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明細書 :電磁波発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4136327号 (P4136327)
公開番号 特開2002-340955 (P2002-340955A)
登録日 平成20年6月13日(2008.6.13)
発行日 平成20年8月20日(2008.8.20)
公開日 平成14年11月27日(2002.11.27)
発明の名称または考案の名称 電磁波発生装置
国際特許分類 G01R  31/00        (2006.01)
FI G01R 31/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2001-140288 (P2001-140288)
出願日 平成13年5月10日(2001.5.10)
審査請求日 平成17年7月5日(2005.7.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】000154358
【氏名又は名称】富士電機アドバンストテクノロジー株式会社
発明者または考案者 【氏名】井口 良夫
【氏名】園田 利明
【氏名】四蔵 達之
【氏名】佐久間 政喜
個別代理人の代理人 【識別番号】100088339、【弁理士】、【氏名又は名称】篠部 正治
審査官 【審査官】関根 洋之
参考文献・文献 特開平10-062473(JP,A)
調査した分野 G01R 31/00
G01R 29/08
特許請求の範囲 【請求項1】
パルス電圧を発生するパルス発生器と、一対のアンテナ導体でもって平行間隙部を形成する中央伝送部と、この中央伝送部の一方端に接合され前記パルス発生器が発生するパルス電圧を電磁波に変えて前記中央伝送部の平行間隙部へ送り込む前段伝送部と、前記中央伝送部の他方端に接合され前記中央伝送部を伝搬して来た電磁波を受けて終端させる後段伝送部とからなり、前記後段伝送部の終端部に整合抵抗が並列接続されてなる電磁波発生装置において、前記中央伝送部の一方のアンテナ導体と同電位の側導体が前記平行間隙部の両側に配されてなるとともに、前記中央伝送部の他方のアンテナ導体と前記側導体との離隔距離が、前記一対のアンテナ導体同士の離隔距離の0.2ないし0.6倍であることを特徴とする電磁波発生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、落雷などによって発生する立ち上がりの急峻な電磁波によって発生する電界に対する電子機器の耐力を評価するための装置、特に、均一な電界分布を広い範囲に形成することのできる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
急峻なパルス波形を持った電磁波ノイズが電子機器に侵入し、電子機器の誤動作することが最近大きな問題になっている。ICやLSIなどの集積半導体素子は、電子機器の縮小化や価格の低減など多大の効果をもたらした。しかし、一方では個々の素子の寸法が縮小化されたことから、外来ノイズによる誤動作や局部的な絶縁損傷が生じやすくなってきた。そのために、電子機器の耐ノイズ性を向上させる努力が懸命に払われている。このような電子機器の耐ノイズ性を評価するために人工的な電磁波発生装置が必要になってきている。すなわち、電磁波発生装置に電子機器をセットし、急峻に立ち上がるパルス性の電磁波によって電子機器の誤動作や素子の損傷が認められないか否かが試験される。
【0003】
図5は、従来の電磁波発生装置の構成を示す斜視図である。銅平板製の一対のアンテナ導体11A,11Bよりなる中央伝送部11が平行間隙部40を形成し、この中央伝送部11の両端にそれぞれ傾斜した銅平板製の前段伝送部12および後段伝送部13が接合されている。前段伝送部12は、図5の左側へ行くにつれて導体幅および導体間隙が直線的に縮小する傾斜導体12A,12Bより構成されている。前段伝送部12の最左端には、電圧印加線16を介してパルス発生器14が並列に接続されている。一方、後段伝送部13は、図5の右側へ行くにつれて導体幅および導体間隙が直線的に縮小する傾斜導体13A,13Bより構成されている。後段伝送部13の最右端には整合抵抗15が並列接続されている。この整合抵抗15は、後段伝送部13の終端部13Cとのインピーダンス整合を取るためのものである。
【0004】
