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明細書 :急峻波電圧発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4117700号 (P4117700)
公開番号 特開2002-340958 (P2002-340958A)
登録日 平成20年5月2日(2008.5.2)
発行日 平成20年7月16日(2008.7.16)
公開日 平成14年11月27日(2002.11.27)
発明の名称または考案の名称 急峻波電圧発生装置
国際特許分類 G01R  31/00        (2006.01)
G01R  31/26        (2006.01)
H02M   9/04        (2006.01)
FI G01R 31/00
G01R 31/26 H
H02M 9/04 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2001-140289 (P2001-140289)
出願日 平成13年5月10日(2001.5.10)
審査請求日 平成17年7月5日(2005.7.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】000154358
【氏名又は名称】富士電機アドバンストテクノロジー株式会社
発明者または考案者 【氏名】井口 良夫
【氏名】園田 利明
【氏名】四蔵 達之
【氏名】佐久間 政喜
個別代理人の代理人 【識別番号】100088339、【弁理士】、【氏名又は名称】篠部 正治
審査官 【審査官】藤原 伸二
参考文献・文献 特開平03-194480(JP,A)
実開昭61-128829(JP,U)
特開2000-152666(JP,A)
特開昭57-135690(JP,A)
調査した分野 G01R 31/00
G01R 31/26
H02M 9/04
特許請求の範囲 【請求項1】
直流電源によって充電される充電用コンデンサに火花ギャップが直列接続されてなるインパルス発生回路と、このインパルス発生回路に放電抵抗を介して波頭調整用コンデンサが並列接続され、急峻波電圧の出力端が放電ギャップを介して前記波頭調整用コンデンサの両端に接続されてなるピーキング回路とにより構成され、始動パルスが前記火花ギャップに注入されるとともに、第1のトリガパルスが前記始動パルスより所定時間遅れて前記放電ギャップに注入されるように構成され、始動パルスの注入でもって前記火花ギャップを短絡させることにより充電用コンデンサに充電されていた電荷を波頭調整用コンデンサに蓄積させ、次に第1のトリガパルスの注入でもって前記放電ギャップを短絡させることによって波頭調整用コンデンサに蓄積されていた電荷を負荷側に放出しピーキング回路の出力端に急峻波電圧を発生させる急峻波電圧発生装置において、前記第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ前記第1のトリガパルスを始動パルスより前記所定時間だけ遅らせて出力させることを特徴とする急峻波電圧発生装置。
【請求項2】
直流電源によって充電される充電用コンデンサに火花ギャップが直列接続されてなるインパルス発生回路と、このインパルス発生回路に短絡ギャップが並列接続されるとともにこの短絡ギャップに放電抵抗を介して波頭調整用コンデンサが並列接続され、急峻波電圧の出力端が放電ギャップを介して前記波頭調整用コンデンサの両端に接続されてなるピーキング回路とにより構成され、始動パルスが前記火花ギャップに注入されるとともに、第1のトリガパルスが前記始動パルスより所定時間遅れて前記放電ギャップに注入されるように構成され、第2のトリガパルスが前記放電ギャップの短絡時刻付近で短絡ギャップに注入されるように構成され、始動パルスの注入でもって前記火花ギャップを短絡させることによって充電用コンデンサに充電されていた電荷を波頭調整用コンデンサに蓄積させ、次に第1のトリガパルスの注入でもって前記放電ギャップを短絡させることによって波頭調整用コンデンサに蓄積されていた電荷を負荷側に放出しピーキング回路の出力端に急峻波電圧を発生させ、さらに、第2のトリガパルスの注入でもって前記短絡ギャップを短絡させる急峻波電圧発生装置において、前記第2のトリガパルスを発生させる第2のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第2のトリガ用コンデンサと、この第2のトリガ用コンデンサに直列接続される第2のトリガギャップと、この第2のトリガギャップと第2のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第2のインダクタおよび第2のキャパシタでもって構成された第2の遅延回路とで構成され、第2のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第2のトリガギャップを短絡させることによって第2のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第2の遅延回路に入力させ前記第2のトリガパルスを前記放電ギャップの短絡時刻付近で出力させることを特徴とする急峻波電圧発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の急峻波電圧発生装置において、前記第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ前記第1のトリガパルスを始動パルスより所定時間だけ遅らせて出力させることを特徴とする急峻波電圧発生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、10nsよりも短い時間で急峻に立ち上がる波形の電圧発生装置に関し、特に、誤動作し難いとともに低コストな装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
急峻な波形の電磁波ノイズが電子機器に侵入し、その電子機器が誤動作することが最近大きな問題になっている。ICやLSIなどの集積半導体素子は、電子機器の縮小化や価格の低減など多大な効果をもたらした。しかし、一方では個々の素子の寸法が縮小化されたことから、外来の電磁波ノイズによる誤動作や局部的な絶縁損傷が生じやすくなってきた。そのために、電子機器の耐ノイズ性を向上させる努力が懸命に払われている。このような電子機器の耐ノイズ性を評価するために人工的な電磁波発生装置が必要になってきている。すなわち、電磁波発生装置に電子機器をセットし、急峻に立ち上がるパルス性の電磁波によって電子機器の誤動作や素子の損傷が認められないか否かが試験される。急峻波電圧発生装置は前記のような電磁波発生装置に組み込まれ、空中線などの負荷に急峻波電圧を印加することによって電磁場を形成させている。
【0003】
図2は、従来の急峻波電圧発生装置の構成を示す回路図である。インパルス発生回路2の構成は、直列接続された複数の充電用コンデンサCG のそれぞれに直列に火花ギャップ3が介装され、この充電用コンデンサCG のそれぞれに並列に直流電源1が接続されている。インパルス発生回路2の出力端2Aには、ピーキング回路5が接続されている。このピーキング回路5は、出力端2Aに並列に短絡ギャップ10が接続され、この短絡ギャップ10に並列に放電抵抗RC を介して波頭調整用コンデンサCp が接続されている。ピーキング回路5の出力端5Aは放電ギャップ6を介して波頭調整用コンデンサCp に並列接続されている。
【0004】
図2において、トリガ信号源7が始動パルス3Aを発生させるための電源であり、トリガ電源8,9がそれぞれ第1のトリガパルス6A,第2のトリガパルス6Bを発生させるための電源である。始動パルス3Aは複数の火花ギャップ3にそれぞれ注入され火花ギャップ3を短絡させるためのパルスである。また、第1のトリガパルス6Aは放電ギャップ6に注入され放電ギャップ6を短絡させるためのパルスであり、第2のトリガパルス6Bは短絡ギャップ10に注入され短絡ギャップ10を短絡させるためのパルスである。トリガ電源8,9は同じ回路構成を備え、遅延回路17の出力がゲート駆動回路19に入力され、このゲート駆動回路19の出力が半導体スイッチ22のゲートに入力されている。半導体スイッチ22と、直流電源20によって直流充電された始動用コンデンサ21との直列回路がパルストランス23の低圧巻線に並列接続され、パルストランス23の高圧巻線からそれぞれ第1のトリガパルス6A,第2のトリガパルス6Bが出力されるようになっている。トリガ信号源7からの始動パルス3Aを遅延回路17が受け、遅延回路17が始動パルス3Aを遅らせた後、ゲート駆動回路19に出力する。ゲート駆動回路19の出力信号でもって半導体スイッチ22が短絡状態になるので、始動用コンデンサ21に充電されていた電荷がパルストランス23の低圧巻線に流れ込む。それによって、それぞれのパルストランス23の高圧巻線に高圧の第1のトリガパルス6A,第2のトリガパルス6Bが誘起される。
