の交流電源への接続を実現している。
【0004】
また、特開2004-312979号公報(特許文献1)には、図27(c)に示す回路構成の安定化電源装置が提案されている。この安定化電源装置の動作を説明する回路図を図27(d)に示す。図27(d)の回路は、交流電源1と負荷2との間に直列に補償電圧源3が接続され、交流電源1と並列に電流源6が接続されており、図27(a)と図27(b)の回路図を合わせた構成の回路と言える。
この特許文献1の安定化電源装置では、これら補償電圧源3と電流源6とを、逆導通機能を持つスイッチング素子を2つ直列に接続した回路を3つ並列に接続した電力変換回路(いわゆる、3相スイッチ回路)を用いて実現している。
詳しくは、3相スイッチ回路において、逆導通機能を持つスイッチング素子を2つ直列に接続した回路をレグとすると、1つのレグを共用として、レグを2つ並列に接続したコンバータ部を2組構成し、それぞれのコンバータ部にて図27(d)における補償電圧源3と電流源6を実現している。
この特許文献1の安定化電源装置では、負荷電圧の安定のために用いている補償電圧源3のエネルギー出力分の補充に、3相スイッチ回路を介して、電流源6のエネルギーを用いていることに特徴がある。
【特許文献1】
特開2004-312979
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は、パワーエレクトロニクス機器の総容量の増大に伴い、負荷電流の高調波成分が増大した結果として、電源電圧波形のひずみが増大しており、この電源に接続される機器に障害を起こすことが懸念されている。
このため、図27(a)に示す安定化電源装置においては、電源電圧波形の補償とともに、電源電圧波形を歪ませる原因となる負荷電流の高調波成分を抑える補償が有用と考えられている。
【0006】
一方、図27(b)に示す系統連系インバータでは、交流電源とは別の電源を連系させるときに、接続する電源を、電流源として接続するため、交流電源と負荷に流れる電流の波形を制御することが原理的に可能である。しかしながら、日本国のガイドラインでは、系統に接続する電流源は、規定の力率内の正弦波電流出力にすることしか認められていないため、交流電源や負荷電流の波形が歪んでいたり、系統にとっての力率が悪かったりするときに、系統にとって最も都合の良い電流波形および力率に調整することが行われていないのが現状である。
【0007】
しかしながら、今後、電力の自由化に伴い、燃料電池、太陽光発電、風力発電等の電力会社外から系統に接続する電源が増加すると、今までのように、系統に接続する際の電流波形を正弦波としていたのでは、無効電力を処理するために、電力会社が多大な投資を行う必要があり、正弦波電流波形での連系が必ずしも適しているとはいえなくなる。
そこで、各々の電源を系統に接続する際に、系統を流れる電流の波形や位相を考慮して系統に接続する電流の波形を決定すれば、系統における無効電力を抑えることができると考える。すなわち、系統連系インバータにおいては、電流波形制御機能を付加させることが将来有望と考える。
【0008】
また、系統連系インバータ単体では、図27(b)に示すように交流電源と負荷との間に補償電圧源を含まない構成であり、安定化電源装置に見られる交流電源の電圧波形補償を行いにくい。行うとすれば、交流電源と負荷との間に存在する線路リアクトル、または配置するリアクトルでの電圧降下を利用して、交流電源の電圧補償を行うことができる。しかしながら、この場合のリアクトルの電圧降下だけでは、制御範囲および出力条件が非常に限られたものとなる。このため、系統連系インバータの設置において、電圧補償機能も実現するためには、別途、安定化電源装置を設置する必要がある。
そこで、系統連系インバータに、装置規模を大きく変更することなく、安定化電源機能と、電流波形制御機能を付加できれば、理想的な系統連系システムを安価に構築できると考える。
【0009】
また、特許文献1に記載の安定化電源装置は、図27(d)における簡略化した回路図の限り、交流電源の電圧補償と電流波形補償を同時に実現する装置と同等の回路構成である。しかしながら、特許文献1に記載の安定化電源装置は、電流源6を電流波形を補償するための電流源として機能させているものではないため、電流波形改善および力率改善を実現できない。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、安定化電源装置において電流波形補償機能および力率改善機能を持たせた電源補償装置であり、見方を変えれば、系統連系インバータにおいて電流波形制御機能、力率改善機能、および安定化電源機能を持たせた電源補償装置を提供することにある。
また、本発明のその他の目的は、安定化電源装置や系統連系インバータを単純に2つ並べた構成とするのではなく、装置規模を大きく変更することなく実現し、従来の安定化電源装置や系統連系インバータの代替として設置できる電源補償装置を提供することにある。
また、本発明のその他の目的は、交流電源に故障等が発生したときに、無停電電源として機能できる電源補償装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0011]
第1発明の電源補償装置は、逆導通機能を持つスイッチ素子を2つ直列に接続するスイッチ回路をレグとすると、3つのレグと第1のコンデンサとが並列接続されてなる電力変換回路を交流電源と負荷との間に接続し、該交流電源を補償する電源補償装置において、前記電力変換回路は、2つのレグを用いて構成され、前記交流電源と前記負荷との間に第1のリアクトルを介して直列に接続される直列コンバータ部と、2つのレグを用いて構成され、前記負荷に並列に第2のリアクトルを介して接続される並列コンバータ部と、を含み、前記直列コンバータ部および前記並列コンバータ部を構成するレグのうち1つのレグが前記直列コンバータ部と前記並列コンバータ部とで共通であり、前記直列コンバータ部は、出力する電圧が、前記第1のリアクトルの電圧降下と合わせて前記交流電源の電圧の大きさまたは電圧波形歪みを補償する電圧となるように制御されており、前記並列コンバータ部は、出力する電圧が、前記第2のリアクトルの電圧降下と合わせて前記交流電源の電圧の大きさまたは電流波形歪みを補償する電圧となるように制御されており、前記第1のコンデンサと並列に、電圧が一定である定電圧源が接続されており、前記直列コンバータ部から出力される電圧は、前記負荷の端子電圧に含まれる電圧波形歪みに基づいて制御されており、前記並列コンバータ部から出力される電圧は、前記交流電源の周波数と同一の周波数を有しかつ前記第1のコンデンサと前記定電圧源との間に流れる電流の時間平均値を零にし得る振幅に調整された基準電流波形と、前記交流電源の電流波形とに基づいて制御されていることを特徴とする。
本明細書では、コンバータ部は、直流から交流への電力変換動作と、交流から直流への電力変換動作の両方の動作が可能な電力変換回路を意味する。なお、第1のリアクトルおよび第2のリアクトルは、線路に含まれる線路リアクタンスを含めたリアクトルを意味し、線路リアクタンスのみや、線路リアクタンスと線路リアクタンスと別に設置するリアクトルとの組合せをも含む概念である。
