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明細書 :電磁流量計

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4359664号 (P4359664)
公開番号 特開2007-047071 (P2007-047071A)
登録日 平成21年8月21日(2009.8.21)
発行日 平成21年11月4日(2009.11.4)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
発明の名称または考案の名称 電磁流量計
国際特許分類 G01F   1/58        (2006.01)
FI G01F 1/58 E
G01F 1/58 C
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2005-233186 (P2005-233186)
出願日 平成17年8月11日(2005.8.11)
審査請求日 平成17年8月11日(2005.8.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
発明者または考案者 【氏名】荒 邦章
【氏名】此村 守
【氏名】近澤 佳隆
【氏名】相澤 康介
【氏名】相澤 利枝
【氏名】田口 淳三
【氏名】香月 健治
【氏名】竹島 徳幸
【氏名】清水 武司
個別代理人の代理人 【識別番号】100096862、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 千春
審査官 【審査官】石井 哲
参考文献・文献 特公昭30-006232(JP,B1)
実開昭63-168823(JP,U)
特開昭64-088217(JP,A)
調査した分野 G01F 1/00- 9/02
特許請求の範囲 【請求項1】
管路を流れる導電性流体の流量計測を行う電磁流量計であって、
管路外壁と直交する磁界を形成するための励磁装置と、前記磁界を導電性流体が横切ることにより発生する起電力を計測するための一対の電極とを有し、それら電極と前記励磁装置の両磁極とが管路外壁の外側で、かつ片側に集約して配置され、さらに、
前記励磁装置は、所定間隔を配して管路外壁に沿って配置した板状部と、この板状部の両端および中央部より管路外壁に向かって延出する3本の柱状部とからなる鉄心と、
前記柱状部の各々に巻装した励磁コイルとを備え、
前記3本の柱状部のうち、中央の柱状部の先端に現れる磁極と、両側の柱状部の先端に現れる磁極とが互いに極性が異なるように前記励磁コイルに電流を印加するとともに、中央の柱状部の先端両側に前記一対の電極を配置していることを特徴とする電磁流量計。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、管路を流れる液体金属等の導電性流体の流量計測を行う電磁流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁流量計として、例えば特許文献1に記載の液体金属電磁流量計が知られている。この電磁流量計は、液体金属の管路を挟んで対向配置されて、管の軸線と直交する向きの磁界を形成する一対の磁石と、上記磁界を液体金属が横切ることにより発生する起電力を計測するための一対の電極とを備え、上記起電力の測定値から液体金属の流量を導き出すようにしている。

【特許文献1】特開平10-176937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の電磁流量計においては、管路を挟んで両側に磁石を設置する構造となっているため、例えば実用向け高速増殖炉の配管のように大口径の配管の測定を行う際には、配管の外形寸法に応じた大型の励磁装置を設置する必要があり、設置スペースの確保が困難になるという問題点や、励磁装置の製作コストが増大するといった問題点があった。
また、上記従来の電磁流量計にあっては、管路の形状として円筒状の管路を想定しているため、それに近い形状の管路であれば、管路内の液体の流量を比較的精度良く測定することができるが、例えば断面が円環状の管路など、管路の形状によっては、管路内の液体の流量を正確に計測することができず、適用が困難な場合もあった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、励磁装置の小型化を図ることができ、様々な断面形状の管路にも適用することができる電磁流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電磁流量計は、管路を流れる導電性流体の流量計測を行う電磁流量計であって、管路外壁と直交する磁界を形成するための励磁装置と、上記磁界を導電性流体が横切ることにより発生する起電力を計測するための一対の電極とを有し、それら電極と上記励磁装置の両磁極とが管路外壁の外側(少なくとも管路外壁の周方向180度の範囲内)であって管路外壁の片側に集約して配置され、さらに、上記励磁装置は、所定間隔を配して管路外壁に沿って配置される板状部と、この板状部の両端および中央部より管路外壁に向かって延出する3本の柱状部とからなる鉄心と、上記柱状部の各々に巻装された励磁コイルとを備え、上記3本の柱状部のうち、中央の柱状部の先端に現れる磁極と、両側の柱状部の先端に現れる磁極とが互いに極性が異なるように上記励磁コイルに電流が印加されるとともに、中央の柱状部の先端両側に上記一対の電極が配置されていることを特徴とするものである。
