TOP > 国内特許検索 > デジタルコンテンツ登録配信装置、システム及び方法 > 明細書

明細書 :デジタルコンテンツ登録配信装置、システム及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4956742号 (P4956742)
公開番号 特開2008-124971 (P2008-124971A)
登録日 平成24年3月30日(2012.3.30)
発行日 平成24年6月20日(2012.6.20)
公開日 平成20年5月29日(2008.5.29)
発明の名称または考案の名称 デジタルコンテンツ登録配信装置、システム及び方法
国際特許分類 H04N   7/173       (2011.01)
H04N   7/167       (2011.01)
FI H04N 7/173 610Z
H04N 7/167 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 25
出願番号 特願2006-308925 (P2006-308925)
出願日 平成18年11月15日(2006.11.15)
審査請求日 平成21年10月7日(2009.10.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
発明者または考案者 【氏名】曽根原 登
個別代理人の代理人 【識別番号】100097320、【弁理士】、【氏名又は名称】宮川 貞二
【識別番号】100100398、【弁理士】、【氏名又は名称】柴田 茂夫
【識別番号】100096611、【弁理士】、【氏名又は名称】宮川 清
【識別番号】100098040、【弁理士】、【氏名又は名称】松村 博之
【識別番号】100123892、【弁理士】、【氏名又は名称】内藤 忠雄
【識別番号】100131820、【弁理士】、【氏名又は名称】金井 俊幸
【識別番号】100134278、【弁理士】、【氏名又は名称】吉村 裕子
審査官 【審査官】月野 洋一郎
参考文献・文献 特開2004-138933(JP,A)
特開2003-258772(JP,A)
特開2004-153476(JP,A)
特開2007-201685(JP,A)
調査した分野 H04N 7/167、7/173
H04L 9/00-9/38
特許請求の範囲 【請求項1】
デジタルコンテンツを登録するコンテンツ登録部と;
前記コンテンツ登録部に登録されたデジタルコンテンツを記憶する外部記憶装置から前記コンテンツ登録部に登録されたデジタルコンテンツを取得可能なコンテンツ取得部、又は前記コンテンツ登録部に登録されたデジタルコンテンツを記憶する記憶部と;
前記登録されたデジタルコンテンツにスクランブルを施し、スクランブルの程度が異なる複数レベルのスクランブルコンテンツを生成可能なスクランブル化部と;
前記スクランブルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定するスクランブルレベル設定部と;
前記スクランブルレベルが設定されたスクランブルコンテンツを開示するスクランブルコンテンツ開示部と;
前記スクランブルコンテンツ開示部にて開示されたスクランブルコンテンツに係るデジタルコンテンツの配信要求を受け付ける配信要求受付部と;
前記配信要求が受け付けられたデジタルコンテンツを配信するコンテンツ配信部
前記登録されたデジタルコンテンツに対するアクセス、配信、閲覧要求、被引用、被リンク、被検索ヒット等のコンテンツ利用に係るデータを取得する利用データ計測部とを備え;
前記スクランブルレベル設定部は、前記利用データ計測部で取得されたデータに基づいて、前記デジタルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定可能である;
デジタルコンテンツ登録配信装置。
【請求項2】
前記スクランブルの手法として、ぼかし、揺らぎ、ゴースト、順序入替、マスク、モザイクのうちのいずれか又はこれらの組合せを用いる;
請求項1に記載のデジタルコンテンツ登録配信装置。
【請求項3】
前記コンテンツ配信部は、前記スクランブルコンテンツ開示部にて開示されたスクランブルコンテンツを原画像に復元させる復号鍵を配信する;
請求項1又は請求項2に記載のデジタルコンテンツ登録配信装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のデジタルコンテンツ登録配信装置と、前記デジタルコンテンツ登録配信装置に対してデジタルコンテンツの配信要求を行い、前記デジタルコンテンツ登録配信装置から配信されたデジタルコンテンツを受信し、再生するデジタルコンテンツ受信再生装置とから構成される;
デジタルコンテンツ登録配信システム。
【請求項5】
デジタルコンテンツ登録配信装置が行なうデジタルコンテンツ登録配信方法であって;
デジタルコンテンツを登録するコンテンツ登録工程と;
前記コンテンツ登録工程で登録されたデジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶工程と;
前記登録されたデジタルコンテンツにスクランブルを施し、スクランブルの程度が異なる複数レベルのスクランブルコンテンツを生成可能なスクランブル化工程と;
前記スクランブルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定するスクランブルレベル設定工程と;
前記スクランブルレベルが設定されたスクランブルコンテンツを開示するスクランブルコンテンツ開示工程と;
前記スクランブルコンテンツ開示工程にて開示されたスクランブルコンテンツに係るデジタルコンテンツの配信要求を受け付ける配信要求受付工程と;
前記配信要求が受け付けられたデジタルコンテンツを配信するコンテンツ配信工程
前記登録されたデジタルコンテンツに対するアクセス、配信、閲覧要求、被引用、被リンク、被検索ヒット等のコンテンツ利用に係るデータを取得する利用データ計測工程とを備え;
前記スクランブルレベル設定工程は、前記利用データ計測工程で取得されたデータに基づいて、前記デジタルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定可能である;
デジタルコンテンツ登録配信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを蓄積・配信するコンテンツ配信装置とコンテンツを受信・再生するコンテンツ受信装置からなるコンテンツ配信システムに関する。詳しくは、複数のスクランブルレベルを設けてスクランブルコンテンツを配信可能なデジタルコンテンツ配信装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツ配信装置に蓄積記録したコンテンツを、コンテンツ再生装置の配信要求に応じて配信するデジタルコンテンツ配信システムが幾つか提案されている。これらのコンテンツ配信システムは、個々のコンテンツを一つの単位として蓄積・記録するもので、配信の対象となるコンテンツはコンテンツサーバに格納され、受信装置からの配信要求に対して個々に配信される。
しかしながら、ネットワーク上のデジタルコンテンツビジネスでは、書店での立ち読みのように、コンテンツの無料閲覧を許容することにより購入意欲を掻き立てるというような購入促進対策が困難である。すなわち、コンテンツの全貌を見せてしまうと利用者はそのコピーを取れば目的を果たしてしまうことになるので、全体の提示はできない。しかしデジタルコンテンツの場合には、書籍を印刷し、装丁し、書店に展示するというようなコストがかかる販売準備行動は不要で、著作物さえデジタル化できれば、ネット上で販売活動を行える。このように誰でも(例え無名の者でも)あまりコストをかけないで販売活動をすることが可能である。他方、購入者側では、無名で、実績も不明な制作者が制作したデジタルコンテンツの内容を垣間見ることもなく、代金を支払って購入することはリスクが大きい。
【0003】
このため、デジタルコンテンツを配信前に一部のみを開示するものとして、コンテンツの配信に際してまず該コンテンツの一部分あるいは別途設定されたコンテンツをサンプルコンテンツとして送信し、引き続き配信要求があった場合にコンテンツ全体を送信するもの、公開部分と非公開部分を含むコンテンツにおいて購入前は公開部分だけにアクセスできるようにするものがあった。この他に、コンテンツを複数部分に分解して取り扱うものとして、コンテンツデータを複数の課金区間に分割し、課金区間毎に異なる暗号鍵で暗号化して部分視聴を可能とするもの、ユーザによって指定された部分コンテンツのみを送信しコピー可能とするもの、検索の効率化のためにコンテンツを部分化し、ユーザが要求する部分化コンテンツの編集を可能にするもの等があった。(特許文献1~5参照)
【0004】


【特許文献1】特開2002-63187号公報(段落0022~0105、図3~9)