図5において、パルス発生器14は、急峻に立ち上がるパルス電圧を発生するものである。中央伝送部11や前段伝送部12、後段伝送部13は、それぞれ図示されていない絶縁柱で支持されている。パルス発生器14で発生したパルス電圧は、初め前段伝送部12の最左端の入口12Cに印加され、前段伝送部12の傾斜導体12A,12Bの間隙部に電磁波が発生する。この電磁波は、時間とともに右側へ伝搬し、中央伝送部11のアンテナ導体11A,11Bの平行間隙部40を通って後段伝送部13の傾斜導体13A,13Bの間隙部に進む。後段伝送部13に侵入した電磁波は、後段伝送部13の右端まで伝搬し、その終端部13Cに設けられた整合抵抗15によって吸収される。中央伝送部11におけるアンテナ11A,11Bの平行間隙部40が耐ノイズ性を評価するための空間であって、例えば、電子機器などの供試器18(点線)をケースごと、アンテナ11Bの上に載置して試験が行われる。
【0005】
図5の電磁波発生装置は、供試器18に晒す電磁波としてその伝搬方向に電界Eおよび磁界Hの成分を持たない場合の耐ノイズ性評価試験を目的としている。すなわち、電磁波として、アンテナ導体11A,11Bの対向する方向に電界Eが形成され、この電界Eに直角な方向に磁界Hが形成される。このように伝搬方向に電界Eおよび磁界Hの成分を持たない電磁波は、一般にTEM波(Transverse Electro-Magnetic Wave)と呼ばれている。中央伝送部11の平行間隙部40にTEM波を発生させ、供試器18をセットする方向を変えることにより種々の方向の耐ノイズ性を評価することができる。
【0006】
図5において、中央伝送部11の大きさは、供試器18の外形寸法によって決まり、現存するものでその間隙や幅、伝搬長(電磁波の進む方向の長さ)がそれぞれ数十cmから数十mのものまである。図5においては、各伝送部11,12,13は全て銅板で構成されているが、供試器18が、例えば自動車や飛行機などのように大きくなると、電磁波発生装置の幅や間隙、伝播長が数十mにもなるので、平板での製作が不可能になる。その場合には、複数のワイヤーを、そのワイヤー間に若干の隙間を設けながら平行に、かつ平面状に張り、等価的に平行平板電極を構成させることが行われている。
【0007】
図6は、従来の異なる電磁波発生装置の構成を示す斜視図である。複数本のワイヤーよりなる上下一対のワイヤー群によって、前段伝送部22と中央伝送部21と後段伝送部23とが構成されている。また、中央伝送部21は、上下のワイヤー群よりなるアンテナ導体21A,21Bが平行間隙部40を介して配置され、各ワイヤーが互いに平行にかつ平面状に張られている。前段伝送部22は、各ワイヤーが中央伝送部21の左端で折り曲げられ、ワイヤー群22A,22B同士がそれぞれ左方へ行くにしたがって互いに間隙部が狭くなるように配されるとともに各ワイヤーが最左端で一つに纏められている。一方、後段伝送部23は、各ワイヤーが中央伝送部21の右端で折り曲げられ、ワイヤー群23A,23B同士がそれぞれ右方へ行くにしたがって互いに間隙部が狭くなるように配されるとともに各ワイヤーが最右端で一つに纏められている。前段伝送部22の左端の入口22Cにパルス発生器14が並列接続され、後段伝送部23の右端の終端部23Cに整合抵抗15が並列接続されている。電磁波発生装置を図6のように構成することによって、図5の場合と同じような性能が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の電磁波発生装置は、狭い室内に設置された場合に中央伝送部の平行間隙内の電界分布が均一にならないという問題があった。
すなわち、中央伝送部の平行間隙部の両側面が開放されているために、室内の壁の影響を受けて供試器が置かれる平行間隙部内の電界分布が均一にならず、耐ノイズ性を評価する試験精度が悪いという欠点があった。次に、この問題を図6で示された電磁波発生装置の例でもって説明する。
【0009】
図7は、図6の電磁波発生装置の構成を示す側面図であり、図8は、図7の平面図である。すなわち、中央伝送部21の左右の伝送長、上下の高さ、幅はいずれも3.5mとし、また、前段伝送部22の伝送長を2.5m、後段伝送部23の伝送長を1.5mとした。さらに、前段伝送部22の入口22Cの縦横の開口幅をいずれも0.45mとし、後段伝送部23の終端部23Cの縦横の開口幅をいずれも0.85mとした。前段伝送部22の下部の導線群22B(図6)は入口22Cのところで0.55m突き上げられ、一方、後段伝送部23の下部の導線群23B(図6)も終端部23Cのところで0.06m突き上げられている。整合抵抗15は100Ωとし、上部および下部の導線群の導体本数はそれぞれ22本となっている。
【0010】
