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明細書 :バルク超電導体のパルス着磁法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4769301号 (P4769301)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
発明の名称または考案の名称 バルク超電導体のパルス着磁法
国際特許分類 H01F  13/00        (2006.01)
H01F   6/00        (2006.01)
FI H01F 13/00 ZAAA
H01F 7/22 H
請求項の数または発明の数 1
全頁数 9
出願番号 特願2008-522405 (P2008-522405)
出願日 平成19年6月13日(2007.6.13)
国際出願番号 PCT/JP2007/061859
国際公開番号 WO2007/148571
国際公開日 平成19年12月27日(2007.12.27)
優先権出願番号 2006168650
優先日 平成18年6月19日(2006.6.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年5月8日(2009.5.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】松下 照男
【氏名】小田部 エドモンド 荘司
個別代理人の代理人 【識別番号】100077263、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 純博
審査官 【審査官】田中 純一
参考文献・文献 特開平10-012429(JP,A)
特開平10-074622(JP,A)
特開平10-074621(JP,A)
特開平11-283822(JP,A)
特開平10-116721(JP,A)
特開平09-255333(JP,A)
特開2002-270421(JP,A)
調査した分野 H01F 13/00
特許請求の範囲 【請求項1】
バルク超電導体をパルス着磁法によって着磁させるに際し、磁場の印加方向に対してほぼ垂直な面内であって、バルク超電導体の外側の両側又は片側に、中央部分が厚く、周辺部分が薄い形状の銅材を配置することを特徴とするバルク超電導体のパルス着磁法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、バルク超電導体に着磁を行って永久磁石にするための、バルク超電導体のパルス着磁法に関する。
【背景技術】
【0002】
高温超電導体が発見されて、バルク(塊)超電導体という新しい材料形態での応用分野が開拓されてきた。これまでの金属超電導体では、絶対零度付近の極低温での応用に限られていた。即ち、これまでの金属超電導体では、材料の比熱が低すぎて、バルクでの応用はできず、線材か薄膜のような形態でのみ応用が実現されてきた。それに対して、高温超電導体は、使用温度が液体窒素沸点程度と高く、比熱が格段に高くなるので、超電導体の不安定性があまり生じず、超電導体をバルクで応用することができるようになった。そして、最も期待されているのは、着磁を行って、永久磁石の代りに使う応用分野である。通常の永久磁石では、せいぜい数百mT(テスラ)(数千G(ガウス))の磁束密度しか発生できないが、バルク超電導体では17Tという高い磁束密度をも発生させることに成功している。
【0003】
例えば、下記の非特許文献1では、高温バルク超電導体に、29Kで17Tの磁束密度を発生させることに成功している。この磁束密度の達成は、磁場中冷却という手法で行われている。つまり、バルク超電導体を臨界温度よりも高い温度にしておき、外部から超電導磁石を用いて高い磁束密度を与える。この状態で、バルク超電導体を冷却して(磁場中冷却)超電導状態にし、磁束密度を保つようにさせる。しかし、この方法では、着磁の際にいつも大きな超電導磁石を必要とする欠点がある。従って、より簡便な着磁方法が望まれている。

【非特許文献1】M.Tomita and M.Murakami, Nature, vol. 421, pp. 517 - 520 (2003)
【0004】