【特許文献2】特開2001-51960号公報(段落0016~0088、図1~12)
【特許文献3】特開2004-133801号公報(段落0019~0112、図1~23)
【特許文献4】特開2005-92573号公報(段落0008~0033、図1~12)
【特許文献5】特開2002-55981号公報(段落0021~0084、図1~7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のコンテンツは部分的に公開するものの、いずれも購入前に公開の程度を制御するものではなく、したがって、戦略的にコンテンツの評判に応じて開示の程度をコントロールすることはできなかった。このようにネットワーク上のデジタルコンテンツビジネスでは、購入者にそれがどうようなコンテンツであるかを部分的に見えるようにした上で、販売者側にとって、どのようにしてコンテンツの評判を高め、利用者がそのコンテンツに関心を抱くようにするかが、すなわち、コンテンツの評判に応じた戦略的な対応ができるようにすることが課題である。
【0006】
本発明は、デジタルコンテンツについて、コンテンツの評判に応じて開示の程度をコントロールできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、配信対象のデジタルコンテンツを蓄積・配信するコンテンツ配信装置において、販売前には、配信の対象となるコンテンツを複数のコンテンツ片に分割し、コンテンツ片にスクランブル化を行ない配信することで、コンテンツとしては正常に視聴再生できないが、ある程度コンテンツの内容が評価できるように配信するデジタルコンテンツ登録配信装置及び登録配信方法を提供する。また、スクランブルレベルを複数設けることにより、コンテンツの評判に応じて開示の程度をコントロールできるようにスクランブルレベルを調整可能とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るデジタルコンテンツ登録配信装置100は、例えば図8に示すように、デジタルコンテンツを登録するコンテンツ登録部120と、コンテンツ登録部120に登録されたデジタルコンテンツを記憶する外部記憶装置300(図7参照)から登録されたデジタルコンテンツを取得可能なコンテンツ取得部100G、又はコンテンツ登録部120に登録されたデジタルコンテンツを記憶する記憶部と、登録されたデジタルコンテンツにスクランブルを施し、スクランブルの程度が異なる複数レベルのスクランブルコンテンツを生成可能なスクランブル化部150と、スクランブルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定するスクランブルレベル設定部140と、スクランブルレベルが設定されたスクランブルコンテンツを開示するスクランブルコンテンツ開示部160と、スクランブルコンテンツ開示部160にて開示されたスクランブルコンテンツに係るデジタルコンテンツの配信要求を受け付ける配信要求受付部170と、配信要求が受け付けられたデジタルコンテンツを配信するコンテンツ配信部190とを備える。
【0009】
ここにおいて、スクランブルとは、広く、コンテンツの内容を認知困難にするように加工する手法をいうものとし、例えば、「ぼかし」、「揺らぎ」、「ゴースト」、「順序入替」、「マスク」、「モザイク」等の手法を含むものとする。また、スクランブルコンテンツには、全く認知できないようにスクランブルされたものだけではなく、ある程度認知可能なようにスクランブルされたもの、例えば部分的にスクランブルされたものも含まれ、スクランブルレベルにより認知度が変化する。また、スクランブルレベルとは、典型的にはスクランブルコンテンツの内容の認知困難さの程度をいうが、内容の認知困難さの程度は定量化が難しいので、複数のレベルというとき、開示されている原画像の割合、コンテンツ片の寸法、画素のシフト量などの認知困難さに影響するパラメータを複数段階変えて、複数のレベルとしても良い。また、スクランブルコンテンツの開示は、ホームページ上で開示しても良いが、閲覧希望に応じてスクランブルコンテンツを送信しても良い。このように構成すると、デジタルコンテンツについて、コンテンツの評判に応じてスクランブルのレベルを代えて開示の程度を戦略的にコントロールできるコンテンツ登録配信装置を提供できる。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様に係るデジタルコンテンツ登録配信装置100において、例えば図8に示すように、登録されたデジタルコンテンツに対するアクセス、配信、閲覧要求、被引用、被リンク、被検索ヒット等のコンテンツ利用に係るデータ(以下、利用データという)を取得する利用データ計測部180を備え、スクランブルレベル設定部140は、利用データ計測部180で取得されたデータに基づいて、デジタルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定可能である。ここにおいて、コンテンツ利用に係るデータとして典型的には利用度を使用する。利用度とはコンテンツの利用される程度を示す指標をいい、例えばアクセス回数、配信回数、閲覧要求回数、被引用件数、被リンク件数、被検索ヒット回数、これらの増加率、頻度、アクセス時間を用いても良く、これらを組合せて用いても良い。また、設定可能であるとは、設定できるが常に設定する必要はないことを意味する。例えば、初期においては利用データが無いか少ないので参照する必要はない。このように構成すると、利用データを参照してスクランブルレベルを調整でき、例えば評判を向上させる傾向に調整が可能である。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に係るデジタルコンテンツ登録配信装置100において、例えば図5に示すように、スクランブルの手法として、ぼかし、揺らぎ、ゴースト、順序入替、マスク、モザイクのうちのいずれか又はこれらの組合せを用いる。ここにおいて、典型的にはいずれかの手法を単独で使用するが、これらの手法を組合せて用いても良い。また、順序入替には単数回及び複数回の交換が含まれる。このように構成すると、スクランブルに比較的使い易く有効な手法を使用できる。
【0012】
また、本発明の第4の態様は、第1乃至第3のいずれかの態様に係るデジタルコンテンツ登録配信装置100において、デジタルコンテンツは、画像、音、テキストのうちのいずれか又はこれらの組合せから構成される。ここにおいて、画像には、写真、グラヒック、図面、漫画等が含まれ、音には音声、音響等が含まれ、テキストには書籍、雑誌、新聞、文書等が含まれる。また、テキストの文字は日本語に限られず、アルファベット、絵文字、点字でも良い。またこれらの組合せには映画、TVドラマ、絵本等が含まれる。このように構成すると、広範なデジタルコンテンツに本発明を適用できる。
【0013】
また、本発明の第5の態様は、第1乃至第4のいずれかの態様に係るデジタルコンテンツ登録配信装置100において、コンテンツ配信部190は、スクランブルコンテンツ開示部160にて開示されたスクランブルコンテンツを原画像に復元させる復号鍵を配信する。このように構成すると、スクランブルコンテンツを復号する鍵を用いれば配信時の暗号化を省略でき、配信・復号の工程を簡易化できる。
【0014】
また、本発明の第6の態様に係るデジタルコンテンツ登録配信システム500は、例えば図7及び図8に示すように、第1乃至第5のいずれかの態様に係るデジタルコンテンツ登録配信装置100と、デジタルコンテンツ登録配信装置100に対してデジタルコンテンツの配信要求を行い、デジタルコンテンツ登録配信装置100から配信されたデジタルコンテンツを受信し、再生するデジタルコンテンツ受信再生装置200とから構成される。このように構成すると、本発明によるデジタルコンテンツ登録配信装置を用いることにより、コンテンツの評判に応じて開示の程度を戦略的にコントロールできるデジタルコンテンツ登録配信システムを提供できる。
【0015】
また、本発明の第7の態様に係るデジタルコンテンツ登録配信方法は、例えば図11に示すように、デジタルコンテンツを登録するコンテンツ登録工程S001と、コンテンツ登録工程S001で登録されたデジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶工程S002と、登録されたデジタルコンテンツにスクランブルを施し、スクランブルの程度が異なる複数レベルのスクランブルコンテンツを生成可能なスクランブル化工程S004と、スクランブルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定するスクランブルレベル設定工程S003と、スクランブルレベルが設定されたスクランブルコンテンツを開示するスクランブルコンテンツ開示工程S005と、スクランブルコンテンツ開示工程S005にて開示されたスクランブルコンテンツに係るデジタルコンテンツの配信要求を受け付ける配信要求受付工程S006と、配信要求が受け付けられたデジタルコンテンツを配信するコンテンツ配信工程S008とを備える。このように構成すると、デジタルコンテンツについて、スクランブルのレベルを代えて戦略的に開示の程度をコントロールできるコンテンツ登録配信方法を提供できる。