【0005】
図2の急峻波電圧発生装置の動作としては、ピーキング回路5の出力端5Aに図示されていない負荷が接続された状態で、各充電用コンデンサCG が直流電源1によって充電される。次に、火花ギャップ3に始動パルス3Aが注入され火花ギャップ3を短絡させる。火花ギャップ3の短絡によって充電用コンデンサCG に蓄えられていた電荷がピーキング回路5の方へ流れ出し、放電抵抗RC を介して一旦波頭調整用コンデンサCp に蓄積される。波頭調整用コンデンサCp にある程度の電荷が蓄えられたときに、放電ギャップ6に第1のトリガパルス6Aが注入され、放電ギャップ6の短絡によって立ち上がり時間の短い急峻波電圧が出力端5Aに発生する。立ち上がりの時間が1μs以上の電圧を発生させる場合にはインパルス発生回路2だけで充分であるが、立ち上がりの時間が100ns以下の急峻な電圧を発生させる場合には、ピーキング回路5が必要になって来る。なお、短絡ギャップ10は、必ずしも必要ではないが、放電ギャップ6の短絡時刻の付近で短絡ギャップ10に第2のトリガパルス6Bを注入させることにより、短絡ギャップ10が絶縁破壊しインパルス発生回路2の出力端2Aが短絡される。それによって、後述されるように出力端5Aに発生する電圧波形の持続幅を短くすることができる。
【0006】
図3は、図2の急峻波電圧発生装置から発生する電圧波形を計算した結果を示すタイムチャートであり、図4は図3の要部拡大タイムチャートである。すなわち、横軸tは火花ギャップ3を短絡させた時からの時間であり、縦軸Vは電圧である。回路定数としては、放電抵抗Rc を1000Ω、充電用コンデンサCg のトータルの直列容量を35nF、波頭調整用コンデンサCp を1.5nFとした。放電ギャップ6を短絡させる時間tp は6μs、短絡ギャップ10を短絡させる時間tc は6.2μsにそれぞれ設定された。図3において、波形11(一点鎖線)がインパルス発生回路2の出力端2Aに発生する電圧V0 、波形12(点線)が図2における波頭調整用コンデンサCp にかかる電圧V1 、波形13(実線)がピーキング回路5の出力端5Aに発生する電圧V2 である。火花ギャップ3を短絡されると、波形11は直ぐに立ち上がり直列に接続された充電用コンデンサCg のトータルの充電電圧に等しくなる。一方、波形12は放電抵抗Rc が1000Ωと大きいので、ある時定数でもって緩やかに上昇する。時間tp において放電ギャップ6が短絡されると、波形11は僅かに変歪するがほぼ充電用コンデンサCg の充電電圧のまま保持される。その時間tp において波形13が急峻に立ち上がり、直ぐに減衰し始める。時間tc において短絡ギャップ10が短絡されると波形11は急に零まで裁断されるが、波形13は波頭調整用コンデンサCp と負荷のインピーダンスと放電抵抗Rc とによって決まる時定数でもって減衰するようになり、急峻でかつ持続時間の短い電圧波形が得られる。なお、波形13は時間tc において僅かに変曲している。これは、時間tc において短絡ギャップ10が短絡されるのでインパルス発生回路2の出力端2Aが短絡し、波形13の減衰時定数が変わるためである。
【0007】
すなわち、図4において、波形13(実線)は時間tc が6.2μsに設定された場合であるが、短絡ギャップ10が短絡されない場合は波形29(一点鎖線)のように持続時間が長くなるだけである。したがって、図2の短絡ギャップ10をあえて設けなくても、波形29のような急峻波電圧を発生させることができる。しかし、短絡ギャップ10を短絡させることによって、波形29の持続時間を調整することができる。短絡ギャップ10を短絡させる時間tc は時間tp の前であってもよく、また時間tp であってもよく、さらに、時間tp の後であってもよい。波形13(実線)は時間tc が6.2μsの場合であり、時間tp より0.2μs後である。時間tが6.2μs以降はインパルス発生回路2が短絡されるので急峻波電圧の時定数が小さくなり、それによって、波形13の持続時間が短くなっている。一方、波形16(点線)は時間tc が5.8μsまたは6.0μsの場合のものである。その場合のインパルス発生回路2の出力端2Aに発生する電圧V0 は、図3のようにそれぞれ波形14(tc が5.8μs)、波形15(tc が6.0μs)となるが、ピーキング回路5の出力端5Aに発生する電圧V2 の波形16は図4のように波形13とは殆ど変わらない。