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明細書 :樹種分類方法及び樹種分類システム、森林現況情報の作成方法及び森林現況情報の作成システム、間伐対象区域の選定方法及び間伐対象区域の選定システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4900356号 (P4900356)
公開番号 特開2010-086276 (P2010-086276A)
登録日 平成24年1月13日(2012.1.13)
発行日 平成24年3月21日(2012.3.21)
公開日 平成22年4月15日(2010.4.15)
発明の名称または考案の名称 樹種分類方法及び樹種分類システム、森林現況情報の作成方法及び森林現況情報の作成システム、間伐対象区域の選定方法及び間伐対象区域の選定システム
国際特許分類 G06T   1/00        (2006.01)
A01G   7/00        (2006.01)
FI G06T 1/00 285
A01G 7/00 603
請求項の数または発明の数 10
全頁数 33
出願番号 特願2008-254520 (P2008-254520)
出願日 平成20年9月30日(2008.9.30)
審査請求日 平成23年6月16日(2011.6.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】加藤 正人
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100104709、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 誠剛
審査官 【審査官】岡本 俊威
参考文献・文献 特開2001-357380(JP,A)
特開2006-285310(JP,A)
特開2003-344048(JP,A)
調査した分野 G06T 1/00
A01G 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林域に含まれる各樹木を種類別に分類する樹種分類方法であって、
前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成するステップと、
前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成するステップと、
前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成するステップと、
を有すること特徴とする樹種分類方法。
【請求項2】
請求項1に記載の樹種分類方法において、
前記各樹冠の日向部は、前記樹冠画像データにおける輝度値に基づいて抽出され、前記輝度値が当該樹冠において所定値以上である箇所を前記日向部とすることを特徴とする樹種分類方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の樹種分類方法において、
前記各樹冠から複数の樹種が抽出された場合、前記各樹冠から抽出された複数の樹種のそれぞれの占有面積を各樹種ごとに算出し、占有面積の多い樹種を当該樹冠の樹種とみなすことを特徴とする樹種分類方法。
【請求項4】
調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林域に含まれる各樹木の種類を分類する樹種分類システムであって、
前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成する樹冠画像データ作成部と、
前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成する樹冠情報画像データ作成部と、
前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成する樹種分類画像データ作成部と、
を有すること特徴とする樹種分類システム。
【請求項5】
調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林の現況に関する森林現況情報を作成するための森林現況情報の作成方法であって、
前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成するステップと、
前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成するステップと、
前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成するステップと、
前記樹種分類画像データに基づいて単位面積当たりの全樹種樹冠面積占有度を算出し、前記全樹種樹冠面積占有度に基づく全樹種樹冠占有画像データを作成するステップと、
前記樹種分類画像データに基づいて単位面積当たりの樹種別樹冠面積占有度を算出し、前記樹種別樹冠面積占有度に基づく樹種別樹冠占有画像データを作成するステップと、
前記樹種分類画像データに基づいて算出された全樹種の樹冠本数から単位面積当たりの全樹種樹冠本数分布画像データを作成するステップと、
前記樹種分類画像データに基づいて算出された樹種別の樹冠本数から単位面積当たりの樹種別樹冠本数分布画像データを作成するステップと、
前記全樹種樹冠占有画像データ、前記樹種別樹冠占有画像データ、前記全樹種樹冠本数分布画像データ、前記樹種別樹冠本数分布画像データ及び前記樹種分類画像データに基づいて森林の現況情報に関する森林現況情報画像データを作成するステップと、
を有することを特徴とする森林現況情報の作成方法。
【請求項6】
調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林の現況に関する森林現況情報を作成するための森林現況情報の作成システムであって、
前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成する樹冠画像データ作成部と、
前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成する樹冠情報画像データ作成部と、
前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成する樹種分類画像データ作成部と、
前記樹種分類画像データに基づいて全樹種の樹冠本数を算出する機能と、単位面積当たりの全樹種樹冠面積占有度を算出し、前記全樹種樹冠面積占有度に基づく全樹種樹冠占有画像データを作成する機能とを有する全樹種樹冠占有画像データ作成部と、
前記樹種分類画像データに基づいて樹種別の樹冠本数を算出する機能と、単位面積当たりの樹種別樹冠面積占有度を算出し、前記樹種別樹冠面積占有度に基づく樹種別樹冠占有画像データを作成する機能とを有する樹種別樹冠占有画像データ作成部と、
前記全樹種の樹冠本数から単位面積当たりの全樹種樹冠本数分布画像データを作成する全樹種樹冠本数分布画像データ作成部と、
前記樹種別の樹冠本数から単位面積当たりの樹種別樹冠本数分布画像データを作成する樹種別樹冠本数分布画像データ作成部と、
前記全樹種樹冠占有画像データ、前記樹種別樹冠占有画像データ、前記全樹種樹冠本数分布画像データ、前記樹種別樹冠本数分布画像データ及び前記樹種分類画像データに基づいて森林の現況情報に関する森林現況情報画像データを作成する森林現況情報画像データ作成部と、
を有することを特徴とする森林現況情報の作成システム。
【請求項7】
調査対象となる森林の現況に関する森林現況情報画像データに基づいて間伐すべき間伐対象区域を選定する間伐対象区域の選定方法であって、
前記森林現況情報画像データに基づいて前記森林を小班区画に分別するための小班区画画像データを作成して、前記小班区画画像データと前記森林現況情報画像データとに基づいて森林現況小班区画画像データを作成するステップと、
前記各小班区画の特徴を現す小班区画属性情報を抽出し、前記各小班区画属性情報に関する小班区画属性情報画像データを作成するステップと、
前記小班区画属性情報画像データと当該森林の地利条件とに基づいて間伐対象区域を選定し、選定された間伐対象区域を表す間伐対象区域画像データを作成するステップとを有し、
前記森林現況情報画像データは、請求項5に記載の森林現況情報の作成方法によって作
成された森林現況情報画像データであることを特徴とする間伐対象区域の選定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の間伐対象区域の選定方法において、
前記小班区画属性情報は、当該小班区画における樹種別の樹冠本数、単位面積あたりの樹種別の樹冠本数を含むことを特徴とする間伐対象区域の選定方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の間伐対象区域の選定方法において、