【0016】
また、本発明の第8の態様は、第7の態様に係るデジタルコンテンツ登録配信方法において、例えば図11に示すように、登録されたデジタルコンテンツに対するアクセス、配信、閲覧要求、被引用、被リンク、被検索ヒット等のコンテンツ利用に係るデータを取得する利用データ計測工程S007を備え、スクランブルレベル設定工程S003は、利用データ計測工程S007で取得されたデータに基づいて、デジタルコンテンツに関するスクランブルレベルを設定可能である。このように構成すると、利用データを参照してスクランブルレベルを調整でき、例えば評判を向上させる傾向に調整が可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、デジタルコンテンツについて、コンテンツの評判に応じて開示の程度をコントロールできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は本発明の概念を説明するための図である。図においてA~Eはスクランブルレベルを段階的に変えたコンテンツである。ここでは、コンテンツの内容を認知困難にするように加工する手法をスクランブルということとする。例えば、ぼかし、揺らぎ、ゴースト、順序入替、マスク、モザイク等の手法が該当する。はスクランブルされていない鮮明なコンテンツ、は少しスクランブル化され、少し不鮮明な部分を含むコンテンツ、はスクランブル化が進み、不鮮明な部分が中位のコンテンツ、はさらにスクランブル化が進み、内容の予測が難しいコンテンツ、は全範囲が黒色又は白色等でマスクされており、判別が不可能なコンテンツである。ここでは、スクランブルコンテンツは、全く認知できないようにスクランブルされたものではなく、ある程度認知可能なようにスクランブルされたもの、例えば部分的にスクランブルされたものであり、スクランブルレベルにより認知度が変化する。本発明はこのように段階的にスクランブルレベル(程度)を変えた複数のデジタルコンテンツを準備し、読者が購入する前には全範囲を開示することなく、かつコンテンツ内容に興味を持たせ購入したいと思わせるように、スクランブルレベルを戦略的に調整して開示し、評判に応じて開示の程度をコントロールしながら販売しようとするものである。
【0020】
図2に開示度と利用度の関係を説明するための図を示す。図2(a)は開示度と利用度の一般的な関係を示す図である。一般にコンテンツは興味深いものであればそれを開示すると、それに対する利用者の興味が増し、評判を呼ぶ。するとそのコンテンツを利用する(アクセスする)頻度が増す。A点(低開示度、低利用度の状態)において、開示度を高めていくと、当初は当該コンテンツが世の中で周知でないのでさほど利用度は上がらないが、次第に開示度を高めていくとやがて評判になり、利用度(例えばアクセス回数)が上昇する。そのうちに開示度の高め方を緩和しても評判が先行し、利用度はさらに上昇し、B点(高利用度の状態)に達する。しかし、開示度を上げ過ぎると、内容が推測でき購入欲がそがれてしまうという現象が生じる。さらに開示度を上げていくと利用度は下がり、C点(高開示度、低利用の状態)に達する。開示度と利用度との関係は多様であり、全てこのような軌跡を描くわけではなく、注目される良いコンテンツでは、高利用度の状態(B1点)が高開示度側にシフトし、高開示度での利用度が高くなり(C1点)、特徴のないコンテンツでは、高利用度の状態(B2点)が低開示度側にシフトし、高開示度での利用度が低くなる(C2点)。また、ベストセラーになるような優秀なコンテンツでは、全部開示しても購入欲をそそらせる。開示度と利用度は一般的にこのような傾向を示すと推測される。
【0021】
開示度とは、利用者に対するデジタルコンテンツの開示の程度を示す指標をいい、例えば、コンテンツ全体に対する開示部分の割合をビット数(又はメモリ容量)で表しても良く、割合をウェブページ数で表しても良い。利用度とは、コンテンツの利用される程度を示す指標をいい、例えばアクセス回数、配信回数、閲覧要求回数、被引用件数、被リンク件数、被検索ヒット件数、これらの増加率、頻度、アクセス時間(概要が開示される場合等)を用いても良く、これらを組合せて用いても良い。
【0022】
コンテンツの開示度と利用度間のこのような傾向を利用して、当該コンテンツの評判に応じて開示度をコントロールすることができる。図2(b)は開示度で意図的に利用度を高める方向に向かわせることを説明するための図である。まず、利用度データを計測して取得する。この計測された利用度に応じて開示度を設定し、これ以降の利用度に方向性を持たせようとするものである。グラフDはABC曲線のような場合を想定したもので、利用度が低い時は開示度を上げて利用度を高め、利用度が高い時は開示度を下げて、上げすぎて利用度が下がらないように調整しようとするものである。グラフEはAB1C1曲線のような右上り部分が多い場合を想定したもので、利用度が低い時から段階的に開示度を上げて利用度を高め、評判を調整しようとするものである。意図的な制御の方法はグラフD、グラフEに限られるものではなく、多様なグラフが可能である。例えば、2つの異なる時間における開示度で利用度を計測し、開示度が上昇すると利用度も上昇する場合は開示度を上げて評判を高め、開示度が上昇すると利用度が下降する場合は開示度を下げて評判を高めるようにしても良い。このように評判が高まるようにスクランブルレベルを調整可能である。また、評判が低くなるようにスクランブルレベルを調整することも可能である。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
図3にコンテンツが画像(ここでは麦藁帽子の写真)の場合のスクランブルレベルの例を示す。スクランブルレベル(程度)を段階的に変化させて、画像の認知性に関する実験的検討を行なった。なお、スクランブルレベルが高くなる程、開示度のレベルは低くなる。480×360画素のデジタル画像を、8×8画素を最小単位としてスクランブルの範囲(クラスタ数)を5~9とする5段階のスクランブル化を行なった。レベル5では格子の線部分をスクランブル化し、レベルを5~9に高めるに従い、格子間隔を細かくし、格子線幅を太くしていった。図よりスクランブルレベル(クラスタ数)が大きくなるにつれて画像が不鮮明になっていく様子がわかる。
【0024】
図4に、画像の同定率のクラスタ数依存性を示す。これは上記のスクランブル化された画像を22インチCRT画面上に1秒間提示し、20名の被験者に描画対象の名称を回答させた実験結果である。クラスタ数が5から9へ大きくなるにつれて画像の同定率が約77%から約34%まで次第に低下する傾向が見られ、クラスタ数すなわちスクランブルレベルが人間の画像認知性に影響していることがわかる。したがって、スクランブルレベル増減による画像認知度の制御が可能といえる。
【0025】
図5にスクランブル化の手法を例示列挙する。(a)「ぼかし」は画像の鮮明な部分をぼかすもので、例えば平均化フィルタを用いて当該画素等の明度を周囲の画素等を含む明度の平均値で置換することにより行なわれる。平均化に取りこむ周辺の画素等の範囲を大きくすることによりスクランブルレベルが増加する。明度として1(白)、0(黒)を用い、平均値を四捨五入して最終値としても良い。(b)「揺らぎ」は画素を左右方向、上下方向などに波状にシフトさせるものである。シフト量を大きく又は波の周期を短くすることによりスクランブルレベルが増加する。(c)「ゴースト」はゴーストを発生させるものであり、当該画素を所定距離離れた画素と混合するものである。混合時に重み付けも可能である。重み付け係数を大きくする又はゴースト本数を増やすことによりスクランブルレベルが増加する。
【0026】
(d)「順序入替」は単位寸法に分割されたコンテンツ片の位置を順序入れ替えするものである。順序入替には単数回及び複数回の交換が含まれる。順序入替する単位寸法、順序入替する範囲(コンテンツ片の数)を変えることによりスクランブルレベルを制御可能である。なお、順序入れ替えする範囲が同じであっても、順序入れ替えするコンテンツ片の寸法が大きければコンテンツ内容を認知しやすく、順序入れ替えするコンテンツ片の寸法が小さければコンテンツ内容を認知し難い。(e)「マスク」は単位寸法に分割されたコンテンツ片を白色片又は黒色片でマスクするものであり、マスクするコンテンツ片の寸法、マスクする範囲(コンテンツ片の数)によりスクランブルレベルを制御可能である。なお、マスクする範囲が同じであっても、マスクする単位領域の寸法が大きければコンテンツ内容を認知しやすく、マスクする単位領域の寸法が小さければコンテンツ内容を認知し難い。(f)「モザイク」は半透明の有彩色、無彩色のモザイクを重ねて原画像を認知し難くするもので、重ねるモザイクの寸法、範囲、明度、彩色によりスクランブルレベルを制御可能である。なお、単一の彩色で全画像領域を覆うモザイクを使用することも可能である。