したがって、短絡ギャップ10を短絡させる時間tc は、放電ギャップ6を短絡させる時間tp の付近であれば、時間tp の前後付近ならいずれの時間であってもよい。しかも、波形13や波形16の持続幅は、インパルス発生回路2の回路定数には全く依存せず、放電抵抗Rc や波頭調整用コンデンサCp 、負荷側の回路定数だけによって決まる。なお、放電抵抗Rc の抵抗値を負荷側のインピーダンスより遙に大きくしておけば、波形13や波形16の持続幅は波頭調整用コンデンサCp のキャパシタンスと負荷側のインピーダンスだけによってほぼ決まる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の装置は、誤動作し易いとともにコスト高であるという問題があった。
すなわち、従来の急峻波発生装置のトリガ電源が半導体からなる遅延回路やゲート駆動回路、半導体スイッチでもって構成されている。そのために、外来ノイズに影響され誤動作し易かった。また、トリガ電源の始動用コンデンサを充電するための直流電源も必要としコスト高であった。
【0009】
この発明の目的は、誤動作し難くするとともに低コスト化することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によれば、直流電源によって充電される充電用コンデンサに火花ギャップが直列接続されてなるインパルス発生回路と、このインパルス発生回路に放電抵抗を介して波頭調整用コンデンサが並列接続され、急峻波電圧の出力端が放電ギャップを介して前記波頭調整用コンデンサの両端に接続されてなるピーキング回路とにより構成され、始動パルスが前記火花ギャップに注入されるとともに、第1のトリガパルスが前記始動パルスより所定時間遅れて前記放電ギャップに注入されるように構成され、始動パルスの注入でもって前記火花ギャップを短絡させることにより充電用コンデンサに充電されていた電荷を波頭調整用コンデンサに蓄積させ、次に第1のトリガパルスの注入でもって前記放電ギャップを短絡させることによって波頭調整用コンデンサに蓄積されていた電荷を負荷側に放出しピーキング回路の出力端に急峻波電圧を発生させる急峻波電圧発生装置において、前記第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ前記第1のトリガパルスを始動パルスより前記所定時間だけ遅らせて出力させるようにするとよい。それによって、第1のトリガ電源に半導体を一切使用する必要がなくなり、第1のトリガ電源が誤動作し難くなる。また、第1のトリガ電源にもう一つの直流電源を使用する必要もなくなり低コストになる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、この発明によれば、直流電源によって充電される充電用コンデンサに火花ギャップが直列接続されてなるインパルス発生回路と、このインパルス発生回路に短絡ギャップが並列接続されるとともにこの短絡ギャップに放電抵抗を介して波頭調整用コンデンサが並列接続され、急峻波電圧の出力端が放電ギャップを介して前記波頭調整用コンデンサの両端に接続されてなるピーキング回路とにより構成され、始動パルスが前記火花ギャップに注入されるとともに、第1のトリガパルスが前記始動パルスより所定時間遅れて前記放電ギャップに注入されるように構成され、第2のトリガパルスが前記放電ギャップの短絡時刻付近で短絡ギャップに注入されるように構成され、始動パルスの注入でもって前記火花ギャップを短絡させることによって充電用コンデンサに充電されていた電荷を波頭調整用コンデンサに蓄積させ、次に第1のトリガパルスの注入でもって前記放電ギャップを短絡させることによって波頭調整用コンデンサに蓄積されていた電荷を負荷側に放出しピーキング回路の出力端に急峻波電圧を発生させ、さらに、第2のトリガパルスの注入でもって前記短絡ギャップを短絡させる急峻波電圧発生装置において、前記第2のトリガパルスを発生させる第2のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第2のトリガ用コンデンサと、この第2のトリガ用コンデンサに直列接続される第2のトリガギャップと、この第2のトリガギャップと第2のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第2のインダクタおよび第2のキャパシタでもって構成された第2の遅延回路とで構成され、第2のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第2のトリガギャップを短絡させることによって第2のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第2の遅延回路に入力させ前記第2のトリガパルスを前記放電ギャップの短絡時刻付近で出力させるようにするとよい。それによって、第2のトリガ電源に半導体を一切使用する必要がなくなり、第2のトリガ電源が誤動作し難くなる。また、第2のトリガ電源に直流電源を使用する必要もなくなり低コストになる。