【0006】
ここで、上記励磁装置には、直流励磁方式の励磁装置が含まれる他、永久磁石方式や交流励磁方式の励磁装置も含まれる。
また、上記導電性流体は、例えば液体金属を始め、水等の電解質流体など、導電性を有する流体であれば如何なるものであってもよい。但し、水の場合は、液体金属と比較して電気伝導度が低いため、励磁方式として交流正弦波励磁方式または交流方形波励磁方式を採用することが好ましい。
また、上記管路は、上記導電性流体の流路を有する管路であれば如何なる形状のものであってもよく、代表的なものとして、例えば軸心が共通で互いに径の異なる内管と外管とを有し、それら内管と外管との間隙が導電性流体の流路となる断面円環状の管路等が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、励磁装置の両磁極と一対の電極とが管路外壁の片側に集約して配置されるので、例えば実用向け高速増殖炉の配管のように大口径の管路に適用する場合においても、励磁装置の大型化を招く心配は無く、よって励磁装置の設置スペースを容易に確保することができるとともに、励磁装置の大型化に伴うコスト増大を回避することができる。また、管路の壁面近傍の流路に流量測定に必要な磁束分布を形成できることから、従来は計測が困難であった様々な形状の管路にも適用することができる。特に、断面が環状の管路や、断面が縦長または横長の矩形状の管路などのように、管路壁面の近傍に導電性流体の主流部が存在するような場合には、導電性流体の流量や流速を精度良く測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施形態]
図1は本発明に係る電磁流量計の第1の実施形態を示すもので、図中符号1が管路である。この実施形態の管路1は、断面形状が円環状の管路で、その内部流路1aには導電性流体が流れている。
この管路1の外壁1bには、管の軸線と直交する向きの磁界を形成するための励磁装置11が設けられるとともに、上記磁界を導電性流体が横切ることにより発生する起電力を計測するための一対の電極2a,2bが設けられ、それら電極2a,2bと励磁装置11の両磁極とが管路外壁1bの片側に集約して配置されている。
【0013】
励磁装置11は、鉄心12と励磁コイル13の組合せにより構成されている。鉄心12は、図2に示すように、所定間隔を配して管路外壁1bに沿って配置される断面円弧状の板状部14と、この板状部14の周方向の両端および中央部より管路外壁1bに向かって径方向に延出する3本の柱状部15a,15b,15cとを有している。中央の柱状部15bの両側(各柱状部の間)には、後述する磁束を跨ぐように、管路外壁1bに沿って電極2a,2bが対称的に配置され、各柱状部15a,15b,15cには励磁コイル13がそれぞれ巻装されている。各励磁コイル13には、中央の柱状部15bの先端に現れる磁極と、両側の柱状部15a,15cの先端に現れる磁極とで、互いに極性が異なるように電流が印加される。本実施形態では、中央の柱状部15bの先端がS極、両側の柱状部15a,15cの先端がN極に設定されている。
【0014】
上記構成からなる電磁流量計10において、各励磁コイル13に電流を印加した際には、両側の柱状部15a,15cの先端(N極)から中央の柱状部15bの先端(S極)に至る磁束が生じ、中央の柱状部15bの先端近傍に、管路外壁1bと直交する向き(管路1の径方向)の合成磁界が形成される。その結果、中央の柱状部15bの先端近傍の導電性流体には、ファラデーの電磁誘導の法則により、磁界の向き(管路1の径方向)と導電性流体の流れる方向(管路1の軸方向)の双方に直交する向き(すなわち、両電極2a,2bを結ぶ線分の方向)に、導電性流体の流速に応じた起電力が生じる。この起電力は、両電極2a,2bを介して外部に取り出され、その測定値から導電性流体の流量または流速が求められる。
【0015】
次に、上記電磁流量計10の適用例について図3に基づいて説明する。