また本明細書では、第1のコンデンサは、前記電力変換回路の直流側端子に接続されるコンデンサを意味し、第1のコンデンサにエネルギーを供給することは、電力変換回路の直流側にエネルギーを供給することを意味する。
[0012]
第2発明の電源補償装置は、第1発明において、前記並列コンバータ部から出力される電圧および前記第2のリアクトルの電圧降下によって、前記交流電源の電流位相が調整されることを特徴とする。
[0013]
第3発明の電源補償装置は、第1または第2発明において、該エネルギー蓄積要素に蓄積されているエネルギーを、前記第1のコンデンサの端子電圧に合わせた直流電力に調整して該第1のコンデンサに供給する電力調整手段とを備えていることを特徴とする。
[0014]
[0015]
[0016]
第4発明の電源補償設備は、少なくとも2つの第1、2または第3発明に記載の電源補償装置が、三相線路における2線路間に接続されており、各電源補償装置は、他の電源補償装置に対して、接続された2線路のうちいずれか一方の線路が異なるように配設されていることを特徴とする。
[0017]
第5発明の無停電電源装置は、第1、2または第3発明に記載の電源補償装置を用いる無停電電源装置であって、前記直列コンバータ部のレグのうち、交流電源側のレグの2つのスイッチ素子を同時にオフにして、前記交流電源と前記負荷とを切り離し、残る2つのレグにおけるスイッチ素子のオンオフ制御によって前記負荷端子に交流電圧を発生させる際、前記直列コンバータ部のレグのうち、前記負荷に接続されるレグは、前記負荷端子にて発生させる交流電圧の周期のうち正の半周期の期間において、第1のコンデンサの正電圧の端子側のスイッチ素子がオンに、他方のスイッチ素子がオフに制御され、前記負荷端子にて発生させる交流電圧の周期のうち負の半周期の期間において、第1のコンデンサの正電圧の端子側のスイッチ素子がオフに、他方のスイッチ素子がオンに制御されることを特徴とする。
[0018]
[0019]
第6発明の無停電電源設備は、少なくとも2つの第5発明に記載の無停電電源装置が、三相線路における2線路間に接続されており、各無停電電源装置は、他の無停電電源装置に対して、接続された2線路のうちいずれか一方の線路が異なるように配設されていることを特徴とする。
発明の効果
[0020]
第1発明によれば、交流電源の電圧波形が歪んでいる場合、直列コンバータ部から適切な補償電圧を出力することにより、第1のリアクトルにおける電圧降下と合わせて、負荷端において、歪みを抑えた電圧や大きさを補償した電圧を発生させることができる。このため、負荷に接続する機器を安定した電圧のもとで使用することができる。
また、交流電源の電流波形が、負荷から発生する高調波成分電流などの影響により歪んでいる場合、並列コンバータ部から適切な電圧を出力することにより、第2のリアクトルにおける電圧降下と合わせて、交流電源の電流波形の歪みを抑えるための補償電流を実現できる。これにより、交流電源の電流波形歪みが抑えられ、交流電源の電圧波形を歪ませる要因の1つを解消することができる。よって、電流波形歪みの補償と電圧波形歪みの補償の両方を実現することができる。また、並列コンバータ部の電圧の出力によって第1のリアクトルに流れる無効電流を調整することで、第1のリアクトルにおける電圧降下を利用した交流電源1の電圧補償もできる。
また、直列コンバータ部と並列コンバータ部とが1つの共通レグを介して一体の電力変換回路を構成していることから、電力変換回路の直流側に接続される第1のコンデンサを、直列コンバータ部と並列コンバータ部とで共有することができる。
直列コンバータ部と並列コンバータ部とが第1のコンデンサを共有することから、直列コンバータ部にて必要とされるエネルギーと、並列コンバータ部にて必要とされるエネルギーとを共通のコンデンサから工面することができる。すなわち、1つのコンデンサのエネルギーを直列コンバータと並列コンバータとに分配することができる。例えば、直列コンバータ部にて必要とされる電圧補償の電圧幅が小さい場合、第1のコンデンサの電圧幅のうち、直列コンバータ部にて必要とされる電圧補償幅を除いた電圧幅を用いて、並列コンバータ部を動作させることができる。仮に、直列コンバータ部と並列コンバータ部とを別々の装置で実現する場合、それぞれのコンバータ部において別々のコンデンサを電力変換回路の直流側に備えることから、エネルギーの貸し借りが容易ではない。本発明では、第1のコンデンサが直列と並列の2つのコンバータ部にて共通のため、エネルギーの貸し借りを行わずとも、エネルギーの有効利用ができる。また、第1のコンデンサが直列と並列の2つのコンバータ部にて1つということは、装置の簡略化においても利点がある。
また、第1のコンデンサに接続するエネルギー源が電圧の変更が望まれない定電圧源である場合、並列コンバータ部の出力を、第1のコンデンサと定電圧源との間に流れる電流の時間平均値を零にし得る振幅に調整された基準電流波形と、交流電源の電流波形とに基づいて制御する。つまり、基準電流波形と交流電源の電流波形とをつき合わせて、言い換えれば、基準電流波形と交流電源の電流波形とを比較した結果に基づいて並列コンバータ部の出力を制御する。このことにより、第1のコンデンサの電圧を、エネルギー蓄積要素の電圧に一致させて動作させることができ、電力変換回路を安定して動作させることができる。なお、このとき、基準電流波形を、交流電源と同一の周波数の波形で波形歪みのない正弦波にすることで、交流電源の電流を、周波数が交流電源の電圧と同じで波形歪みのない電流波形に補償することができる。
また、直列コンバータ部の出力を、負荷の端子電圧に含まれる電圧波形歪みを基に、負荷の端子電圧の電圧波形歪みを打ち消す電圧に制御することで、負荷の端子電圧に含まれる電圧波形歪みを抑制し、負荷の端子電圧を正弦波にすることができる。
すなわち、第1発明は、エネルギー源が、蓄電池や、効率等の面で決められた電圧にて動作させたい太陽電池などの定電圧の直流電圧源であった場合、その電圧値が電源補償装置を安定して動作できる設計範囲内であれば電力調整手段を用いずとも、直接第1のコンデンサに並列にエネルギー源として定電圧源を接続することができる。
[0021]
第2発明によれば、第1発明に基づき、交流電源の電流波形歪みを抑えるための補償電流を並列コンバータ部の電圧出力により実現する際、電流波形歪みを抑えるのみではなく、交流電源の電流位相の補償の役割を担う補償電流を実現する。このことにより、交流電源における力率を改善する、いわゆるアクティブフィルタ動作が可能となる。
[0022]
第3発明によれば、電力変換回路に、バッテリ、太陽電池、燃料電池等のエネルギー蓄積要素のエネルギーを、電力調整手段により、第1のコンデンサの端子電圧に合わせた直流電力に変換し、第1のコンデンサに供給することができる。すなわち、補償電圧や補償電流の実現において、第1のコンデンサのエネルギーが不足する場合、エネルギー蓄積要素のエネルギーを、第1のコンデンサに並列接続される電流源に見立てて、第1のコンデンサに補充することができる。