前記森林の地利条件は、当該小班区画の林道からの距離、標高、傾斜を含むことを特徴とする間伐対象区域の選定方法。
【請求項10】
調査対象となる森林の現況に関する森林現況情報画像データに基づいて間伐すべき間伐対象区域を選定する間伐対象区域の選定システムであって、
前記森林現況情報画像データに基づいて前記森林を小班区画に分別するための小班区画画像データを作成して、前記小班区画画像データと前記森林現況情報画像データとに基づいて森林現況小班区画画像データを作成する森林現況小班区画画像データ作成部と、
前記各小班区画の特徴を現す小班区画属性情報を抽出し、前記各小班区画属性情報に関する小班区画属性情報画像データを作成する小班区画属性情報画像データ作成部と、
前記小班区画属性情報画像データと当該森林の地利条件とに基づいて間伐対象区域を選定し、選定された間伐対象区域を表す間伐対象区域画像データを作成する間伐対象区域画像データを作成部とを有し、
前記森林現況情報画像データは、請求項5に記載の森林現況情報の作成方法によって作
成された森林現況情報画像データであることを特徴とする間伐対象区域の選定システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、森林の樹種を分類する樹種分類方法及び樹種分類システム、森林現況情報の作成方法及び森林現況情報の作成システム、間伐対象区域の選定方法及び間伐対象区域の選定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
森林の現況を正確に捉えることによって間伐すべき区域(間伐対象区域という)を適切に選定することは森林管理おいて極めて重要な課題である。一般に、森林は災害や気象害、大型獣による食害、不要な樹木の侵入や天然更新などの影響を受け、多くの森林は、植栽した樹種がそのまま育つことはなく、年月の経過とともにその状況は大きく変化する。
【0003】
しかし、森林の管理台帳である森林基本図や森林調査簿は植栽時の情報のままであり、現状との乖離が大きな問題である。さらに、近年、人工林では災害の起きやすい不健全な森林が増加している。このような森林は間伐対象区域として人の手によって間伐を行う必要がある。
【0004】
しかしながら、間伐対象区域の選定は、従来は現場調査と技術者の経験に依存しており、多大な労力と時間を要する。また、森林は一般的には地形が急峻で面積が広く、アクセスが悪いことから、労働作業の関係から、人の目に見える範囲や林道の近くの森林が間伐地として選定されることが多く、間伐対象区域が適切に選定されているとは言い難い。
【0005】
これは、森林の現況を正確で捉え、間伐すべき箇所を客観的に判別することは極めて困難であるからである。すなわち、森林の現況を正確に捉えるには、森林の現況を表す情報(森林現況情報という)を適切に作成する必要がある。ここでいう森林現況情報というのは、例えば、当該森林の樹冠に関する情報、樹種に関する情報、樹冠の面積、全樹種の本数や樹種別の本数などが含まれる。
【0006】
森林現況情報を取得して森林を管理する技術は従来から提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0007】
特許文献1に開示された技術(第1従来技術という。)は、調査対象となる森林を上空から撮影した撮影画像(カラー画像)を白黒画像に変換し、該白黒画像を画像処理して得られた樹冠の形状と元のカラー画像の分光反射(スペクトル)分析を行うことによって得られる樹木の色彩・輝度などとから、森林を構成する樹種など森林の植生の調査・評価を行うというものである。
【0008】
また、特許文献2に開示された技術(第2従来技術という。)は、調査対象となる森林地域を上空から撮影した撮影画像を画像処理して、森林の樹冠を評価する技術であって、この第2従来技術には、樹冠の形状を求めたのち、当該樹冠の形状のテクスチャ特徴量を求め、求められたテクスチャ特徴量と既知の樹種のテクスチャ特徴量とを比較して当該樹冠の樹種を特定する樹種分類技術が開示されている。
【0009】

【特許文献1】特開2001-357380号公報
【特許文献2】特開2006-285310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
第1従来技術は、上記したように、カラー画像のスペクトル分析を行うことによって得られる樹木の色彩及び輝度などから、森林の樹種などの調査など森林の植生の調査・評価を行うようにしている。確かに、樹種によって光の波長に対する輝度の違いが生じるので、樹種の特定が可能となると考えられるが、第1従来技術においては、日照の状況(例えば、日向部と日陰部など)が考慮されていないので、高精度な分類はできす、誤分類が生じやすいという問題がある。
【0011】
また、第2従来技術は、樹種の特定を行う際、樹冠の形状のテクスチャ特徴量を求め、求められたテクスチャ特徴量と既知の樹種のテクスチャ特徴量とを比較して当該樹冠の樹種を特定するようにしている。このため、第2従来技術においては、既知の樹種のテクスチャ特徴量を個々の樹種ごとに予め作成しておく必要があるとともに、予め用意された既知の樹種のテクスチャ特徴量と求められたテクスチャ特徴量とを比較するといった演算量の多い処理を行う必要がある。また、樹種によってはテクスチャ特徴量が類似する場合もあり、第1従来技術と同様、誤分類が生じやすいという問題がある。
【0012】
そこで本発明は、樹木を樹種別に適切に分類可能とする樹種分類方法及び樹種分類システムを提供するとともに森林の現況情報を適切に取得可能な森林現況情報の作成方法及び森林現況情報の作成システムを提供することを目的とする。また、森林現況情報を用いて間伐対象区域を適切に選定可能とする間伐対象区域の選定方法及び間伐対象区域の選定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の樹種分類方法は、調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林域に含まれる各樹木を種類別に分類する樹種分類方法であって、前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成するステップと、前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成するステップと、前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成するステップとを有すること特徴とする。
【0014】
本発明の樹種分類方法によれば、各樹冠の日向部における分光反射特性を用いて樹木を樹種別に分類することにより、誤分類が生じにくく高い精度で分類することができる。
【0015】
(2)本発明の樹種分類方法においては、前記各樹冠の日向部は、前記樹冠画像データにおける輝度値に基づいて抽出され、前記輝度値が当該樹冠において所定値以上である箇所を前記日向部とすることが好ましい。
【0016】
これにより、各樹冠における日向部を適切に抽出することができる。なお、前記樹冠画像データにおける輝度値により、日向部だけではなく、日陰部及び樹頂部をも抽出することが好ましい。これら日向部、日陰部及び樹頂部の抽出は、輝度値が当該樹冠において所定値以上(例えば、当該樹冠における輝度値の平均値以上)である箇所を日向部とし、輝度値が当該樹冠において所定値未満(例えば、当該樹冠における輝度値の平均値未満)である箇所を日陰部とし、また、輝度値が当該樹冠における極大値である箇所を樹頂部とすることによって可能となる。
【0017】
(3)本発明の樹種分類方法においては、前記各樹冠から複数の樹種が抽出された場合、前記各樹冠から抽出された複数の樹種のそれぞれの占有面積を各樹種ごとに算出し、占有面積の多い樹種を当該樹冠の樹種とみなすことが好ましい。
【0018】
これにより、1つの樹冠を1つ樹種として分類することができる。1つの樹冠が1つ樹種として分類されることにより、森林の植生の調査・評価などを容易かつ適切に行うことができる。
【0019】
(4)本発明の樹種分類システムは、調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林域に含まれる各樹木の種類を分類する樹種分類システムであって、前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成する樹冠画像データ作成部と、前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成する樹冠情報画像データ作成部と、前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成する樹種分類画像データ作成部とを有すること特徴とする。