簡便に磁束密度をバルク超電導体に発生させる方法として、パルス着磁が注目されてきている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、バルク超電導体付近の銅コイルに、パルス電流を流して着磁する方法である。この方法では、超電導磁石に比べて簡便な装置で着磁できる利点があるものの、着磁される磁束密度の大きさは、数T程度と磁場中冷却に比べて低いことが問題とされている。小さい捕捉磁束密度の原因は、超電導体に磁束密度を外部から着磁させるときに、パルス状であるために磁束線の動きが速く、磁束線の動きに伴う発熱が大きく、そのために超電導体の温度が一瞬高くなり、磁束を補足する力が弱まり、一度内部に入った磁束が、パルス磁場の減少と共に捕捉できずに外部に抜け出てしまうためである。つまり、発熱を抑える工夫が必要である。そこで、発生した熱を効率的に取り除く工夫が提案されている(特許文献2と3参照)。この方法では、リング状にした銅によって厚みのある円盤型のバルク超電導体を挟み熱を逃す工夫をしているが、しかし、達成される磁束密度が未だ十分ではない。

【特許文献1】特開平10-154620号公報
【特許文献2】特開2004-319797号公報
【特許文献3】特開2005-294471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バルク超電導体を電導体として使用するのではなく、非常に大きな磁力を持つ永久磁石として使用するために、簡便なパルス着磁法により、バルク超電導体を効率良く着磁する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち出願当初の請求項1(以下「請求項1」等という。)に記載された発明は、バルク超電導体をパルス着磁法によって着磁させるに際し、バルク超電導体の上部及び/又は下部に銅材を配置することを特徴とするバルク超電導体のパルス着磁法である。例えば、バルク超電導体の冷却に冷凍機による直接冷却を行っている場合には、バルク超電導体の上部又は下部から冷却している場合が多いので、その冷却に使用する銅材の形状を変えることが考えられる。また側面から冷却している場合には、バルク超電導体の上面及び/又は下面に銅材を配置すれば良い。
【0007】
本発明のうち請求項2に記載された発明は、銅材の厚みを変化させて、着磁を制御することを特徴とする請求項1に記載のバルク超電導体のパルス着磁法である。
【0008】
本発明のうち請求項3に記載された発明は、バルク超電導体が円盤型であり、銅材が円盤状である請求項1又は2に記載のバルク超電導体のパルス着磁法である。
【0009】
本発明のうち請求項4に記載された発明は、バルク超電導体が粉末の希土類123酸化物超電導体を含有する請求項1~3いずれか1つに記載のバルク超電導体のパルス着磁法である。
【0010】
本発明のうち請求項5に記載された発明は、バルク超電導体に直接接触しているか又は熱的に接続されて配置されている請求項1~4いずれか1つに記載のバルク超電導体のパルス着磁法である。
【0011】
本発明のうち請求項6に記載された発明は、銅材の形状がバルク超電導体の上下面で異なることを特徴とする請求項1~5いずれか1つに記載のバルク超電導体のパルス着磁法である。
【0012】
本発明のうち請求項7に記載された発明は、銅材が銅板である請求項1~6いずれか1つに記載のバルク超電導体のパルス着磁法である。
【0013】
本発明のうち請求項8に記載された発明は、バルク超電導体及び銅材の周囲に励磁用のコイルを配置する請求項1~7いずれか1つに記載のバルク超電導体のパルス着磁法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、パルス着磁法でバルク超電導体に着磁する磁束密度の大きさを大きくできる。
本発明の方法によるパルス着磁法では、磁束線の運動が制御され、磁束線の運動に伴う発熱が抑えられ、着磁の効果が向上する。また、本発明においては、銅材の厚みを変化させることによって、磁束線の運動を細かく制御し、着磁の効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】パルス着磁の方法を示す図である。
【図2】有限要素法におけるモデルを示す図である。
【図3】有限要素法で数値シミュレーションを行うモデル及び計算例を示す図である。
【図4】有限要素法で数値シミュレーションを行うモデル及び計算例を示す図である。
【図5】磁束の侵入深さの時間依存性のシミュレーションの結果を示す図である。