【0012】
また、かかる構成において、前記第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ前記第1のトリガパルスを始動パルスより所定時間だけ遅らせて出力させるようにするとよい。それによって、第1のトリガ電源および第2のトリガ電源に半導体を一切使用する必要がなくなり、両方のトリガ電源とも誤動作し難くなる。また、両者のトリガ電源はいずれも直流電源を使用する必要もなくなり低コストになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を実施例に基づいて説明する。図1は、この発明の実施例にかかる急峻波電圧発生装置の構成を示す回路図である。第1のトリガパルス6Aを発生させる第1のトリガ電源27Aが、直流電源1から抵抗R 1,R2 を介して充電される第1のトリガ用コンデンサ25Aと、この第1のトリガ用コンデンサ25Aに直列接続される第1のトリガギャップ24Aと、この第1のトリガギャップ24Aと第1のトリガ用コンデンサ25Aとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタLA および第1のキャパシタCA でもって形成される第1の遅延回路18Aと、この第1の遅延回路18Aの出力側にコンデンサC0 を介して接続されたパルストランス28とで構成されている。第1のトリガギャップ24Aに始動パルス3Aが注入され第1のトリガギャップ24Aを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサ25Aに充電されていた電荷が第1の遅延回路18Aに入力される。第1の遅延回路18Aは、入力された信号を所定時間遅らせて出力する。パルストランス28は、第1の遅延回路18Aの出力信号を低圧巻線に受け昇圧させた後、高圧巻線から第1のトリガパルス6Aを放電ギャップ6へ出力する。一方、第2のトリガパルス6Bを発生させる第2のトリガ電源27Bも第1のトリガ電源27Aと同様な回路構成である。すなわち、第2のトリガ電源27Bが、直流電源1から抵抗R 1,R2 を介して充電された第2のトリガ用コンデンサ25Bと、この第2のトリガ用コンデンサ25Bに直列接続された第2のトリガギャップ24Bと、この第2のトリガギャップ24Bと第2のトリガ用コンデンサ25Bとの直列回路に並列接続されるとともに第2のインダクタLB および第2のキャパシタCB でもって形成された第2の遅延回路18Bとで構成されている。第2のトリガギャップ24Bに始動パルス3Aが注入され第2のトリガギャップ24Bを短絡させることによって第2のトリガ用コンデンサ25Bに充電されていた電荷が第2の遅延回路18Bに入力される。第2の遅延回路18Bは、入力された信号を遅らせて第2のトリガパルス6Bを短絡ギャップ10へ出力する。図1のその他は、図2の従来の構成と同一であり、同じ部分には同一符号を付することによって詳細な説明は省略する。
【0014】
図1において、第1のトリガ電源27A内のコンデンサC0 は第1のトリガコンデンサ25Aが直流充電されるときにその充電電流がパルストランス28の低圧巻線に流れ込まないようにするためのものである。また、パルストランス28は第1のトリガ電源27Aの内部回路を高電圧から保護するためのものである。すなわち、インパルス発生回路2の充電用コンデンサCG が複数段直列に接続されている場合(図1は4段の場合)に急峻波電圧を発生させると、放電ギャップ6の両者の電極が直流電源1の出力電圧の約複数倍(充電用コンデンサCG の段数倍)という高い電圧になる。この高電圧から第1のトリガ電源27Aの内部回路を保護するためにパルストランス28が介装されている。したがって、パルストランス28は、インパルス発生回路2の充電用コンデンサCG が1段の場合は無くても構わない。一方、短絡ギャップ10の一方の電極(図1の下側の電極)には高い電圧が発生しないので、この下側の電極に向けて第2のトリガパルス6Bを注入する構成とすれば第2のトリガ電源27Bにはパルストランスは不用である。しかし、第2のトリガ電源27Bの内部回路の保護用として、第2のトリガ電源27Bの出力側にパルストランスを介装しても構わない。