図9は、図7の電磁波発生装置が設置された試験室の構成を示す電磁波伝送方向に対して直交する面での断面図である。試験室が両側の壁3と天井5と床4とからなり、電磁波発生装置が床4から0.1m上に離れた位置に配されるとともに試験室の中央に設置された。試験室を狭く設定し、アンテナ導体21A,21Bの両端から壁3までの離隔距離を0.5mとした。アンテナ導体21Aと21Bとの間の平行間隙部40の寸法Hは前述のように3.5mである。
【0011】
図10は、図9の断面について電界計算を行った結果を示す等電位線図である。アンテナ導体21Aの電位を100%とし、アンテナ導体21Bおよび試験室の電位、すなわち、左右の壁3と天井5と床4との電位を全て0%とした。等電位線6は、電界計算によって20%ピッチの間隔でもって求められた線である。ここで、アンテナ導体21B側の代表位置9を図9において床4の中央から0.2m上に離れた位置とする。この代表位置9の電界を求めると、15%/mであった。平行間隙部40の電界分布は試験室の影響を受け、電界の高い部分と低い部分とが存在する。すなわち、一般に、等電位線6の間隔が密な部分は電界が高く、等電位線6の間隔が疎な部分は電界が低い。図10において、100%の電位であるアンテナ導体21A付近は、等電位線6の間隔が密なので電界が高い。一方、0%の電位であるアンテナ導体21B付近は等電位線6の間隔が疎なの電界が低い。平行間隙部40に供試器を置いて試験をするのであるから、平行間隙部40の電界はできるだけ均一であることが望ましい。この問題は、図5のような板状のアンテナ導体11A,11Bと間の平行間隙部40の場合でも同様である。中央伝送部の平行間隙部40の電界分布をより均一にすることによって、供試器の耐ノイズ性評価の試験精度を向上させることができる。
【0012】
この発明の目的は、平行間隙部の電界分布をより均一にすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によれば、パルス電圧を発生するパルス発生器と、一対のアンテナ導体でもって平行間隙部を形成する中央伝送部と、この中央伝送部の一方端に接合され前記パルス発生器が発生するパルス電圧を電磁波に変えて前記中央伝送部の平行間隙部へ送り込む前段伝送部と、前記中央伝送部の他方端に接合され前記中央伝送部を伝搬して来た電磁波を受けて終端させる後段伝送部とからなり、前記後段伝送部の終端部に整合抵抗が並列接続されてなる電磁波発生装置において、前記中央伝送部の一方のアンテナ導体と同電位の側導体が前記平行間隙部の両側に配されてなるとともに、前記中央伝送部の他方のアンテナ導体と前記側導体との離隔距離が、前記一対のアンテナ導体同士の離隔距離の0.2ないし0.6倍であるようにするとよい。側導体が配されることによって、等電位線が床側へ押し下げられるので、床側の電界が高くなり平行間隙部の電界分布がより均一になる。また、中央伝送部の他方のアンテナ導体と側導体との離隔距離が、一対のアンテナ導体同士の離隔距離の0.2ないし0.6倍であるが、この範囲が床側の電界が非常に高くなる領域であり、平行間隙部の電界分布の均一性が非常によい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を実施例に基づいて説明する。図1は、この発明の実施例にかかる電磁波発生装置の構成を示す側面図であり、図2は、図1の平面図である。中央伝送部21の平行間隙部40の両側にそれぞれワイヤーよりなる側導体1,2が付加されている。側導体1,2はアンテナ導体21Aと同電位になるように給電されている。また、側導体1,2は、図2のようにアンテナ導体21Aの両幅からそれぞれ水平方向で寸法Mだけ出っ張っている。さらに、側導体1とアンテナ導体21Bとの高さ方向の離隔距離はDであり、側導体2は、側導体1とアンテナ導体21Aとの略中間に位置している。
【0017】
図1の電磁波発生装置を図9で示されたものと同じ試験室に設置して平行間隙部40の電界が計算された。図3は、図1の電磁波発生装置が設置された試験室の構成を示す電磁波伝送方向に対して直交する面での断面図であり、図9の構成に側導体1,2が付加されただけである。