【0027】
図6に「マスク」を用いたスクランブル化の例を示す。図の斜線はマスクされる部分を示す。図6(a)~(c)はスクランブル化する範囲を変化するもので、図6(a)は全画像領域の1/4、図6(b)は1/2、図6(c)は3/4をマスクする。スクランブル化する範囲、すなわちマスクする範囲が大きくなるにつれて原画像の残存範囲が小さくなり、原画像を認知し難くなる。図6(d)~(f)はスクランブル化するマスクの寸法を変化するもので、図6(d)は画像の1/4、図6(e)は1/16、図6(f)は1/64の寸法のマスクが用いられる。マスクの寸法が小さくなるにつれて画像の連続領域が小さくなり、原画像を認知し難くなる。図3の例は図6(a)~(c)でマスクされる部分が格子の線上の場合である。
【0028】
「順序入替」の場合は、図6(a)~(f)において、図の斜線のマスクされる部分について順序入れ替えによるスクランブルを行い、白地部分に原画を残すこととすれば、図6(a)~(c)ではスクランブル化する範囲により原画像の認知度が変化し、図6(d)~(f)ではスクランブル化する連続領域の寸法により原画像の認知度が変化する。
【0029】
図7に、本実施の形態におけるコンテンツ登録配信装置100、コンテンツ受信再生装置200からなるデジタルコンテンツ登録配信システム500の構成例を示す。コンテンツ登録配信装置100は配信対象のコンテンツを記憶する外部記憶装置300を有し、コンテンツ登録配信装置100とコンテンツ受信再生装置200は、例えばインターネットなどの通信回線400を通じてネットワーク的に接続されているものとする。コンテンツ登録配信装置100は予め外部記憶装置300に記憶されているデジタルコンテンツを取得して登録しても良く、CD-ROM,DVD等の記憶媒体やインターネットからデジタルコンテンツを取得して外部記憶装置300に記憶すると共に登録しても良い。また、外部記憶装置300に代えて又は併用して取得・登録したデジタルコンテンツを内蔵の記憶部に記憶しても良いが、本実施の形態ではシステムに付属する外部記憶装置300に記憶するものとする。コンテンツ登録配信装置100は外部記憶装置300に記憶したデジタルコンテンツの原画像をスクランブル化してスクランブルコンテンツを生成し、原画像と共に外部記憶装置300に格納する。スクランブル化のレベル(程度)は複数レベル可能であり、その中から1レベルを設定して開示する。利用者はコンテンツ受信再生装置200からコンテンツ登録配信装置100により開示されたスクランブルコンテンツを閲覧して、デジタルコンテンツの内容を部分的に把握した上で、コンテンツの全容を知りたいと思う場合にはコンテンツ登録配信装置100に配信要求を行なう。コンテンツ登録配信装置100はコンテンツ受信再生装置200からの配信要求を受け付けて、スクランブル化されたデジタルコンテンツを復号する復号鍵又は暗号化された原画像とともにこれを復号する復号鍵を配信する。コンテンツ受信再生装置200は、配信されたスクランブル化されたデジタルコンテンツを又は暗号化された原画像を復号鍵を用いて再生する事で、利用者によるデジタルコンテンツの視聴を可能とする。本実施の形態では配信要求に対して暗号化された原画像を送受信するものとする。
【0030】
図8に、コンテンツ登録配信装置100の機能構成例を示す。本実施の形態におけるコンテンツ登録配信装置100は、登録配信制御部110、コンテンツ登録部120、コンテンツ分割格納部130、スクランブルレベル設定部140、スクランブル化部150、スクランブルコンテンツ開示部160、配信要求受付部170、コンテンツ配信部190、利用データ計測部180、登録配信情報記憶部100M、コンテンツ取得部100Gを備える。
【0031】
コンテンツ登録配信装置100は、登録配信制御部110の制御にしたがって動作する。コンテンツ登録部120は、配信の対象とするデジタルコンテンツの登録を受け付け、これらデジタルコンテンツの識別情報及びコンテンツのタイトルやデータ長などの書誌情報を記憶する。配信の対象となるデジタルコンテンツは当該システムに付属する外部記憶装置300に蓄積する。他のシステムの外部記憶装置、CD-ROM,DVD等の記録媒体やインターネットからデジタルコンテンツを取得して登録する場合には、コンテンツ取得部100Gで取得し、コンテンツ登録部120に登録し、付属の外部記憶装置300に記憶する。
【0032】
コンテンツ分割格納部130は、登録を受け付けたコンテンツを複数の単位寸法のコンテンツ片に分割して、各コンテンツ片を配列順に外部記憶装置300に記憶する。例えばデジタルコンテンツは、メモリアドレス0001にコンテンツ片01、メモリアドレス0002にコンテンツ片02、・・・、メモリアドレス0006にコンテンツ片06のように記憶される。外部記憶装置300における登録コンテンツ、各コンテンツ片の記録位置は登録配信情報記憶部100Mに記録される。また、後述するように、スクランブル化されたスクランブルコンテンツにおけるコンテンツ片の配列情報も登録配信情報記憶部100Mに記録される。なお、スクランブル方法(例えば、「ぼかし」、「揺らぎ」、「ゴースト」の場合)によっては、必ずしもコンテンツ片に分割することを要しない。
【0033】
なお、本実施の形態ではコンテンツ登録部120においてコンテンツの登録を受け付け、コンテンツ分割格納部130において該コンテンツを分割して外部記憶装置300に格納するものとしたが、コンテンツ登録部120において分割後にコンテンツの登録を受け付けても良い。また、本実施の形態では外部記憶装置300がコンテンツ登録配信装置100に付属するものとして外部記憶装置300に登録コンテンツ及びコンテンツ片を記録するものとしたが、内蔵の記憶部に記録するようにしても良い。
【0034】
スクランブルレベル設定部140は、スクランブルレベルを例えば図1のB~D、或は図3のクラスタ5~9のように複数レベルを予め準備しておき、これから開示する場合のスクランブルレベルを上記複数レベルから選択して設定する。
スクランブルレベルとして開示度を用いても良い。開示度は、典型的にはコンテンツ全体に対する開示部分の割合をビット数(又はメモリ容量)で表して用いられるが、割合をウェブページ数で表しても良く、画像ではフレーム数、音楽では小節数で表しても良い。初期(例えば1~3回まで)の開示度は予め定められた所定値を用いるが、その後は原則として利用データ計測部180で計測した開示度と利用度との関係データに基いて設定される。利用度として、例えばアクセス回数、配信回数、閲覧要求回数、被引用件数、被リンク件数、被検索ヒット回数、これらの増加率、頻度、アクセス時間を用いても良く、これらを組合せて用いても良い。また、これらのアクセス回数、アクセス時間の平均値や分散を用いて表しても良く、累積値を用いても良く、ウェイト付けや平準化を行なっても良い。測定された開示度と利用度との関係に基づいてデジタルコンテンツの開示度を制御するので、販売側では販売前にコンテンツの評判に応じて開示度を戦略的にコントロールでき、例えば評判を向上させる方向に調整が可能である。利用者側では購入前に品質を確認できる。
【0035】
スクランブル化部150は、各デジタルコンテンツをスクランブルレベル設定部140で設定されたレベルでスクランブル化する。
まず、スクランブル手法が(d)「順序入替」の場合について説明する。(d)「順序入替」は単位寸法に分割されたコンテンツ片の配置順序を入れ替えるものである。順序入れ替えするコンテンツ片の寸法、順序入れ替えする範囲(コンテンツ片の数)を変えることによりスクランブルレベルを制御可能である。例えば図6(a)~(c)のように順序入れ替えする範囲を3段階とし、スクランブルレベルをこれに対応させるものとする。図の斜線領域はスクランブルを行なう領域であり、白地領域は原画像が保持される領域である。簡単のため、コンテンツの単位寸法を画面の1/16×1/16とし、原画像を256個のコンテンツ片に分割するものとする。図6(c)では原画像が保持される64のコンテンツ片の配置は不変であり、残りの192のコンテンツ片の配置がスクランブル化されてランダムに入れ替えられる。このため、コンテンツ片の正しい配列を{C11,C12,…,C1F,C21,C22,…,C2F,…,CF1,…,CFF}、スクランブル化された配列を{S11,S12,…,S1F,S21,S22,…,S2F,…,SF1,…,SFF}とすると、i=1,5,9,13で、Cij=Sijとなるが、その他のiでは一般には異なるコンテンツ片に入れ替えられる。図6(b)では原画像が保持される128のコンテンツ片の配置は不変であり、残りの128のコンテンツ片の配置がスクランブル化されてランダムに入れ替えられる。i=1,2,5,6,9,10,13,14で、Cij=Sijとなるが、その他のiでは一般には異なるコンテンツ片に入れ替えられる。図6(a)では原画像が保持される192のコンテンツ片の配置は不変であり、残りの64のコンテンツ片の配置がスクランブル化されてランダムに入れ替えられる。i=1~3,5~7,9~11,13~15で、Cij=Sijとなるが、その他のiでは一般には異なるコンテンツ片に入れ替えられる。このようにコンテンツ片の順序が入れ替えられるが、いずれのスクランブルコンテンツもコンテンツ片の順序を入れ替える下記の入れ替え演算子Cexを用いることで表現可能である。
