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明細書 :船舶通航監視システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4270468号 (P4270468)
公開番号 特開2007-286886 (P2007-286886A)
登録日 平成21年3月6日(2009.3.6)
発行日 平成21年6月3日(2009.6.3)
公開日 平成19年11月1日(2007.11.1)
発明の名称または考案の名称 船舶通航監視システム
国際特許分類 G08G   3/00        (2006.01)
FI G08G 3/00 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2006-113281 (P2006-113281)
出願日 平成18年4月17日(2006.4.17)
審査請求日 平成18年4月21日(2006.4.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
発明者または考案者 【氏名】廣田 恵
【氏名】佐藤 敦
【氏名】寺西 陽子
【氏名】飯島 健二
【氏名】木内 英樹
【氏名】三品 尚登
個別代理人の代理人 【識別番号】100098671、【弁理士】、【氏名又は名称】喜多 俊文
審査官 【審査官】白石 剛史
参考文献・文献 特開昭62-134583(JP,A)
特開2006-098381(JP,A)
特開平11-202039(JP,A)
特開2004-219174(JP,A)
調査した分野 G08G 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
1個あるいは複数個の磁気センサと、1個あるいは複数個の電界センサとを海中に設置し、
前記磁気センサの磁気検知信号と電界センサの電界検知信号とを直流成分と交流成分とに分離し、
磁気及び電界の直流成分と交流成分の信号態様により、船舶通航有無判定を行う
ことを特徴とする船舶通航監視システム。
【請求項2】
前記船舶通航有無判定とともに、船舶類別判定を併せ行うものであることを特徴とする請求項記載の船舶通航監視システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、危機管理・セキュリティ分野、特に原子力、火力発電所及び大型プラント施設等の冷却水取水のセキュリティにて港湾進入監視等に用いられる船舶通航監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の船舶通航監視システムとして、海底に設置した複数の音響磁気複合センサからなる音響磁気センサ群を備え、この音響磁気複合センサ群からの磁気信号と音響信号を同時に管理塔の信号処理装置に伝送し、磁気信号で船舶の通過を検知し、音響信号で船舶の種類を識別するようにした装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】

【特許文献1】特開平8-220211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の音響信号と磁気信号を複合して船舶の通航を監視する方式では、港湾などにおいては、船舶の音響信号に対する環境ノイズが大きく、複数の船舶が輻輳してある場合、音響信号は伝搬距離が長い他船舶の信号が混入し、音響信号の分析が困難であった。また、木造船は磁気信号が小さいため信号を検出することが困難であり、音響と磁気の複合式船舶通航監視システムでは、通航する全ての船舶を監視するには十分な効果が得られないという問題があった。
【0005】
この発明は上記問題点に着目してなされたものであって、複数の船舶が輻輳し、音響環境ノイズが大きい港湾などにおいても精度良く通航監視を行い得る船舶通航監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の船舶通航監視システムは、1個あるいは複数個の磁気センサと、1個あるいは複数個の電界センサとを海中に設置し、この磁気センサの磁気検知信号及び電界センサの電界検知信号により、船舶の通航を監視することを特徴とする。
【0007】
この発明の船舶通航監視システムにおいては、前記磁気センサの磁気検知信号と電界センサの電界検知信号の直流成分と交流成分に分離し、磁気及び電界の直流成分と交流成分の信号態様により、船舶通航有無判定を行うと良い。
【0008】