【図6】本発明において、バルク超電導体の上面と下面に、厚さの異なる銅板を配置した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 周辺部と中央部で厚さの異なる銅板
2 バルク超電導体
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
バルク超電導体とは、酸化物超電導体の利用形態の一つであり、一塊(バルク状)の超電導体を意味する。一般にバルク超電導体を磁化する(磁石にする)場合には、強い磁力を出す超電導コイルの中で冷却し着磁を行うが、高価な超電導コイルを必要とする。これは、前述のように磁場中冷却という。これに対し、パルス着磁法は、安価な銅線を使ったパルスコイルを用いて行うことができる。例えば、パルス着磁法は、バルク超電導体を氷点下230~250度前後に冷やし、約10ミリ秒の強いパルス磁場を当てることで、バルク超電導体に磁束密度を捕捉させ強力な磁石(4~5T程度)にすることができる。強いパルス磁場を与えると瞬間的に強い磁束密度が侵入するものの、バルクが急激に発熱する。温度上昇によりバルク超電導体の超電導特性が悪くなるため、磁束密度が逃げ、最終的に捕捉される磁束密度も小さくなる。
【0018】
このように、パルス着磁法による磁束密度が低い原因が発熱であるため、本発明では発熱そのものを抑える工夫を行う。そしてこのために、本発明は、バルク超電導体をパルス着磁法によって着磁させるに際し、バルク超電導体の上部及び/又は下部に銅材を配置することを特徴とするものである。バルク超電導体の上部又は下部、あるいは上部と下部の両方に、例えば、銅板等の銅材を配置してパルス着磁を行うと、磁束線の運動が制御され、磁束線の運動に伴う発熱が抑えられ、着磁の効果が向上するものである。本発明においては、銅材の厚みを変化させることによって、磁束線の運動を細かく制御し、着磁の効果を向上させることができる。
【0019】
バルク超電導体のパルス着磁においては、磁束線の動きが速すぎるために発熱するのであるから、磁束線の動きをゆっくりとさせる必要があると考えられる。磁束線の変化を遅くするには、大きなコイルと大きなコンデンサーバンクを準備すれば良いが、それでは着磁装置が大掛かりになり過ぎて、簡便に着磁するという目的を達成することができない。そこで、本発明では、バルク超電導体の上部又は下部、あるいは上下部両方に銅材、例えば銅板を配置する。この銅板があることにより、パルス磁場の急激な変化に対して、銅板にその磁束密度の増加を妨げるように遮蔽電流が流れ、従って磁束線の運動が格段にゆっくりとなり、バルク超電導体での発熱を抑えることができる。なお銅板では、バルク超電導体で発生した熱を逃すという効果ももちろん期待できる。
【0020】
磁束線の移動速度は、銅材、例えば銅板の厚さを変えることによって制御が可能である。例えば、表面付近は磁束線の移動速度を速くしたいのであれば、その付近の銅板の厚さを薄くすることにより、遮蔽効果が小さくなり、結果として磁束線の移動速度は速くなる。更にバルクの中心付近では磁束線の移動速度を遅くしたいのであれば、中心付近では銅板の厚さを厚くしておく。これにより遮蔽電流による遮蔽効果が大きくなり、磁束線はゆっくりと移動することになるので、磁束密度を上げるのには不利ではあるが、発熱を抑えることができる。従って、本発明では、銅材の厚みを変化させて、着磁を制御する方法も好ましい。
【0021】
実際の着磁に際しては、何回かパルス磁場を印加することにより、徐々にバルク超電導体に磁束線を侵入させる方法が取られている。その際に、本発明の方法によって発熱が少ないと、捕捉することのできる磁束密度が十分に高くなり、効率的に着磁ができるものと考えられる。
【0022】
本発明において用いられるバルク超電導体は、次の様なものである。即ち、溶融法で作られたY-123(イットリウム123)に代表されるRE-123(RE=希土類)を材料として、バルク(塊)状の超電導体を作製するものである。具体的には、原材料を混ぜて、通常は錠剤型に成形し、中心に種結晶を置き、1000度を超える温度で溶融し、結晶配向をさせる。現在では、直径10cm、高さ3cmほどのほぼ単結晶のバルク超電導体が作られている。バルク超電導体は、薄膜や線材に比べて断面積を大きく取ることができることから、臨界電流を数1000Aに設定することができる。
【実施例】
【0023】