また、エネルギーは、エネルギー蓄積要素から第1のコンデンサへの供給に限らず、エネルギー蓄積要素が受電可能なものであれば、電力調整手段を介して、第1のコンデンサからエネルギー蓄積要素への供給が可能である。例えば、エネルギー蓄積要素が直流電力源であれば、電力調整手段が双方向の直流—直流変換を可能なものとすることで、交流電源のエネルギーに余裕がある時に、交流電源のエネルギーを、第1のコンデンサからエネルギー蓄積要素に供給することができる。また、例えば、エネルギー蓄積要素が他の交流電力源であれば、電力調整手段が双方向の交流—直流変換を可能なものとすることで、交流電源のエネルギーに余裕がある時に、交流電源のエネルギーを、第1のコンデンサからエネルギー蓄積要素に供給することができる。すなわち、本電源補償装置を、電流波形制御機能および安定化電源機能を備えた系統連系インバータとして機能させることができる。
[0023]
[0024]
[0025]
第4発明によれば、第1、2または第3発明の電源補償装置を三相線路の異なる2線路の組合せにおいて1つずつ接続し、3相のバランスを考慮しながら、それぞれの電源補償装置を働かせることで、3相電力における電圧補償および電流補償ができる。三相線路に接続する電源補償装置は、異なる2線路の組合せのうち、3つの組み合わせにそれぞれ設置しても良いが、2つの組合せに設置しても、3相バランスを計算して制御することにより、3相電力における電圧補償および電流補償を実現できる。
[0026]
第5発明によれば、第1、2または第3発明の電源補償装置を用いて、交流電源の停電時等に制御を切り替えることで、電力変換回路の第1のコンデンサ電圧を利用した無停電電源装置として機能させることができる。なお、交流電源と負荷との切り離しは、逆導通機能を持つスイッチ素子のオフ動作にて行うため、物理的なスイッチの開放と異なり、第1のリアクトルに蓄えられていた転流エネルギーに伴うサージ電圧の発生を抑えることができる。また、逆導通機能を持つスイッチ素子は、瞬時のスイッチ切替が可能なため、物理的なスイッチを用いる場合に起こる、スイッチ開放までの時間遅れの問題を克服できる。
[0027]
[0028]
第6発明によれば、第5発明の無停電電源装置を三相線路の異なる2線路の組合せにおいて1つずつ接続し、3相のバランスを考慮しながら、それぞれの無停電電源装置を働かせることで、3相電力における停電補償ができる。三相線路に接続する無停電電源装置は、異なる2線路の組合せのうち、3つの組み合わせにそれぞれ設置しても良いが、2つの組合せに設置しても、3相バランスを計算して制御することにより、3相電力における停電補償を実現できる。
発明を実施するための最良の形態
[0029]
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
[0030]
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る電源補償装置100の主回路構成を図1に示す。逆導通機能を持つ6つのスイッチ素子S1~S6を用いて、逆導通機能を持つスイッチ素子を2つ直列に接続したスイッチ回路Leg1~Leg3を第1のコンデンサCdと並列接続して、電力変換回路10を構成する。詳しくは、スイッチ素子S1とS4とを直列接続してスイッチ回路Leg1を構成し、スイッチ素子S2とS5とを直列接続してスイッチ回路Leg2を構成し、スイッチ素子S3とS6とを直列接続してスイッチ回路Leg3を構成する。ここで、スイッチ素子S1とS4との直列接続点を端子T1とし、スイッチ素子S2とS5との直列接続点を端子T2とし、スイッチ素子S3とS6との直列接続点を端子T3とする。
なお、スイッチ回路Leg1~Leg3はスイッチ素子S1~S6を制御する制御器とともに用いられ、第1のコンデンサCdが接続される端子、いわゆる電力変換回路10の直流側端子と、交流出力または入力となる端子T1~T3との間で直流—交流の電力変換動作をすることは言うまでもない。以下の実施の形態の説明では、スイッチ素子を制御する制御器を用いることを前提とする。
なお、3つのスイッチ回路が並列接続される電力変換回路10のかわりに、4つ以上のレグが並列接続される電力変換回路を用いる電源補償装置であっても、実際に使うレグが3つであり、残りのレグのスイッチ素子をオフに制御する電源補償装置であれば、本発明に該当することは言うまでもない。また、複数のレグの接点の接続およびスイッチングを同期させて、複数のレグをあたかも1つのレグであるかのようにして使用する場合は、合計のレグの数が4つ以上であっても、制御上、3つのレグを用いることと同等であれば、本発明に該当することは言うまでもない。
電力変換回路10は、交流電源1と負荷2との間に接続する。詳しくは、交流電源1の一端に接続された第1のリアクトル4の他端に、電力変換回路10の端子T1を接続し、端子T2を負荷2の一端に接続する。また、端子T3を、交流電源1の他端と負荷2の他端に接続された第2のリアクトル5の他端に接続する。
電力変換回路10は、端子T1と端子T2との間に、交流電源1と負荷2との間に直列接続された電圧源を発生させることができることから、スイッチ回路Leg1とLeg2と第1のコンデンサCdとが並列接続された部分を直列コンバータ部SCと呼ぶ。
同様に、電力変換回路10は、端子T2と端子T3との間に、第2のリアクトル5を介して負荷2に並列接続された電圧源を発生させることができることから、スイッチ回路Leg2とLeg3と第1のコンデンサCdとが並列接続された部分を並列コンバータ部PCと呼ぶ。
なお、第1のリアクトル4は、交流電源1のインピーダンスや線路リアクタンスであっても良い。また、第1のリアクトル4は、図1に示すように交流電源1と端子T1との間に設けるほか、負荷2と端子T2との間に設けても良い。また、その両方に設けても良い。また、第2のリアクトル5についても、線路リアクタンスであっても良い。しかしながら、線路リアクトルや交流電源1のインピーダンスのみでは直列コンバータ部や並列コンバータ部での電圧変動に対応可能な大きなリアクタンス値が望めない場合は、別途、リアクトルを設置することが望ましい。
【0031】
交流電源1にて電圧が不安定であったり電圧波形が歪んでいる場合、負荷2にとって波形歪みの少ない安定した電圧を供給するため、直列コンバータ部SCにて補償電圧を発生させる。発生させる補償電圧は、第1のリアクトル4における電圧降下と合わせて、交流電源1から負荷2へ供給する電圧を安定させる電圧であり、かかる補償電圧が発生するように直列コンバータ部SCを制御する。例えば、負荷2の端子電圧を検出して、波形歪みを含まない基準電圧波形とつき合わせる制御、つまり、基準電圧波形と検出した負荷2の端子電圧とを比較して、両者を一致させる制御や、負荷2の端子電圧から電圧波形歪み成分を抽出し、電圧波形歪み成分を打ち消す電圧を出力する制御を挙げることができる。
