TOP > 国内特許検索 > レビー小体型認知症の判定方法、判定装置並びにプログラム > 明細書

明細書 :レビー小体型認知症の判定方法、判定装置並びにプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5252345号 (P5252345)
公開番号 特開2010-082057 (P2010-082057A)
登録日 平成25年4月26日(2013.4.26)
発行日 平成25年7月31日(2013.7.31)
公開日 平成22年4月15日(2010.4.15)
発明の名称または考案の名称 レビー小体型認知症の判定方法、判定装置並びにプログラム
国際特許分類 A61B   5/0488      (2006.01)
A61B   5/0476      (2006.01)
FI A61B 5/04 330
A61B 5/04 320
請求項の数または発明の数 11
全頁数 10
出願番号 特願2008-252690 (P2008-252690)
出願日 平成20年9月30日(2008.9.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2008年8月15日 日本認知症学会 発行の、「第27回日本認知症学会プログラム・抄録集」に発表
審査請求日 平成23年9月27日(2011.9.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】丸田 高広
【氏名】吉川 弘明
【氏名】角 弘諭
個別代理人の代理人 【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
【識別番号】100135208、【弁理士】、【氏名又は名称】大杉 卓也
【識別番号】100152319、【弁理士】、【氏名又は名称】曽我 亜紀
審査官 【審査官】佐藤 高之
参考文献・文献 国際公開第2008/148894(WO,A1)
国際公開第2006/094797(WO,A1)
国際公開第2009/040727(WO,A2)
国際公開第2008/029886(WO,A1)
特開2005-287641(JP,A)
調査した分野 A61B 5/00-5/22
特許請求の範囲 【請求項1】
認知症が疑われる患者のAD(アルツハイマー病)又はレビー小体型認知症(DLB)を判定する装置であって、
患者の交感神経皮膚反応を測定する手段と、
前記測定手段によって得られた測定データを解析する手段と、
前記解析する手段によって得られた解析データを表示する手段と、
を具備することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記解析する手段は、交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下であればDLBと判定し、該基準値を超えればADと判定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基準値は、0.07mV~0.13mVであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記解析する手段は、さらに前記患者のMIGB心筋シンチグラフィー測定結果を解析することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1に記載の装置を組み込んだ認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定可能な筋電計又は脳波計。
【請求項6】
測定手段、解析手段及び表示手段を備える筋電計又は脳波計において認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定する方法であって、
前記測定手段患者の交感神経皮膚反応を測定する工程と、
前記解析手段前記測定工程によって得られた測定データを解析する工程と、
前記表示手段前記解析する工程によって得られた解析データを表示する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記解析する工程は、交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下であればDLBと判定し、該基準値を超えればADと判定することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基準値は、0.07mV~0.13mVであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記解析する工程は、さらに前記患者のMIGB心筋シンチグラフィー測定結果を解析することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
認知症が疑われる患者のAD(アルツハイマー病)又はレビー小体型認知症(DLB)を判定するプログラムであって、
(1)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定し、
(2)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定し、
(3)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定し、
(4)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記基準値は、0.07mV~0.13mVであることを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レビー小体型認知症(DLB)の判定方法、判定装置並びにプログラムに関する。より詳しくは、認知症が疑われる患者のAD(アルツハイマー病)又はDLBの判定方法、判定装置並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの国、特に先進国では、人口の高齢化により認知症に罹患している患者の数が増加している。これらの患者の多くは、アルツハイマー病(AD)と診断されている。次に患者の多くは、レビー小体型認知症(DLB)と診断されている。