図4は、図3の断面について電界計算を行った結果を示す等電位線図である。電界計算は図10の場合と同様に、アンテナ導体21Aの電位を100%とし、アンテナ導体21Bおよび試験室の電位、すなわち、左右の壁3と天井5と床4との電位を全て0%とした。また、側導体1,2の電位を100%とし、側導体1からアンテナ導体21Bまでの高さ方向の離隔距離Dを2mとするとともに、水平方向の寸法M(図2)を0.15mとした。等電位線6が、電界計算によって20%ピッチの間隔でもって求められた線である。図4より分かるように、側導体1,2によって等電位線6が床4側へ押し下げられ、アンテナ導体21B側の電界が図10の場合よりは高くなっていることを示している。なお、側導体1,2を近接して周回している等電位線6の電位は80%であり、アンテナ導体21Aを近接して周回している等電位線6と同じ電位である。側導体1,2が配されることによって、平行間隙部40の電界分布がより均一になる。電界計算は、側導体1とアンテナ導体21Bとの離隔距離Dを種々変えて行われた。但し、Mは0.15m、Hは3.5mと一定にした。
【0018】
図11は、離隔距離Dを種々変えた場合の電界計算結果を示す特性線図である。横軸に寸法比D/Hが目盛られ、縦軸に電界が目盛られている。実線の特性30が図3の代表位置9(床4の中央から0.2mだけ上の×印の位置)における電界であり、○印が実際に電界計算された結果である。但し、電界計算は、図3において側導体2は除き、側導体1だけにして行われた。点線の特性31は、100%の電圧を平行間隙部40の寸法H=3.5mで割った値、すなわち、28.6%/mである。電界はできるだけ特性31に近い方がよいことになる。
【0019】
図11の特性30において、D/Hが1の場合は、従来の電磁波発生装置の場合(図9)に相当し、代表位置9における電界が低くなっている。D/Hを減少させることによって電界は高くなり、特性31のレベルに近くなって行くが28.6%/mまでには達せず、D/Hが0.35で電界がピークを迎え、D/Hをさらに減少させると逆に電界が低下して行く。D/Hが0.2ないし0.6の範囲が床側の電界が非常に高くなる領域であり、平行間隙部40の電界分布の均一性が非常によい。
【0020】
また、側導体1に側導体2(図3)を追加すると、平行間隙部40の電界は図11の特性30よりさらに高くなる。それは、図4のように側導体2の存在によって等電位線6が床4側へさらに押し下げられるためてある。それによって、平行間隙部40の電界分布の均一性がさらによくなる。
図1に戻り、この発明は平行間隙部40が図5のような板状のアンテナ11A,11Bで構成されたものであっても構わない。また、側導体は、ワイヤー状の側導体1だけであっても構わないし、側導体1とアンテナ21Aとの間に複数のワイヤー群が配されてあってもよい。さらに、側導体はワイヤー群ではなく板状であってもよく、また、その板状の側導体をアンテナ21Aに繋げて下方へ垂らす構成としてもよい。
【0021】
図2におけるMの寸法は、床側の電界値にはあまり影響しない。したがって、M=0であっても構わないし、M=0.2mであってもよい。しかし、Mの寸法をあまり大きくすると、電磁波発生装置を試験室に収納することができなくなるのでMの値はなるべく小さい方がよい。
【0022】
【発明の効果】
この発明は前述のように、中央伝送部の一方のアンテナ導体と同電位の側導体が中央伝送部の平行間隙部の両側に配されてなるようにすることによって、平行間隙部の電界分布がより均一になり、供試器の耐ノイズ性評価の試験精度が向上する。
【0023】
た、かかる構成において、中央伝送部の他方のアンテナ導体と側導体との離隔距離が、一対のアンテナ導体同士の離隔距離の0.2ないし0.6倍であるようにすることによって、供試器の耐ノイズ性評価の試験精度が最もよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる電磁波発生装置の構成を示す側面図
【図2】図1の平面図
【図3】図1の電磁波発生装置が設置された試験室の構成を示す断面図
【図4】図3の断面について電界計算を行った結果を示す等電位線図
【図5】従来の電磁波発生装置の構成を示す斜視図
【図6】従来の異なる電磁波発生装置の構成を示す斜視図
【図7】図6の電磁波発生装置の構成を示す側面図
【図8】図7の平面図
【図9】図7の電磁波発生装置が設置された試験室の構成を示す断面図
【図10】図9の断面について電界計算を行った結果を示す等電位線図
【図11】離隔距離Dを種々変えた場合の電界計算結果を示す特性線図
【符号の説明】
1,2:側導体、3:壁、4:床、5:天井、6:等電位線、14:パルス発生器、15:整合抵抗、11,21:中央伝送部、11A,11B,21A,21B:アンテナ導体、12,22:前段伝送部、13,23:後段伝送部、12C,22C:入口、13C,23C:終端部、40:平行間隙部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10