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明細書 :勾配型磁力計の調整方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4222520号 (P4222520)
公開番号 特開2007-285865 (P2007-285865A)
登録日 平成20年11月28日(2008.11.28)
発行日 平成21年2月12日(2009.2.12)
公開日 平成19年11月1日(2007.11.1)
発明の名称または考案の名称 勾配型磁力計の調整方法
国際特許分類 G01V   3/08        (2006.01)
G01R  33/022       (2006.01)
FI G01V 3/08 A
G01R 33/022
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2006-113280 (P2006-113280)
出願日 平成18年4月17日(2006.4.17)
審査請求日 平成18年4月21日(2006.4.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
発明者または考案者 【氏名】廣田 恵
【氏名】寺西 陽子
【氏名】木内 英樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100098671、【弁理士】、【氏名又は名称】喜多 俊文
審査官 【審査官】田中 秀直
参考文献・文献 特開平09-127252(JP,A)
調査した分野 G01V 3/0-3/40
G01R 33/022
特許請求の範囲 【請求項1】
2つの磁気センサからなる勾配型磁力計における2つの磁気センサの感度、検出軸の平行度、及びオフセットを調整する方法であって、
2つの磁気センサを揺動し、揺動中に複数のタイミングにおいて、2つの磁気センサの調整用磁気データを採取し、この採取磁気データに最小2乗法を用いて、感度、検出軸平行度、センサ固有オフセットの補正係数を求め、この補正係数をメモリに記憶しておき、以後の実計測にこの補正係数を用いて計測データを得るようにしたことを特徴とする勾配型磁力計の調整方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの磁気センサからなる勾配型磁力計の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地磁気等の一様な磁界中にて、金属を探知するのに、2つの磁気センサを用いて、両磁気センサの出力の差動を取り、出力差がない場合は、地磁気のみであるとして、金属無しを検知し、極部的な磁界(磁気勾配)がある場合に、磁気勾配の差を検出して、金属有りの探知を行う金属探知用の勾配型磁力計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】

【特許文献1】特開平8-334570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した2つの磁気センサからなる磁気勾配を計測する磁力計では、特性の同一のものを使用する必要がある。しかしながら、現実には、2つの磁気センサには、感度差、検出軸の平行度の差、センサ固有オフセット差があり、この差がエラーの原因となり、磁力計の検出限界を左右する。これら2つの磁気センサ間の特性差を小さくするため、従来は人が電気的、機械的に 値を変化させて試行錯誤的に調整していた。そのため、調整に多大の時間を要するという問題があった。
【0005】
この発明は上記問題点に着目してなされたものであって、熟練度等に関係なく、誰もが短時間で作業し得る勾配型磁力計の調整方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の磁気勾配型磁力計の調整方法は、2つの磁気センサからなる勾配型磁力計における2つの磁気センサの感度、検出軸の平行度、及びオフセットを調整する方法であって、2つの磁気センサを揺動し、揺動中に複数のタイミングにおいて、2つの磁気センサの調整用磁気データを採取し、この採取磁気データに最小2乗法を用いて、感度、検出軸平行度、センサ固有オフセットの補正係数を求め、この補正係数をメモリに記憶しておき、以後の実計測にこの補正係数を用いて計測データを得るようにしている。

【0007】
この磁気勾配型磁力計の調整方法では、2つの磁気センサを揺動させて、2つの磁気センサにつき、複数の磁気データを収集する。得られた収集磁気データに最小2乗法を適用して、補正係数を求めるのみなので、非常に短時間で補正係数、つまり調整結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、2つの磁気センサを揺動し、揺動中に複数のタイミングにおいて、2つの磁気センサの調整用磁気データを採取し、この採取磁気データに最小2乗法を用いて、感度、検出軸平行度、センサ固有オフセットの補正係数を求め、この補正係数をメモリに記憶しておき、以後の実計測にこの補正係数を用いて計測データを得るようにしているので、従来は、2つの磁気センサに対し、感度調整、オフセット調整作業が必要であったが、今回の方法では、基準となる第1の磁気センサのみについて実施すれば良い。従来は、軸平行度補正に数時間要していたが、今回の方法では、n回のタイミングで調整用データを採集する期間程度で調整可能となる。調整結果が、作業者によらず、一定値となる。微調整回路あるいは微調整機構がなくても、高精度な補正が可能となる、などの効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明が実施される勾配型磁力計の構成を示すブロック図である。この勾配型磁力計は、第1の磁気センサ1と、第2の磁気センサ2と、これら第1と第2の磁気センサ1、2を駆動する駆動回路3と、第1と第2の磁気センサ素子1、2からの検出信号を受け、検波、増幅し、個別の信号と差動信号を出力する受信回路4と、受信回路4からの出力信号をディジタル信号に変換するAD変換器5と、プログラムにしたがい、調整のための処理、計測のための処理を実行するCPU6と、調整のために収集したデータ、求めた補正係数、係数値等を記憶するメモリ7とを備えている。第1と第2の磁気センサ1、2は、いずれもX軸成分、Y軸成分、Z軸成分を検出可能な3軸センサである。