また、電力変換回路10のスイッチング素子S1、S2、S4およびS5への信号は、例えば、スイッチ回路Leg1、Leg2ごとに基準波を設けて、その基準波を三角波等との比較を行うPWM制御にて決定することができる。PWM制御を行うと、スイッチ素子に与える信号を、スイッチ素子個別の演算を行うことなく、1つのスイッチ回路にひとつの基準波形を決定することで、スイッチ素子のスイッチング信号を受動的に決定することができる利点がある。
【0032】
また、負荷2の性質により、負荷2に流れる電流に高調波が多く含まれるなどして交流電源1の電流波形に歪が生じている場合、電流波形の歪みを打ち消すために、並列コンバータ部PCにて補償電圧を発生させる。発生させる補償電圧は、第2のリアクトル5における電圧降下と合わせて、交流電源1と負荷2との間の線路に交流電源1の電流波形の歪みを抑制する電流を提供し得る電圧であり、かかる補償電圧が発生するように並列コンバータ部PCを制御する。例えば、交流電源1に流れる電流を検出し、波形歪み成分を含まない基準電流波形に交流電源1に流れる電流が一致するように並列コンバータ部PCの出力を決定する。この際、基準電流波形は、交流電源1の電圧と同じ周波数の正弦波波形とすることができるが、その振幅については、第1のコンデンサCdの過充電、過放電を抑制するため、第1のコンデンサCdの電圧が時間平均にて一定となる値に調整した値とし、電力変換回路10の動作を安定させる。例えば、第1のコンデンサCdの電圧が一定となる値の調整は、一定の目標値との帰還により行うことができる。
また、基準電流波形の位相は任意に決定することができ、位相を任意に決定した基準電流波形と交流電源1の電流波形が一致するように制御することから、交流電源1の電流の位相の調整、すなわち交流電源1または負荷2の電圧と電流との力率の変更ができる。
また、並列コンバータ部PCにより実現できる交流電源1の電流への補償電流は、交流電源1の電流を調整できることから、第1のリアクトル4での電圧降下を調整することができる。すなわち、交流電源1の電圧補償を並列コンバータ部PCの制御によっても実現できる。
また、並列コンバータ部PCのスイッチ素子S2、S3、S5およびS6への信号は、直列コンバータ部SCのときと同様に、スイッチ回路Leg2、Leg3ごとに基準波を設けて三角波比較やヒステリシス比較をするPWM制御を用いることができる。PWM制御により、スイッチ素子に与える信号を、各スイッチ素子個別の演算を行うことなく、1つのスイッチ回路にひとつの基準波形にて、各スイッチ素子のスイッチング信号を受動的に決定できる。
【0033】
また、並列コンバータ部PCと直列コンバータ部SCとは、スイッチ回路Leg2が共通であり、スイッチ回路Leg2のスイッチング素子S2およびS5への信号は、直列コンバータ部PCと並列コンバータ部PCとで一致しなければならない。すなわち、直列コンバータ部SCと並列コンバータ部PCの制御は完全に独立して行うことができないことを意味する。しかしながら、直列コンバータ部SCと並列コンバータ部PCとで電圧分担を考慮し、スイッチ回路Leg2の端子T2を中性点とみなし、スイッチ回路Leg1の端子T1への電圧を直列コンバータ部SCの電圧分担とし、スイッチ回路Leg3の端子T3への分担を並列コンバータPCへの電圧分担として実現することができる。また、直列コンバータSCは、波形歪みおよび電圧の不足を補うため、大きな電圧幅は要求されない傾向にあり、並列コンバータは、交流電源1や負荷2と並列に接続されることから、比較的大きな電圧が要求される傾向にある。このため、直列コンバータSCと並列コンバータPCとの電圧分担は、例えば、1:9や2:8とすることが考えられる。
【0034】
直列コンバータ部SCが出力する補償電圧を電圧源ebとし、並列コンバータ部PCが出力する補償電圧を電圧源ecとしたときの等価回路を図2に示す。電圧源ebとecを囲む点線の範囲が電力変換回路10の出力を表す。また、第1のリアクトル4と電圧源ebとを囲む点線の範囲にて、交流電源1から負荷2へ供給する電圧を安定させるための補償電圧を発生し、第2のリアクトル5と電圧源ecとを囲む点線の範囲にて、交流電源1の電流波形歪みを抑制するための補償電流を発生する。
【0035】
電源補償装置100の波形改善の様子を図3に視覚的に示す。比較として、交流電源1の波形が歪んでおり無補償のときの電圧および電流波形を図4に示す。
図中iaは交流電源1を流れる電流波形、eaは交流電源1の電圧波形、eoは負荷2の電圧波形、iLは、負荷2を流れる電流波形を示している。また、図3においては、直列コンバータ部SCによる電圧波形ebを、並列コンバータ部PCの動作により実現される電流波形icを示している。
図3および図4にて交流電源1には、高調波電圧が含まれ、正弦波のピークが平坦になっている。また、負荷電流iLは、高調波電流を多く含み、正弦波と大きく異なる波形をしている。
これにより、図4に示す比較例では、負荷2の電圧波形が交流電源1にみられるピークの歪みに加えて、負荷2の電流iLの影響をうけ、ノイズがのったような波形となっている。また、交流電源1の電流iaについても、負荷2の電流iLよりも歪む波形となっている。
一方、電源補償装置100を動作させる図3では、交流電源1の電圧波形歪みを直列コンバータ部SCによる電圧波形ebの足し合わせにより、負荷2において正弦波の電圧波形eoを実現する。また、負荷2の電流歪みおよび交流電源1の電圧波形歪みの影響を交流電源1の電流iaにて打ち消すために、並列コンバータ部PCの動作により補償電流icを供給する。これにより、交流電源1の電流iaの波形を正弦波とすることができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
第2に実施の形態では、第1の実施の形態の電源補償装置100を電力潮流制御装置(UPFC、Unified Power Flow Controller)として使用する。図1に示す電源補償装置100をUPFCに適用する際、第1の実施の形態から大きな変更の必要はない。以下に、電源補償装置100を用いる利点を、比較例を用いて説明する。図5に、比較例として、逆導通機能を持つスイッチ素子S1、S2、S2’、S3、S4、S5、S5’、S6の8つを用いて4つのスイッチ回路Leg1、Leg2、Leg2’、Leg3、Leg4を構成し、Leg1、Leg2および第1のコンデンサCdを用いて直列コンバータ部SCを構成し、Leg2’、Leg3および第1のコンデンサCdを用いて並列コンバータ部PCを構成する電源補償装置300を示す。ただし、図5の比較例において、スイッチ素子S2とS2’とが同時に同一のスイッチングをし、かつ、スイッチ素子S5とS5’とが同時に同一のスイッチングをする場合は、本発明の電源補償装置とみなすことができる。この場合を除き、比較例の図5は、直列コンバータ部SCと並列コンバータ部PCとにおいて、スイッチ回路が2つのコンバータ部にて完全に独立しており、図1と比較すれば、スイッチ回路Leg2を、Leg2とLeg2’の2つに置きかえた構成となっている。しかしながら図5の電源補償装置300では、第1のコンデンサCdを直列コンバータ部SCと並列コンバータ部PCとで共用にする必要があるため、スイッチ回路Leg2とLeg2’におけるスイッチ素子のオンオフ動作を同時にしなければ、S2’-S5間もしくは、S2-S5’間にて直流回路短絡を生じる問題点がある。このような直流回路短絡を防ぐ手法として、直列コンバータ部SCや並列コンバータ部PCと交流電源1の線路との間に変圧器TR1、TR2を挿入する手法が知られている。図5に変圧器TR1、TR2を挿入した図を図6に示す。この図6の構成が、一般に説明されるUPFCの単相模式図である。