【0036】
【数1】
JP0004956742B2_000002t.gif
このように、図6(a)~(c)では順序入れ替えする範囲をスクランブルレベルに対応させられる。また、スクランブルコンテンツから原画像を復元するには、
【数2】
JP0004956742B2_000003t.gif
のように、Cexを元に戻す演算子Cex*を使用可能である。
【0037】
次に例えば図6(d)~(f)のように順序を入れ替える画像領域の寸法を3段階とし、スクランブルレベルをこれに対応させるものとする。図の斜線領域はスクランブルを行なう領域であり、白地領域は原画像が保持される領域である。簡単のため、コンテンツの単位寸法を画面の1/16×1/16とし、256個のコンテンツ片に分割するものとする。図6(d)では画像を1/4分割して、左上と右下の領域で原画像が保持され(128のコンテンツ片の配置は不変)、残りの128のコンテンツ片の配置がスクランブル化されてランダムに入れ替えられる。しかし1/4分割された2つの領域で連続した画像が保持されるので、コンテンツの内容が比較的解り易い。図6(e)では画像を1/16分割して、互い違いに配置された8領域で原画像が保持され(128のコンテンツ片の配置は不変)、残りの128のコンテンツ片の配置がスクランブル化されてランダムに入れ替えられる。しかし1/16分割された8つの領域で連続した画像が保持されるので、コンテンツの内容がの解り易さは中程度となる。図6(f)では画像を1/64分割して、互い違いに配置された32領域で原画像が保持され(128のコンテンツ片の配置は不変)、残りの128のコンテンツ片の配置がスクランブル化されてランダムに入れ替えられる。しかし1/64分割された32の領域で連続した画像が保持されるが、連続領域の寸法が小さいのでコンテンツの内容は解り難い。この場合もコンテンツ片の順序が入れ替えられるが、いずれのスクランブルコンテンツも入れ替え演算子Cexを用いることで表現可能である。また、スクランブルコンテンツから原画像を復元するには、Cexを元に戻す演算子Cex*を使用できる。
【0038】
次に、(e)「マスク」について説明する。「マスク」は単位寸法に分割されたコンテンツ片を白色片又は黒色片でマスクするものであり、マスクするコンテンツ片の寸法、マスクする範囲(コンテンツ片の数)によりスクランブルレベルを制御可能である。原画像が保持される領域については、前述の「順序入替」の場合と同様である。他方、スクランブル領域については、コンテンツ片の順序を入れ替える代わりに、全て白色片又は黒色片で置換する。このような態様でもスクランブルされない原画像の保持領域では、原画像を見ることができ、コンテンツ内容を部分的に認知可能である。この場合、原画像の配置をC11~CFF(256個)とし、その後に続けて、白色片又は黒色片の配置をCG1~CXF(例えば図6(d)~(f)では128個)とし、マスクするコンテンツ片をこれら白色片又は黒色片と置換すれば、「マスク」の場合のスクランブルコンテンツも入れ替え演算子Cex(図6(d)~(f)ではコンテンツ片数384個)を用いることで表現可能である。なお、この場合スクランブル画像として利用者が見ることができるのは、最初から256個のコンテンツ片に限られる。また、スクランブルコンテンツから原画像を復元するには、Cexを元に戻す演算子Cex*を使用できる。
【0039】
次に、(f)「モザイク」について説明する。「モザイク」は半透明の有彩色、無彩色のモザイクを重ねて原画像を認知し難くするもので、重ねるモザイクの寸法、範囲、明度、彩色、明色と暗色の割合によりスクランブルレベルを制御可能である。例えば、画面を図6(f)のように64分割し、白色部分には明るい半透明の色を、斜線部分には暗い半透明の色を重ねるものとする。この場合、スクランブル化部は、256個のコンテンツ片について、それぞれ原画像の彩色にモザイクの彩色を重ねた場合の新たな彩色を演算してスクランブルコンテンツ片を生成する。この場合、スクランブル片数を512個(このうち原画像のスクランブル片数は256個)として、Cex及びCex*を表現することも可能であるが、原画像を記憶しておけば、復元する場合にはスクランブルコンテンツを記憶された原画像と置換して復元することも可能である。
【0040】
次に、(a)「ぼかし」について説明する。(a)「ぼかし」は画像の鮮明な部分をぼかすもので、例えば平均化フィルタを用いて当該画素等の明度を周囲の画素等を含む明度の平均値で置換することにより行なわれる。平均化に取りこむ周辺の画素等の範囲を大きくすることによりスクランブルレベルが増加する。原画像の寸法を256画素×256画素とすると、1コンテンツ片は16画素×16画素で構成される。コンテンツ片を構成する各画素について、その周り8画素との平均値を演算し、四捨五入して新たな値とする。例えば当該画素が黒(0)、周囲(上下左右及び斜め方向の隣接画素)の4画素が黒(0)、4画素が白(1)の場合は平均化し四捨五入すると黒(0)となる。このような平均化処理を進めていくと、次第にぼけた画像に変化する。例えば平均化処理を5回繰り返したものをレベル1、10回繰り返したものをレベル2、20回繰り返したものをレベル3とする。この場合、スクランブル化部は、256個のコンテンツ片について、それぞれ原画像に平均化処理した場合の新たな画像を演算してスクランブルコンテンツ片を生成する。この場合、コンテンツ片数を512個として、演算子Cex及びCex*を表現することも可能であるが、原画像を記憶しておけば、復元する場合にはスクランブルコンテンツを記憶された原画像と置換して復元することも可能である。
【0041】
次に、(b)「揺らぎ」について説明する。「揺らぎ」は画素を左右方向、上下方向などに波状にシフトさせるものである。シフト量を大きく又は波の周期を短くすることによりスクランブルレベルが増加する。例えば、Δy=ysin(2πx/x)とし、xとyをパラメータとして画素のx座標に関してy方向にシフト量Δyをもたらすものとする。原画像の寸法を256画素×256画素とし、x=64(画素)とすると、x方向に4周期分変化する。y=16(画素)とするものをレベル1、y=32(画素)とするものをレベル2、y=64(画素)とするものをレベル3とする。この場合、スクランブル化部は、256個のコンテンツ片について、それぞれ原画像にシフト処理した場合の新たな画像を演算してスクランブルコンテンツ片を生成する。この場合、スクランブル片数を512個として、Cex及びCex*を表現することも可能であるが、原画像を記憶しておけば、復元する場合にはスクランブルコンテンツを記憶された原画像と置換して復元することも可能である。
【0042】
次に、(c)「ゴースト」について説明する。(c)「ゴースト」はゴーストを発生させるものであり、当該画素を所定距離離れた画素と混合するものである。混合時に重み付けも可能である。重み付け係数を大きくする又はゴースト本数を増やすことによりスクランブルレベルが増加する。例えば、x方向にゴーストを発生させるものとし、原画像を8画素ずらし、重みを原画像の1/2として加算したものをレベル1、これにさらに、原画像を16画素ずらし、重みを原画像の1/4として加算したものをレベル2、これにさらに、原画像を24画素ずらし、重みを原画像の1/8として加算したものをレベル3とする。この場合、スクランブル化部は、256個のコンテンツ片について、それぞれ原画像にゴースト処理した場合の新たな画像を演算してスクランブルコンテンツ片を生成する。この場合、スクランブル片数を512個として、Cex及びCex*を表現することも可能であるが、原画像を記憶しておけば、復元する場合にはスクランブルコンテンツを記憶された原画像と置換して復元することも可能である。
【0043】
このように、スクランブル化部150でスクランブル化されたコンテンツはコンテンツ片として外部記憶装置300に記憶され、原画像におけるコンテンツ片の配置C11~CFFの順序と共に複数のレベルについてスクランブル化された新たな配置S11~SFFの順序が情報記憶部100Mに記憶される。
【0044】
