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明細書 :船舶通航監視装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4211996号 (P4211996)
公開番号 特開2007-286885 (P2007-286885A)
登録日 平成20年11月7日(2008.11.7)
発行日 平成21年1月21日(2009.1.21)
公開日 平成19年11月1日(2007.11.1)
発明の名称または考案の名称 船舶通航監視装置
国際特許分類 G08G   3/00        (2006.01)
FI G08G 3/00 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2006-113277 (P2006-113277)
出願日 平成18年4月17日(2006.4.17)
審査請求日 平成18年4月21日(2006.4.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
発明者または考案者 【氏名】廣田 恵
【氏名】佐藤 敦
【氏名】寺西 陽子
【氏名】飯島 健二
【氏名】高畑 光博
個別代理人の代理人 【識別番号】100098671、【弁理士】、【氏名又は名称】喜多 俊文
審査官 【審査官】白石 剛史
参考文献・文献 特開平08-220211(JP,A)
特開平10-172093(JP,A)
特開2002-251692(JP,A)
特開昭59-180700(JP,A)
特開2006-224836(JP,A)
特開2000-21632(JP,A)
調査した分野 G08G 1/00-99/00
G01S 3/00
B63G 1/00-13/02
特許請求の範囲 【請求項1】
監視水域の水中に設置され船舶の通航によって生じる水中の物理的状態の変化を検知するセンサと、当該センサからの信号を処理し、処理の結果得られた信号様態によって船舶通航の認知を行うための信号処理装置を具備して成る船舶通航監視装置において、前記センサは磁界および磁界変化を検出するとともに、前記信号処理装置は少なくとも前記検出された磁界変化に含まれる、通航船舶が有する回転機構に起因して生ずる磁界変化に基づいて通航船舶の類識別を行う手段を備えていることを特徴とする船舶通航監視装置。
【請求項2】
信号処理装置として、前記磁気センサの信号を0.1Hz以下の直流成分とそれ以外の交流成分に分ける過程と直流成分の波形分析を行う過程と交流成分の周波数分析を行う過程を経て船舶の認知及び通航船舶の類識別を行うプログラムを備えることを特徴とする請求項1に記載の船舶通航監視装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、危機管理・セキュリティ分野、特に原子力・火力発電所及び大型プラント施設等の冷却水取水口のセキュリティで、港湾侵入監視等に使用される船舶通航監視装置に関し、さらに詳しくは磁気センサを用いた船舶通航監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、港湾内の船舶侵入監視する装置としては、船舶の通航によって生じる水中の何らかの物理状態の変化をセンサで感知し、その信号をコンピュータを含む信号処理装置で処理して船舶通航の認知あるいは通航船舶の類識別を行うものがあった。センサとしては、鋼鉄を含む船舶より生じる磁界の変化を検出する磁気センサ、或いは、機関や推進機の回転によって生じる水圧の周期的変化
(水中音波)を検出する音響センサ等が用いられた。また、これら磁気センサと音響センサを併用してそれぞれの欠点を補うことにより検知確度を高めるようにした監視装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】

【特許文献1】特開平8—220211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来方式の内、磁気方式は、船舶通航を知ること(通航の認知)のみを行うものである。
【0005】
また、音響方式は、船舶通航の認知と共に、その信号を周波数分析することにより機関や推進機の諸元を知ることができるので、船舶名あるいは船舶の種類を特定(船舶類識別)することが可能であるが、一般的に港湾などの環境においては音響信号の減衰は緩やかであり、海底海面などで複雑に反射するため、船舶の位置を局限することが困難であるとともにさまざまな音響環境雑音が混入して、船舶通航の認知自体が困難となる場合がある。また複数の船舶が存在する場合は、船舶の信号が輻輳するため、船舶通航の認知及び船舶類識別がさらに困難となる。
【0006】
前掲の磁気、音響両センサを併用する方法の提案はあるが、従来の磁気センサ及び音響センサの持つ欠点はそのまま保有する。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、港湾等においても安定して船舶通航の認知及び船舶の通航が認知された場合は船舶の類識別を行う船舶通航監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1記載の船舶通航監視装置は、監視水域の水中に設置され船舶の通航によって生じる水中の物理的状態の変化を検知するセンサと、当該センサからの信号を処理し、処理の結果得られた信号様態によって船舶通航の認知を行うための信号処理装置を具備して成る船舶通航監視装置において、前記センサは磁界および磁界変化を検出するとともに、信号処理装置は少なくとも前記検出された磁界変化に含まれる、通航船舶が有する回転機構に起因して生ずる磁界変化に基づいて通航船舶の類識別を行う手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2記載の船舶通航監視装置は、上記信号処理装置として、前記磁気センサの信号を0.1Hz以下の直流成分とそれ以外の交流成分に分ける過程と直流成分の波形分析を行う過程と交流成分の周波数分析を行う過程を経て船舶の認知及び通航船舶の類識別を行うプログラムを用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁気センサからの信号としては磁界及び磁界変化を分析の対象とすることから安定した船舶通航の認知が可能となると共に通航船舶の類識別も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る船舶通航監視装置は、磁気センサとして薄膜型で励振周波数を高くした小型・高感度でかつ広帯域特性を持つもの等を使用する。