一方、図1の電源補償装置100では、第1のコンデンサCdが直列コンバータSCと並列コンバータPCとで共用であっても、直列コンバータ部SCと並列コンバータ部PCとでスイッチ回路Leg2が共用であるため、図5の回路で起こりうる直流回路短絡が生じない。よって、電源補償装置100をUPFCに適用する際に変圧器を設置しなくて良い利点が生じる。変圧器の設置が不要であれば、コスト面にて有利であるとともに、特に、交流電源1と負荷2との間に直列に挿入する必要がある直列コンバータ部SCにおいて変圧器TR1を設けなくてよい点が、変圧器を用いた場合に問題となる、「電流と磁束を軸にした場合の変圧器の使用範囲が線形範囲から外れた飽和領域に入ってしまう現象」、を考慮する必要がなくなる点で有利である。
【0037】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態に示す電源補償装置100において、電力変換回路10は、端子T1と端子T3との間に、第2のリアクトル5を介して負荷2に並列接続された電圧源を発生させることもできることから、並列コンバータ部PCを、スイッチ回路Leg1とLeg3と第1のコンデンサCdとが並列接続された部分にて構成することができる。このとき、直列コンバータ部SCが出力する補償電圧を電圧源ebとし、並列コンバータ部PCが出力する補償電圧を電圧源ecとしたときの等価回路を図7に示す。図7は、電圧源ebが電圧源ecよりも負荷2側に位置することが図2と異なる。しかしながら、図7は、電圧源ebとecを囲む点線の範囲が電力変換回路10の出力を表現し、第1のリアクトル4と電圧源ebとを囲む点線の範囲にて交流電源1から負荷2へ供給する電圧を安定させるための補償電圧を発生する点、第2のリアクトル5と電圧源ecとを囲む点線の範囲にて交流電源1の電流波形歪みを抑制するための補償電流を発生する点が図2と同様であり、得られる効果が図2と同等である。なお、電力変換回路10の制御は、コンバータ部とスイッチ回路の対応に応じて変更することにより、実施の形態1に記述した方法と同様の方法にて行うことができる。
【0038】
(第4の実施の形態)
第1の実施の形態に示す電源補償装置100において、コンデンサCdに並列に電流源ipvを接続することができる。電流源ipvを接続した主回路構成を図8に示す。
電流源ipvは、様々な様態により実現できるが、例えば、太陽電池、燃料電池、蓄電池、交流電源などの電圧を出力制御し、第1のコンデンサCdの端子電圧と一致させて電流源とすることができる。すなわち、太陽電池、燃料電池、蓄電池、交流電源などのエネルギー蓄積要素のエネルギーを、直流—直流変換手段もしくは直流—交流変換手段などの電力調整手段により、第1のコンデンサCdの電圧に一致するように制御した電流源ipvとして用いることができる。具体的に太陽電池を例にとると、太陽電池は、エネルギー変換効率の面から最適動作電圧が決まっており、その電圧が必ずしも第1のコンデンサCdの電圧が求める電圧と一致はしないため、直流—直流変換のチョッパ回路等を電力調整手段として用いて接続し制御する。燃料電池や蓄電池についても、自ら出力できる電圧の調整をするため、第1のコンデンサCdの電圧と一致させるために、電力調整手段としてチョッパ回路等を用いる。また、交流電源を接続する場合は、交流電源からから直流電源に変換する交流—直流変換の電力変換装置を電力調整手段として用いて、コンバータ動作により第1のコンデンサCdに接続する。
第4の実施の形態は、エネルギー蓄積要素のエネルギーを、第1のコンデンサCdの端子電圧と一致する電流源ipvとして用いることから、電流源ipvを実現するための電力調整手段の制御系を、エネルギー蓄積要素と第1のコンデンサCdとの間に組み入れるほかは、第1の実施の形態と同様の制御系にて実現できる。そして、電流源ipvのエネルギーは、並列に接続されている第1のコンデンサCdとともに、電力変換回路10における電圧補償および電流補償に利用できる。また、交流電源1の電流の比較対象であり、一致させる目標値である基準電流波形の位相を調整することにより、電流源ipvのエネルギーは電力変換回路10を介した、交流電源1や負荷2へのエネルギーの供給が可能である。
また、太陽電池や燃料電池等の、エネルギーを供給することしかできないエネルギー蓄積要素ではなく、蓄電池や交流電源等の、エネルギーの受取が可能なエネルギー蓄積要素を用いる場合、電力調整手段を双方向の電力授受が可能な手段とすることで、交流電源1のエネルギーに余裕がある時に、交流電源1のエネルギーを、エネルギー蓄積要素に供給することができる。すなわち、本電源補償装置を、電流波形制御機能および安定化電源機能を備えた系統連系インバータとして機能させることができる。
【0039】
電源補償装置100を用いて電流源ipvを接続した際の波形改善の様子を図9に視覚的に示す。比較として、電流源ipvを正弦波交流に変換して接続した際の波形を図10に示す。図10より、電流源ipvを正弦波交流にて連系した場合は、交流電源1の電流iaのリップルが解消されない。しかしながら、図9に示す電源補償装置100を用いた連系では、交流電源1の電流iaを正弦波に近づけるような補償電流icとなるように、並列コンバータ部PCを動作させるため、交流電源1の電流iaの波形を正弦波とすることができる。また、コンデンサCdの電圧は、図9、図10ともに、第1の実施の形態と同じく電力変換回路の動作を安定させるために一定となるように制御する。
【0040】
(第5の実施の形態)
三相電源において電源補償を行うために、第1の実施の形態に示す電源補償装置100を三相線路の線間に接続するときの回路構成を図11に示す。三相線路に電源補償装置100が2つ接続される構成となる。図中、eは三相電源のU相の相電圧、eはV相の相電圧、eはW相の相電圧を示し、iはU相の相電流、iはV相の相電流、iはW相の相電流を示し、電流源iuOはU相に該当する負荷、電流源ivOはV相に該当する負荷、電流源iwOはW相に該当する負荷を示す。eOuvは線路UV間の負荷端子電圧、eOwvは線路WV間の負荷端子電圧を示す。図中において、一つ目の電源補償装置は、U相とV相を用いて接続され、直列コンバータ部SCの接続側がU相となる。もう一つの電源補償装置は、W相とV相を用いて接続され、直列コンバータ部SCの接続側がW相となる。すなわち、V相は、並列コンバータ部PCに接続される第2のリアクトル5の他端が接続される共用線路となる。この時の等価回路を図12に示す。図中、ebuはU相V相にわたり接続される電源補償装置100の直列コンバータ部SCにより出力する電圧であり、ecuvは並列コンバータ部PCにより出力する電圧である。同様に、W相V相にわたり接続される電源補償装置100では、ebwが直列コンバータ部SCによる出力であり、ecwvが並列コンバータ部PCによる出力電圧である。