スクランブルコンテンツ開示部160は、スクランブルコンテンツを開示する。利用者は会員登録が必要であるが、自己のコンテンツ受信再生装置200からコンテンツ登録配信装置100のホームページにアクセス可能である。ホームページに登録コンテンツの一覧表を示しても良いが、コンテンツが多い場合は検索エンジンを利用して、検索条件に該当したコンテンツのみを一覧表示するのが良い。検索キーはコンテンツの種類(写真、グラヒック、図面、漫画、ビデオ、TV)、分野(生物、人物、乗り物、機械、建築、静物、服装、風景、空想、宇宙等)、タイトル、コンテンツ提供者等を検索項目とし、キーワード検索可能とする。また、検索条件に該当するデジタルコンテンツを一覧表示可能とする。一覧表に簡単な概要が示されると便宜である。利用者はホームページに示された一覧表から、興味あるコンテンツを発見した場合には、閲覧希望を行なう。閲覧希望は、例えば一覧表でデジタルコンテンツを指定し、ホームページに表示された閲覧希望ボタンをクリックすることにより行なわれる。
【0045】
スクランブルコンテンツ開示部160は、閲覧希望した利用者にスクランブルコンテンツを無料で送信する。このスクランブルコンテンツは、全く認知できないようにスクランブルされたものではなく、ある程度認知可能なようにスクランブルされたもの、例えば部分的にスクランブルされたものであり、スクランブルレベルにより認知度が変化する。スクランブルレベルは複数レベルのうちスクランブルレベル設定部140で設定されたレベルを用いる。外部記憶装置300に分割格納されたコンテンツ片を設定されたスクランブルレベルについて登録配信情報記憶部100Mに記憶された配列順序で読み出し、利用者のコンテンツ受信再生装置200に送信する。送信時には当該デジタルコンテンツを指定した配信要求書式を添付する。
【0046】
スクランブルコンテンツを見て、購入を希望する利用者は、自己のコンテンツ受信再生装置200からコンテンツ登録配信装置100に対し配信要求を行なうと共に、コンテンツ料金の支払い処理を行なう。配信要求は、例えば配信要求書式でデジタルコンテンツを指定し、同書式に表示された配信要求ボタンをクリックすることにより行なわれる。
【0047】
配信要求受付部170は、コンテンツ料金の支払い処理を確認し、コンテンツ受信再生装置200からの配信要求を受け付ける。配信要求はコンテンツ登録配信装置100に登録されたコンテンツを指定して行われる。なお、配信の対象となるコンテンツが明確になればそれで十分としても良いが、その他に、配信要求を行ったコンテンツ受信再生装置200の特徴や識別情報、あるいはその利用者の識別情報や認証情報、配信要求を行った日時、対価に関する情報などを含むようにしても良い。
【0048】
利用データ計測部180は、配信要求を受けたコンテンツに関して、コンテンツの配信回数(購入希望件数)をカウントし、利用データとする。また、スクランブルコンテンツの配信回数(閲覧希望件数)もカウントし、利用データとする。これらの利用データから例えば図2の開示度-利用度の関係データが生成され、これを参照することにより、今後開示するスクランブルコンテンツのスクランブルレベルを評判に応じて戦略的に設定し、意図的に利用度を高める方向に向かわせることが可能である。以後、新たに設定されたレベルのスクランブルコンテンツを開示する。
【0049】
図9に開示度を戦略的に設定する例を示す。利用度として累積アクセス件数を用いる例である。図9において、横軸は時間であり、上段のグラフの縦軸は累積アクセス件数を、下段のグラフの縦軸は開示度を示す。時間t1から当該コンテンツを開示し、利用度を測定する。図9にはコンテンツ(a)、コンテンツ(b)についてのコントロールの例を示す。上段のグラフに初期目標値を示す。コンテンツ(a)では、時間t1~t2で開示度をレベル2に設定する。t2で利用度データは初期目標値に到らなかったとする。そこで、時間t2~t3で開示度をレベル3に設定する。t3で利用度データは初期目標値を越えたとする。そこで、時間t3~t4で開示度をレベル3に維持する。t4で利用度データは初期目標値を越えた状態が維持されたとする。そこで、時間t4~t5で開示度をレベル3に維持する。t5で利用度データは初期目標値を越えた状態が維持されたとする。・・・。コンテンツ(b)では、時間t1~t2で開示度をレベル2に設定する。t2で利用度データは目標値を越えたとする。そこで、時間t2~t3で開示度をレベル1に設定する。t3で利用度データは目標値より低下したとする。そこで、時間t3~t4で開示度をレベル2に設定する。t4で利用度データは目標値になお到らなかったとする。そこで、時間t4~t5で開示度をレベル3に設定する。t5で利用度データは目標値を越えたとする。・・・。このように、販売者側のオペレータは、利用度データの推移を見ながら開示度をコントロールして、利用度を調整可能である。
【0050】
この開示度の設定を自動化することも可能である。例えば、t1,t2,…の各時点で、目標値からの差異が±10%以内であれば、現在の開示度のレベルを維持し、+10%を上回ればレベルを1段階下げ(現在最下位のレベルであればレベルを維持する)、-10%を下回ればレベルを1段階上げる(現在最上位のレベルであればレベルを維持する)ようにプログラミングしておく。なお、初期値は例えば最下位のレベルとする。これによりt1,t2,…の各時点で自動的に開示度が設定される。利用度と開示度が所定の関係になったときに開示度を変更するシナリオをコンテンツ毎に定めておくことも可能である。この場合、デジタルコンテンツの開示度をプログラムのシナリオの条件に沿ってコントロールし、利用度を意図的にある方向に向かわせようとすることが可能になる。
【0051】
コンテンツ配信部190は、配信要求されたデジタルコンテンツの原画像を、外部記憶装置300から抽出し、暗号化処理をした上で、復号鍵と共にコンテンツ受信再生装置200に配信する。コンテンツ片の配置順序を入れ替えて暗号化処理とすることも可能であり、この場合の復号鍵はCexを元に戻す演算子Cex*を使用可能である。なお、この場合、コンテンツ片を読み出した順番通りに一つずつ配信しても良く、幾つかのグループに分けて配信しても良く、一括して一つのデータとして配信しても良い。配信に際しては、コンテンツに関する識別情報や配信回数を示す情報、配信を受けるコンテンツ受信再生装置200に関する情報などを、コンテンツに付随させることが望ましい。特に、コンテンツ片を一括して配信する場合は、各コンテンツ片の区切りが分かるような情報を、配信コンテンツのヘッダあるいは断片コンテンツ間などに挿入することが望ましい。また、配信における安全性を高めるために、配信に係る諸種データをスクランブルして、復号鍵と共に配信しても良い。
【0052】
このように、コンテンツ登録配信装置100は、複数のスクランブルレベルを有するので、販売者側にとって、コンテンツの評判に応じて戦略的に開示の程度をコントロールし、利用者がそのコンテンツに関心を抱くように指向できる。また、購入者側にとって、それがどうようなコンテンツであるかを部分的にでも見ることができ、購入前にコンテンツの品質を確認できる。
【0053】
次に、コンテンツ受信再生装置200における、配信コンテンツの受信および再生の動作について説明する。
図10に、コンテンツ受信再生装置200の機能構成図を示す。本実施の形態におけるコンテンツ受信再生装置200は、受信再生制御部210、コンテンツ要求部220、コンテンツ受信部230、コンテンツ格納部240、復号鍵受信部250、コンテンツ再生部260および受信再生情報記憶部200Mから構成される。
【0054】
コンテンツ受信再生装置200は、受信再生制御部210の制御にしたがって動作する。
コンテンツ要求部220は、視聴再生の対象とするコンテンツに対する配信要求を生成し、コンテンツ登録配信装置100に送信する。
コンテンツ受信部230は、コンテンツ登録配信装置100より配信されるコンテンツ片を順次受信したり、グループ毎にあるいは一括して送付されるコンテンツ片の集合若しくは暗号化された原画像を受信する。
コンテンツ格納部240は、受信したコンテンツを記憶する。必要により、例えば演算子Cex*を用いて原画像を復元する場合にはコンテンツ片毎に分けて記録する。
復号鍵受信部250は、受信したスクランブルコンテンツを正常な順序で再生するための復号鍵又は暗号化された原画像を再生するための復号鍵を、コンテンツ登録配信装置100より受信し、受信再生情報記憶部200Mあるいは内部メモリなどに記録する。
コンテンツ再生部260は、順次受信したコンテンツ片、又はグループ毎に若しくは一括して受信したコンテンツ片の集合若しくは暗号化された原画像を復号鍵を用いて再生する。演算子Cex*を用いて原画像を復元する場合には、当該演算子を復号鍵として復号する。本実施の形態では閲覧要求に対してスクランブルコンテンツを、配信要求に対して暗号化された原画像を送受信するものとする。
【0055】