また、この発明の船舶通航監視システムにおいて、船舶通航有無判定とともに、船舶類別判定を併せ行うようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、磁気センサと電界センサとを海中に設置し、磁気センサの磁気検知信号と電界センサの電界検知信号により船舶の通航を監視するので、複数の船舶が輻輳しても船舶の磁気信号又は電界(電位差)信号は音響信号に対して伝搬距離が短いので、他船舶の信号が混入することが少なく、磁気信号及び電界信号に対する環境ノイズも小さく、防食装置が取り付けられた木造船に関しては、電界信号により信号検出が可能であるから、従来は、監視困難であった複数の船舶が輻輳し、音響環境ノイズが大きい港湾などの船舶通航監視において、船舶の発生する磁気信号及び電界(電位差)信号を検出することにより、精度良く通航監視を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明の実施形態船舶通航監視システムを示す概略図である。図1において、港湾の海底1に複数個の磁気センサ2-1、2-2……、2-n及び複数個の電界(UEP:アンダーウォーター・エレクトリック・ポテンシャル)センサ3-1、3-2……、3-nが配置されている。これらの磁気センサ2-1、2-2……、2-n及び電界センサ3-1、3-2……、3-nの各磁気検知信号及び電界(電位差)検知信号は個別にケーブル4により、陸上の管理塔5に設けられるCPU6に取り込むようになっている。この図1のシステムでは、ケーブル4上に磁気センサ2-1、2-2……、2-n及び電界センサ3-1、3-2……、3-nを配置しているが、他の実施形態システム例として、図2に示すように、磁気センサ2-1、2-2……、2-nと電界センサ3-1、3-2、……、3-nを、それぞれ別のケーブル4-1、4-2に分けて配置しても良い。管理塔5のCPU6には、磁気センサ2-1、2-2、……、2-n及び電界センサ3-1、3-2、……、3-nの検知信号を、各センサ毎に記憶する検知データ記憶部を備えている。また、この検知データ記憶部は、磁気センサ2-1、2-2……、2-n及び電界センサ3-1、3-2、……、3-nのそれぞれの検知信号が直流成分と交流成分に分離されるので、各センサの直流成分と交流成分を分離して記憶する領域を備えている。
【0011】
上記実施形態船舶通航監視システムの処理手順を図5、図6に示すフロー図、及び図3、図4に示す検知信号例を用いて説明する。なお、図1に示すシステムでは、磁気センサ2-1、2-2、……、2-nと電界センサ3-1、3-2、……、3-nのそれぞれについて、検知信号処理を実行するが、この図5、図6、図3では、便宜上1個の磁気センサ及び電界センサについて説明している。
【0012】
処理動作が開始されると、ステップST1において、検出信号フラグFLGをOFFにする。検出信号フラグFLGとしては磁気信号直流成分検出フラグ、磁気信号交流成分検出フラグ、電界(電位差)信号直流成分検出フラグ、及び電界(電位差)信号交流成分検出フラグがCPU6の記憶部に備えられており、これらを処理動作開始時にすべてOFF(論理「0」)とする。次にステップST2へ移行する。
【0013】
ステップST2においては、所定のサンプリングタイム毎に磁気センサ2-1、2-2、……、2-nで得た磁気検知信号を取り込む。続いて、ステップST3へ移行する。ステップST3においては、取り込んだ磁気検知信号を直流成分(直流~0.5Hz)と交流成分(0.5Hz~数Hz)にディジタルフィルタを用いて分離する。一例として、船舶が磁気センサ2-1、2-2……、2-n近辺を通航したときの磁気検知信号と直流成分及び交流成分に分離した結果を、図3の(a)、(b)、(c)に示す。これら取り込まれた磁気検知信号、及び分離された直流成分、交流成分は、いずれもCPU6の検知データ記憶部に記憶される。次に、ステップST4へ移行する。
【0014】
ステップST4においては、分離抽出した磁気信号の直流成分が検出レベル以上か否かを判定する〔図4の(a)参照〕。磁気信号の直流成分が検出レベル以上であれば、ステップST5へ移行する。一方、検出レベル以上でない場合は、ステップST5をスキップして、ステップST6へ移行する。ステップST5においては、検出フラグFLGの磁気信号直流成分検出フラグをON(論理「1」)にする。そして、ステップST6へ移行する。
【0015】
ステップST6においては、分離抽出した磁気信号の交流成分を周波数(FFT)変換し、次にステップST7に移行する。ステップST7においては、分離抽出した磁気信号の交流成分を検出レベル以上か否かを判定する〔図4の(b)参照)。図4の(b)に示すように、磁気信号の交流成分を周波数変換すると、時間軸が周波数に応じたレベルとなり、特定周波数に集中すると、レベルがしきい値を越えることになる。磁気信号の交流成分が検出レベル以上であれば、ステップST8へ移行する。一方、検出レベル以上でない場合は、ステップST8をスキップして、ステップST9へ移行する。ステップST8においては、検出フラグFLG内の磁気信号交流成分検出フラグをONにする。そして、ステップST9へ移行する。 ステップST9においては、所定のサンプリングタイム毎に電界センサ3-1、3-2、……、3-nで得た電界(電位差)検知信号をシステムに取り込む。続いて、ステップST10へ移行する。ステップST10においては、取り込んだ電界(電位差)検知信号を直流成分(直流~0.5Hz)と交流成分(0.5Hz~数Hz)にディジタルフィルタを用いて分離する。一例として船舶が電界船舶通航監視システム3-1、3-2、……、3-n近辺を通航したときの電界(電位差)検知信号と直流成分及び交流成分に分離した結果を図3の(d)(e)(f)に示す。次に、ステップST11へ移行する。