この2つの電源補償装置100は、ebu、ebwの瞬時電圧の三相バランスを考慮して、それぞれの直列コンバータ部SCを制御することにより、三相電源において、電源電圧の波形歪みを補償する。このとき、それぞれの電源補償装置における制御は、第1の実施の形態に示す制御と同様である。また、ecuv、ecwvの瞬時電圧の三相バランスを考慮して、それぞれの並列コンバータ部を制御することにより、三相電源において、電源電流i、i、iの波形歪みを補償する。
【0041】
(第6の実施の形態)
第5の実施の形態のように、三相線路の線間に電源補償装置100を接続して三相電源の電源補償を行う際、3つの線間それぞれに電源補償装置を接続することができる。この時の等価回路を図13に示す。このとき、3つの電源補償装置100は、ebu、ebw、ebvの瞬時電圧の三相バランスを考慮して、それぞれの直列コンバータ部SCを制御する。また、ecuv、ecwv、ecwuの瞬時電圧の三相バランスを考慮して、それぞれの並列コンバータ部を制御することにより、三相電源において、電源電流i、i、iの波形歪みを補償する。それぞれの電源補償装置における制御は、電源補償装置を2つ用いるか3つ用いるかの違いのみで、第5の実施の形態に示す制御と同様である。
【0042】
(第7の実施の形態)
第1の実施の形態における電源補償装置100の動作に、PWM制御を用いる実施の形態を図14に示す。電源補償装置100の電力変換回路にPWM信号を出力するPWM制御部50は、直列コンバータ部SCの制御を目的とした直列側制御部51と並列コンバータ部PCの制御を目的とした並列側制御部52からの指令信号に基づき、三角波比較等を用いてスイッチング信号を演算して出力する。
【0043】
直列側制御部51は、負荷2の電圧値から波形歪み成分を抽出し、波形歪み成分を打消す電圧を直列コンバータ部SCが出力するよう、PWM制御部50への制御指令を算出する。例えば、負荷2の端子電圧をBEF(Band Eliminate Filter 帯域除去フィルタ)に通し、電圧歪み成分を抽出し、電圧歪み成分を取り除く帰還を行う。
【0044】
並列側制御部52は、第1のコンデンサCdから検出する電圧値をもとに、第1のコンデンサCdを所望の基準値に保つ帰還を行うとともに、交流電源1の電源電流を高調波の含まない基準電流波形と一致させる帰還を行うことにより、交流電源1の電源電流における高調波成分の補償を行う。例えば、高調波を含まない基準電流波形は、負荷2の電圧をBPF(Band Pass Filter 帯域通過フィルタ)に通して得られた正弦波波形に、第1のコンデンサCdの電圧が一定となる振幅の定数を掛け合わせて算出する。また、高調波を含まない基準電流波形を決定する際、振幅を掛け合わせる前の正弦波波形は、関数発生器FG(Function Generator)により生成してもよい。ただし、生成する正弦波の周波数は負荷2の電圧の基本波成分の周波数の同期信号53を検出することにより、交流電源1の周波数と一致させる。また、高調波を含まない基準電流波形は、負荷2の電圧をBPFに通して得られた正弦波波形の位相を調整せずに用いて算出するのであれば、負荷2の電圧の基本波成分と同じ位相となる。しかし、関数発生器FGの正弦波波形やBPFを通して得られた正弦波波形を、位相指令54により位相調整すれば、任意の位相の基準電流波形を生成することができ、交流電源1の力率を調整できる。
【0045】
(第8の実施の形態)
第7の実施に形態において、交流電源1と異なる電力源として、電流源ipvを電力変換回路10の第1のコンデンサCdに並列接続する実施の形態を図15に示す。電源補償装置100は、電流源ipvの電圧がコンデンサCdと一致するため、図14と同じ制御系にて電源補償を実現できる。すなわち、エネルギー蓄積要素を第1のコンデンサCdの電圧に合わせた電流源に変換することで、第7の実施の形態と同じ制御系にてエネルギー蓄積要素のエネルギーを利用した電源補償を実現できる。
【0046】
(第9の実施の形態)
第8の実施の形態と異なり、電流源ipvではなく、定電圧源vcを電力変換回路10の第1のコンデンサCdに並列接続した際の実施の形態を図16に示す。
並列側制御部52において、第1のコンデンサCdから検出する電圧値をもとに第1のコンデンサCdを所望の基準値に保つ帰還を行うのに変えて、第1のコンデンサCdと定電圧源vcとの間の電流の時間平均値を零に導く帰還を行う点が、第8の実施の形態と異なる。具体的には、並列側制御部52において、基準電流波形を、負荷2の電圧の基本波成分と周波数が同じで高調波成分を含まない正弦波に、第1のコンデンサCdと定電圧源vcとの間の電流の時間平均値を零に導く振幅の定数を掛け合わせることで算出する。このことにより、電力変換回路10に接続するエネルギー源が電流源でなく定電圧源であっても、第1のコンデンサCdと定電圧源vcとの電圧の違いを電力変換回路10の動作にて解消し、第1のコンデンサCdの電圧を定電圧源vcの電圧に合わせることで、他のエネルギー源を利用した電源補償を実現できる。ただし、接続する定電圧源の電圧値は、電源補償装置を設計する際の設計範囲内であることが条件である。すなわち、定電圧源の電圧値が設計範囲内であるときには、本実施の形態のより、第4の実施の形態に示す電力調整手段を設けることなく、エネルギー源を第1のコンデンサCdに接続することができる。具体的には、出力効率を向上できる太陽電池の動作電圧が設計範囲内であったり、燃料電池の出力電圧が設計範囲内であったときに、太陽電池や燃料電池の接続において装置構成を簡略化できる。
【0047】
(第10の実施の形態)
第1の実施の形態の電源補償装置を用いて、交流電源1を故障等の理由により切り離し、別の電源を生成する無停電電源装置を実現する。主回路構成は図1と同じであるが、制御系を無停電電源として機能させるために切り替える必要がある。また、第1のコンデンサCdは、交流電源1における電圧の瞬時的な低下の補償など、エネルギー消費が少ない場合は、第1のコンデンサCdの蓄電能力のみで対応できる可能性があるが、電流源や蓄電池を並列接続するなどして、他のエネルギー源によりエネルギーの供給を受けられる状態にて使用することが好ましい。
無停電電源装置の制御系を説明する図を、無停電補償のために生成する電源の半周期ごとに図17および図18に示す。図17は、正の半周期にて電圧を生成させるためのスイッチングの説明図であり、図18は、負の半周期にて電圧を生成させるためのスイッチングの説明図である。
図17および図18にて、電力変換回路10のうち交流電源1側のスイッチ回路Leg1のスイッチ素子S1およびS2は、同時にオフとすることで、交流電源1と負荷2とを切り離す。このとき、物理的なスイッチと異なり、第1のリアクトルに蓄えられた転流エネルギーによるサージ電圧が発生しないとともに、スイッチの開放にかかる時間遅れが少ないことが利点である。