図11に、本実施の形態における登録配信方法の処理フロー例を示す。まず、コンテンツ登録部120で、蓄積・配信の対象とするデジタルコンテンツの登録を受け付け、これらデジタルコンテンツの識別情報及びコンテンツのタイトルやデータ長などの書誌情報を記憶する(コンテンツ登録工程:S001)。登録されたデジタルコンテンツは既に外部記憶装置300に記録されていたか、コンテンツ取得部100Gで取得され新たに外部記憶装置300に記憶される。次に、コンテンツ分割格納部130で、登録を受け付けたコンテンツを複数のコンテンツ片に分割して、各コンテンツ片を配列順に外部記憶装置300に記録する(コンテンツ分割格納工程:S002)。分割格納された各コンテンツ片の配置C11~CFFの順序は登録配信情報記憶部100Mに記憶される。「ぼかし」、「揺らぎ」、「ゴースト」等配列を入れ替えなくてもスクランブルされる場合には、コンテンツ片に分割しても良いが、必ずしもコンテンツ片に分割する必要はない。分割しない場合には外部記憶装置300内の原画像のアドレスを登録配信情報記憶部100Mに記憶すれば良い。次に、スクランブルレベル設定部140で、スクランブルレベルを例えば図1のB~D、或は図3のクラスタ5~9のように複数レベルを予め準備しておき、これから開示する場合のスクランブルレベルを上記複数レベルから選択して設定する(スクランブルレベル設定工程:S003)。
【0056】
次に、スクランブル化部150で、各デジタルコンテンツをスクランブルレベル設定部140で設定されたレベルでスクランブル化する(スクランブル化工程:S004)。スクランブル化部150でスクランブル化されたコンテンツに関して、複数のレベルについてスクランブル化された新たな配置S11~SFFの順序は登録配信情報記憶部100Mに記憶される。「ぼかし」、「揺らぎ」、「ゴースト」等の場合には、コンテンツ片に分割しても良いが配列順序を変える必要はなく、この場合は新たな配置S11~SFFの順序は分割格納された各コンテンツ片の配置CC11~CFFの順序のままで良い。また必ずしもコンテンツ片に分割する必要はない。この場合には外部記憶装置300内のスクランブルレベル毎のスクランブルコンテンツのアドレスを登録配信情報記憶部100Mに記憶すれば良い。次に、スクランブルコンテンツ開示部160で、スクランブルコンテンツを開示する。そして、閲覧希望した利用者に設定されたレベルでスクランブル化されたスクランブルコンテンツを登録配信情報記憶部100Mに記憶された配列順序で読み出し無料で送信する(スクランブルコンテンツ開示工程:S005)。スクランブルコンテンツを見て、購入を希望する利用者は、自己のコンテンツ受信再生装置200からコンテンツ登録配信装置100に対し配信要求を行なうと共に、コンテンツ料金の支払い処理を行なう。次に、配信要求受付部170で、コンテンツ料金の支払い処理を確認し、コンテンツ受信再生装置200からの配信要求を受け付ける(配信要求受付工程:S006)。また、利用データ計測部180で、配信要求を受けたコンテンツに関して、コンテンツの配信回数(購入希望件数)をカウントし、利用データとする。また、スクランブルコンテンツの配信回数(アクセス件数=閲覧希望件数)もカウントし、利用データとする(利用データ計測工程:S007)。これらの利用データから例えば図2の開示度-利用度の関係データが生成され、これを参照することにより、今後開示するスクランブルコンテンツのスクランブルレベルを評判に応じて戦略的に設定可能である。この場合はスクランブルレベル設定工程(S003)に戻る。戻らない場合には、コンテンツ配信部190で、配信要求されたデジタルコンテンツの原画像を、外部記憶装置300から抽出し、暗号化処理をした上で、復号鍵と共にコンテンツ受信再生装置200に配信する(コンテンツ配信工程:S008)。コンテンツ受信再生装置200は、暗号化処理されたデジタルコンテンツの原画像と復号鍵を受信し、復号鍵を用いてデジタルコンテンツを再生する。これにより、利用者はデジタルコンテンツの原画像を鑑賞可能である。
【0057】
このように、コンテンツ登録配信装置100は、複数のスクランブルレベルを有するので、販売者側にとって、コンテンツの評判に応じて戦略的に開示の程度をコントロールし、利用者がそのコンテンツに関心を抱くように指向させることができる。また、購入者側にとって、それがどうようなコンテンツであるかを部分的にでも見ることができ、購入前にコンテンツの品質を確認できる。
【0058】
また、本発明は、以上の実施の形態に記載のコンテンツ登録配信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとしても実現可能である。プログラムは登録配信制御部110の内蔵メモリに蓄積して使用してもよく、システム内外の記憶装置に蓄積して使用してもよく、インターネットから登録配信制御部110にダウンロードして使用しても良い。また、当該プログラムを記録した記録媒体としても実現可能である。
【0059】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では配信要求に対してデジタルコンテンツを復号鍵と共に配信する例を説明したが、第2の実施の形態では配信要求に対してコンテンツを配信せず、復号鍵のみを配信する例を説明する。既に、閲覧希望に対してデジタルコンテンツをスクランブルコンテンツの形態で配信しており、スクランブルを元に戻す復号鍵が存在すれば、これを送信すればよい。本実施の形態ではこれが可能な例を説明する。
【0060】
まず、スクランブル手法が(d)「順序入替」の場合について説明する。第1の実施の形態で説明した例については、スクランブルコンテンツが演算子Cexで表現され、これを元に戻す演算子がCex*で表現されるので、配信要求に対する復号鍵としてCex*を配信すれば良いことが解る。
なお、第1の実施の形態では、説明の便宜のために、画像全体をスクランブルするのでなく画像の一部をスクランブルする例を説明したが、画像全体をスクランブルする例を説明する。
【0061】
図12に「順序入替」を用いたスクランブル化の別の例を示す。図12(d)~(f)はそれぞれ、図6(d)~(f)の図で全部斜線で覆われている場合に相当する。コンテンツの単位寸法を画面の1/16×1/16とするが、順序入れ替えする連続領域の寸法を3レベルとして、図12(d)では画像を1/4分割したものとし、図12(e)では画像を1/16分割したものとし、図12(f)では画像を1/64分割したものとして、ユニット単位でスクランブルすることにすれば、図12(d)では連続した画像が大きいのでコンテンツの内容が比較的認知し易く、図12(e)では連続した画像が中位なのでコンテンツの内容の認知度は中程度となり、図12(f)では連続領域の寸法が小さいのでコンテンツの内容は認知困難である。これにより、複数レベルのスクランブルが実現できる。この場合も256個の単位寸法に分割されたコンテンツ片について、スクランブルコンテンツが演算子Cexで表現され、これを元に戻す演算子がCex*で表現されるので、配信要求に対する復号鍵としてCex*を配信すれば良い。
【0062】
次に、スクランブル手法が(e)「マスク」の場合について説明する。この場合、原画像の配置をC11~CFF(256個)とした後に、白色片又は黒色片の配置をCG1~CXF(例えば図6(d)~(f)では128個)とし、マスクするコンテンツ片をこれら白色片又は黒色片と置換すれば、「マスク」の場合のスクランブルコンテンツも入れ替え演算子Cex(図6(d)~(f)ではコンテンツ片数384個)を用いることで表現可能である。図12(d)~(f)の場合には白色片又は黒色片数は256個、コンテンツ片数は512個となる。このように原画像の後にマスク用の白色片又は黒色片を配置した画像列を用いれば、入れ替え演算子Cex及び元に戻す演算子Cex*で表現でき、Cex*を復号鍵として使用可能である。
【0063】
次に、スクランブル手法が(f)「モザイク」、(a)「ぼかし」、(b)「揺らぎ」、(c)「ゴースト」の場合について一括して説明する。これらのスクランブルコンテンツは原画像から演算して形成され、典型的には各コンテンツ片が原画像とスクランブルコンテンツで異なるので、閲覧希望時にスクランブルコンテンツと共に原画像を配信しておき、配信要求に対してスクランブルコンテンツを原画像に戻す演算子Cex*を配信すれば、Cex*を復号鍵としてスクランブルコンテンツを原画像に置換可能である。
【0064】
〔第3の実施の形態〕
第1の実施の形態ではコンテンツが画像の例を説明したが、第3の実施の形態ではコンテンツが音(音声、音響、音楽)の例を説明する。