図3は、電気出力750MWeのナトリウム冷却炉の電磁ポンプ組込型中間熱交換器の概略構成を示す図である。本機器20は、1次ナトリウムと2次ナトリウムの熱を中間熱交換器伝熱管21において交換するための装置であり、図3(a)に示すように、内部に1次ナトリウムを駆動するための電磁ポンプ22を備えている。電磁ポンプ22は、図3(b)に示すように、電磁ポンプダクト(管路)23を有し、この電磁ポンプダクト23の内側と外側にそれぞれ配置されたステータ24により、1次ナトリウムに電磁的に駆動力を与えている。電磁ポンプダクト23は、内外にステータ24を設置するために、円環状の流路とされ、この電磁ポンプダクト23の外壁に、図3(c)に示すように、電磁ポンプダクト23を流れる液体金属ナトリウム(導電性流体)の流量または流速を測定するための電磁流量計10が設置されている。
【0016】
例えば、電磁ポンプダクト23の外ダクト(外管)23aの外径を1630mm、その肉厚を10mm、電磁ポンプダクト23の内ダクト(内管)23bの外径を1430mm、その肉厚を10mmとした場合、図1に示す電磁流量計10の各部の寸法は、例えば、S極励磁コイル13の磁極幅200mm、長さ500mm、磁極高さ110mm、N極励磁コイル13の磁極幅100mm、長さ500mm、磁極高さ110mm、各磁極間の距離162mm、鉄心12の板状部14の長さ500mm、肉厚30mm、電極間距離300mmにそれぞれ設定することが可能である。この電磁流量計10において、励磁コイル13の基本仕様を以下のように設定した場合、図4示すような磁束密度の分布が得られると推定される。
【0017】
・索線寸法 :2mm×6mm
・配列 :10列×8段
・コイル断面:40mm×65mm
・電圧 :24V
・電流 :20A
【0018】
図4は、3次元電磁場解析プログラム(OPERA-3D)を用いてS極励磁コイル13の先端近傍のナトリウム流路における磁束密度を解析したもので、このグラフの縦軸は磁束密度、横軸は半径位置(r1は外ダクト23aの位置、r2はナトリウム流路の中心位置、r3は内ダクト23bの位置)をそれぞれ表している。この解析結果によれば、外ダクト23aの位置(r1)から流路中心(r2)にかけて0.011(T)以上の磁束密度が得られることが分かる。
図3に示す構成例では、電極2a,2bが外ダクト23aに設置されているため、外ダクト23aから流路中心にかけての磁束密度が流量測定に大きな影響を与えると考えられる。したがって、液体金属ナトリウム冷却高速増殖炉の出力が100%(ナトリウム流速約12.5m/s)であるときの電磁流量計10の出力概算値は、次式により約0.04Vと評価することができ、従来型の電磁流量計と比較して同等程度の測定精度が得られることが分かる。
【0019】
電磁流量計の出力概算値
=磁束密度0.011T×流速12.5m/s×電極間距離0.3m
=0.04125V
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、励磁装置11の両磁極と電極2a,2bとを管路外壁の片側に集約して配置するようにしたので、従来と比較して励磁装置11を大幅に小型化することができる。したがって、励磁装置11の設置が容易となり、装置コスト等の低減を図ることができる。
しかも、管路の壁面近傍に、導電性流体の流量測定に適した所望の磁界を形成できることから、例えば、従来は測定が困難であった断面が環状の管路や、断面が縦長または横長の矩形状の管路など、導電性流体の主流部が壁面近傍に存在するような管路において、導電性流体の流量や流速を精度良く測定することができる。
【0021】
[第2の実施形態]
図5は、本発明に係る電磁流量計の第2の実施形態を示すもので、上述した第1の実施形態と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
この第2の実施形態では、管路外壁1bに対してほぼ垂直な向きに配置された柱状の鉄心32と、この鉄心32に巻装された励磁コイル33とにより、励磁装置31が構成されている。本実施形態では、この励磁装置31の管路側端部がS極に、管路1と反対側の端部がN極に設定されている。また、励磁装置31の両側には、後述する磁束を跨ぐように、管路外壁1bに沿って電極2a,2bが対称的に配置されている。
【0022】
上記構成からなる電磁流量計30において、励磁コイル33に電流を印加した際には、励磁装置31のN極からS極に至る磁束が生じ、励磁装置31のS極近傍に、管路外壁1bと直交する向き(管路1の径方向)の磁界が形成される。その結果、励磁装置31のS極近傍の流路1aを流れる導電性流体には、ファラデーの電磁誘導の法則により、磁界の向き(管路1の径方向)と導電性流体の流れる方向(管路1の軸方向)の双方に直交する向き(両電極2a,2bを結ぶ線分の方向)に、導電性流体の流速に応じた起電力が生じる。この起電力は、両電極2a,2bを介して外部に取り出され、その測定値から導電性流体の流量または流速が求められる。
【0023】
このように本実施形態の電磁流量計30によっても、第1の実施形態と同様、管路の壁面近傍に、導電性流体の流量測定に適した所望の磁界を形成できることから、断面が環状の管路等のように、導電性流体の主流部が壁面近傍に存在するような管路において、導電性流体の流量や流速を精度良く測定することができる。