図17においては、第1のコンデンサCdの両端の電圧を利用し、出力する電圧が正の半周期の期間は、スイッチ回路Leg2のスイッチ素子S2およびS5のうち、第1のコンデンサCdの正電圧側であるスイッチ素子S2をオン、他方のスイッチ素子S5をオフとする。この期間中、スイッチ回路Leg3のスイッチ素子S3およびS6のスイッチングの組み合わせにより、パルス状の正の電圧をスイッチ回路Leg2とLeg3との間に出力する。このパルス状の電圧出力をリアクトルにより平均すると半波の正弦波となるように、パルス幅を調整し、正の半周期の正弦波を実現する。
一方、図18は、図17の逆で、負の半波の正弦波を実現するため、負の半周期の期間は、スイッチ回路Leg2のスイッチ素子S2およびS5のうち、第1のコンデンサCdの正電圧側であるスイッチ素子S2をオフ、他方のスイッチ素子S5をオンに固定する。この期間中、スイッチ回路Leg3のスイッチ素子S3およびS6のスイッチングの組み合わせにより、パルス状の負の電圧をスイッチ回路Leg2とLeg3との間に出力することは図17と同じである。この図17と図18とを交互に切り替えて、無停電電源を実現できる。
【0048】
以下、実施の形態1、4、7および8に係る、交流電源1を流れる電流が負荷2の電圧の基本波成分と同相である場合の電源補償装置の実施例1を示す。
【0049】
(実施例1)
図19に、本発明の電源補償装置の制御ブロック図を示す。図にて、電力変換回路10は、スイッチ回路Leg1がPWM信号7aに対応し、スイッチ回路Leg2がPWM信号7bに対応し、スイッチ回路Leg3がPWM信号7cに対応する。ここで、スイッチ回路Leg1とスイッチ回路Leg2とが直列コンバータ部SCの役割をし、スイッチ回路Leg2とスイッチ回路Leg3とが並列コンバータ部PCの役割をする。すなわち、PWM信号7aおよび7bは、直列コンバータ部SCのための信号となり、PWM信号7bおよび7cは、並列コンバータ部PCのための信号となる。すなわち、PWM信号7bは、2つの要求を満たす値となる。
【0050】
次に制御の流れを説明する。
まず、並列コンバータ部PCにおいて共通でないスイッチ回路であるLeg3に与えるPWM信号7cは、電流検出器60により検出する交流電源からの電流iを基準電流波形iと比較して偏差を求め、その偏差を比例Pや比例積分PIの電流調節器66に通すことにより三角波と比較する基準波を決定し、その基準波をコンパレータ68aにて三角波67と比較することにより決定する。このとき、電流検出器60からの電流iの比較対象となる基準電流波形iは、電圧検出器61により検出する電力変換回路10の直流側電圧Eを、一定値である基準電圧Eと比較して偏差を求め、求めた偏差を比例Pや比例積分PIの電流調節器63に通して振幅Iとし、この振幅Iを、負荷2の基本波成分の周波数、すなわち交流電源1の周波数と同期して歪みを含まない正弦波と掛け算器65にて掛け合わせて決定する。この、交流電源1の周波数と同期して歪みを含まない正弦波は、図に示すように、電圧検出器62により負荷電圧を検出して、その負荷電圧を帯域通過フィルタ(BPF)64を通すことにより得ることができるが、交流電源1の周波数と同期する同期信号を得て関数発生器で作成することもできる。
【0051】
一方、並列コンバータ部PCにおいて共通のスイッチ回路であるLeg2に与えるPWM信号7bは、直列コンバータ部SCと並列コンバータ部PCとの電圧分担を考慮し、端子T1-T2間とT2-T3間で所望の電圧分担となるように決定する。簡単には、端子T2を中性点として端子T1側と端子T3側への電圧分担を半々に振り分けて決定することができる。また、電圧分担は半々に限らず、電圧波形歪みが大きくない場合には、直列コンバータ部SC側(T1-T2間)での電圧割合を少なめにし、並列コンバータ部PC側(T2-T3間)での分担割合を大きくすることができる。例えば、端子T1-T2間とT2-T3間の電圧分担割合を2:8として、電力変換回路10の直流側電圧が200Vのときに、端子T1-T2間にて10V前後の補償を行い、端子T2-T3間にて150V前後の補償を行うことが制御の自由度の確保の面で実用的と考える。
具体的には、図19におけるPWM信号7b用のコンパレータ68bに、PWM信号7cを求めるときにコンパレータ68aに入力した基準波をゲイン調節器69にてゲイン調節した値を入力し、PWM信号7bを決定する。例えば、ゲイン調節器69を逆符号にて0.8倍となるように設定する。
【0052】
また、直列コンバータ部SCにおいて共通でないスイッチ回路であるLeg1に与えるPWM信号7aは、電圧検出器62により検出した負荷端子電圧eから抽出した電圧波形歪み成分をゲイン調節器70に通過させ、その値にコンパレータ68bへの入力である基準波を足しこみ、その足しこんだ値をコンパレータ68cで三角波67と比較することで決定する。このように、共通のスイッチ回路であるLeg2の電位を考慮して、スイッチ回路Leg1のためのPWM信号7aを決定するため、端子T1-T2間にて電圧波形歪み成分を補償する電圧を発生することができる。なお、電圧検出器62により検出した負荷端子電圧eから電圧波形歪み成分を抽出するには、図に示すように、帯域通過フィルタ(BPF)64を通過した値を通過前の値から差し引くことで実現できる。また、BEF(帯域除去フィルタ)を用いることもできる。
【0053】
以下、実施例1(図19)に係る電源補償装置の実験例1~4について説明する。
【0054】
[実験例1]
図19の制御ブロック図にて、交流電源1の電圧eが±130Vでピークカットされた周波数60Hzの歪み波電圧であるとき、負荷2として整流回路が接続されたときのシミュレーション結果を図20に示す。ただし、負荷2は、交流インダクタンスが2mH、整流出力端の平滑コンデンサが2200μF、直流負荷抵抗が50Ωの整流回路による非線形負荷である。また、第1のリアクトル4は2mH(1.9% 200Wbase)、第2のリアクトル5は3mH、電力変換回路10の直流側端子に接続される第1のコンデンサCは5000μF、第1のコンデンサCの電圧基準値Eは160Vであり、フィルタとして用いられる第2のコンデンサ6は50μF、第2のコンデンサ6に直列接続されるフィルタ抵抗7は5Ωである。図20より、負荷2の電圧eは、直列コンバータ部SCの動作電圧eにより正弦波出力が得られているとともに、交流電源電流iは並列コンバータ部PCの出力電流iにより、正弦波に制御されていることが確認できる。
比較として、図21に、同条件にて無制御の場合のシミュレーション波形を示す。図21より、負荷2の電圧eは、交流電源1の電圧の歪eに加え、非線形負荷電流iにより大きく歪んでいることが確認できる。
【0055】
[実験例2]
図19の制御ブロック図にて、負荷2として、線形負荷を接続したときのシミュレーション結果を図22に示す。ただし、線形負荷は、抵抗20Ω、インダクタ40mHの遅れ負荷であり、交流電源1の電圧は、波形歪を含まない実効値が100V、周波数60Hzの正弦波である。図22より、並列コンバータ部PCによる電流iにより、電源電流iが負荷2の電圧eoと同相になり、第1のリアクトル4における無効電流の影響を除けば交流電源1の電圧のeとほぼ同相になっていることがわかる。これにより、ほぼ力率1の無効電流補償動作が確認できる。