【0012】
この種の広帯域型の磁気センサを用いた船体磁気測定装置において、従来確認できなかった交流成分が確認されることがわかってきた。さらに、この交流成分は、エンジン、発電機など磁性材が回転する機械によるもの及び鋼鉄製の船殻から銅合金製のプロペラに向かって流れる腐食電流や、船殻の腐食を防ぐために設ける保護亜鉛板から銅合金製のプロペラに向かって流れる防食電流が、プロペラシャフトの回転に伴って変化することによって発生するものであることがわかってきた。なお、これは、電流の周辺には磁界が発生することによるものである。
【0013】
本発明が提供する船舶通航監視装置は、上記事実に着目した装置であり、次のような特徴を有している。
【0014】
即ち、第一の特徴は、監視水域の水中に設置され船舶の通航によって生じる水中の物理的状態の変化を検知するセンサと、当該センサからの信号を処理し、処理の結果得られた信号様態によって船舶通航の認知を行うための信号処理装置を配し、前記センサは磁界および磁界変化を検出するとともに、信号処理装置は少なくとも前記検出された磁界変化に基づいて通航船舶の類識別を行う手段を備えた点にあり、第2の特徴は、この信号処理装置として、磁気センサからの信号を直流成分と交流成分に分ける過程と直流成分の波形分析を行う過程と交流成分の周波数分析を行う過程とを経て船舶通航の認知及び通航船舶の類識別を行うようにプログラムされた点である。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係る船舶通航監視装置を示す概略構成図である。図1において、港湾に複数個(この例では3個)の磁気センサ3が配置され、その出力信号はケーブル4により陸上の管理棟5内の信号処理装置6に取り込むように構成されている。磁気センサ3は、周波数帯域がDC~数十Hzのものが使用されている。船舶7がこの水域の海面2を通過すると、船体の磁性物あるいは船体から流れる電流が発生する磁界を磁気センサ3のいずれかが感知する。
【0016】
図2は、この発明の実施形態に係る船舶通航監視装置の処理手順を示すフロー図である。先ず、所定のサンプリングタイム毎に磁気センサ3の信号を取り込み(ST1)、これをディジタルフィルタに通して、0.1Hzを境に、以下を直流成分、以上を交流成分に分ける(ST2)。なお、一例として磁気センサから取り込まれた信号波形(図3a)、これを直流成分、交流成分に分離した波形(同3b及び3c)及び交流成分をフーリエ変換した波形(同3d)を示す。交流磁場の特徴として、船舶のスクリューの大きさ、回転数などにより、磁気信号波形が相違する。
【0017】
なお、従来式の磁気センサの周波数応答は低いため、時系列の検知信号波形は、図3bに示すように、直流に近い成分(直流~0.1Hz程度)の波形として現れる。そして、検知信号レベルがある一定値を越えた場合において、船舶の通過有りという判断をしていた。
【0018】
分離後、例えば図3bに示すようよう直流成分が所定のレベル(例えば、図3bにおけるS1あるいはS2)を越えているか否かを判定し(ST3)、越えている場合はこの直流成分対して波形分析を行う(ST4)。一方、図3cに示すような交流成分に対してはフーリエ変換を行う(ST5)。フーリエ変換すると、図3dに示すように、基本波f1といくつかの高調波f2、f3等を示す波形が得られるので、この波形について所定のレベル(例えば、図3dにおけるS3)を越えているか否かを判定し(ST6)、越えている場合はこの交流成分に対してさらに高調波成分の比率分析等の周波数分析を行う(ST7)。
【0019】
直流成分、交流成分のいずれも所定レベルに達しない場合は(ST8)、その信号をノイズと見なして以降の処理は行わず、始めの状態に戻る。直流成分、交流成分の両方またはいずれか一方が所定レベルを超えている場合は、波形分析及び/または周波数分析の結果から所定の判定基準に従って船舶通航の有無を判定する(ST9)。通航ありと認める場合(通航の認知)は、次に、波形分析と周波数分析の結果を、蓄積された船舶の分析データを参照して船舶名の特定あるいは船舶の種類の特定(船舶類識別)を行い(ST10)、その結果を適当な出力装置(図示しない)に出力すると共に、始めの状態に戻って次回の信号を取り込み、上記の過程を繰り返す。
【0020】
なお、上記の信号処理過程は一例を示したもので、本発明の趣旨にもとづき種々の変形の余地がある。例えば、直流成分と交流成分の比率を求め、これを船舶の類識別に際して参照値として用いるようにしてもよい。また、信号のノイズ除去に際しても、上記のレベル判定による方法以外の方法も考えられる。
【0021】
さらに、上記実施形態では船舶自体が必然的に発生している磁気信号を検知して、通航の有無及び通航有りの場合は類識別を行っているが、港湾を通過する際に船舶が能動的に決まった周波数の信号を発生させることで、管轄船舶のキーを用いるようにしてもよい。
【0022】
以上より、本発明は、港湾、水路等を通航する船舶の監視に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る船舶通航監視装置を示す概略構成図である。
【図2】同船舶通航監視装置の信号処理過程を示すフロー図である。
【図3】同船舶通航監視装置における磁気センサの信号波形図(a)、磁気センサの信号から分離した直流成分の信号波形図(b)、磁気センサの信号から分離した交流成分の信号波形図(c)、及び磁気センサの信号から分離した交流成分をフーリエ変換した信号波形図(d)である。
【符号の説明】
【0024】
1 海底
2 海面
3 磁気センサ
4 ケーブル
5 管理棟
6 信号処理装置
7 船舶
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2