【0024】
[第3の実施形態]
図6は、本発明に係る電磁流量計の第3の実施形態を示すもので、上述した第1の実施形態と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
この第3の実施形態では、略U字形の第1鉄心42と、この第1鉄心42に巻装された励磁コイル43と、円弧状に湾曲した略板状の第2鉄心44とにより、励磁装置41が構成されている。
【0025】
第1鉄心42は、所定間隔を配して外管の外壁面1bに沿って配置される断面円弧状の板状部42aと、この板状部42aの周方向の両端より外管の外壁面1bに向かって径方向に延出する一対の柱状部と42b,42cとからなる。本実施形態では、図中下側の柱状部42bの先端がS極、上側の柱状部42cの先端がN極に設定され、N極の両側に、外壁面1bに沿って電極2a,2bが対称的に配置されている。
【0026】
一方、第2鉄心44は、一方の柱状部42bの先端(S極)と対向する位置から他方の柱状部42cの先端(N極)と対向する位置に亘って、内管の内壁面1cに沿って配置されている。鉄の比透磁率は真空の150倍程度であるため、このように第2鉄心44を配置した場合、励磁装置41からの磁束は空間に広く分布することなく、第2鉄心44内部を通過する形で分布することとなり、結果として、導電性流体の流路1aを径方向に横断する磁束密度を高めることができる。
【0027】
上記構成からなる電磁流量計40において、各励磁コイル43に電流を印加した際には、励磁装置41のN極から第2鉄心44を経由してS極に至る磁束が生じ、励磁装置41のN極とS極近傍に、流路1aを径方向に横断する向きの磁界がそれぞれ形成される。その結果、各磁極近傍の流路1aを流れる導電性流体には、ファラデーの電磁誘導の法則により、磁界の向き(管路1の径方向)と導電性流体の流れる方向(管路1の軸方向)の双方に直交する向き(両電極2a,2bを結ぶ線分の方向)に、導電性流体の流速に応じた起電力がそれぞれ生じる。このうちN極近傍に生じる起電力が、両電極2a,2bを介して外部に取り出され、その測定値から導電性流体の流量または流速が求められる。
【0028】
このように本実施形態の電磁流量計40によっても、第1および第2の実施形態と同様、管路の壁面近傍に、導電性流体の流量測定に適した所望の磁界を形成できることから、断面が環状の管路等のように、導電性流体の主流部が壁面近傍に存在するような管路において、導電性流体の流量や流速を精度良く測定することができる。
【0029】
なお、以上の各実施形態においては、管路として、円環状の断面を有する管路1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、断面が縦長または横長の矩形状の管路など、その他の断面形状の管路であってもよい。
また、以上の各実施形態においては、管路1の外周部に1つの励磁装置を設ける構成としたが、管路1の周方向に沿って複数の励磁装置を設けるようにしてもよい。そうすることで、管路全体の流量の測定精度をより一層向上させることが可能である。
さらに、以上の各実施形態において、励磁装置として直流励磁方式の励磁装置が含まれる他、永久磁石方式や交流励磁方式の励磁装置にても実施できる。また、導電性流体は、例えば液体金属を始め、水等の電解質流体など、導電性を有する流体であれば如何なるものであっても利用できる。但し、水の場合は、液体金属と比較して電気伝導度が低いため、励磁方式として交流正弦波励磁方式または交流方形波励磁方式を使用することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る電磁流量計の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】励磁装置の拡大断面図である。
【図3】ナトリウム冷却炉の電磁ポンプ組込型中間熱交換器の概略構成を示すもので、図3(a)は全体構成図、図3(b)は図3(a)のA-A線に沿った断面図、図3(c)は図3(a)のB-B線に沿った断面図である。
【図4】図1の電磁流量計を図3の熱交換器の電磁ポンプダクトに適用したときに生じる磁束密度分布の解析結果を示すグラフである。
【図5】本発明に係る電磁流量計の第2の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る電磁流量計の第3の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 管路
2a,2b 電極
10,30,40 電磁流量計
11,31,41 励磁装置
12,32 鉄心
13,33,43 励磁コイル
42 第1鉄心
44 第2鉄心
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5