【0020】
本発明の樹種分類システムにおいても前記樹種分類方法と同様の効果を得ることができる。なお、本発明の樹種分類システムは、当該樹種分類システムに含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。また、本発明の樹種分類システムにおいても、前記(2)及び(3)に記載の特徴を有することが好ましい。
【0021】
(5)本発明の森林現況情報の作成方法は、調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林の現況に関する森林現況情報を作成するための森林現況情報の作成方法であって、前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成するステップと、前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成するステップと、前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成するステップと、前記樹種分類画像データに基づいて単位面積当たりの全樹種樹冠面積占有度を算出し、前記全樹種樹冠面積占有度に基づく全樹種樹冠占有画像データを作成するステップと、前記樹種分類画像データに基づいて単位面積当たりの樹種別樹冠面積占有度を算出し、前記樹種別樹冠面積占有度に基づく樹種別樹冠占有画像データを作成するステップと、前記樹種分類画像データに基づいて算出された全樹種の樹冠本数から単位面積当たりの全樹種樹冠本数分布画像データを作成するステップと、前記樹種分類画像データに基づいて算出された樹種別の樹冠本数から単位面積当たりの樹種別樹冠本数分布画像データを作成するステップと、前記全樹種樹冠占有画像データ、前記樹種別樹冠占有画像データ、前記全樹種樹冠本数分布画像データ、前記樹種別樹冠本数分布画像データ及び前記樹種分類画像データに基づいて森林の現況情報に関する森林現況情報画像データを作成するステップとを有することを特徴とする。
【0022】
このように、本発明の森林現況情報の作成方法は、各樹冠の日向部における分光反射特性を用いて樹種分類を行うことによって得られた高精度な樹種分類画像データを用いて、森林現況情報画像データを作成するようにしている。これにより、本発明の森林現況情報の作成方法によれば、森林の現況を適切に表した森林現況情報画像データを得ることができる。
【0023】
(6)本発明の森林現況情報の作成システムは、調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと前記森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データを用いて前記森林の現況に関する森林現況情報を作成するための森林現況情報の作成システムであって、前記森林域画像データに基づいて前記森林域に含まれる各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関する樹冠画像データを作成する樹冠画像データ作成部と、前記樹冠画像データに基づいて前記各樹冠の日向部を含む情報を樹冠情報として抽出し、前記樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成する樹冠情報画像データ作成部と、前記樹冠情報画像データに基づいて前記各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、前記分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成する樹種分類画像データ作成部と、前記樹種分類画像データに基づいて全樹種の樹冠本数を算出する機能と、単位面積当たりの全樹種樹冠面積占有度を算出し、前記全樹種樹冠面積占有度に基づく全樹種樹冠占有画像データを作成する機能とを有する全樹種樹冠占有画像データ作成部と、前記樹種分類画像データに基づいて樹種別の樹冠本数を算出する機能と、単位面積当たりの樹種別樹冠面積占有度を算出し、前記樹種別樹冠面積占有度に基づく樹種別樹冠占有画像データを作成する機能とを有する樹種別樹冠占有画像データ作成部と、前記全樹種の樹冠本数から単位面積当たりの全樹種樹冠本数分布画像データを作成する全樹種樹冠本数分布画像データ作成部と、前記樹種別の樹冠本数から単位面積当たりの樹種別樹冠本数分布画像データを作成する樹種別樹冠本数分布画像データ作成部と、前記全樹種樹冠占有画像データ、前記樹種別樹冠占有画像データ、前記全樹種樹冠本数分布画像データ、前記樹種別樹冠本数分布画像データ及び前記樹種分類画像データに基づいて森林の現況情報に関する森林現況情報画像データを作成する森林現況情報画像データ作成部とを有することを特徴とする。
【0024】
本発明の森林現況情報の作成システムにおいても前記森林現況情報の作成方法と同様の効果を得ることができる。なお、本発明の森林現況情報の作成システムは、当該森林現況情報の作成システムに含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
【0025】
(7)本発明の間伐対象区域の選定方法は、調査対象となる森林の現況に関する森林現況情報画像データに基づいて間伐すべき間伐対象区域を選定する間伐対象区域の選定方法であって、前記森林現況情報画像データに基づいて前記森林を小班区画に分別するための小班区画画像データを作成して、前記小班区画画像データと前記森林現況情報画像データとに基づいて森林現況小班区画画像データを作成するステップと、前記各小班区画の特徴を現す小班区画属性情報を抽出し、前記各小班区画属性情報に関する小班区画属性情報画像データを作成するステップと、前記小班区画属性情報画像データと当該森林の地利条件とに基づいて間伐対象区域を選定し、選定された間伐対象区域を表す間伐対象区域画像データを作成するステップとを有することを特徴とする。
【0026】
このように、本発明の間伐対象区域の選定方法は、森林現況情報画像データに基づいて分別された各小班区画における各樹冠の特徴を現す小班区画属性情報を抽出し、抽出された各小班区画属性情報と当該森林の地理条件とに基づいて間伐対象区域を選定するようにしている。これにより、従来においては、個人の労力と熟練に頼っていた間伐対象区域の選定を、本発明の間伐対象区域の選定方法によれば、調査対象地域の中から客観的かつ適切に選定することできる。
【0027】
なお、間伐対象区域が選定されたとしても、実際に間伐すべき区域は、選定された間伐対象区域全体であるとは限らず、例えば、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などに登録されている森林境界に基づいて、選定された間伐対象区域全体のうちの所定の区域内のみを実際の間伐対象区域とするということもできる。
【0028】
(8)本発明の間伐対象区域の選定方法においては、前記森林現況情報画像データは、前記(5)に記載の森林現況情報の作成方法によって作成された森林現況情報画像データであることが好ましい。
【0029】
このように、森林現況情報画像データとして、前記(5)に記載の森林現況情報の作成方法によって作成された森林現況情報画像データを用いることにより、間伐対象区域の選定を、より適切に行うことができる。すなわち、前記(5)に記載の森林現況情報の作成方法によって作成された森林現況情報画像データは、各樹冠の日向部における分光反射特性を用いて樹種分類を行うことによって得られた高精度な樹種分類画像データを用いて作成された森林現況情報画像データであり、森林の現況を適切に表した森林現況情報画像データである。このような森林現況情報画像データを用いて間伐対象区域の選定を行うことにより、間伐対象区域の選定をより適切に行うことができる。
【0030】
(9)本発明の間伐対象区域の選定方法においては、前記小班区画属性情報は、当該小班区画における樹種別の樹冠本数、単位面積あたりの樹種別の樹冠本数を含むことが好ましい
【0031】
これにより、各小班区画の特徴をより適切に表すことができる。このような小班区画属性情報と当該森林の地利条件とに基づいて間伐対象区域を選定することにより、現時点における実際の森林の状況(森林現況として例えば、樹冠面積が大きい、占有面積割合が高い、立木本数が多いなど)が考慮され、かつ、間伐作業のし易さ(例えば、林道から近い、標高があまり高くない、傾斜が緩いなど)が考慮された間伐対象区域を選定することができる。
【0032】
(10)本発明の間伐対象区域の選定方法においては、前記森林の地利条件は、当該小班区画の林道からの距離、標高、傾斜を含むことが好ましい。
【0033】