【0003】
レビー小体型認知症(DLB)の組織病理学では、大脳路、脊髄および自律神経節の特定の核におけるヒアリン体(レビー小体)の蓄積によって特徴付けられる。レビー小体は、不溶性タンパク質沈着物によって主としてなるタンパク質沈着物であり、この不溶性タンパク質沈着物の主成分は、α-シヌクレイン、ユビキチンおよびユビキチン化タンパク質である。
また、DLBは、PD(パーキンソン病)といくつか類似症状を示すが、これらの2つの疾患は異なる神経学的傾向を示し、脳病変も異なる。例えば、DLBは、PDでは見られない皮質の病変を示す。
【0004】
DLB患者が利用できる治療法の選択肢は、限られており、多くの場合、精神科的およびパーキンソン病様症状を抑えるいわゆる対症療法しかない。
しかし、震えおよび運動喪失を回復させる抗パーキンソン病薬をDLB患者に投与すると、幻覚症状や精神病傾向を急性に著しく悪化させることが報告されている。
【0005】
また、DLB患者は、AD患者と比較して、AD患者の治療に使用されるアセチルコリンエステラーゼ療法に対してより感受性がある。よって、DLB患者のアセチルコリンエステラーゼ療法による重度の過敏反応が報告されている。
【0006】
以上により、認知症が疑われる患者について、AD又はDLBを判定することは治療の最適化に必須である。
【0007】
一方、DLB患者の中でも、AD患者との鑑別困難な例がある。このためDLBの自律神経障害を利用して、MIGB心筋シンチグラフィーがDLB診断参考所見とされている。
かし、MIGB心筋シンチグラフィーは医療費やRI(放射性同位体)使用などによる患者負担が大きい。よって、MIGB心筋シンチグラフィーはDLBの判定方法としては利用しにくい問題があった。

【特許文献1】特表2008-506406公報
【特許文献2】特表2004-502939公報
【特許文献3】特表2007-522434公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した問題点を解決することを解決すべき課題とした。より詳しくは、簡便かつ容易にDLBを判定する装置、方法並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、認知症が疑われる患者の交感神経皮膚反応に着目し、そしてDLB患者とAD患者での交感神経皮膚反応の活動電位値に違いがあることを見出した。
本発明者らは、上記知見を基にして、認知症が疑われる患者のDLBを判定する装置、方法並びにプログラムを提供することである。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.認知症が疑われる患者のAD(アルツハイマー病)又はレビー小体型認知症(DLB)を判定する装置であって、
患者の交感神経皮膚反応を測定する手段と、
前記測定手段によって得られた測定データを解析する手段と、
前記解析する手段によって得られた解析データを表示する手段と、
を具備することを特徴とする装置。
2.前記解析する手段は、交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下であればDLBと判定し、該基準値を超えればADと判定することを特徴とする前項1に記載の装置。
3.前記基準値は、0.07mV~0.13mVであることを特徴とする前項2に記載の装置。
4.前記解析する手段は、さらに前記患者のMIGB心筋シンチグラフィー測定結果を解析することを特徴とする前項3に記載の装置。
5.前項1~4のいずれか1に記載の装置を組み込んだ認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定可能な筋電計又は脳波計。
6.測定手段、解析手段及び表示手段を備える筋電計又は脳波計において認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定する方法であって、
前記測定手段によって患者の交感神経皮膚反応を測定する工程と、
前記解析手段によって前記測定工程によって得られた測定データを解析する工程と、
前記表示手段によって前記解析する工程によって得られた解析データを表示する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
7.前記解析する工程は、交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下であればDLBと判定し、該基準値を超えればADと判定することを特徴とする前項6に記載の方法。
8.前記基準値は、0.07mV~0.13mVであることを特徴とする前項7に記載の方法。
9.前記解析する工程は、さらに前記患者のMIGB心筋シンチグラフィー測定結果を解析することを特徴とする前項8に記載の方法。
10.認知症が疑われる患者のAD(アルツハイマー病)又はレビー小体型認知症(DLB)を判定するプログラムであって、
(1)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定し、
(2)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定し、
(3)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定し、
(4)MIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定する、
ことを特徴とするプログラム。
11.前記基準値は、0.07mV~0.13mVであることを特徴とする前項10に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、RIを使用せずに、簡便、容易、短時間かつ低費用でDLBを判定する装置、方法並びにプログラムを提供した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定する装置)
本発明の上記装置は、少なくとも、患者の交感神経皮膚反応を測定する手段と、前記測定手段によって得られた測定データを解析する手段と、前記解析する手段によって得られた解析データを表示する手段と、を具備する。
