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明細書 :ロボット用クローラ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4088702号 (P4088702)
公開番号 特開2006-218931 (P2006-218931A)
登録日 平成20年3月7日(2008.3.7)
発行日 平成20年5月21日(2008.5.21)
公開日 平成18年8月24日(2006.8.24)
発明の名称または考案の名称 ロボット用クローラ
国際特許分類 B62D  55/253       (2006.01)
FI B62D 55/253 C
B62D 55/253 E
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2005-032617 (P2005-032617)
出願日 平成17年2月9日(2005.2.9)
審査請求日 平成17年2月9日(2005.2.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
発明者または考案者 【氏名】内田 康之
【氏名】津田 和彦
【氏名】佐藤 正則
【氏名】市野 秀和
【氏名】大崎 馨
【氏名】西野 統
【氏名】小松原 正明
【氏名】関戸 明仁
個別代理人の代理人 【識別番号】110000350、【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
審査官 【審査官】加藤 友也
参考文献・文献 特開平07-257446(JP,A)
実開昭59-054377(JP,U)
特開平10-067350(JP,A)
特開昭61-054378(JP,A)
実開平03-109988(JP,U)
実開平07-040381(JP,U)
特開2003-327175(JP,A)
調査した分野 B62D 55/253
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の板状のクローラブロックの端部を接続して無端ベルト状に形成されたロボット用クローラにおいて、
長さが微小な短炭素繊維を分散して混入したゴム生地で前記クローラブロックを構成し、
前記クローラブロックの板状部から一体に突出して幅方向に延びるラグを複数条形成し、
前記各ラグの内部にラグ幅方向に延びる衝撃吸収用空隙を形成し、
長炭素繊維を格子状に編み込んだ長炭素繊維シートを前記クローラブロックの端部に埋設し
前記ラグを断面二等辺三角形状に形成し、前記衝撃吸収用空隙を断面円形とし、前記各ラグの底部側で衝撃吸収用空隙の両側に断面円形の階段昇降用空隙を形成し
ことを特徴とするロボット用クローラ。
【請求項2】
請求項に記載のロボット用クローラにおいて、前記衝撃吸収用空隙より前記階段昇降用空隙の径を小さくしたことを特徴とするロボット用クローラ。
【請求項3】
請求項に記載のロボット用クローラにおいて、前記クローラブロックの反ラグ側にガイド突起部を備え、前記ラグの先端部の幅方向一側に凹段部を形成すると共に、前記ガイド突起を前記凹段部のない側にずらして形成したことを特徴とするロボット用クローラ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット用クローラに係り、特に、一般道の走行に加えて、屋内外の階段昇降にも用いられるロボット用クローラに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来のゴムクローラとして、特開2003-327175号公報(特許文献1)に示されたものがある。このゴムクローラは、外周接地部の左右に長さ方向に所定間隔を置いて形成された接地ラグ間を繋ぐ芯金の埋設位置に配設された中央ラグの進行方向に直角な面を側面視で曲面に形成したものである。かかる構成とすることにより、前後進を繰り返すゴムクローラの駆動時において、スプロケット係合部に近接する中央ラグの進行方向に直角な面が、砂利等の障害物による大きな路面からの抵抗力を受けても、曲面構成によりこれらをいなすことで適度に分散させることができ、中央ラグに早期に剥離が生じることがなく、これに接続された接地ラグに波及することを抑止して寿命を伸ばすことができるようにしたものである。
【0003】

【特許文献1】特開2003-327175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1を含む従来のゴムクローラにおいては、ゴムクローラを構成するゴム生地がゴム材料のみで形成されているため、ゴムクローラの回転によってゴム生地が伸び、走行性が低下するという問題があった。特に、階段昇降時にゴム生地が伸び易く、階段とのグリップ力が低下し、良好な階段走行性を確保できないという問題があった。また、ゴムクローラを構成するゴムブロックを接続する部分は重ねた状態で他の部分と同一の厚さにする必要があるために、各ゴムブロックの接続部の厚さが薄くなり、階段昇降に必要な接続部分の強度を確保できないという問題があった。