これにより、間伐作業のし易さ(例えば、林道から近い、標高があまり高くない、傾斜が緩いなど)を適切に評価することができる。
【0034】
(11)本発明の間伐対象区域の選定システムは、調査対象となる森林の現況に関する森林現況情報画像データに基づいて間伐すべき間伐対象区域を選定する間伐対象区域の選定システムであって、前記森林現況情報画像データに基づいて前記森林を小班区画に分別するための小班区画画像データを作成して、前記小班区画画像データと前記森林現況情報画像データとに基づいて森林現況小班区画画像データを作成する森林現況小班区画画像データ作成部と、前記各小班区画の特徴を現す小班区画属性情報を抽出し、前記各小班区画属性情報に関する小班区画属性情報画像データを作成する小班区画属性情報画像データ作成部と、前記小班区画属性情報画像データと当該森林の地利条件とに基づいて間伐対象区域を選定し、選定された間伐対象区域を表す間伐対象区域画像データを作成する間伐対象区域画像データを作成部とを有することを特徴とする。
【0035】
本発明の間伐対象区域の選定システムにおいても前記間伐対象区域の選定方法と同様の効果を得ることができる。なお、本発明の間伐対象区域の選定システムは、当該間伐対象区域の選定システムに含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。また、本発明の間伐対象区域の選定システムにおいても、前記(9)及び(10)に記載の特徴を有することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0037】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る樹種分類システムの構成を示す図である。実施形態1に係る樹種分類システム100は、図1に示すように、撮影画像データ入力部110と、森林域画像データ作成部120と、樹冠画像データ作成部130と、樹冠情報画像データ作成部140と、樹種分類画像データ作成部150とを有している。
【0038】
撮影画像データ入力部110は、調査対象となる森林を含む地域(調査対象地域という。)を上空から撮影して得られた撮影画像データを入力する機能を有している。
森林域画像データ作成部120は、撮影画像データと地理情報システム(GISという。)500に格納されている地理的情報(この場合、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などに登録されている森林域の境界データ)とに基づいて森林域を抽出し、抽出された森林域に関する森林域画像データを作成する機能を有している。
【0039】
樹冠画像データ作成部130は、森林域画像データに基づいて森林域に含まれる各樹冠を抽出し、抽出された各樹冠に関する樹冠画像データを作成する機能を有している。
樹冠情報画像データ作成部140は、樹冠画像データに基づいて各樹冠の日向部、日陰部及び樹頂部などの情報を樹冠情報として抽出し、抽出された樹冠情報に関する樹冠情報画像データを作成する機能を有している。
樹種分類画像データ作成部150は、樹冠情報画像データに基づいて各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性を作成し、作成された分光反射特性に基づいて当該樹冠の樹種を特定して樹種分類画像データを作成する機能を有している。
【0040】
なお、この明細書において、「樹冠」とは森林を構成する各樹木を上部から見たときに個々の樹木の枝と葉で構成された部分をいう。また、上記撮影画像データは、高解像度の撮影機器によって撮影された高解像度画像データであって、撮影画像データの1画素が数10cm×数10cm~100cm×100cm程度の面積に対応しているものとする。例えば、1つの樹冠の面積が100平方メートルであって、撮影画像データの1画素が仮に100cm×100cmの面積に対応するとすれば、1つの樹冠に対する撮影画像データの画素数は100画素となる。
【0041】
また、図1に示した樹種分類システムは、当該樹種分類システムに含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
【0042】
図2は、実施形態1に係る樹種分類システムにおける樹種分類処理を説明するフローチャートである。樹種分類処理は、図2に示すように、まずは、調査対象地域Aを撮影して得られた撮影画像データから得られる調査対象地域Aに地理情報システム500に記憶されている森林域の境界データを重ね合わせた森林域境界画像データを作成する(ステップS110)。続いて、当該森林域境界画像データに基づいて森林域と非森林域とを区別するための森林域画像データを作成する(ステップS120)。
【0043】
ステップS110,S120の処理は、森林域画像データ作成部120によって行われ、森林域画像データ作成部120によって森林域境界画像データが作成されることにより、当該森林域境界画像データに対応する森林域境界画像(図3参照。)をディスプレイ上に表示することができ、また、森林域画像データが作成されることにより、当該森林域画像データに対応する森林域画像(図4参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0044】
図3は、ディスプレイ上に表示された森林域境界画像を示す図である。なお、図3は調査対象地域Aを撮影して得られた撮影画像であり、当該調査対象地域Aに森林域の境界を重ね合わせた状態を示している。図3において、白線L1が各々の森林域の境界線であり、白線L1で囲まれた各領域(符号1,2,3,・・・が付された領域)が各々の森林域である。なお、図3においては、調査対象地域A内に存在する森林域のうちの一部の森林域のみに森林域の境界線(白線L1)が重ね合わされた例が示されている。なお、図3はモノクロ画像であるため、図3からは、森林域の境界を識別しにくいが、実際には図3の元となるカラー画像上では森林域の境界を容易に読み取ることができる。
【0045】
図4は、ディスプレイ上に表示された森林域画像を示す図である。なお、図4において、調査対象地域A内において灰色で示されている領域が森林域Bであり、当該調査対象地域A内において白抜きで示されている領域が非森林域Cである。なお、図4はモノクロ画像であるため、図4からは、森林域Bと非森林域Cとが色別として読み取ることは困難であるが、実際には図4の元となるカラー画像上では森林域Bと非森林域Cとを色別で読み取ることができる。この場合、図4の元となるカラー画像上では森林域Bが赤色及び紫色で示され、非森林域Cが緑色で示されているため、ディスプレイ上において表示されるカラー画像上では抽出された森林域を容易に読み取ることができる。
【0046】
上記のような森林域の抽出は公知の技術であり、例えば、下記の公知文献1及び公知文献2が知られている。
【0047】
公知文献1:加藤正人、“衛星リモートセンシングと地図の重ね合わせによる森林現況の把握”、日本林学会北海道支部論文集、1991年2月、第39号(別冊)、p,117~118
【0048】
公知文献2:加藤正人、“衛星リモートセンンシンングとGISの組み合わせ技術によるトドマツ小班データベースへの適用”、日本林学会誌別冊、1993年3月、Vol.75(No.2)、p,154~158
【0049】
上記ステップS120によって森林域画像データが作成されると、森林域画像データに基づいて森林域に含まれる各樹冠を抽出し、抽出された各樹冠に関する樹冠画像データを作成する(ステップS130)。続いて、樹冠画像データに基づいて各樹冠ごとの日向部、日陰部及び樹頂部などの情報を樹冠情報として抽出し、樹冠情報画像データを作成する(ステップS140)。
【0050】
樹冠は太陽光の影響を受け、樹冠の日向部、日陰部及び樹頂部においてそれぞれ色調が異なる。したがって、樹冠画像データの輝度値によって樹冠の日向部、日陰部及び樹頂部に区分することができる。ここでは、輝度値が平均値以上である箇所を日向部とし、樹冠画像データにおける輝度値が平均値未満である箇所を日陰部とし、樹冠画像データにおける輝度値が極大値である箇所を樹頂部として各樹冠を細区分した樹冠情報画像データを作成する。
【0051】
ステップS130の処理は樹冠画像データ作成部130によって行われ、樹冠画像データ作成部130によって樹冠画像データが作成されることにより、当該樹冠画像データに対応する樹冠画像(図5参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。また、ステップS140の処理は樹冠情報画像データ作成部140によって行われ、樹冠情報画像データ作成部140によって樹冠情報画像データが作成されることにより、当該樹冠情報画像データに対応する樹冠情報画像(図6参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0052】