なお、実施例において用いた有限要素法(Fine Element Method、FEM)は数値解析の手法の一つとして広く知られている方法であり、解析対象領域を「有限要素」と呼ばれる比較的単純な形状の多数の副領域に空間分割し、各要素上で、求めたい未知変数を比較的簡単な関数、例えば一次関数で近似する方法である。そして、各要素上で、求めたいポテンシャルを近似関数で展開し、変分原理を用いて解析対象内のエネルギ-が最小となるようにポテンシャルを求める方法である。この有限要素法は、電磁場構造解析においても良く用いられる手法である(例えば、中田、高橋「電気工学の有限要素法」(森北出版 1982)や菊地「有限要素法概説」(サイエンス社 1980)参照)。
【0024】
粉末のY-123(イットリウム123)酸化物超電導体を原料として、従来公知の溶融法で作製される単結晶状のバルク超電導体について本発明方法を検証する。検証のために、上記有限要素法を用いた数値計算シミュレーションを行った。直径が100mm、厚みが10mmの円盤型の超電導体に、外部から磁束密度を1秒で2Tほど増加させるパルス磁場を印加する。この様子を図1に示した。図1に示したように、超電導体に、パルスマグネットを用いて、矢印の方向にパルス磁場を印加する。
【0025】
この時の外部と内部の磁束密度を、有限要素法を用いて計算した。今回は計算が複雑になるために、磁束の運動による発熱の効果は無視している。パルス磁場は、約100ミリ秒間のパルス磁場を印加し、時間間隔を設けて、複数回同様にパルス磁場を印加する。多少の発熱は、時間間隔を設けているので、温度上昇の累積は無視できる。着磁は飽和するまで順次累積されると共に、より内部へと侵入する。
【0026】
図2に、上記計算例で用いた有限要素法におけるモデルを示した。円盤型の超電導体について対称性から、また、シミュレーションの数値計算時間を短縮する目的で、1度(°)のものを切り出し、これのみをモデルとして使用した。当然、全部(360°)をモデル化した場合と同じ計算結果を得ることができる。図2に示したように、薄いバルク超電導体円盤の周りに空気層があり、全体が空気層で囲まれている形状となる。このように対称性の高い形状の場合には、角度1度分だけを取り出してモデルを作り、有限要素法によりシミュレーションをすると、計算量を大幅に削減することができる。
【0027】
図3及び図4に、有限要素法で数値シミュレーションを行うモデル及び計算例を示した。図3及び図4は、図2から1度分のみ切り出したモデルを用いている。全体は4層に分かれている。モデルは、円盤型のバルク超電導体の水平軸を基準として、バルク超電導体を含む内側の層と、バルク超電導体を含まない外側の層に分かれている。内側の層は、バルク超電導体の垂直軸を基準として3層に分かれている。図3は、上下は空気層としたモデル及び計算例の側面図である。挟まれている層がバルク超電導体である。また外側の層は、1層あり、空気層としている。外部磁束密度を2Tまで増磁したときに、内部に磁束が侵入している様子が分かる。つまり超電導体表面に矢印で示す磁束線は、内側層と外側層の境界に集中し、内部にまで侵入している。しかし、磁束線は、バルク超電導体の水平軸方向の中心近くまで侵入していない。矢印の向きは磁束線の方向である。ここで、上下の空気層を円盤状の銅板にすることにより、磁束の運動をゆっくりとすることができる。円盤状の銅板としたモデル及び計算例の側面図を図4に示す。
【0028】
モデルでは、円盤状の銅板は、円盤型のバルク超電導体と接しているとして計算したが、電気的には必ずしも接続されている必要はない。但し、熱的には、両者が直接接触又は接続している方が、超電導体で発生する熱を速やかに超電導体から銅板に取り除き、超電導体の温度を低温度に保つことに役立つ。従って、実際には、銅板はバルク超電導体と直接接触又は接続されているほうが好ましい。
【0029】
バルク超電導体は、基本的にピン止め効果により磁束を内部に入れないように働き、いわゆる形状効果のためにバルク超電導体表面の磁束密度が高くなる。一方で、ピン止め力を越えるローレンツ力がかかれば、磁束は内部に侵入していき、逆に一度侵入した磁束は、やはりピン止め力により外部には出ていかず、捕捉される。空気層の場合には、磁束は内部に簡単に侵入する様子が分かる。現実には磁束の運動により発熱し、温度が上がるとピン止め力が低下するので、折角侵入した磁束が、外部磁界の減少とともに捕捉することができずに出ていってしまう。