【0016】
ステップST11においては、分離抽出した電界(電位差)信号の直流成分が検出レベル以上か否かを判定する〔図4の(a)参照〕。電界信号の直流成分が検出レベル以上であれば、ステップST12へ移行する。一方、検出レベル以上でない場合は、ステップST12をスキップして、ステップST13へ移行する。ステップST12において、検出フラグFLGの電界(電位差)信号直流成分検出フラグをONにする。そして、ステップST13へ移行する。
【0017】
ステップST13においては、分離抽出した電界(電位差)信号の交流成分を周波数(FFT)変換し、次にステップST14に移行する。この場合の周波数変換も、ステップST6で説明した磁気信号の交流成分の周波数変換と同様である。ステップST14においては、分離抽出した電界(電位差)信号の交流成分を検出レベル以上か否かを判定する〔図4の(b)参照)。電界信号の交流成分が検出レベル以上であれば、ステップST15へ移行する。一方、検出レベル以上でない場合は、ステップST15をスキップして、ステップST16へ移行する。ステップST15においては、検出フラグFLG内の電界(電位差)信号交流成分検出フラグをONにする。そして、ステップST16へ移行する。
【0018】
ステップST16においては、信号分析を行う。検出信号フラグFLGを参照して、検出レベルを超えた信号は、信号有りと判定し、信号分析を行い、検出レベルを超えない信号は信号なしと判定する。なお、信号有りと判定した信号に対しては、直流成分については、波形分析を行い、交流成分については、基本周波数及び高調波の分析を行う。次に、ステップST17へ移行する。
【0019】
ステップST17においては、ステップST16で行った信号分析の結果を用いて、船舶通航有無判定を行う。ここでは、4つの検出信号フラグのON/OFFの組み合わせにより、船舶通航の有無を判定する。船舶通航有りと判定した場合は、ステップST18へ移行する。一方、通航なしと判定した場合は、ステップST1に戻る。
【0020】
ステップST18においては、磁気及び電界信号において直流成分と交流成分の比率分析、磁気及び電界(電位差)信号の比率分析を行い、この各比率分析結果とステップST16で行った信号分析結果を用いて船舶の類別を行う。ここでは、予めCPU6の記憶部に船舶の各類別毎の各検出信号フラグのON/OFFのパターン及び磁気信号の直流成分と交流成分の比率分析値、電界信号の直流成分と交流成分の比率分析値、磁気信号と電界信号の比率分析値のデータが記憶されており、監視中に検知した信号データを記憶内容と比較し、一致し、あるいは一致に近い船舶を類別する。
【0021】
なお、上記実施形態システムにおいて、船舶の磁気信号あるいは電界(電位差)信号のどちらかのみ検出された場合においても、磁気信号あるいは電界(電位差)信号の直流成分あるいは交流成分のどちらかのみ検出された場合においても、船舶通航監視を行うことができる。
【0022】
また、図3の例示では、磁気センサ及び電界センサの数を考慮していないが、図1、図2に示すように複数個の磁気センサ及び複数個の電界センサを設けている場合も、磁気センサ及び電界センサ毎に同様の処理を行えば良い。また、上記実施形態では船舶の直流成分と交流成分の信号態様により、船舶を類別するようにしているが、港湾を通航する際に船舶が能動的に決まった周波数の信号を発生させることで所轄船舶のキーを用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態船舶通航監視システムを示す概略図である。
【図2】この発明の他の実施形態船舶通航監視システムを示す概略図である。
【図3】上記実施形態船舶通航監視システムの磁気センサ及び電界センサの検出信号を説明する波形図である。
【図4】同磁気センサ及び電界センサの検出信号中の直流成分、交流成分の有無を判別する場合を説明する図である。
【図5】上記実施形態船舶通航監視システムの船舶通航処理手順を説明するフロー図である。
【図6】図5とともに、上記実施形態船舶通航監視システムの船舶通航処理手順を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0024】
1 海底
2-1、2-2、……、2-n 磁気センサ
3-1、3-2、……、3-n 電界センサ
4、4-1、4-2 ケーブル
5 管理塔
6 CPU
7 船舶
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5