図5は、ディスプレイ上に表示された樹冠画像を示す図である。図5において、全体的に白で表示されている領域が図4に示す森林域Bに対応しており、白で表示されている領域をよく見ると、多数の白い粒が寄せ集まっているかのように見える。図5における1つ1つの白い粒が各樹冠を表している。図5ではモノクロ画像で示されているが、実際にはカラー画像としてディスプレイ上に表示される。図5によれば、樹冠域と非樹冠域とを区分することができる。なお、非樹冠域は上空から見た場合、上層樹冠の樹木がない箇所であり、陰部や高木の樹木がない下層植生に覆われている箇所(ギャップ)である。各樹冠域の画素数を積算することで、樹冠面積を求めることができる。
【0053】
ところで、樹冠の抽出は、樹冠の縁部(樹冠縁という)が樹冠部分よりも暗いことを利用して行うものであり、これは、公知のブァレイフォローイング・アルゴリズム(Valley following algorithm)と自動マスク処理によって可能となる。また、各樹冠が抽出されることにより、抽出された各樹冠に対応する画素を積算することによって、各樹冠の面積を求めることができる。
【0054】
図6は、ディスプレイ上に表示された樹冠情報画像を部分的に拡大して示す図である。樹冠情報画像は、図6に示すように、各樹冠において日向部、日陰部及び樹頂部によって色調が異なる。すなわち、図6において、ある1つの樹冠T1を例にとって説明すると、当該樹冠T1においては、日向部Su、日陰部Sh及び樹頂部Peが存在する。
【0055】
なお、図6はモノクロ画像であるため、図6からは、日向部Su、日陰部Sh及び樹頂部Peを色別として読み取ることは困難であるが、実際には図6の元となるカラー画像上では日向部Su、日陰部Sh及び樹頂部Peを読み取ることは容易である。この場合、図6の元となるカラー画像上では日向部Suが桃色で示され、日陰部Shが黄色で示され、樹頂部Peが青色で示されているため、ディスプレイ上において表示されるカラー画像上では、日向部Su、日陰部Sh及び樹頂部Peを容易に読み取ることができる。
【0056】
次に、樹種分類画像データ作成部150により、樹冠の日向部の分光反射特性(スペクトル特性)を用いて各樹冠ごとに樹種を抽出し、抽出された樹種に基づいて樹種分類画像データを作成する(ステップS150)。
【0057】
なお、上空から調査対象地域Aを撮影して得られた撮影画像データの分光反射特性に関しては、以下の公知文献3に記載されている。ただし、公知文献3は、樹冠全体の輝度値を用いて分光反射特性を求めるものである。
【0058】
公知文献3:Masato Katoh、“Classifying tree species in a northern mixed forest using high-resolution IKONOS data”、Jour. Forestry Research9、2004年、p,7~14
【0059】
図7は、樹冠の日向部の分光反射特性の一例を示す図である。図7において、横軸は光の波長を表し、縦軸は輝度値を表している。ここでは、ヒノキCo、アカマツPd、カラマツLk、スギCj、メタセコイアMg、広葉樹Blの6種類の樹木をサンプルとし、光の波長域として青(バンド1)、緑(バンド2)、赤(バンド3)、近赤外(バンド4)における輝度値を折れ線グラフで示している。
【0060】
図7において、輝度値は赤色(バンド3)で全ての樹種において低くなり、近赤外域(バンド4)で高くなる。また、樹種による輝度値の差は、近赤外域(バンド4)で、より大きくなる。このような特性は樹種の分光反射特性(スペクトル特性)と呼ばれており、この分光反射特性により樹種を特定することができる。
【0061】
このように、日向部における分光反射特性を用いることにより、誤分類が生じにくく高い精度で樹種を特定することができる。ちなみに、樹冠全体の輝度値を用いて分光反射特性を求めると、輝度値の標準偏差が大きく、誤分類が生じやすいことが知られている。これは、太陽光の日陰部分である樹冠縁は高さが低く、隣接する樹木の枝葉や陰の影響を受けやすいので、純粋な樹種の輝度値を反映していないことが起因するものと考えられる。
【0062】
なお、ステップS150の処理は、樹種分類画像データ作成部150によって行われ、樹種分類画像データ作成部150によって樹種分類画像データが作成されることにより、当該樹種分類画像データに対応する樹種分類画像(図8参照)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0063】
図8は、ディスプレイ上に表示された森林域全体の樹種分類画像を示す図である。なお、図8はモノクロ画像であるため、図8からは、各樹種を色別として読み取ることは困難であるが、実際には図8の元となるカラー画像上ではヒノキCo、アカマツPd、カラマツLk、スギCj、メタセコイアMg、広葉樹Blが色別で示されているので、これら各樹種を容易に読み取ることができる。この場合、図8の元となるカラー画像上では、ヒノキCoが赤色、アカマツPdが橙色、カラマツLkが黄緑色、スギCjが濃緑色、メタセコイアMgが黄色、広葉樹Blが灰色で示されている。
【0064】
なお、実施形態1に係る樹種分類画像データ作成部150においては、実際には、画素(前述したように、1つの樹冠について100画素程度存在する。)ごとに樹種分類処理を実行し、各樹冠において、各画素ごとの樹種分類を行い(図9参照。)、分類された樹種の面積を計算し、面積の多い樹種を当該樹冠における樹種とする(図10参照。)。
【0065】
図9は、各樹冠の画素ごとに樹種分類を行った樹種分類結果を示す図である。なお、図9の樹種分類は、各樹冠において日向部を基準として樹種分類を行った結果である。各樹冠における画素ごとに樹種分類を行った樹種分類結果は、図9に示すように、各樹冠内において、複数の樹種が混在した状態となっている。例えば、図9において、ある1つの樹冠T2を例にとって説明すると、当該樹冠T2においては、当該樹冠T2に対応する画素のうちの多くの画素がカラマツ(図9における白色の領域)として分類されているが、一部の画素においてはスギ(図9における灰色の領域)として分類されている。このように、1つの樹冠内で複数の樹種が混在して分類されるのは、樹冠表面が枝の伸長差により一様でないため、小さな日陰部や葉量の違いがあること、林冠縁では隣接する樹冠同士において、枝や葉が入り混じる場合があることなどが要因であると考えられる。
【0066】
なお、図9はモノクロ画像であるため、図9からは、各樹種を色別として読み取ることは困難であるが、実際には図9の元となるカラー画像上ではカラマツLk、スギCjを容易に区別して読み取ることができる。この場合、図9の元となるカラー画像上では、カラマツLkが黄緑色、スギCjが濃緑色で示されている。
【0067】
図10は、図9に示した画素ごとの樹種分類結果に基づいて1つの樹冠を1つ樹種として分類した樹種分類結果を示す図である。1つの樹冠を1つ樹種として分類する処理は、各樹冠において、まずは、図9に示すように、各画素ごとの樹種分類を行い、分類された樹種の面積を計算し、面積の多い樹種を当該樹冠における樹種とする。このような処理を行うことにより、各樹冠はそれぞれ1つの樹種として分類される。
【0068】
なお、図10はモノクロ画像であるため、図10からは、各樹種を色別として読み取ることは困難であるが、実際には図10の元となるカラー画像上では樹種を容易に区別して読み取ることができる。この場合、図10の元となるカラー画像上では、ヒノキCoが濃緑色、カラマツLkが黄色、アカマツPdが赤色、スギCjが緑色で示されている。このように、面積の多い樹種を当該樹冠における樹種とするという処理を行うには、より正確な分光反射特性を用いて樹種分類を行う必要があり、これを実現するために、実施形態1に係る樹種分類システムにおいては、各樹冠の日向部とされた領域における分光反射特性によって樹種分類を行っている。
【0069】
以上説明したように実施形態1に係る樹種分類システムによれば、各樹冠の日向部における分光反射特性を用いて樹種分類を行うことにより、誤分類が生じにくく高い精度で樹種を分類することができる。樹種が高い精度で分類されることによって、森林の植生の調査及び評価を行う場合、調査結果及び評価結果の信頼性を高めることができる。
【0070】
[実施形態2]
実施形態2は、実施形態1に係る樹種分類システムにおいて得られた樹種分類画像データを用いて森林の現況を示す森林現況情報画像データを作成するものである。
【0071】
図11は、実施形態2に係る森林現況情報の作成システムの構成を示す図である。実施形態2に係る森林現況情報の作成システム200は、実施形態1に係る樹種分類システム100に加えて、全樹種樹冠占有画像データ作成部210と、樹種別樹冠占有画像データ作成部220と、全樹種樹冠本数分布画像データ作成部230と、樹種別樹冠本数分布画像データ作成部240と、森林現況情報画像データ作成部250とを有している。