さらには、特許文献1のような芯金の埋設位置に配設された中央ラグの曲面のみで、階段昇降時に加わる衝撃を十分に緩和することは難しいという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、走行時におけるゴム生地の伸びを防止し、ゴムブロックの接続部の強度を確保し、衝撃吸収性を向上することにより、信頼性を確保しつつ階段昇降時の走行性の向上を図ることができるロボット用クローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の態様は、複数の板状のクローラブロックの端部を接続して無端ベルト状に形成されたロボット用クローラにおいて、長さが微小な短炭素繊維を分散して混入したゴム生地で前記クローラブロックを構成し、前記クローラブロックの板状部から一体に突出して幅方向に延びるラグを複数条形成し、前記各ラグの内部にラグ幅方向に延びる衝撃吸収用空隙を形成し、長炭素繊維を格子状に編み込んだ長炭素繊維シートを前記クローラブロックの端部に埋設し、前記ラグを断面二等辺三角形状に形成し、前記衝撃吸収用空隙を断面円形とし、前記各ラグの底部側で衝撃吸収用空隙の両側に断面円形の階段昇降用空隙を形成した構成にしたことにある。
【0007】
係る本発明の態様におけるより好ましい具体的な構成例は次の通りである。
(1)前記衝撃吸収用空隙より前記階段昇降用空隙の径を小さくしたこと。
(2)前記クローラブロックの反ラグ側にガイド突起部を備え、前記ラグの先端部の幅方向一側に凹段部を形成すると共に、前記ガイド突起を前記凹段部のない側にずらして形成したこと。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、走行時におけるゴム生地の伸びを防止し、ゴムブロックの接続部の強度を確保し、衝撃吸収性を向上することにより、信頼性を確保しつつ階段昇降時の走行性の向上を図ることができるロボット用クローラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例及び参考例について図を用いて説明する。実施例及び参考例の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
本発明の実施例)
本発明の実施例のロボット用クローラ及びその製造方法を図1から図4を用いて説明する。
【0012】
まず、本発明の実施例のロボット用クローラ100の構成及び機能に関して図1から図3を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例のロボット用クローラ100を示す図、図2は実施例のクローラブロック1の正面図、図3は実施例のクローラブロック1の斜視図である。
【0013】
ロボット用クローラ100は、ロボットに取り付けられて使用されるものであり、図1に示すように、複数の板状のクローラブロック1からなっている。具体的には、複数のクローラブロック1の端部をボルトにより接続して無端ベルト状に形成されている。
【0014】
クローラブロック1は、板状部10、ラグ11及びガイド突起12を備え、100μm以下の長さが微小な短炭素繊維30(図2参照)を分散して混入したゴム生地で構成されている。短炭素繊維30は板状部10の全体にわたって分散して混入されている。換言すれば、短炭素繊維30は板状部10、ラグ118(接続用端部10aを含む)及びガイド突起12にわたって分散して混入されている。ゴム生地に短炭素繊維30を分散して混入したことにより、走行時におけるロボット用クローラ100の伸びを防止することができ、良好な走行性を得ることができる。特に、ラグ11に衝撃吸収用空隙11a及び階段昇降用空隙11bを設けた場合には、走行時にラグ11が伸び易くなるが、その場合でもラグ11の伸びを防止することが可能である。また、この混入した炭素繊維30は、ゴムの化学的な物性劣化を起こす性質は持っておらず、圧縮永久歪みや表面の摩擦抵抗力は炭素繊維30を混入していないものとほぼ同等の性質を保ち、ゴム本来の持つ物性をほとんど損なわないものである。
【0015】
板状部10は、平板状に形成され、その一側の面にラグ11が形成され、他側の面にガイド突起12が形成されている。板状部10の両端部には、中央部の厚さの約半分の厚さの接続用端部10aが上下対称に形成されている。接続用端部10aには複数の接続用孔10bが設けられている。クローラブロック1の接続用端部10aを互いに重ね合わせ、接続用孔10bが一致した状態で、接続用孔10bにボルトを通して接続用端部10a間を締結するという、簡単な構造で接続することができる。その接続部分の厚さは、板状部10の中央部の厚さとほぼ同じ厚さとなり、ロボットに取り付けられて回転するのに支障が生じない厚さとなっている。
【0016】
ラグ11は、板状部10から一体に突出して幅方向に長く延びるように形成され、板状部10に複数条(図示例では4条)形成されている。このラグ11は、図2に示す中心線13を中心とする断面二等辺三角形状に形成されている。ラグ11を断面二等辺三角形状に形成したことにより、階段昇降時にラグ11の傾斜面が階段の踏み面と面接触させることができ、階段昇降時のグリップ力を増大させることができる。これによって、階段の走行性を格段に向上することができる。
【0017】
各ラグ11の内部には、ラグ幅方向に延びる衝撃吸収用空隙11aが形成されている。これにより、ラグ11に衝撃が加わった場合に、その衝撃を吸収するように衝撃吸収用空隙11aが容易に変形することができる。衝撃吸収用空隙11aはラグ11の幅方向に貫通して形成されているので、その成形を容易にしつつ、衝撃吸収性能をこの点からも向上することができる。また、この衝撃吸収用空隙11aは中心線13が中心を通る断面円形に形成されている。これにより、衝撃吸収用空隙11aを簡単に成形することができると共に、ラグ11の前側及び後側の何れの方向からの衝撃も均等に吸収することができる。さらには、上述したように、ラグ11内には短炭素繊維30が混入されているので、衝撃吸収用空隙11aを設けても、ロボット用クローラ100の回転走行時におけるラグ11の伸びを防止することができる。