【0030】
図3及び図4において「空気」と記載されている部分は、モデルの一部ではなく空気層であり、「超電導体」と書かれている部分がモデルある。シミュレーション画面では、こうした表示になる。図4において「銅」と記載されている上下の層は、銅板を上部及び/又は下部に配置する場合でシミュレーションすることを意味しているものである。「空気」の部分の右側には励磁用のコイルが配置されていると考えて良い。
【0031】
図5は、侵入していく磁束のフロントの、バルク超電導体表面からの侵入深さの時間依存性のシミュレーション結果を示している。図5に示したように、磁束のフロントの、バルク超電導体表面からの侵入深さを、時間と共にプロットすると、銅材がない場合には、時間の経過と共に、磁束は速やかに超電導体内部に侵入していることが分かる。つまり、磁束の運動が速い状態であり、このままでは磁束の運動による発熱が避けられない。
【0032】
そこで、バルク超電導体の上下に導電率1×109[1/Ωm]の円盤状の銅板を付けて、同じように外部磁界を変化させたときの、侵入していく磁束のフロントの、バルク超電導体表面からの侵入深さを調べた。その結果も図5に示した。円盤状の銅板を付けることにより、磁束線の運動が抑制されることが分かる。
【0033】
図5から分かるように、磁束の侵入は、円盤状の銅板を付けると、付けていない時に比べて緩やかになり、磁束の速度は小さくなっていることが分かる。なお、磁束の速度はプロットの傾きから求めることができる。更に、導電率を10倍にして1×1010[1/Ωm]として計算した結果も図5に示した。磁束の侵入はより緩やかになっていることが分かる。つまり、磁束の運動を、円盤状の銅板を付けることにより、制御することができることが分かる。当然、円盤状の銅板の厚みを変えれば、細かく磁束の運動を制御することができる。つまり薄くすれば、磁束の速度は上げることができる。またその逆も可能である。
【0034】
ここでは有限要素法によるシミュレーション結果を示したが、実際の実験においても同様な効果は現れると言うことができる。それは、これまで、超電導現象の多くを、有限要素法という手法により解明することができているからである。実際に、本発明では、銅材にパルス磁場が印加された際に銅材に遮蔽電流が流れることにより、このパルス磁場による磁束密度の変化を妨げるという、非常に基本的な効果を利用しているので、その実現は比較的簡単である。シミュレーション結果では、導電率を上げることにより磁束線の運動の抑制効果が高いことを示しているが、これは遮蔽電流がより流れやすくなっているためであり、定量的にこのことを確かめることができている。また、銅材を用いた磁束線の運動の制御は、金属超電導体において試みられたことがある。従って、今回のシミュレーション結果も妥当なものであり、実際の実験を正確に反映するものであると考えられる。
【0035】
図6は本発明のパルス着磁法を具体的に実施する場合の、バルク超電導体と銅板の配置の一例を示す図である。円盤型のバルク超電導体2の上下面に、周辺部と中央部で厚さの異なる銅板1を付けた状態を示している。矢印は磁場の方向を示す。銅板は周辺部分では薄いので、磁束線の運動に対する遮蔽効果は小さく磁束線の速度は大きい。逆に中央部分では厚くなっているので、磁束線の速度は抑えられ、磁束線は入りにくい。従って、発熱の影響は小さくなる。発熱が小さくなれば磁束線が超電導体内にとどまりやすくなり、結果的に高い磁束密度を保持することができるようになる。このようにして磁束線の速度を制御することが可能である。上下面で違う形状の銅板を入れるということも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、バルク超電導体を電導体として使用するのではなく永久磁石として使用するパルス着磁に係るもので、非常に大きな磁力を持つ永久磁石が提供される。得られるバルク超電導体は、液体水素程度の温度に冷却しておくことによって、強力な永久磁石として利用できる。バルク超電導体パルス着磁磁石として、非常に小型化・簡素化ができるので、各方面での代替需要及び新規の需要が期待できる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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