【0015】
図1におけるように、第1のトリガ電源27A,第2のトリガ電源27Bに半導体を一切使用する必要がなくなり、誤動作し難くなる。それによって、急峻波電圧による試験を確実にかつ効率よく実施することができるようになった。また、第1のトリガ電源27Aおよび第2のトリガ電源27Bにそれぞれ専用の直流電源を設ける必要がなくなり装置が低コストになり、経済性も向上した。
【0016】
なお、図1の実施例はピーキング回路5に短絡ギャップ10が介装されている場合であるが、短絡ギャップ10が介装されていない急峻波電圧発生装置の場合は、第1のトリガ電源27Aだけになる。また、図1の実施例は第1のトリガ電源27A,第2のトリガ電源27Bとして両方とも半導体を使用しないものが用いられているが、必ずしもこれに限る必要はない。例えば、両方のトリガ電源が互いに異なる位置に設置され、一方のトリガ電源がノイズの影響を受けなければその方のトリガ電源は図2のような半導体を用いた従来のトリガ電源8,9を用いても構わない。
【0017】
【発明の効果】
この発明は前述のように、第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ前記第1のトリガパルスを始動パルスより所定時間だけ遅らせて出力させるようにすることによって、第1のトリガ電源が誤動作し難くなり、急峻波電圧による試験を確実にかつ効率よく実施することができるようになった。また、低コストになり、経済性も向上した。
【0018】
また、第2のトリガパルスを発生させる第2のトリガ電源が、直流電源でもって充電される第2のトリガ用コンデンサと、この第2のトリガ用コンデンサに直列接続される第2のトリガギャップと、この第2のトリガギャップと第2のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第2のインダクタおよび第2のキャパシタでもって構成された第2の遅延回路とで構成され、第2のトリガギャップに始動パルスが注入され第2のトリガギャップを短絡させることによって第2のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第2の遅延回路に入力させ第2のトリガパルスを放電ギャップの短絡時刻付近で出力させるようにすることによって、第2のトリガ電源が誤動作し難くなり、急峻波電圧による試験を確実にかつ効率よく実施することができるようになった。また、低コストになり、経済性も向上した。
【0019】
また、かかる構成において、第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ第1のトリガパルスを始動パルスより所定時間だけ遅らせて出力させるようにすることによって、第1のトリガ電源と第2のトリガ電源がともに誤動作し難くなり、急峻波電圧による試験を確実にかつ効率よく実施することができるようになった。また、低コストになり、経済性も向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる急峻波電圧発生装置の構成を示す回路図
【図2】従来の急峻波電圧発生装置の構成を示す回路図
【図3】図2の急峻波電圧発生装置から発生する電圧波形を計算した結果を示すタイムチャート
【図4】図3の要部拡大タイムチャート
【符号の説明】
1:直流電源、2:インパルス発生回路、3:火花ギャップ、3A:始動パルス、5:ピーキング回路、6:放電ギャップ、6A:第1のトリガパルス、6B:第2のトリガパルス、8,9:トリガ電源、10:短絡ギャップ、17:遅延回路、18A:第1の遅延回路、18B:第2の遅延回路、24A:第1のトリガギャップ、24B:第2のトリガギャップ、25A:第1のトリガ用コンデンサ、25B:第2のトリガ用コンデンサ、27A:第1のトリガ電源、27B:第2のトリガ電源、CG :充電用コンデンサ、Cp :波頭調整用コンデンサ、Rc :放電抵抗、LA :第1のインダクタ、CA :第1のコンデンサ、LB :第2のインダクタ、CB :第2のコンデンサ
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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