【0018】
各ラグ11の底部側で且つ衝撃吸収用空隙11aの両側には、断面円形の階段昇降用空隙11bが形成されている。ロボット用クローラ100が階段を昇降する際に、階段の角部がラグ11の傾斜面の根本側に当接すると、この根本側の傾斜面が階段昇降用空隙11bにより容易に凹んで、その上方の傾斜面が階段の踏み面側になじむように変形されて踏み面と面接触することとなり、階段昇降時におけるグリップ力の確保がより確実に可能となる。各ラグ11の中に大きな円形の衝撃吸収用空隙11aと小さな円形の階段昇降用空隙11bとをコンパクトに設けているので、ラグ11の大きさを適切な大きさとしつつ、各空隙11a、11bの機能を持たせることができる。
【0019】
各ラグ11の先端部の幅方向一側には、凹段部11cが形成されている。この凹段部11cを設けたことにより、ロボットを旋回する際に、容易に旋回することができる。かかる構成のロボット用クローラ100をロボットの両側に対称に取り付けることにより、何れの方向への旋回も容易に行なわせることができる。
【0020】
各クローラブロック1の端部には、短炭素繊維30より長い繊維の長炭素繊維を格子状に編み込んだ長炭素繊維シート20が埋設されている。これにより、ゴムブロック1の接続部の伸びを防止しつつ、強度の増大を図ることができる。そして、複数の長炭素繊維シート20が各クローラブロック1の端部からそれに最も近接するラグ11の底部中央に至る間に位置して所定の間隔をあけて埋設されている。これにより、ロボット用クローラ100としての回転時の変形機能を長炭素繊維シート20で阻害することなく、クローラブロック1の強度を増大することができる。
【0021】
クローラブロック1の反ラグ側には、ガイド突起12が幅方向の一側に偏って形成されている。ガイド突起12は幅方向に2つ形成されている。ガイド突起12は各ラグ11に対して長手方向(回転方向)に一対形成されている。そして、ガイド突起12はラグ11の凹段部11cのない側にずらして形成されている。これにより、ロボットを旋回する際に、凹段部11cによる旋回機能を一層有効なものとすることができる。
【0022】
次に、ロボット用クローラ100の製造方法を図4を参照しながら説明する。図4は実施例のロボット用クローラの製造方法を示すフローチャートである。
【0023】
ゴム生地に短炭素繊維30を混練してクローラブロック1の素材とする(ステップS1)。この混練りしたゴム生地を成形用下型内に注入し、クローラブロック1の略下半分を成形する(ステップS2)。このクローラブロック1の下半分には、板状部10の下半分とガイド突起12とが含まれる。次いで、下半分のクローラブロック1の上の所定位置(上述したクローラブロック1の端部からラグ11の中央部に至る位置)に複数の長炭素繊維シート20を所定間隔あけて載置する(ステップS3)。この成形により、長炭素繊維シート20はゴム生地内に埋設される。次いで、成形用上型を降下させて成形用下型と組み合わせ、短炭素繊維30を混練りしたゴム生地を成形型内に注入してクローラブロック1を成形する(ステップS4)。次いで、各クローラブロック1の端部10aを接続することにより、無端ベルト状のロボット用クローラ100を完成させる。
【0024】
係るロボット用クローラ100の製造方法によれば、上述した機能を有するロボット用クローラ100が得られる。また、上下一対の成形型でロボット用クローラ100を製作することができるので、安価に製作することができる。
参考例)
次に、参考例について図5及び図6を用いて説明する。図5は参考例のロボット用クローラの正面図、図6は参考例のロボット用クローラの斜視図である。この参考例は、次に述べる点で本発明の実施例と相違するものであり、その他の点については本発明の実施例と基本的には同一である。
【0025】
参考例では、ラグ11が板状部10から略円弧状に突出して形成され、そのラグ11の内部にラグ11と相似形の衝撃吸収用空隙11aが形成されている。係る参考例においても、本発明の実施例と共通する構成において、同様な効果を奏することができると共に、衝撃吸収性能をより一層良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例のロボット用クローラを示す図である。
【図2】実施例のクローラブロックの正面図である。
【図3】実施例のクローラブロックの斜視図である。
【図4】実施例のロボット用クローラの製造方法を示すフローチャートである。
【図5】参考例のロボット用クローラの正面図である。
【図6】参考例のロボット用クローラの斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1…クローラブロック、10…板状部、10a…接続用端部、10b…接続用孔、11…ラグ、11a…衝撃吸収用空隙、11b…階段昇降用空隙、11c…凹段部、12…ガイド突起、20…長炭素繊維シート、30…短炭素繊維、100…ロボット用クローラ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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