なお、本発明の装置は、単独の装置として用いることができるが、例えば、筋電図測定装置、脳波測定装置等に組み込まれていても良い。
【0013】
(患者の交感神経皮膚反応を測定する手段)
本発明の上記手段は、交感神経皮膚反応(波形)を測定可能な手段であれば特に限定されない。例えば、該手段は、「従来既知の筋電図測定装置で使用されている検出用針電極と基準電極(アース電極)を患者の手首、足首に装着した後に、刺激電極により一定の電圧を正中神経に印加すること」を意味する。
なお、刺激電極は、定電流又は定電圧の矩形波パルスを出力し、末梢神経や筋肉を刺激する電極である。なお、本発明では、自体公知の刺激電極を利用することができる。
また、刺激電極の電圧は、5.0mA~50mA、好ましくは10.0mA~30.0mA、より好ましくは15.0mA~20.0mAである。また、刺激電極による電圧の印加時間は、特に限定されないが、2~10秒、好ましくは3~8秒、最も好ましくは5~7秒である。
【0014】
(測定データを解析する手段)
本発明の上記手段は、交感神経皮膚反応を測定する手段から得られた交感神経皮膚反応の活動電位の値(基準値)を基にして、DLB又はADであるかを解析する手段である。
さらに、MIGB心筋シンチグラフィーの結果をDLB又はAD判定に利用することもできる。より詳しくは、以下の通りである。
(1)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定する。
(2)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ、交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定する。
(3)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定する。
(4)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定する。
【0015】
(基準値)
本発明の「基準値」とは、下記実施例で得られた結果より設定された活動電位値を意味する。認知症が疑われる患者から得られた交感神経皮膚反応の活動電位の値、好ましくは活動電位の平均値が、基準値以下であればDLBと判定され、基準値を超えればADと判定される。
なお、本発明の平均値の算出方法では、左右それぞれの手首及び/又は足首の交感神経皮膚反応を2回以上、好ましくは3回以上測定し、その活動電位の最大振幅(peak to peak)を加算平均する。
さらに、基準値は、0.05mV~0.15mV 、好ましくは0.07mV~0.13mV、より好ましくは約0.09 mV~0.11mV、最も好ましくは約0.1mVである。
【0016】
(解析データを表示する手段)
本発明の上記手段は、測定データを解析する手段から得られた解析データをモニタディスプレイ等に表示する手段を意味する。
また、表示されるデータは、少なくともDLB又はADの判定結果である。しかし、好ましくは、患者の各部位の交感神経皮膚反応(波形)及び活動電位の平均値も表示されても良い。
【0017】
(本発明の装置の構成について)
本発明の装置の構成について、図1を基にして説明する。なお、図1は、本発明の機能的構成を説明するために使用されるものであり、何ら本発明の装置の構成を限定しない。
【0018】
検出用針電極1と基準電極(アース電極)2が生体内の所定部位に装着され、刺激電極3により一定の電圧を正中神経に印加した後、交感神経皮膚反応信号が検出される。
前記検出された交感神経皮膚反応信号は、配線5を介して増幅器4で増幅され、さらにA/Dコンバーターによりアナログ信号からデジタル信号に変換される。
さらに、前記デジタル信号は、解析処理装置6内のインターフェイス61で受付けられて、測定データを解析する手段62により、交感神経皮膚反応の活動電位の平均値データ及び/又は交感神経皮膚反応波形データに処理される。さらに、前記処理されたデータは、予め設定した基準値を基にしてDLB又はADであるかの判定に利用される。さらに、前記判定には、外部から入力された患者のMIGB心筋シンチグラフィー結果をMIGB心筋シンチグラフィーの結果を解析する手段63により解析して得られたデータをさらに利用する。
そして、患者のDLB又はADの判定結果、加えて、交感神経皮膚反応の活動電位の平均値データ及び/又は交感神経皮膚反応波形データが評価表示制御手段64によりモニタディスプレイ65により表示される。
なお、モニタディスプレイ65は、解析処理装置6に組み込まれていても、又は外部に付属されていても良い。
加えて、前記データを保存するためのデータメモリ及び/又は前記データを紙媒体又は電子媒体で出力するための装置を解析処理装置6に組み込んでもよい。
【0019】
(MIGB心筋シンチグラフィーの測定方法)
本発明のMIGB心筋シンチグラフィーの測定方法は、従来知られている方法を利用することができる。例えば、認知症が疑われる患者に対して、123I-MIGBを静脈より投与し、数十分後のシンチグラムの早期像を撮影し、さらに数時間後にシンチグラムの後期像を撮影する。
また、本発明の測定方法では、RI集積の心/縦隔比について早期像1.80未満かつ後期像2.00未満のものをDLB陽性とした。
【0020】
(認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定するプログラム)
本発明の上記プログラムは、下記実施例で得られた結果より設定されたDLB又はADを判定するためのプログラムである。
なお、プログラムの概要は以下の通りである。
(1)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定する。
(2)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ、交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定する。
(3)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値以下である場合には、DLBと判定する。