【0072】
全樹種樹冠占有画像データ作成部210は、樹種分類システム100において作成された樹種分類画像データに基づいて全樹種の樹冠本数を算出する機能と、単位面積当たりの全樹種の樹冠面積占有度(全樹種樹冠面積占有度という)を算出して、算出された単位面積当たりの全樹種樹冠面積占有度に基づく全樹種樹冠占有画像データを作成する機能とを有している。
【0073】
樹種別樹冠占有画像データ作成部220は、樹種分類システム100において作成された樹種分類画像データに基づいて樹種別の樹冠本数を算出する機能と、単位面積当たりの樹種別の面積占有度(樹種別樹冠面積占有度という)を算出して、算出された単位面積あたりの樹種別樹冠面積占有度に基づく樹種別樹冠占有画像データを作成する機能とを有している。
【0074】
全樹種樹冠本数分布画像データ作成部230は、全樹種の樹冠本数に基づいて単位面積当たりの全樹種樹冠本数分布画像データを作成する機能を有している。
樹種別樹冠本数分布画像データ作成部240は、樹種別の樹冠本数に基づいて単位面積当たりの樹種別樹冠本数分布画像データを作成する機能を有している。
【0075】
森林現況情報画像データ作成部250は、樹種分類画像データ、全樹種樹冠占有画像データ、樹種別樹冠占有画像データ、全樹種樹冠本数分布画像データ及び樹種別樹冠本数分布画像データに基づいて森林現況情報画像データを作成する機能を有している。
【0076】
なお、実施形態2に係る森林現況情報の作成システムは、当該森林現況情報の作成システムに含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
【0077】
図12は、実施形態2に係る森林現況情報の作成システムにおける森林現況情報作成処理を説明するフローチャートである。森林現況情報画像データ作成処理は、図12に示すように、樹種分類システム100において作成された樹種分類画像データに基づいて全樹種の樹冠本数を算出する(ステップS210)。また、樹種分類画像データに基づいて単位面積当たりの全樹種樹冠面積占有度を算出し(ステップS220)、算出された全樹種樹冠面積占有度に基づく全樹種樹冠占有画像データを作成する(ステップS230)。
【0078】
ステップS210~S230の処理は、全樹種樹冠占有画像データ作成部210によって行われ、全樹種樹冠占有画像データ作成部210によって全樹種樹冠占有画像データが作成されることにより、当該全樹種樹冠占有画像データに対応する全樹種樹冠占有画像(図13参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0079】
図13は、ディスプレイ上に表示された全樹種樹冠占有画像を示す図である。図13の調査対象地域Aは図4と同じで地域ある。図13において白色で示す領域が図4に示す森林域における全樹種の樹冠占有領域を示しており、図4に示す森林域の全体に全樹種の樹冠が存在していることがわかる。
【0080】
次に、樹種分類システム100において作成された樹種分類画像データに基づいて樹種別の樹冠本数を算出する(ステップS240)。また、樹種分類画像データに基づいて単位面積当たりの樹種別樹冠面積占有度を算出し(ステップS250)、算出された樹種別樹冠面積占有度に基づく樹種別樹冠占有画像データを作成する(ステップS260)。
【0081】
ステップS240~S260の処理は、樹種別樹冠占有画像データ作成部220によって行われ、樹種別樹冠占有画像データ作成部220によって樹種別樹冠占有画像データが作成されることにより、当該樹種別樹冠占有画像データに対応する樹種別樹冠占有画像(図14参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0082】
図14は、ディスプレイ上に表示された樹種別樹冠占有画像を示す図である。図14の調査対象地域Aは図4と同じで地域ある。図14は樹種としてヒノキの樹冠面積占有度を示しており、図10において白色で示す領域が図4に示す森林域におけるヒノキの樹冠占有領域を示している。
【0083】
次に、全樹種の樹冠本数から単位面積当たりの全樹種樹冠本数分布画像データを作成する(ステップS270)。ステップS27の処理は、全樹種樹冠本数分布画像データ作成部230によって行われ、全樹種樹冠本数分布画像データ作成部230によって全樹種樹冠本数分布画像データが作成されることにより、当該全樹種樹冠本数分布画像データに対応する全樹種樹冠本数分布画像(図15参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0084】
図15は、ディスプレイ上に表示された全樹種樹冠本数分布画像を示す図である。図15の調査対象地域Aは図4と同じで地域ある。図15において白色で示す領域が図4に示す森林域における全樹種の樹冠本数分布を示しており、図4に示す森林域の全体に全樹種の樹冠が高密度で存在することがわかる。
【0085】
次に、樹種別の樹冠本数から単位面積当たりの樹種別樹冠本数分布画像データを作成する(ステップS280)。ステップS280の処理は、樹種別樹冠本数分布画像データ作成部240によって行われ、樹種別樹冠本数分布画像データ作成部240によって樹種別樹冠本数分布画像データが作成されることにより、当該樹種別樹冠本数分布画像データに対応する樹種別樹冠本数分布画像(図16参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0086】
図16は、ディスプレイ上に表示された樹種別樹冠本数分布画像を示す図である。図16の調査対象地域Aは図4と同じで地域ある。図16は樹種としてヒノキの樹冠本数分布を示しており、ヒノキは満遍なく存在しているが、特に、森林域B内の所定の領域B1に高密度で存在していることがわかる。
【0087】
次に、実施形態1に係る樹種分類システム100において得られた樹種分類画像データ、実施形態2に係る森林現況情報の作成システム200において得られた全樹種樹冠占有画像データ、樹種別樹冠占有画像データ、全樹種樹冠本数分布画像データ及び樹種別樹冠本数分布画像データに基づいて森林の現況区分情報を表す森林現況情報画像データを作成する(ステップS290)。ステップS290の処理は、森林現況情報画像データ作成部250によって行われ、森林現況情報画像データ作成部250によって森林現況情報画像データが作成されることにより、当該林現況情報画像データに対応する森林現況情報画像(図17参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0088】
なお、森林現況情報画像データを作成する際、レーザープロファイラや写真判読で求めた同じ分解能の樹高画像データを用い、全樹種樹冠面積占有度画像データ、樹種別樹冠面積占有度画像データ、全樹種樹冠本数分布画像データ及び樹種別樹冠本数分布画像データに加えて樹高画像データから樹高の違いを用いるようにしてもよい。
【0089】
図17は、ディスプレイ上に表示された森林現況情報画像を示す図である。図17はモノクロ画像であるため、図17からは、樹種を色別として読み取ることは困難であるが、実際には図17の元となるカラー画像上ではヒノキCo、アカマツPd、カラマツLk、スギCjなどが色別で示されているので、これら各樹種を容易に読み取ることができる。この場合、図7の元となるカラー画像上では、ヒノキCoが赤色、アカマツPdが橙色、カラマツLkが黄緑色、スギCjが濃緑色というように樹種別に色分けされて示されている。
【0090】
なお、森林現況情報画像データを作成する際、ここでは、一定の面積より小さな面積を有する領域は隣接する大きな面積を有する領域に組み入れるような処理を行うものとし、図17は一定の面積より小さな面積を有する領域が、隣接する大きな面積を有する領域に組み入れられた結果を示している。図17に示す森林現況情報画像によれば、森林の現況を適切に把握することができる。
【0091】
また、図12に示すフローチャートの処理の順序は、図12に示す順序に限られるものではない。例えば、図12においては、全樹種樹冠占有画像データの作成(ステップS230)と樹種別樹冠占有画像データの作成(ステップS260)とを行ったのちに、全樹種樹冠本数分布画像データの作成(ステップS270)と樹種別樹冠本数分布画像データの作成(ステップS280)とを行うようにしたが、これに限られるものではなく、全樹種樹冠画像データの作成終了後に全樹種樹冠本数分布画像データの作成を行い、その後、樹種別樹冠画像データを作成し、樹種別樹冠本数分布画像データの作成を行うというような順序としてもよい。また、全樹種の樹冠本数の算出(ステップS210)は、全樹種樹冠本数分布画像データの作成(ステップS270)の直前であってもよく、同様に、樹種別の樹冠本数の算出(ステップS240)は、樹種別樹冠本数分布画像データの作成(ステップS280)の直前であってもよい。