【0010】
次に、この実施形態勾配型磁力計において、調整処理を図2に示すフロー図を参照して説明する。以下では、第1の磁気センサ1の各X、Y、Z検出軸に、第2の磁気センサ2の各X、Y、Z軸が平行となるように調整する。
【0011】
今、第1の磁気センサ1の測定磁界値をH1x、H1y、H1zとし、第2の磁気センサ2の測定磁界値をH2x、H2y、H2zとする。第2の磁気センサ2の補正後の磁界値H2x’(X軸成分)、H2y’(Y軸成分)、H2z’(Z軸成分)は、それぞれ次式で表すことができる。
【0012】
H2x’=α11・H2x+α12・H2y+α13・H2z+β1
H2y’=α21・H2x+α22・H2y+α23・H2z+β2
H2z’=α31・H2x+α32・H2y+α33・H2z+β3
ただし、αnm(n≠m)は検出軸方向不一致の補正係数、
αnm(n=m)は感度差の補正係数
βnはオフセットの補正係数
【0013】
第1の磁気センサ1の各軸と第2の磁気センサ2の補正後の各軸は平行となるので、
H2x’=H1x、H2y’=H1y、H2z’=H1z
でなければならない。
【0014】
そこで、実施形態勾配型磁力計の第1と第2の磁気センサ1、2を揺動装置(手段)で揺らし、n個の調整用データを採取し、
Σ(H1xi-H2x’i)2
Σ(H1yi-H2y’i)2
Σ(H1zi-H2z’i)2
を最小にするように各補正係数を最小2乗法で算出する。この算出した各補正係数をメモリ7に格納する。実計測時に、この補正係数を用いて両磁気センサ間の差を補正する。
【0015】
調整処理は、実施形態勾配型磁力計の第1と第2の磁気センサ1、2を揺動装置上で揺らしを開始し、図2のステップST1において、タイミング変数iを1とする。次に、ステップST2へ移行する。ステップST2においては、第1の磁気センサ1の計測値H1x1 、H1y1 、H1z1 を取り込む。同様に、ステップST3において、第2の磁気センサ2の計測値H2x1 、H2y1 、H2z1 を取り込む。次に、ステップST4へ移行する。ステップST4においては、タイミング変数iがnか否か判定する。ここで定数nは、最小2乗法により、各補正係数を算出するのに十分なデータ数以上に設定している。最初は、i=1なので、判定NOでステップST5へ移行する。ステップST5においては、変数iを1インクリメントして、ステップST2へ戻る。そして今度は、H1x2 、H1y2 、H1z2 とH2x2 、H2y2 、H2z2 を計測し、取り込む。そして、変数iがnとなるまで、第1と第2の磁気センサ1、2の磁界計測値を取り込み、記憶する。i=nとなると、ステップST4の判定がYESとなり、次にステップST6へ移行する。
【0016】
ステップST6においては、先ず、X軸に関し、採集記憶してある計測データを用いて、次式の演算を行う。
∂/∂α11{Σ(H1xi-H2x’i)
∂/∂α12{Σ(H1xi-H2x’i)
∂/∂α13{Σ(H1xi-H2x’i)
∂/∂β1 {Σ(H1xi-H2x’i)
【0017】
この演算結果が0であるとする最小2乗法により、それぞれ補正係数α11、α12、α13、β1を求める。これら求めた補正係数をメモリ7に記憶する。
【0018】
続いて、ステップST7へ移行する。ここでは、Y軸に関し、採集記憶してある計測データを用いて、次式の演算を行う。
∂/∂α21{Σ(H1yi-H2y’i)
∂/∂α22{Σ(H1yi-H2y’i)
∂/∂α23{Σ(H1yi-H2y’i)
∂/∂β2 {Σ(H1yi-H2y’i)
この演算結果が0であるとする最小2乗法により、それぞれ補正係数α21、α22、α23、β2を求める。これらの補正係数もメモリ7に記憶する。次に、ステップST8へ移行する。
【0019】
ステップST8においては、Z軸に関し、採集記憶してある計測データを用いて、次式の演算を行う。
∂/∂α31{Σ(H1zi-H2z’i)
∂/∂α32{Σ(H1zi-H2z’i)
∂/∂α33{Σ(H1zi-H2z’i)
∂/∂β3 {Σ(H1zi-H2z’i)
やはり、この演算結果が0であるとして、それぞれ補正係数α31、α32、α33、β3を求める。これらの補正係数もメモリ7に記憶する。
【0020】
以上のようにして、メモリ7に記憶した補正係数は、実計測時に、冒頭に記載した式に代入することにより、第2の磁気センサ2の補正後の磁界値H2x’、H2y’、H2z’を得る。
【0021】
従来の方法で調整した場合は、約1日かけて調整しても、図3の左部Aに示す程度の差となるが、本発明の調整方法によると、n回のタイミングで調整用データを採集する期間程度で調整が完了し、図3の右部Bに示す差まで調整できる。図3において、正弦波状の波形部分は、地磁気中で磁気センサ部を揺らした期間であり、このピーク値が小さいほど良い。両者を比較すれば、時間効率、調整結果とも、本発明による方法が優れていることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明が実施される勾配型磁力計の構成を示すブロック図である。
【図2】同勾配型磁力計の補正係数算出の調整処理を説明するフロー図である。
【図3】従来例と本発明の調整方法による調整度合を説明する図である。
【符号の説明】
【0023】
1 第1の磁気センサ
2 第2の磁気センサ
3 駆動回路
4 受信回路
5 AD変換器
6 CPU
7 メモリ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2