【0056】
[実験例3]
図19の制御ブロック図を用いて、電力変換回路10の直流側端子に太陽電池を接続するシミュレーション結果を図23に示す。ただし、太陽電池は、直流側の開放電圧が200V、内部直列抵抗が8Ωの直流電源と仮定した。図より、交流電源1の電圧eが歪み、負荷2の電流iが歪んでいるにも関わらず、負荷2の電圧eが正弦波に、また、交流電源1の電流iについても正弦波に制御されている。加え、電流iは電圧eと逆相であり、正弦波電流がほぼ力率1で交流電源1に送出されていることを確認できる。
また、比較として、電源品質補償動作を行わずに通常の系統連系インバータとして機能させたときのシミュレーション結果を図24に示す。通常の系統連系動作のみでは、交流負荷2の電圧eと交流電源1の電流i共に、大きな波形歪みを生じることがわかる。
【0057】
[実験例4]
実験例1と類似の条件にて、電源品質の補償動作を実験にて確認した結果を図25に示す。ただし、第2のリアクトル5は0.5mH、電力変換回路の直流側端子に接続される第1のコンデンサCは3140μF、電力変換回路の動作周波数は20kHzであり、フィルタとして用いられる第2のコンデンサ6が20μF,第2のコンデンサ6に直列接続されるフィルタ抵抗7が3Ωである点が異なる。図より、負荷2の電圧eおよび交流電源1の電流iは正弦波に波形制御されていることが確認できる。
比較として、図26に、同条件にて無制御とした場合の実験結果を示す。図26より、負荷2の電圧eおよび交流電源1の電流iが大きく歪むことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の電源補償装置は、電源電圧波形の補償をしたり、系統に対して好ましい電流波形や力率に調整したりする装置に適しており、また、燃料電池や太陽光発電、風力発電等の電力会社外から供給される電力を電力会社の系統に接続する際に使用する装置として適している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施の形態に係る電源補償装置の主回路構成。
【図2】第1の実施の形態に係る電源補償装置の等価回路。
【図3】第1の実施の形態に係る電源補償装置の波形改善の様子。
【図4】第1の実施の形態の比較例の波形の様子。
【図5】第2の実施の形態に係る電源補償装置の比較例の主回路構成。
【図6】第2の実施の形態の比較例に変圧器を追加した他の比較例。
【図7】第3の実施の形態に係る電源補償装置の等価回路。
【図8】第4の実施の形態に係る電源補償装置の主回路構成。
【図9】第4の実施の形態に係る電源補償装置の波形改善の様子。
【図10】第4の実施の形態の比較例の波形の様子。
【図11】第5の実施の形態に係る電源補償設備の回路構成。
【図12】第5の実施の形態に係る電源補償設備の等価回路。
【図13】第6の実施の形態に係る電源補償設備の等価回路。
【図14】第7の実施の形態に係る電源補償装置の制御図。
【図15】第8の実施の形態に係る電源補償装置の制御図。
【図16】第9の実施の形態に係る電源補償装置の制御図。
【図17】第10の実施の形態に係る無停電電源装置の動作説明図。
【図18】第10の実施の形態に係る無停電電源装置の動作説明図。
【図19】本発明の実施例1に係る制御ブロック図である。
【図20】本発明の実験例1に係るシミュレーション結果の動作波形である。
【図21】本発明の実験例1の比較となるシミュレーション結果の動作波形である。
【図22】本発明の実験例2に係るシミュレーション結果の動作波形である。
【図23】本発明の実験例3に係るシミュレーション結果の動作波形である。
【図24】本発明の実験例3の比較となるシミュレーション結果の動作波形である。
【図25】本発明の実験例4に係る実験結果の動作波形である。
【図26】本発明の実験例4の比較となる実験結果の動作波形である。
【図27】(a)従来の安定化電源装置を説明する等価回路、(b)従来の系統連系インバータや無停電電源を説明する等価回路、(c)特許文献1に記載の安定化電源装置の回路図、(d)特許文献1に記載の安定化電源装置の等価回路。
【符号の説明】
【0060】
1 交流電源
2 負荷
3 補償電圧源
4 第1のリアクトル
5 第2のリアクトル
6 電流源
7a PWM信号、7b PWM信号、7c PWM信号
10 電力変換回路
50 PWM制御部
51 直列側制御部
52 並列側制御部
53 周波数の同期信号
54 位相指令
60 電流検出器
61 電圧検出器
62 電圧検出器
63 電流調節器
64 帯域通過フィルタ(BPF)
65 かけ算器
66 電流調節器
67 三角波
68a コンパレータ、68b コンパレータ、68c コンパレータ
69 ゲイン調節器
70 ゲイン調節器
100 電源補償装置
300 電源補償装置(比較例)
Cd 第1のコンデンサ
FG 関数発生器
Leg1 スイッチ回路、Leg2 スイッチ回路、Leg3 スイッチ回路
Leg2’ スイッチ回路
PC 並列コンバータ部
SC 直列コンバータ部
S1 逆導通機能を持つスイッチング素子、S2 逆導通機能を持つスイッチング素子
S3 逆導通機能を持つスイッチング素子、S4 逆導通機能を持つスイッチング素子
S5 逆導通機能を持つスイッチング素子、S6 逆導通機能を持つスイッチング素子
S2’ 逆導通機能を持つスイッチング素子、S5’ 逆導通機能を持つスイッチング素子
T1 端子、T2 端子、T3 端子
TR1 変圧器、TR2 変圧器
ipv 電流源
vc 定電圧源
ea 交流電源1の電圧波形
eb 直列コンバータ部SCによる電圧波形
ec 電圧源
eo 負荷2の電圧波形
ia 交流電源1を流れる電流波形
ic 並列コンバータ部PCの動作により実現される電流波形
iL 負荷2を流れる電流波形
Ed 直流側電圧
Ed 基準電圧
ia 基準電流波形
Ia 振幅
iu U相の相電流、iv V相の相電流、iw W相の相電流
iuo U相の負荷電流、ivo V相の負荷電流、iwo W相の負荷電流
eu U相の相電圧、ev V相の相電圧、ew W相の相電圧
eouv 線路UV間の負荷端子電圧、eowv 線路WV間の負荷端子電圧
ebu U相V相に渡り接続される電源補償装置の直列コンバータ部SCの出力電圧
ecuv U相V相に渡り接続される電源補償装置の並列コンバータ部PCの出力電圧
ebw W相V相に渡り接続される電源補償装置の直列コンバータ部SCの出力電圧
ecwv W相V相に渡り接続される電源補償装置の並列コンバータ部PCの出力電圧
ecwu W相U相に渡り接続される電源補償装置の並列コンバータ部PCの出力電圧
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
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【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26