【0092】
[実施形態3]
実施形態3は、実施形態2に係る森林現況情報の作成システム200において作成された森林現況情報画像データに基づいて、間伐すべき区域(間伐対象区域)を選定するものである。なお、森林現況画像情報データは、調査対象地域における一般的な森林現況情報画像データを用いることが可能であるが、実施形態3においては、森林現況情報画像データとして、実施形態2に係る森林現況情報の作成システムにおいて作成された森林現況情報画像データを用いるものとする。
【0093】
図18は、実施形態3に係る間伐対象区域の選定システムの構成を示す図である。実施形態2に係る間伐対象区域の選定システム300は、実施形態2に係る森林現況情報の作成システム200に加えて、森林現況小班区画画像データ作成部310と、小班区画属性情報画像データ作成部320と、間伐対象区域画像データ作成部330とを有する。
【0094】
森林現況小班区画画像データ作成部310は、森林現況情報の作成システム200において作成された森林現況情報画像データに基づいて、森林を閉多角形(ポリゴン)状の小班区画に分別するための小班区画画像データを作成し、小班区画画像データを森林現況情報画像(図17参照。)に重ね合わせた森林現況小班区画画像データを作成する機能を有する。
【0095】
小班区画属性情報画像データ作成部320は、森林現況小班区画画像データを樹種分類画像データ(図8参照。)に重ね合わせることによって各小班区画の属性情報(各樹冠の樹冠本数、単位面積当たりの樹冠本数、樹冠半径、樹冠面積など各樹冠の特徴を現す情報)を抽出し、抽出された各小班区画の属性情報に関する小班区画属性情報画像データを作成する機能を有する。
【0096】
間伐対象区域画像データ作成部330は、小班区画属性情報画像データとGIS500に記憶されている地理的情報(この場合、当該森林域における林道、等高線、立地因子などの情報)とに基づいて間伐対象区域を選定し、選定された間伐対象区域を表す間伐対象区域画像データを作成する機能を有する。
【0097】
なお、実施形態3に係る間伐対象区域の選定システムは、当該間伐対象区域の選定システムに含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
【0098】
図19は、実施形態3に係る間伐対象区域の選定システムにおける間伐対象区域選定処理を説明するフローチャートである。間伐対象区域選定処理は、図19に示すように、まずは、実施形態2に係る森林現況情報の作成システム200によって作成された森林現況情報画像(図17参照)に基づいて、森林現況小班区画画像データを作成する(ステップS310)。この森林現況小班区画画像データは、森林域を閉多角形(ポリゴン)状の小班区画に区分するための小班区画輪郭画像を、森林現況情報画像(図17参照)に重ね合わせることによって作成することができる。ステップS310の処理は、森林現況小班区画画像データ作成部310によって行われ、森林現況小班区画画像データ作成部310によって森林現況小班区画画像データが作成さることにより、当該森林現況小班区画画像データに対応する森林現況小班区画画像(図20参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0099】
図20は、ディスプレイ上に表示された森林現況小班区画画像を示す図である。なお、図20はモノクロ画像であるため、図20からは、閉多角形(ポリゴン)で形成される複数の小班区画を読み取ることは困難であるが、実際には図20の元となるカラー画像上では、森林現況の1つである樹種が色別で示されており(ヒノキCoが赤色、アカマツPdが橙色、カラマツLkが黄緑色、スギCjが濃緑色など)、これら各樹種別の領域を囲む小班区画輪郭画像が白線で示されているので、図20の元となるカラー画像上では、小班区画を容易に読み取ることができる。
【0100】
次に、森林現況小班区画画像データを樹種分類画像データ(図8参照)に重ね合わせることによって、各小班区画の特徴を表す属性情報(樹冠本数、単位面積当たりの樹冠本数、樹冠半径、樹冠面積などの情報)を抽出し、抽出された各小班区画の属性情報に関する小班区画属性情報画像データを作成する(ステップS320)。ステップS320の処理は、小班区画属性情報画像データ作成部320によって行われ、小班区画属性情報画像データ作成部320によって小班区画属性情報画像データが作成さることにより、当該小班区画属性情報画像データに対応する小班区画属性情報画像(図21参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0101】
図21は、ディスプレイ上に表示された小班区画属性情報画像を示す図である。なお、図21はモノクロ画像であるため、図21からは、各小班区画輪郭画像及び各樹種を読み取ることは困難であるが、実際には図21の元となるカラー画像上では、各小班区画輪郭画像、各樹冠の樹種(ヒノキCo、アカマツPd、カラマツLk、スギCj、メタセコイアMg、広葉樹Bl)が色別で示されているので、各小班区画情報及び各樹種を容易に読み取ることができる。この場合、図21の元となるカラー画像上では、各小班区画は白線で示され、各樹冠の樹種としてのヒノキCoが赤色、アカマツPdが橙色、カラマツLkが黄緑色、スギCjが濃緑色、メタセコイアMgが黄色、広葉樹Blが灰色で示されている。
【0102】
図22は、図21における領域Dの拡大画像を示す図である。なお、図22において、領域Dに含まれる複数の小班区画のうち、ここでは、1~5の番号(区画番号という。)が付された小班区画に注目して、区画番号1~5が付された小班区画における全樹種の属性情報及び樹種別(ヒノキとする。)の属性情報について考える。なお、図22及び次に説明する図23においては、区画番号1~5は、それぞれが丸で囲まれた数字で示されている。
【0103】
図23は、各小班区画から抽出された属性情報を示す図である。図23において、区画番号1の小班区画について見ると、区画番号1の小班区画は、単位面積(1ha)当たり全樹種の樹冠本数が多く、樹冠半径と樹冠面積が小さく、ヒノキの本数が多いことがわかる。区画番号2~5の小班区画においても同様に、全樹種の属性情報及び樹種別の属性情報を抽出することができる(図23参照。)。
【0104】
なお、図23において、「total」は、樹冠本数及び樹冠本数/hについては、区画番号1~5で求められた樹冠本数の合計及び樹冠本数/hの合計あり、樹冠直径及び樹冠面積については、区画番号1~5で求められた樹冠直径の平均値及び樹冠面積の平均値である。
【0105】
次に、間伐対象区域としての評価を行うための地利条件画像データを作成する(ステップS330)。すなわち、間伐計画を立てるには、各小班区画の属性情報の他に、間伐作業のし易さ(伐採した樹木の搬出のし易さなども含む)を示す地利条件(林道からの距離、標高、傾斜など)を調べる必要がある。そこで、間伐対象区域としての評価を行うための地利条件画像データを作成する。ステップS330の処理は、間伐対象区域画像データ作成部330によって行われ、間伐対象区域画像データ作成部330によって地利条件画像データが作成されることにより、当該地利条件画像データに対応する地利条件画像(図24参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0106】
図24は、ディスプレイ上に表示された地利条件画像を示す図である。図24は地利条件の1つである林道からの距離を説明するための地利条件画像の一般例であり、本発明の各実施形態における調査対象地域A(図3参照)とは異なるものである。
【0107】
なお、図24はモノクロ画像であるため、図24からは、林道及び当該林道からの距離を色別として読み取ることは困難であるが、実際には図19の元となるカラー画像上では、林道及び当該林道からの距離が色別で示されているので、林道及び当該林道からの距離を容易に読み取ることができる。この場合、図24の元となるカラー画像上では、林道は茶色で示され、当該林道からの距離dが「d≦50m」の領域は橙色で示され、当該林道からの距離dが「50m<d≦100m」の領域は黄色で示されている。
【0108】
次に、地理情報システム(GIS)500に格納されている地理情報(この場合、林道、等高線など)から、該当する小班区画の地利条件(林道からの距離、標高、傾斜など)を取得し、小班区画属性情報と併せて、間伐対象区域としての評価値の高さ(例えば、林道から近い、傾斜が緩い、樹冠面積が大きい、占有面積割合が高い、立木本数が多いなど)を数値モデル化した間伐評価モデル化画像データを作成する(ステップS340)。ステップS340の処理も、間伐対象区域画像データ作成部330によって行われ、間伐対象区域画像データ作成部330によって間伐評価モデル化画像データが作成されることにより、当該間伐評価モデル化画像データに対応する間伐評価モデル化画像(図25参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0109】