(4)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が基準値を超える場合には、ADと判定する。
さらに、本発明のプログラムを、従来公知の筋電図計にインストールすることにより、従来公知の筋電図計を「認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定可能な」筋電図計とすることができる。
加えて、本発明のプログラムを、刺激電極が接続された自体公知の脳波計にインストールすることにより、従来公知の脳波計を「認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定可能な」脳波計とすることができる。
なお、本発明は、「認知症が疑われる患者のAD又はDLBを判定可能な」筋電図計又は脳波計も対称とする。
【0021】
(本発明の認知症が疑われる患者のAD又はレビー小体型認知症の診断方法)
本発明の前記診断方法の要約は以下の通りである。
医師又は医師から許可された者が、患者の交感神経皮膚反応を測定して、予め設定した基準値を超える場合には、ADと診断し、該基準値以下であればDLBと診断する。
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
(DLB患者とAD患者でのMIBG測定及び交感神経皮膚反応の測定)
認知症患者26名(DLB8名、AD18名)を対象とし、心交感神経機能指標としてMIBG測定、末梢交感神経指標として皮膚交感神経反応(SSR)測定を行った。詳細は、以下の通りである。
【0024】
(各患者のDLB又はADの診断方法)
AD患者18名の診断は、NINCDS-ADRDAの診断基準によるprobable ADを採用した。また、DLB患者8名の診断は、第三回国際ワークショップの診断基準によるprobable DLBを採用した。
【0025】
(MIGB心筋シンチグラフィー測定方法)
認知症の患者26名に対して、111MBqの 123I-MIGBを静脈より投与し、20分後にシンチグラムの早期像を撮影し、さらに3時間後にシンチグラムの後期像を撮影した。
なお、撮影装置は、Picker社製のPrism 2000 XPを使用した。
また、RI集積の心/縦隔比について早期像1.80未満かつ後期像2.00未満のものをDLB陽性とした。
【0026】
上記測定結果を下記表1に示す。
MIGB心筋シンチグラフィー測定方法では、AD患者であると診断された患者A、B、Cでは、偽陽性、すなわちDLBと判定された。さらに、DLB患者であると診断された患者Yでは、偽陰性、すなわちADと判定された。
よって、従来から使用されているMIGB心筋シンチグラフィー測定方法では、AD又はDLBを完全に判定できなかった。
また、表中の「MMSE」は、「Mini-Mental
State Examination(認知機能検査)」を意味し、「C.Dx」は、「臨床診断(臨床像による診断)」を意味し、「PS」は「Parkinson Syndrome(パーキンソン兆候の有無)」を意味する。
【0027】
【表1】
JP0005252345B2_000002t.gif

【0028】
(皮膚交感神経反応測定方法)
認知症の患者26名に対して、筋電図装置(日本光電製のNeuropack
MEW)の検出用針電極を該患者の手の平の中心に設置し、基準電極(アース電極)を該患者の手の甲の中心に設置した。そして、刺激電極により手首の正中神経に対して、15~20mVの電圧を3~6秒印加して、交感神経皮膚反応を測定した。なお、測定は、左右の手首で3回行い、各測定間のインターバルは、約30秒とした。
【0029】
上記測定結果を下記表2に示す。
AD患者の皮膚交感神経反応の活動電位の総均値は、1.08(mV)であった。一方、DLB患者の皮膚交感神経反応の活動電位の平均値は、0.03(mV)であった。
よって、DLB患者の交感神経皮膚反応の活動電位値は、AD患者の交感神経皮膚反応の活動電位値と比較して、明らかに低いことがわかった。これにより、認知症が疑われる患者の交感神経皮膚反応の活動電位値を測定することにより、AD又はDLBを判定することが可能である。
【0030】
【表2】
JP0005252345B2_000003t.gif

【0031】
(交感神経皮膚反応の活動電位の基準値の設定)
上記患者の交感神経皮膚反応の活動電位値の測定結果により、DLB又はADであるかを判断するための基準値を0.07~0.13mV間に設定することができた。
さらに、MIGB心筋シンチグラフィー測定と皮膚交感神経反応測定の両結果により、以下のことがわかった。
(1)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が0.10以下である場合には、DLBと判定できる。
(2)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陽性であり、かつ、交感神経皮膚反応の活動電位が0.10を超える場合には、ADと判定できる。
(3)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が0.10以下である場合には、DLBと判定できる。
(4)認知症が疑われる患者のMIGB心筋シンチグラフィーの結果がDLB陰性であり、かつ交感神経皮膚反応の活動電位が0.10を超える場合には、ADと判定できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明では、RIを使用せずに、簡便、容易、短時間かつ低費用でDLBを判定する装置、方法並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】認知症が疑われる患者のAD(アルツハイマー病)又はレビー小体型認知症(DLB)を判定する装置の機能的構成を示すブロック図
【図2】AD患者及びDLB患者の交感神経皮膚反応波形
【符号の説明】
【0034】
1:検出用針電極
2:基準電極(アース電極)
3:刺激電極
4:増幅部
5:配線
6:解析処理装置
61:インターフェイス部
62:測定データを解析する手段
63:MIGB心筋シンチグラフィーの結果を解析する手段
64:評価表示制御手段
65:モニタディスプレイ
図面
【図1】
0
【図2】
1