(a)「ぼかし」は鮮明な部分をぼかすもので、例えば平均化フィルタを用いて当該音楽の単位時間における音(音階、周波数、音量など)を前後の単位時間を含め平均値で置換することにより行なわれる。平均化に取りこむ時間幅を大きくすることによりスクランブルの度合いが増加する。(b)「揺らぎ」は単位時間における音(音階、周波数、音量など)を時間の前後に対し波状にシフトさせるものである。シフト量を大きく又は周期を短くすることによりスクランブルの度合いが増加する。(c)「ゴースト」は音のゴーストを発生させるものであり、単位時間における音を所定時間後の音と混合するものである。混合時に重み付けも可能である。重み付け係数を大きくする又はゴースト本数を増やすことによりスクランブルの度合いが増加する。(d)「順序入替」は単位時間における音の順序を入れ替えるものである。順序入れ替えする単位時間、順序入れ替えする時間範囲によりスクランブルの度合いを制御可能である。(e)「マスク」は単位時間における音を無音又はノイズで置換するものであり、置換する単位時間の寸法、置換する時間範囲によりスクランブルの度合いを制御可能である。(f)「モザイク」は例えば小さな音量の「ラ」音等を重ねて認知し難くするもので、重ねる時間モザイクの寸法、重ねる時間モザイク数、重ねる時間範囲、時間モザイクの音量によりスクランブルの度合いを制御可能である。また、スクランブル音の復元にはスクランブルを元に戻す演算子または原音との置換を用いれば良い。
【0065】
〔第4の実施の形態〕
第1の実施の形態ではコンテンツが画像の例を説明したが、第4の実施の形態ではコンテンツがテキストの例を説明する。
(a)「ぼかし」は鮮明な部分をぼかすもので、例えば平均化フィルタを用いて当該テキスト(背景も含む)を構成する白黒画素を周囲の白黒画素を含む平均値で置換することにより行なわれる。平均化に取りこむ周辺画素の範囲を大きくすることによりスクランブルの度合いが増加する。(b)「揺らぎ」は当該テキストを構成する白黒画素を左右方向、上下方向などに波状にシフトさせるものである。シフト量を大きく又は周期を短くすることによりスクランブルの度合いが増加する。(c)「ゴースト」はテキストに対するゴーストを発生させるものであり、当該テキストを構成する白黒画素を所定距離離れた白黒画素と混合するものである。混合時に重み付けも可能である。重み付け係数を大きくする又はゴースト本数を増やすことによりスクランブルの度合いが増加する。(d)「順序入替」は当該テキストの全部又は一部の配置順序を入れ替えるものである。順序入れ替えするテキスト数、順序入れ替えするテキストの範囲によりスクランブルの度合いを制御可能である。(e)「マスク」は当該テキストの全部又は一部を空欄(白色欄)又は黒色欄で置換するものであり、置換するテキスト数、置換するテキストの範囲によりスクランブルの度合いを制御可能である。(f)「モザイク」は当該テキストに半透明の無彩色又は有彩色のモザイクを重ねて認知し難くするもので、重ねるモザイクの寸法(テキストの一部をカバーするものでも良い)、重ねるモザイク数、重ねる範囲、モザイクの明度によりスクランブルの度合いを制御可能である。また、スクランブルテキストの復元にはスクランブルを元に戻す演算子または原テキストとの置換を用いれば良い。
【0066】
〔第5の実施の形態〕
第1の実施の形態ではコンテンツが画像の例を説明したが、第5の実施の形態ではコンテンツが映像(動画)の例を説明する。映像は画像に時間的要素が加わったものであるが、空間的な画像フレームが時間的に変化するものであり、したがってデジタルコンテンをスクランブル化する場合に、コンテンツ片を空間的なものとすることも可能であるが、コンテンツ片を時間的なもの、すなわち各フレームとするか、複数フレームをまとめたものとする方が取り扱い易い。ここでは各フレームをコンテンツ片とする。
複数フレームでの平均化が可能なので「ぼかし」は可能である。各フレームの画像を上下左右にずらすことが可能なので「揺らぎ」は可能である。フレーム間の重ね合わせが可能なので「ゴースト」は可能である。フレーム間の「順序入替」、フレームの「マスク」も可能である。フレームに対する有彩色、無彩色の重ね合わせが可能なので「モザイク」も可能である。
【0067】
〔第6の実施の形態〕
第1の実施の形態ではコンテンツが画像の例を説明したが、第6の実施の形態ではコンテンツが映画、TVドラマの例を説明する。映画、TV放送は画像、音、テキストをミックスしたコンテンツである。しかし、画像、音、テキストのそれぞれについて、本発明によるスクランブル化が可能なので、これらをミックスした映画、TV放送についても本発明を適用可能である。また、画像とテキストをミックスした絵本についても本発明を適用可能である。
【0068】
〔第7の実施の形態〕
以上の実施の形態では、スクランブルレベルが段階的に設定される例を説明したが、第7の実施の形態では、スクランブルレベルが連続的に又は多数のレベルに変化し、その範囲から複数のレベルを選択する例を説明する。例えばスクランブル片の寸法は画面に対し、1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,1/64,・・・と多レベル存在するので、予め多レベルを準備しその中から開示するコンテンツ片の寸法を選択して、「順序入替」、「マスク」等のスクランブル化することが可能である。また、「ぼかし」の平均化の範囲、「揺らぎ」のシフト量、「ゴースト」の間隔、「モザイク」の彩色などは連続的に変化可能であり、多レベルのスクランブルコンテンツを準備しその中から開示するコンテンツのスクランブルコンテンツを選択しても良い。また、スクランブルコンテンツを準備する代わりにスクランブル化の式を準備しておき、事前に演算してスクランブルコンテンツ片を作成しても良い。
【0069】
〔第8の実施の形態〕
以上の実施の形態では、例えばスクランブルレベルが開示度などによる例を説明したが、本実施の形態では、スクランブルレベルが認知度による例を説明する。スクランブル化した場合のデジタルコンテンツの認知度は開示度に依存するものの、必ずしも開示度に比例するわけではない。開示されたコンテンツ片の寸法、配置、彩色、モザイクやゴーストの重ね合わせの態様により様々に変化するので一様の定まるものではない。しかしながら、個々のスクランブルコンテンツに関しては図3,4で示した実験などを通して認知度を明確化できる可能性がある。したがって、スクランブルレベルを認知度により設定することも可能である。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態に種々変更を加えられることは明白である。
例えば以上の実施の形態では登録したデジタルコンテンツを記憶する記憶装置を外部記憶装置としたが、コンテンツ登録配信装置内蔵の記憶部や登録配信情報記憶部に記憶しても良く、分割後はコンテンツ分割格納部内に記憶しても良い。また、スクランブルコンテンツの開示は、閲覧希望に応じてスクランブルコンテンツを送信する例を説明したが、ホームページ上で開示しても良く、この際にダウンロードを禁止しても良い。また、利用データ計測を行なわない実施の形態、閲覧希望者にスクランブルコンテンツを有料で送信する実施の形態も可能である。また、スクランブル化の際のコンテンツ片の寸法は種々変更可能であり、スクランブルレベル数は任意に設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、デジタルコンテンツの配信に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の概念を説明するための図である。
【図2】開示度と利用度の関係を説明するための図である。
【図3】コンテンツが画像の場合のスクランブルレベルの例を示す図である。
【図4】画像の同定率のクラスタ数依存性を示す図である。
【図5】スクランブル化の手法を例示する図である。
【図6】「順序入替」、「マスク」を用いたスクランブル化の例を示す図である。
【図7】デジタルコンテンツ登録配信システムの構成例を示す図である。
【図8】コンテンツ登録配信装置の機能構成例を示す図である。
【図9】開示度を戦略的に設定する例を示す図である。
【図10】コンテンツ受信再生装置の機能構成図を示す図である。
【図11】第1の実施の形態における登録配信方法の処理フロー例を示す図である。
【図12】「順序入替」、「マスク」を用いたスクランブル化の別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
100 コンテンツ登録配信装置
100M 登録配信情報記憶部
110 登録配信制御部
120 コンテンツ登録部
130 コンテンツ分割格納部
140 スクランブルレベル設定部
150 スクランブル化部
160 スクランブルコンテンツ開示部
170 配信要求受付部
180 利用データ計測部
190 コンテンツ配信部
200 コンテンツ受信再生装置
200M 受信再生情報記憶部
210 受信再生制御部
220 コンテンツ要求部
230 コンテンツ受信部
240 コンテンツ格納部
250 復号鍵受信部
260 コンテンツ再生部
300 外部記憶装置
400 通信回線
500 デジタルコンテンツ登録配信システム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図8】
5
【図9】
6
【図10】
7
【図11】
8
【図12】
9
【図3】
10
【図4】
11