図25は、ディスプレイ上に表示された間伐評価モデル化画像の一例を示す図である。なお、図25は間伐評価モデル化画像の例について説明するための一般的な画像例であり、本発明の実施形態における調査対象地域A(図3参照)とは異なる区域の画像である。
【0110】
間伐評価モデル画像の一例として、図25に示すように、(a)標高画像、(b)傾斜画像、(c)斜面方位画像、(d)地利画像などの地利条件を示す立地因子画像と、(e)森林現況情報画像との照合からクロス集計を行い、数値モデル化することで、(f)間伐対象選定用画像を作成する。図25はモノクロ画像であるため、図25からは、(a)標高画像、(b)傾斜画像、(c)斜面方位画像、(d)地利画像、(e)森林現況情報画像及び(f)間伐対象選定用画像をそれぞれ識別することは困難であるが、実際には図25の元となるカラー画像上では、これら(a)標高画像、(b)傾斜画像、(c)斜面方位画像、(d)地利画像、(e)森林現況情報画像及び(f)間伐対象選定用画像は容易に識別することができる。
【0111】
なお、間伐評価モデル化画像データを作成する技術は、下記の公知文献4に記載されている。ただし、本発明の各実施形態に係る間伐対象区域の選定システムにおいては、上空から森林地区を撮影して得られた撮影画像データは、高解像度の撮影画像データであるが、下記の公知文献4は、高解像度ではない衛星データを用いている点が異なる。
【0112】
公知文献4:加藤正人、“衛星リモートセンシングとGISを活用した林分の評価とモデル化”、写真測量とリモートセンシング、1991年、Vol.30,No.6
【0113】
次に、間伐評価モデル画像データに基づいて間伐すべき区域(間伐対象区域)を選定するための間伐対象区域選定画像データを作成する(ステップS350)。ステップS350の処理も、間伐対象区域画像データ作成部330によって行われ、間伐対象区域画像データ作成部330によって間伐対象区域選定画像データが作成されることにより、当該間伐対象区域選定画像データに対応する間伐対象区域選定画像(図26参照。)をディスプレイ上に表示させることができる。
【0114】
図26は、ディスプレイ上に表示された間伐対象区域選定画像を示す図である。図26において、間伐対象区域として選定された小班区画の輪郭線を他の小班区画の輪郭線と区別して示している。なお、図26はモノクロ画像であるため、図26からは、間伐対象区域を示す小班区画の輪郭線を他の小班区画の輪郭線と区別しにくいが、実際には図26の元となるディスプレイ上のカラー画像上では、間伐対象区域を示す小班区画の輪郭線の色が赤色で示されているので、間伐対象区域を容易に知ることができる。
【0115】
また、図26に示されている間伐対象区域は、図22における区画番号1の小班区画である。このように、区画番号1の小班区画が間伐対象区域として選定された理由は、間伐作業のし易さなど間伐対象区域としての評価値を高くする条件(例えば、林道から近い、傾斜が緩い、樹冠面積が大きい、占有面積割合が高い、立木本数が多いなど)を考慮した結果である。
【0116】
なお、図26に示すように間伐対象区域が選定されたとしても、実際に間伐すべき区域は、図26のように選定された間伐対象区域全体であるとは限らず、例えば、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などの登録されている森林の境界(例えば、図3参照。)に基づいて、図26のように選定された間伐対象区域全体のうちの所定の区域内のみを実際の間伐対象区域とするという場合もある。
【0117】
以上説明したように、実施形態3に係る間伐対象区域の選定システムによれば、従来においては、個人の労力と熟練に頼っていた間伐対象区域を、調査対象地域Aの中から客観的かつ適切に選定することできる。例えば、図4に示す調査対象地域Aについて間伐評価モデル画像を作成すれば、図4に示す調査対象地域A内においてどの区域を間伐対象区域として選定すべきかを客観的にかつ適切に選定することができる。
【0118】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、実施形態3に係る間伐対象区域の選定システム300においては、森林現況情報画像データとして、実施形態2に係る森林現況作成システム200において作成された森林現況画像データを用いた場合を例示したが、森林現況画像データとしては、他の一般的な森林現況画像データを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】実施形態1に係る樹種分類システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る樹種分類システムにおける樹種分類処理を説明するフローチャートである。
【図3】ディスプレイ上に表示された森林域境界画像を示す図地である。
【図4】ディスプレイ上に表示された森林域画像を示す図である。
【図5】ディスプレイ上に表示された樹冠画像を示す図である。
【図6】ディスプレイ上に表示された樹冠情報画像を部分的に拡大して示す図である。
【図7】樹冠の日向部の分光反射特性の一例を示す図である。
【図8】ディスプレイ上に表示された森林域全体の樹種分類画像を示す図である。
【図9】ディスプレイ上に表示された各樹冠の画素ごとに樹種分類を行った樹種分類結果を示す図である。
【図10】図9に示した画素ごとの樹種分類結果に基づいて1つの樹冠を1つ樹種として分類した樹種分類結果を示す図である。
【図11】実施形態2に係る森林現況情報の作成システムの構成を示す図である。
【図12】実施形態2に係る森林現況情報の作成システムにおける森林現況情報作成を説明するフローチャートである。
【図13】ディスプレイ上に表示された全樹種樹冠占有画像を示す図である。
【図14】ディスプレイ上に表示された樹種別樹冠占有画像を示す図である。
【図15】ディスプレイ上に表示された全樹種樹冠本数分布画像を示す図である。
【図16】ディスプレイ上に表示された樹種別樹冠本数分布画像を示す図である。
【図17】ディスプレイ上に表示された森林現況情報画像を示す図である。
【図18】実施形態3に係る間伐対象区域の選定システムの構成を示す図である。
【図19】実施形態3に係る間伐対象区域の選定システムにおける間伐対象区域選定処理を説明するフローチャートである。
【図20】ディスプレイ上に表示された森林現況小班区画画像を示す図である。
【図21】ディスプレイ上に表示された小班区画属性情報画像を示す図である。
【図22】図21における領域Dの拡大画像を示す図である。
【図23】各小班区画から抽出された属性情報を示す図である。
【図24】ディスプレイ上に表示された地利条件画像を示す図である。
【図25】ディスプレイ上に表示された間伐評価モデル化画像の一例を示す図である。
【図26】ディスプレイ上に表示された間伐対象区域選定画像を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
100・・・樹種分類システム、110・・・撮影画像データ入力部、120・・・森林域画像データ作成部、130・・・樹冠画像データ作成部、140・・・樹冠情報画像データ作成部、150・・・樹種分類画像データ作成部、200・・・森林現況情報の作成システム、210・・・全樹種樹冠占有画像データ作成部、220・・・樹種別樹冠占有画像データ作成部、230・・・全樹種樹冠本数分布画像データ作成部、240・・・樹種別樹冠本数分布画像データ作成部、250・・・森林現況情報画像データ作成部、300・・・間伐対象区域の選定システム、310・・・森林現況小班区画画像データ作成部、320・・・小班区画属性情報画像データ作成部、330・・・間伐対象区域画像データ作成部、500・・・地理情報システム(GIS)、A・・・調査対象地域、B・・・・森林域、C・・・非森林域、R・・・林道、Pe・・・樹頂部、Su・・・日向部、Sh・・・日陰部、T1,T2・・・樹冠
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図7】
2
【図11】
3
【図12】
4
【図18】
5
【図19】
6
【図23】
7
【図3】
8
【図4】
9
【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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